タイトル:D様有難うございます:クリスマス責めから
ファイル:実装石のクリスマスイブ-side・B-クリスマスパーティー①.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3278 レス数:1
初投稿日時:2008/01/12-22:55:47修正日時:2008/01/12-22:55:47
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「テヂイイイッッ!!!!!!」
仔実装は棒に必死にしがみついていた。
「ヂイイィッ…」「テエエエェェェン…」
棒は滑り易く一瞬でも気を抜けば滑落してしまう。ただでさえ頭でっかちな仔実装、バランスを取るのも一苦労だ。
「ヂイイイッ…」
隣を見ると既に滑落した仔実装が首吊り死体になっている。
見開いた両目を白く変色させ、全開のまま硬直した口からだらりと舌を垂らしたその顔は、
その『おしまい』が決して安楽な物では無かった事を物語っている。
「テヂイイイイイイイイイイイイイイイイイィッ!!!」
一体何時までこうしていれば良いんだろう?もう何日(何週間)も棒に掴まっているような気がする。(本当にごめんなさい)

---どうしてこんな事になってしまったテチイイイッ---



ジングルベル     赤鼻のトナカイ    恋人はサンタクロース

      諸人こぞりて      Leprechaun Christmas 

クリスマスソングが鳴り響き、赤と白そして緑色に染まった双葉駅前でこの物語は始まった。

2007年12月24日午後4時
 駅前の老舗デパート『丹璽浦』はクリスマスセールの最後の追い込みにかかっていた。
デパートの正面玄関前には、有名洋菓子店のクリスマスケーキの出張販売でごった返し、店内は家族や恋人
へのプレゼントを抱えた人間であふれ返っていた。
 凄まじいまでの人ごみに皆疲れは隠せない。しかし目的の品物の入った赤,白,緑の包みを抱えたその顔は
また幸せそうな表情を浮かべているのもまた事実。
 この『丹璽浦』の1階には高級実装ショップ『Lapis lazuli』が有り、ここも愛実装に与えるクリスマスプレゼント
を買い求める客が多く訪れている。
 
【カラン】
『Lapis lazuli』のドアが開いた。
店内から出てきたのは30台後半の女性であった。左手にサンタクロースの衣装に身を包んだ仔実装を優しく抱き、
右手には仔実装へのプレゼントと、実装ケーキの入った手提げ袋をぶら下げている。

「帰ったらすぐ晩御飯にしようね。今日は御馳走よ、グリちゃん。」
「テチュテチュン♪」
「明日はクリスマスだからね。グリちゃんいい仔にしてたから、きっとサンタさんがプレゼントを持って来てくれるからね。」
「テッチューン♪テチュテッチュン♪テチュン♪」
「ウフフ…ありがとうグリちゃん、私も嬉しいわ。」

