− Gの旋律 飼ってみる − ふと・・・ 山岡氏は思った。 ( そういえば俺、実装石を飼った事が無いな・・・ ) 副業とはいえ、彼は同人季刊誌『実と虐』の編集長を務めている。 当然、虐待派である。 が・・・ 未だ実装石を飼った事が無い。 さっそく、実装石の選択眼にかけては信頼の置ける虐殺派の親友に、捕獲依頼のメールを送る事にした。 ・ ・ ・ ピンポーン! 「はぁ〜い」と、山岡氏の妻が来客の対応に出て、引きつった愛想笑いを浮かべる羽目になる。 玄関に立つ青年は、左手にコンビニ袋、右手には赤緑の血が滴るバールをぶら下げていた。 「やあ! もう捕獲してきたのかい?」 実装石虐殺派の青年が、コンビニ袋に入った生まれも間もないであろう仔実装を3匹差し出す。 「愛情深い仔、とりわけ賢い仔、元気な仔、 どれにします?」 どれも虐待しがいが・・・ いやいや と山岡氏は本来の「飼う」という目的を思い出し、悩んだ挙 句に1匹の仔を選ぶ。 「やっぱアレだろ。勢い余ってぶん殴っても大丈夫な様に、元気なのにするわw」 やはり相当賢いのだろう、選ばれた仔実装は媚びる訳でもなく、不安と期待の入り混じった表情で 「テェ・・・」と鳴くだけだ。 山岡氏は礼を言ってアルバイト代を渡すと、一言付け加える。 「なあ、アキラ。住宅街をバールを持って歩くのは止めれw」 アキラと呼ばれた青年はニヤリと笑うと、「さあ、お前達。ママの所に行こうね」と、残りの2匹を 左手に抱えて玄関を後にする。 山岡氏は、虐殺派にしては情け深いところがあるのだなと、窓から青年を見送る。 窓から青年を見た時にはすでに仔実装は裸に剥かれており、2匹を宙にほり投げるや鮮やかなバール 捌きで一片の肉片も残さず粉微塵に粉砕する。 青年は仔実装服でバールを拭うと、ポケットから取り出した布袋にバールを収め、悠々とした足取り で帰って行った。 「ああ ママは先に逝ってたのかw」 ・ ・ ・ さっそく仔実装の調教にかかる山岡氏。 聞けばもうすでに親実装の教育により、トイレと水浴び・洗濯を教えられていると言う。 ふむふむと感心しつつ、後は人間様への最低限の作法を仕込む事にした。 その後の育成は仔実装の生来の賢さが幸いしたのであろう、残念ながら山岡氏のマチ針による躾は殆 ど必要の無い状態だったのだ。 もっとも一番の影響は、 「 ご近所迷惑だけは許さないわよ 」 と山岡氏の後ろから覗き込む、 妻の猛禽類の様な目だったのだろう。 愚かなナマモノだが、一応は生物として『何か』を感じ取ったらしい。 仔実装は、『ミー』と名付けられた。 青年の選択眼と妻の視線のお陰か、ミーは野良出身の仔実装にしては驚く事に、大した粗相も無くすくすくと育っていった。 ・ ・ ・ ・ ・ 変化は、ミーが中実装になった頃にあらわれた。 「ワタシもそのテレビをカチカチするのやりたいテス〜」 山岡氏が趣味で触るパソコンに興味を抱いたらしい。 「あ? パソコンでネットがしたいのか? まあいいや、使ってないノートPCあるから待ってろ」 糞蟲化を予防する為に、グルメや豪邸やファッションなどのロクでも無い物に関係するサイトには フィルターを施し、字の読めないミーに解る様に画面の文字の読み上げツールも導入してやる。 さっそくミーはネットの世界にハマる。 しかしネットの世界は広すぎて、どこを見ていいか皆目見当がつかない。 結局は山岡氏が普段見ている半角板や実装関連サイトを後追いする事になる。 そんなミーにネットの弊害が出始める。 「デエ゛エ゛エ゛ギャーーーッッスッ!! デギャゥッ!!・・・・・ 」 妻の居ない日曜日に、山岡氏が買い物から帰宅するとけたたましい鳴き声が聞こえる。 何事かと部屋に飛び込むと、凄まじい形相のミーが口から血泡を吹いて、盛大にパンコンして憤死し ている。 「うわっ!? く、臭ぇ!! ・・・って、何で死んでるんだ???」 絶叫の発信源はミーのノートPCで、実装石虐待を報告する動画を大音量でループ再生している。 動画を閉じて履歴を見ると、虐待サイトに頻繁にアクセスしていた様だ。 どうやら怖いもの見たさに目が釘付けになったものの、今回は虐待師のあまりの腕前に見ているミー も恐怖で死んでしまったらしい。 死因が解ってなるほどと頷く山岡氏だが、妻の激怒を想像して、慌ててパンコンの処理に取り掛かる。 