タイトル:【飼育・観察】 蛆実装考察
ファイル:蛆実装考察.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4423 レス数:0
初投稿日時:2007/10/31-18:28:55修正日時:2007/10/31-18:28:55
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蛆実装考察


人はふとしたきっかけで思いもかけない事に関わってしまうことがある。

私の場合、そのきっかけは昼下の公園を散歩していた時のことだった。

定年退職後、特に趣味らしい趣味をもっていなかった私は暇を持て余すようになっており、
することも無いので近所の公園に散歩に出かけたのであった。

噴水の周囲に設置されているベンチに腰掛け缶コーヒーを飲んでいると、
「レフーッ」という蛆実装独特の鳴き声が、背もたれの後ろの方から聞こえてくるではないか。

なんとなく興味を持った私は鳴き声のする辺りを捜した。

すると一匹の蛆実装がいたのだ。
野生での蛆実装の目撃は極めて希であるというのにその上かなりのサイズに成長した大蛆なのだ。

蛆実装は産まれてすぐに死んでしまうか、他の同属の餌となることがほとんどで
運よく生き残っても単体では生存不可能なので、大抵は親実装が巣に匿って外に出すことはない。

珍しいこともあるものだなとそう思いながら辺りを見渡すと、やはり実装石の家族がいた。

仔実装のはしゃぎっぷりからして家族そろっての初外出なのだろう。

普段であれば巣から出さない蛆実装も全員が出かけることで、庇護者がいない状態ではかえって危険と
判断して連れて来たのだろう。

これらのことからあの実装石の家族は相当賢く家族思いの個体群であることに間違いないだろう。

すると姉妹と思われる仔実装で一番体格のよい個体が蛆実装に近付いてきた。

蛆実装もそれに気づくと、ひときわ大きな声で鳴いてアピールし始める。

そして仔実装が目の前に来た時であった。

突如、蛆実装が上体を起こして仔実装の胸に寄りかかったのだ。

蛆実装は未熟児で身体能力が低くて這いずることしかできないと思っていた私はその光景を見て大変驚いた。

蛆実装も成長すれば身体能力が発達していくものなのだろうか?

それが、いままでさして気にも留めなかった蛆実装への興味の始まりであった。


それから私は蛆実装に関する文献を集め、ネットの情報を検索して回った。

一般に言われている蛆実装は未熟児で総じて知能が低く、移動も這って行うことしかできず
常に総排泄孔から水便を垂れ流している。

また、腹部への刺激を何よりも好みどんな相手に対してもそれを要求してくる。

ざっとこんな感じである。

だが、私が目撃した蛆実装の身体能力の発達に関する情報はほぼ皆無であった。

そして調べていく内に一つの事に気が付いた。

蛆実装には二通りの生まれ方があるということだ。

一つは未熟児として生まれるケース

もう一つは産まれてすぐに粘膜が除去されなかったために、そのまま固まって
蛆化する場合とである。

私はこの点に注目した。

未熟状態で出産されるものと比べて蛆化した個体とでは、なにか差があるのやもしれないと。

私は早速サンプルの収集をした。

未熟児として生まれた蛆実装のサンプルとしてペット用の生餌として売られているものを購入。

そして粘膜除去ができなかったために蛆化したもののサンプルとして公園の公衆便所で出産中の実装石を見つけて
生まれたての仔実装を採取した。(一応近くの水道で粘膜が落ちない程度に洗浄)

