タイトル:【餌】 釣り場での託児
ファイル:【餌】釣り場での託児.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5785 レス数:1
初投稿日時:2008/05/04-06:22:21修正日時:2008/05/04-06:22:21
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二葉市の外れには、大きな防波堤がある。
近くにはコンビニエンスストアと、沿岸公園があった。




近郊の港町に有る実装工場に勤めている青年利昭は、釣りが趣味である。
今日も日が暮れかけている時間帯に釣り道具一式を車に積んで、防波堤へとやって来た。
本日は時期が春なので、根魚の代表メバルが狙いである。
餌は蛆がいい。そう、実装石の産み立ての蛆が最高にいい。

駐車場に車を止めた後、コンビニへと向かう。
夜釣りのお供に幾つかお握りとペットボトルのお茶を買ってから外に向かう。

「託児に気をつけてくださいね」
「ええ、解っていますよ」

店員の気遣いに返事だけは返し、利昭は出口に向かう。
入る前に此方を窺う気配はあったから、多分待ち構えているだろう。
沿岸公園に居を構え、コンビニにやってくる人間に託児を行う実装石どもが。

(全く、馬鹿だよなぁ。ここに来る客なんてみんな車かバイク乗りなんだから、託児出来ても訪問の為の追跡なんて出来やしないのにな)

ピンポーンという音と共に自動ドアを開けて、利昭はコンビニから出た。
これから利昭は徒歩でそのまま数十メートルも離れていない防波堤に向かう。

(お、来た来た)

わざとゆっくり歩く利昭の後ろから、気配が近付いてくる。
やっぱり利昭が右手に持っているロープの付いた水汲みバケツを狙っているようだ。
左手に持っている釣り具とクーラーボックスは分厚い蓋が閉まっているし、コンビニで買った食い物その他は背負っているナップサック内部だ。

(ま、ワザと誘うためにそうしてるんだけどな)

店内で買った訳でもないのに、バケツを手にしたままコンビニから出てくる客なんて珍しいだろうに。
そんな事も気付かず毎度毎度此処に来る度に、仔を投げ入れやすそうなバケツを持って出て来る自分を実装石達は狙ってくる。

(ま、そんな風だから毎度毎度俺はえさ代が浮いて助かる訳だが)

ボトッという小さな音と共に、バケツが僅かに揺れ重さを感じるようになった。
小さく「テチィ」という鳴き声と「デッスゥ」という返事が聞こえた。

(成功したからって気を抜きすぎだぜ。ま、馬鹿な糞蟲ならこの後もやりやすくて助かるが)

ニヤニヤしながら利昭は車道を横断して防波堤入り口に向かう。
その後ろには、仔を投げた親実装が後をつけるべく目立たない(本石としては)ように付いていく。
幸い(?)にして車が通らず、利昭と親実装は細長いケーソン式防波堤に入っていった。




「ここでいいかな」

防波堤の中程まで行くと、利昭は荷物と釣り具にナップサックを降ろした。
無論、バケツも降ろされる訳で途惑ったような鳴き声がバケツの中から漏れる。
チラリと防波堤の入り口の方を見ると、十数メートル程離れた場所で親実装が立ち止まって様子を見ていた。
無論遮蔽物なんて無いので丸見えだ。実装石と人間の脚力の差を考えれば全く意味のない警戒である。

(普通に走っていって確保してもいいけどな。まぁ、この辺は趣を大事にしないと)

そう思いながらバケツを見下ろすと、仔実装と目が合った。
まだ完全に陽が落ちておらず仄暗い程度なのでまだ互いの姿ははっきり見える。

「テチュ♪」

仔実装はテンプレートな動作で媚びを売ってきた。
全く、どいつもこいつも判を押したような詰まらない態度と反応。

(単なる糞仔か。さっさと役割を果たして貰うとしよう)

利昭はニッコリと偽りの笑顔を浮かべると、仔実装をバケツから出してあげる。
そしてフィッシングベストの胸元ポケットから金平糖を取り出した。
目を輝かせチィチィ大声で鳴き始めた仔実装の頭を優しく撫でながら、金平糖をそっと差し出してあげる。

「ハグッング……テチューン♪」

夢中で金平糖を舐めまくる仔実装を見下ろしながら、利昭はちらりと横目で親実装の方を覗う。
距離は十数メートルから僅か数メートルに詰まっていた。と言うか、親実装の立てる蝦蟇蛙が潰れたような腹の音まで聞こえる。
どうやら、親実装は聞こえてくる仔の鳴き声から、利昭が実装石に好意的な存在であると判断したようだ。

「おーい」

利昭は金平糖を掲げ、親実装に向かって振ってやる。
親実装は『この人間は自分達を可愛がってくれる』と判断したようだ。
今までの警戒とも言えないような警戒を忘れ、涎をダラダラと垂らしながらデスデス走ってくる。

