あのう ええっとさっきの続き。 仔実装との楽しいドライヴ。 ピンクのお花に包まれて レムレム眠るよミントちゃん。 パンコンしちゃうよミドリちゃん。 早くも従順 されど糞蟲 それが運命ミィちゃんさ。 そんなこんなでFLY HIGH!! そういうテンションは特に無く、家に連れてきた。 母は出かけているようだ。 まぁ、いれば仔実装を甘やかすから 気付かない方が躾にはちょうどいい。 地下の俺の部屋へ行くよう、おとなしくなった姉妹に促す。 冷えた空気の渡る階段を1人と三匹で降り、 打ちっぱなしコンクリートの壁に白々しい蛍光灯が反射し始めると、 姉妹はさっそくグズりはじめた。 「テチ……テチィ……」 「テスゥ……!」 黄色のリボンのミィちゃん(関連性が無いぞ)と、 緑のリボンのミドリちゃん(なんて安直な!)がケンカをしている……のか? ミィが謝っているのを、ミドリが許さない様子だ。 先ほどの車の中で、俺の命令とは言え 姉を殴った事を気にしているのだろう。 それにしてもミドリは、 そこそこ賢い仔実装らしく怒り方も陰険だ。 まぁ、人目につきやすい形で怒るような仔実装は 「悲しい事」をされてしまうからだろうが。 こういう個体が増えているのを実装ショップは一体 また愚痴が長くなった。 仔実装同士のケンカなぞに付き合っている暇は無い。 この程度をスムーズに解決できないようでは、 再教育など出来はしない。 「お前ら……『飼い実装:3つの鉄則』を教えなおしてやる」 「テチッ!?」 「テスゥ!!?」 腕の中のミントちゃんのお腹をさする。 「第一条。実装石のケンカはどんな理由があっても許されない」 「テ……テッスゥ」 「第一条補記。ミドリとミィが前記を破った場合、ミントは即死刑」 右手で軽くタオルケットを揺さぶると、 眠ったままの蛆実装がずり落ちそうになる。 そもそもがこのタオルケット、蛆実装には大きすぎるのだ。 「テス!!テステステテス!」 「テチテチテチテチィ!」 言葉の意味を良く分からず、 口をあけた表情のまま固まっていた姉妹は突然、 手を取り合ってニヤニヤする。 こいつらは「可愛いワタチタチがニッコリ笑えばオヤツ貰えるもん」ぐらいの感覚だろう。 それとも、末の妹(血縁関係は怪しいが)を リノリウムの床で死なせたくないという愛情か。 後者を祈りながらも二匹を無視し、俺は続けた。 「第二条。賢い実装石の行為には誠意が無くてはならない。」 「「テ???」」 貴様らの思考停止アホヅラにはウンザリだ! と蹴り殺したくなる衝動を抑え、 そういう顔をされると我ながら難しい条文を作ってしまったと反省した。 本職のプロたちはどういう説明をしているのだろうか。 それともその都度、体に覚えさせてやっているのか。 プロの仕事にはとても及ばないが、 いきなり殴る躾よりは事前に説明をしておくのが俺なりのフェアだ。 「誠意……難しいかもな。よし、ちょっと待ってろ」 と言うなり、手にしたミントちゃんを 2匹の方に放り投げる。 叫び、大慌てでキャッチしようとして 思わずひたいを思いっきりぶつけ合う仔実装ズを横目に 俺は地下室のドアを閉めて、 1階に上がる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「やぁ!戻ってきたよ!僕ミッキー!ローク!」 戻ってくると、ミドリはまだミィと話そうとせず、 床の上に置かれた蛆実装のミントに 「テッゲロゲー♪テッゲロゲッゲロゲーー♪」 と子守唄らしきものを大声で歌っていた。 妹の声を聞くまいと、喧しい子守唄だ。 ミィが必死な顔つきで許しを請うている (なんのことはない、実装石にとっては仲間はずれにされるのが一番の恐怖だ) が、見ようともしない。 ファック! 「2匹とも よく聞いてくれ」 「「テ??」」 