暖かな会話。パーティー,御馳走,プレゼント。
絵に描いたように理想的なペットと飼い主の関係だ。

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                    実装石のクリスマスイブ-side-B-
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そんな彼女達を建物の角から覗き見る1匹の仔実装がいた。
夕方の餌漁りに母に連れられて駅裏にやってきたのだが、クリスマスの雰囲気とケーキの甘い匂いに連れられてここまで出てきてしまったのだ。
「テェ……。」
仔実装の足はフラフラとケーキの出張販売所の方へと向かう。
「テッチテッチ」
人間に踏まれないように建物の縁をテチテチと歩いて行く。
「テッチテッチ」
仔実装の目には今やケーキしか映っていない。
あと15m
−−もう少しテチ。
ところが。
「…おっと!危ないなぁ。」
「!!…テチャアアアア!!」
仔実装は何者かに摘み上げられた。
「テチャアア!!チュアア!!」
−−何するテチ!!もう少しであの『アマアマ』を食べられるテチ!!
仔実装を捕まえたのは背の高く身なりの良い男であった。
抗議の声を上げる仔実装に、男はリンガルを用いて話しかけた。
「やれやれ、君は本気であのケーキを食べられると思っているのかい?」
「当たり前テチ!!あの『アマアマ』は全部ワタチのテチ!!」
これは単なる『妄言』、社会経験の少ない仔実装の幸福回路が『欲しい物』=『自分の物』と錯覚させただけに過ぎない。
男はケーキ売り場を指差してさらに続ける。
「どうして君の『アマアマ』があそこにあるのかな?」
「知らないテチ!!ハヤく行かないと全部ニンゲンに盗られるテチ!!」
そうしているうちにもケーキは飛ぶように売れて行く。
手提げの中にケーキを入れ、さらにその上に『託児防止袋』を被せ、現金と交換に次々と買い物客に渡る。
それは仔実装にすれば自分のケーキが次々と奪われてゆくとしか映らない。
「クソニンゲン!!わたちのアマアマを返すテチ!!」
男の手の上から『ヂイヂイ』と聞き苦しいまでの威嚇音を立てる仔実装に周囲の人間は顔をしかめた。そこへ…
「あの…」
ケーキ売り場から一人の男が近づいて来た。
「ああ、どうしました?」
「ヂイイイイイイッ!!ヂイイイイイイイイイイッ!!」
「申し訳有りません。『そちら』様は貴方の『飼い実装』でいらっしゃいますか?」
販売員は男の手の上の仔実装を指さして質問した。
「テシャアアアアアアアアアアアッ!!」
「いえ、違いますが…?」
するとケーキ売り場の男は目の色を変えて。仔実装を連れた男を少し離れた場所まで誘導した。
「他のお客様のご迷惑になりますので、よろしければこちらにお願いします。」
そう言うと男はビニル袋の口を広げた。
「テヂイイイイイ!!」
「テェ…——ン…」
その中にあったのは自分の糞と混ざり合った数十匹の仔実装だ。
殆どの仔実装が既に死に、白く変色した目を見開き、口を半開きにして、ダラリと舌を垂らしている。
生き残った仔実装も半ば死に体で手足をヒクヒクと動かしながら微かに泣き声を上げているだけだ。
ケーキの匂いに釣られて親からはぐれてしまう仔実装は珍しい物では無い。
だがその殆どが人混みの中で踏み潰され、運良く目的地まで辿り着けたとしても。
【バチ】「テ…」
棒状の電気ショッカーで気絶させられた後に実装処理袋に放り込まれて『おしまい』である。
列の人間は実装処理袋を見ても何とも思わない。むしろ『託児対策ができている』として安心を覚える程だ。
街頭の食品販売所に実装石は付き物であり。それをどう処分するかで店に対する客の評価が変わってくる。
「テヂイイイイイ!!」
袋の中の地獄絵図を見て仔実装は震え上がった。
さすがにこのままでは殺される事が分かったのか、処理袋の上で大暴れする仔実装。
ところが男は。
「やっぱりやめた。」
「は?」
「『この仔』は僕がもらおう。」
そう言うと男は仔実装を持ったままケーキ売り場から離れて行った。


「危なかったねぇ」
公園のベンチに腰掛けながら男は仔実装に微笑みかけた。
「チィ…」
隣にいる仔実装は明らかに不満そうだ。命拾いをした等とは爪の垢ほども自覚していない。
仔実装にとって男はケーキを食べるのを邪魔をした悪人としか映っていないのだ。
男もその事を十分に理解している。そして…
「はい、プレゼントだよ。」
男はそう言ってポケットの中から金平糖の入った袋を取り出すと、仔実装に見せた。
「テ…」
仔実装は一瞬嬉しそうな顔をしたが。
「そ、そんなモノじゃダメテチ!!。サッサとさっきのアマアマを持って来るテヂイ!!」
矢張りケーキと比較して見劣りするのか、金平糖を拒絶する仔実装。しかし男はそれを気にする様子も無く…。
「要らないのかい?こんなに有るのになぁ…」
バラバラバラ……
「テチャアアアアアァァァァ」
ベンチの上にばら撒かれる色とりどりの金平糖に、仔実装は目の色を変えてむしゃぶりついた。
「はぐモグムグ…ウマウマテチュ…モグ…アマアマテチュン♪」
ベンチの上に突っ伏して、金平糖を文字通りかきこんで行く仔実装に男は話しかける。
「ねぇ、ケーキを食べさせてあげようか?」
「!!タ…食べたいテチ」
「じゃあこれからパーティーに行こうか。」
「パーチーテチ?」
男は微笑みながら続けた。
「そう、パーティー。おいしいごちそうがたくさん有ってね。そこで皆で楽しく歌を歌ったり踊りを踊ったりするんだ。」
「テェ…イ!!行くテチ!!パーチー行くテチ!!」
『御馳走』という言葉に興奮して両手をパタパタと動かしながら答える仔実装を見て男は続けた。
「じゃあさ、まず君のママの所へ案内してくれないか?」
「分かったテチ!」


2007年12月24日午後5時
「フゥ…」
公園の片隅で1匹の成体実装が溜息をついていた。
夕方の餌探しに社会勉強を兼ねて連れて行った仔実装が行方不明になったのだ。
「……」
表通りからの良い匂いに釣られて行ってしまった事は母実装にも容易に想像がついた。
『馬鹿な仔実装の命』と『人前に出る危険』、さらに『公園で待つ残り2匹の仔』を天秤にかけた結果は言うまでも無いだろう。
社会勉強は間引きを兼ねているのだ。
「……」
——早く帰らないと他の仔がお腹を空かせているデス。
いつもと比べて少ない収穫を抱えて巣へ向かう。ところが…。


