「ババアのグルメ旅」 欲望にまみれた醜い生物、それを愛護する輩はそれ自身の性が実装に近いのか。 それとも、その純粋さ故に実装の低俗さを理解できないのか。 まぁ、どちらにしても、愛護派の行動も理解しがたいのは同じだ。 とある町に一人の愛護派がいた。 彼女の愛護っぷりは同志達をも驚愕させ、彼女を尊敬させるに至った。 もっともそれは十数年前のことで、現在は少し様子が違うのだが。 … 「あんたさぁ、客が来てんのに口汚しもないわけ?」 「え? あ… お気に召しませんでしたか?」 恰幅の良い中年女性に咎められ、冷や汗をかく白髪の女性。 愛護派同士のお茶会といったところなのだが、様子がおかしい。 「私が社長に取り合ったおかげで、あんたの旦那が仕事できてんのよ、今。 そんな恩人さんが来てんのに、饅頭だけってのは間違ってるんじゃないの〜?」 「ああぁ… い、今うちのシェフにコースを作らせますので」 慌てて部屋を出る白髪。権力を持った愛護派同士の関係、それは実装同士の関係に似ている。 つまり上が徹底的に下を踏み躙る。 「デスゥ?お前私の奴隷の仲間デス?」 豪華なアクセサリーを身に纏った実装が中年女性に近づく。 「ふふ、やっぱり…」 ババアが不敵な笑みを浮かべる。 … 「フガフガフガ…」 王室風の食卓に汚い咀嚼音が響く。 上品にスプーンを口に運ぶ白髪。 それに対し、手づかみで肉を喰らうババアとゴージャスい実装。 「あー、美味い旨い」 「デップー、焼き加減が最悪だったデスゥ! 初めてのステーキの方がウマウマだったデス!明日こそあれを持ってくるデスゥ!」 料理に対してつべこべ言う実装に対して、さすがに味はわかるババア。 「ふー、さっきの相談はやっぱ呑めないわけ?ほんとに?」 頬杖をついて不満げに白髪を威圧するババア。 「あ、当たり前でしょ!どうしてうちの可愛いエメラルドちゃんを…!!」 興奮して血涙でもながしそうな白髪。 食事中、ババアに実装を渡すように言われたのだ。 「あんたがこいつを飼いたきゃ飼えばいいよ。 だけどね、実装石は実装石としての役目を果たしてこそこの世に生まれてきた意味があるわけ! こんな歳になってまで豪華な暮らしをさせたって何の意味もないんよ!」 「そんなことありませんわ!エメラルドちゃんは私の娘です!彼女には自由に生きる権利があります!」 お決まりの愛護派文句を言う白髪。しかし相手はさらに上の富豪。 「あっそ、じゃあ旦那の会社潰すから。ちょっと景気良くなったからって調子に乗ってんじゃないよ!!」 ババアはテーブルを叩き、白髪に罵声を浴びせると携帯を取り出す。 「そ、それだけは!やめてぇ!」 ババアの袖に掴みかかる白髪、しかし圧倒的な力で振り払われる。 「嫌ならあんたの大事な娘をよこしな。実装石だって媚びる時は自分の仔を差し出すよ」 … 浴槽ではババアと実装が戯れていた。白髪は結局自分の娘を差し出したのだった。 「デェェェェ!なんで私がお前なんかに殴られるデズァゥ!」 自慢の服を奪われ、初めての虐待を受けるゴージャス実装。 「ほれほれ、もっと踊んな!そしてもっと引き締めるんだよ!」 骨ばった拳を豪快に打ち込むババア。一発ごとに実装の恐怖は高まる。 「ゲェェェェズゥゥゥ!!どうしちゃったデスゥ… ニンゲンが何故!私の力を弱める何かが存在するデスゥ!!」 飽くまで強気の実装は、ニンゲンを凌駕する(と思ってる)自分の力を封印する何かを探す。 「ふん!馬鹿だねぇ!元々あんたの力なんてこんなもんだよ!」 後ろ髪を掴みジャイアントスイングをかます。頭から浴槽の角にぶつかって赤眼を飛び出させる。 「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと走んな!」 「こ、これは何かの夢デスゥ… ニンゲンはいつだって私の奴隷デスゥ… バカニンゲン早くステーキ持ってくるデス、ネックレス買って来いデス、達磨マラ連れて来いデスゥ…」 贅沢三昧の楽しい思い出が走馬灯のように駆け巡る。そして、ゆとり育ちには堪えたのか、すでに偽石も崩壊寸前。 「ママ抱っこしてデチィ… お腹プニプニするデプゥ…」 ババアの魔の手に追い立てられて、最期には子供返りして死に絶えたゴージャス実装。 全身を痙攣させて泡を吹き、肉塊となったゴージャスを拾うババア。 丁寧に髪を毟り取ると、ゴージャスにキスするような形をとる。 グチャリ… … その日一軒の豪邸に奇怪な音が響いた。 そして、その日以来、白髪は家から出ることはなくなった。 娘の偽石の残骸を胸に、いつまでも「デーデー」と泣いている。 … 「あー、旨いもんは喰い飽きた。やっぱ珍味が一番。 実装石がこんなにおいしい事に今まで気づかなかったなんて私もまだまだだったねぇ〜。 ガーッハッハッハッハッハ!! 生きモンの至福ってもんは人間様のお役に立つことだしね。ガーッハッハッハッハッハ!!」 暗い会議部屋で部下相手に無駄話をこぼすババア。当然部下は頷くばかり。 「次は… こいつの家に遊びに行こうかねぇ?ん?」 言いなりにできる愛護派のリストから一人を選ぶババア。 愛護派の下でぬくぬくと育った糞蟲、その肉は良質、精神は脆い。 ちょっとした恐怖を与えるだけで引き締まる肉はまさに珍味、美味。 ノーマル愛護派の加護を打ち破り、この味を知ることができる者はそうそういないだろう。 #################################################### 駄文でした。 赤いサクブスでした。 ババアにはモデルがいたりしちゃったりします。