『ミドリとミィ、ミントへ ママは、あなたたちのお世話にはうんざりしました。 ミドリとミィはケンカばっかり。 ミントはウンチをお漏らしして、すぐ騒ぎます。 おまけに、誰もママの事を本当に思いやってくれません。 どうして毎日ご飯を作ってあげているのに、文句ばかり言うの? ママはもううんざりです。あなたたちはウチの子じゃありません。 だから、このお兄さんにあなたたちのめんどうを見てもらうことにしました。』 「テテテテテテテテテテテェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!????????」 「テチャァァァァ!!!!?????????????????」 「レ……レフ…レェェ…」 『でも、ママも本当は、あなたたちの事を愛しています。 だから、ミドリちゃんとミィちゃんとミントちゃんが「いい仔」になった時、 ママはきっと迎えにいきます。 「いい仔」になるために、お兄さんのいう事をよく聞いてね。 ママより』 「テッテテテテ」 「うるさい」 「テギィッ!?」 またパンコンしながら叫んだミドリの前髪を掴む。 「今のがお前たちのママからの手紙だ。 そしてこれからしばらく、俺がお前たちの飼い主だ。 早く『いい仔』にならなければ、ママは二度と迎えに来ないぞ」 「テ…テッテス……」 「返事は『テス』or『テチ』!」 ミドリの髪を引っ張り挙げた瞬間、 「テチ!」 と、足元からミィが威勢よく声を上げる。 「妹は良く分かったようだな?」 「テステステステステステス!!」 顔を真っ赤にしたミドリが叫んだ。 「テスは一回!」 力任せに右手を引く。 その瞬間、根の強い雑草を引き抜いた音がして、 ミドリの首もガクッと引き上げられた。 今やミドリは髪の毛だけで浮いている。 後ろ髪につけた緑の花柄リボンが揺れる。 パンコンはもはやパンポロ状態で、糞尿がリノリウムの床に垂れ落ちる。 「テガァァー!!」 仔実装はもはや約束など忘れ、短い手で前髪から俺の手を離そうと暴れる。 仔実装のガラ空きになった柔らかい腹を掴み、右手を引くと、 さっきよりも強い雑草の音とともに ドペッとでかい尻ごと落ちた。 しばらく呆然としていたミドリは、 自分の栗色に輝く前髪がもはや無い事を そしてもう二度と生えないことを実感したのかどうか。 それとも肉体的な痛みか。 火の付いたように泣き出し、血の吹き出たおでこを押さえ、 自分の糞尿の上に突っ伏してベチャベチャと暴れた。 ゲロと糞尿にまみれの服、もはや野良実装となんら変わりない禿(前髪だけだけど)実装だ。 「誠意だ」 「テチッ!?」 姉の幸せ実装☆人生が終わる瞬間を呆然と眺めていたミィは、 突然俺に話しかけられて飛び上がった。 「俺はお前たちのママから、お前たちが「いい仔」になるのを任された。 こうして無理矢理連れてきたのは、ママからのお願いだ。 お前たちがどんな困難に会おうとも、くじけない立派な実装石になってほしい、と。 俺がこれから先にする事を、お前たちは酷いと思うかもしれんが、 全てはママとお前たちの為なんだ」 「テチィ!」 「いい返事だ……そこでだな、お前もお姉ちゃんに謝りたいだろ?」 「テ…テチ!」 「テガァァァァーーーーーーーーー!!!!」 足元で叫び転がる仔実装の首を踏みつけ(革靴はまだ履いているのだ)、 俺は続けた。 「ニンゲンの世界では、謝る時にこそ、 その人がどれだけ誠意を示すかが問題になる」 「テチ…?」 「一番分かりやすく誠意を示す方法は、自分の大事なものを相手に渡す方法だ」 「テチ…テチチ…??・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テッチィ!」 