タイトル:【パ】 虚空にヤイバを擬してなおかつハシレ02
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初投稿日時:2008/05/24-14:38:29修正日時:2008/05/24-14:38:29
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  ■虚空にヤイバを擬してなおかつハシレ02




一世紀前に遡る

ケージの中に入れられたままだが歴史上火星に降りた最初の100匹の実装石には なんの感動も無いようだ
それもそのはずで直前まで仮死状態をキープしてようやく復活したばかり ひととおり落ち着くのを待っての上陸になる
「テチテチ」「デス〜ン」「テチャ」「レフレフ」「チャアァ」
伊達や酔狂でグラム当たり中古のスピナー(空飛ぶ自家用車)が買えるくらいの資金を使ってココまで運んできたわけでは無い
次世代通信システムの実験のためだ

だが 感動の素振りも見せないのはなにやら癪に障るとスタッフの一人が
「君たちは有史以来 最初に地球圏外 それも火星に降り立った特別な実装石なんだよ」
とリンガル越しに教えてやる
一拍 二拍して騒ぎはじめる被験者たち
どうやら地球圏云々は理解できなかったが「特別な」の単語に過剰反応したらしい
「ワタチはトクベツテス」「高貴なワタシにひれ伏すテチ」「西キャナル市はワタシのモノデス」とか喚(わめ)いている

航行中のトラブルでスケジュールは3日ほど押している
「研究室に連れて行って7日間で環境に馴染ませる」
火星側の総合責任者は 発してからその言葉の重さに気が付いてナーバスになる

「主任 極端な埋め合わせ策はしないで下さいね」
多分に精神面に依存する実装石
たとえば 金平糖などを大量投与することで精神は簡単に安定する 甘さが他の感情を塗りつぶすわけだ
落ち着くと云えなくはないがそれは単に逃避でしかなく 環境に馴染むとは別の意味だ
心理的な麻酔としては有効であるが

かくて多少の糖分増加と加圧 酸素濃度の微減少で安定化させた火星の100個体の状況は実験に移行する


火星にある実験施設のなかのひとつ
赤道に近い「ラボ108」と呼ばれる施設でこの実験は行われた
火星側の個体の偽石を崩壊させて 地球側の個体の偽石がそれを認識出来るかどうか
あるいは どんな因果を絡めた個体同士がどんな反応をするのか
あらかじめの予断を無視して100個体を
虐待 虐殺していく

そもそも虐待の濃度など数値化出来る訳もなく それは10段階の時間差によるフリー演技に一任される
加虐者のテンションに掛かってくる訳だ
いやだなぁ そんな実験

第一段階 時間0
予告無しに厳選に選ばれた個体を 瞬時に殺す
あらかじめ摘出した偽石をプレス機で潰すだけだ

第二段階で5分後 以降10分後 20分 40分 と増やしていき 最終的に第十段階では1280分 21時間20分
被加虐者 加虐者ともに過酷な時間を共有する

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こんこんこん
とノックをして研究員は実装石のいる白い部屋に入ってくる
ドアにはアリスと書いた紙片が斜めに貼ってある 部屋の広さは四畳半くらい

男は実装石相手にノックしたことを恥ながら「クセだなぁ」とこぼす
「失礼します」とか云わなかっただけ良しとしよう
この部屋に入る前にも見たのだが もう一度端末に目をやり時間を確認する
「あと2分」ため息
リンガルのスイッチOFFを確認
壁際にコンテナが3つ 虐待道具と食事が入っているハズだが時間が来るまで蓋は開かない
中央には中実装になりかけているくらいの仔実装石が こちらを見ながらお辞儀したりさえずったりしている

時間までは積極的に無視をしていたかったが気になるのでリンガルをON
『挨拶』
このリンガルのモードは虚飾を廃した翻訳を音声で返す
実際には翻訳に加え精度の確率 感情のパラメーターを添付して来る
一般的なリンガルで云えば 語彙を選択する前のデータを返してくると思って良い

