タイトル:【虐・設】 実装ブリーダーの憂鬱
ファイル:実装ブリーダー.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4881 レス数:0
初投稿日時:2007/12/10-20:38:18修正日時:2007/12/10-20:38:18
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実装ブリーダー


どんな仕事もやってみれば大変だ、と言われるが、俺の仕事は世間的に見て悪いほうだと思う。

その日も俺は憂鬱な気分を押し殺し、職場へ出かけた。

虹鉄双葉駅からバスで二十分。一面田んぼだらけの郊外に立つ施設。そこが俺の仕事場だった。

俺の仕事は実装石の調教師。
生まれたばかりの仔実装を躾け、ペットとして飼える程度にまで本性を抑える訓練を施して、ペットショップに卸すのが仕事だ。

更衣室で作業着に着替え、作業部屋に入る。
作業部屋は、コンクリート打ちっ放しの簡素な部屋だ。
アトリエですよと言われればそう見えるかもしれないが、壁や床に散っている緑と赤のシミが絵の具ではない事を知れば、
すぐにこの部屋の本当の姿が分かるだろう。
すなわち、実装石用の拷問部屋だ。

壁の棚には、十個ほどの水槽が並べられ、中に一匹ずつ仔実装が入っていた。

一番左の水槽を取り出し、作業机の上に置く。
未だ眠りこけている仔実装を見下ろし、革のムチで机を叩いた。

パン、という破裂音がして、マンガのような反応速度で仔実装が飛び起きる。

「テチ!テチ!?」

何が起こったかわからないようで、ビクビクしながら周囲を見回している。
もう五日も同じ事を繰り返しているだというのに、まだ学習しないのか。

「おい」

上から声をかけてやると、仔実装はようやく俺の存在に気づいた。

「チイィッ!チイィッ!」

短い両手で頭を抱え、床にうずくまってしまった。
リンガルを見てみると「やめてテチ!痛いことしないでテチ!」と出ていた。
俺を「痛いことするニンゲン」と認識できていながら、どうしてその次が続かないかな。

「違うだろ。朝起きたら何て言うんだった?」

「痛いテチ!怖いテチ!ピシャピシャはイヤテチ!」

「朝起きたら『おはようございます、ご主人様』だろうが」

「ママァー!ママァー!ニンゲンが痛いことするテチ!」

…聞いてねえよ。

「おいっ!」

げんこつを机に叩きつけると、仔実装はビクッとして静かになった。

「朝起きたらまず『おはようございます、ご主人様』と挨拶しろ!」

「テ…テチィ…」

「早く言え!」

鞭を鳴らしてやると、仔実装はやっと聞こえる程度の小さな声で呟いた。

「テ…テチュテチテチャ(お…おはようございますテチ、ご主人様)」

「よーし、よく言えた。ごほうびだ」

コンペイトウを取り出して見せると、仔実装は目を輝かせて、テチューンテチューンと甘ったれた声で鳴き始めた。
さっきまで俺に怯えていたくせに、この鳥頭ぶりにはいっそ感心する。

「テチューン…♪」

コンペイトウを与えると、さっそく恍惚の表情でほおばる。

十分ほど経つと、仔実装の様子がおかしくなってきた。

「テ…テチュ?テチュ?」

青い顔で腹を押さえながら、辺りを見回し右往左往する。

先ほど与えたのは、実はコンペイトウではない。
低圧ドドンパの一種で、十分ほど経ってから便意を催させるものだ。
つまるところ、実装石用の遅効性の下剤である。

「テ…テェェ…」

糞が出そうな事はわかっているだろうに、すぐ側にトイレがありながら、そこに行こうとしない。

下剤が効き始めてから三十秒後、ブリブリと音がして仔実装のパンツが膨れ上がった。
「糞が出そう→トイレに行く」という単純な図式を思い描けず、そのままパンコンしてしまったのだ。

