タイトル:【虐】 常緑樹 ノーキョー 前篇
ファイル:常緑樹_ノーキョー篇01.txt
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初投稿日時:2008/02/07-22:27:41修正日時:2008/02/07-22:27:41
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■常緑樹 ノーキョー 前篇





【「そりゃ北京でチョウチョが羽ばたきゃ 紐育シティに雨だって降らぁな」
 「バタフライはいけねぇ カオスになる」(八っつあん/ご隠居)】

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混沌の媒介者
実装石という摩訶不思議な生物には 脳以外の制御器官として「偽石」なるものが存在する
一説に 脳がCPU 偽石がハードディスクとの喩えもあるが(あるいはその逆だとか) 実際はまだ未知だ
ソコまで単純ではないのかもしれないし もっと単純なのかもしれない
余談ではあるが ニンゲンでさえ 記憶のメカニズムは不明な事が多く 心臓の筋肉に記憶が蓄積されると云う事例すら聞く

兎に角
偽石さえ無事なら何度でも生き還ると云う 実装石
本体の活動中に偽石の内部でなにやら忙しく電気信号のやりとりをしているのは観測された事実であって
そこに われわれは着目した

「他でもない電気信号に換算されるので在れば まぁ ナンとかなるンでなかろうか」



被験者の名前は「ノーキョー」(主任命名)
片耳に「双葉農協」と記されたタグが付いているからと云う単純すぎる理由からだ
公園の段ボールで熟睡している彼女を 薬を使って丁寧に確保した

左耳のそれは タグリーダーを接触させるくらい近づけなければ情報を読めないタイプのタグで 8桁の数値が記されていた
そこから得られた情報を紐解くと
郊外の牧場に 双葉市の農協から貸し出されたタグであること
その牧場が自然放牧の高級食材を「売り」にしていること
生年月日(なんと現在2齢を越えてる!)
義務づけられてる予防接種を受けていること
などが判明した

あと このプロジェクトの主任のネーミングセンスのテキトウさ加減も 露呈したことになる


正式に 件の牧場主に所有権を破棄してもらって このプロジェクトは始動することになる

麻酔をさらに投与し 四肢を固定 マウスピースまで咬まし
全身216ヶ所に観測ポイントを貼り付けた被験者から すばやく偽石を抜き出す
その偽石を 予備実験で得たデータを元に濃度を調整された水溶液に浸す
この水溶液の濃度が チップの重力を無効化し またこれから起こる硬化のタイミングを制御する要だ
気温も重要なファクターで10〜15度をキープする
(コンシューマー化を目論むなら 5〜25度にしたいトコロだ)
一連のこの技術で 唯一とも云えるナノテクノロジーのチップを一定量ふりかけて あとは暫く待つ

このチップは 偽石の入出力ポイントを検出して吸着し安定してリーダーとなる
同機能を持っている他のチップは リーダーから 電荷の掛かった壁面との間に効率的に配置して 入出力を媒介する

このあたりで液体の硬化が始まり 最終的に2時間ほどで完了する
理想的にはゲル状で留めたいのだが メンテナンスが望めないロケーションを想定して構造の安定化を選んだ

さて ココからがややっこしい

先の処置で偽石の全ての(たぶん)入出力ポイントを押さえたわけだが ドレがナニを担当しているのか解らない
あらゆる端子に微信号を流し あらゆる端子から返値を拾い
過去の蓄積パターンと照らし合わせて マップを構築する

この作業中被験者はガクガクと震え出し 出鱈目に声をあげる
実際にはコンマ数秒間 嗤ったり 声を出したり 腕を曲げたり伸ばしたりしているわけだが
総体としてはブレとして確認される
どう考えても 偽石にストレスを掛ける行程なので なるたけ短い時間で抑えたいモノである

今の所 言語中枢や感覚器官への適合は成功の域に有るのだが 運動中枢は完全とは云えない
精度の問題だ


ここまで済むと 偽石を含むユニットをひとつにまとめパッケージする
電源は体内電気を拝借するのを前提として ちょうど容積的に偽石の倍になる(バッテリーの容積がオミット出来た勘定だ)
絶妙なレイアウトで偽石を囲むように機器を配置し 外面にカモフラージュを施すと
「この偽石 でかくねぇ?」って虐待派に捌(さば)かれても その程度の印象に収まるはずだ(きっと)

