まず最初に… 「野良実装と子猫」の作者様ごめんなさい。 そして、白保住人の方々 こうですか?全然わかりません! 「どこにいったのかしら…」 そろそろ夕方になろうとしている公園で一人の少女が、なにかを懸命に捜していた。 「アキ〜、そろそろ家に帰らないと怒られるよ〜」 少女からやや離れたところから男の子が帰りをせかしている。 「もう少しだけでいいから捜したいの、やっぱりあのままにはしておけないわだからお願い、もう少しだけ待ってよトシ」 彼女達は昼間一匹の野良実装から子猫を託された。 しかし、一度は家に連れ帰ったものの母親の反対で渋々公園に返してきたのだ。 子猫を公園に置いて家路へと向かった二人であったのだが、 やはり子猫のことが気がかりになったアキが、再び引き返して子猫を今度は神社に匿おうと言い出した。 トシは反対したが一緒に来ないと絶交するといわれて簡単に折れた。 そして再び公園に戻ってきたものの、肝心の子猫は何処かに行ってしまい目下捜索中なのだ。 「きっとあの子猫のことだから、あの野良実装が連れ帰ったんだよアキが心配することはないよ」 トシはいい加減めんどくさくなってアキに適当なことを言い始めた。 彼にしてみれば楽しみにしているアニメ番組を見たかったし、夕飯は好物のハンバーグだと聞かされていたので 早く家に帰りたくてしょうがないのだ。 一方、アキはというとあの野良実装が必死になって託そうとした子猫を公園に返したことを悔いていたのだ。 (あの時は、ちょっと怖かったけどあの野良実装はわたし達に子猫を預けた。きっとわたし達なら幸せにしてくれると 信じて預けたのに違いないわ。それをわたしったら…) そう思うと目に薄っすらと涙が浮かんでくる。 小さな胸は焦燥感で一杯になるのだった。 ふと、奥の茂みの方で何かがいる気配がするではないか、アキはもしかして子猫かもと思い足を踏み入れていく。 奥に進むにつれて段々と騒々しい声が、聞こえるようになる。 アキの脳裏に不吉な予感が走る。 「猫ちゃん!そこにいるの?」 そう呼びかけて声のする方に行くと、そこにはボスと思われる大きな野良実装に無残に踏み潰された子猫と 体を貪り喰われている一体の野良実装が転がっていた。 アキはここで何が起きたのかを、一瞬で察した。 その凄惨な状況に一瞬卒倒しそうになる。 だが次の瞬間、彼女は生まれて初めて目の前の物への怒りと殺意に満たされていた。 「絶対に…許さないんだから…」 うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ 腹の底から声を絞り出した。 目からは涙が止めもなく溢れた。 そしてボス実装に向かって全力で駆け込んでいく。 途中で阻もうとしたものや恐怖で固まったものは、容赦なく蹴散らしながら。 さながら徹甲弾のごとく真っ直ぐに突き抜けていった。 そしてボス実装に飛び掛りマウントポジションでひたすら殴りかかる。 『デギャ、グアッ、痛いデス、痛いデス、止めるデス、どうしてワタシがこんな目に会うのデス?』 ボス実装は必死で足掻くが、圧倒的な体格差になすすべも無い。 周りにいた手下の野良達は、ボス実装への攻撃を止めさせようと小石や糞をアキにぶつけ始めた。 次々にアキの背中や頭に小石や糞が命中するも、アキはそんなことは一切おかまいなくひたすらボス実装を 殴り続けるのだった。 すると突如ボス実装を殴る手が止まった。 手下達は自分達の攻撃が効いたものだと思い、チャンスとばかりに取り囲む。 するとアキは手下達の方に振り向いた。 「コイツを殺したら次は、あなた達の番だから覚悟しなさぁ〜い」 ドスのきいた声で、そう言い放つアキの顔は凶悪な笑みが浮かんでいた。 たちまち手下達は本能に基ずく恐怖に完全に支配されてしまった。 『こっ、殺されるデスゥ、早くこのガキから逃げるデスゥ』 一体がそう叫んで逃げ出したのを、合図にそこに居合わせた手下全員が、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。 「あなたの仲間は、みんな逃げちゃったわよ。薄情なものね…」 アキは半ば呆れた様子で言った。 ボス実装の顔は既にひしゃげたトマトのようになっていた。 また運の悪いことに偽石が頭部にあったので、それに重大なダメージを受けてしまい瀕死の状態だった。 さらに追い討ちをかけるように、手下の逃亡に酷いショックを受けていた。 『は…薄情者デスゥ…』 ボス実装がそうつぶやくとパキンという乾いた音が響いて、あっけなくボス実装は絶命した。 一方逃亡していた手下達は幾つかの小さなグループになってそれぞれ遁走していた。 『早く逃げるのデス、折角珍しい珍味を食べていたのにどうしてこんなことになったのデス』 悪態をつきながら逃げていた野良実装の前に突如として、黒い影が行く手を遮った。 『デッデッ!?』 行く手を遮ったのは一匹の猫であった。 そう、間の悪いことにこの猫は、先ほど惨殺した子猫の親だったのだ。 そして、この野良実装の口元に付着していた血や毛の臭いから、親猫は何が起きたのか悟ったのだ。 デギャーァァァァ 野良実装の悲鳴が辺り一面に響き渡った。 その悲鳴は別方向に逃げていたグループの耳にも届いた。 『なんだか分からないが、危険が迫っているデス。一刻も早くこの公園から脱出するデスゥ』 だが、このグループは脱出を焦るあまり致命的なミスを犯したのだ。 「おやぁ、糞蟲ちゃん達が団体でどこへお出掛けなのかなぁ?」 そこにはバールを引きずっている一人の若者が立っていた。 このグループは脱出を焦るあまり、公園出口への最短距離を進もうとしたのだ。 それは身を隠してくれる茂みを抜けて公園のど真ん中を通り抜けるというもので当然人目に付きやすく、 こうしてストレス発散の為に野良実装を殺しに来た若者に遭遇してしまったのだ。 「今日はツイているぜ、ワザワザ糞蟲を探す手間が省けるわ大量だわで嬉しいな♪」 そう言いながら若者はバールを下段に構えて野良実装のグループに、にじり寄る。 「絶対に逃がさないからね♪」 こうして血と肉と悲鳴のクレージーパーティが繰り広げられていった。 えっく、えっく、ひぐぅ… アキは泣いていた。 自分の安易な判断が、結果として最悪の事態になってしまった事への 自責の念でアキの胸中は一杯になっていた。 様子が心配になって捜していたトシが泣きじゃくるアキを見つけてなだめるも 一向に泣き止むことはなかった。 アキをどうにか説得して服や髪に付いていた糞を洗い流した後、猫の遺体をハンカチで包んで、 近くに落ちていた紙製の箱に収めて神社の境内まで運び、そこの大きな木の下に埋葬して石を置いて墓標とした。 その頃には辺りはすっかり暗くなっていた。 当然、家に帰ったときには、アキは思いっきり怒られてしまったが、直ぐにトシの親から電話がかかってきて 事の事情を聞かされると、それ以上怒ることを止めた。 その後暫くの間アキは公園に近づくことをしなかった。 また、この事を受けて公園を管理する市側は公園内にいる野良実装の一斉駆除を行うことを決定した。 END
