タイトル:【観察】 実装石の日常 言いつけ
ファイル:実装石の日常 29.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:9399 レス数:0
初投稿日時:2008/01/08-23:19:18修正日時:2008/01/08-23:19:18
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 実装石の日常 言いつけ



立派な飼い実装用の衣服を着こんだ成体の実装石が1匹、人気のない公園の入り口にたたずんでいた。

足元には真新しいダンボール(外にはマジックペンで大きく何かが書かれていた)が置かれ、その中を覗き込んで言う。

「いいデス? これからママが戻ってくるまで、絶対、ここを出たら駄目デスー。

でも、もしニンゲンさんが来たら言う事を全部聞くデス」

「「はいテチ」」

まだまだ幼い仔実装が2匹、元気にうなづく。

しかしもう1匹いる仔実装は顔色が悪く、目も涙目だった。

親実装の前掛けをつかみ、引っ張る。

「テチャアアアアアアア! 行っちゃ嫌テチ! 行かないでママァ!」

「い、言いつけを守らないといけないデスー」

ひるむ様子を見せながら、親実装はコンペイトウを3粒取り出すと他の2匹は目を輝かせた。

打ち捨てるように投げると、2匹がダンボールの床を転がるコンペイトウ飛びついて、すぐに舐め始める。

だが相変わらず残された1匹はぐずっていた。

歯をカチカチ鳴らし、親の前掛けを離さない。

親実装は弱ったように視線を泳がし、ちらちらと遠くのほうを見ていた。

いつもは大人しい次女なので、長女・3女はコンペイトウを舐めながら楽しそうに笑う。

「ママの言いつけを守れないなんて次女姉ちゃんは悪い仔テチ」

「そうテチ、悪い仔は捨てられちゃうテチ」

「公園に捨てられて怖い野良に食べられちゃうテチィ」







                  「やめるデス」







いつになく硬い声と表情で、なぜか2匹に注意する親実装。

慣れない空気に2匹は口を閉ざす。

……時間ばかりがかかるデス

時々振り返って確認していた主人の姿がない、すでに帰ろうとしていた。

親実装はどっと汗が流れるのを感じた。

今まで味わったことがないほどの深い恐怖であった。ブリーダーに躾けられたときでも、これほどではない。

圧倒的な絶望感に顔が引きつる。



             ……このままでは、私まで…!




「いいから言いつけを守ってこの中にいるデス!

ママの迎えか人間さんに声をかけられるまで、この中から出るなデス!」

「行かないでテチャア! マーマァ!」

次女はまだ前掛けを離さなかった。躊躇なく親実装はわが仔を殴り飛ばすと、一目散にかけていく。

何かを前方に向かって言いながら。

そんな後姿に長女・3女が能天気な声をかける。

「いってらっしゃいテチー」

「お土産は金平糖がいいテチ」

顔面が潰れかかった次女は痛みと恐怖で転がりまわっていた。

「ヂィィィ! ヂィィィイ!!!! ママ! ママァ!

お願いだから置いていかないでテチャ———————!」





END

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