ボブと云う男名前で呼ばれる親実装石は漠然とした不安を感じて それまで遊んでいたピンポン玉を手から零す 正確には無意識下からポップした不快信号を表層でつかみそびれた状態 蟲の知らせという奴だ 具体的な対象が思い出せない事象は 悲しくもならない ただ 何かを喪失したヨウだと ぼんやり考える からんかんからから 床に落ちたピン球の音に我に返りあわてて拾いに走る そこでボブは先の感想を忘れ去る 其処から光の速度で610秒の距離 火星の実験施設で彼女の娘アリスが死を宣言され 時間を掛けて磨り潰された 誤差レベルの時差はあったものの 送信者アリスの偽石崩壊は 受信者であるボブ(の偽石)に即時的に伝わった 完全に無意識化の出来事だと判断される −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 空間上の2点間(この場合宇宙空間)を結ぶ方法に 亜空間を使う 具体的には反物質(アンチマター)を物質(マター)にぶつけて起こる膨大なエネルギーを使い通常空間を突破し亜空間にダイブする 空間の座標を相対的に把握し近道して 通常空間に至ると云うずるいシステム Dimension Space Drive(亜空間飛行) よくもそんな設定を掘り起こしたなとは云わないでほしい ひととおり 超光速システム(ワープとか平面航行とかボソンジャンプ)を吟味したところ コレにぶち中って もう外せなくなった 当スクはもうコレで行くことにする 俗に言う『デスドライブ』だ これこそ予定調和 人類が外宇宙にステージを移して次に必要になるのは 情報の即時性 中世よろしく 10日やひとつきのタイムラグなら(まだ)問題はないが 大出力の光速通信でも100年単位の時間が掛かるスパン 遅ればせながら インフラが整備されたの報が届く 驚くなかれ実装石がそれを担っている 担ってしまった 前々から偽石同士でネットワークが形成されている観測結果は得られていたのだが 「だからどうした」 のレベルで捨て置かれた だが 昨今の研究でどうやらタイムラグが生じないらしいことが証明される 火星 地球間の距離はおおよそ最短250光秒〜最長1250光秒(光速で4分から20分)この実験では10分の時に行われた 一定の基準で集められた実装石200匹を半分に分け 100匹を火星に送り込む 両者の間には親子関係 姉妹関係なとを意図的に配置してある それぞれ個体の偽石には直接観測器が付けられていて 情報のやりとりをモニターする あとは簡単で 火星側の個体を順次虐殺する あるときは丹念に あるときはあっさりと 念を押すほどの事ではないが この実験以外でも 実装石はあちらこちらでぽこぽこ死んでいる 差別化の工夫として各個体にアドレスを振り分けて それを被験者全員に教え込む 記憶力の甘い実装石のコト そこは補助脳を埋め込み強制的に記憶領域を増やしてやる 研究員が苦労したのは200匹の実装石に200の名前を用意したコトだったと云う 結果 発信側の個体はあらかじめ「死」を宣言して偽石崩壊させた方が信号を強く発すること 個体差はあまり関係ないこと 受信側の個体はかなり資質が要求されること くりかえし実験を行うと受信の精度が向上すること 本体の方は表情はもちろん 発汗作用すら観測されず 完全に無意識下の認識だと云うこと などが判明した かくて最新式のアウトシップには実装石が数百単位で飼われると云う 不似合いな現象がまかり通るコトとなる それから1世紀くらいの未来の話 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ■虚空にヤイバを擬してなおかつハシレ 手首の端末では今夜が満月であることを告げているが この街に月は差さない なるほど 今は盛大に雨が降っているのだが それだけが理由ではないのだ もう この星も末期かしらん 煙った空には巨大なメッセージバルーンが浮かんでいた 「疲れた地球を休ませよう 宇宙には新天地がある」とか「只今移住希望者にはサポーターが付いてきます」とか目に五月蝿い ご苦労なことにだ 