ぴぴぴ ぴぴぴ ぴぴぴ・・・と部屋の壁からアラームが鳴って開始を知らせる
これから起こる事を考えると ずいぶんと軽い電子音だ

「アリス ぼくが21時間と20分をついやして あなたを殺します」
彼と彼女の憂鬱な時間は始まった
彼そのものは実装石を嫌ってすらいない 只の研究員にすぎない

とりあえず軽く蹴る 先の宣言を裏付けるための行動だ
叫びながら壁まで飛んで行く実装石
『熱い 熱い 熱い 熱い 熱い』
『痛み 驚愕 疑問』
初手から飛ばしすぎたかと思いつつゆっくりとそちらに歩いて行く
そう ゆっくりだ
要は時間一杯虐待状態を継続していれば条件クリアなわけで 持続が主題になってくる

鼻と口から少量の血液を流しながらもがいて逃げようとしている
『痛み 自照 疑問 疑問 恨み』
こちらをちらちらと見ながら 足を引きずって部屋の隅に逃れて行く
『熱い 痛い 自己憐憫』
ああ あれで哀れみを誘ってるんだなぁ 余裕あるじゃん
いや 本能だな
手を伸ばして 後髪を一筋握り引き戻す
髪の毛が抜ける
『苦痛 絶望 恥辱/快楽』ぶりぶりぶり
「あーあ 最初の5分でパンコンしたか・・・」
実装石は排便で快楽を得ると云われている
もう少し 後のステージでさせるつもりだったのだが仕方がない
「それを喰え」
『否定 困惑 拒絶 拒絶』
そこから攻めるか
そもそも生物としての糞食は決して珍しいことではない
ウサギなどは 子育てのために軟便をわざわざ出す機能すら持っているらしい
「らしい」と云うのは知識でしかないからだ 本物のウサギなどホログラムでしか見たことがない

なまじっか人の側にいて久しい実装石は そのシステムを恥じるくらいのインテリジェンスを実装しはじめた
「賢(さか)しいぞ 糞蟲」
もちろん先の情報は開示していない
左の足を逆間接に拈る
『苦痛』
「それを喰え」
左足をさらに拈る 爪をあて角度を急にする
『苦痛 苦痛 苦痛 苦痛 苦痛』
「それを喰え」
強引に口に押し込むよりは自発的に行動させる方が心理的効果が高い
時間も稼げる
ねちゃ べちゃ ずる そぶ じゅる
『非可逆 糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲糞蟲』
ゆるやかに温度が変わってくる

「忘れる所だった」
研究員はコンテナの方に歩いて近づき中から先端が少し曲がったアイスピックの様なモノを取り出す
「目玉を コウ くぃとね」わざと聞かせる
この処置は不慮の妊娠を防ぐために行う
被験者の体力やメンタルの低下を思ん図っての意図はなく あらかじめ施したエンタングル(絡み合い)の無効化をおそれての事だ
あくまで受信者 送信者の関係をキープしておきたいとの配慮

アリスを掴み左の瞼を指でちぎり取る(当スクではまぶた有りの設定)
存分に器具の先端を見せつけて ゆっくり目玉の中心に差し込む
『熱い 痛い 恐い 恐い 痛い 絶望 母親 母親 救出要望』
突き立てたまま 暫く放って於いてコンテナから水を取り出して飲む
実装石はそのままその位置で目を押さえたまま震えている
けっこう これは行けるな と一時間放置
時々 突っついて痛みを新鮮にしてやる
つつく度に『痛い 痛い 熱い』と返す

サザエの中身を繰りだす要領でゆっくりと目玉をくりぬく
そのまま摘出した目玉を アリスに解るように見せつける
「おまえはもう 子孫を残せ無いなぁ」
『痛い 悲しい 断絶』
「解るのか・・・ 悲しいなぁそれは」優しく撫でてやる
『痛い 慈愛 痛い 自己憐憫 絶望』
「その絶望感は生物として正しいな」でも
左足を潰す
ここまでで ようやく3時間

