タイトル:【グッズ・飼愛護・野良虐】 あんしんママ—デジカメ様、挿絵有難うございました—
ファイル:あんしんママ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3602 レス数:0
初投稿日時:2007/11/17-00:03:54修正日時:2007/11/17-00:03:54
←戻る↓レスへ飛ぶ

—あんしんママ—

「テチュテチュ」「テチューン」
アパートの一室、無人のリビングで2匹の仔実装が遊んでいる。
この時間飼い主は仕事に出ており、この部屋に人間は1人もいない。
仔実装とはいえ実装石、放し飼いしておくのは色々と問題が有る。
盗み食い,家具の破損,糞害,事故死,等等一々挙げていたら枚挙に暇が無い程である。
「テチュウ?」「テチュチュ」
言っている内から好奇心旺盛な仔実装達は本棚に近付こうとしている。ところが…。
【デスデース】
「テチュ!」「チュチュ!」
無機質な声に呼ばれた仔実装達は慌ててその声の方向へと駆けて行く。
その先には緑色のマトリョーシカ人形の様な物が鎮座していた。

実装石の姿をしたその物体、通称『あんしんママ』正式名称を『あんしんじっそうママ』
飼い主の留守中に仔実装の管理をするための『ロボット』である。
全高60cm、体は緑色のプラスチックで覆われていて、
肌色の顔には右目に赤,左目に緑のランプが灯っている。
【デスデース】
この人形はPCとの連結が可能で、部屋の情報を入力しておけば、
先程のように危険な箇所へ接近した際に仔実装達に警告を発してくれる。

この他にも、
「テチュウ…」
午後三時を過ぎて仔実装達もそろそろお腹を減らしてきた頃だ。
【デスデース】
『あんしんママ』の腹部のハッチが開くと、その中には実装ゼリーが2つ入っていた。
「テチューン♪」「テチューン♪」
スイッチ1つで保冷・保温の切り替えが可能で、あらかじめ餌を入れておくと、飼い主が指定した時間に仔実装達に給餌をしてくれる。
また、この空間は身長15cm程の仔実装2匹が入れる程の大きさで、緊急時には『シェルター』の役割も果たす。

「テチャー!!」急に仔実装が尻を押さえてモジモジとし始めた、どうやらトイレに行きたいらしい。
【デスデース】
『あんしんママ』の足元から、引き出しの様にオマルがせり出してきた。
「テチュー」仔実装は慌ててオマルに座るとプリプリと排泄する。
排泄が終わるとオマルはすぐに収容され、糞は即座に乾燥・脱臭された。

【デスデース】
「テチュ!」「テチュ!」
食事が終わると『お勉強』の時間だ。
『お勉強』と言っても並の仔実装なら理解できる事も限られているため、飽くまで一日一回、教訓めいたお話を聞くだけの時間である。
【デス…デデス、デスデス…】
仔実装達は『あんしんママ』のお話を真剣な面持ちで聞いている。
教訓めいた人間の童話がそうであるように『ママ』のお話も恐ろしい物が多い
『炎の恐怖』『仔実装を食べてしまう恐ろしい野良実装』『人間の言う事を聞かないとどうなるか』
ちなみに今日のお話は
『盗み食いを咎められた事に逆切れして、姉を殺した仔実装が、恐ろしい鬼(の様な人間)の所に捨てられて火あぶりにされる』お話を
『最後まで』、であった。

「テチュチュ!!」「テチュテチュ!!」
仔実装達が『あんしんママ』の周りをグルグルと回り始めた。どうやら退屈を訴えているらしい。
【デスデース】
【テチューテチュー】【テチューテチュー】
今度は部屋の隅から『ママ』を全高20cm程に縮めたような物が2体現れた。
【テチューテチュー】【テチューテチュー】
これは『おともだちこじっそうちゃん』、仔実装の遊び相手を勤めるロボットである。
【デスデース】
柔らかなスポンジボールを使って、仔実装達は『おともだちこじっそうちゃん』とキャッチボールをする。
「テチュチュ!!」「テチュテチュ!!」
【テチューテチュー】【テチューテチュー】
コントロールの不得意な仔実装がコロコロと転がすボールを俊敏な動作で拾い、仔実装の居る方向へ優しく転がしてやる。
キャッチボールの他に、「おにごっこ」や「かくれんぼ」にも対応し、さらには知能,運動能力の高い仔実装のための追加プログラムとして
「サッカー」「ドッジボール」「すもう」「ブートキャンプ」等も用意されている。