「そんなに追い出したいのかねぇ 奴隷を押しつけて」 聞き慣れて麻痺した聴覚が 激しく変調した音に反応し雨が降っているコトを再認識させられる そんな日に それも屋台の蕎麦屋で席が空くのを待っている秋成(あきなり)は酔狂だなぁと 自分の立場をうそぶいてみる 「お客さん 空きましたよ どうぞどうぞ」の声に さも厭そうに席に着く 「うどん 卵を入れてくれ」 今時 月見うどんと云っても通じない 「あと コロッケ」 親父の方も厭な顔を隠しもせず だがテキパキとうどんをうでる 「おまち」と商品を差し出す 汁が飛ぶ 丼に指まで突っ込んでいる 「大丈夫熱くないから」 ビンに詰まった七味の1/6くらい掛けて 卵とコロッケをぐちゃぐちゃにかき混ぜてから かっ喰らう そば屋で食べるうどんは旨い 特に主の様子を見ながらのソレは格別だ ビールでも追加しようか(つまり親父のリアクションに満足が行ったと云うこと)と思ってたら 背後から誰かが肩を叩く ぽふぽふ 予想できる相手なので無視を決め込む 「デスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデス・・・・・」 「お客さんをタイホすると云ってますよ」端末から翻訳でも拾ったのか 半嗤いの親父 嘘を付け それくらい リンガル無しでも理解出来る 「食事中だと云ってくれ あとコロッケみっつ追加だ!」 「ふたつで充分ですよ」 業を煮やしたか 不作法な来訪者は秋成の肩に掛けた手を強引に引き回す 回る 「よう カワセミ久しぶりだな」出来れば逢いたくなかったぜ 目の前には身の丈2mにならんとする実装石が立っている いわゆる「実装さん」と云われるナマモノだ 雨に濡れている状況に 何の感想も持ち合わせていないらしい 「デスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデス・・・・・」 「いや わからん」わかりたくない 端末のリンガルモードを強制的にONされる感覚 まだ 割り込み権利が有効だったのか だから此処に来たのだろうが 『ボスが呼んでいる 一緒に来るデス』 もっと単語の数 多かっただろう 秋成は そいつに肩をわしっと握られたまま駐車場方面に引きずられてゆくが 丼(プラスチック製)は離さない 実装さんは駐車車両の後部座席を開いて 荷物を放り込む この場合秋成を指す 「ちょっと待て なんでオマエが運転席に座るんだ」 「デスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデスデス・・・・・」 自慢げに免許証のデータを端末に転送してくる いや ソウじゃなくて いやソウだ・・・云いたいのは 責任者でてこ〜い いやいやいやいやいやいやいやいやいや 赦してください もうしませんから おかあさん あの帽子何処に行ったんでしょう? 赤い鼻緒の下駄 幼児退行に逃げ込みつつある秋成とカワセミを乗せた警察用車両は中空を舞い 未知との遭遇のマザーシップをひっくり返したようなデザインの派手なビルに 自動操縦で吸い込まれていく 丼はひっくり返ってない −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「テステス・・・・」 「テチテチ・・・・・・・」 アタチより1000歩くらい 先を調べている オネェチャンの中実装のアリスが 安全だとシンゴウを送ってくる チュウケイ点のアタチはそのまま加工していないデータを後にタれ流す タンジュンな イきるとかシぬとかのシンゴウならジカンもクウカンもすっ飛んでいくのだけレど ソウでないのは ソウでない アタチが要る ヒツヨウにソコに存在する ヱヘンヱヘンかしこ ノイズがオオいのでちょっとムツかしい アッシュク比をカエてみる その労をネギらってくれるのを ちょっと期待しながらちょっと待って 後からのママにシュウチュウしてると 前からまたシンゴウが来る 「クルナクルナアブナイキテキテタスケテ わたしをたすけるてす タスケルテス」 シジョウをハサむとママが怒るので 