タイトル:【馬】 パイプライン
ファイル:パイプライン.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3011 レス数:2
初投稿日時:2007/11/26-18:31:48修正日時:2007/11/26-18:31:48
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「それじゃあ行ってくるね」

私はこの家の同居人達に、そう言って玄関を出た。

工場設備の配管工の仕事をしている私はこれから5日間ほどの間
得意先への出張へと出掛けなければならないのだ。

そして今、出かける挨拶を交わした同居人達とは正確には人ではない。

私がこの家で飼っている実装石親子と実装紅、実蒼石である。

二年前に相次いで両親を失った私は、心の支えとすべく実装シリーズを飼い始めた。

私はある意味、幸運だったと思う。

実装石のミド子は、一億分の一とさえ言われる非常に希な高度な知性を持ち合わせた個体であり。

自分を律し聞き分けがよく、簡単な家の手伝いをこなすことも出来るのだ。

また生まれた五体の仔達も親程ではないにしろ大変賢く、翌週にはそれぞれしっかりした身元の飼育希望者の元へ
里子に出される予定であった。

また実蒼石のアオ子もむやみやたらと他実装を傷つけたりすることなく、実装紅のベニ子もそれらとうまく協調していく術を心得ていた。

餌は日数分まとめて置いておいたが、皆決められた量を規則正しく食べるという自己管理力を有しているので
特に心配することはなかった。

飲み水も少し高い出費とはなったが、専用の給水器を設置しており好きな時に飲めるようにしていた。

だが、一つだけ心配な点があるのだが…、それもまぁ大丈夫だろうと思う。

いや、そう思いたい…

少し不安ではあったが、とりあえず仕事へと向かった。


****************** 五日後 ********************


「ただいまー」

出張先では散々であった。

設備屋の不手際で予定していた日程が変更に次ぐ変更の連続で、常時振り回されっぱなしであった。

なんとか昼夜をたがわぬ突貫作業で、かろうじて期日に間に合わせることが出来たが
最早クタクタであった。

だが、様子がおかしい。

いつもなら皆でお出迎えをしている筈なのに、今日に限って一体も出てこないのだ。

これは一体どうしたことだ。

まさか、実装達になにか異変が起きたのか?

私はとりあえず部屋の様子を調べることにした。

廊下を突き進み居間へと向かう途中、私は奇妙なものにつまずいた。

「痛たたっ、誰だよこんなところに物を置いたのは」

と思いつつ、つまずいた物を見ると、奇妙なことに気がついた。

「これは水道管用のパイプじゃないか、どうしてこんなところに…?」

そして良く見ると、そのパイプは各部屋に向かって張り巡らされており。

更にそれらを辿っていくと庭の方に向かって延びており、そこで一本に集約されて
庭の下水の排水口に無造作に突っ込まれていたのだ。

次にパイプが延びている部屋を調べようと思い、まず始めにミド子親子のケージを設置している部屋へ向かった。

扉はパイプが挟まっているせいで完全に閉まっておらず、その隙間からTVの音声が漏れていた。

「ミド子、無事か?」

ドアを勢い良く開け放った先にあったものを見て、私は一気に力が抜けてしまった。

そこにあったのは総排泄孔に、パイプを接続して『デップ〜ン』とご機嫌な声を上げながら
TVを見ながら排泄行為に至っているミド子の姿があった。

「おい…ミド子、これは一体どういう事だ?」

思わずパイプを思いっきり踏ん付けると、ミド子が接続したパイプごと浮き上がって床に体をぶつける。

実装リンガルを起動させて問い詰めると、ミド子はこの異様な事態を説明し出した。

『いちいちトイレに行くのが面倒だったから、パイプを設置して庭の下水溝に流すようにしたのデスゥ』

それを聞いて私は呆れてしまった。

そんなことにいらん知恵を使いおって…

「トイレに行くよりも、こんなややこしいパイプを作る方がよっぽど面倒くさいだろうが!」

『設計から資材調達、組み立て設置まで半年を要したデスゥ』

「アホか!」

私はミド子に拳骨グリグリのお仕置きを加えると、パイプの解体を始めた。

仕事帰りで疲れているというのに、まったく…

そうボヤキながらパイプをバラして引きずり出す。

なにやら重いものがくっ付いているような感覚がしたのでおそるおそる引っ張り出すと、
引きずられて出てきた先端の枝分かれしていた先には、仔実装達が五体連なって接続されていた。

突然引きずり回されたせいで、仔実装達は私にむかってテチテチと抗議をしていた。

私はデコピンを一発ずつ加えて教育的指導とし、パイプから引き抜いてケージに戻した。

まったく、こいつらはいつの間にこんな手の込んだことをしていたのだ?

それにアオ子とベニ子は一体何をしていたのだ?

大方、相互不干渉とでも言って知らぬ存ぜぬを決め込むつもりなんだろうか?

せめて止めてくれればいいのにと、思いながら外したパイプを一気に引っ張った。

するとまたなにやら奇妙な手ごたえが…

不思議に思い、手繰り寄せると、そこには…

『ボクッ、ボクゥ…』 『ダワッ、ダワッ』

総排泄孔にパイプを接続したアオ子とベニ子が、顔を真っ赤にして引き摺られてきた。



「おまえらもかい!」


その日罰として、全員晩御飯抜きにしたのは言うまでもない。

           

                                  END

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1 Re: Name:匿名石 2014/11/22-14:39:49 No:00001566[申告]
実装石って賢くてもバカなんだね
2 Re: Name:匿名石 2014/11/24-00:25:58 No:00001567[申告]
とんでもない悲劇かと思ったらとんでもないバカだった
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