タイトル:【観察】 実装石の日常 待合室 中編
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:20767 レス数:0
初投稿日時:2008/01/05-09:16:54修正日時:2008/01/05-09:16:54
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 実装石の日常 待合室 中編



翌朝片耳が目覚めると、もう違う世界となっていた。

あくまで外見は何も変わらない、水槽の中で仲間が遊び、水を浴び、寝ている。
初日と比べると随分と数が減っているのが唯一の変化であり、その真相を知ってしまった片耳は青ざめた。


    『そこで私たちはエサになるレチ』


片目の恐るべき声がよみがえり、足元が揺らぐ。
いや、もう全世界がもろく揺らいでいる。
戦々恐々と片耳は一日を過ごした。
いつ、ニンゲンの手が伸びて『楽園行き』が行なわれるのかわからない。

・・・・・・あの手から逃れられるだろうか?
いや、いつかはみな連れて行かれるではないか、楽園へ

そう、誰もが最後に連れて行かれるのだけはうそではないのだろう。

トカゲ(名前を片耳は知る由もないが)に生きたまま食われた仲間。
もう1匹もどこかで食われたのだろうが、見る余裕はなかった。
だがなぜ片目はこのことを知っているのか?
嘘をつき隙間を隠しているのか?

恐怖に慄きながら、片耳は考える。



片耳はいくらか落ち着きを取り戻して、片目のもとを訪れる。

「聞きたいことがあるレチ」

ただうなずく片目。

その隣に座りながら片耳が聞く。

「どうしてみんなに知らせず私だけに知らせたレチ、なぜみんなに嘘をついたレチ」

「もう気づいていると思うけど、順番に話すレチ

私がこの事を知らされたとき、すごく悩んで結局みんなに話したレチ。
最初は信じなかったけどこの隙間から本当のことを見てしまったレチ。
そして大騒ぎになって、ショックで死んだ仔までいたレチ。
どこかに逃げようとしたけど、壁は高いし頑丈でとても逃げられないレチ。
それから次にみんなで、ニンゲンにお願いしたレチ、エサにしないでって。
でも聞いてもらえなかったレチ、当然レチ、そのために私たちを連れてきたのだから。
それからの日々は今までで一番つらい時だったレチ、ニンゲンが手を伸ばすと仲間同士で押しのけあい、自分だけは助かろうとするレチ。
もう仲間でもお友達でもないレチ。助かりたい一心で。
誰かが連れ去られたあと、耳を澄ましていると物凄い悲鳴が聞こえてくるレチ。
そうするとみんな泣き出したり走り出したり・・・・・・。
何匹かニンゲンを威嚇した仔もいたけど、真っ先にポキッて首を折られて動けなくなってからエサにされたレチ。
捕まった仔がニンゲンの手に噛み付いたり叩いたりしてもびくともしなかったレチ。
そうやって最後は私以外みんな食べられたレチ。
ニンゲンが来ない、何もないときも怖くて怖くてしょうがないレチ、怯えて暮らしたレチ。
いつニンゲンの手が伸びるか、わからないレチ。
みんな恐怖に怯えて一生を終えたレチ

それなら私が流す幸せな嘘を信じて、食われる寸前まで信じていた方がずっと幸せレチ

みんなを騙したのはそんなことにならないようにするためレチ。
苦しみを与えるくらいなら、私が悪者になってみんなを騙すレチ。
せめて死ぬまでは怖い気持ちにならないよう、嘘をつくレチ。
少なくともここで争いや苦痛はないレチ。
この嘘は私が作ったものじゃないけど、よく出来ているレチ。
みんな信じこむレチ。

