「夢見る実装石3」 「さぁ、はやくこっちに来るデス」 ミミは長女を連れ、隠れるように公園の外に出て行こうとした。 公園と外界を隔てる段差、長女はそこで躊躇をしている。 長女は今まで公園を出た事が無い、その境界線を越える事に抵抗があった。 それにここを超えてしまえば心配な三女とも会えなくなる。 「ママ、やっぱち三女ちゃんは、どうちても駄目テチ?」 「何回言っても駄目なものは駄目デズ」 最後にもしかしてと思って聞いたが、ミミの返事はやはり同じだった。 「そんな事より、トシアキの家までは危険が一杯デス」 「特にニンゲンには見つからないようにするデス」 もう三女の事は諦めるしかない、長女は意を決して境界線を越えた。 (これでもう三女ちゃんとは二度と会えなくなったテチ) 長女は公園の入り口に三女がいるのではと、遠ざかる公園を何度も振り返る。 やがて長女の視界から完全に公園が見えなくなると諦めたのか、口をへの字に強くかみ締め正面を見た。 (ワタチはニンゲンさんの所へ行くテチ) (きっと辛い事が待ってる・・待ってる筈テチ、そうでないと一人だけ幸せになっちゃうテチ) 長女は空を見上げ、置いてきた次女と三女を思い出し心の中で約束する。 (ワタチはどんな事があっても我慢するテチ、ニンゲンさんに好かれるなら何でも言う事きくテチ) (そちたら・・・そちたらニンゲンさんにお願いするテチ、妹二人も連れて来たいって) (だからそれまで二人は仲良く生きているテチよ) 「ママ!」 浮かない顔をしていた長女がいきなり自分を呼んだ、ミミは身をかがめて長女を見つめた。 「ど、どうしたデス?」 「トシアキってどんなニンゲンさんだったテチ」 長女の問いはミミの頭にあの頃の記憶を鮮やかに蘇らせた。 トシアキは一人で孤独だった自分に夢の様なひと時をくれた。 そしてその後の酷い仕打ち。 それでも最後に残した花で自分に仔を授けてくれた。 ミミはトシアキの事を今でも愛している。 恋に焦がれてこの身を燃やして良いほど好きだった。 その思いは妄想によって拡大され、今でも変わらない。 「そ、それはもう、優しくて格好よくて・・オマエも一目見ればきっと気に入るデス」 「それにママの事を好きだって言ってくれたデス」 「デププ・・一方的にママはプロポーズされたデス」 長女はミミの言葉に疑問を感じ「なにかおかちいテチ」と首を捻った。 「な、なにがおかしいデス、どこもおかしくないデス」 「どうちてママはトチアキに飼われていないテチ」 「好かれてるならトチアキの巣にいる筈テチ」 「そ、それは・・・デスゥ」 ミミは返答が出来なかった、いや本当の事を思い出すと何も話せなくなってしまう。 自分が幾ら好きでもトシアキの方は全くその気が無い。 それどころか最後には全部が嘘だと明かされ、棒で叩かれ痛い目にもあった。 黙りこくるミミを見て、長女は聞いてはいけない事を聞いたと感じる。 (ワタチはなんて事を・・馬鹿だったテチィ) (もう二度と聞かない事にするテチ) 長女はそんな事を思いながら、ミミの後ろをついて行く。 二匹は黙ったままトシアキの家に向かった、重苦しい空気が二匹の心を暗くした。 暫くすると敏明のアパートに着いた。 長女は建物を見上げるとその大きさに驚く。 公園の一角とダンボールハウスが長女にとって世界の全てだった。 ニンゲン世界の大きさはそんな長女に衝撃を与えるには十分であった。 「大きいテチ、ニンゲンさんはこんな大きな巣に住んでるテチか?」 