タイトル:【虐】 長い話になってしまった・・・。
ファイル:「親殺し」の末路.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:9661 レス数:3
初投稿日時:2006/07/13-19:41:55修正日時:2006/07/13-19:41:55
←戻る↓レスへ飛ぶ



これは「降って湧いた災難」のその後の話です。














今日もいい日だ。
ワタシと子供たちは大きな木の下でうたた寝をしていた。
七匹いる子供達も丸々と太り、みんな幸せそうな笑顔を浮かべて眠っている。
どんな楽しい夢を見ているのかな?

本当にここに引っ越してきて良かった・・・。
ご飯には困らないし、危険な動物も少ない。
それにここには怖くて残酷なニンゲンがいないのだから最高だ。

この楽園が在るかぎりワタシを助けるために犠牲になったママや姉妹の分まで生きられそうだ。
これからもっともっと沢山の子供を産んで、
この世界がワタシの子供達で埋め尽くされるぐらい増えればニンゲンもワタシ達をイジめなくなるだろう。

幸せそうな子供達の髪を撫でながらワタシは楽しい空想を膨らませていた・・・・・。










「おい!!!
 いい加減に起きやがれデスゥ!!このノロマがぁ!!!」

頭に鈍い衝撃を受けてワタシは飛び起きた。
・・・・・・・・・・・・・夢・・・・だったのか・・・・。
声がした方向を向くと眉間に深いしわを寄せた禿裸の実装石が立っていた。

「このクソが!!!寝坊なんていいご身分デスねぇ・・・・。
 もうじき朝の点呼の時間デス「親殺し」!10秒で支度してサッサと並びやがれデス!!」

「あ・・・ありがとうデス・・・10番さん。」

「・・・・・・・・・。」

「10番」と額に書かれた分類石候補生はワタシのお礼を無視して足早に教室に向かって走っていった。


ワタシはみんなの嫌われ者だ・・・。
ニンゲンから無理矢理与えられた「親殺し」という忌まわしい名の所為で・・・。
実装石にとって名前は特別なもの。
こんな忌まわしい名であったとしても、固有の名前を持つワタシは他の同族の妬みの対象になる。
だからワタシは他の分類石候補生から酷いイジメを受けている。

そもそもワタシが「親殺し」という名で呼ばれるようになったのは・・・・。
ワタシがママを焼き殺したご褒美としてニンゲン様に飼ってもらえることになったからだ。
これはワタシのママが全てを捨ててニンゲン様から取り付けた約束・・・。
だが、その前にワタシはニンゲン様の出す試験に合格して分類石という物にならないといけない。
そのためにワタシは過酷な集団生活を送らされている。

「10番」がワタシを起こしにきたのも親切心からではない。
点呼の時間に全員が揃っていなければ・・・
遅れた者は処刑され、残りの者も無残な傷跡が残るほどの罰を受けるからだ。
ワタシは急いで掛け布団(木綿製の薄手の物)を畳んで自分のロッカーに放り込んで、全速力で教室に向かう。

ワタシ達、分類石候補生は非常に厳しい規律の中で生きることを強制されている。
ここに入れられた時100匹はいた候補生も今ではワタシを含めてたったの5匹しかいない。

分類石になるための勉強がちゃんと理解できなかった子、
規律をほんの少しだけ守れなかった子、
そしてこの厳しい世界に生き続ける事が耐えれなくなって・・・ママみたいに狂ってしまった子、
そうした落伍者たちは・・・とっても酷い殺され方をして、生き残ったワタシ達への戒めとされた。
生き残りのワタシ達はニンゲン様の思惑通り、
生き残るために・・・・そしてあんな惨めな死に方をしないで済むように、毎日一生懸命勉強している。


急いで教室に駆け込み分類石候補生が整列している一番後ろに並ぶ。
よかった・・・・先生はまだ来ていない。

ワタシが安堵の溜息を漏らすと同時に残りの生徒が舌打ちをする。
・・・・・ワタシが罰を受ければお前たちもとばっちりを受けるというのに・・・・。

そうしていると、先生(3年以上分類石を務めた実装石)が教室に入って来る。

「おはようございますデス!皆さん。
 貴方達の運命を決めるテストもあと2日に迫りましたデス。
 今日も分類作業のおさらいをみっちりとやりますデス。
 今日も一日、頑張って勉学に励んでくださいデスゥ!」

ワタシ達は先生の後に続いて実習現場である出産石飼育室に向かう。


分類石にとってこの作業はもっとも重要なモノだ。
出産石から産み出される子供達を分類し、用途別に仕分ける。
仕分けの種類は大雑把に

生まれてから直ぐに言葉を話せるとても賢い仔、
言葉は話せないが意味のある返答をしてくる賢い仔、
普通の仔、
仔マラと呼ばれる代物、
奇形の仔、

の5種類に分けられている。

とても賢い仔は生まれてからすぐに自分を覆っている粘液を舐めたり、
何かしら特異な行動をしているので見分けが簡単だ。
大きな群を統率するリーダーになれる器があるとても賢い仔達はすぐにニンゲン様に回収されてゆく。
この仔達を取り上げることは分類石にとって非常に名誉なことだ。


普通の仔は生まれてすぐには自ら行動を起こすことは無く、親の代わりに体を包む粘液を舐め取ってやるまで
生れ落ちた時の歓喜の声が嘘みたいに眠ったように静かにしている。
体を覆う粘液を舐め取ってやり、まともに目も開いていない仔に

「はじめましてデス赤ちゃん、ワタシが分かるデスか?」

と話しかける。
大体は「テチュー?」とか「テッチー♪」などの意味を成さない鳴き声や喜びの声を上げるだけなのだが、
たまに「ママァー♪」や「オナカチュイタテチュ♪」などと返答してくる仔もいる。
そういう仔は賢い仔に分類され、普通の仔とは違う所に運ばれていく。
この仔達の判別が一番の曲者だ。
この時点で意味のある単語を喋ったとしても本質的に賢いとは限らない。
その判別をつける方法は子供の目の色の澄み具合で判別しろとニンゲン様や先生に教わった。
賢い仔の目は綺麗に澄んだ色をしていて、バカな仔はドブの様に濁った目をしている。
この判定法を使って言葉を発した仔の賢愚を測り、最終的な仕分けをする。


仔マラの分別はどんな低脳な者でも簡単にできる。
粘液を舐め取ったあと、仔を抱き上げて股間を弄ればいい。
生まれたての子供だと股間を刺激されても発情したりしないでただくすぐったがるだけ。
そのとき股間にチューブ状の突起があれ、その仔は仔マラという事になる。

