− Gの旋律 仔実装姉妹 後編 − *あらすじと登場人物* ここは新時代環境型モデル都市 <実験都市・みのり市> 、しかし人は<実装都市>と呼ぶ。 同人季刊誌『実と虐』の企画の為、仔実装姉妹が玩具にされた挙句、山中に放逐される。 二匹は廃校になった小学校校舎内で、お互いの糞虫ぶりから決定的に敵対する事に・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− − 3日目 − 「おなか・・・ おなかすいたテチィ・・・」 妹仔実装は、姉仔実装を激怒させた事から危うく殺されそうになり、薄暗い給食室に逃げ込んだ。 厳しい寒さに責め立てられながら、暗闇の中で黒いゴミ袋を見つけて寝袋代わりに潜り込み、意外に 保温性の良い状態で一夜を明かす事が出来たのだが・・・ 姉仔実装に傷つけられた右手が、未だに完治しない。 それもそのはず、二匹は山中に放逐されてから何一つ口にしておらず、実装石特有のデタラメな回復 力を発揮するどころか生命の維持も怪しくなってきている。 耐え難い飢餓感と共に目覚めた妹仔実装は、体に巻付けた黒いゴミ袋をガサゴソと引きずりながら、 逃げ込んだ給食室の中を何か食べ物はないかと探していた。 そんな妹仔実装がビクリと跳ね上がり硬直する。 「妹ちゃ〜 どこテチ? きのうは悪かったテチ〜」 ステンレスの流し台を、 カツーン カツーン と古釘で叩きながら、姉仔実装が囁く。 「出てきていっしょにゴハンさがすテチ お姉ちゃんとなかなおりするテチィ?」 ズリズリと足を引きずる音が聞こえる。 カツーン・・・ カツーン・・・ 流し台を叩く音が近づいてくる。 「クソハゲ出てくるテシャーーーッ!!!」 突如、妹仔実装の真後ろで絶叫にも近い怒声が響く。 ゴミ袋にすっぽり包まり、カチコチに固まる妹仔実装は最後の緑糞をプチリとひり出す。 「クソムシ出てくるテチャ! おとなしくワタチのおなかに入るテシャー!!」 もう駄目だ、二度とあの悪魔の前には出られない。 そう思いながら、妹仔実装はゴミ袋の中で息を殺し続けた。 悪魔の肉狩りは夜まで終わる事はなかった・・・ − 4日目 − 姉仔実装は再度カーテンスロープに挑戦していた。 憎き敵を捜索したいのだが、猛烈な飢餓感は身体生命の危機を激しく訴えている。 古釘をピッケル代りに使い、左足はなんとか動くものの、もはや体力は尽きかけていた。 コロコロとスロープを転がりダンボール箱に当たると、そのまま床に横たわる。 起き上がる気配は無いが、胸の隆起を見ると呼吸はしているようだ。 「テッッッッヂャァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーーーーーーーーッッ!!!!」 ネズミ花火の如く飛び起きると、狂ったようにダンボール箱に向かって古釘を突き立てる。 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す 刺す ・・・・・・・ いきなりピタリと止まり、ズルズルとダンボール箱にもたれてずり落ちる。 呼吸はしているのか? もはやピクリとも動かない。 ピス・・・ 引き千切りたくなる様なふざけた形の鼻が動く。 「ゴハンの・・・・ においテチ・・・・」 がばりと起き上がると、ピスピス鼻を鳴らして匂いを辿る姉仔実装。 匂いは古釘を突き立てたダンボール箱から漂っていた。 仔実装ごときの力では到底ダンボール箱を貫通できる訳は無いが、高く積み上げられたダンボール箱 自体が重みでひしゃげ、角の裂け目から見えるビニル袋に小さな穴を開けた様だ。 「テッ!! テチィ!! テチテチテチィィッ!!!」 古釘でビニル袋を突きまくり、開けた穴からキツネ色の塊を取り出すと口いっぱいに頬張る。 キツネ色の塊は歯が立たないほど硬いものの、徐々に味が染み出し少しずつ柔らかくなってくる。 ダンボール群には大きな貼り紙が貼られており、「 S村区 災害対策備品 乾パン400袋 」と 記されている事から、この部屋は現在では非常食庫として使用されているのだろう。 そういった事情はつゆ知らず、姉仔実装は赤緑の血涙を流しながらほのかな甘みを噛み締める。 