「はい、おめでとー」
「デッスーン♪ デスデスゥ〜〜……デギャ!!」

後少しで足下に達するかというところで、実装石は利昭の履いたマジックテープシューズの靴族を顔面に受けて転倒した。
思いっきりでは無いので、転倒しただけだ。此処まで来て防波堤から転げ落ちでもされたら目も当てられない。

「残念でしたぁ。さぁ、自分の役割を果たそうね。主に俺が決めた役割だけど」
「デ、デズァ、デ、ギョ、デブ、ゴバァ、デギャ!」

到着おめでとうとばかりに数回潰れない程度に踏み付けて暴れないようにする。
良い具合にぐったりとした実装石のパンツと服と鋏でジョキジョキ切り裂いていく。

「デギャギャギャ!」
「こら、暴れるなよっと……ま、いいか」

ジタバタ暴れたせいか何回か鋏が実装石の身体にザックリと刺さったがこれもご愛敬。
切り裂かれた服とパンツを、一定区間事に立っている灯台用電信柱の根本に固定されたゴミ箱に放り込む。
先客が居たのか、中には何着かの実装服と髪の残骸が積み上げられていたが、これも珍しい事ではない。

嘆く暇すら与えずに、今度は後ろ髪の両房を輪になる様にした後ロープを括り付ける。
役割を与える前に腹を綺麗にしておかないと防波堤の上を汚す事になるし、餌と一緒に出される汚物になんて触りたくない。
デェデェと鳴く実装石の口に低圧ドドンパを放り込むと、現金な事に実装石が喜色を浮かべた。
これまでどんな仕打ちをされたかも忘れたのだろうか。全くふざけた生き物だ。

(即効性だからな。スピードが命なんだぜ)

ドドンパのお味の感想を実装石が述べる前に、利昭は実装石を港側の海中に放り込んだ。
ざっぱーんという景気が良い音が聞こえた後、無様な鳴き声と海水を掻き分ける音が響く。
漁港の湾内に広がる静かな波間で実装石が見事に溺れている。
沈み行く夕日に照らされた海上に、実装石の不細工な顔が浮いては沈み浮いては沈む。
周りが海中で放出される糞で僅かに緑色の膜が掛かったようになっていた。

「しっかり苦しんでおけよー。そーしないと糞が腹から全部でないからなー」

溺死寸前まで海中遊泳を楽しませてから防波堤の上に上げ、腹を数発殴り総排泄孔から糞を出ないのを確認。
春の寒い海水浴を楽しんだ所為か、良い具合に弱りピクピク痙攣している実装石。
ぐったりとしている実装石から髪をむしり取り禿裸にする。別に意味は無いが気分の問題だ。

「デ、デェェェェェ……」

大切な髪を取られても弱った実装石に大した抵抗は出来ない。
後は蛆餌を強制出産で必要な分だけ産ませた後、持ってきたビニール袋に放り込みゴミ箱に括り付ければいい。
奴が蛆を産めなくなったら釣りは終了。残った木乃伊は近くにある岩場に捨てておけば蟹や磯の生き物が処理してくれるだろう。

「テチィー!」

早速赤インキを片手に実装石に近寄ろうとした利昭の側を、とろくさく通り抜ける影が1つ。
その存在をすっかり忘れられていた仔実装である。仔実装は仰向けになりデェデェ息を吐いている自分の親の元に辿り着くと。

「テチィ、テチィ、テチィィィィ」

ポカポカポテポテ蹴ったり殴ったりを始めた。しかも、利昭の方をチラチラと見ながら。
何の事もない。さっきまで腰を抜かしながら親の惨劇を見ていた仔実装が、次は自分の番だと勝手に判断。
利昭に媚びを売り自分だけでも生き残ろうと小賢しい真似をしているだけだ。

白けた目で仔実装の三文芝居を見ていた利昭だが、何やら良いことを考えついたらしい。
仔実装を摘み上げてから、胸ポケットを探り出す。

「テチ、テチュテチュ♪」

気に入られたと判断した仔実装は手足をパタパタと動かしてはしゃいだが、利昭は気にも留めずに何か棒のようなものを取り出した。
取り出したるは仔実装の望む金平糖ではない。撒き餌を作る時に使う赤い油性ペンだ。
そいつを仔実装の緑色の目に塗りつけてやり、素早くパンツを取り去ってから今日自分が狙うポイント目掛けて素早く投擲。

「テチャアアアアアアアアアアアア…………「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレビャ!」」

宙を舞った仔実装が、強制出産された蛆を勢い良くブチ撒きながら海面に叩き付けられた。
空中で産まれた蛆は海面に落着した際に残らずショック死。仔実装も数分海上で蛆を産みまくりながら藻掻いた後、外海の波間に消えてしまった。

「あれで撒き餌代わりにはなっただろう。糞仔も使いようによっては役に立つって事だな」

利昭はそんな事を呟きながら、親実装の緑目に赤インキを垂らしてやる。

「デェーンデェェェェン」
「さーて、メバルが釣れるように大振りな蛆ちゃんをたっぷり産んでくれよ」

急激に膨らんでいく腹を楽しげに見守る利昭の耳に、複数の実装石の悲鳴や鳴き声が聞こえる。
見ると防波堤の先端の方で複数人の釣り人が、これまた数匹の実装石に強制出産を強いていた。
あ、一匹木乃伊状態になった奴が、無造作に内海側に放り込まれている。