「テチュー…」「チュー…」
仔実装達は遊び疲れたのか、『あんしんママ』にもたれて眠り始めた。すると…
【デッデロゲー・デッデロゲー…】
『あんしんママ』から胎教の歌が流れ始める。
——人間の言う事を良く聞きなさい。ワガママを言ってはいけません…。
安らかに眠る二匹の仔実装達…ところが。

【デデデ!デデデ!デデデ!デデデ!】
突然『あんしんママ』がけたたましい声で叫び出すと、腹部のハッチが開いた。
「テチュッ!!」「テチャァ!!」
仔実装達は飛び起きると、大急ぎで『ママ』の腹部に駆け込んだ。
『ママ』は仔実装2匹が体内に入った事を感知するとハッチが閉まり、両目のランプが緑色に変わる。
これは毎日最低一回、抜き打ちで行われる避難訓練である。非常時の生存率を上げるためだ。
【デッデロゲー・デッデロゲー…】
シェルター内に流れる胎教の歌、仔実装達は緊急事態を眠ってやり過ごす。

実はこの避難訓練が、必ず実施されるシチュエーションがある。
この部屋は建物の1階で、庭に通じる大きな窓が有り、
2体いる『こじっそうちゃん』は常時どちらかが片方が室内から庭を監視している。
『こじっそうちゃん』が『あるもの』を発見した場合、『あんしんママ』に警告を送り、
『ママ』が避難訓練の体裁をとって仔実装を体内に収納するのだ。

その『あるもの』とは、
「デェップップップップップ…」
説明するまでも無い『野良実装石』だ。そのまま野良実装石が視界から消えれば避難訓練は終了するのだが、

ガシャーン

どうやらそうは行かないようだ。
石を使って叩き割った窓から侵入してくる親仔合計3匹の実装石。
「デシャアアアアァァァァアアアッ!!!」
後退する『あんしんママ』を威嚇しながら親実装が部屋の中心にまで上がりこんで来た。
「デェップップップップップ…」後ずさりする『ママ』を見て勢い付く親実装。
「チプププププ…」野良仔実装達も調子に乗って『こじっそうちゃん』達ににじり寄って行く。
ところが

【ジャキン】
「…デ!?」「テチ!?」「チィ!?」
『こじっそうちゃん』のスピーカーが発した異様な音に野良親仔は凍りついた。
【ジャキン】【ジャキジャキン】
聞いた事のない音、記憶に無い音、それなのに魂の底から恐怖を掻き立てられるような音
【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】
己の優位を確信していたはずの野良親仔は何時の間にか部屋の中心に追い詰められていた。
【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】
「デェェェェ…」
正体不明の恐怖心からお互いを抱き締めてガクガクと震える野良親仔、そして…
【パカ】【パカ】【パカ】
『あんしんじっそうママ』達の緑色の外装が外れ、中から紺色のボディーが現れる。
頭部にシルクハットが展開し、両目のランプの光が左右逆に入れ替わった。
【ボクボーク】【ポクーポクー】【ポクーポクー】

そう『実蒼石』の姿、これこそが『あんしんじっそうママ』と『おともだちこじっそうちゃん』の真の姿。
実装石型のカバーや保育機能は実装石をペットとして飼育している家庭でも、野良実装除けとして使用したいという消費者の声に
より後から追加されたものだ。

【ボクボーク】【ポクーポクー】【ポクーポクー】
背中から大きな鋏の付いたアームが展開して変形完了である。特に『ママ』の鋏は実装石の首を容易に切断出来るほどの刃渡りを持つ。
「デデェェッ!!」「ヂイィッ!!」
【ボクボーク】【ポクーポクー】【ポクーポクー】
追い詰められた野良実装。
「ヂイィッ!!」
有る物に気付いた仔実装が突然走り出した。
「テッチテッチテッチテッチ…」
その先には本棚が有る、本棚の後ろに自分が入り込める隙間が有る。ここに隠れて現状をやり過ごし、ニンゲンの帰宅を待つつもりなのだ。
——自分はカワイイ。自分のカワイサを見れば【ジャキン】ニンゲンはコイツラを追い出して自分を飼うに違い無い
「チププププププププ」
幸せ回路全開の仔実装は気付かない、自分が先程から一歩も前に進んでいない事に。
【ポクーポクー】
血に染まる『こじっそうちゃん』の鋏、彼等は仔実装を優先的且つ確実に『処分』するようにプログラムされている。
家具の後ろに隠れた仔実装への対処ははっきり言って面倒の一言に尽きる上に、最悪気が付かなかった場合には家具の後ろが糞だらけになり
衛生上の問題だけでなく、家屋の資産価値を一気に下げてしまうからだ。