意識してジョウホウをチュウケイする 悲しくなった波のベクトルをハズしながら アタチはシュウチュウ ママママはやく来て クレアと呼ばれるやや大きめの仔実装 その労は結果的にはキャンセルされる 直接的に割り込む偽石の崩壊信号は 彼女とエンタングルされていた約100個体の無意識下に配信される タタかうを実装したウシロのオネェチャンタチがアガって来てダマッってする 『斥候がアンノウンを引き当てた ネイテブ(土着)実装石と類推される 目標を殲滅するデス』 ママのコエ ママママ ワタチに名前を付けてくれたママ ワタチをホめて ソウしたよ ソウしたテチ おそらくは廃棄された共同作業抗 折りからの雨が細い筋となって床を這っているが 危険なほどの流れではない 実装石の列は黙々と進んでいく 数匹が交互に前に出て 動的探査をしている光景 その列の後方にはカプセル状の塊に車輪を付けた物を 実装石たちがこれまた交代で牽いている ちょうど 宇宙葬で使う子供用の棺桶を思い起こさせるサイズだ 其処を核として 列は伸縮する 今は縮 遭遇戦はあっさりと終了した そのうちの1匹から情報を抜き取り この先に在る彼女たちのコロニーを識る 3家族程度の小さい村だ 殲滅が目的なら 武装個体を3匹も向かわせれば良いが今回のテーマは勧誘だ 結局は倍の6個体を差し向けてさしたる抵抗も受けずに制圧する パシャパシャパシャ たくさん水を見るのは初めてでワタチはたぶんコウフンしている ハしってカえる サイショはオネーチャンのアリスが シ んで・・・・ ウィスキーちゃんたちが上がってきてソウグウセン まンなかに ママの処に キたから きたから 来たから ホカの知らない 実装石とか(シんでるノと シんでナいノ)と アツめられるママのまえ 仲間の1匹を含む敵性個体の屍は 素早く解体され主に保存食に加工される アリスと呼称される個体からは 念入りに腑分けされナノマシンプラントを摘出 液体に浸され件の台車のカーゴ部に収納される 中には培養液が満たされいる 偽石の方はもう駄目だ との確認 生き残った土着実装石に割り込みを掛けて情報を吸い出すも たいした効果も上げられない ナいて『可愛いワタシを食べるオマエタチは悪魔でデス オマエタチは地獄にオチるdeathqアwセdrfgtyフジコlp;@:「」【以下判読不能】』 コッチにいるオナカマのみんなはゲヒンなのテチ 「ママママ あんなの みんなツブして みんなで食べるがイイテチ」 「数がたくさん欲しいのテス ネットワークには質より量テス そのうちクレアちゃんにも解るテス」 ママのソバにいる いつもいるウィスキーちゃんが ソウいっておニクをクばってクれるテチ 「オマエのは全部アリスちゃんの肉テス 仲ヨし姉妹だったからテス」 オネェチャンのおニクはヤワらかくてカタくてオイちいテス オネェチャンの味がするテチ 土着で使えそうな個体の選別 基準は性格だけだ 体力も知能も後から足せるので問題視しない 選びに選んで仔実装2匹 中実装1匹が彼女らの眼鏡に叶い仲間になった 差し引き2匹が増える事になる 「一族のカタキ」とか云わないのが実装石の思考パターン 他者への執着心が薄いのだ それ故に結束力が弱いとされている 中実装には記憶力拡張の処置が認められ 仔実装2匹は全くのプレーンだ 後者2個体はここに逃げ込んでからの仔供らしい 中実装に対しては 記憶域を書き換えナノマシンの注入 以前から入っていたナノマシンのバージョンを確認して互換性があれば乗っ取り 無ければkillコードを流す 自己崩壊したそれは数日中に総排泄孔から体外に排出されるはずだ このナノマシンは情報をタンパク質に書き込む事と任意の分子を掴んで血管をめぐり有効な場所でパージする機能を持っている すなわち記憶の制御 酸素や老廃物の円滑な運用(の手助け)記憶と体力を向上させる 仔実装には単にナノマシンのプラントを差し込むのみ 実に簡単だ オっきいノが起きて ツヅいてちっちゃいノ ちっちゃいノ 『状況は入っているはずデスから 割愛するデス』 ママのコエ 『おまえたちに識別コードを与えるデス ルーシー チャーリー アリス』 「ナマエテチ ウレしいテチ」「ワタシは『ルーシー』テス」「ママテチママはママテチ」 アタチはナンかイヤなキモチがするテチ でもアタチはいい仔なのでアイサツをしていく「ゴキゲンヨウテチ ルーシーオネェチャン ゴキゲンヨウテチ チャーリーちゃん ゴキゲンヨウテチ アリスオネェチャン」 「ワタチの方が小さいテチ オネェチャンではないテチ・・・ 泣いてるテチ?」 