ローゼン社の実装用の洗剤や消臭剤を駆使して痕跡を消し去るのに約1時間。 「おい! いい加減に起きろ! この野郎!!」 栄養ドリンクをしこたま飲ませてミーの蘇生を行う。 ストレスで偽石が割れていたかと危ぶんだが、心臓麻痺の類だろうか、仮死程度で済んだ様だ。 「テエ?・・・ ご主人様ぁ!? ミ ミーちゃん怖かったテスゥ!! テエ゛ッ!?」 とりあえず、初の鉄拳制裁をしこたま喰らわせて、動画再生はご法度だと説教をする。 下手をすると自分が妻に『悲しい事』をされるかもしれない。 そんな山岡氏の心配を他所に、ミーはぬくぬくと育っていった。 ・ ・ ・ ・ ・ 「ご主人様、子供を産みたいデス〜」 「はあ?」 ミーが成体になったお祝いに、公園デビューさせた翌日の事だった。 「禿裸になるか、電子レンジでチンするか、ゴミの日に一緒に出すか、どれがいい?」 「デ? デエエエエ!」 「あなた・・・ 判ってるわね?」 思わず虐待派の本音が出た山岡氏だが、妻の一刺しに冷や汗を流して沈黙してしまう。 『ご近所迷惑だけは許さない』の大命題の元、ご近所迷惑な虐待だけはできない。 しぶしぶミーとの交渉に応じ、あまり数は生まない事、糞蟲は即座に間引く事、この二つを条件に了 承する事にした。 (全部、大きくなったらどうしようかな・・・) 虐殺派青年・アキラの顔を思い出している山岡氏の思惑も知らず、ミーは花を片手にデーデーと子作 りに励む。 「デ〜デロゲ〜 デ〜デロゲ〜 ・・・・」 夜には、こうして胎教が始まった。 ・ ・ ・ 「デ〜デロゲ〜 デ〜デロゲ〜 ・・・・」 絶対にロクな胎教をしてないに違いない。 ミーの妊娠から1週間後のある日、気になった山岡氏はリンガルを取り出す。 「ご主人様はいいニンゲンさんデス〜」 「でもママご主人様は怖いデス〜」 「言う事聞かないと偽石抜いてコーティングされるデス〜」 「禿裸にされて手足の切り口焼かれるデス〜」 「ご主人様も『悲しい事』されるデス〜」 「って、おい!」 「デスゥ?」 「お前まだ実装石虐待サイト見てるのか?」 「デスゥ」 いやはや確かにまともな胎教ではなかったが、さらに予想の斜め上方向の『妄想』に面食らう。 確かに最後の一言は正解なのだが。 「あのな、普通に食事やトイレや掃除洗濯のルールを教えなさい、普通に」 「デスゥ」 「特に『ママご主人様は怖い』ってのは止めろ、言わなくても解るだろ?」 「デエ・・・」 ・ ・ ・ ついにミーの両目は赤くなり、無事に出産の日を迎えた。 テッテレー テッテレー テッテレー ・・・・・ 山岡氏が見守る中、ミーは風呂場の洗面器に水を張ると、合計10匹の仔を生む。 ミーが最初の仔の粘膜を舐め取ろうとすくい上げた時に、妻が様子を見に風呂場を訪れる。 「・・・あら ・・・あなた、ちょっと多くない?」 パキン パキン レフー! パキン レッフーン♪ レフ? パキ… レレェ!! レエエ!? パキン 「デエエエ!?」 最初に抱えた仔も含め、次々と小さな偽石を崩壊させてしまう。 期間は短かったが、胎教の効果は抜群の様だ。 「まあ、生まれてすぐに死んじゃうのね? 多く生むはずだわ」 「そっ そそそうだな。 生まれたての実装石はチリィから。 あははw・・・」 「デエエ〜〜ン! デエエ〜〜ン!」 妻がリンガルの使い方を知らない事を神に感謝しながら、山岡氏はミーに仔の面倒を見る事を促す。 「ママご主人様は怖いデスゥ」と未だに爆弾発言をこぼしながら、ミーは残った5匹の仔の粘膜を舐 め取りにかかる。 こうしてミーは5匹の子育てを始めた。 ・ ・ ・ 仔実装達は賢く、実に良くミーの言いつけを守った。 ミーも熱心に仔実装達を教育した。 今日はたまたま教育の様子を見かけたので、気になった山岡氏はリンガルを取り出す。 「・・・でな、偽石をコーティングして栄養剤付けにした仔実装10匹とウサギと戦わせて・・・」 ミーのノートPCから音声読み上げソフトの機械的な音声が流れる。 仔実装達はパンコン寸前で血涙を流し、その恐ろしい内容に釘付け状態だ。 「いいデス? ママやご主人様の言うことを聞かないと、こんな恐ろしい目にあうデス」 「テエー! きくテチ! きくテチ!」 「ワタチいいコにするテチー!」 「って おい!」 「デスゥ?」 