「テチューン♪」「テチュチューン♪」

「?デ?」
一体何事だろう?自分のダンボールの方から娘達の歓声が聞こえる。

「コンペイトウテチ♪アマアマテッチュン♪」
「ハジメテ食べるテッチュン♪アマアマテチュ、ウマウマテチュ」
「ハハハ、いっぱい有るから慌てなくても良いんだよ。」

「!!」
母実装の目に飛び込んできたのは、人間の側でクルクルと踊る娘達の姿であった。
「へぇ、キミは踊りが上手なんだねえ。はい、これをどうぞ。」
「テッチュン♪」

「デデェッ!!」
仔実装達がニンゲンから『キラキラと輝く粒』を受け取っている様子を見て母実装は青ざめた。
——あれがコンペイトウな訳が無いデス。
『あれ』を食べた同属が、無惨に死んで行く様をイヤと言うほど見てきた母実装は、堪らず人間に向かって走り出した。
「デシャアアアアアアアアア!!」
——ムスメから離れるデスウウウッ!!

「おや」
出鱈目に両手を振り回しながら走って来る母実装に気付いた男はとっさに身を翻した。
「ママが帰って来たみたいだね。」
母実装は男と仔実装の間に割って入った。
「ムスメから離れるデシャアア!!ウンチ投げるデシャアア!!」
「落ち着いてお母さん。ほら、僕は迷仔を届けに来ただけだから。」
「デ!?」
「チプププププ♪」
男の後ろから駅前ではぐれた仔実装が現れた。
「チプププププ。ママはみっともないテチ。」
仔実装はイヤらしい笑みを浮かべながら続けた。
「ママはクソムシだから生ゴミしか持って帰れないテチ?見るテチ!!ママがゴミを漁っている間にワタチはドレイを見付けて来たテチ。」
フンと鼻を鳴らす仔実装。
「これもワタチがコウキでカワイイからテチ。コンペイトウもタベホウダイテチュ。」
不意に仔実装が人間のほうを向いて怒鳴った。
「オイ!!ニンゲン!!ナニしてるテチ!!ワタチがコンペイトウと言ったらコンペイトウを出すテチ!!」
「やあ、これは気が付きませんでした。」
男はポケットから袋を取り出すとコンペイトウをばら撒いた。
「テチューン♪」「テチュテチュ♪」
仔実装達はコンペイトウに群がった。
「デデェッ!!ソレは『毒』デス!!オマエタチ食べちゃダメデス!!」
母実装が慌てて止めようとするが。仔実装達は全く気に留めない。
「チプププププ。ナニ言ってるテチィ?さっきから皆でいっぱい食べてるけど何にも起こらないテチ」
「チプププププ…」「フン…」
どうやら仔実装の言う事は本当の様だ。母実装は胸を撫で下ろす。
「ほら、お母さんも1つどうですか?」
「デ?」
一安心して気が緩んでいたのだろう。
慌てて動き回ってクタクタだし、何よりコンペイトウを美味しそうに頬張る仔実装達が羨ましかった。
「頂くデス。」
母実装は男からコンペイトウを受け取ると、警戒する事も無くそれを口に入れた。
口の中に入れた瞬間に口の中に広がる強烈な甘味、そして
「アマァイ…デ」
【バタッ】
「グゥ……」
母実装はその場に倒れるといびきを立てて眠り始めた。

「テチュ?ママどうしたテチュ?」
留守番組の仔実装が心配そうに駆け寄ってくる。
「きっと疲れたんだよ。ゆっくり寝かしてあげようね。」
男は心配そうな仔実装に優しく語りかけた。
「そんな事より『コンペイトウ』テチ」
「はい、どうぞお召し上がり下さい。」
男は仔実装達にコンペイトウを手渡してゆく。
「テチュ…」【パタッ】
「アマア…」【パタッ】
【パタッ】
3匹の仔実装達も次々と倒れて行く。そして

男は携帯電話を取り出す。
「あぁ…また『飾り』を見付けた。うん…双葉中央緑地…今どれだけ集まってる?…そうか、じゃあこれで最後だね。」
そして男は実装石の方を向き直った。
「やれやれ、お前達は運が悪かったな。」


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毎度駄文にお付き合い頂き有難う御座います。

感想を下さる皆様、有難う御座います。

過去スク
託児?①②③番外編
早朝
夏の蛆実装
遊びの時間は終わらない 前,中,後編
飼育用親指実装石 
死神絵師
破滅の足音
あんしんママ
命拾い

D様へ、イラスト付きスクリプト楽しませて貰っています。
この度はお許しを頂き真に有難うございました。

どうせならということで、背景とルールを追加して、
前からやってみたかった『人間対実装石のゲーム』を題材にしたスクリプトに
させて頂きました。

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1 Re: Name:匿名石 2016/11/05-23:51:12 No:00002701[申告]
ああ、これは居残り組も取られてるの気づかずに残った仔のためにって選択が悲惨な末路に繋がるパターンか
親実装が善蟲っぽいとそこは手心加えてほしくなるけどそう実装側に甘いオチにはならなそうだ
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