− Gの旋律 実装ランナー − 「いらっしゃいませナノダワ〜♪」 スポーツショップ・バロンを訪れると、リンガルの可愛らしい電子音声が出迎えてくれる。 実装紅の萌が、巨漢のおかま店主に抱かれてペコリとお辞儀をしているのだ。 今訪れた品の良いご婦人は、大流行の「実装ランナー」を見に来たと言う。 なるほど、ご婦人が手を引いている実装石は、可愛らしい服の上からでも弛んだお腹が・・・ さっそく、おネェ言葉で展示コーナーへ案内する店主のバロン。 言葉遣いに引き気味のご婦人を意に介さず、実装ランナーの操作パネルや手摺などの説明を始める。 件の物は、走行時には後部に脱落防止ガードが持ち上がるなど、愛護精神たっぷりの本格派だ。 本格派故のお値段に躊躇しているご婦人に、ここぞとばかりにとびっきりの後押しをする。 「萌ちゃん、ちょっと乗ってみてくれる?」 「ナノダワ〜!」 ちょこちょこと走行ベルトに駆け上がると、実装でも扱いやすそうなパネルを操作してランニングモ ードが始まる。 「ナノ♪ ナノ♪ ナノ♪ ダワ〜♪ ナノッダワ〜〜♪」 実に! 可愛らしすぎる!! ツインテールをピコピコ揺らし、無邪気な表情で走る。 紅い実装服を軽やかに揺らし、鼻歌交じりで跳ねるように走る。 幼女が元気に走るようなその愛らしさは、効果抜群だった。 飼い主のバロンはもとより、ご婦人までもが頬を紅くして目をうるませている。 「ありがとうございました〜!!」 「ナノダワ〜w」 萌を肩に乗せたまま横立ちでボディビルの「サイドチェスト」のポージングを極める店主を後に、ご 婦人は可愛らしく走る飼い実装を瞼に描き帰宅を急ぐのであった。 ・ ・ ・ ・ ・ 「デッス〜! パパさんもお家に帰ってきたデス! みんな帰ってきたから初乗りするデス〜!」 実装ランナーを買い与えられた飼い実装は、品の良いご婦人とその家族に暖かく飼われていた。 今は家族が全員そろったので、実装ランナーの試運転をはしゃいで急かす。 4匹の仔実装も、親実装の足元でテチテチと楽しそうだ。 「じゃあ最初はママが走るデス〜!」 よたよたと走行ベルトにのし上がると、実装でも扱いやすそうなパネルを操作してランニングモード が始まる。 「デッ! デッ! デッ! デエ〜! デエッエ゛エ゛〜〜!」 実に! 醜悪すぎる!! 後ろ髪をベッタリと顔に貼り付け、必死の形相で走る。 緑の実装服は脂肪と共に波打ち、だみ声で喘いでボテボテと走る。 豚が喘いで走るようなその醜さは、効果抜群だった。 亭主と子供はもとより、ご婦人までもが頬を引き攣らせて目をしかめている。 「デズアアア〜!!」 元々は、甘やかされて肥満気味だった親実装の為に購入した実装ランナーだ。 運動不足で脂肪過多の親実装は、すぐに足がもつれて汗みどろの顔を打ち付け転がる。 家族一同を囲む重苦しい雰囲気を打ち破るかのように、4匹の仔実装が騒ぐ。 「ママは太りすぎテチー!」 「ワタチが美しい走りを見せてやるテチィ!」 「このキカイは美しいワタチが使って当然テチ!」 「ブタは死ねテチ!」 リンガルを使わないご婦人達は、テチテチと叫ぶ仔実装達を見て「ママの代わりに頑張るのだな」と、 少し気を取り直し、スピード設定を緩めて走行台へ乗せてやる。 が・・・ 「お前そこのけテチ!」 「ヂィィ! 髪の毛ひっぱるの誰テチィ!?」 「ブタの仔は黙るテチ!」 「チププw 醜いテチ 親が親なら仔も仔テチw」 先を争い髪をつかみ合い、殺気のこもった表情で走る。 緑の実装服を引きつかみ、パンコンの音交じりで走る。 糞団子が転がるような醜悪さは、効果抜群だった。 亭主と子供はもとより、ご婦人までもが青筋を立て目を吊り上げている。 「デ?・・・ なんて事デスーッ!!」 やっと起き上がった親実装が慌てて実装ランナーを止めるが、時すでに遅し。 仔実装達は脱落防止ガードで落ちる事もできずに、走行ベルトの上をもつれながら転がり続けたのだ。 へいお待ち! 禿裸仔実装の糞まぶし四人前! ・・・といった感じか。 さすがに回転糞地獄が堪えたらしく、仔実装達は弱々しく「テェ・・・」と呻くのみ。 