「デデエエエエエエエェェェェェ・・・・・・!!」
我が仔を真っ二つにされ震え上がる親実装を取り囲む『ママ』達
「ヂイィッ!!ヂイイイィィッ!!」
もう1匹の仔実装が母実装の後ろから必死に『ママ』を威嚇する。両目からはダラダラと血涙が流れ、口の端にはブクブクと泡を浮かべている。
——おまえ達なんかママがやっつけてくれる!!ママ!!ハヤくコイツラをやっつけて!!
「デッデッ…デエエエェェェェ!!」
ところが母親は自分の後ろに居た仔実装を掴み上げると、頭の上に仔実装を掲げたまま土下座をした。
「デェック…デェック…」
——こいつで勘弁してくれ、自分は見逃してくれとばかりにしゃくりあげる野良実装石。
「テチイイイイイイイイイイイッィィィィイィ!!」
母に裏切られ、生贄として差し出されてしまった仔実装は大暴れし、母の頭の上に糞を撒き散らす。
【ボクボーク】
これを見た『ママ』達は『目標に抵抗の意思無し』と判断し、プログラムを次の段階へと移した。
【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】【ジャキン】

暫くして飼い主が帰宅した。
飼い主はリビングの惨状を見て、直ぐにアパートの管理人に連絡を入れた。
幸いな事に窓ガラスは今日の内に入れ替えが可能なのだそうだ。
リビングに散らばる実装石の『糞』,『血液』,『髪』と『服』の切れ端と『仔実装1匹の死骸』を片付ける。
酷い有様だが好き勝手に家を荒され、部屋中に糞を塗りたくられる事を考えれば大分マシだろう。

部屋を片付け終わる頃にガラス屋を連れた管理人が訪れ、部屋は元通りとなった。
飼い主は『あんしんママ』達に実装石カバーを被せると、『シェルターモード』の解除コードを入力した。
『ママ』の両目が赤く光り
【テッテレー】
「テチュウ…」「テチューン…」
中から眠い目を擦りながら二匹の仔実装が現れた。
「テチューン」
帰宅を大喜びで迎える仔実装達を見ながら飼い主は『ママ』をPCに繋いで監視カメラのデータを確認する。
『ママ』は仔実装達の『守り手』であると同時に『監視役』でもあるのだ。
幸い今日も2匹は良い仔で過ごしていたようだ。
もし仔実装が飼い主の意に沿わぬ行動を取るのなら、シェルターモードの『育児室』は『処刑室』へとその役割を変えるのだ。
『ママ』達が真に守っているのは、仔実装達ではなく人間の生活に他ならない。

「テッテロチュー、テッテロチュー」
元通りの部屋、ここで何が有ったのかも知らずクルクルと踊り歌う仔実装達。
飼い主が最も癒される瞬間だ。
この仔実装達は一ヶ月前に『親指実装石』として売られていたものを買ってきた物だ。
実装石は仔実装として生まれるのが通常の出産であり、親指実装は未熟児に当たる。
寿命も短く、仔を産むことも難しく、育ってもせいぜい仔実装止まり、
親指実装の事を調べ、人間の都合でそんな体に生を受けた親指達を哀れに思った飼い主は、
せめて自分が出来るだけの事をしてやろうと思った、『ママ』達もその1つだ。

飼い主の指示により部屋の隅にある充電器へと体を落ち着ける『ママ』達、
明日も飼い主の留守を守るため、『あんしんママ』達は暫しの眠りについた。


あんしんママ—完—
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
毎度駄文にお付き合い頂き有難う御座います。