この小さいシステムの空きアドレスは少ない 登録個体の死をシステム体系に認識されると自動的に整理される 旧アリスのデータは忘れ去られる クレアはしばらく理由の判然としない涙を流していたが「悲しくはないのがカナしいテチ」と云った −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カワセミは秋成の手を引いて雑然とした署内をひた走る 秋成と顔見知りの交通課の巡査長がナイスなツッコミを入れた 「まるで ミドリのおばさんに先導される子供の様だ」 「おまえ ひき殺す」 との捨て台詞も虚しく 生活安全局生活安全課課長室に引きずり込まれていく秋成は自分の人生がいかに不幸だったかを考えはじめる パーテーションに囲まれた課長室にノックもなくまかり通るミドリの物体とヒンソな小男 ぎくりと身を起こしこちらを見る課長 腰のホルスターに手すら掛けていない あんたのそういうところが嫌いだったんだ 秋成はそういった些末な感想を思い出す 「よく来たな まぁ座ってくれ」 照れ隠しなのか ことさら事務的に振る舞う課長 安くないウィスキーの匂い ちきしょう呑んでやがったんだ 「好きで来たわけ訳じゃない いつまでこんな危険物を扱って居るんだ」カワセミを見る 「手空きで オマエと馴染みのスタッフはGr-01しか居なかったんだ 懐かしいだろ」 「スセリとか居ただろう」 「ああ 彼女は寿退社した 今やオオクニ性だ 来月出産らしい」 軽いショック 職場結婚でなかったことに溜飲を下げ 「なんの用ですか 一般市民を拉致しておいて」と息巻く 「実装石が反乱を起こした 脱出艇を奪って地球に向かっている」 皮肉にもそれを感知したしたのも「偽石通信」だった タンホイザーゲート方面を調査していた宇宙船「イズモ3」は食物プラントの2/3の不調で危機的状況に陥っていた 計画的にクルーを冷凍睡眠させ食料をキープさせるも最少人数のシフトでも100人を下らない 当然食料用の実装石も底を付き始める そこで通信用の実装石に食指が伸びてゆく 操船クルーとしてはエンタングル(絡み合い)された通信ユニットは虎の子だ キープしておきたい 残りのクルーの説得に一端は成功するモノの 抜き差しならない状況が改善されるわけでもなく 不満は恒常的に蓄積してゆく 「定時連絡用に潰した実装石をブリッジクルーが 食べている」 そんな噂が立つ この時期のこの手の噂は 羽が生えたように広がる それにしても通信班員が一食を浮かせるくらいの量しか無く また実際班内で『処分』していたのだが もうその言は通らない 反乱はあっさり起こった まずは食用の実装石と家畜類が 次は通信用の実装石 そして人間・・・・ その混乱のなか 一部の実装石が奇跡的に脱出艇を奪い地球へ向かったと云う (他者(人間)の関与も疑われる) 偽石の大量崩壊が ラサ天文台の受信システムに受信され動的探査した結果解った事実だ 「おまえの円満退社の条件に 非常勤義務が有っただろう それを使わせて貰った」 「脱出艇ってデスドライブ付いてないんだろ じゃ帰還できないハナシじゃないのか」 「ああ その通りだが デスアウトは出来る デスドライブ中だったんだよ『イズモ3』は」 「いつの話だ」 「受信云々は1ト月前 地球侵入は7日前になる 偶然が勝ったらしい すばらしい精度だ」 おいおい 「宣長(のりなが)を行かせろよ あいつ虐待専門だろう」 「ああ あいつは優秀なハンターだった 病院送りになるまではな」 「・・・・って 実装石相手に入院って・・・ 冗談だろ」 「数にして50 死角から組織的に仕掛けられたら