あとはもうぐだぐだな繰り返しに堕する
痛みの種類を定期的に変え 被験者に飽きさせない様に気を砕く ホントサービス業だな これ
いやだなぁ

6時間後
研究員は食事を取りながら たわむれに実装石に話しかける
「おまえの実装生(人生)って何だと思う?」
応えない 答えられない
ま しょうがないか
最後のサンドイッチの一切れを ミネラルウォーターで流し込むと次のプランを検討しつつ立ち上がる
『希望 絶望 絶望 絶望 絶望 絶望 絶望 絶望 絶望 絶望・・・・』
「そうだよな その割合」
すでに ささらの様になった左手を思い切って踏む
傷口に塩を刷り込んでみる

12時間後
もはや 両手両足髪の毛を失いリンガルにも大した返値が来なくなった
直接的な虐待しても あまり効果が無くなっている
脳にピンを差し込み微弱電流で刺激を与える
組み合わせが合えば エビ反り 苦痛信号を吐き出す
「夫婦で云えば倦怠期って時期か?」

21時間後
薬品を投与し 仮死を避けつつなんとかこの段階まで持たせた
あと20分でこの苦行も終わる
「おまえは あと20分で死ぬ なにか感想はないか?」
『母親 母親』
端末からアリスの構成データーを確認する
「ボブか・・・ おまえのママは何処にいる?」
『地球在住 母親 郷愁 遭遇希望』
久しく動きの乏しかったパラメーターのマップが変わる
「・・・解るのか 距離感」
『遠い 別のおうち 別の 別の 別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別の別のおうち』
無意識下の認識じゃないのか?
「そこにオマエのママが居るのか? 感じるのか?」
『母親 血 存在 認識』
『ママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママママ・・・ワタチはココにいるアリステチ』
アラームの音
実験終了の宣言
彼女はもう動かない 動かないモノになった

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宣長の病院はそう遠くない国立病院だった
医師もナースも公務員だ
面会謝絶の扉に警察特権でまかり通る

患者の脇には専用端末がセットされており 外部補助脳と本人の間で並列化をキープしている

こんなものまで準備していたのか とため息をつく
感覚的には他人の遺言書を読むのに近い

痛々しいぞ先輩
「デデデデデデデデ」正当なアクセス権の行使 質問項目をアップしようとするカワセミ
「おまえはメシでも喰ってこい・・・」
最初は嗤ってやろうと思っていたモノの この状況を見るとナーバスになる
「デ」
素直に出ていく
ありがとう あとで報告上げるから

「大丈夫か?」病室で掛けるべき言葉ではないな いや らしいと云うべきか
「・・・・受理 宣長個人に代わって 人工頭脳の私がお答えします
 先に述べておきますが私はあらかじめ入力された情報及び 宣長が答えるであろう回答を予想して対応するシステムに過ぎず
 実際の個人との差異が生じる場合があります これらを時系列によって開示するのが・・・・・」
約款だ キャンセル出来ない

「おまえが来るのは予想できた 久しぶりだなぁ」
「おう おめぇの尻をぬぐうわけだ 感謝しろ」言葉ほどの勢いは出せていない
「時間が無い 俺なりに整理した結果を伝える まぁ聞いてくれ あいつらは意図的に死角から来る
 最初は(たぶん)金属片による直接攻撃 数にして20個体前後だ
 おれが動けなくなったのを確認したら銃撃 実体弾3発 レーザー6発
 どちらも宇宙用の低出力だ
 だから 生きていられた

 たぶん銃撃にはリスクがあるようだ
 そもそも低反動のデバイスだがあの体格では 狙いは付けらない
 おれの致命的な損傷は脊椎への実体弾 足首を切り落としたレーザーってトコらしいし
 最初の金属片でアキレス腱も切られたしな」

「おまえ 生きてる様にはみえないよ」
「ああ 気にするな 脊椎の傷は重大だが ナノマシンの注入で1年もすればリハビリに移行できる」
「保険 払ってるか? おれは滞納している」
「・・・ 天引きされているよおれは オマエは 怪我できないなぁ