過去スク
託児?①②③番外編
早朝
夏の蛆実装
遊びの時間は終わらない 前,中,後編
飼育用親指実装石 
死神絵師
破滅の足音

デジカメ様、稚作 白保sc1206.『破滅の足音—北』,1196『飼育用親指実装石』に挿絵を頂き真に有難う御座いました。
有触れた『留守番ロボット』物ですが、多少自分なりに味付けをしてみました。宜しければお召し上がりください。




——オマケ——
『当然の事』

寒空の下、禿裸の野良実装石親仔が歩いていた。
一体自分達が何をしたというのだ。
ゴハンを食べたかった、だから人間の家に入ろうと思った。   当然の事だ。
入るのにジャマだったから透明な壁を壊してやった。      当然の事だ。
中に飼実装が居た。自分達が寒空の下ヒモジイ思いをしているのに
ヤツラはヌクヌクとオイシイ物を食べている。だから憎かった。 当然の事だ。
憎かったから殺してやろうと思った。             当然の事だ。
お腹が空いていたので殺して食べてやろうと思った       当然の事だ。
食べ終わったらヤツラの代わりに自分達が飼い実装に成る。   当然の事だ。
ヤツラより自分の方がずっと高貴で美しい。          当然の事だ。

どうして自分達が禿裸にされなければいけないんだ。
もう自分が居た公園にも戻れない。戻れば奴隷か食糧になるしかない。
家も蓄えた僅かな食糧も失ってしまったも同然だ。

人間にしてみれば
汚い野良実装に部屋を荒らされたくないし、まして自分の
飼い実装を喰われるなどたまった物ではない。         当然の事だ。
だから、備えをして、それに対処する。            当然の事だ。
禿裸にしたのは見せしめのためだ。              当然の事だ。

『当然の事』同士が衝突すれば強い方の当然が勝利する。    当然の事だ。

命が有っただけ有難いと思って貰おうとも思わない。
無力な野良実装が何を思おうと人間には関係ない。       当然の事だ。  

キキ————ッ!!

自分達の横に車が止まったかと思うと人間が降りてきた。
親実装はその人間を見て思った。
禿裸の自分達が生き延びるには人間に飼われるしかない。
だから何としてもこの人間に取り入らなければ。
親実装は仔実装を持ち上げると人間に差し出した。
正面から堂々と託児をするつもりだ。
仔実装も事の重大性を理解して必死に媚のポーズを取る。
最悪自分だけでも飼い実装になってやる。
「テッチュ——————————————ン♪」
人間に向かって最高に可愛い(と自分で思っている)ポーズをとり、最高に可愛い(と自分で思っている)笑顔を向ける。
(どう?ワタチはこんなにカワイイのテチ?)
その目の焦点は合わず、口は引きつっている。
(このカワイイワタチを飼わせてやるからコウエイに思うテチ?)
額には脂汗が浮かぶ。
ここで飼われなければ自分はオシマイだ。
(だからオネガ『ブンッ!!』『ブチッ!!』

何度も言っている気がするが、この程度の支払いの見返りが、
実装石の期待に沿う物であるはずがないのは『当然』を通り越して『真理』であろう。

『糞蟲1匹媚びた程度で真理が曲がるのなら誰も苦労しない。』

男が振り抜いたチタンヘッドドライバーの一撃で、仔実装は親実装の両手ごと吹き飛ばされた。
仔実装は数10m程吹き飛んだ後顔面から地面に着地、そのまま転がりながらヤスリの様なアスファルトに
右目、左手、右耳、右足、口、左耳、鼻の順に削り取られ、そのまま動かなくなった。
「デデエエエエエエエエエッ!!」
信じられないようなものを見た様に叫びながら後ずさりする親実装の鼻先に、ドライバーを突きつけて男は告げた。
「オマエか、ウチのアパートのガラスを割ってくれやがったのは!?」

アパートのガラスを割られた大家が怒る。           当然の事だ。
そして人間の怒りを買った実装石の末路は…          当然の事だ。


---------------------------------------------------------------------------------------------------------
さぁて書き終わったことだし早速upしなければ…って うをっ!!!…すげぇ…『渡り』が完結してる。
『日常』様お疲れ様でした。『渡り』完結おめでとう御座います。

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため9603を入力してください
戻る