「ババアの新グッズ」 黒塗りの高級車が一台、そこに一人の恰幅の良い中年女性がいた。 彼女はスーツケースのような物を開くと、バリバリと焼き仔実装を喰いながら、操作した。 ############################### 「蛆ちゃんだけでも飼ってくださいレチュー」 「レフー、プニフー!プニフー!」 「デスゥー!?ニンゲンなんで高貴な私を飼わないデスー!」 「デププ、本当に高貴で可愛いのは私だけデスー」 「さて、どう遊ぼうか…」 「ママーお腹すいたテチュー」 「ウンチ出たテチー」 「デギャアアアアアアアアアア!!」 「ボクゥゥゥゥゥゥゥ!!」 … ############################### ケース型の装置から聞こえる雑音、沢山の声が交じり合って常人には何を言っているのかわからない。 「さて… 絞込み絞込み」 … ババアの会社は表の顔は製造業、実装グッズも販売している。 そんな中でも名のある虐待師や愛護家、政府要人にのみ販売しているのが 「サーチ機能付きリンガル」である。 実装石の偽石を媒体として、その実装の話声と周囲の音声をキャッチし、 さらには実装石の個体差で対象を識別限定する。効果範囲は半径5Km。 「昨日は実装さんだったからね〜、今日はシンプルに仔実装にするかね〜? それとも親指?」 焼き仔実装を喰い終えると、「"賢い" "仔実装" "親子愛"」と入力し、Enterキーを押す。 … 「テチー、コロコロするテチュー」 「おねーちゃ待ってレチュー」 畳部屋で無邪気に遊ぶ仔実装が八匹。 「デスー…」 傍らでフードを皿に取り分ける親実装。 「さぁ、ご飯の用意ができたデス。早く食べるデス」 テチテチとエサの近くに群がる仔実装達。しかし、がっつかない。 「今日もご飯が食べれるのはご主人様のおかげテチ」 「ご主人様ありがとうテチ」 「いただきますレチュー」 「私のは多いからいもうとちゃんにあげるテス」 「おねーちゃ、ありがとレチー」 「ムグムグ」 「ウマウマテチュー」 「お腹いっぱいテチー」 こぼさずに食べ終わると、小さな皿を重ねて親実装が台所へ持っていく。 … 「ピンポーン! もしもしー!ピンポーン!!」 奇声を上げながら謎の人物がドアをドンドンと叩く。 呼び鈴を押していないにも関わらずけたたましい爆音である。 「敏明さーん!敏明さーん!! ピンポーン!」 「テチュゥ… ママー!怖いテチー!」 「レェェェェン!ご主人様まだレチー!」 畳部屋の角で怯える仔実装達。ご主人様は風呂に入っていて気づかない。 「おいコラ!てめぇー調子乗ってんじゃねぇぞオイ! ウラァ!」 ドアを蹴飛ばして、マンションの一室に入ってくる謎の女性。 「デ、デスー!押入れに隠れるデスーー!」 押入れに仔実装を押し込むと、台所目掛けて走る親実装。 「デェェェェェ! 早く開くデスーー!!」 ご主人様がいつも使う包丁を出そうとするが、どうにも戸が開かない。 親実装の周囲が暗くなる。 「あんた一人かい?」 「デ、デシャァァァァァ!!!!」 トイレの躾は完璧だった。しかし、あまりの恐怖にパンコンし、床に倒れこむ親実装。 ご主人様より一回りも大きい謎のババア、眼を見るだけで偽石がきしむ。 「確かあと八匹分くらいの声が聞こえたけどね〜、仔実装の」 ババアは親実装を床に叩き付けると、そのまま家を探索する。 「ダ… ダメデスゥ… 行くなデ…」 「ウゥゥゥオォォォオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」 ババアが雄たけびを上げた。 その響きにマンション中の実装達が暴れ出し、瀕死の偽石は崩壊した。 「テギャァァァァァァァァァァァァァァァ!!」 「レゲェェェェェェェェェェェ!!」 押入れの中で仔実装がのた打ち回る。本能的に恐怖を感じていたのだ。 その様は凄まじく、誰かそばにいれば、それが天敵・実蒼石であっても寄り添って助けを求め媚びただろう。 「うわ!なんだなんだ! なにがおこった!?」 突然の怪音に慌てて風呂から飛び出す敏明。 「ふん!」 「ぐぁっ!! うぅ…」 アッパーを腹に受け、そのまま天井に背中をぶつけ悶え苦しむ敏明。 「敏明!!」 「ひっ! は、はい!」 ババアに呼ばれ、咄嗟に応える敏明。 「呼んでみただけだよ!!」 再び腹を殴られ、薄壁を突き破る。 「テェェェェェェェン!!」 押入れの前に何かが来た。仔実装は怯えるしかない。 「ママーーーーーーー!!」 一匹の仔実装が押入れの隙間から飛び出す。 「テェェェェ!ご主人様ーーー!?」 仔実装の目の前には血まみれで壁の破片が突き刺さったご主人様。 仔実装の姿を見つけた後のババアのキレは凄まじい。 瞬く間に仔実装を捕えると、瀕死の敏明を残して風のように去っていった。 … 「さ、今日は新しいグッズの実験も兼ねさせて貰うよ…」 黒塗りの中、ニヤリと笑うババアの膝には仔実装を入れたケースがあった。 (続く) 駄文でした。 赤いサクブスでした。