ミーが教育に使っていたのは実装石虐待サイトにアップされてた虐待師の虐待報告で、食事やトイレ や掃除洗濯のルールを守れないとこんな目に遭うのだと教育しているらしい。 「お前まだ実装石虐待サイト見てるのか?」 「デスゥ」 「あのな、虐待の話抜きでルールを教えなさい、虐待の話抜きで」 「デスゥ」 「・・・ところで、ルールを守らないと『誰』が虐待するんだ?」 「デエ・・・」 一歩間違えるとご主人様を含め全員『悲しい事』になってしまう。 ミーとその仔達は、動画に続いて文字の虐待報告も見てはいけない事になった。 ・ ・ ・ あれこれとアクセス制限されたミー達は家の庭で遊ぶようになった。 勿論、何かあるといけないので山岡氏の在宅の時だけである。 「蛆ちゃーん!」 外にいるミー達の為に開いているリンガルに、そんな言葉が表示される。 はて? 我が家には蛆実装など居ないが・・・ と、首を傾げる山岡氏。 窓から覗くと・・・ 一塊になってウネウネと駆け足で行進する仔実装達。 「なんだ、ありゃ?」 続けてミーの号令が飛ぶ。 「託児ー!」 新聞紙を丸めてクッション代わりに詰め込んだダンボール箱に到達すると、皆で1匹を担ぎ上げてダンボール箱めがけて投擲する。 なんとなく、様子が飲み込めてきた山岡氏。 ミーとその仔実装達は、実装石虐待サイトにアップされた人気の小説を真似て遊んでいるらしい。 窓から見ている山岡氏に気付いたミーは、デス!とばかりに元気に手を上げる。 「はあ・・・ 他に見るサイトは無いのかよ・・・」 ・ ・ ・ ・ ・ 晴天の日曜日の昼下がり、山岡氏がテレビを見ていると庭先がデスデスと騒がしい。 今では中実装にまで大きくなった仔と親のミーが騒いでいるのだ。 例の人気小説の続きでもアップされたのかな・・・ などと考えながら窓から庭を覗く。 「全員集合デスーー! 非常事態デスーー!!」 見るとガリガリに痩せた野良猫が庭先に侵入している。 「蛆ちゃーーん! 蛆ちゃーーん!!」 「って おいおいおいおい! 逃げろよおい!」 痩せた野良猫は中実装でも捕らえる気だったのかもしれないが、当の親仔達は何をトチ狂ったのか迎 え撃つ気満々の様だ。 蛆実装の形に陣を組み、そのままウネウネと遊び場のダンボール箱の裏側に移動する。 「パンコン! パンコーーン!!」 「・・・って うわ!? おい! 庭先で糞投げるなよっ!!」 さすがに後始末が・・・ と思いかけたが、虐待派としては続きが気になる。 静観を決め込む山岡氏。 奮戦続けるミーの仔達は、中実装ながら少量づつ糞を投擲するのでそれなりの飛距離がある。 糞の弾幕を張りつつ野良猫を足止めし、ミーが砂遊び用のスコップに糞を乗せ投擲する。 あ〜、そんな展開もあったよなぁ・・・ と山岡氏が感心していると、ものの見事に野良猫の顔面に 糞がヒットする。 「蛆ちゃーんっ!!!」 顔に貼り付く粘塊と猛烈な異臭にたたらを踏む野良猫。 そこに再び蛆陣形を組んだミー一家が突撃を敢行する。 「託児ぃーーーーっっ!!!」 集団で仔を1匹担ぎ上げ、野良猫に向かってエイヤッとばかりにほり投げる。 ベチィッ!! 「デエエエエ!?」 野良猫に招き猫のポーズであっさりと叩き落される中実装。 思わぬ展開に固まるミーに、驚くべき速さで野良猫は飛び掛る。 「デギャーーーッ!!!」 「「「「テエ゛エ゛ーーーッ!!」」」」 「うはw」 見る見るズタボロにされるミーに、成す術無くおろおろする仔達。 後は蜘蛛の子を散らす様に逃げ回る仔達を、容赦無く追い回して止めを刺してゆく。 数分後、逃げ回る仔達は実装活性剤でも使わねば蘇生できない程まで引き裂かれ横たわっている。 親のミーにいたっては余程怒りを買ったのか、ご丁寧に偽石まで噛み砕かれてしまう。 野良猫は最初に叩き落した仔を銜えると、どこかに去ってしまった。 「・・・・・・」 山岡氏はちらりと時計に目をやった。 後始末をするのに、妻が帰るまでには十分な時間がある。 ふと・・・ 山岡氏は思った。 ( 次は、『渡り』が見たいな・・・ ) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 私の大好きなスクを二つお借りしました。 次回はもう少し短くてあっさりした馬鹿スクがいいかなぁ? とも考えています。 沢山の感想ありがとうございました。