股間にマラの付いている者にも、とりあえず普通の仔と同じように話しかける。
この時点ではまだマラ付きとしての本能に目覚めておらず、普通の仔と変わりないからだ。

そして確立は非常に低いが、賢い仔マラというものがいる。
賢明でありながらマラ付きとして生を受けてしまった哀れな仔はニンゲン様たちにとても珍重されている。
この仔を取り上げる幸運に巡り会うことが出来ればニンゲン様から星が貰える。
この星は賢い仔マラのほかにも、天才の仔や非常に感情が発達した仔を正確に仕分けた者に与えられる褒章であり、
これを沢山持つ分類石はとても優秀な分類石として尊敬される。
その上、この星が30個溜まると色々なご褒美を貰えるで分類石達は目を皿の様にして仔マラを仕分ける。

だが、賢くないものを賢いと偽って星を貰おうとすれば・・・・・、
2度までは手足をもがれる程度で許してもらえるが、3度目は惨死をもって償わなくてはならない。

そのため、賢いマラ付きなどの星に繋がる仔の分別には細心の注意をもって当たらなけばならない。
故意の失敗でなくてもこの規則は適応されるからだ。


最後の奇形の仔は・・・・。
これは出産石の寿命が近いというサイン。
死んだ仔や実装石の形をしていない肉塊を生み出すだけになった出産石に未来は無い。
規則によりこんな役立たずに成り下がった出産石でも取り外して処分してはならない。
命尽きるその時まで子供を産み落とし、擦り切れて死ぬまで出産を強要される。

何のためにこんなことをするのかといえば・・・・、
未熟児や死んだ仔、奇形しか産まなくなった出産石が稀に産み落とす五体満足で生きている仔は
特別な仔である事が多く、賢い仔マラ並みの価値がある可能性が高い為だ。

末期の出産石の担当になれた者は幸せだ。
仕事が楽な上に、リスクなしで星が貰えるチャンスが転がり込んでくるから・・・。


以上のことを踏まえて分類石候補生は先生の監視の下で仕分けの実技を行う。
今日出産予定の出産石達の拘束ケージの前に並び、仔が産み落とされるのを待つ。
少しすると、

「カアアァァァ・・・・・。」

「テッチー♪」
「テッフー♪」
「テッチャー♪」
「テチューーン♪」
「テヒーーン♪」
「テチューーゥ♪」

歓喜の声を上げて、丸々とした仔実装が次々と生み出される。

「10番、仕分けを開始するデス。」

「ハイデス!」

10番と呼ばれた分類石候補生が産み落とされた仔実装が溜まっている受け皿に向かい、仕分け作業を開始する。
コイツは生き残りの5匹の中で一番愚鈍なヤツで、残りの3匹にいいようにこき使われている奴隷だ。
仕分け作業を苦手としているのでコイツはいつもミスをして先生に殴られる。
他の仔と情報交換の出来ないワタシにとってコイツの失敗は良い情報源だからコイツも捨てたものではない。

「で、できましたデス。先生、確認作業をお願いしますデス。」

仔を仕分け終えた10番が先生に確認を要請する。
先生は10番の仕分けした仔を一匹づつ確認してゆき・・・・、

「10番、コイツは賢い仔じゃないデスよ!
 何度言ったら分かるんです!鳴き声だけでなく目を良く見て確認しろと教えたはずデスよ!
 失格デス!!罰として腕立伏せ20回デスゥ!!」

「デェェェ!!!そ、そんなぁ・・・・。」

「次、37番仕分けを開始するデス。」

「ハイデス!」


・・・・・・・・・・・・・・・・。
残りの3匹は無事に仕分けを終え、いよいよワタシの番が回ってくる。

「次、親殺し仕分けを開始するデス。」

「ハイデス!」

ワタシは仔実装が溜まっている受け皿に向かい、深呼吸をしてから仕分けを開始する。
ざっと生まれた仔を見渡すと・・・・・皆静かに転がっている。
今回はとても賢い仔はいないようだ。

一匹目を抱き上げて素早く粘液を舐め取り、股間を弄った後に話しかける。

「はじめましてデス赤ちゃん、ワタシが分かるデスか?」

「テッチー♪」

この仔は普通だ・・・。
無印のまま普通の仔用のカゴに入れる。

2匹目は・・・・・なんだマラ付きか・・・。

「はじめましてデス赤ちゃん、ワタシが分かるデスか?」

「テチューーーン♪」

普通の仔マラか・・。
腹に×印を付けて仔マラ用のカゴに入れる。

三匹目・・・。

またマラ付きだ・・・。

「はじめましてデス赤ちゃん、ワタシが分かるデスか?」

「チューン♪」

やれやれ・・・。
腹に×印を付けて仔マラ用のカゴに入れる。

4、5、6、7匹目と普通の仔が続き、最後の8匹目・・・。

「はじめましてデス赤ちゃん、ワタシが分かるデスか?」

「ママ・・・ゴハンチョウダイテチュ♪」

おお・・・賢い仔の様だ。
だが、油断は出来ない。
この仔の顔を良く覗き、瞳の澄み具合を見届ける。
ガラスの様に澄んだ目をしている・・・本物だ!
この仔の腹に○印を付けて賢い仔用のカゴに入れる。

「先生、仕分けを終了しました確認をお願いしますデス。」

先生が丹念にワタシの仕分けした仔を一匹づつ確認して・・・・・。

「・・・・・・・・・きちんと仕分けされているデス、合格デスね。」

やった。
今回もうまくいった。
やはり目を見て賢愚を判断する方法は良い様だ。

「では、次の仕分けに入るデス。
 皆、こちらに来るデスゥ。」

先生に引率されて次の場所へ移動する。
その後も就寝の時間が来るまで延々と子供の仕分けの実技を行った。
その際、ワタシは2度取り違えて罰を受けた・・・。




そして、運命の日。
3回の仕分けを行い、100点満点でクリアしなければ不合格で死刑になる。
既にワタシ以外の候補生は試験を終え、10番以外は合格した。
最後に一匹残されたワタシは不安に震え、落ち着かない。

話して不安を紛らわすことも出来ない。
考えれば考えるだけ・・・悪い結果しか頭に浮かんでこない。

「親殺し!試験の時間デスゥ!!
 こちらの部屋にさっさと来るデス!!」

先生の声が掛かり、ワタシの試験が始まる様だ・・・。
ママ・・・・どうかワタシを守って・・・デスゥ。


出産石飼育室に設けられた試験場には3匹の先生とご主人様がいた。

「よう親殺し、久方ぶりだなぁ。
 今日の試験を無事合格できれば分類石として飼ってやろう。
 精々、お前の為に死んでいったママの為にも合格しろよ。」

「はいデスゥ!!」

ワタシは背筋を伸ばし、ご主人様に返事をする。
ここを上手く乗り越えなければ・・・・・。

先生達とご主人様が見守る中、ワタシは試験に臨む。
1つ目の仕分けは生まれた仔が7匹の内・・・賢い仔1匹、普通の仔6匹
2つ目の仕分けは生まれた仔が4匹の内・・・仔マラ2匹、普通の仔2匹

