感想を書いてくれた「」。 アドバイスを書いてくれた「」。 そしてこんな馬鹿スクを読んでくれた全ての「」達に 感謝をこめて。 【デスゥ・ノート 2】 「ん? こりゃあ、落し物かな。」 昭雄は、帰宅途中に近道として通りかかった公園で、まだ新しいノートを拾った。 黒くてツヤツヤと光るそのノートは実装石の糞どころかホコリさえ付いていない。 「まだ落とした人が近くにいるかもしれないな。」 公園の中を見渡すが、いるのは野良の実装石ばかりだ。 この公園はたいした大きさではないが、トイレと水飲み場があるため、野良の実装石もそれなりに多い。 「しゃーない、明日交番に届けるか。」 そう言うと、昭雄は手の中の黒いノートをあらためて見た。 持ち主の名前がどこかに書かれているかもしれない。 しかし黒地の表紙には蒼の文字で〈デスゥ・ノート〉と書かれているだけだ。 パラッと表紙をめくってみる。 「…このノートに名前を書かれた実装石は…死ぬぅ?」 貧乏フリーター、登志昭雄(とし あきお)が住んでいるアパートの近所には、 豪邸とまではいかないがそこそこ立派な家が建っている。 困ったことに、そこの奥さんは愛誤派だ。 高い金を出して買ってきた超高級ペット実装のエメラルドちゃんは当然のように糞蟲と化して 近所に迷惑をかけまくっている。 特に困るのが飼い主と一緒ではなく自分一匹で散歩に出かける時なのだが、 エメラルドちゃんは近所の家やアパートのドアに糞を塗って歩くのが趣味なのである。 犬がナワバリを主張するためにオシッコを撒いて歩くようなものなのかもしれないが、 実装石の臭い糞を塗られた方はたまったものではない。 しかも憎らしいことに、ニンゲンの所有物であり値段も高級外車と同じくらい高い自分が無闇に傷つけ られないことを理解しているので、糞を塗っている現場を見られても悪びれた様子もなくそのまま糞を 塗り続けたり、場合によってはニンゲンに対して威嚇をしたり、糞を投げつけることさえある。 飼い主の奥さんに苦情を言った者もいるのだが、 「ウチのエメラルドちゃんが、そんな下品なことをするわけありませんっ!ザマスッ!」 と、まったく取り合ってくれない。 こんな調子なので最近ではさらに増長して、他人の庭の家庭菜園を荒らしたり、 さらには鍵のあいている家に侵入して冷蔵庫を荒らしたりするようになってしまった。 アパートの一階に住んでいる昭雄もしょっちゅうドアに糞を塗られているし、 コンビニに出かける短い間だと油断して、冷蔵庫を荒らされたことも一度だけある。 町内のほとんどのニンゲンがエメラルドちゃんと飼い主の奥さんを恨んでいた。 昭雄は愛護派でもなければ虐待派でもない。 野良実装に関しては、あんな臭くて汚いモノに積極的に関わりを持ちたいとは思えないし、 きちんと躾けられたペット実装はそれなりに可愛いと思うが、 あの程度のモノにあんな高い値段がついているのは、ハッキリ言って暴利だと思っている。 まあ、一般的な無関心派といったところか。 しかし向こうの方から近づいてきて迷惑をかけてくるようなら話は別だ。 自分の幸せを守るために排除したいと思うのは当然のことだろう。 「もし本当に…殺せるとしたら…」 六畳一間のアパートで胡坐をかいて腕組みをしている昭雄の前には、例の黒いノートが置かれている。 昭雄はノートの裏表紙に書かれている注意書きを読みながら、 エメラルドちゃんが死ぬ様子を想像していた。 ノートに名前を書くだけで実装石が死ぬなんて、ある筈がない。 しかしノートに書かれている注意書きは、妙にリアルで想像力をかきたてられる。 〈このノートに名前を書かれた実装石は死ぬ。〉 〈書く実装石の顔が頭に入っていないと効果はない。 ゆえに同姓同名の実装石に一遍に効果は得られない。〉 〈名前の後にニンゲン界単位で40秒以内に死因を書くと、その通りになる。〉 〈死因を書かなければ全てが偽石の崩壊となる。〉 〈死因を書くと更に6分40秒、詳しい死の状況を記載する時間が与えられる。〉 〈一度名前を書いてしまったら、絶対に取り消すことはできない。〉 〈同一実装石の顔を思い浮かべ、四度名前を書き間違えると、その実装石に対して デスゥ・ノートは効かなくなる。〉 〈デスゥノートを持っている限り、元の持ち主である死神が憑いてまわる。〉 〈ノートの所有者は元の持ち主である死神の姿や声を認知する事ができる。〉 〈残りの寿命がニンゲン界の単位で12分以下の実装石はデスゥ・ノートで殺すことはできない〉 二度と自分が被害を受けないようにして安心して暮らせればそれでいい、というのが昭雄の本音だが、 このルールを上手く使って仕返しできるものなら、してみたい。 それもできればエメラルドちゃんだけでなく、飼い主の奥さんにも、だ。 そのためには、エメラルドちゃんにどんな死に方をさせれば、飼い主の奥さんにダメージを与えられるのか。 虐待派ではない筈の昭雄が、いつの間にかエメラルドちゃんが苦しみながら死んでいく姿を想像する ことに夢中になっていた。 「よ〜し、これでどうだ!」 時計の長針と短針が真上を向く頃、昭雄は満足そうな顔でエンピツを置いた。 デスゥ・ノートには昭雄が考えに考えたエメラルドちゃんの死のシチュエーションが書かれている。 〈名前:エメラルドちゃん〉 〈死因:糞袋の異常発酵により体が破裂〉 〈状況:飼い主に抱かれていると、突然体が膨らみだして破裂し、周囲に大量の糞を撒き散らして死ぬ〉 考えに考えた、というわりにはたいして面白い死に方でもないが、 これなら飼い主の奥さんは間違いなく糞まみれだ。 ざまあみろ。てか、クソくらえ。 達成感と満足感、そして心地よい疲労感に包まれた昭雄は、 ベッドに入り込むとそのまますぐに寝入ってしまった。 翌朝。 いつになく爽快な気分で目覚めた昭雄は、いつものようにテレビのスイッチを入れた。 大好きな女子アナのアヤピーが出ている目覚ましプラスだ。 「あー、アヤピーも可愛いけどミナピョンもかーいーなー♪」 「今入ったニュースです!」 いきなり仏像のような顔の中年キャスターがアップになった。 「世界中でペット実装が破裂して死ぬという事件が起こっています。 不思議なことに破裂して死ぬのはエメラルドという名前の実装石ばかりで、 抱いていた飼い主が怪我をしたり、死亡したケースもあるようです。 専門家は、また実装石が変なモノを実装したのではないかと…」 ポトッ、と昭雄の手からリモコンが落ちた。 「まさか、デスゥ・ノートって…マジで効果が…? でもそれなら、うちの近所のエメラルドちゃんしか死なない筈じゃ…?」 〈書く実装石の顔が頭に入っていないと効果はない。 ゆえに同姓同名の実装石に一遍に効果は得られない。〉 しかし、ニンゲンから見れば実装石はみんな同じ顔に見える。 −− 終わり −− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スク投稿リスト ・マラ実装エステの時代 ・デスゥ・ノート① ・本作

| 1 Re: Name:匿名石 2016/11/20-05:11:41 No:00002910[申告] |
| 実装の顔なんて区別がつかないのにどうしたら…と思ったら世界中のエメラルドちゃんが死んで笑った
中にはいい子もいたろうに近所のエメラルドちゃんのせいで死んじゃった |