「トシアキはこの巣の上に住んでるんデス」 ミミは階段の一段目にしがみつくと、片足をかけて昇って見せた。 「オマエも同じ様にして昇るデス」 長女もミミと同じ様に一段目に手をかけてよじ登ろうとしたが、どうやっても昇る事が出来ない。 成体の実装石にとって二階への階段すら小さな山を登るに等しい物だ。 そんな階段を仔実装が昇る事はまず不可能と言ってもいい、 長女は手を滑らせると、「テチン!」と声を上げ尻餅をついた。 「テチチ・・痛いテチィ」四つん這いになってお尻をさすりながら長女はミミを見上げる。 ミミは慌てて昇った時と逆に降りると、四つん這いで痛がっている長女の背中を撫でた。 「気を付けるデス、オマエの体はトシアキに会う大事な体デス」 長女の手を握って起こし「トシアキはあの上にいるデス」と階段の一番上を指(腕?)さした。 階段の頂上部を見る長女は、そこがとてつもなく高い場所に見えた。 「無理テチ・・ワタチじゃ、あそこに行くのは不可能テチ」 ミミは長女のサイズを考えていなかった、これでは長女をトシアキの所へ連れて行けない。 暫く思案するとミミはある物を思い出した。 パンツの中からバッグ代わりにしているコンビニ袋をガサガサ取り出した。 「ママがこれに入れて行くデス」 コンビニ袋の口を広げ「さぁこの中に入るデス」と長女へ促した。 ミミは知らず知らずのうちに、敏明へスタンダードな託児方法を取ろうとしている。 長女はコンビニ袋の中に入ると「これならバッチリテチ、さすがママテチ」とミミを褒めてみた。 「デププ、当たり前デス、ママはそこらの実装石とは違うデス」 ミミの機嫌が直ると長女はホッとする。 階段を昇り始めたミミだが、コンビニ袋を片手に長女の分の重量増はさすがにきつかった。 半分ほど昇ると折り返して踊り場になっている。 ミミはそこでコンビニ袋を降ろすと、へたり込んで一息ついた。 「疲れたデス、ここらで一服するデス」 コンビニ袋から出てきた長女はキョロキョロと回りを見た。 「ここがニンゲンさんの巣テチ?」 「ちがうデス、ママが疲れたから休んでるだけデス」 「トシアキの巣はまだまだデス」 ミミを見上げると汗だくになっている、長女は自分の為に苦労しているミミを気遣う。 「ごめんテチ、ワタチが小さいから・・」 「気にする事はないデス、それよりオマエはトシアキに会った時の挨拶を覚えているデスか」 長女はトシアキの挨拶と聞いて、気が重くなる。 そもそもトシアキと言うニンゲンに飼われる必要があるのだろうか? 飼われなければ妹達とも別れる必要は無かった。 想像も出来ない新しい生活、長女は期待より不安の方が遥かに大きかった。 「う、うん覚えてるテチ、でも・・」 不安げな長女を見てミミは、取って置きの話を聞かせる。 「今からオマエの会うトシアキは、オマエの本当のパパデス」 「えっ、パパってニンゲンさんがテチ」 「そうデス、ママとトシアキは愛し合っていたデス」 「オマエはその時に出来たママとトシアキの仔デス」 愛し合っていたかはどうかはさて置き、ミミの頭の中では妄想が現実として認識されていた。 「ニンゲンさんがワタチのパパ・・」 長女は自分のパパが人間だと知り、頭の中で以前見た人間の親子を思いだした。 公園に遊びに来る人間の女の子は、何度か長女も見た事がある。 その時その女の子の傍らにはママとパパがいて、女の子はとても幸せそうに見えた。 凶暴なマラ付きとは違う優しそうな異性、女の子は安心してパパに抱きつき甘えていた。 あんな風に自分も甘えられたらどんなにか幸せだろう、トシアキはあの時のニンゲンの様に優しいのだろうか。 