★規約違反申告/バグ報告として作品[]についたレスNo.を管理人に申告します
★「つまらない」も1つの"感想"です、しかし"しつこく"投稿する場合は別なので対処します
◆申告の種類を選択してください
◆バグ報告等の場合は詳細を以下の欄にお願いします
ある冬の日、公園に実装石の親仔が現れた。
成体が1匹に仔が5匹とその後ろに飼い主と思われる人間が2人付いている。
この時期にこれだけの家族を維持するのは野良ではかなり難しいだろう。
「デッス、スン、デッス、スン…」「テッチュ、チュン、テッチュ、チュン…」
親の後を仔が1列に並んで行進して行くその様子はなかなかに微笑ましい物が有る。
「じゃあ、ここで休憩にしよう。」
「ゼンタぁイ!!止まるデス!!」
人間の指示を聞いた成体実装が仔実装達に号令する。
「テチュッ!!」
仔実装達は人間の前に横1列に並んだ。
「座って良いよ。」
「休めデスッ!!」
「テチュッ!!」
座る仔実装達に人間がオヤツの『実装ゼリー』を手渡すと、仔実装達はそれを隣へ隣へと送って行く。
全員にゼリーが行き渡ると、母実装が子実装達の前に立った。
「『ゴハン』は何ですか?」
母実装が仔実装に問う。
「『いのち』テチュ!!」
迷い無く答える仔実装達。
母実装はさらに続ける。
「では『ゴハン』になってくれた『命』にお礼を言うデス」
仔実装達は自分の前にゼリーを置くと両手を合わせた。
「アリガトウテチュ。 ミンナのおかげでワタチは生きているテチュ。 アリガトウテチュ。」
「では、食べるデス。」
「イタダキマステチュ!!」
母実装にスプーンを付けてもらった仔実装からゼリーを食べ始める。
左手で容器を持って、右手のスプーンでゼリーを掬っては口に運んで行く。
仔実装達は美味しそうにゼリーを頬張った。
そんな親仔を4方から野良実装達が見詰めていた。
自分達がこの寒い中食べる物にも困っているのに、あいつらはヌクヌクと美味しい物を食べている。
野良達が飼い実装に抱く感情は決して良いものではない。
飼い仔実装が食べるゼリーを指を咥えて見詰める仔実装が居た。
そんな我が仔の手を引いてそそくさと歩いて行く母実装が居た。
先程から餌を見る様な目で仔実装達を見ていた成体実装は、妄想の中で既に3匹目の仔実装の頭に齧りついていた。
「デシャアアアアアアッ!!」
「テヂイィッ!!」
飼い親仔に近付こうとした野良実装が周辺を警戒していた人間に捕まった。
人間に掴まえられた野良親仔は公園の奥へと姿を消した。
ピクニックから帰った仔実装達に母実装は質問した。
「オマエタチは『アイツラ』を見てどう思ったデス?」
「よくないテチュ!!」
「ワタチたちはニンゲンさんのオトモダチテチュ!!」
「オテツダイもデキルテチュ!!」
「ワタチたちは『アイツラ』とチガウテチュ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その夜、皆がスヤスヤと安らかに眠って居る中、1匹の仔実装が目を覚ました。
初めて見た公園、そして野良実装達の姿が目に焼きついて離れない。
不安に駆られた仔実装は泣きながら母の元に駆け寄った。
仔実装のすすり泣く声を聞いた母実装はのっそりと体を起こした。
「…ドウシタデス?」
母実装の問いに仔実装は涙を流しながら顔を上げた。
「……」
翌朝
「もう、オマエタチに教える事は無くなったデス。」
母実装は教育を終えた4匹の仔実装達に別れを告げた。
「行って来ますテチュ」
「さようならテチュ」
「ママ、元気でテチュ」
「バイバイテチュ」
仔実装達は突然の別れにも動じることはない。
優れた胎教と教育の賜物であろう。
この仔達は食事の準備,トイレの始末と言った自分の事だけでなく、飼い主が望めば掃除や洗濯のサポートも出来る。
それどころかそこらの半端なお手伝い実装石と違って、お手伝いをさせないことにストレスを感じて、
そこから壊れたりしないだけの柔軟さも持ち合わせている。
この仔達なら飼い主が間違いを犯さなければきっと幸せになってくれるだろう。
手を振って4匹の仔を送り出した母実装は振り返って後ろに居た人間に目を向けた。
「結局、『合格』は1匹だけデス。」
------------------------------------------------------−------------------------------------------------------------
昨夜
泣きながらやってきた仔実装に母実装は聞いた。
「おまえは『アイツラ』を見てどう思ったデス。」
「『アイツラ』も『実装石』テチュ、『ワタチ』と同じ『実装石』テチュ。」
泣きながら答える我が仔の頭を撫でて母実装は立ち上がった。
「付いて来るデス」
母実装は歩きながら仔実装に語る。
「オマエの言うとおりデス。『アイツラ』も『ワタシタチ』も同じ『実装石』デス。」
「……」
「『実装石』はドウシヨウモナイ生き物デス。それを忘れて『他の』を見下していると『クソムシ』になってしまうデス。」
「……」
「オマエはどうしたら『クソムシ』にならないかずっと考え続けるデス。」
母実装は人間の部屋のドアをノックした。
「やあ、今晩は。」
母実装は出て来た人間に仔実装を差し出した。
「『合格』はこの仔だけデス。」
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ピクニックの目的は、仔実装達の選別であった。
この日に限った事では無い。
仔は生まれた瞬間に、その半分が粘膜すら舐め取ってもらえないまま母自らの手によってゴミ同然にバケツに放り込まれ、
1週間後にはさらにその半分になる。
『痛み』による躾は行われない。それが必要な仔実装は淘汰される。
『出来ない仔』にはチャンスすら与えられないのだ。
この母にしても、ピクニックの段階まで5匹も生き残りが居たのは初めての事だった。
『糞蟲化』の原因が他者に対する『優越感』にあると考える研究者やブリーダーは多い。
よく聞かれる『同属食い』と『糞蟲化』の関係についても、実装石の肉を摂取した事が原因ではなく。
同属を捕食する事によって感じた『被捕食者に対する優越感』が幸福回路によって増幅され、
優越感の対象が他者全体に拡大されてしまうためだとも言える。
『ワタシはアイツよりも高貴デス』が『ワタシは誰よりも高貴デス』に変換されてしまうのだ。
そう考えれば『実装石』を原料とした『実装フード』を食べさせることが直接『糞蟲化』に繋がらない事も辻褄が合う。
よって教育の過程で他者を見下す様な発言をした仔実装は淘汰の対象になる。
しかし、『服が無い』『髪が無い』と他者の欠陥を見つけては、けなし、疎外し、『自分は高貴デス』と優越感にひたる実装石、
教育を終えて『Lapis lazuli』の名前で飼い主に渡す事が出来るのは1割にも満たない。
そう『Lapis lazuli』にとってはあの4匹ですら『不合格』なのだ。
最後の仔実装はこの後母親の手を離れ、人間だけの手による最後の教育を受ける。
そして『Lapis lazuliの躾済み仔実装』として面接によって選ばれた飼い主に手渡されそこで飼い実装として暮らしてゆくのだ。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
毎度駄文にお付き合い頂き有難う御座います。
感想を下さる皆様、有難う御座います。
過去スク
託児?①②③番外編
早朝
夏の蛆実装
遊びの時間は終わらない 前,中,後編
飼育用親指実装石
死神絵師
破滅の足音
あんしんママ
命拾い
実装石のクリスマスイブ(執筆中)
糞除け

戻る