臭いと仔実装の低能ぶりに顔をしかめつつ、何が起こったかわからない風の仔実装に声をかける。

「おい、なにパンコンしてんだ」

「テチッ」

声の調子で、俺が「怖い時」だとわかったのだろう。あっという間に腰を抜かして、パンツに溜まった糞の椅子に座る格好になった。

「教えたよな?糞が出そうになったらトイレに行けって。トイレはどこかわかってるか?」

「テ…テチィ…」

「トイレはどこかわかってるのかって聞いてんだよ!!」

鞭を鳴らすと、仔実装は水槽の隅にあるサンドボックスに走り寄った。

「おお、わかってんじゃねえか。で、なんでそこで糞しなかった?」

「テ…」

「わかってるのにトイレで糞しなかったんだな?わざとパンコンしたってことだな?」

「テチ!テチャ!」

「お仕置きだな」

お仕置き、という単語を出すと、仔実装はたちまち恐慌状態に陥った。
俺の手を避けて狭い水槽の中を逃げ回り、捕まえた後も手の中でモゾモゾと暴れる。

服を剥ぎ取り、作業机の上に下ろす。性懲りも無く走り出そうとする仔実装の頭に、鞭を振り下ろした。

「糞は!トイレで!」

一言一言はっきり言いながら、鞭を振り下ろす。払子のような形の鞭が、仔実装の体を打ち据え、赤い線を残していく。

「デヂャ!デヂィィ!!」

「糞は!トイレで!」

「デヂャッ!デヂャアアア!!」

たっぷり三十回ほど打ってやったのち、水槽に戻して、水色の錠剤を取り出した。

「飲め」

「テヂィ…」

仔実装はしぶしぶと言った風情でそれを飲み下す。
効果は飲んで数秒後に現れた。再び仔実装の腹から、グルグルといった音が聞こえ始めたのだ。

「テチ!テチ!」

仔実装は大慌てでトイレに駆け寄り、砂の上にしゃがみこんだ。

ブリブリと音がして、薄れ掛けていた室内の悪臭がまた勢いを取り戻した。
ローゼン社のトイレ砂は大量にひり出された緑色の糞を吸い込み、固めた。

今度与えたのは、即効性の下剤である。

知識は実践によって補強される。
「糞はトイレでしなければならない」と教えた直後にそれを実行させ、覚え込ませるための措置だ。

ただ問題なのは、これをもう五回も繰り返しているというのに、こいつは一向にトイレを覚えないということだ。

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服を返してやり、栄養剤を混ぜ込んだ安物実装フードを与え、水槽を棚に戻す。

次に、左から二番目の水槽を取り出し、作業机の上に置く。

今度の仔実装はもう起きていたようで、俺を見るなりテヂャアテヂャアと騒ぎ出した。
リンガルを見ると、先ほどの仔実装と同じく、俺に怯えるセリフが表示されていた。

「朝起きたら何て言うんだった?」

「テチャ!テチィィヤァァァ!!」

「朝起きたら『おはようございます、ご主人様』だろうが!!」

「テチ!テチィ!テェック!テェック!」

「ほら、言え!」

「テチィ…」

「言わないとこいつだぞ!」

鞭を机に叩きつけるが、一向に聞く様子が無い。
やむを得ず、片手で仔実装を握り、口に脱脂綿を押し込んで黙らせた。

「『おはようございます、ご主人様』と言え。言わないと殺す。言えばコンペイトウをやる」

ゆっくり、静かに、噛んでふくめるように言ってやると、仔実装は涙目ながらうなずいた。

水槽に下ろし、脱脂綿を取ってやると、仔実装は静かに…

「テ…テチュテチテ…デェヂャアアア!!」

呟こうとしたところでぴたりと止まり、いきなり暴れだした。

「デヂィ!デヂャ!デェェェヂャアアアン!!」

リンガルを見てみる。

「なんでコーキでカワイイこのワタチがこんなことしなくちゃならないテチニンゲンはワタチにヒザマズいてスシとステーキとコンペイトウをケンジョーしてワタチのウンチをありがたくたべるべきなのにわあわあなんでワタチがこんなめにいい」

「ヂッ」

延々続くかと思われた仔実装の妄言は、突然打ち切られた。仔実装が白目を剥いてばったり倒れ、口から泡を吹き出したのだ。

腹を切り開いてみると、偽石がパッキリ割れていた。躾のストレスで偽石を自壊させたらしい。

仔実装の死体をゴミ箱に放り込み、空になった水槽を別の棚に移す。壁にかけてある表に、仔実装が一匹脱落した旨を記入した。

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三つ目の水槽の実装石は、俺を見るなり猛烈な勢いで騒ぎ始めた。二匹目と違うのは、明らかに俺に敵意を持っているとわかるその態度だ。
リンガルを見てみると、「ニンゲン、サッサとステーキとコンペイトウもってこいテチ」と表示されていた。
…もう五日も経つというのに、俺がドレイニンゲンではないとさんざ教えてやったはずなのに、まだこんな寝言を言えるのか、こいつは。