最初に会った時どんな顔をするのだろう、嫌われたりしないだろうか。 長女はトシアキの事を思うたび、心臓が高鳴るのを感じた。 「ママ、ワタチどこか汚れて無いテチか、変な所は無いテチか」 クルリと体を回して長女はミミに自分の体を見てもらう。 「心配ないデス、オマエはとっても可愛いデス」 「トシアキもオマエを見れば、きっと気に入ってくれるデス」 「でも、でも、もし嫌われたらワタチ・・」 「トシアキに会えば全て分かるデス」 「さぁ、もう一度バッグの中に入るデス」 ミミは長女をコンビニ袋に入れると、また階段を昇り始めた。 ドンドン、ドン、ドンドンドン! 敏明は朝からドアのノック音で叩き起こされた。 『誰だよ朝っぱらから、チャイムがあるだろうに』 ガチャリとドアを開けるとそこには誰もいない。 『なんだぁ、いたずらかよ!』 「デスゥ・・」 聞きなれた声に敏明は視線を下に向けた。 そこには恥ずかしそうに手と手を合わせモジモジとしている実装石がいた。 『ミミ・・お前ミミか?』 実装石は「デス、デスデス、デッスーン」と何か敏明に話している。 『ちっ』 敏明は携帯を取り出すとリンガルモードを開いた。 『いいか!今すぐここから消え去れ!』 『すぐにだ!消えなきゃ蹴り殺すぞ』 「話があるデス!話だけでも聞いて欲しいデス」 『話だと!それならすぐに話せ、さぁ話せ!話したら消え去れ、さぁ早く!』 「待つデス、待ってデス、トシアキはせっかちで困るデス」 ミミは手に持ったコンビニ袋を覗き込むと、小声で中の長女に囁きかける。 「さぁ、用意は良いデス」 「ママ、やっぱち無理テチ」 「胸がドキドキするテチ」 ミミはトシアキを見上げ「見せたい物があるデス」と告げる。 敏明は『あぁっ』と威嚇する様に答えた。 「こ、このバッグの中デス」 コンビニ袋を差し出すと、敏明は無造作にそれを受け取った。 『けっ、何がバッグだ、コンビニ袋じゃねーか』 コンビニ袋を覗き見た敏明は固まってしまう。 「テッチュ〜ン♪」 中では仔実装が実装石によくある媚ポーズを何度も繰り返していた。 『ほ、ほほー・・テメー良い度胸してやがるなぁ』 『この俺様に託児ってか?』 「ミミとトシアキの仔デス」 「トシアキには責任を取って欲しいデス」 敏明はコンビニ袋の口を二重にギュッと結んだ。 長女は敏明を見たとたん、ミミの教えられた様に必死に媚を繰り返す。 はじめて見る敏明は長女にとって理想的な姿をしていると言って良かった。 とても優しそうでマラ付きとは比べ物にならないと感じる。 だが一言も声をかけられず、いきなり袋の口を結ばれてしまった。 「ど、どうちたテチ、ワタチ何かおかちな事したテチ?」 コンビニ袋の中で長女が不安そうに事の成り行きを大人しく待っていた。 『責任ねー、意味わかんね』 『こうすれば責任も消えるだろうよ』 敏明は持っていたコンビニ袋を床に落とした。 グチャ!っと言う音と共に、中の長女が悲鳴をあげる。 「テチャァァァァ!!」 「デスゥゥゥゥゥゥ!な、なんて事するデス、トシアキは気が狂ったデスかぁ!?」 コンビニ袋には血と一緒に糞がこびりついているのが、外側からでも分かった。 敏明はそのコンビニ袋をつまみ上げると『二重に縛って正解だったな』と頷いた。 『たく、汚ねーんだよなお前ら』 『実装石の娘・・はっ笑わせんな』 ミミは敏明の足にしがみつき必死に「やめてデス!娘を助けてデス」と、訴える。 「痛いテチ!痛いテチ!足が折れてるテチ!なんでパパがこんな事するテチィィィ!」 