その偽偽石(苦笑)を胎内に戻して被験者を 元居た公園の段ボールにこっそり戻す
体力的には拉致した段階と同じ数値に戻してあるが 彼女は24時間の記憶をロストしたことになる

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ワタシは目をサます

アサが来たから おなかがスいたから
コワイゆめミたから

3かいネたから 今日はゴハンの日
とつぜん オモいダす
かばん(コンビニ袋)をせおって いそいで オいてるトコロに いそいでいく

おとなりさんが いつも走るのに いない
うれし

いく
はしル はしル はしル はしル はしル はしル はしル つく

今日はナい ごはんナい カタいものとか とんガったものとか おうち(段ボール)とかしかない
おうちはふたツ いらナい

おかシい

かえるする おうちかえる ソコにあるあれじゃない方におうちに

やっぱりおかシい でも しかたナい

ジッソウセキ いつもしかたナい

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Report.0000
qあwせdrfgtyふじこlp;@:「」


Report.0001
宣言文:
この出力は ローゼン社と提携関係(飽くまで提携であって子会社化したわけではない)にある「(有)ケイオス舎」
の開発したシステムから出力されたデータを バックエンドのパーソナルである「わたし」が言語化した物である

「わたし」なるモノは この一連のシステムの外にあり
主体から吐き出される数値を 観測者が理解出来るように翻訳するためだけの存在であり
システムとは本質的に別のユニットである
また「わたし」の感想めいた出力は単に演出であり たいした重要度を於く必要性はない

さて 本システムであるが 嗤ってしまうじゃないか
「エバーグリーン」と呼称する
エイエンノミドリ
常緑樹

さらには 不朽を意味する

コト 実装石に携わる名前として これほど皮肉が利いてるネーミングはあるまい
て


状況を説明すると まぁ 以下の如く

被験者たる「ノーキョー」さんは いつものように起床したものの 24時間の記憶のロストをゴミの収集日の違いによって感じた
感じましたヨ〜
と 云う 自己申告
さらにその思考は 実装石であることに帰着した自己完結で締めくくっている

わたしとしては 初の「実装」体験であるが 過去の実験の蓄積から この事象が特殊な状況では無いと認識している


Report.0002
食料の蓄えは そこそこ有ったらしく 少量を摂取し運動量を抑え 翌日に繋ぐ
と云う大まかなプランを思考し また此を守った

数度の冬を越えている実装石は ひと味違うと云うことか


Report.0008
小春日和
思い立ったらしく入浴をする
噴水の冷水だから 沐浴と云うべきか?

おそらくは 冬に向かう時期 最後の入浴と成るのだろう わたしは わたしの観測器官に直接的な臭覚が無いことを密かに喜ぶ
被験者の感覚を通して観測される其れは 自分の体臭をそれほど不快と感じないので たいしたネガティブ信号を発さない
幸いなことだ

松の実 柔らかそうな草 公園のゴミ箱に入りそびれたスナック菓子の袋 など採取
スナック菓子の袋に残ったかけらと 内側を舐め尽くして 本日の食事を終える
味が濃いので そこそこ しやわせ信号

Report.0013
散歩中(省エネモード) 弱った仔実装石を発見

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【易に太極あり これ両儀を生じ 両儀は四象を生じ・・・ この「太極」って「混沌」じゃね(周公)】

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もう1かいネないと ごはんに日にたらない(カレンダーの補正が入ってる:注目)

「テチテチテチ」と きこゆる
コジッソウがいる

うごかないにげないシにかけてる

モちアげてみると スコシうごいてスコシうごいて うごかない

イキだけを する

すう はく すう すう はく すう はく…………             はく



おわる


キえたので うけいれるたべる

ナハ ワト ナス

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汝は 我と 成す


Report.0015
被験者が『同族喰らい』の癖(へき)が有るのは 特出すべき項目だ
専ら同族を常食する個体は 独特の臭いを放つ
(一説に 同族に対する警戒信号の役目もあり 自然摂理?)
事前の調査では 基準値を下回る数値しか出なかったと報告が上がっている

常食では無いのかもしれない

儀式・・・
弔いの概念でもあるのか?