仔実装の小さな脳みそでも必死に考えたようで、 ミィはやがて俺に、その髪に付けられている 黄色い大きなリボンをほどいて差し出した。 付けるのはママの仕事で、ほどくのは自分でできると言うわけか。 お前らがほどいた後は誰がつけてくれると思ってるんだ? 糞蟲らしい、恩を仇で返し、受けた恩を覚えてすらいない態度だ。 どす黒い電流のような感情が押さえられない。 「それを渡す相手は俺じゃない」 「テチィ〜?」 首をわざとらしくかしげる、ミィ。 「賢い実装石の鉄則第三条。決して人間に媚びない。が、従順であること」 即座に俺のビンタが、 期待に満ちた目の仔実装の顎に飛ぶ。 「テ…テチ!」 いきなり叩かれたショックが抜けないミィが、 かろうじて答える。 そんなに強く叩かなかったが効果は十分だ。 「テチテチィ」 と、うずくまって震える姉にリボンをおずおずと差し出す。 無反応なミドリ。 ちょっと首の上の右足に力をかける。 するとミドリは泣きじゃくった、シワだらけの顔のまま、 妹の方を向き、 「テスゥ…」 と弱弱しく声を出した。 「よし!これで仲直りだな!」 仔実装の排泄物の匂いが充満する6畳の薄暗い部屋で、 俺はつとめて明るく言う。 「テ…テチィ!」 「テスゥゥゥゥ!」 俺のほうを見て、必死な顔でぶんぶんと首を縦に振る姉妹。 良かった良かった。 ミィがミドリの後ろ髪に、自分のリボンを付けよ 「んちょっと待ったぁ!」 「テチッ!?」 「そんな大きいリボンを2つもつけたらファッションセンスゼロだよぅ」 「テチィ…」 もはや存在しない前髪につけるわけにもいくまい。 まぁ、前と後ろにでっかいリボンを色違いでつける仔実装など 想像しただけで最悪なビジュアルだ。 「そんな時はこれこれぃ!」 「テチテチィ!」 「THE(ジ)・安全ピーン!」 「テッテレー!」 俺に合わせてはしゃぐミィから黄色いリボンを受け取り、 軽くちょうちょ結びにして安全ピンで固定する。 「これをミドリちゃんのおしゃれピアスとするが、いいかい?」 「テチ!」 「テ!?テス!?テステテステス!!!??」 ただ俺にテチテチ言えば怒られないと「学習」したミィとは違い、 さすがに少しは賢いミドリが、 自分に何が起ころうとしているかを察知した。 でももう遅い 遅すぎたんだよ俺達…… 何言ってんだよ?始まったばかりじゃねぇか…… へへっ…それもそうだぜ! プニュリンコー! 「テヒッ」 ミドリがうずくまった四つんばいの体を強張らせる。 ぷるぷる震える全身から、脂汗が垂れ、 新たな糞が用を成していないパンツにもりもりと生まれた。 耳の軟骨のど真ん中に安全ピンを突き刺され、 動かない方がよいと理解したのだろうか。 仔実装の耳から、針を伝わってじわじわと血がにじむ。 安全ピンを閉じると、 耳に開いた穴が持ち上げられ、広がり、 ミドリの食いしばった歯の向こうから悲鳴が上がる。 「だいぶ可愛くなったぞ!禿実装なのに可愛い!」 「テズゥゥゥゥゥ!!!」 泣きじゃくるミドリ。 「あ、ちなみにリボンをピアスにしようっつったのはミィちゃんだから」 「テチィッ!?」 やはり目の前の姉の惨状に呆然としていたミィは、 またしてもいきなり話を振られて驚愕する。 糞蟲と化したミドリが、憎しみしかこもっていない目を妹に向けた。 ミドリはもはや、妹を憎むことでしか自己を保てないのだ。 「テ・・・テ・・・」 首を振り振り、尻餅をついて、 姉の視線から逃げようとする仔実装。 パンコンも、開けっ放しの口から溢れる唾液も、 自分のぶざまな、飼い実装にあるまじき狂態も気にしていない。 「全部お前のせいなんだよ糞蟲がぁぁあ!」 「テチィィィィー!!」 必死の形相で否定するミィ。 このニンゲンさんは悪いニンゲンテチ、 お姉ちゃん、だまされたらイケナイテチ! と好き勝手にほざく。 