袋の中の長女はいきなりの痛みと回りが見えない恐怖で、ブビビ、ブビビとパンコンを繰り返す。 『汚ねーなコイツ』敏明は手すりを見やると、そこにコンビニ袋を叩きつける。 「テジュッ!」 ボキッっという感触が敏明の手に伝わる、長女は背中を叩きつけられ背骨を叩き折られていた。 「チュァァ・・・息が出来ないテチィィ・・カハァ・・ゼーゼー」 「デァァ・・お願いデスゥ、娘は何もしてないデス、殺さないで欲しいデス」 「オロローン、オロローン、デスン、ヒック、ヒック」 敏明の足にしがみついているミミは必死に長女の命乞いを繰り返す。 自慢の娘が死んでしまう、妹や自分の事にまで気遣ってくれる賢く優しい娘なのに。 敏明の話をしたら目を輝かせ憧れ、あんなに敏明に会うのを楽しみにしていた。 それなのに長女は今、その敏明によって殺されようとしている。 ミミは床に土下座をして、長女の命乞いを始めた。 「もう、もう二度とトシアキの前にワタシは現れないデス」 「だからお願いデス、娘の命だけは助けてデスゥ」 敏明はしゃがみこむとミミを覗き込む。 『最初からそう言えばこうならなかった』 「そ、それじゃ娘は助けてくれるデス」 ミミの顔がパァっと明るくなる。 だが敏明の目は濁ったままだった。 『・・駄目だ』 グチャ!っと言う音と共に、敏明はミミの目の前でコンビニ袋を床に叩き付けた。 「ジュァッ!」 長女の短い悲鳴がコンビニ袋から聞こえて来る、袋の中は何か気味の悪い液体で溢れている。 ベチャンッ! 「チュァァァ!」 グチュ! 「テヒィ!」 バチン! 「チュッ!」 ビチィ! 「テッ」 ・・・ ・・ ・ ・ 何度もか床にコンビニ袋を叩きつけると、やがて長女の声も聞こえなくなった。 『もう死んだな・・』 敏明は泣きじゃくるミミの顔の前に、その袋をベチャリと置いた。 『いいか、実装石の分際で娘だとか抜かすからこうなるんだ』 『この汚い汚物を持って、さっさと帰れ』 コンビニ袋に抱きつくミミは長女が完全に死んでしまった事を、親子の信号で分かってしまう。 「ひどいデズゥゥゥ・・何も殺さなくてもいいデス」 「トシアキがこんなに残酷だとは・・デスゥ」 「娘を返してデスゥ、今すぐ生き返らせろデスゥゥゥ」 『うるせーよ!』 袋を抱えたミミをトシアキは蹴り飛ばした。 ミミはとっさに袋の中の長女を庇って、敏明に背を向けた。 ボグン!と鈍い音と共にミミの背中に激痛が走る。 袋を抱えたままのミミは階段を転がり落ち、折り返しの場所で壁に激突して一番下まで落ちていった。 バシャァァン・・ 一番下に落ちたミミは仰向けになった、すると抱えていた袋が破裂する。 ベチャベチャと長女の血肉と糞がミミの全身に降り掛かり、ミミを長女の液体で汚した。 「これが・・これが、あの可愛いワタシの娘のなれの果てデス・・」 両手を拡げ赤緑色の液体を見やると、ミミはその液体を抱きしめる。 「デゥゥゥ・・・デァァ・・デギャデギャ」 さっきまであの踊り場で楽しそうに語りかけていた娘が、今はこんな姿になってしまった。 歯を食いしばり、震えながら抱きしめるが、肉片では長女の欠片も感じる事が出来なかった。 ミミはその肉片を掻き集めて、破れたコンビニ袋に泣きながら詰め始める。 エック、エックとしゃくり上げ、何度もその液体をすくっては破れた場所から詰め込んだ。 「どうしてデス?どうしてこんな事になるデス、ミミはオマエの為にって・・デスゥ・・」 大事そうに長女の血肉の詰まったコンビニ袋をお腹に抱え上げると、敏明の部屋を見上げる。 