 状況中リンガルがやたらノイズを拾ってた 鬱陶しいのでOFFにしたが なにかあったのかもしれない
 ヒントになるか?」
「参考にはする 他には無いか?」

「おまえのロッカーの洋酒 呑んだのはおれだ・・・」
「ゆるさねぇよ 退院したらおごれ」
「ああ 約束する」
遭遇地点や周辺のスコアなどのデータをダウンロードして病室を離れる
オフラインを確認して言語による宣言への配信
「じゃあな宣長 終わったらまた来る」

一階のフロアでカワセミを回収して現場に向かう・・・ ってこの請求書ってなに? ゴハンだけで30杯? オバQか Fの方か!
『食事の指示は受理されたデス 許可に有効でワタシはおおむね しやわせデス』
対比すると極小に見えるカワセミのポシェットにそれを突っ込み
「課長に云え」と締めくくる
『月末にはまとめて引き落とされるので問題ないデス』
「まとめてって何だよ」
任務を完遂しなければ 落ちないよな コレ
いまひとつ締め切れなかった

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情報が上がっているはずのサイトに捜査員の権利でアクセスする
更新無し
最近の実装被害地図にアクセス
過去 1ト月間での偏在が認められず
一般サイトでの検索 成果無し

困ったなぁ ローゼン社にでも行って暇でも潰そう ルート上だし
「カワセミ 向かってくれ」
後部シートでふんぞり返る快感を覚えた秋成はカワセミを顎で使う
『アポイント取れてないデス』
「警察特権で再アクセス おれの名前を使え」
『2時から30分確保デス』

ピラミットを分解したような本社ビルの壁面を斜めに昇るエレベーターに秋成とカワセミは乗っている
ちん
社長室のフロアで止まり降りる
まさか社長が出てくるとは・・・ 暇なのか
「実装シリーズの方はここでお待ちください」との合成音声に従い カワセミを置き去る
「有料のサービスは受けるな! 最優先事項だ あとここのトイレで排便しとけ」この後長くなる
『了解したデス』

対爆仕様の扉を開き(動力サポート付きだ)先に進む
「精神と躰の平安の対価は安く無いなぁ
 実装王国に立つ王様よ 実装シリーズはお嫌いか?」
 部屋の中央でフクロウに仔実装を餌として与える王は
「君の匿名のレポートを再検索していた所だ 興味深い観察力だ」
鶴の様に細い老人 メディアに一切個人データーが出ない男はそう云って呉れた

匿名性の意味無いじゃん
「ああ 自信はあった 警察機構の特権でひろった個人的体験だからな それで暫くは食いつながせてもらった」ありがとう
「特に『人化への心理的トリガー』『偽石のネットワークの最大化と最小化に至る弊害』は荒削りながら頷ける」
褒められちゃった
「あれは未完成だ 続きが読みたければ協力して貰おう」
「ほう」フクロウではなく老人
「ああ 仮説がある 証明できれば上げてやる 情報の丸め方に付いてだ
 人化トリガーのケミカル処理もだ」
これはブラフ 今回の一件だけではたどり着けない
「いいですね 若い人は その怖さを知らない」
ほう フクロウは偽石にでも当たったか 不愉快の元を吐き出し 食事を続ける
からん と軽い音
「出して良い情報とそうでない情報は心得ている だからここ経由でレポートを上げている」
「賢明です ウチのリストアップも楽になりますから」
「はは 光栄だな ブラックリスト入りですか」
2匹目の仔実装をフクロウに与える
フクロウは一撃を頭に加え 多少痙攣をし続ける状態の餌を引きちぎりながら食事を再開する
「深読みし過ぎですよ こちらとしてもそこまで自由奔放には振る舞えません」
「兎に角 今の私は公人として訪問した 1ト月前と7日前の事件は上がってますね」
「ああ 報告は受けている」
「老人 甘いのではないか? 外宇宙から生還した実装石はとりあえずここを目指す」
手元に視線を落とし ああ 此ですかと嗤ってみせる
「ネットワークへの有効性は未知数だ その実装石がいきなり爆ぜる可能性もあると云ってるんだ 最悪空爆だって・・・」