テギャテギャ叫び、このニンゲンさんの言うとおりテスゥ、 オマエのせいでワタチはこんな目に遭ったテス! ミィのせいでワタチとミントちゃんが捨てられたテスゥ と泣き喚くミドリ。 惨めなのに必死な顔に良く似合った、どでかい緑と黄色のリボンが滑稽すぎる。 「ところでお腹すかねぇ?」 「テッ…?テチチ…?」 「とーこーろーでー ハーラーペーコォー?」 「テチィ!!」 弾かれたようにうなずくミィを、ミドリが憎悪の目で睨みつける。 「じゃあこれでも食ってろ」 「デゲボッ!?」 ミィのぼんやり開いた口に、姉がボトボト漏らしていた糞を突っ込んだ。 「デグッデッ」 「食えよ ハラ減ってんだろ? 食えよ」 戻そうとしたミィの顔面にシャイニングウィザード(要するにヒザ蹴りだ)をかまし、 アゴとほっぺたを手で押さえ、よく咀嚼させる。 「テジュッテジュッテジュッテグッヒグッテグッ」 「よく噛めよく噛め」 「テップププププゥゥゥ〜〜〜!!!テキャクアキャカヤクア!!」 目を思いっきり見開いて、吐こうとして、 呼吸困難に陥り、たまらず空気を吸う度に、 姉のウンコを食べさせられる仔実装を見て その姉自身がたまらず笑い出した。 「テキャキャキャキャキャキャ!!!」 「お前も食うんだよ」 「テッ!?」 バギャッ。 糞尿の撒かれたリノリウムの硬く冷たい床に、 ミドリの顔面を叩きつけた。 今の音だと、仔実装の薄い顔面の骨に確実にヒビがいったか。 それとも歯が全部折れたか。 ピクピクと痙攣し始めたミドリ、 その横で胃の裏側まで吐きまくるミィ。 飽きたしうるさい。 やはり、こいつら糞蟲を完全に教育するなど無理なのか。 生まれつき賢い個体でなければ、 限界が… ゲロ騒動もひと段落。 2匹の汚れた服を脱がす。 外界への反応が鈍くなったミドリはともかく、 ミィは糞にまみれた顔で、そのワンピース(と呼べるのか怪しいものだ)を脱ぐことを嫌がった。 が、しかし、I knew every magic under the sun!! 「汚れた服は綺麗にしなきゃ『いい仔』じゃないぞ?」 と魔法の呪文を唱えると、 ミィは驚くべきスピードで服を脱ぎ、パンツも外し、たたみ始めた。 笑いながら 「おいおい たたむのは洗濯が終わった後だよ。すぐ返すから。」 と伝えると、 「テチィ〜〜〜! テチィ〜〜!!」 と今度は床に頭を何度も何度もぶつけ始めた。 ニンゲンさん、ワタチが悪かったテチ。 ニンゲンさんの言う通りにして、ママに喜んでもらえるような、 リッパな実装石になるテチ。 ニンゲンさんはワタチたちにちょこっとキビシイけれど、 それはワタチたちを思ってくれているからテチュ。 「媚び」はしちゃいけない、って実装ショップのおじさんに教えられたテチ。 ワタチもお姉ちゃんも、それを忘れていたテチ。 「媚び」は自分たちのことしかかんがえていない、はずかしいコトテチュ。 ニンゲンさん達を心の底からシンライして、大好きになるのが、 正しい、賢い実装石テチ。 ワタチは悪い仔だったテチ。 でも、お姉ちゃんとミントちゃんと、一生懸命頑張って、 ママやニンゲンさんが誇りに思うような実装石にきっとなることを誓うテチ。 だから、ゴメンナサイテチュけれど、もう一回、 ワタチタチに実装石として、しちゃいけないこと、 してもいいこと、する方がいいことを教えてくださいテチ。 ワタチタチの、最後のわがままテチ。 ……分かってくれたのか。 俺は、泣いていた。 目の前の仔実装からは、リンガルが無くとも、 心が伝わった。 ただただ、俺は、飼い主から貰った大事なリボンを姉に渡し、 姉の糞を口で掃除し、自らの非を認め、 更に人間に好まれる、理想の飼い実装になりたいと願う、 目の前で土下座の体勢のまま打ち震える幼い実装石を 涙があふれるまま見つめた。 愛しい。 「だ…大丈夫だ。