とりあえず今までは上手くいった様だ。
このまま何も無ければワタシは生きてゆくことを許される。
さあ、最後の仕分けを始めよう。



「親殺しは賢い仔の判別が得意じゃないようだな。
 随分と取り間違いをしているぞ。」

「はいデス、ご主人様。
 あの能無しは声を出す仔だけを賢い仔だと思い込んでいるので
 何も言わない普通の仔に紛れ込んでいる賢い仔をよく見落としているデス。
 今回も2匹の賢い仔を見落としたデス。
 よろしいのデスか?あんなクズを分類石にして?
 あんな能無しが紛れ込んできたら業務に支障が出ると思われるデスゥ。」

「それは分かっている。
 だから、親殺しは新人研修とか言って隔離して分類させろ。
 常に見張りを付けて、アイツの仕分けした仔を再度確認してから納品させるんだ。
 親殺しの見張りにはお前の眼鏡に叶う頭の切れて忠誠心の高い奴を付けろよ。」
 
俺が2ヶ月ほど前に駆除した実装石親子の生き残りである「親殺し」という名の実装石は、
はっきり言って期待はずれも良い所だった。
仔実装の頃は多少聡明(実装石にしては)で情緒が発達している様に思えたので
これは良い虐待が出来るかなと喜んだのだが、分類石候補生として3日ほど飼育してみれば・・・
普通より多少優れた仔蟲でしかないことが判った。
姉蟲のクズの糞蟲度の高さに霞んでしまって、コイツの評価を水増ししてしまった様だな。

親殺しが嘘を吐かないのは頭がそこまで回らないだけ、
物覚えが普通の仔蟲よりはマシだが応用がまるで出来ない。
教えられたことはそれなりにこなすが、それ以外のことはまるで出来ない。
普通ならばサッサと始末してしまうのだが、コイツは実装石にしては細かい感情の起伏が発達していて
親殺し独自のアクションを見せてくれるので、沢山苦しめて、これ以上ないぐらい絶望させてから
地獄へ送ってやろうと思い、今回のような回りくどいことをやっている。

必死の努力の果てに手に入れた物を全て奪い、壊してやった時・・・こいつはどんな顔をするのか?
俺はそれを見たいが為にこの糞蟲を生かしている。

「耳無し、親殺しは分類石もどきとして職場に放り込む。
 なるべく早い時期に褒美を得られる様に細工して1〜2ヶ月で星が溜まるようにしろ。
 その間はお前たちの餌をいつもより上等なモノにして、金平糖も時々与えるとしよう。
 そして親殺しの最終的な始末はお前たちにさせてやる。」

「承知しましたデス、ご主人様。
 分類石全員にこの命令を徹底させるデス。」
 
「よろしい、どうやら試験が終わったようだ。
 ・・・・試験は不合格の様だが、奴には合格だと伝えろ。
 他の合格者と隔離して、これからのことを説明してやれ。
 くれぐれも本当のことを洩らしたり、リンチで殺したりするなよ。
 もしもそうなったらどうなるか・・・・・お前はわかっているよなぁ?」

「は・・・はいデス! 
 ご主人様のご命令は絶対デス。」

耳無しと呼ばれた大柄な分類石はビクッと背筋を正して返事をする。
コイツは元Aランクの特級飼い実装で、
実装石規制法の施行でペットショップに出戻りしていたのを安く買い叩いた物だ。 
30回ほど生死の境を彷徨わせて性根を叩き直した後、分類石として再調教を施して今に至る。
同時期に20匹ほど買い入れた元Aランクの特級飼い実装の中でもコイツは
もっとも賢く、応用が利き、忠誠心が高い個体だったため、俺の飼っている分類石のリーダーを勤めさせているのだ。
その際、見分けが簡単に付くように両耳を焼き潰し丸坊主の様にしてやった。


親殺しを連れて隣部屋に去っていく耳無しを見送り、俺は他の合格者を出荷する。
無能の親殺しと違い、本物の分類石になった3匹の合格者は
虹乃宮財閥主宰の実装スタジアム付きの分類石として生きてゆくことを許される。

偽石を抜き、入念な糞抜きをした後・・・「分類石」と刻まれた熱々の焼き鏝を後頭部にしっかりと刻印して、
ゼリー状の実装活性剤に包まれた偽石入りのカプセルごと真空パックしてから出荷する。

まあ、こいつ等は職務に忠実であるかぎり身の安全と餌の心配をしなくていいので、
他の実装石に較べれば楽園に行くようなものだな。
少なくても仕事がこなせる内は理不尽な死と虐待は無い・・・・はず。
精々、頑張って生き恥を晒すんだな。

俺は生きたまま真空パックにされて無言でもがいている新米分類石達を眺めて嘲笑った。



晴れて分類石もどきになった親殺しは分類石達の陰湿なイジメに耐えながら必死に仕事をこなしている様子。
分類石の管理をしている彩華と監視役の耳なしとその配下の分類石から上がってくる報告によれば、
やはり親殺しの分別精度が悪く、声を出さない賢い仔蟲をよく取り落としているらしい。
優先的に星の対象になる仔蟲をよく産み落としている出産石を担当させているようだが成果は芳しくない様だ。

生活面でも随分と苦い思いをしている様子。
親殺しにも3度の餌や仕事後の水風呂などの分類石の報酬は与えているが、
他の分類石の待遇をほんの少しだけ上げているので、親殺しにしてみればかなりの差別として映っているようだ。

普通の分類石用の餌(オカラと安いペースト状の実装餌を混ぜたもの)を喰う親殺しの横で
少し豪華な餌(上記の餌に仔実装のミンチ肉を少々混ぜ込んである)を喰う他の分類石達。

親殺しは他の分類石全てが水風呂を使い終わるまで入浴することは許されず、
他の分類石達が入浴し終わった緑色の汚水でいつも体を洗い、風呂の後始末をやらされている。

寝床も大部屋のすみに追いやられて、横になるどころか足を伸ばして眠ることも侭ならない。

これらの苛めは全て「新人研修」の一言で済まされてしまい親殺しは抗議すらさせて貰えない。
こうして最初の1週間程は・・・・親殺しに自分の立場を分からせてやるために
何かあるごとに殴りつけて身の程を弁えさせていたが、親殺しが自分の立場をとりあえず理解したと思われた頃、
分類石達は親殺しを無視し始めた。

実装石にとって無視されるということは死ぬのと同じこと。
親殺しは常にいないものとされ、親殺しがどんなに声を掛け、相手を引っ張っても無視された。
監視の分類石も親殺しとは一切喋らず、親殺しの仕分けた仔を無言で取り上げるとすぐに持ち去ってしまい、
隣部屋で素早く仕分け直すと再度戻ってきて無言で仕事の再開を促す。

俺の飼っている分類石達には常時団体生活をさせている。
仕事時間以外は風呂も餌も寝床も全て一緒。
一日1時間だけ自由に喋っても良い時間のはいつも、
袋を被ったり、無表情のまま(どんな理由であろうと笑うと死刑になるため)
楽しそうに話す分類石達を親殺しは部屋の隅から羨ましそうに眺めている。
知能の高い分類石達の嫌がらせは中々のモノで、確実に親殺しの精神をすり減らしていった。


