「デッス〜〜〜ン! ゴシュジンサマ、お帰りなさいデス♪」 帰宅すると、テーブルの上でお掃除実装石用の小さな雑巾とバケツを持ち、ゴシック系のメ イド服に身を包んだうちの実装石の『アガシオン』が手を上げて僕を出迎えてくれた。 お掃除実装石とは読んで字の如く、しっかりと躾けられ、掃除なんかをしてくれる職業実装 石の一種だ。 大体みんなメイド実装石なんて呼んでいるが、一応正式にはお掃除実装石が正しい。 まぁ、掃除といっても成体で全長40cm程度の実装石の事だ。持てる雑巾や箒もサイズは たかが知れてるし、どちらこと言えば実用石というよりは、和み用石といった感が強い。 ただ、それでもしつこい汚れ(特に人間では掃除しづらい小さな染みなど)を綺麗にするよ うに命じれば、時間はかかるが必ず綺麗にしてくれる。 うちも風呂場に一度酷いカビがきていたのだが、このアガシオンに任せて一ヶ月。まぁ、結 構かかってしまったが、根こそぎカビを退治して健康的な浴室を作ってくれた。 「ただいま、アガシオン。今日はテーブルを綺麗にしてくれたんだね? ご苦労様」 にこっと笑顔を見せて、アガシオンの顎の下を掻いてやる。すると、アガシオンは。 「キャ♪ ゴシュジンサマ、とっても気持ちいいデスゥ〜♪」 と、夢見心地な様子を見せてくれるのだ。 お掃除実装石は一般的な実装石と違い、決して媚びる事をしない。母親の胎教の唄で媚びを 恥と教わって産まれてくる上、産まれた後もブリーダーによる念入りな躾けが施され、決して 媚びる。糞をその辺りに撒き散らすという事をしない。 そして何より、掃除する事で主に喜ばれる事を何よりの至福と考えるよう躾けられているた め、褒め甲斐がある。 「よし、ご飯にしようか。今日は待たせちゃったしね」 「はい、デス♪」 前日に用意しておいた天ぷら鍋に天ぷら油を注いで火にかける。 そして、先にアガシオン用の実装フードを小皿に分けてやる。まず、主食用の実装フードご はん味を一番大きな皿に。次に実装フードかつお味を中くらいの小皿に。そして、最後にデザ ート用の実装フードヨーグルト味を一番小さな小皿に取り分けてやる。 この時、以前までは『先にお食べ』と言っていたのだが、何度言っても決して僕が食べるま ではフードを口にしないと判ってからは何も言わなくなった。 余計な気を遣わせてはアガシオンに可愛そうだからね。 「ちょっと待っててね。僕もすぐに準備するからね」 「ハイデス。ゴシュジンサマ、慌てないで大丈夫デスよ」 「あはは。僕もお腹ぺっこぺこだから急いで準備するね♪」 うーん。油は流石にまだ煮立ってないかぁ。170度だもんなぁ、すぐには駄目だよね。 僕はアガシオンに「お風呂の準備をしてくるよ」と言い残して、風呂場に向かった。僕は水 を張らずに空焚きすると、浴室を後にした。 (風呂釜、壊れなきゃいいけど) 僕はリビングへの戻り際、帰る途中にコンビニで買ってきた三種類の画鋲を手にし、そのま ま急いでリビングへ戻った。 リビングに戻ると、一瞬だけちらりとアガシオンが僕を見た。いや、正確には僕の向かった 先を見ていたんだろう。流石に目の前にフードを並べられてお腹も減ってきたようで、僕が戻 ってくるのが待ちきれなかったみたいだ。かっわいいなぁ♪ でも、流石お手伝い実装石。フードには手を付けずに我慢してる。本当にえらいよ。 野良や程度の低い飼い実装なら、もうとっくにシビレてパンコンしてる頃だ。 お、っと。もうこれは170度行ったかな? まぁ、いいや。もう少し火にかけておこう。 僕は冷蔵庫から買い置きの魚肉ソーセージをマヨネーズと一緒に五本ほど取り出して、食卓 に臨んだ。 「じゃあ、食べようか。アガシオン」 「ハイデス!」 「いっただき〜……」 「まーす、デス♪」 同時に手にしたソーセージとご飯味のフードが口の中に入る。 「デ?」 フードを口にした瞬間、アガシオンが疑問符を浮かべていた。僕は敢えてそれを無視して、 魚肉ソーセージにマヨネーズをまぶしていた。 アガシオンは少し不安そうな顔で僕の顔とフードを見比べていた。 しかし、僕の表情が何時も通りなのを見て安心したのか、次々とフードを口に運んでは飲み 込んでいった。 そして、7粒ほど口にした頃、ぱったりと倒れて痙攣し始めた。 「ちょっと待っててねアガシオン。すぐに準備するから」 何時もと同じ笑顔をアガシオンに向けて、僕は魚肉ソーセージの最後の一本を一口で消費し た。 「デ? デ? デェ? デェェェェェ……? ゴ、ゴシュジン……サマ……?」 動かない体が不思議なのか、アガシオンはとても不安げだ。 「そうだ。これ、アガシオンが食べると思って買ってきたんだよ」 僕はアガシオンの前に買ってきた三種類の画鋲をバラ撒いた。 