そこにはもう敏明はおらず、しんと静まり返った空間があるだけだった。 ミミは二度と敏明の部屋を振り返る事もなく、出来の悪い娘の待つダンボールハウスに向かった。 敏明は仔実装ならネズミ程度の大きさなので殺す事に罪悪感も沸かなかった。 だ成体となると子犬程度の大きさがある為、殺す事には抵抗があった。 ミミはそういった意味では運が良いと言えるだろう。 △ 無言で帰ったミミを待っていたのは、餌をねだる二匹の娘だった。 「遅かったテチ!」 「早く餌を食わせろテチ」 「ママの癖に娘を飢えさせるなんて糞蟲と一緒テチ」 娘の台詞を無視してミミは、ダンボールハウスの奥へ長女の肉片が詰まった袋を抱えて座り込んだ。 もはや抜け殻といって良い表情を浮かべるミミに、三女が辛辣な言葉を投げつける。 「餌はどうしたテチ!早くよこせテチ」 「お腹へったテチ!お腹へったテチ!」 「お姉ちゃんばっかり、ひいきしてママはずるいテチィ」 そんな三女にミミは「お姉ちゃんはもういないデス」と、告げる。 気になった次女がミミに聞いた。 「もしかして、お姉ちゃん死んだテチ」 ミミはこくりと頷く。 「これからはオマエ達二人だけデス、お姉ちゃんの分も頑張るデス」 次女と三女は顔を見合わせると、三女が口を開いた。 「チププ・・これで食い扶持が一匹減ったテチィ」 次女も口を開く。 「何かと偉そうにしてて、ワタチ嫌いだったテチ」 「これで五月蝿いのが消えたテチね」 三女も次女に合わせた。 「そうテチ、アイツは何かと説教臭くてワタチもうんざりだったテチ」 「死んでくれてせいせいしたってもんテチ」 ミミは二匹の娘がここまで糞蟲だったのかと改めて知る事となる。 長女は最後の最後まで妹達を心配していたと言うのに。 三女がミミの抱えている血肉の詰まった袋に気付く。 「それはワタチのゴハンテチ?」 「ちがうデス、これがお姉ちゃんデス」 三女は少し考えると「お姉ちゃんでもゴハンテチ?」とミミに聞いた。 ミミはさすがにあきれ、何も答えられない。 「あの糞蟲も最後には良い事したテチ、ワタチのゴハンになったテチ」 長女の詰まった袋に手を出そうとする三女をミミは許さなかった。 「何を考えているデス、オマエのお姉ちゃんはオマエの事を一番心配していたデス」 「うるさいテチィィィィ!お姉ちゃんお姉ちゃん、ママはお姉ちゃんしか言えないテチかぁぁ!」 いきなり喚き出した三女にミミは「オマエが死ねば良かったデス」とポツンと本音を漏らした。 三女はブルブルと震え、今にもはちきれそうな表情を浮かべる、 その様子を次女が「チププ」と笑いながら観察していた。 「とにかくその餌は全部ワタチのもんテチィ」 袋にかぶりつく三女にミミは、前髪を掴み上げ引き摺り倒した。 「テァァァ・・アァァ前髪がぁぁ無くなったテチ」 ミミの手には三女の前髪が握られている、そして三女の前までゆっくりと歩いて行った。 「オマエを間引きしなかったのは、お姉ちゃんのお陰だったデス・・それをオマエは・・」 「テァァ・・なんテチ?ママ、今のは全部冗談だったテチ、本気にしちゃ駄目テチよ」 「なんか今日のママは怖いテチ、優しいママはどうしたテチ」 「うるさいデス!もうオマエはいらないデスゥ」 背中から三女を押さえつけると、首筋に噛み付いた。 プシュッと勢い良く噛み付かれた場所から血が吹き上げる。 すると逆流した血が三女の口から溢れてくる。 「ゴボゥ!ヂュア!ヂュア!チュァァァァア!」 三女はミミに何かを言おうとしているが、気道に穴を開けられ空気を吸い込む事が出来ない。 