「あのクソムシにはぜったい食わせないテチ!」 「クソハゲはうえ死にすればいいテチ! チププププwww」 − 5日目 − 妹仔実装は相変わらずゴミ袋に包まって食べ物を探していた。 部屋の隅や、窓のサッシに落ちている虫の死骸を幾つか見つけたが、飢えを凌ぐにも到底追いつかず、 飢餓感は増す一方であった。 ふと、流し台の下から聞こえるかすかな音に気付き、さらに薄暗い中を手探りで進む。 地下水をそのまま使用しているのであろうか、水道の元栓と思わしきバルブからポタポタと水滴が滴 り落ちている。 「テッ! お水テチ! お水テチィ!!」 妹仔実装はバルブにむしゃぶりつくと、少しずつ腹を満たす感覚に打ち震え、延々と水をすすりあげた。 「ワタチテチ! 生きのこるのはワタチテチ! アクマはほろびてしまえテチ!!」 ・ ・ ・ − 10日目 − 部屋には所狭しと乾パンが散乱し、姉仔実装はその中でテププといやらしく笑いながら転がっていた。 ただでさえ自重に耐えかねてひしゃげていたダンボール箱なのに、中身を執拗に穿り出すものだから 一気に崩れ落ち中身をぶちまけてしまったのだ。 姉仔実装は時折思い出したように出入り口の引戸に顔をくっつけ、パンコンした下着をふりふり大声 で叫ぶ。 「クソハゲーー!! 生きてるテチィ!? かんだいなるワタチが楽に殺してあげるテチ〜w」 前触れ無く聞こえてくる威嚇に、妹仔実装はビクッと振り向く。 ただでさえ貧相なその顔は、赤緑の双眸だけがギロリと目立ち一層みすぼらしくなっている。 水で腹は満たせるものの、この期に及んでは身体が訴える飢餓感を誤魔化せるものではない。 今ではバルブの周りに生えている、何だか訳の判らないヌメヌメとした藻を舐め取って腹の足しにし ている状態だ。 「おなかすいたテチィィ・・・・ あのクソアクマいまにぶっ殺してやるテヂィッ・・・・」 ・ ・ ・ − 20日目 − 数日前から姉仔実装は喉の渇きに苦しんでいた。 「敵」に一欠けらの「ゴハン」も取られたくない為に部屋に篭城し耐えていたのだ。 しかし今朝に至っては我慢ならず、部屋から出ようと・・・ おかしい! 戸の隙間を通れない。 食料だけは浴びるほど与えられた姉仔実装は、いつしか戸の隙間を通られないくらいに成長していた。 今では動くのもおっくうになり、カーテンに包まり寝過ごす日々を送っていた。 「テ・・・・・ ?・・・」 口元に冷たいものが触れる。 水だ。 姉仔実装が目を覚ますと、割れた窓からチラリホラリと粉雪が舞い込んでいる。 「テッ テエエッ!! み 水テチ!! 水テチーーッ!!」 カーテンから飛び出すと、 テッチ テッチ と粉雪を追いかける姉仔実装。 乾パンに滑って転がり、手の雫を舐めて起き上がり、また滑って転がる。 無様な盆踊りは延々と続いた。 ・ ・ ・ − 30日目 − バルブや周囲の床はタワシで擦ったかの様に綺麗に磨かれていた。 落ちているものは塵でも残さず食べた。 カーテンは食い千切る事が出来ず、ゴミ袋はなんとか飲み込んで・・・ すぐに嘔吐した。 糞も繰り返し食べたが、すぐに出なくなった。 耐え切れなかったのか、幻覚でも見たのか、服を食べ、髪も食べた。 今日は久しぶりに暖かい緑色の「ゴハン」にありつけた。 黒いゴミ袋から濁った赤緑の双眸を覗かせ、小柄なままの妹仔実装は給食室の出口を睨んでいた・・・ ・ ・ ・ − 40日目 − 妹仔実装は、悪魔の住まう部屋を訪れていた。 頭に髪は無く、両手も無い、足も異様に細く歪に変形している。 部屋には香ばしい匂いが漂っているが、部屋の隅に幾つか乾パンが転がっているだけである。 部屋の主は、部屋の中央にいた。 中実装ほどに成長した姉仔実装は、その口にこれでもかと言わんばかりに乾パンを詰め込み、カサカ サに渇いた顔を異様なほどに膨れ上がらせて仰向けに横たわっていた。 一粒でも糞仔蟲に渡すものかとの最後の足掻きであろう。 しかし、干物の様に水気が抜け切り陥没した赤緑の目は、もはや骸である事を示している・・・ 「チプ・・・ チプププwww 勝ったテチ! アクマはほろんだテチィィィーーーー!!!!!」 その異様に貧弱な足で姉の顔を執拗に足蹴にする妹仔実装。 「テヂィィィ!!」 