原初の宗教
ちがうなぁ・・・ もちょっと コウ・・・

Report.0021
デーデーと云いながら・・・


Report.0022
中程度の警戒信号の受信
詳細の閲覧要求
受理

此に備える

Report.0023
此に備える

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「主任 警戒度2の虐待派 フィールド内進入を確認しました」
「なんでおれが担当時期に そンな厄災が・・・」 やってくるのよ〜
と じつに厭そうに主任は寝袋から頭だけを出す
「奴(やっこ)さんが持ってるのが 自分のケイタイだったらの仮定ですが」
「身長とか骨格とか耳のカタチとか・・・」
「まぁ おおむねクリアなんですがね 95%本人です」
だったら 云うなよと ハイライトを噛えつつ 主任
「やめて下さいよ」と部下A
「現場行くんでしょ? 実装ちゃんに嫌われますよ」
「寝起きの1本を禁じられるんなら 辞表 だす!」食後の1本もな と云うヒトコトを煙と一緒に呑み込み
「ンで 現状は?」
「方向は まずいですね 向かってます
 気が付いてはいませんが
 ピン(警告)打っときます?」

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【カオスの対義語はコスモスです 秩序です 我々の存在する宇宙なのです コスモスに君となのです(よしゆき)】

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都市の生活に於いて 迷彩服のチョイスは あきらかに失敗だ
違和感が勝ちすぎる
いや 都市迷彩にするとか そんな問題ではない

だから 下半身だけに留めて タイガーストライプパターンの迷彩パンツと安全靴だ
ホントはSWATのタクティカルブーツだとかなのだが 高校時代に買った安全靴と大差はないので 自嘲気味にソウ云い切ってみる

ベトナム戦争時代の米兵は この迷彩パンツを自前であつらえていたそうだ
当時は正式の軍装備ではなかったらしい
死地に赴く若者達は どんな気分でこの迷彩服を選んだのだろう

上半身は防寒に目的を絞った 黒のダウンジャケット
懐には エアガンを呑んでいるが 使うつもりは 現段階ではない

あとは ニット帽にデイバック
イボ付きの軍手

バール(ry は 残念ながら持っていない
希望に添えなくて 残念ざんねん


まぁ 今更宣言するまでもないが 虐待派だ

このベンチに座る奴って 虐待派だけじゃななかろうか?
と 思いつつ 汚れた背もたれを眺める
実装石の背が届かないベンチでさえ こんなに汚れているのだがら 公園自体の有様は押して計るべし

「やだねぇ」と ひとりごちる

餌も撒いていないのに ひと組の親仔が近づいてきて 仔供を差し出して「デスデスデス」と鳴いている
この仔を飼えとでも云ってるのか
あるいは この仔を見て下さい 立派に育ちました あなたのおかげですとでも云ってるのか

仔は仔で 満面の笑みでテチャテチャとはしゃいでいる

「・・・・・・・・・・・いんだよ ・・・・・・・・るさいんだよ ・・・・五月蝿いんだよ おまいらは!!」

大雑把に狙いを付け 親実装の腕に安全靴の(紐を引っかける)金具が当たるように振り抜く
上腕(そんな区分けがあるのか 上の方でいいや)の半分ぐらい削って 親は仔実装を取り落とす
仔の左手左足を軽く踏み 体重を掛けないように意識して 擦り潰す
地面との間に2mmくらいの隙間を作って 数往復させる感じだ

状況を理解するのに 仔実装はやや時間を要し
「テチャアアアアアアアアァァァッァッァアアァッァァッ・・・・・・・・・・・」
と 好い声で鳴く
駆け寄ってくる親の頭を掴み 親指を左目に宛い ずぶと押し込む
軽く押し戻される感触を突き抜けて訪れる貫通感の余韻

「デヒャチャヂャデャデヤアアアアアアァァッッッァッァッァッェデーーーーーーーー!!」

親の方は醜い鳴き声だ
そいつの口から手を突っ込み 喉の辺りの器官を 思いっきり毟り取る
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

言葉を伝えるためだけケイタイのリンガル(翻訳機)モードを起動させ首にぶら下がったストラップにフックする
コチラのニュアンスを伝えれば事が足りるので 液晶画面に流れる文字列を拾う必要も無い
(そもそも 翻訳不能な状態だし)