開いた穴から血と一緒に空気がヒューヒューと吹き出ては吸い込まれた。 ミミはその勢いで頭にかじり付く、ゴキ!バキ!ゴリ!っと音が聞こえる。 三女は自分の頭が潰れていくのが分かったとたん、プツリと電池が切れた様に動かなくなった。 ドジャァァァ・・・ブリ!ブッバァァァ・・ 傍らでは次女が恐怖のあまり盛大に糞尿を漏らしている。 「アワワ・・ママが狂ったテチ」 「ワタチも殺されて食べられるテチ」 次女は逃げようとしたが腰が抜けてしまい、糞尿の上でベチャリとへたり込んだ。 ミミは次女の方を見る、その口や前掛けには三女の血や糞が滴り落ちている。 「・・・オマエもいらんデス」 「次の娘の栄養になって貰うデス」 腰を抜かしたまま後ずさる次女はミミに抗議をする。 「娘って・・ワタチもママの娘テチ」 「いったい何を言ってるテチィ」 「オマエらなんか娘じゃないデス、ワタシの娘は長女だけデス」 「オマエ達は間引きの対象ってだけデス、時期が来たら長女の餌にするつもりだったデス」 「テチャァァァア!誰か助けてテチィ」 「コイツおかしいテチ!気が狂ってるテチ!」 「狂ってるデス?オマエはむかついたからじっくり殺してやるデス」 バキ! ミミは次女の顔を殴り倒した、顔を抑え痛みを噛み締める。 「殺さないで欲しいテチ、殺しちゃ嫌テチ」 次女の悲鳴が、敏明に命乞いをした自分の台詞と重なった。 その事が更にミミの怒りを上げる事になる。 「オマエなんかこうデス!」 グシャ! ミミは次女の顔を踏みつけると、次女の歯が折れ口から折れた歯がコロコロと落ちてくる。 「チェプ、チェププ!!チャァァァァ!」 馬乗りになり何度も何度も顔を殴りつけるミミ、その相手はトシアキと重ね合わせていた。 次女の排泄腔から止め処なく糞尿が吹き続け、辺りを次女の糞尿で濡らした。 30分以上の殴り続けたが、ミミの怒りはまだ収まらなかった。 そしてあまりの痛みに次女は奇声を発して、その地獄から逃れようとした。 「チュッパァァ!ピキャァァ!殺せテチィ、もう殺してテチィ」 ズブリとミミの腕が次女の左目をえぐった。 えぐった目をみてコリコリとその目を齧ると、まだ繋がったままの神経がビクビクと脈打った。 次女は「アァァ、アウアウゥー」と言いながら空気を掴もうともがいている。 ミミはその腕に噛み付くと、目の前でブツリと噛み千切って見せた。 千切れた両手をまだ見える目で見て次女は「テッチュ〜ン♪」と、無意識に媚を繰り返す。 もう次女の意識はどこかへ飛んで、本能だけで動いている。 そんな次女もミミから偽石を抜き取られ、 目の前で齧り壊されると「テギィッ!」と一言発して果てた。 ミミは我に返ると娘の血で汚れた自分の体を見た。 「ワタシはなんて事を・・おかしくなったデス」 ふらふらとダンボールハウスを出て、血で汚れた体を洗う為に噴水へ向かった。 ベンチの前まで歩いて行くと、人間がこちらに歩いてくる。 普段のミミなら警戒をして、どこかに隠れてやり過ごしていた。 だが今日は普段とは違う精神状態だった為に、何も考えられずそのまま素通りしようとした。 「・・・デププ」 実装石特有のあざけりさげすんだ笑い声が聞こえる。 ミミはその笑い声の方向を見た。 笑ったのは以前ミミが名前を拝借した、あの飼い実装だった。 「な、なにがおかしいデス?」 「デプゥゥー・・オマエの姿があんまり汚いから笑ったんデス」 ミミは自分の姿と、ピンク色の清潔なフリル付き実装服を着た飼い実装と比べてみる。 