タイトル:【虐】 『ボランティア』
ファイル:【虐】『ボランティア』.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5007 レス数:0
初投稿日時:2008/01/17-23:41:47修正日時:2008/01/17-23:41:47
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『ボランティア』


 今日は近所の児童公園を不法占拠する害獣、実装石どもを駆除しようと思う。

 無償で。
 なんとなく。

 普段なら触るのも嫌な生き物である実装石だが、いざ世のため人のためを気取ると、ヤル気が漲ってくる。

 バールのようなものを使えと虐待好きの友人は言っていたが、あくまで地域社会への無償奉仕が今日の目的。
 鈍器片手に実装石を潰していくのは、絵的に問題だろうということで却下。
 公園が汚れるので、ドドンパやゲロリも却下。

 金平糖型と角砂糖型の実装コロリと、新発売の実装ビシリというスプレー型駆除剤を用意して来た。
 あとは根気よく捕まえて、実装処理袋に放り込んで踏んづけていこうと思う。

 臭気対策にマスクと水中眼鏡を装着。
 軍手をはめて、いざ駆除開始だ。



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 たいして広くもない児童公園に入ると、、鼻の曲がるような異臭が漂ってくる。
 実装石の糞や死骸が腐った臭いに、奴等の主食である生ゴミの臭いがブレンドされた、吐き気を催す臭いだ。
 マスク、ゴーグル越しでもこれだから、当然、この公園に好んで近づく人はいない。

 人間のための施設に害獣が住み着いているのだから、行政がなんとかすべきだと思う。
 もしくは近所の市民会とか。

 まあ、実装石はすぐ増えるし、脆いくせになかなか死なないから、完全な駆除には手間が掛かる。
 この児童公園の現状も、しょうがないと言えば、そうなのだろう。

「デッス! デスデスゥ〜ン。……デデ?」

 と、進む脇の茂みをがさがさ掻き分け、薄汚れた成体実装石が這い出してきた。

 緑色の服には泥がこびりつき、あちこちほつれている。
 前掛けはよだれや土、緑色の液体——おそらく糞か実装石の体液だろう——で、元の色がわからないくらいに汚れている。

 そんな典型的実装石が一匹。
 ゴーグルにマスク姿の俺がおかしいのか、茂みから出てきたままの場所で、棒のような手を口元に当てて笑いだした。

「デプ、デプププ、デププププ! プギャギャギャ——! プギャ——!」

 俺が普段見かける実装石は路上やコンビニに来る奴らだから、人間の怖さをよく知っている。
 そいつらは異様な格好の人間を見たら、逃げるか媚びる。

 まあ、どちらにせよ酷い目に遭っているところしか見たことがないが。

 この成体実装石は、公園から出たことのない個体なのだろうか。
 親元から離れたばかりの実装石なら、人間の怖さを知らないかもしれない。

 普段の俺なら、たとえ不愉快な態度を取られても、実装石など無視して通り過ぎるのだが、今日はこういう害獣どもを駆逐し、この公園を人間の使える場所に戻すためにやって来たのだ。

 というわけで、目の前で笑い続ける不愉快な実装石に、実装ビシリをしゅっと一噴き。

「デデッ!?」

 顔面に噴霧された実装ビシリに驚き、目を擦る実装石。
 デスデスと騒ぎ、口に入ったらしいビシリの飛沫を吐き出そうとえづいている。
 が、見たところ、それ以外に目立った異変はない。
 変だな。効いてないのか?

「デデデデ……、デジャ————!」

 四つん這いになり、兎口いっぱいに広げて威嚇してくる成体実装石
 やっぱり人間を見たことがないらしい。
 というか、俺自身、実装石の威嚇をはじめて見た。

 うるさいし、さすがにちょっと腹が立つ。
 噴霧したビシリは効いてないな、やっぱり。

 このビシリ、不良品だったのかもしれない。
 手に持った缶のラベルには、『即行! 確実! 実装ビシリ!!』という文字が、でかでかと躍っている。
 この、嘘吐き。

 が、俺がビシリの売り文句に不満を溜めていたわずかな間に、成体実装石の様子がおかしくなっていた。

「デジャ——! デジャ——、ァ、ァ……? デ? ……、デ?」

 威嚇の体勢はそのままに、瘧のように体を震わせだし、声も途切れ途切れ。
 顔いっぱいに浮いていた皺が、そのまま固まり、梅干しみたいになっている。

「……、……!! ……デ、……!」

 どうやらビシリがの効果が出てきたようだ。。
 声も出せず、表情も変えられない四つん這いの実装石。
 その手足が、あるかなしかの関節にそって、ゆっくりと折れ曲がりだした。

