俺が小学四年生だった頃の思い出だ。 俺も友達も、友達の兄ちゃんも、暇な時は近所の公園にいた野良実装達で遊んでいた。 「ワタチも縄跳びして良いテチか?テチュ〜〜ン♪やるテチ!したいテチ!」 友達の持っていたリンガルで野良の仔実装を縄跳びに誘った。 「いくよー。せーの、いーち」 俺と友達の二人で回す縄をタイミングよく越えようとジャンプする野良仔実装。俺達の狙いはその仔だった。 「ヂアッ!!」 仔実装は跳んだところを縄に弾かれ、横っ飛びして地面に転がった。 「ああ、ごめんね。当たっちゃったよ。大丈夫?」 周りで見ていた友達と笑いながら仔実装に声をかける。 「痛いテチィィィィィッ!痛いテチィィィィィィッ!痛いテチィィィィィッ!!」 仔実装は座り込んで泣き喚きながら、縄に強か打たれた脇腹を押さえて体を揺らし悶えていた。 もちろんパンコンして下着を緑色に汚したその姿に、俺達が同情する事は無かった。 「縄跳び続けるよ。良い?」 俺と友達の二人で持ったままの縄を弛ませ、その仔実装のとなりにおろした。 「テエエェェェェェェェェェン!!」 聞こえてないのか、仔実装は何も答えずに泣き続けた。 「じゃあいくから。せーの、いち」 縄が中で弧を描き、前よりも強い勢いで地面に戻ってきた。 泣き声がやんだ。 頭に縄の当たった仔実装は悲鳴を上げる間もなく打ち倒されていた。 「にい」 構わず俺達は縄を回し続けた。 横倒しになっていた仔実装の足が縄に打たれて跳ね上がり、体が縄に対して平行になった。 「さん」 次に体を打たれた仔実装がひっくり返って仰向けになった。 目から赤と緑の血を流して歯を食いしばった仔実装の顔が見えた。 「し」 大の字になっていた仔実装の左腕を弾いて、俺達は縄を止めた。 「ゲッ……ゲフッ」 仔実装の口から咳き込む音が聞こえた。 「テェェェッ……テェェェェェエエエエエエエエェェェェェェェッ!!!!」 突然、仔実装が唸るような悲鳴を上げて、砂まみれになった体を震わせ始めた。 「テェェェエエエェェェエエエッ!!!!テヤァァァァァァッ!!!アアアアァァァァァッ!!」 声をどんどん張り上げながら両足と右腕を暴れさせる。 縄に弾かれた左腕は動かなくなっていたのか、深手を負って動かせなかったのだろう。 「ママァァァッ!!マァァァァァァァマァァァァァァァァァァッ!!!」 やっと声らしい声を仔実装が口にした。 「うるさい!」 俺と一緒に縄を持っていた友達が、仔実装の体を潰さないよう手加減しながら踏みつけた。 「テギャアッ!」 踏まれた仔実装の顔が起き上がり、口から吐き出た血が友達の靴に付いた。 「うわー!汚ねー!」 友達が飛び退いて、嫌な顔をしながら汚れた靴の先を地面に擦った。 「この、バカ!」 仔実装を踏んで血を付けられた友達に向かって言ったのか、醜い姿の仔実装に向かって言ったのか分からない。 ただ、俺は怒っているのか楽しんでいるのかも分からない気分で、手にしていた縄の先、プラスチックの部分を思い切り仔実装に投げつけた。 しかし俺が投げたのは仔実装の傍の地面に当たった。 「なんだよバカ!」 俺に続いて友達が投げた方は仔実装の側頭部に命中した。 仔実装は口から緑色の泡を吹き出していた。 「うわー!汚ねー!汚ねー!」 俺が叫びながら仔実装から離れると、周りの皆も一緒に離れ始め、すぐに走り出した。 この遊びは終わったのだ。 公園を出て、次の遊びをしに行こう。 そんな気持ちで走る俺達の一人が、急に声を上げた。 「親がいたー!」 皆がバラバラに立ち止まって声の方を向いた。 「あっちあっち。見えたって!」 サル山の方を指差す奴の横から、別の奴がサル山の裏へ走った。 「うおー!!あーっ、はっけーん!」 「デギャアアーーッ!!」 見つけられて慌てて隠れていたらしい親実装の悲鳴が聞こえた。 「デェェェッ!」 裏の様子が見えない俺達に、恐らく逃げようとする親実装の声が届いた。 「デギョオオッ!!」 鈍い音と共にサル山の裏から飛び出てきた親実装の体は、その前にあった鉄棒に正面衝突して金属音を鳴り響かせた。 多分、背中から蹴り飛ばされたのだろう。 鉄棒の下にひっくり返っていく親実装の潰れた顔を目撃した俺達は、叫びながら再び走り出した。