お前に話したのは、お前が賢いからレチ。お前なら私を救ってくれるレチ」

親指実装とは思えないほど多弁で賢い面を、片目は見せた。

じ、と片耳の目を見つめて言い終えると、片目は床に視線を落とす。

片耳は水槽内を眺める、大勢の仲間が楽園へ渡る日を楽しみに暮らしている。

ずいぶんな話である。
何もかも仮初めで最後は食べられるなんて。

一言、感想を搾り出す。

「ひどい、レチ」

「そうレチひどいことレチ。でも、お前にひとつだけ話しておくレチ。お前が望まない限り、お前は食べられることは絶対ないレチ」

気休めを、と片耳が片目を見るととてもそうとは思えない。
そして彼女はそんなことを言う個体ではないことを片耳は知っている。

「理由はまだ言えないレチ、まずは次の楽園行きがあるもここにくるレチ、約束レチ」



それから楽園行きのたびに、片耳は片目のそばで本当の世界を見続けた。



凄まじい宴である。ペットたちは容赦なく親指を捕食していく。

犠牲者のあげる悲鳴は、大騒ぎしている仲間の声でかき消され相当注意していないと聞こえない。
皮肉だ。
片や食い殺され、大騒ぎしている。

仲間の死を見送りながら、片耳はすっかり厭世的になっていた。
「もううんざりレチ。あなたを救うなんて無理レチ」

しかし疑問は消えなかった。
「それにあなたは誰からあの嘘を教えてもらったレチ?」

「大丈夫レチ、お前は私を救えるレチ。私にも出来たことだから、全然問題ないレチ」

水槽は随分広くなっていた。
それもそうだ、親指の数はもう半分にまで減ってきている。
1匹混じっている蛆が、姉の腕に抱かれたまま、寂しげにレフ—と鳴いている。

その日は特に酷い最後だった。
ワニに下半身を食われた親指が這って逃げ回り、悲鳴をあげ続けたのだから。
10分後には上半身もわずかなシミを残して消え去ったが、それを見ていた片耳の神経は衰弱している。

