タイトル:【観】 四季折々-夏-
ファイル:-四季折々-夏-.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5255 レス数:0
初投稿日時:2008/06/02-02:30:33修正日時:2008/06/02-02:30:33
←戻る↓レスへ飛ぶ

雲ひとつ無い青空が広がる公園。
これだけならさぞ快適な絵図だろう。
熱線を地上に降り注ぐ太陽が無ければの話だが。

太陽の熱で地面から湯気が出るほどの暑さの中。
実装石達も暑さにやられていた。
木陰で動かない者、ベンチの下でじっとしている者。
兎にも角にも夏の公園は静かで蝉の声だけが響いていた。

公園の中央には噴水があるが、度重なる猛暑の影響で断水されていた。
底の方に水は溜まっているが誰も手を出さない。
直射日光に晒された水がどうなっているのかは実装石達は解っているからだ。
以前、この水を飲もうとした者がいたが水に手を入れた途端悲鳴を上げながら転げまわり始めた。
水はすでに熱湯へと姿を変えていたからだ。
その為、その水は放置されている。

その点公衆トイレは日差しに当たられることは無いので水の温度は殆ど上がっていない。
水を求める実装石が見逃すわけがなかった。
だが、ここでは力の強い個体が支配してしまっている。
その為、力の弱い者は水にありつくことは出来なかった。
水を飲めない者にまっているのは死という終着点しかない。
高い気温によって体内の水分を奪われ、その水分を補給できない状況。
公園の実装石達は1匹また1匹と脱水症状によって死亡していった。

だが、そんな中でも生き残る個体がいた。
それは俗に言う賢い個体だ。
賢い個体は公園を観察する事によって水分の補給方法を独自に見つけていた。
それは夏の朝に植物の葉に付く朝露である。
朝といっても日が昇りきる前出なければ日中の温度ですぐ蒸発してしまう。
そこで親は仔達を早めに起こし、葉に付いた朝露を啜るのであった。

「お前達、この葉っぱを舐めるデス」

「テ!?お水テチ!!」

「冷たいテチー」

この方法をはたから見ると葉っぱを舐めているようにしか見えなかった。

「デプププ、あいつら暑さで頭がおかしくなったデス?」

「葉っぱをベロベロして何がいいんデス?」

大抵の者が親仔の行動を見て笑っていた。
明日自分達が干からびて死ぬとも知らずに。



他の個体は最終手段として人間に頼み込むという手段をとる者もいる。
ミネラルウォーターを飲んでいる人間を見つければ、仔を持ち上げて水をくれと願う。
愛護派寄りの人間ならペットボトルごとくれるかもしれない。
だが、もし虐待派や実装石に嫌悪感を抱くものだったら。
最悪の結果がまっているのは確実だった。

「ニンゲンサン、この仔にそのお水をくださいデス」

実装石の親は仔を抱え上げて人間に見せる。
人間が小さい生物に甘いという半端な知識を得ている為だ。
おまけにその仔が蛆を抱きしめていた。
呼び止められた人間はいかにも嫌そうな顔を浮かべた。
この親仔は運が悪かったようだ。

「そんなに水が欲しいか?」

人間の言葉に頷く親実装。
返事を聞くと人間は仔実装をつまみあげた。
そして怪訝そうな顔をして様子をみていた。
男は仔実装を噴水の所まで持ってくると、噴水の中へと仔と蛆を投げ入れた。

「テェ?」

「レフ?」

噴水の水に落ちた瞬間、仔と蛆の悲鳴が鳴り響く。

「テジャァァァァァァァ!!」

「レピャァァァァァァァァ!!」

噴水の水は熱湯と化しており、皮膚がまだ弱い仔と蛆には焼けるような暑さだった。

「ア、アツイテチャァァァァァァァァァ!!」

「ニエチャウレフ!!ウジチャンマルユデレフ!!」

バチャバチャと暴れるが状況は変わらない。

「デェェェ!?」

親実装はようやく状況がわかったのか驚きの声を上げた。

「水はやったぞ、じゃあな」

公園を去り始める人間を追うか、噴水に落ちた仔を救うか。
親実装は葛藤していた。

「ママァー!!タスケテテチー!!」

「レピィィィィィィ!!ウジチャンモウダメテレフ」

パキンと言う音が親実装の耳に入ってきた。

「蛆ちゃん?蛆ちゃぁぁぁん!!」

親実装は噴水に駆け寄ってジャンプするが、土台が無いので届くはずも無く空しいジャンプを繰り返していた。

「テヒィ…テヒィ…」

仔実装の声が弱々しくなってきた。

「しっかりするデス!!今助けるデス!!」

言葉だけはしっかりしているが現状は何の進展も無い。

「…テ…」

短い声が聞こえたかと思うとパキンと言う音が聞こえた。

「デェェェェェン!!」

一気に仔を2匹失ったショックは親実装に大きなダメージを与えた。


別の場所では親実装が出かけて留守なのをいい事に外を出歩く仔実装と蛆の姉妹が人間に涼を求めていた。
その人間が食べているアイスを見て、蛆を餌にねだり始めたのだ。

「ニンゲンサン、その冷たいアマアマを下さいテチ」

蛆を掲げて人間にお願いをする仔実装。

「ウジチャンアツクテシンジャウレフー」

そんな2匹を見てその人間はしばらく黙っていた。
沈黙する人間はすっとアイスを差し出した。
差し出されたアイスに顔を明るくする姉妹。
仔実装は蛆をアイスの上に載せた。
体に感じる冷たさに蛆は液状の糞を垂らしつつ、短い手足で必死にしがみつこうとしている。