「う、うるさいデス、オマエには関係ないデス」 飼い実装はニヤニヤと笑いながらミミの回りを見て回る。 「血で汚れてるデス、大方オマエは自分の仔を食ったデスね」 図星を突かれミミは顔を真っ赤にした、怒りと恥ずかしさが一緒になってどうにも言えない気分だった。 『ミミ、あんまり野良とは付き合うな、きれいな服が汚れちゃうぞ』 「はいデス、コイツがあんまり汚いから注意したやったデス」 ミミは「ワタシはミミって名前があるデス、コイツじゃないデス」と本当のミミに言った。 「気に入らんデス、オマエは今日からミミって名前を使う事は禁止にするデス」 「なんて名前だろうがオマエには関係ないデス」 「関係あるデス、ミミって名前はミミの愛するご主人様に付けて貰った名前デス」 「ご主人様もいないオマエのミミは無効デス」 「いいデス、二度と使うなデス、分かったかデス」 そう言って人間を見上げる本当のミミには、偽ミミの持っていない全てを持っていた。 きれいな服、金平糖、実装バッグ、広く暖かい家、愛するご主人様、 そしてそのご主人様に付けて貰ったミミという名前。 偽ミミは急に自分が惨めになり、その怒りが本当のミミへと向いた。 「う・・るさい・・うるさいデスゥ!オマエなんか殺してやるデスゥ!」 その瞬間、行動が予測できていたのか、本当のミミは主人の足に隠れた。 『てめっ!俺のミミに何しやがる!』 ゴスン!と人間に蹴り上げられた偽ミミは「デジャ!」っと短い悲鳴をあげ吹っ飛ばされた。 仰向けに倒れる偽ミミに人間がぐりぐりと踏みつけた。 傍らで本物のミミが「もっとやっちゃえデス」と主人を焚きつけている。 何度か踏み付けられると偽ミミは痛みで動けなくなり、その様子を確かめに真ミミが足でツンツンと小突いた。 動けないのを再確認すると「オマエなんかこうデス、こうデス!」と何度も蹴り降ろす。 「わかったデスか!今日からミミって名前は使うなデス」 「もし使ったらご主人様に言いつけて、ぶち殺してもらうデス」 「わかったデズゥー、もう二度とミミは使わないデス」 「だからもう痛いのはやめてデス」 「分かればいいんデス、今日はこれ位にしてやるデス」 「ご主人様、ミミは疲れたから抱っこしてデス」 本物のミミは主人に担がれるとどこかへ行ってしまう。 「デシ・・ひどい目にあったデス」 ミミは立ち上がると噴水へとまた歩いて行った。 その間ミミはなぜか涙が出てしょうがなかった。 夢で見ていたあの場面を自分相手にやられてしまう。 惨めで惨めで、妄想した事すら恥ずかしかった。 噴水に近づくと一匹の実装石がなぜか逃げる様にどこかへ行った。 気にする事もなく歩いて行くと、以前一悶着のあった、ボス実装が待っていた。 その回りには数十匹の実装石が囲んでいる。 「なんデス、ミミは忙しいから構っていられないデス」 ボス実装はミミの前で通せんぼをした。 「今日という今日はオマエを許すわけには行かないデス」 「この水場を汚された事は、ニンゲンからも目を付けられたデス」 「野良実装には野良実装のルールがあるデス、ニンゲンに嫌われたら駆除の対象になってしまうデス」 「オマエはそのルールを侵したデス、金輪際オマエは噴水に近づく事も禁止デス」 ミミはボス実装の話している事など上の空に聞いている。 『知らんデス、ルールは破る為にあるんデス」 ボス実装の横を通り過ぎようとした時、ボス実装がいきなりミミを殴りつけた。 その瞬間、回りの実装石もミミを蹴り飛ばし始める。 リンチの始まりだった、ミミは腕を折られ足を千切られ次第にボロボロな姿へと変わり始める。 