「デ、デゲ!? ゴシュジンサマ、こ、こんなの食べられないデス……」 一つは背の部分が花を模している比較的かわいい画鋲。背の部分もプラ製で柔らかくて使い やすいし、何より落としても針の部分を向いて転がりにくいから安全だ。 もう一つはスタンダードな金属色の画鋲。 画鋲といえばこれでしょう。 で、最後の一つは背の部分が大きめのつまみになっている透明な画鋲だ。これも花の画鋲と 同じで針のほうを向いて転がりにくいし、つまみがあって取り扱いもしやすいので人気だ。 「? 何言ってるのさ。食べてよ。好きでしょ、画鋲」 「デェェェェェェェェェェェェ!?」 「? ふふ、変なアガシオン。もしかして、食べさせて欲しいの? 甘えん坊だなぁ」 「デ!? デ! デェェェェ!! や、やめてくださいデス! ゴシュジンサマ!!」 僕はアガシオンの足を掴んで逆さ釣りにする。短めのメイド服のスカートがはらりとめくれ 上がって、ほんの少しの染みもない純白のレース付きのパンティーを僅かに横にずらし、幾つ かランダムに手に取った画鋲をアガシオンの総排泄口に押し込んで行く。 まず、一個目。 「デヒィィィィィィィィィィ!!!? デギ!? デ、デギャアアアアアアアアア!!」 ずぶずぶとアガシオンの総排泄口のふちを傷つけながら、透明プラの画鋲がアガシオンの中 に消えて行く。 「おいしい? まだ、食べるよね」 次々と僕は画鋲をアガシオンの総排泄口から食べさせてあげる。 その度にアガシオンは。 「デヒィィィィ!!?」 だとか。 「デギギギギギィィィィィ!!! ゴ、ゴゴゴギギゴギゴシュジンサママァァァァァ!!」 と鳴いて大喜びしてくれるのだった。 もう、かなり。お腹が膨れ始めるほど食べさせてあげたけど、まだかなり残ってる。 「ねぇ、画鋲食べてくれないの?」 「デ……デ……デ……ヒ……た、食べられないデス……ゴシュジンサマ……が、画鋲は食べら れないんデスぅ……」 お腹から画鋲の針を覗かせてよく言うよ♪ まだまだ足りない癖に。 「もう、あんまり我がまま言うと偽石割っちゃうよ?」 「デ……」 そう。既にアガシオンの偽石はアガシオンがこの家にやってきた三ヶ月前に摘出済みなのだ 小さな実装石にとって危険極まりない人家での生活の上では些細な事で偽石を割ってしまう実 装石保護の観点からも偽石の摘出は常識として行うべきだし。 僕は冷凍庫の隅に適当に放り出しておいた偽石を大きなブロック氷と一緒に取り出して、机 の上に置いた。 そして、一緒に取り出したブロック氷でこつこつと叩いて見せた。 「デヒ!? デ、デゲ……ギ、ギモヂヴァルイデズゥ……ゴジュジンザマァ……」 まだ我がままを言うー。もぉ、しょうがないなあ。 「仕方ないなぁ、割るよ?」 ガツン! と、実際音を立てて偽石をブロック氷で叩く。 「デギッ……!」 引きつったようにアガシオンが机の上で跳ねた。もうシビレもだいぶ取れているみたいで、 アガシオンはかなり大きく跳ねた。 ガツン! ガツン! ガツン! ……ペキン。 乾いた音を立て——ブロック氷が割れた。偽石は無事だ。ったのだ、が。 「デ……デギ……デ……デヒィ……」 アガシオンはすっかり気を失っていた。 「はぁ。寝ちゃったのかあ」 僕はアガシオンの口の中に画鋲を無理矢理沢山詰め込み、思い切りグーで殴った。 ガン! 激しく口腔内をシェイクされて、鼻から画鋲を一つ飛び散らせつつアガシオンは空 を舞った。そして、リビングの隅に落着すると、骨を折ったのか左手をいびつに歪めて眠って いた。 頬から画鋲の針を山ほど生やして眠るアガシオンはとっても安らかで、ついつい僕も添い寝 をしてしまいたくなる。 「よぉ〜っし! 晩御飯は終わり!」 僕は机の上に散らばった画鋲を手で払い除け、眠ったままのアガシオンの靴を脱がせて、空 焚きしたままの浴室まで運んだ。 「アガシオン。じゃ、お風呂入ろうか」 ぴんっ! と、赤いほうの目に意地悪っぽくデコピンをしてあげると、アガシオンは驚いた のか赤目を押さえて。 「ッッ〜〜〜〜デェェェェェェェェェン!!!!!!!!!!」 と、泣き出してしまった。 「あは、あは……ごめん。アガシオン、意地悪すぎたね。その代わり、一番風呂。どうぞ」 そのまま、ポイっとアガシオンの体を空焚きを続け、既にチリチリと嫌な音を立てている浴 槽へと投げ込む。 落着するなり、すぐに悲鳴が上がった。 「デギャアアアアアアアアアアアア!! あ、アヅい!! アヅイデギャアアアアアアアアア アアアアアアアアア!! ゴシュジンサマ!! ゴシュジンザマァァ!! タスケテください デギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」 そして、ぱたぱたと、可愛らしいダンスを踊り始めた。 