そんな生活が3ヶ月ほど続き、親殺しのストレスがピークに達する頃・・・・。
親殺しの星がようやく30個貯まり、褒美が得られることになった。
あまりに星の蓄積が遅いのでテコ入れをしたのだ。
コイツのアホ面を見ているのも飽きてきたのでそろそろ破滅させてやるとしようか。

「さて、30個星が溜まったようなのでお前に褒美をやるとしよう。
 何にするかね?とりあえず今から言うモノの中から選ぶといい。

 ・一日だけ腹いっぱい肉を喰える褒美
 (仔実装肉で作ったハンバーグを朝、昼、晩と満喫できるモノ。
  分類石達は仔喰い、同族喰いをしたことがないので分類する仔実装を見ても食い気を出したりしない。
  そのため一番安上がりな死んだ奇形仔実装や活性剤の原料から弾かれたクズを潰して分類石に振舞っている。)
  
 ・一日だけ仕事を休んで自由に過ごせる褒美
 (ただの休み。
  殆どの分類石が寝て過ごし、日ごろの疲れを癒す。)

 ・お楽しみ部屋を使用できる褒美
 (お楽しみ部屋はストレス解消用の施設のこと。
  虐待用の奴隷石をいたぶるプレイスペースやオナニー用の小部屋(小型の段ボール箱)などの遊戯施設があり、
  褒美で与えられる10枚のコインを消費して1時間施設を使用できる。
  日ごろ抑圧されている分類石にとっては夢の空間。
  ちなみに料金は・・・・、

  ・豪華な風呂に入る  9
  ・奴隷石を虐待する  7
  ・オナニーをする   5
  ・テレビを見る    2
  ・実装服を着る    1

  どれも人間から見れば取るに足らないものだが、分類石達にはすこぶる人気が高い褒美だ。)
  
 ・マスクを貰える褒美
 (一日に1時間だけの自由時間に使う物。
  これを被っていれば声を出して笑わないかぎり、顔が笑っていても罰せられない。
  殆どの分類石が持っている物。
  先輩分類石の教えで新米分類石が一番初めに選択する褒美。)
 
 ・3週間の休暇と子供を産んで育てる褒美
 (これはクズや能無しを弾くための罠。
  過極な環境で2週間ほどの妊娠期間の後に子供を産み、1週間育てる。
  休暇の最終日に自分の生んだ仔蟲をその手で始末させ、再度分類石試験を行うもの。
  3週間というブランクは実装石の中でも最高クラスの知能と慎みを持っている分類石を堕落させるに十分な時間。
  公園の野良に毛が生えた程度にまで知能が低下し、恐怖と苦痛をもって叩き込まれた人間への忠誠心も
  銀河の彼方へ旅立ってしまっている糞蟲がほとんど。
  そのため分類石に復帰できたものは今のところいない。
  そもそもこの褒美を選ぶ愚かな分類石は、
  実装石の本能に刻まれた”子供を産んで育てれば幸せになれる”という妄想を捨てきれない低脳蟲や
  他の分類石達に仲間外れにされ孤独を憂いて本能を思い出し仮初の幸せを得ようと思いついた嫌われ者ぐらいだ。)
  
 ・退職する褒美
 (要するにこの世からリタイアするということ。
  痛みや苦しみは与えず、ただ保管されている偽石を砕いて殺すだけの処置。
  これは星を300個溜めないと選択できない褒美。)

親殺しはソワソワしながら考え込み・・・・、
3分ほどしてから答えを出した。

「ワタシは3週間の休暇と子供を産んで育てる褒美を頂きたいデス。」

案の上、これを選んだ愚かな親殺し。
しょうがない低脳だなぁ・・・・。
これ以上ないぐらい罠ですと書いてあるようなモノをホイホイ選ぶコイツの脳天気さを褒めてやりたいな。

「いいだろう、では今からその処置をするとしようか。
 お前は右目が無いから、まずはそれを復元してちゃんと仔蟲が産めるように治すとしよう。」

親殺しを吊るして、分類石用の大部屋から隣に移る。


作業台の上に気を付けの体勢で放置しておき、材料を箱の中から取り出す。
今日の朝、散歩中に見つけてもてなしてやった糞蟲お母さんを吊るし出て親殺しの前に放り出す。

「デェ・・・!」

自分の目の前に転がってきた同族を見て慄く親殺し。
それは手足が無く、顔の皮が引き剥がされていて、
総排泄口から一文字に切り開かれた腹の中には心臓と肺以外の臓器が見当たらない。

続いて仔蟲を取り出す。
3匹の仔蟲は禿裸に剥かれ、総排泄口に太い木の枝をねじ込まれているのでまともに歩くことも出来ない。
痛みに震え泣き、しきりに母親に助けを求めている。
いい鳴き声だ・・・仔実装の悲痛な叫び声は心が洗われて良い。

「さあ、親殺し。 
 これから材料をこの糞蟲お母さんから採取するよ。
 お前の出産機能の復元は褒美の中に入っていないからこれからやるのは俺の善意みたいなものだな。
 でも、何事も報酬を得るためには労働をしなくてはなぁ・・・だから、お前にも相応の仕事をしてもらおうかな?」

「・・・・な・・・何をすればいいんデスゥ?・・・」

「そこで震えている無様な仔蟲どもを殺せ。
 そうしたら、そこの糞蟲お母さんの目玉を抉ってお前にくれてやる。」

「な・・何でその仔達を殺さなきゃいけないんデスゥ!!」

親殺しの大声に慄く仔蟲ども。

「じゃあ、子供が産めないまま妊娠して腹の中で腐って死ぬ様を堪能したいのかな?
 俺は別にそれでもいいぜ。
 むしろそちらの方が楽しいかもしれないなぁ。」

何か言いたそうに俺を睨む親殺し。
コイツは既にこの時点で5回以上は死んでいる。
正規の分類石には感情を自由に表したり、反抗的な言動を吐くことを禁じているから。
なぜ殺さないかといえば・・・・、
コイツの表情が他の実装石よりも複雑なモノだからだ。
喜びから一転、絶望の底に突き落とされた貌は中々味わい深いもの。
そういう点でいけばコイツも変異体なのだろうが、
表情が豊かな実装石程度なら探す気になれば幾らでも見つかるのでそんなに価値はない。

「どうする、親殺し?
 見ず知らずの糞に義理立てして自分の幸せを放棄するかい?」

俯く親殺しに選択を促す。
答えはもう決まっているはずなのにもったいぶるな偽善者め!!