「やめてぇ!やめてデズゥ!もう噴水は使わないデス」 「殺さないでデス、言う事なんでも聞くデス」 ボス実装は最後に一発蹴り降ろすと、ミミは口から汚物を吐き出した。 「こいつ最初から血まみれだったデス」 「同属食いに決まってるデス」 「きっと仔食いに違いないデス」 ボス実装が「さぁ、制裁デス」と告げる。 ビリビリ・・ビリィー ミミの服が破られて行く。 ブチブチ、ブチチ! ミミの髪の毛が全て抜かれてしまう。 「これでオマエは禿げ裸になったデス」 「オマエの命もその姿じゃ長くないデス」 「みんな引き上げデス」 助かった!ミミは自分の命が助かった事が信じられ無かった。 野良とは言え、ルールを持って生きている実装石の集団は同属殺しまではしなかった。 だがその制裁にリンチの後の禿げ裸である、素直に殺された方が幸せなのかも知れない。 ずるずると体を引き摺ってミミは自分の巣へと向かう、 片足は食い千切られ、両腕ともボキボキに折れている。 頭と動く片足で何とか引き摺って行く。 巣に帰ればまた楽しい夢を見て過ごそう。 巣に帰りさえすれば餌となる娘の死体がある。 巣に帰れば体を休め、また仔を生んで、優しいニンゲンに飼って貰おう。 あの真ミミの様に・・・ ミミは何とか体中を傷だらけにして巣までたどり着いた。 娘の死体を食べ一心地つくと、やっと眠りに付いた。 そして楽しい夢を見ようと懸命に楽しい妄想を始めた。 だが妄想すれば妄想する程、ミミの目から涙が溢れて来る。 なぜなのか分からない、以前は妄想すれば幸せな気分になれたのに。 「デズゥー、涙が止まらないデス、何でデス」 「悲しいデス、楽しい事を考えているのに悲しいデス?」 ミミは気付いていなかった、夢は夢だから楽しいと言う事を。 敏明に振られ長女を殺され、二人の娘も自分が食い殺した。 そして真ミミに自分の立場を嫌と言うほど、見せ付けられる。 最後にリンチの後、禿げ裸にされてしまった、もはや飼い実装どころか生きていくのも不可能であった。 現実を知った者が幾ら楽しい夢を見た所で、それは全て悲しい現実へと変換されてしまう。 知らければミミは死ぬまで幸せだったのかも知れない、だがミミは全てを知ってしまった。 「ワタシの娘は賢くて優しい娘デス、トシアキに好かれて二匹で飼い実装になったデス」 「公園に娘とご主人様で散歩に行くデス、服は特注品デス、金平糖は食べ放題・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・デジャァァァ!!」 「デズデズ・・オロローン」 「エグエグ、デズーン」 「オロローン・・・」 「・・」 「・」 ダンボールハウスから一度だけ奇声が聞こえると、そこからは泣き声に変わる。 ミミは二度とダンボールハウスから出る事はなかった。 終わり ——————————————————————————————————————————————— HDクラッシュの後休んでいましたが、スクの本格的再開また始めます まずは人スクやって次はティファニーやりたいと思っています。

| 1 Re: Name:匿名石 2023/09/06-13:42:29 No:00007937[申告] |
| 長女は良いやつだったのに可哀想
他の奴らはスッキリした |
| 2 Re: Name:匿名石 2023/09/07-06:40:52 No:00007938[申告] |
| 糞蟲制裁と良個体理不尽惨殺がたっぷり楽しめて大変美味しゅうございました
|