ペキリと音がしたかと思うと、妹仔実装はプラプラする足を投げ打って床にひっくり返っる。 テヂィ!テヂィ!と床の上をのた打ち回り、苦悶の呻きを上げて痛みの静まりを待つ事しばし。 脂汗を浮かべた顔で姉を睨み付けると、やおら姉の顔に喰らい付く。 旨い!!! 旨い!!! 肉だ!!! 肉だ!!! 血涙を流しながら、チプチプとあざけりながら、姉の肉に喰らい付いた。 「さいごに くちゃくちゃ・・・ 生きのこるのは くちゃくちゃ・・・ ワタチテチ!!」 「テチャーーッチャッチャッチャwww」 ・ ・ ・ − 50日目 − もと姉仔実装だったものは、部屋の中央で糞の山に埋もれている。 憎さ余って骸の顔に糞をひり付けた為に食が進まなくなった事と、残りの砕けたダンボール箱の中に 山程の乾パンがある事を発見した為である。 それが幸いしてか、妹仔実装は姉の干乾びた骸と自分の喉の渇きをすぐに結びつけ、四肢が再生する やすぐに乾パンのビニル袋やゴミ袋を利用して、部屋に相応の水を運び込んでいた。 その賢明な糞仔蟲は、無駄に弛んだ禿裸の身体をゴミ袋に包みながら、ダンボール箱の中で醜い顔を 歪ませてチプチプと昼寝をしている。 その表情は、春を迎えた外界に降臨する自分を妄想しているのであろうか・・・ ・ ・ ・ ・ ・ − 春 − 「デェ〜ッピャッピャッピャッピャァァァwwwww」 「雪が消えたデスw ついに選び抜かれたこの『特別』なワタシが奴隷ニンゲンを従える時デスゥ!!」 成体実装へと成長した禿裸の妹は、禁断のカーテンスロープに挑んだ。 外には、土下座で迎え出る奴隷ニンゲンと山盛りのステーキ・金平糖が待っている。 この私が行かねば誰が行く? 以前は四苦八苦したカーテンスロープは今ではなんとか登りきる事ができ、ようやく自分達が割った 窓ガラスの割れ目まで辿り着いた。 「デ? 頭が通らないデスゥ? おかしいデス ま 前は・・・」 「こ このワタシに不可能は無いデス! とおーーデスッ!!」 ズボリと窓ガラスの割れ目をくぐると同時に、足場にしていたカーテンスロープは成長した体重を支 えきれずにずり落ちる。 禿裸は窓ガラスの割れ目に首を掛けた姿で晒し首になり、首筋に食い込む痛みにもがき苦しむ。 首筋に、ガラスが食い込む 食い込む 食い込む。 股の間からはネットリとした緑糞を噴出し、もがく両足が部屋中に飛び散らせる。 私はあの寒さからも、飢餓からも、悪魔からも、渇きからも、全てに打ち勝ち生き残った存在。 こんな所で死ぬ訳が無い、いや死んでたまるか!! 「デエ デス!!」 首筋の隙間から両腕を差し込み、脱糞と共に気合を入れて身体を持ち上げる。 ボトボト 切り口も綺麗なその両腕は、あっけに取られるその目前で地面に落下し転がっていく。 「・・・・・・・・!!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」 割れた窓ガラスは首の骨にまで食い込み、薄汚い赤緑の血と緑糞でダラダラと窓を濡らしていく。 必死に叫ぶその口からは何の鳴き声も出せず、窓ガラスの内側の切断された首筋からジュブジュブと 汚い音が漏れるのみ。 もがきながらも呼吸をしているのだろう、ジュブジュブと血が泡立った後は、切断面とガラスの間か ら ピィ〜 チピィ〜 と苦しそうな吸引音が聞こえる。 無駄に太った贅肉が圧迫し、切断面をガラス面に押し付けて気道を塞いでいるらしい。 < 外に!! 外にデス!!! > < 奴隷ニンゲンデス!!! > < ステーキデスッ!!! コンペイトウデスッッッ!!!!> 切断と酸欠の苦しみにひと暴れした後、ブルブルと痙攣しながら緑糞を滴らせ、両腕の無い禿裸はそ れきり動かなくなった。 ・ ・ ・ 夕暮れ時に、「べしゃり」と湿った音を立てて禿裸は宙吊りから開放された。 禿裸の念願は半ば叶った形で、禿頭だけは外界へ出る事ができた訳だ。 水溜りの中に転がり落ちた禿頭は、夕日に紅く染められていた。 もう、鳴かない。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 名スクの前ではアップし難い状況ですが、なんとか味を出せるよう精進します。 感想ありがとうございます。