あと、ついでに参考までにと抗議してきた親実装を用いて強制出産で産ませた蛆実装も採取した。


家に持ち帰ると、とりあえず肉体強度を確認することにした。

まず元生餌のグループからだ。
適当に一体をとりだしタッパーに移すと各部をガラス棒で突いて調べてみる。

やはり頭部以外に骨格がある様子はない。

背骨にあたる部分にはイカの軟骨のような手ごたえしかなかった。

ひっくり返して腹部を突くと今までとは違う反応を示した。

レヒャッ、レヒャッと鳴きながら勢い良く水便を総排泄孔から断続的に噴出させるのだ。

さらに続けると突起状の小さな手足を激しく動かして身をよじりだす。

なんか面白くなって突き続けると、突然パキンという小さな音がして絶命してしまった。

快感の刺激が強すぎて偽石が耐えられなくなり自壊したようだ。

チリぃ・・・ひたすらチリぃ。

次に強制出産で生ませた蛆実装を同じように突いてみた。

だが、強制出産で産ませたせいか先ほどのものよりも、さらに脆く
頭部は極めて薄い殻状で少し押しただけで砕けた。

仕方ないのでもう一匹取り出してさっきのように体を突こうとしたが触れたとたんに
潰れてしまい腹部を刺激してみることも満足にできなかった。

脆過ぎるだろこれ・・・

そうしている間に程よく粘膜が固まって仔実装が蛆化していた。

咬み終えたチューイングガムみたいになっていた粘膜を丹念に除去すると
さっそく一体をタッパーケースに移して先ほどと同じように調べた。

やはり思ったとおりだ。

弾力に富んだ手ごたえがあり、体にはひとそろいの骨格があり、先ほどのものと比べても
体は丈夫であり簡単に潰れない。

頭部も並の仔実装と同じくらいの強度があり、ガラス棒で押した程度で砕けたりしなかった。

これら三つの異なる生まれ方をした蛆実装は肉体強度において明らかな違いがある。

さらにそれらの違いを見極めるために飼育してみる事とした。

とはいえあまり多数は飼育できないので、今回はそれぞれ健康そうなのを5匹ずつ選んで残りは処分した。

60cm水槽を三つ用意してサーモスタット制御ヒーターと、
点灯と消灯を自動的に行うタイマー付き照明をセットして床面には蛆ちゃんマットという商品名の専用飼育土を敷いた。

これは柔らかく衝撃吸収性が高く蛆実装を傷つきにくくするばかりか、常に垂れ流し状態の排泄物を吸収して
掃除を楽にしてくれる優れものだ。

餌に関してはゼリータイプの蛆実装専用フードを一日二回自動給餌装置で供給するようにした。

我ながら凝り出すと止まらなくなる性分が恨めしい。

思いがけない出費となってしまった。

だが、避けて通れない問題が一つあった。

それはプニプニである。

蛆実装はストレスに弱く些細なことですぐ死んでしまう。

プニプニは蛆実装のストレスを緩和するための大切な行為なのだ。

毎日はさすがに大変なので一日おきとした。
なお強制出産組で生まれたグループは脆すぎるので柔らかい毛筆で慎重に撫でることとした。



飼育開始から一週間経過したところで早くも差が現われ始めた。

強制出産で産まれたグループが相次いで死んでしまったのだ。

飼育を始めてから一週間が経過した辺りからで食欲の減退や動作緩慢などの異変が始まりだしたのだ。

八日目に一匹が死んだのを皮切りに次々に死んでいった。
原因が分からず感染症の可能性も疑ったが、そんな様子ではなかった。

結局十日目の朝、最後の一匹が死亡して強制出産のグループは全滅した。

どうやら急速に形成されて産み落とされたせいで生命力そのものが極めて弱いようだ。
こればかりはどうしようもなかった。

(この観察の後に分かったことであるが、未熟状態や強制出産で産まれた蛆実装は一定期間は専用の流動食で
飼育しなければいけなかったようだ。野生だと親の糞を食べるらしい、この辺りは今後の観察対象としよう)

その後の一ヶ月は特に大きな変化はなく、残る二つのグループはスクスクと育っていった。

だが、その発育には差があらわれていた。

入手当初、元生餌のグループは平均全長が約8mm程で、現在12ミリほどに成長しているのに対して

蛆化した仔実装のグループは採取当初は同じく8mm程度であったが、一ヶ月でなんと30mmに達していた。

これは栄養状態よりも元々体を支える骨格がきちんと形成されているか、そうでないかの差が反映されているのだろう。

身体能力の発達も蛆化したグループは目を見張るものがあり、元生餌のグループと比べても活発に動き回っていた。

また、この頃になると知能の面でも発育差が明確になってきた。

実装リンガルを通しての会話や質問に対して、元生餌のグループは簡単なカタコトしか喋れず
またこちらの質問も単純な内容以外はさっぱり理解していなかった。

それに対して蛆化したグループは比較的しっかりした言葉を解し質問への理解と返答も
それなりに辻褄が合っており、それなりに知能があるようだ。

このごろでは私が水槽に近付くとプニプニを求めて集まる程にまでなり

私が顔を近づけると上体を起こしてこちらを見るという行動をするようになった。

ここにきて私は確信を持つことができた。

蛆実装といえどちゃんと育つことができれば、それ相応に知能も身体も育つことができるのだ。

そして、それと同時に野生の生活環境がこの脆弱な存在に対して、いかに厳しく無常であるかを
改めて思い知らされる事となったのだ。

今にして思えば、あの野良実装の家族は実装石としては希に見る賢さと強い親子の絆を有する
貴重な存在だといえる。

願わくば末永く達者でいて欲しい。



さて今後の計画だが蛆実装の繭化をぜひ観察してみたいので、蛆実装は引き続き飼育してしていこうと思う。

こういうものは、やはり実際に自分の目で観察していく方が面白いものである。

私は当分の間、新しい趣味として蛆実装の飼育観察に没頭してしまいそうである。
                                         

                                            END

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