やや乱暴に親実装の腹を踏みつけ 両手の親指を口に突っ込む
人差し指を頬にねじ込み 親指と再会させる

「おまえに名前を付けてやろう」

足に体重を掛けて上体を思いっきり引く

「我 虐待派の名を以て 命銘する 汝『メガマウス』なり」
「マボロシの鮫の名前だ 過ぎた銘だが ありがたく噛み締めろ」

赤と碧の線を引きずりながら 仔実装が足下ににじり寄っていた
残った右腕で ぽすぽすと靴を叩いてている
認識出来る事さえ困難な感触を拾う

「けなげだねぇ
 名前を付けてやろうかぁ
 お前の名前は『死』だ」

略式だが 言霊が強かった

たいした意識も乗せなかった(乗せきれなかった)言葉だが これ以上は無い影響をもたらした
「死はその翼もて 速やかに 彼の麦を刈らん」

意図せず 彼女を解放してしまった

たぶん偽石は健在だ
ただ「死」を偽装する存在


親の傷口を キッチン用のバーナで丹念に炙り 左目に黒いビー玉をねじ込んで 再生不能にしてリリースする
もはや 動かなくなった仔供をかかえ 奥へとはけてゆく

深海に住み 捕獲例を40しか数えられていない生態のあやふやな鮫の事を 実装石が識ってるとは思えないが
親は 大きく切り裂かれた口から海水のような空気を吸い込み 存在しない鰓から吐き出しているように 息を始める
その足取りは緩やかに 泳いでいるヨウに見える


やりすぎたヨウだ
案の定 周りに居た実装石は散ってしまい 遠巻きにコチラを窺っている
しかたがなく奥に進んで次の獲物を漁ろうとした時に マナーモードにしていたはずのケイタイが鳴り出す
周りが静かなせいか 妙に大きく聞こえるソレのディスプレイを確認しつつ 無視できない友人の名前なので 渋々と受ける

「・・・はい」
「もしもし キリコさん? ああ 切らないで」

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Report.0031
被験者の誘導を開始する
とは云うモノの 運動中枢を掴んでいるワケではないので ひと苦労だ

手順としては 右手側に誘導したい場合
被験者が右に意識を向けたときに 良いオモイデを 左なら 厭なオモイデを それぞれ喚起させるという 地味な手口だ

それでいて 良すぎるオモイデを投げてやると その場でしやわせなサーキットに陥ってしまい ハードがフリーズを起こす
逆もまたそうで パニックで出鱈目に走り出したりする

言語による介入は なるたけ避けたい
エレガントさに欠けるし 人格内の人(?)格を被験者がどう受け止めるかが 読み切れないからだ


微妙な手管(てくだ)を総動員して どうにか 対人間的にカモフラージュされた段ボール製の巣に帰還させる事に成功させる


Report.0031B
だいたい
「都会に於いての実装石の生体を調査するんだから 不慮の事故にあっても コチラがフォローするべきでは無い」
なんて云っていた プロジェクトの主任からして 前言を翻しているノだから 世話がない
予備実験を経て 実地の段階になって12例
同族に襲われたケース1 事故死3 突然死1 虐待派の関与の死5
そのうち 偽偽石(イヤだなぁこの ネーミング)を穿(ほじ)られたケース2

合法的に回収されたものの そのうち1ケースについては Yahoo!のオークションで競り落としたと云うあきれた結果だ

「人災に関しては ローゼン社の威を借り あらゆる政治力を駆使して 未然に防止するべきだ!
 実験には お金がかかる」
そう宣言する主任は それでも 情けない顔をするデリカシーを持っていたと聞き及ぶ

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【「南海の帝をシュクと為し 北海の帝を忽(こつ)と為し 中央の帝を混沌と為す
 シュクと忽と 時に相い与に混沌の地に遭う
 混沌これを待つこと甚だ善し
 シュクと忽と 混沌の徳に報いんことを謀りて曰く 『人みな七穴ありて 以て視聴食飲す
 此れ一人有ることなし
 嘗試にこれを穿たん』と
 日に一穴を穿ってみるに 七日にして混沌死せり」
 (『荘子』応帝王篇 第七)】

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