とは言え、目を背けることはなぜか出来なかった。
取り憑かれたかのように仲間の最後を看取り、最後は水槽の片隅ではしゃいでいる仲間から距離をとって震える。

「妹ちゃん! 今度は私がいくレチ、もうそろそろ行ってもいいと思うレチ—」

あるとき片耳の姉が喜色満面で宣言した。

「お姉ちゃん、それは待ってレチ—!」

真っ青になって叫ぶ片耳に笑みで返す姉。

「寂しいかも知れないけど、すぐ会えるレチ」

「違うレチ、そうじゃないレチャア!」

さすがに片耳、姉の気持ちを変えようと必死である。

「でもここ飽きてきたレチ、そろそろ行きたいレチ、先に行って妹ちゃんの席をとっておくレチ。
次に、ニンゲンさんが来たら真っ先に行くレチ—」

と、言い終えると喉が乾いたのか、水を飲みに行こうとする。

「駄目レチャアアアアアアアアアア!!!!!」

絶叫する片耳を、片隅から片目が見守っていた。

「お姉ちゃん! 駄目レチャア! 楽園なんて嘘レチ、
ニンゲンさんにつかまったら怖い生き物に食べられちゃうレチ!」

動揺した片耳は思わず口走ってしまう。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

姉も、他の親指も静まり返り・・・

「「「「「レヒャヒャヒャヒャ!」」」」

爆笑した。
ここでの生活ですっかり大人しくなった親指たち、てっきり片耳が冗談を言ったのだと思ったのだ。

「違うレチ、本当のことレチ!」

姉妹の危機に片耳は冷静さを欠いた。片目のところまで走っていく。
片目は表情を変えず

「止めておくほうがいいレチ」

「お姉ちゃんの危機レチ!」

そういって片目を押しやって、フィルムの隙間をみなに見せ付けた。

「ここから怖い生き物に食べられるのを見てきたレチ!」

ぞろぞろと集まる親指たちは不思議そうに室内を見た。
ちょうど、ペットたちは影にいて見えない。
棚に並んだ水槽やケージが並んでいる風景しかなかった。

「なにもいないレチ・・・・・・」

「信じられないレチ」

「そこまで言うなら、次は私が行くレチ」

1匹が名乗り出る。自分が行くからみんなはここで見ていてくれ、と。

「妹ちゃんもすぐわかる嘘はいけないレチ、いい仔じゃなくなるレチ」

楽しげな姉親指であった・・・・・・。




「・・・・・・助け、助けレチィ——!レジャアアアアアアアアアアアアア!!」

悲鳴を残して志願した親指は食い殺された。
それを見てしまった親指たちの群れは、一瞬ののち、一斉に喚きだす。


「レチャアア—————————————————!!」

「あの化け物は何レチィ!」

「食べられたレチ、食べられたぁぁぁぁぁぁ!」

「お化けテチ、怪物レチィ!」

「楽園はどこ行ったテチ、楽園はどうしたレチィ————!!」

「グチャってなっちゃったレチ!グチャってなっちゃったレチィ!」

パキン、と小さな音を立てて倒れるものもいたが、誰もそれに気づかない。



・・・・・・ひとしきり騒ぐと、さすがに静かになるが、空気は恐ろしく冷たい。

誰もが座り込んで、ときどきポツリと何かを言うが誰も反応しなかった。
死んだ親指は放置されて床に転がったままだ。
死体だと知っていても手の施しようがないし、自分たちの命が危ないのではそれどころではない。


「一体なんだったレチ」

姉が呟くと片耳が床に視線を落としたまま応じる。

「見たまんまレチ、私たちは順番にあいつらのエサになるだけレチ。私たちにはどうしようもないレチ」

「そんな・・・・・・食べられたくないレチ」

「どうしようもないレチ」

賢いだけに片耳は状況が如何ともならないと分かっている。

誰かが叫ぶ

「何が楽園レチャア!嘘つきをぶっ殺してやるレチャッ!」

血走った目で周りを見渡すが、どうやら片目が言ったのを覚えてはいないようだ。

片耳は片目のことを話す気はない。
リンチにあうと判っているのだし、彼女の行動はそれなりに理解できる。
片目の事で理解できないのはほかの事である。

夜がふけ、1匹1匹と寝入っていった・・・・・・。

数日間、びくびくと暮らしていた群れ。
夢だったのではないか、本当は楽園が待っているのではないか、と淡い期待が広がり始めた頃。




*************************************




以前と同じように、突如上から人の手が伸びる。

「レチャア—————————————————————ア!!」

1匹の悲鳴を合図にして、誰もが逃げ惑う。
涙を流し、安全な場所はないかと水槽の中を右往左往。
いつもと違う様子に店員は苦笑するが、ふと気づく。
1匹死んでいることに。