うん、お前は大丈夫だ」 我ながらわけの分からないことを言う。 「服はすぐに返すよ。お姉ちゃんもすぐに実装病院で手当してもらう。 その優しい心があれば、お前は大丈夫だ。すぐママと一緒に…」 泣きながら俺は壁に背をつけ、 座り込んだ。 「お前たちは……俺は……俺は… ん??」 お尻でなにか、クタッと柔らかいものを思いっきり踏んづけた。 あー忘れてたよこいつ。 蛆実装のミントちゃん。 トレードマークはピンクのタオルケット。 あれ?でもなんかピンクじゃなくて…赤い。 「半 分 死 ん で ん じ ゃ ね ー か ! !」 誰とも無く、俺はツッコんだ。 俺の体重がかかればそりゃ蛆実装はぺしゃんこになるが、 短い手足がゆるやかに力なく動く様は、 そのもうちょっと前から瀕死だったことを伝えてくる。 あぁ、さっき偽の手紙を作りに一階に上がった時 こいつを投げたっけなぁ。 あの時あからさまにコイツらキャッチできてなさそうだったもんなぁ。 あっ 偽の手紙って言っちゃった。 ま、うすうすどころかモロに分かってたろ? 実装石相手にマトモな手段はつうじないっつーの。 頭の半分潰れたミントちゃん。 短く生えた腕をポニュッと折ると、 目の片方飛び出た顔が叫びだしそうになった……が、もう泣き出す余力も無い。 ちょっと待てよ。 俺はドアから部屋の中に向かって投げたはず。 誰が壁際に置いたのかい? 「おい」 震えた仔実装が、伏せたまま飛び上がる。 ミィちゃんのこの土下座体勢の意味が良く分かる。 人の目を見ないでいいんだ。 「お前ら……妹を殺したのか? その上、俺の目から隠そうとしたのか?」 「テ テチ テテテテテ」 「ふぅざぁけぇるぅなぁ!」 「テェェェェーーーーーーーー!!!!?」 こちらから無防備状態の、土下座仔実装の後頭部。 もう何の飾りも無い、薄汚れて、 糞でゴワゴワの後ろの髪をひっつかみ 俺は古来より伝わるハンマー投げの要領で、 遠心パワーを使って、ミィを壁にぶち投げた。 正確には投げなかった。 壁にも当てなかった。 振り回され、仔実装の髪は引っこ抜け、 ミィは哀れ物理法則にしたがって テーブルの角に首の後ろと頭を思いっきりぶつけたのだった。 延髄部を打ちつけ、半身だけがおかしな動きを始めたミィに 先ほどから一匹遠い世界で歌ったり ショックダンスを始めるミドリ。 蛆とはいえ、妹を殺し、何の感慨も無いどころか 子守唄で生きているように見せかける。 その浅ましくも戦慄すら覚える悪魔の利己主義者たちに 俺は久々に純粋な怒りを抱いた。 が、その怒りを例え実装石といえども 小さな生き物にぶつけるのは良くないことだ。 痙攣して半分壊れたミドリを、耳の黄色のリボンを引っ張って持ち上げ、 痛みで意識をハッキリさせてからイスに座らせる。 歯は折れ、口唇部に突き刺さっている。 心配になって総排泄口にマイナスドライバーを突っ込むと、 千切れそうな悲鳴を上げた。 血と便が混じる。 同じく、どうも半身が上手く動かなくなったミィを ミドリの上に向かい合わせで乗せる。 禿裸仔実装たちの正常位。 「テスゥ…クチュ」 「テ…テチュゥ…」 姉妹は裸のまま、お互いのひしゃげた、 吐瀉物と排泄物と血で汚れた顔にキスをし始めた。 傷を舐めあっているのだ。 慰めあっている。 美しい。 いつの間にか完全に死んでいた蛆ミントちゃんをテーブルの上に置き 地上への階段を登った。 糞蟲として覚醒する前に死ねるのは、 そして眠ったまま目覚めなかったのは、 実装石にとって最高の幸福だ。 覚醒める…今「めざめる」と読んだあなたはすこし頭がおかしい。 ミドリとミィの服とパンツは焼いて捨てた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 電話があった。 3匹の飼い主からだった。