「・・・・・・・・・・わ・・・分かりました・・・デスゥ。
 その仔達を殺すデス・・・。」

「・・・・・!!!  
 や・・・・・やめ・・・て・・・デェ・・・スゥ・・・。」

虫の息で悶えていた糞蟲お母さんが親殺しの決定に抗議する。
だが、親殺しは糞蟲お母さんの陳情を無視して仔蟲達の所に歩を進める。

「おおおおおお、お願いテチュゥ!!!
 殺さないでテチュゥゥゥ!!!」

「何でもしますテチュ!!!許してくだちゃいテチュゥ!!!!」

「ごめんなさいテチュゥ!!!これからはいい子にしますテチュウゥ!!!
 だからワタチを殺さないでテチュゥ!!!!!!」
 
こいつ等は親蟲による選別済みの賢い仔蟲の様なので、
これから自分の身に降りかかる災厄を想像する程度の知恵があるらしい。
近づいてくる親殺しに向かって地面に座り込み、拝むような体勢で必死の命乞いを始める。
総排泄口に太い異物が捻じり込まれているので、体を折り曲げられないため土下座が出来ず、
悲痛で醜くゆがんだ顔を存分に堪能できる。

その後、親殺しは必死の命乞いをする仔蟲達を一匹づつ殴り殺した。
初めのうちは悲嘆に暮れながら仔蟲を殺す演技をしていたが・・・・、
2、3匹と続くうちにその醜い顔に歪んだ笑みを浮かべて必死の命乞いをする仔蟲達を嬲り殺した。

「ご苦労さん、親殺し。
 じゃあ、仕事の報酬としてお前の出産機能を復元しよう。」

俺は子供を眼前で嬲り殺された絶望で目の色が暗く染まった糞蟲お母さんの右顔面を削ぎ落とす。

「デギャァァァァアアァァァアアアアアアーーーーーーー!!!!!!!」

瀕死とは思えないような声を上げて悶える糞蟲お母さんをゴミ箱に放り込んで、
削ぎ取った右顔面から赤い目玉と視神経を丁寧に取り出す。
残った肉は糞蟲お母さんに返してあげよう・・・、
要らない肉片をゴミ箱に捨てる。

「さあ、次はお前の番だな。」

親殺しの頭を掴み・・・・有無を言わさずに、空洞の右眼窩に大型の電動ドリルを捻り込む。

「ギヤベゥボゥゥウウ!!!!ウビビビビビビィィィビビビビビビビビッィイィ!!!!!!! 
 キベバババババッバアバッババアアアアババァァァーーーーーーーー!!!!!!!」

ドリルの小気味良い作動音と親殺しの魂千切る悲鳴の合奏が地下の作業部屋の中で木霊する。
5分ほど過剰に抉った後、親殺しの右眼窩に新しい赤目を叩き込んでガムテープで傷口を塞いでおく。

この後は悶絶している親殺しを虐待用に飼育している仔マラどもの水槽に放り込んで種付けだな・・・・。
激痛で仮死寸前の親殺しを吊るして、大型の水槽の前に来る。
蓋を開けて中を覗き込むと・・・・5匹の仔マラが固まって震えていた。

この仔マラたちは特別製で、オナニー出来ない様に両手を切断して焼いてから縫い潰し、大事なマラも
竿の部分を95%ほど切り飛ばして残りの部分に亀頭を縫い付けてある為、セルフフェラも出来ない。
無論足も膝から下を潰してあるのでマラをしごく心配もない。

他の仔マラの口や総排泄口を使うのではと思われる貴兄も居られるだろうがそこも抜かりはない。
口は水を啜る程度にしか開けないように加工し、総排泄口も管を突っ込んで余剰の隙間は潰してある。
そのためこいつ等に出来ることは短小マラを勃起させ、啼きながら水槽内を徘徊するだけ。
(マラ実装は抑圧された環境下では種の保存の本能の様なものが働き、
 殊更に交尾とオナニー以外のことを考えられなくなるので何の解決策も見出せない。)

「さあ仔マラちゃん達、待望の肉便器を入れてあげるよ。
 好きなだけ楽しんでくれ♪」

「「「「「ヘフゥゥゥゥゥーーーン♪♪♪」」」」」

頭が欲求不満で爆発しそうな仔マラたちは我先に瀕死の親殺しに総排泄口に殺到する。
だが、両手のない仔マラ達に自分の体格の10倍強の親殺しの体を動かせるわけがなくオロオロするばかり。
激痛で丸くなっている親殺しに非力な体をぶつけて、
なんとか交尾の出来る体勢に持ってこようと無駄な努力を続ける仔マラたち。

結局・・・・・仔マラ達は待望の肉便器を前にしながら、一度も交尾をすることなく悶死した。
せっかく処女実装石を用意してやったのにしょうがない奴らだな。
短小マラを爆発寸前まで膨らませたまま目玉を飛び出させて事切れている仔マラ達。
交尾して他実装石を孕ませることを使命としているマラ実装としては最低の死に方だ。

無念のうちに果てた仔マラ達の死骸をミキサーに掛けてペーストにして、瀕死の親殺しの口の中に注ぎ込んでやる。
肉汁と精液の混ざった汚汁を無意識のまま飲み干す親殺しの右目を塞ぐガムテープを剥ぎ取り目の色を確認する。
濁った赤色からだんだんと緑色に変化してゆき、親殺しの両目が緑色に染まった。
受精が完了したようだな・・・・。

さて、コイツをもてなしの舞台に誘おうか。





・・・・・・・・・・・・・。
なんだろう・・・妙に・・・眩しい・・・。

ワタシはすっきりとしない頭を振って、おそるおそる目を開く。
・・・・・・・・なんだ?ここは・・・・?

ワタシは四方を打ちっぱなしのコンクリートの壁で囲まれた丁度ダンボールハウス位の広さの空間にいた。
血糊や肉片はどこにも見当たらず掃除が行き届いていて・・・同族を苛めるための施設ではないようだ。
コンクリートの床の真ん中に鉄格子が填められていて、その下に水溜りがある様だ。
これがトイレなのかな・・・?
更に辺りを見回すと大きなご飯皿と動物用の水飲み器が目に入る。
ご飯皿はやけに大きく、その下に変な板が付いていて壁に付けられた2本のレールに固定されている。
水飲み器の高さは子供に合せてあり、ワタシが使うのにはとても不便だ。
どうやらご主人様もちゃんとワタシの願いを叶えてくれる気はある様だ。

最後にワタシは天井を見た。
天井には鉄格子が填められていて、いつもとは違う光景が見える。

・・・・・・あれは・・・・お空だ・・・・。
ママたちが生きていた頃・・・いっしょに見た・・・青い空・・・・。
永遠に見る事は叶わないと思っていた光景が今ワタシの頭上にあった。
ママ・・・ワタシはようやく・・・ここまできたデス・・・。


ワタシが感傷に浸っているとご主人様がやって来る。

「よう、仮の住まいはどうだい?」

「あ、あ、あ、あ、ありがとうございますデスゥご主人様ぁぁ。」

ワタシは演技過剰の感謝をご主人様に返す。
こうやって沢山の好印象をご主人様に与えて、ワタシ達家族を解放してくれる様に考え直させたい。
そのためならどんな手を使っても・・・。
土下座で平伏して、地面に額を擦り付けているワタシはそんな起死回生の策を練っていた・・・。