身をかがめて少しでも小さくなろうとしていた親指の前から、死骸がひょいと持ち上げられる。

やれやれ、とその死骸を拾うと消える。

しばらくすると、かがんでいた親指が立ち上がり、死骸のあった場所と上のほうを交互に見て。

「やったレチ! 今日はあいつの死体で済んだレチャア!」

「助かった? 助かったレチ?」

「良かったレチャアッ!」

ほとんどのものが命を救われたことに狂喜して歌い踊る。

とくに屈んでいた個体はなおさらだ。
唾を飛ばして言う。

「今のうちに何か手を考えるレチ! なんとか助かる方法・・・」

語る自分に群れの全ての視線が集まる。
舞い上がった個体は自分より足元にいる仲間に語り続ける。
そうする間にもどんどん仲間が下になっていた。

その個体はそのままピラニアの水槽に放り込まれた。

「生餌でないと意味がないからなぁ」



お通夜のように静まり返った群れ。
結局さらに1匹が生餌にされたのだから当然だろう。

「私がやっつけてやるレチ」

やや体格が大きい個体が立ち上がり、周りを見渡す。

「私がニンゲンをやっつけてやるレチ」

すかさず、賢いとされる個体が立ち上がる。

「ニンゲンさんに敵うわけないレチ、ここは話し合いで・・・・・・」

「相手にされるわけないレチ!」

「怒らせたら大変レチ」

「これ以上どう大変レチ! お前たち、どうするレチ、腰抜けにつくか、私につくかレチ!」

他に体格のいい2匹が立ち上がった。

「お前の言うとおりニンゲンをやっつけるレチ!」

「そうレチ!私たちが束になってかかればなんとかなるレチ!」

「駄目レチ、ニンゲンさんに・・・」

言いかけたところ、賢い個体は大きい個体に突き飛ばされた。

「弱いのは黙ってるレチ!」

急な騒ぎに心配げな個体も多い、何しろ争いがなかったのでこういう状況に弱くなっている。
もっとも、精神のショックでただ黙っている個体も多いが。



2日後。

「ニンゲンがきたレチャア————————————————!」

目を剥いて絶叫する個体に群れがざわつく。

「お前たち、ついてくるレチ」

体格のある個体が共鳴した2匹をつれて水槽中央に飛び出すと、歯をむき出しにした。

「「「レヂャ———————————————————!!!」」」

3匹揃って、精一杯の威嚇。手を入れようとした人間、ピタリと動きが止まる。

「やったレチ!」

どこからか、希望のこもった声が出る。
やったのだ、威嚇でニンゲンの動きを止めた。
これでエサにすることは出来なくなる、上手くすれば待遇を良くしてここを楽園にすることもできる。

期待が群れの中で膨らむ。
周りを見守る仲間に囲まれ、まだ威嚇の声を上げる3匹。

「まだまだこれからレチ!レヂャ—————————————!!」

と、その3匹に嬉々として店員が両手を伸ばして無造作に捕まえると、ヘビ・ワニ・ピラニアそれぞれの水槽に投げ入れる。

「今日は生きのいいのがいてよかったな、お前ら」

「た、たすけレチャアアアア—————————————!!」

「ママ! ママ! マァマ!」

「レヒャ—ア—————ア—————!」



あっさりと希望を打ち砕かれた群れ。
騒ぎ、絶望して静かになると、賢いと見られていた個体が立ち上がる。

「・・・・・・次にニンゲンさんが来たらお願いするテチ、私が話すからみんなも応援して欲しいレチ」

言っては見たものの恐怖からか顔ざめている。

怯えきった個体が見上げて聞く。

「どうお願いするレチ?」

「ニンゲンさんのお役に立つからエサにしないでって、食べさせないでって言うレチ。
ちゃんと話せば必ず分かってくれるレチ」

片耳が片目を見やると、どうでもいいと言いたげである。
以前も同じ光景を見たのだろうか。

「私たちにも生きる資格があるレチ、ママや姉妹がいるレチ、大切なことをきちんと話すだけレチ」


翌朝、またしても店員の手が水槽に伸ばされた。

誰もがなるだけ中央から逃げ出す中、賢い個体は中央に突っ立っていた。

「ニンゲンさん、お願いがあるレチ。どうか私たちをエサにしないで欲しいレチ。
私たちは食べられたくないレチ、死にたくないレチ。
もう一度ママやお姉ちゃんや妹たちに会いたいレチ。
ニンゲンさんのお役に立つよう、なんでもするレチ!」

他の親指たちも口々に言う。

「お願い、お願いレチ。エサにしないでぇ!」

「死ぬのは嫌レチィ、助けて下さいレチ————!」

「お願いですレチ、なんでもするレチャアァア!」

一切を無視して、店員は語る親指を摘み、いつものように水槽から離れていく。

まだ語る親指の声が届く。

「きっと良かったってニンゲンさんも思うレチ、役に立てるレチ、私たちもママもすごく感謝するレチ。
それになんだってやるレチ。・・・だ、だ、だから、エサにしないでレチャアアアアアアアアアアアア!
食べられるのイヤレチャァッ! やめてっやめてっやめてっやめてぇ————————————レチ!」