「ほう ひなびた老人がフクロウに仔実装をあげている様に観えているのですか
 なかなかユニークなイメージだ」

めまい
「ちきしょう 視聴覚乗っ取りやがったのか」
暗示かもしれない
「人聞きの悪い 相応の面会システムです ログは整理されてCEOに届けますので安心してください」

「あああああ おれは誰も居ない部屋でどきどきしながら話してたのか」
「気に病むことはありません 公式には来社後 秘書と話した事になってますから」
「電脳ふぜいが慰めるな 惨めになる」
「この面会 あなたのレポートが引き金となったのは事実です」
「こちらの情報は引き出して そちらからは何も与えずって?」
「与えよ さすれば与えられん」
「やっぱり 与えて呉れないんじゃん おれの人生搾取ばっかし」ちがうぞ秋成
「・・・ギブアンドテイクとでも云い直しましょうか 情報にはそれ相応の対価でお応えします」
「おれのマイレージはどれくらい貯まってるんだ」
「信用貸しの権利を得たくらいでしょうか?」権利を行使なさいますか

「条件を云え 明示しろ」たぶん首謀者を渡せとか 屠れとかだろう

「先の電脳ふぜいと云う偏見は修正して下さい わたしはそんなに安っぽくはない」
「はん それが本音か 悪くない」職業上慣れている・・・
左手を掲げ 端末をむき出す
「遠慮するな 入ってこい防壁は解除してる」すでに侵入されているかも知れないが 強がってみせる
「許可が出たのなら 堂々と侵入します 謝辞を表明します」
あ やめて 入ってなかったのね
「幕末期の日本の使節団を見て外国人は驚いたそうだ スパイを同行してるってね」
「いわゆる目付ですね 反対勢力の監視によって行為を公(おおやけ)化すると云うシステム」
「ああ 懐柔するんだ いっしょに泊まってメシを喰って糞して・・・」
「わたしは寝ないし食事しないし排便しません」
「文学的修辞だ! 無粋者」
「無粋は人工知性体の特徴であり美徳でもあります」
「名前が在れば名乗れ 暫しの同行者 でなければ勝手に呼ばわる」
「後者を希望します」

「おまえはココにはいない」端末を見る「だから ウツセミだ」韻を踏んでみせる
「源氏物語ですか」
いや そっちは読んでない「忍者武芸帖」だ


「おれも立場が上がったよ なんせ公式な使節団レベルだ」
「デス?」
『スパイが二人に増えただけだ気にするな
おれ』

ローゼン社のビルから離れつつあるスピナーの後部座席でほくそ笑む秋成は今後のめんどくさそうな展開を積極的に無視している

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集団として迷走の自覚は無い
闇雲な組織の総意としての方向性を模索して結果的に其処に落ち着いた
実装石達がローゼン社の敷地の直前までたどり着いたのは必然だったのかもしれない


『ここで止まるデス』
ママのコエでツカれた列はイッタン止まる
それからおかしいテチとか足りないテスとか そんなオトがフえてアフれる
『一端ここに拠点を作って様子を見るだけデス』


漠然とした不安の波は ここが最終目的地の近くではあるが 真髄ではないとの抗議信号だ
ここから先は あらゆる索敵システムをかいくぐっての行動になるリスクを理解できる個体も居るには居るのだが本能が勝ちすぎる
リーダーとしては絶妙な懐柔策 あるいは力による統制が問われる岐路になるわけだが 目をすった
緩やかな失敗は この後ボディーブロウのように利いてくる

「クレアちゃんはヨくしてクれるテチ」
アリスはウイスキーにそう応えた
「でもクレアオネェチャンはチョウリツがズれハジめてるテチ」

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続




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