やれやれ・・・・少し持ち上げるとこの様だ・・・。
実装石の独り言の癖ってモノは賢かろうがクズだろうが変わらないらしい。
お前さん、今考えていることが全て口からひり出されているよ・・・。

俺のような真性虐待派が・・・・・
糞蟲のひり出した仔蟲の無邪気な演技を見て和んで、
親糞と仔糞の仲良く戯れる演技の一家団欒を見て改心して、
自分たちをこの地獄から解放にしてくれると本気で考える浅はかさ・・・
分類石になるための調教を受けたあとでもまだそんな下らない事を思いつくとはねぇ・・。
コイツの生き続ける理由が家族の再建であったとしても、少々思慮が足りないなぁ・・・。
せめて、半年前に出荷先から逃げ出した賢い仔蟲ぐらいの知恵を使って欲しいものだな。

「まあいい、お前の願い通りこれから3週間の休暇を与えて子供を産み育てることを許可する。
 その間、俺は餌と水の世話しかしない。
 俺に何かしらの要望を行った場合、そこで休暇は終了になる。
 そうしたらお前は分類石としてまた働き、子供は始末する。」

「・・・・あ、あのぅ・・・・3週間過ごせた場合は・・子供達はどうなるんデスか・・?」

「その場合は残った子供の質を見てから考えることにする。
 自分のひり出した仔蟲を生かしておきたいと願うのなら・・・・
 精々、俺の興味をそそる餓鬼を育てることだ。」

親殺しの目に希望の光が宿る。
コイツはそんなこと簡単なことだとでも思っているのだろう。
甘い甘い・・・・俺がそんなに優しいはずがなかろうて、お前さんの家族を嬲り潰したんだぞ♪
今回も楽しい趣向をいっぱい凝らしてあるから親子仲良く骨の髄まで味わってくれ。

「じゃあ今から楽しい休暇を始めるぞ。
 お前が10以上の数字が数えられるか知らないが、太陽が21回沈んだらお前の休暇は終了になる。
 精々、後悔の無い様に楽しむんだな親殺し。」

俺は朝食分のペースト状の実装餌(栄養満点だが味が無い)を餌皿に放り込み、
排水溝を改造して造った実装ハウスを後にする。



ご主人様が居なくなった後、ワタシはご飯皿に山盛りにされたご飯を貪る。
昨日から何も食べていないからもう背中に腹の皮が張り付いてしまいそうだ。
・・・・・・・・・・・・。
あれ?・・・・・何だこれは・・?
味がまったく無いぞ・・・・・。
山盛りにされたご飯を一口づつ齧ってみても・・・・どれも味がしない。
もしかして舌を抜かれてしまったのか・・・・。

恐る恐る口に手を入れて舌の在り処を探る・・・・・ちゃんと有るな。
それはそうだ・・・さっきご主人様とちゃんと話をできたのだから舌が無いはずが無い。
それに自分の手に付いた汗の味を感じることは出来るから何かおかしなことをされたわけではない様だ。
じゃあ・・・・このご飯には初めから味が付けられていないのか・・・・・。

ワタシは愕然とした。
確かにお腹いっぱい食べられるだろうが、これでは苦行だ。
ワタシは分類石用のご飯を山ほど食べられると思っていたのに・・・・・。



俺は居間に設置したモニターを眺めながら朝食を摂っていた。
今日のメニューは洋風で、
ケ○ッグのコーンフレークに目玉焼きとカリカリのベーコン、それにフルーツ類とヨーグルトを食べながら
定点カメラから送られてくる親殺しの痴態を堪能いていた。
やはり実装石の苦悶する様を見ていると食が進むなぁ。
俺が末期がんに侵されたとしてもこれさえあればいくらでも飯が食えそうだ。

そんな俺の横で、彩華と星華は日曜の朝の定番「スーパー○ーロータイム」を食い入る様に鑑賞していた。
実蒼石全体に言えることだが・・・どういう訳か彼女たちは特撮番組をこよなく愛している。
虹乃宮財閥の実蒼兵団に属する戦闘用に調教された個体や俺の飼っている実蒼さんも含めて、
一度その手の番組を見せれば・・・首までずっぽりとハマってしまう。

ウチの双子も例に漏れず、どっぷりハマっている。
俺も彼女達に付き合って随分特撮ものを見てきたが、今年のヤツは外れだな。
前回が良かったからなお悪く見える。特に仮○ライダーの堕落ぶりは目に余るものがある。
初代〜ゼ○ロス辺りまでの敵幹部は最高だったのに・・・。
ああいう悪趣味を10歩くらい踏み出したカッコをしている幹部が居てこそ特撮だろうが!

まあ今回の番組も再度見直してみれば面白いのかもな。
そのうち双子の撮り溜めたDVDを観てみよう。



不味いご飯のあとワタシは壁に寄りかかり、食後の休憩を取っていた。
あんなご飯でも食べなければお腹の仔が育たないから・・・。

・・・・・まあ、何にしてもここは静かで平和だ。
ここには何も遊ぶ物が無いので、眠るか、何か楽しいことを考えるぐらいしかやることが無い。
何をしても構わないと言われたが、オナニーをしているところをご主人様に見られたら
発作的に殺されそうだからそんなことも出来ない。
・・・これからママになるワタシがそんな自堕落なことをしていては賢い仔も生まれなくなってしまうだろう。
ワタシは自分のお腹に手をやり、今は何も動きの無いお腹を見た。

ワタシのお腹の中には新しい命が宿っている。
ご主人様に抉られた目も治して貰ったので無事に産むことが出来る。
ふふふふっ・・・・ワタシがママになるのか・・・・。
まだ普通と変わらないお腹を摩りながら、ワタシは家族が虐殺されて以来の平安を味わっていた。



今日は実装コロシアム関係の仕事の打ち合わせがあり、この炎天下に外に出なくてはならない・・・。
ああ・・・嫌だなぁ・・。

「気をつけていってらっしゃいませ、旦那様。」

玄関先で彩華に見送られて外に出る。
まだ五月だというのに最高気温30℃とはどういうことかね・・・。
家から数歩出ただけでも嫌な汗が出てくる。

油蝉が大合唱を始めそうな陽気の中、俺は足取り重く駅へと向かう。



あああああああああああ、あついぃぃぃぃぃぃ!!!!!!
ワタシは与えられた仮の住まいの中でのた打ち回っていた。
太陽が昇り始めると、急激に温度が上がり・・・・ワタシの家は焦熱地獄と化した。
丁度太陽がワタシの真上にあり、日陰なんて気の効いたものは有りはしない。
有害な殺人光線に照らされてワタシの命は風前のともしびだ・・・。

