− 幻の泉 − いつの頃からか、実装の間でそんな伝説がまことしやかに囁かれていた。 < 赤い塔の奥に 永遠に枯れる事の無い 一口飲めば夢心地になる 幻の泉がある > 親実装は決意した。 このままでは自分も仔達も飢えて死んでしまう。 伝説の、幻の泉を探そうと。 飢饉に苦しむ実装の住処を離れ、恐ろしい人間たちが跋扈する町を目指した。 夜の闇の中を、親実装と2匹の仔は伝説の塔へと。 あった! あれだ! 本当にあったのだ!! 「赤い塔」と呼ばれるそれは、夜でも明々と光り、ブゥーン・・・ と不気味な音に包まれている。 恐ろしくも魅惑的な伝説のそれは、夜の闇の中、神秘的な佇みを見せていた。 噂通り、塔の入り口は「見えない扉」に閉ざされ、入る事すらできない。 しかし何かの拍子に、スルリと仔実装2匹だけが中に入る事ができた。 「デエ ここから先はせまくてママは入れないデス お前達でこの奥にすすむデス」 「ワタチにまかせるテチ!」 「きっとママにお水もってかえるテチ!」 親実装は仔の無事を祈り、仔は親の為に折れそうな心を奮い立たせ、お互いに別れを告げた。 「おねーちゃ、こっちはつめたい風テチ あっちはあつい風テチ」 「さむいのは嫌テチ あっちに行くテチ」 真っ暗な中、熱い風が流れてくる通路を選ぶが、すぐに急激な上り坂に出くわす。 仔実装2匹は死に物狂いで坂を上るが、ますます周囲は暑くなり気力体力ともに尽きかけていた。 火を吐く怪物でもいるのだろうか? 2匹は顔を見合わせる。 これが幻と言われる所以なのだろうか・・・ 朦朧とする意識の中、2匹はカチャリカチャリと何かの金属音を聞いた。 ゴォン!! ドゴゴゴゴガアアンッッ!!!! 人間の女性の、何か聞き取れない声が聞こえたかと思うと、突如耳を劈くような轟音が響く!! 「「テチャアアア!?」」 2匹そろって激しくパンコンを極めるが、辺りは静まり返り、ただ低くブゥーン・・・ と聞こえるだけだ。 「いまニンゲンの声で『いらっしゃい』って聞こえたテチ!?」 「きっとワタチたちが来たから マホウでパーティーのじゅんびをしてるんテチ!!」 「「テチャーーw」」 2匹は元気を取り戻し、灼熱の坂を上っていく。 恐ろしい伝説の「赤い塔」を。 < 幻の泉がある > 実装石たちが、恐ろしくも魅惑的な伝説を囁く・・・ 「迷惑な話だよ・・・ まったく・・・」 3丁目のタバコ屋のばあさんは困っていた。 いつの頃からか、自動販売機の中から実装石の死体が出てくるようになったからだ。 今日もサービスマンが自動販売機を掃除して、仔実装の死体を二つ取り出していた。 < 赤い塔を守る魔女がいる > 魔法の箒を持った魔女が実装石を追い散らすようになった。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 充実した朝寝の中で、ふと思いつきました馬鹿ネタです。 いつも感想やご指摘ありがとうございます。 By Gの旋律