「おー、やってるやってる」

普段は何の役にも立たないどころか、人間に迷惑しか掛けない野良実装石。
しかし、使いようによってはこうして人間の役に立つこともある。

「良かったなぁ。お前、人間様に役立つ存在になれたんだぜ?」
「デヒィィィィ、デェェェェェン!」
「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」「テッテレー♪」

利昭に褒められた実装石は嬉し涙を流しつつ、次々とバケツの中に大振りの蛆を放りだしていく。
やや小振りになった所で海水でインキを流し、出産を止めてから泣き喚く実装石をビニール袋に放り込みゴミ箱の側に転がしておいた。

「さて、釣るか!」

プニプニと鳴いている蛆実装の口から総排泄孔に針を刺し止める。力加減は手慣れているので問題なく準備が完了する。
さて、記念すべき一番槍をおさめる蛆ちゃんに声をかけてあげよう。

「レピィィィィィ」
「良かったな蛆ちゃん。大いなる海中でお魚さんにプニプニして貰いなさい」

返事が来る前に防波堤の真下に落とす。
丁度コンクリートの間で潮が渦巻いている辺りだ。

「さて、早くコイコイメバルちゃん……」

期待するような利昭の目線の先。
陽がくれて真っ暗になった海の底近くで暫くの間、蛆は藻掻いていた。

どうしてニンゲンさんはプニプニしてくれなかったのか。
どうしてママは助けてくれなかったのか。

様々な理不尽を激痛の最中その足りない頭で考えていた蛆だが、その思考は直ぐに閉ざされた。

岩の影から飛び出した魚影———メバルが、目の前に沈んできた蛆に噛み付いたからである。

「レピョ」

頭部を噛み砕かれ哀れ絶命する蛆実装。
きっと、このメバルは釣り上げられてしまうだろう。
そして煮たり揚げたりされてしまうのだろう。
利昭は美味しくメバルを食べながら、こう思うのかもしれない。

「ありがとう蛆ちゃん、蛆ちゃんのおかげでメバルが釣れて、俺はメバルを美味しく食べれる事が出来たよ」

あくまでも、思うかもしれない、程度の事ではあるが。
取るに足りない釣り餌の事など、さっさと忘れてしまう方が可能性としては圧倒的に高いだろう。


この日、利昭はメバルを数匹と雑魚を数匹釣った。
蛆は悉く餌として散り、木乃伊と化した親実装は帰り際に磯に投げ捨てられた。

これは、『歩く産廃』と称される野良実装が、珍しくも人間のお役に立てた、希少な例の話である。












完





————————————

感想を何時もありがとうございます。うーん、ちょっと二番煎じかなと思ったり。
大鍋146氏には「釣り餌」のネタを頂戴致しました。この場を借りてお礼を申し上げます。
次は工場で大量生産される吊るし餓鬼とか木乃伊実装とかもいいかなぁと思っております。では。

過去スク

【微虐】コンビニでよくある事
【託児】託児オムニバス
【託虐】託児対応マニュアルのススメ
【虐】夏を送る日(前編)
【虐】急転直下(微修正)
【日常】実装が居る世界の新聞配達(微修正)
【虐】山中の西洋料理店
【観・虐】実装公園のトイレで休日ライフ
【虐・覚醒】スイッチ入っちゃった
【虐夜】冥入リー苦死実増ス
【冬】温かい家(改訂版)
【虐】繭を作った蛆
【教育】神父様の教え
【哀】風の吹く町
【哀】【春】急転直下2
【哀・虐】桜の季節
【虐】繊維蟲





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1 Re: Name:匿名石 2021/12/05-12:56:18 No:00006438[申告]
楽な生活と食事を求めて託児をし、食物を掠め汚し、それでも悪びれず自らを正当化し、増長し怒りをかい、恥じることなく欺瞞と媚びを繰り返す糞投げ生物…それが本能・生態だチ!といえばそれ迄だけれどそれが故に始末が悪い実装石を、それなら生まれ持った生態とやらを"役に立てて"あげましょう!という爽快感すらある物語
ここでは人間目線の物語で、実装石目線からの感情の発露はほぼ無いのだけれど、そこがむしろ託児実装石の小狡さ無様さ惨めさ儚さを哀しさetc…を第三者目線で実感出来るし愉しめる
同じ作者さんの『防波堤の磯』では実装石目線からの顛末が描かれており、両話を読むと人間と実装石の間の相容れない隔絶がとどめのように堪能できる仕組みなので、両話セットで読み返したくなる…そんな"楽しく哀れな実装石"の世界観は、ここに投下されて随分経ってもいまだ色褪せない。
…迷惑な糞投げ蟲ちゃん、真っ当な人間サンの役に立てて良かったね…!
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