肌が真っ赤に焼けて全身がヒリヒリと痛い・・・。
痛痒い所をボリボリ掻くとベロンと皮膚が剥けて気持ち悪いな。
やけくそを起こしてワタシは焼けたコンクリートの床に座り、この地獄が早く終わってくれることを願っていた。

そうしているとご飯の時間がやってくる。
今回はご主人様でなく、同居してる人間の子供(実蒼さんの星華のこと)がワタシのご飯を持ってきた。

「おまたせ、たのしいランチタイムだよ♪」

「デェェェ・・・・・あ・・・あのう・・・。
 お願いが・・・あるん・・・デス・・け・・・ど・・・。」

ワタシは賭けをしてみた・・・・冷酷なご主人様でなくニンゲンの子供ならば・・・・、
かわいそうなワタシのささやかなお願いを聞いてくれるかもしれない・・・・。

「なに?」

「な・・・なにか・・・・日陰に・・・なるものを・・・おいて・・くださいデスゥ・・・。」

「ダメだよ♪
 旦那さんから絶対に何もしてやるなって厳命されてるからね。
 それに何かお願いをしたら折角の休暇が終わっちゃうんじゃないのかい?」

・・・・・・・・・やっぱりダメか・・・・。
そういえば・・・・何かお願いを・・・・あああっ!!!

「おおおおおおおおおおおおお願いデスゥ!!!!
 この事はどうかご主人様に言わないで下さいデスゥ!!!!」

「ん〜〜・・・まあいいよ。
 じゃあ頑張ってね、親殺しちゃん。」

星華は鉄格子を閉めるといそいそと家に戻っていった。

むろん親殺しに陳情されたという報告はちゃんと俺が仕事から帰った後に受けた。
まったく実装石は物覚えが悪い生き物だな。
今殺してしまっては面白くないので今回はカウントしないでおこう。




それから2週間強烈な晴天が続き、親殺しは仮の住処の中で丸焼きになりそうになりながら生き延びていた。
俺の与える無味だが栄養満点の餌が親殺しの命を辛うじて繋いでいる。

腹の仔も順調に育っているようで親殺しの腹は無様に膨れ上がっている。
炎天の中でも腹の仔の為に子守唄(デェ〜デェ〜唸っているだけ)を歌ったり、
生まれてきたらいっぱい楽しいことをして遊ぼうとか語りかけたり、
怪しげなダンス(胎教ダンスのつもりなのだろう・・・多分)を踊っていた。
コイツはコイツなりに賢い仔蟲を産むつもりの様だが、この焦熱地獄ではそんなもの生まれはしない。

暖かい環境でなければ賢い仔実装が生まれないことはよく知られているが、逆に暑過ぎても生まれないのだ。
親の新陳代謝が暑さの所為で極端に高くなり、
そのため胎児の体が通常の1,5〜3倍の速さで作られて、脳が成熟する前に生み出されてしまう。
そのため寒い時に生まれた仔実装よりも知能と潜在能力が低い個体が多く、
どうしょうもないクズになるものが殆どだ。
かつて公園を占拠していた糞蟲どもの殆どは餌が豊富だがとても暑い時期に生まれた連中であった。

野良の中でも知恵の回った連中は、賢い親が5〜6月を選んで生んだ仔か、
運良くその時期に産み落とされた仔のどちらかであったらしい。

親殺しの腹の大きさからいっても、今日か明日には仔蟲をひり出すだろう。
栄養は過剰なぐらい与えているから丸々とした仔蟲を沢山ひり出しそうだが、
はたして何匹ぐらい眼鏡に叶う賢い仔蟲がいるのかな?

通常の実装石の妊娠期間は3週ほど、
1週間も早く生まれる仔蟲のほとんどは食用仔実装程度の知能(普通の野良よりも頭が悪い)
しか持ち合わせていない可能性が非常に高い。
はたして親殺しの施すであろう教育を何処まで理解できるか見物だな。





休暇を貰い2週間ほどが過ぎた頃、ワタシは10匹の元気な仔を産み落とした。
どの仔を丸々としていて、みんな太陽の様な笑顔を浮かべてワタシをママと呼んでくれる。
生きていて良かった・・・。
自分の産み落とした娘達に囲まれて、ワタシは今最高の時を過ごしている。
でも、この幸せの瞬間を味わうためには並々ならぬ努力が必要だった・・・・。

夜も開けきらぬ頃に突然陣痛に襲われてワタシは飛び起きた。
ワタシは分類石になる為の勉強の際に出産に関する知識を得ていたから闇雲に混乱せずに済んだが、
初めての出産に少々戸惑っていた。
ここには水場が無いのだ・・・。

公園に住んでいた野良達は公衆便所の水の張られた便器に仔を産み落とすのだが、
ここにはそんな便利な場所は望みようも無い。
ワタシは急いで水飲み器に走り、口いっぱいに水を含んでご飯皿へと走ってゆく。
水飲み器とご飯皿は左右の壁に別々に設置されているため、
ワタシはご飯皿を水で満たすために陣痛で痛むお腹を摩りながら20往復ほどした。

途中で何度も陣痛の痛みで水を吐き出してしまいやり直しを余儀なくされたが、
ようやくご飯皿いっぱいに水を溜めて即席の水場を作った。
そうしてご飯皿の中に入り、中腰になって力むと・・・・・。

ぶりゅ!
「テッチュゥ♪」
ぶりゅ!
「テチューン♪」
ぶりゅ!
「テッテレー♪」
ぶりゅ!
「テッチー♪」
ぶりゅ!
「テッテレーン♪」
ぶりゅ!
「テッチーン♪」
ぶりゅ!
「テチューン♪」
ぶりゅ!
「テッチャー♪」
ぶりゅ!
「テチューゥ♪」
ぶりゅ!
「テッチューン♪」

歓喜の声を上げてワタシの赤ちゃん達がこの世界に生れ落ちる。
踏ん張ってお腹に残った粘液をひり出すと、ワタシは子供達の体を包む粘液を舐め取り始める。
ワタシのかけがえの無い家族になる仔達を丁寧に取り上げ、一匹づつ優しく体を包む粘液を舐め上げる。
仕事の時と違い急ぐ必要はないんだ・・・・。

どうやら・・・・とても賢い仔はいない様だ。
だが、ワタシの呼びかけに答えた仔が2匹も居たのは嬉しいことだ。
みんなとても澄んだ目をしていて、賢さが可愛らしい顔に溢れている。

普通の子達もワタシが出産石から取り上げた並みの仔と違い、知性が溢れている。
なんといっても賢く美しいワタシから生まれた特別な子達だ。
その辺のクズどもといっしょにしてもらっては困る。