ソウ云うことにもなる」 「組織的って・・・ 無秩序が売りだろう 実装石って」 いっぴき一匹は取るに足らない存在 昨今は記憶領域を拡張された個体も多く脱走していて それを刈り取るのが秋成のシゴトだった あるときは排水口 あるときは廃屋の床下屋根裏 エクソダス令下のこの時勢廃墟はざらだ 隠れる場所はいくらでもある 隠れていれば良い 犯罪もどきの行為に及ぶので 秋成の所属していたシステムは警察機構に組み込まれているワケだ 生活安全課ではあるが 「現役時使っていたデバイス(道具くらいの意)を返す 受付で貰ってハンコ(デジタル署名ではなく拇印を指す)をくれ それと これは手渡しだ レベル4まで許可されている」 ごとん 「ブラスターがいる仕事なのか?」 正確にはハンドブラスターと実体弾の2モードだ 実体弾の方はゴムスタンが仕込んでいるはずだ 「上からの指示だ 目標の破砕も含まれている」 因みに レベル1は非殺傷モードでそれから徐々に上がり レベル4では対戦車ライフルくらいの威力を発揮する 「実装石が戦車でやってくる?」 「まさか 脱出艇を持ってるからだ 非武装が前提だが反乱を経験した糞蟲どもだ 何かを実装したとも限らん スラッグ弾も5発出ている」 あらためて 今回の件に沸く不信感 「おれ 公園で少し賢い実装石を言葉でいじめてるのが お似合いです ハードなのはちょっと」 だから 許して 「わたしが 好きこのんでオマエを召喚したとでも思ってるのか? 手駒があれば貴様など呼ばない 後がないんだよ おれもおまえも」 手駒呼ばわりの宣長はナンと云うだろうか ・・・・・・・・・あ おれもかと 秋成は気づく 「おっさん しりのあな ふやすど そこにぶっといの つっこむぞ」 「もういい 行け待て」 どっちだ 「Gr-01も連れて行くんだ 結構役立つ」顎でカワセミを指す 話題の中心に自分が立ったと勘違いして顔を赤くして実をくねらす実装さん 「照れんでいい照れんでいい 俺の監視のつもりか」 「云った通りの意味だ 重い物を持ってくれるし 弾除けにもなる」 嗤う課長 受付で荷物を受け取り そのまま1F奥のトイレの個室に入る 現役時代から 秘め事はここでこなしていた カメラの不自然ではない殺し方も知っている 返還品の中身は至って簡素で 件の銃のホルスターと各種の許可コードの手書き紙片 公務員用の端末 拘束用のケミカルアンプル そしてプラスチックの丼 え 丼? なにかの暗号かもしれんとそれを握りしめる秋成は 先ほどの屋台の出来事をキレイさっぱり失念していた 思い出すのは もう少し先となる 端末を付け替え(これ 月齢出ないんだよな あとでダウンロードしよう) 上着の下にショルダホルスター それにブラスターを突っ込む 脇の下の重さに安心感と 駆け出し時代の思い出を喚起させる 先輩刑事と一緒に実装石を回収した日々 先輩曰く 「銃を撃つ前に ヒャッハーって叫ぶな」 「銃を撃ちながら ヒャッハーって叫ぶな」 「銃を撃った後に ヒャッハーって叫ぶな」 「先輩 それじゃあ 何時ヒャッハーって云えば良いんですか!」 あンときはグーで殴れたし へたれなレベル1モードでも ヒャッハーって叫ぶと威力が増すんですよ先輩 知らないんですか先輩 なんか むきむき腹立ってきた どんどんと ノックの音に我に返って「今出ます」の意志を込めて どんどんどんと応える 装備した各ユニットを手でなでながら 水を流してカモフラージュ(まだトイレは水洗が主流だ)外に出る なんでおまいがいる! 『10分待ったデス すぐに病院に向かうがスジデス』 個室の前にはだかった実装さんは やはり秋成を拉致して 外で待っていた数人の元同僚を散らしながら屋上の駐車場に向かう 交通課の前を通らなかったのは偶然にしてもありがたいことだと 秋成は感じていた −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 続 以後「いせ」と名乗りますのでよろしくお願いします ■過去作品 常緑樹 コチラ側通信 答えて曰く もっぱら中実装 数学者は恐い 月下の宴