「ツメタイレフー、アマアマレフー」

ベロベロと短い舌でアイスを舐める蛆。
すると男は黙ったまま持っているアイスを横へ移動させた。
アイスに乗っている蛆は甘味を味わうのに夢中なのか気がついていない。

「テェ?ニンゲンサン、何するテチ?」

仔実装も人間が何をするのか解っていなかった。
横に移動させたアイスが止まったかと思うと人間が手首を回して180度アイスを回転させた。
真上にいた蛆は一気に真下へと移動し、そのまま背中から落下していく。

「レフ?」

高さにして30cmも満たないので蛆でも落ちて死なないだろうが、落ちた場所に問題があった。
そこは鉄製のマンホールの蓋があったのだ。
ポトンと蓋の上に落ちた蛆はしばらく何が起きたかわからない顔をしていた。
だが、すぐに自身に起きている状況を身を持って知る事になる
体から煙を上げて体をくねらす。

「レッピャァァァァァァァァァァ!!」

マンホールはこの炎天下の元、十分熱しられた鉄板へと変貌していた。

「テェェェェェェ!?ウジチャーン!!」

仔実装が蛆を助けようとマンホールの蓋の上に足を載せる。
ジュッという短い肉の焼ける音がすると仔実装も地面を転げて熱さにもんどりをうつ。

「テッチャァァァアッァァァ!!アンヨが熱いテチー!!」

仔実装の靴は底面部分が焼け焦げて崩れ落ちていた。
その間にも蛆は身をくねらせて熱さを回避しようとしている。
体の服も所々が焼け崩れていた。

「レヒィッ!!レピャァ!!レッピィィィィィ!!」

見ているとまるで焼けた鉄板の上に置いた生きた海老の様にも見える。

「テェェェン!!ウジチャーン!!」

仔実装は助けたいが鉄板の熱さで助けられずただ見ているしかなった。

「ニンゲンサン!!ウジチャンを助けてテチー!!」

蛆を鉄板の上に落した張本人だと気がついていないのか理解していないのか。
仔実装は男に頼み込んだ。
男は黙って仔実装を摘むと蛆と同じ様に鉄板の上へ持ってくる。

「ニ、ニンゲンサン?何かの冗談テチ?」

男の顔が一瞬だけ笑った様に見えた。
仔実装の足を男の指が摘む。
そして、そのまま力をこめると仔実装の足はいとも簡単に折れた。

「テジャァァァァ!!アンヨが折れたテチィー!!」

左右逆方向へと曲がった足を見て仔実装は騒ぎ出した。
男が仔実装をつまみあげている指を開くと、仔実装は折れた足のまま蓋の上に落ちた。

「テギャァァァァァァ!!熱いテチ!!アツイテチィー!!」

必死に蓋の上から逃げようとするが足が折れているので動けない。
それでも上半身だけで逃げようとするのは生きることへの必死さからなる物なのか。
必死に這いずるが距離は1ミリ単位でしか動かないので蓋から逃れるのは絶望的だった。

「ママァ!!ママァー!!助けてテチー!!」

「オネチャァァァァァァ!!」

這いずる仔の上にすっかり体が焼け焦げた蛆が覆いかぶさる。

「テチャァァァァ!!退くテチィ!!この死に損ないガァァァァ!!」

先ほどの姉妹愛はどこへやら。
蛆が上に載ったことで仔実装は鉄板の上から動かなくなった。
その間にも服は焼け落ち、皮膚が焼け焦げていく。

「生きるテチ!!ママと幸せになるんテチィー!!」

必死な仔実装の前に男の指が現れた。
仔実装は何も言わずその指にしがみつく。
男が指を上げて仔実装を上に持ち上げた。

「助かったテチ…」

安堵の表情を浮かべる仔実装。
だが、次の瞬間男の指が鉄板へと戻った。
しかも今度は背中からだ。
すっかり焼けた腹とは違って背中はまだ無傷。
再び背中から熱さと痛みが全身を駆け巡る。

「テギィィィィィィィィィィ!!」

肉の焼ける音が響く。
逃れようとするが男の指が腹を押さえて動けないようにする。
手足をバタつかせるが力の差は歴然としているので無駄な足掻きで終わった。

「レヒィ…レ…ヒィ…」

蛆の声が弱まったかと思うと乾いた音が聞こえてくる。
全身をこんがりと焼かれ目は濁り息絶えた。
仔実装も段々と抵抗する力が弱まっていく。

「テヒィ…テチィ…マ…マ…ァ…」

とうとう仔実装も死に絶えた。
男は満足げな顔をすると公園を去った。
こうして夏の暑さによるストレスを解消する虐待派達が今日も公園へと足を向けるのだった。


「今日はご飯が一杯取れたデス」

膨らんだ袋を持つ実装石が公園を歩く。
帰ったら仔達に一杯の食事を与えられる事に喜びを感じていた。
その帰り道に妙な光景を見た。

「うまいデス!うんまいデスー!」

「レアステーキデス!!」

数匹の野良がマンホールの蓋の周りで何かを食べていた。
何かを毟り取りそれを口に運んでは騒ぎ立てる。
そんな光景が繰り広げられていた。

「何デス?」

興味を惹かれたが仔達が待っている。

「早く帰るデスー」

脳裏に仔実装と蛆実装の姿が浮かんだ。


■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため4873を入力してください
戻る