「…………!!」

 実装ビシリ。
 効いてからは早かった。
 手足の折れ曲がる早さが目に見えて上がり、二頭身の実装石の体にへばりつくようにして、ぎりぎりと締め上げ、固まった。

 これが実装ビシリの効果。
 実装石の筋肉を緊張させ、動きを奪い、締め上げて始末する。
 従来の実装石駆除剤であるドドンパやゲロリ、コロリだと、断末魔の悲鳴や糞害があったのだが、この実装シビレにはそれがない。
 声を出すにも糞をするにも、異常に緊張し収縮した筋肉がそれを妨げ、窒息死させる。
 繰り返すが、公園をきれいにするのが目的なのだから、糞をそこらに撒き散らされると困るのだ。
 がための、新製品導入である。

 パキン、と足元の成体実装石の体から、なにかが砕ける音が漏れ聴こえた。偽石だろう。
 悲鳴や脱糞もそうだが、暴れることもないので、偽石の潰れる音がよく聞こえるのも、単純な駆除剤としては便利だ。

 いちおう、成体実装石の両目を検めた。
 緑と赤の色違いだった目の下には、窒息の苦しみから流した色つきの涙のあとが残っている。
 そして両目は白濁し、完全に死んでいることがわかった。

 ビシリを噴霧してから、大体二分か。
 後片付けはきれいに終わるが、時間が掛かりすぎではなかろうか。

 まあいいか。

 とりあえず、あと何匹か試してみて、時間が掛かるようなら捕まえて袋に入れてから踏んづけよう。
 俺はビシリで固まった成体実装石の死骸を、持参した処理袋に放り込みながら、次の実装石を探して歩き出した。



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 結果から言うと、どうやら最初の成体実装石が特別鈍かっただけらしい。

 公園を歩き、見つけた端から実装石にビシリを噴霧して回ったのだが、どいつも悲鳴ひとつ上げる間もなく締め上げられて、偽石を潰していった。
 カルガモの親子のように並んで歩く実装石の親子に、撫でるようにさっとビシリをふりかけると、なにかのスイッチを押されたみたいに固まって転がった。

 水飲み場で服を脱いで洗濯する実装石の背後からビシリをしゅっ。
 自分の服を抱きしめるように体を硬直させた裸実装は、そのまま水場に突っ伏して窒息死した。

 茂みを掻き分け、見つけたダンボールの中にしゅっ。
 ぽとぽとパキンパキンパキンと、仔実装が二匹、蛆実装が一匹固まって死んでいた。

 ベンチの下に捨てられていた仔実装には、さすがに少し気の毒に思い、コロリを一個。
 しかし、テチャテチャとわずかに苦しみ、糞をひりながら死ぬ様子を見ると、やはりビシリの方が良かった気もする。

 そうして公園中をくまなく回り、実装ビシリの缶が尽きる頃には、日は落ちかけ、あたりはすっかり夕暮れに染まっていた。

 遊具の中や陰に潜んでいた固体も駆除し終え、公園内の目立つ場所には実装石の姿はない。
 とはいえ、今は公園の外に生ゴミを漁りに出かけ、ここにいない固体もいるだろう。

 持って来たはいいが、ビシリが思いのほか役に立ったため、たくさん余ってしまった実装コロリ。
 こいつを公園の入り口あたりにまとめてばら撒いた。

 金平糖型は即効性で、角砂糖型は遅効性。
 混ぜてばら撒いておけば、多少賢い固体なら角砂糖型を持って帰って、見落とした巣も全滅。
 頭の悪い固体はその場でコロリだ。

 しかし、たとえこの公園の実装石が今日一時的に全滅したとしても、一週間もすれば、またどこからか渡って来たり、捨てられた実装石が蔓延るようになるだろう。

 まあ、そこまでは俺の知ったことではない。
 なんとなく、気が向いたからやってみただけの駆除活動。
 一日かけて公園をきれいにした充実感はあるが、面倒臭かった。

 毎日、週末ごと、月に一回。
 そんなペースでやっていれば、いつかは公園から実装石がいなくなりそうな気もするが、そんな情熱は元より俺の中にはないのだ。

 誰か頑張れ。俺の代わりに超頑張れ。
 俺はそんな面倒ごとをこなせる人を尊敬する。

 夕暮れから黄昏へ変わる道すがら。
 ぱんぱんに膨らんだ実装石処理袋を三つ、回収ボックスに放り込む。

 俺は忍び寄る夜気の冷たさに肩をすぼませつつ、街灯に照らされる家路を急いだ。




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 初スクです。
 実装石の駆除って、面倒臭そうですよね、実際。
 実装ビシリは、お絵かき板の膝氏のネタをお借りしました。
 あればきっと便利でしょうね。

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