「…朝起きたら『おはようございます、ご主人様』だろうが」

「チププ♪そうテチュ!ドレイニンゲンはゴチュジンサマであるワタチにアタマをさげッヂュ」

幸せ回路全開のトークの途中で、顔面にデコピンを食らわせてやった。仔実装が後方に吹っ飛んで、水槽の壁に頭をぶつける。

数秒間の空白の後、仔実装は跳ね起きて猛烈な抗議を始めた。

「なにするテチャクソニンゲン!いまならゆるしてやるテチドゲザしてワタチのウンコを…」

「黙れ」

仔実装を握り、親指と人差し指で頬を圧迫して、口を封じる。

「勘違いするな。『お前が』、『俺に』、言うんだ」

言い聞かせながら、少しずつ握力を強めていく。ミシリと骨が鳴り、仔実装が顔を青くしたところで離してやった。

「お…おはようございますテチ、ご主人様」

「よし、よく言えた」

俺は頭をなでようとしたところで、仔実装の顔が醜く歪んでいるのに気づいた。

「チププ」

仔実装の口から嘲笑が漏れる。それは、自分以外の存在を見下す実装石の嗤い。糞蟲の証。
大方、「ちょっと従順にしてやればニンゲンはすぐ騙されるテチ、バカテチ」とでも思っているのだろう。

俺はカレンダーを見て、期日が過ぎている事を確認した。

「五日過ぎても態度に改善が見られない糞蟲は処分すべし」
この調教場のマニュアルだ。

先ほど二匹目を捨てたゴミ箱の側まで歩いていき、手にした糞蟲を思い切りゴミ箱に叩き込む。
トマトが潰れたような音と「デヂャッ」という悲鳴が聞こえてきたが、まだ生きているようで、弱々しい鳴き声が聞こえてきていたが、もう一度殺す気にもなれなかった。
どうせ放っておけば死ぬだろうし、死なずともいずれ他のゴミごと焼却されるだけだ。

学生時代、趣味で虐待をやっていたときは、ああいった糞蟲はじっくり時間をかけていたぶって殺していたが、虐待が仕事になり、日常になった今となっては、
もはや仕事の延長という感覚でしかなく、全く楽しいと思えない。

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このような具合に、仔実装を虐待にしか見えないやり方で躾け、人間の言う事を聞かせるようにするのが俺の仕事だ。

一度に任される仔実装は十匹。この十匹を二週間かけて仕込み、無事に躾を終えた個体を、契約しているペットショップに卸す。

だが、躾を終えられる実装石は非常に少ない。

一匹目のように、躾が全く理解できない者。
二匹目のように、最低限の躾ですらストレスとなって偽石を自壊させる者。
三匹目のように、手の施しようの無い糞蟲。

だいたいがこの三つのパターンで脱落し、ショップに卸せる程度に仕上がるのは、一度に一匹かそこらだ。

調子のいい時で二匹。自己ベストは三匹。一匹も躾を終えられず、十匹全滅という事も少なくない。

給与は基本給に加えて、何匹仕上げられたかで決まるため、一匹も仕上げられなかった場合は、薄給の上に、上司のお説教というオプションがつく。

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「実装ブリーダー大募集!

 獣医学部出身でないとダメ?
 実装石に詳しくないとなれない?

 そんなことはありません!
 一から教えるから、実装石について全くの素人でも大丈夫!
 まずはお気軽に説明会にご参加下さい!」

大学四年の時、就職サイトでそんな採用情報を見つけたのがきっかけだった。
俺は実装石の虐待が趣味だったので「虐待で給料がもらえるなんてラッキー」と思い、
深く考えずに受験したらあっさり合格。
実装石の調教師に就職してしまったのが運の尽きだった。

虐待はあくまで日常生活の合間にやるから楽しいんであって、それが義務になり、仕事になると、途端に拷問になる。

朝から晩まで実装石と会話し、躾を一つ教えるだけでも何度も何度も繰り返さねばならず、そのバカさ加減に頭を抱える日常。
仕事中、「何やってんだよ、俺」と思ってしまったらもうその日は仕事にならない。

「実装石と関わる者はことごとく不幸になる」というのはまことに至言だと思いつつ、
俺は今日も転職サイトを開くのであった。



初スクです。
実装石のリアクションを考えるのに苦労しました。

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