本来ならポリバケツ直行の生ゴミを、デスンデスン泣きながら叱る親実装。 糞の悪臭と共に、救い様の無いほど重苦しい空気が流れる。 惨状に途方にくれた親実装は、デスンデスンとしゃくり上げて、「どうしよう?」といった感じで 一匹の糞まみれ仔実装をご婦人に差し出す。 ポタリ・・・ しゃくり上げる親実装に揺られて、仔実装にへばり付いた緑糞がフローリングの床に落ちる。 ・・・これでスイッチが入ったのか、ご婦人は今にも倒れそうによろよろと台所に姿を消す。 やがてゴム手を着けたご婦人が大きめのダンボール箱を持って帰ってきた。 疲れきった表情で糞塗れ仔実装をダンボール箱に入れるご婦人に、旦那さんがボソリとつぶやく。 「第二公園でいいよな・・・」 「デス???」 ・ ・ ・ ・ ・ スポーツショップ・バロンの店主の朝は健康的だ。 十分な準備体操を終えると、5kmのジョギングが始まる。 バロンが巨躯を揺らしていつものコースの「みのり市・第二公園」にさしかかり、いつもの顔ぶれが 見えてくる。 「おはよぉ〜〜ん」 「ウィッス!」 「おはよ〜ッス!」 店主のバロンがおかまチックな挨拶をすると、元気な挨拶が返ってくる。 しかし、爽やかな笑顔で上げる手には、バールだの角材だのが握られていてるのがちょっとアレだ。 彼らに何をしているのかと問いかければ、はちきれんばかりの笑顔で「早朝ヒャッハー!ですよw」 と答えるだろう。 傍目には健康的なのか不健全なのかよく解らない。 まあ、本人達はストレス発散にはもってこいのようだ。 バロンは顔なじみの一人の前で止まり、その場で駆け足をすると声をかける。 「今朝もはりきってるわね〜?」 「そうなんだよ〜 最近さ、なんか元飼いの捨て実装が時々いたりして、これがまたイイんだw」 そういって彼が掴み上げた実装石はデギャデギャ叫んでいる。 「あら〜そうなの。アンタこれあげるから一所懸命逃げるのよ?」 と、「栄養補助食品カロリーメイチョ」の封を切って実装石に渡すバロン。 受け取った実装石は、一瞬信じられないと言った様子で固まった後、ほろりと本気涙を流す。 元飼い実装が食べ物を貰ったくらいで本気涙とは、捨てられた以降の地獄がうかがい知れる情景だ。 たった一匹残ったあの子の為にも、ワタシはなんとしても生き延びるデス! そう心に誓う実装石だが・・・ 実はこの実装石、あのご婦人の飼い実装だったものだが、狩る者・狩られる者・そして原因を作った 者の三者は、当然ながら快適な飼い実装生活から地獄の今に至る経緯を知らない。 そして、反応が良い実装石には特別にキャッチ&リリースの精神で楽しむヒャッハー達が居るこの公 園では、バロンが時折行う施しは無駄な延命と希望をもたらす無用の行為である事は、当の元飼い実 装には知る由も無かった。 「じゃあね、それ食べて元気出すのよ?」 そのような事はついぞ知らぬバロンは、不自然なまでに満面の笑みを浮かべて上半身をせり出し、ボ ディビルの「モスト・マスキュラー」のポージングを極め実装石を激励(威嚇?)する。 顔なじみに挨拶を終えてジョギングを再開するバロン。 遠ざかる巨漢のおかまを見送りながら、与えられたカロリーメイチョを握り締め、生きる決意を新た にする元飼い実装石であった。 余命、二日。 ・ ・ ・ ・ ・ 「いらっしゃいませナノダワ〜♪」 「あら、可愛らしい」 スポーツショップ・バロンを訪れると、リンガルの可愛らしい電子音声が出迎えてくれる。 巨漢のおかま店主と可愛らしい実装紅が居る店に、今日も実装ランナーを求めて客が訪れる。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 「実装石に出会った男」が大変に好評だった為、当の私も嬉しい驚きでいっぱいです。 沢山の感想ありがとうございました。 Gの旋律はちょっと長くなる予定なので、よろしくお付き合いください。 近いうちに以前アップした「飼い実装になりたいか!?」をもう一度書き直す予定です。 (ショーとスクに脱線するかもしれませんが・・・)