うーん、ダンスって仔実装か親指実装しかしないと思ってたけど成体実装もするんだねえ。 可愛いなぁ。靴を脱がせただけあってステップにも澱みがないし、これはすごいのかも。 「ちょっと待っててね。今、ビデオカメラ持ってくるから」 「デ!? デヒィィィィ!!! ゴシュジンサマァ!! 待ってくださいデズゥゥゥ!!」 「あは。すぐ戻ってくるよ♪」 アガシオンが焼けて、熱気がむんむんと立ち始めた浴室から僕はそそくさと退出する。まず はビデオと、あ、そうそう。針金も持ってこなきゃ。 僕がルンルン気分でカメラと針金を持ってくると、アガシオンはダンスを止めて浴槽の中で ぐったりとしていた。右半身が浴槽に焦げて癒着していた。 僕は気を失ってぐったりしているアガシオンを強引に浴槽から引き剥がすと、口の中に詰ま っていた画鋲をそっくり抜き取り、すぐ傍の蛇口を喉の奥までしっかりと押し込んだ。 その刺激で目を覚ましたのか、アガシオンはファウファウよくわからない事を言いながら僕 をちらちらと横目で見ていた。 僕はそんなアガシオンににっこりと微笑を見せて、首に針金を巻き始めた。そして、その針 金を蛇口に固定するように巻きつけて、一気に蛇口を全開にした。 「オデゲボゼビィィィィィィ!!!!!」 アガシオンは聞いた事のない悲鳴を上げた。 「デボ! デゲボボボボボボボボボ!!!」 アガシオンの体は、水圧でぷるぷると震え、次いで糞便と総排泄口から詰め込んだ分の画鋲 が総排泄口を通って排出されてきた。 「デボボボ!! デボボボボボボボボボボ!!!」 ジョバァ。と、アガシオンの体と蛇口がほぼ一体化した。注ぎ込む水の量とまったく同じだ けの水を総排泄口から放ち、アガシオンは目を赤緑させてまた眠ってしまった。 水は既に真水と同じ色のものが出ていたが、しばらくそのまま放っておく事にする。何だか とっても気持ちよく眠っているので、起こすのが可愛そうになったのだ。 「あはははは。やっぱり明石屋さんまは面白いなぁ。みんな何でさんまちゃん嫌いなんだろ」 気付けば少し時間が経っていた。 「おっと」 少し慌てて浴室に戻ると、アガシオンは目を覚ましていたようで総排泄口を蛇口状態にしな がらしきりに僕に向かって手を伸ばしてきていた。 どうしたの? 抱っこかな? 首を針金で固定したままだったけど、僕は構わず力技で引き抜いた。ぶちん、と音がして、 アガシオンの左耳が根こそぎ針金でえぐられた。頭のひらひらのヘアバンドも外れ、頭頂部の 禿が目だって、ちょっと見っとも無い。 「デェェェェェェ!!! ワタシのオミミがぁぁぁぁぁ!!!」 「こぉら、もうそろそろ遅いんだ。うるさいぞ」 「デギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 「めっ」と叱りながら力強く僕を求めて回してきた右腕を180度回転させてやる。ぽきん、と 割り箸が割れるような音がしてアガシオンの右腕が折れた。 「よし、元気になったね。もう一度踊って見せてよ」 そして、もう一度ぽいっと、空焚きを続けてもう浴槽全体がおかしな色合いになっている所 へアガシオンを放り出した。 「デギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! デッ! デギィ! デェ ェェェン!!! ゴシュジンザマァァ! アヅイ! アヅイデズゥゥゥゥ!!!! デッギャ アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」 ぱたぱたと素足を振り乱し、折れて奇妙に曲がった腕をぷらぷらさせながらアガシオンはそ の可愛い踊りを五分ほど続けてくれた。 少し飽きてきた頃にリビングに撒き散らした画鋲を投入してあげたらアガシオンはもっと楽 しそうに踊り出した。 「アンヨに画鋲が刺さったデズゥゥゥ! イダイデズゥゥゥ!!」 だって。あは、かーわいいなぁ。 そして僕は最後に火にずっとかけておいて、すっかり傷んでしまった天ぷら油をアガシオン の頭からぶっかけてあげた。 「デギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 一際大きなアガシオンの絶叫が響くと同時に、リビングのほうからパキン、という乾いた音 がした気がした。 そして、アガシオンは止まるはずのない動きを止め、すっかり小麦色に焼けた肌を晒しなが ら浴槽で最後の眠りについた。 END □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