しばらくすると断末魔と咀嚼音がした。



状況は絶望的だ、もはや人間の慈悲にすがるもの攻撃するもの無駄なこと。
いや、かえってエサに選ばれてしまう。

水槽には絶望しかない。

またある日、手が伸びる。

レチャ—と騒ぐ親指たち。
押しのけ突き飛ばし、自分だけは助かろう、助かろうとあがく。
逃げる方角に仲間がいれば押し倒して踏みつけて逃げる。
突き飛ばすのは当たり前。
店員の手が楽しげに動くたび、群れは醜いさまを見せながら逃げ惑う。

とうとう、1匹が背後から鷲づかみされた。その個体は助かりたい一心で前にいる他の個体にしがみ付いた。

「嫌レチャア! お前が! お前が代わりに食われろレチャア!」

しがみ付かれた個体、必死に振りほどこうともがく。涙を流して怒鳴る。
「放せ! 放——せレチャ———!」

捕まったほうはもう狂ったように騒いでいる。ばか力で無関係な個体を放そうとしない。

「なに言ってるレチ! お前がエサになるレチ!」

「食われるのはお前レチ! さっさと食われてウンコになれレチャアア!!!」

「エサはお前レチャ!」

「何してるレチ! こいつ頭おかしいレチ! お前たち、私を助けるレチ! 助けるレチャアアアア!」

巻き添えになるのが嫌で誰もが手を出さない。
むしろ選ばれなかった安堵感が大きい。

「早く助けるレチ!助けるレチ!助けて下さいレチャアアアアア」

レチャレチャ騒ぎながら2匹まとめて生餌にされた・・・・・・。



こうなるともう互いを思いやる空気など跡形もなく消し飛ぶ。

遠別が終わった後、ちょっとしたことでいさかいだ。
食事のこと、寝る場所のこと、水の飲み方や仕草さえ喧嘩の種だ。
止める者もおらず、あちこちですすり泣きが聞こえる。

そんな中、片耳は片目の元を訪れる。

「私がバカだったレチ。みんなに教えたのは失敗だったレチ・・・」

片目が言ったとおりとなったのだ、惨い現実を知った今二度と水槽に平穏はやってこない。
物音に怯え、仲間同士で罵り合い、いざその時も恐怖にうろたえる。

「しかたないレチ。騒ぐのは自業自得だし、こうなったそもそもの原因はお前にあるわけじゃないレチ」

片目、どこか他人事である。もうこうしたことに不感症なのかも知れない。

「昔は私もそうやって悩んだレチ。でも騙すことでいくらか楽なったレチ。
でもそれは嘘の世界、みんなを騙しているだけレチ、今度はそれが辛くなったレチ。
あの隙間からみんなの最後を看取るのは辛いことレチ。
でも、誰かが見てあげないと、誰にも知られず死んでいくレチ・・・・・・。それはもっと可愛そうレチ」

しかし、見守る彼女も精神を摩滅させたように見える。
一見老成したかに見える彼女は、限界を迎えつつあるようだ。

「なんであなたは今までの長い間エサに選ばれないレチ」

「・・・・・・その答えはもう少ししたら教えるレチ。今はお姉さんのそばにいてあげるレチ」

2匹が見ると、姉親指が壁にもたれ座り、ぶつぶつ言っている。
このところ憔悴著しいのだ、それはほとんどの個体に言えることだが。

「答えを聞けるまで私が生きていればいいけど、レチ」

「それは大丈夫レチ、請け負うレチ、お前はエサに選ばれることはないレチ」

そんな気休め、と笑いかけた片耳だが片目は真剣な顔だ。
それにそんな気遣いをする個体でもないだろう。

ただうなづいて片耳は立ち去っていく。
その後姿に片目は呟く。

「お前のお陰で私もやっと助かるレチ」





待合室 後編へつづく

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