初産を終えて、心身共に疲れ果てたワタシはスヤスヤと寝息を立てている子供達に添い寝をして
そのまま眠りこんでしまう・・・・。



・・・・・・・・・・・・しばらくすると何だが周りが騒がしい・・・・。
なんだ・・・・朝早くから・・・・。

寝ぼけ眼で辺りを見回すと・・・・子供達がご主人様に攫われかけていた。

「ななななな、何をするんデスゥ!!!!!!
 ワタシのカワイイ仔をもっていかないで下さいデスゥ!!!」

「ん・・・おはよう、親殺し。
 初産で10匹も仔蟲をひり出すとは頑張ったものだな。」

賢い仔を摘み上げたご主人様はワタシに微笑みかけた。
ただ、その目は笑っておらず・・・・嘲りの色が見えていた。

「なにをなさるんデス・・・。」

「これからお前と同じ禿にするんだよ。
 お前も知っているだろ?
 実装石は姿形が違う物はたとえ親や仔であろうと差別し嬲り殺すということをな。」

そう言うとご主人様は賢い仔の後ろ髪を引き千切り、
残った前髪を摘まんでワタシの前で子供をプラプラと左右に振って弄んだ。

「デェェェェェ!!!止めてくださいデスゥゥゥゥ!!!!」

ワタシは必死に飛び上がり子供を取り返そうとした・・・・・そして子供の体を上手く掴んだ瞬間、
ご主人様はいきなり子供ごとワタシを高く持ち上げ・・・・

「チャガァ!!!」

変な悲鳴と共に子供の前髪が根元から千切れ、ワタシと賢い仔は地面に真っ逆さまに落ちていった。

「デゥゥゥゥゥウウウッ!!!!!」
 
咄嗟にワタシは自分の体ををクッションにして賢い仔を落下の衝撃から守った・・・・。
うぁぁぁ・・・・・体が砕けてしまった様に痛い・・・。

「ママァ!ママァ! しっかりするテチュ!ワタチをおいてちなないで・・・・。」

命がけで守った賢い仔は泣きながらワタシにすがりついてきている。
きしむ体を無理矢理動かして、ワタシの心配をしてくれる賢い仔の頭を撫でてやり安心させる。
だがそうしている間にもワタシの自慢の子供達は冷酷なご主人様に捕まり、無残な禿頭にされていった。

全ての仔の髪の毛を毟り終わり、ご飯皿にいつもの2倍のご飯を盛ったご主人様は、

「これで良し。出産祝いに餌は仔蟲の分も含めた量の2倍を出しておいてやるからな。
 それとあと1〜2日中に仔蟲どもの服が生えてくるだろうから、生え次第没収するぞ。」

「デェェェ・・・・・生まれたての赤ちゃんにこの仕打ちは・・・・あんまりデスゥ・・・。」

「へえ、お前さんの望みは大きくなった餓鬼どもに嬲り殺されることだったのかい?
 今のうちは平気だろうよ、だがあと3〜4日すれば禿裸の上に体中に刺青と焼き鏝痕だらけのお前の体を見て
 餓鬼どもはどんな反応を示すかなぁ・・・。
 ざっと見た所、そいつ等はお前そっくりの並みの糞しかいないみたいだから・・・
 どうなるかは実装石のお前自身が一番分かっているだろう?」

ワタシは言葉が出ない・・・。
確かにワタシの体は・・・無残な有り様だ。
他ならぬご主人様の所為で・・・・・。

美しい髪を毟られたショックと痛みで泣き叫ぶ赤ちゃんたちを慰めながらワタシはご主人様に意見を言う。
どういう結果になろうとも・・・・ワタシにはこの子達を守る義務がある。

「でも・・・・この子達はワタシの子供デス。
 だからワタシの惨めなこの体を笑ったりはしないはずデス。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・なんだ?この沈黙は・・・・。
ご主人様は太陽を背に立っているからどんな顔をしているのかわからない。
なんだか・・・ワタシはこれと同じような状況を味わったことが・・・・・。

「まあいいさ、精々子供に寝首を掛かれん様にな。」

あれ?・・・何もせずにいってしまった・・・。
このニンゲン様の考えていることは良く分からない。


ワタシは生後数時間で丸禿にされたかわいそうな子供達を慰め、生まれて初めてのご飯を与える。
味も素っ気も無いご飯だが・・・・子供達は喜んで食べている。
ワタシは分類石用のおいしいご飯を食べ慣れていたからこのご飯が苦痛でしょうがなかったが、
この仔たちはこれしか口にしたことが無いから何も文句が出ないのだろう・・・。

不憫な話だが、これでいいのかもしれない。
なまじ美味しいご飯の味を知っていたらこれからの勉強に身が入らないだろうから。
ワタシ達家族に残された時間はあと6日・・・。
この間にこの仔達の1匹でも多くをご主人様が気に入る仔に仕上げないといけない。
それだけがこの子達の生き残る唯一の方法だ・・・・。

初めてのご飯を終えて、満足そうに大の字で寝転がる子供達を眺めながら私は自分の配当を食べ始めた。


2日が経ち、期限が迫る中・・・・子供達の勉強は遅々として進まない。
子供達は遊ぶことに夢中で勉強をしようとはしない。
一箇所に集めてお話を聞かせようとしても、1匹が何かを始めると他の仔も釣られて遊んでしまう。
どうして・・・・みんなそんなに緊張感がないのか・・・・。
あと・・・4日で貴方達は殺されてしまうのに・・・・。

この危険が無く、ご飯も三度づつ沢山与えられる環境では・・・・賢い仔は育たないのか・・。
この2日間・・・勉強した通り、ワタシの仔達を育ててきた。
なんで・・・どうして自分の仔は躾けられないのか!!

ここ2日間は太陽が見えず、お空は曇っている。
この子達がお腹に居た頃の灼熱地獄とは違いとても過ごしやすい良い天気なのにこの仔たちは・・・。
ワタシはイライラしながら、部屋の中央の鉄格子の上で遊んでいる子供達を睨んでいた。

トイレに使っている排水溝の上に被せられた鉄格子の上でピョンピョン飛び回っている子供達は楽しそうだ。
格子の上を不器用に飛び越えようとする仔達・・・よく目測を誤ってお尻や股を強く打ち付けて泣いている。
そんな無様な仔を他の仔達はチプププププ・・と嘲笑い、指をさしてバカにしている。
どうして賢く美しいワタシの仔なのに・・・・どうして・・・低脳な野良と同じようなことをするのか・・・。

ご飯を持ってきたご主人様はそんな様子を生暖かい目で見つめ、

「ふふふふっ・・・これは皆殺しになるかもなぁ・・・。
 公園にいたクズどもそっくりだよお前さんの自慢の餓鬼どもはな。」

「だ、大丈夫デスゥ!必ずお気に召す仔を育て上げて見せますデス!」

「まあ、当てにしないで待ってるよ。」

ご主人様がご飯皿に手を伸ばし、ワタシ達のご飯を盛ってくれる。
食事の時間と寝ている時間だけは幸せだ・・・。
少なくてもこれからの難事を考えずに済むから・・・・。

山盛りに盛られてゆくご飯を見つめていると・・・・・・?
なんだ?子供達の様子がおかしい・・・?
賢い仔達がソワソワして・・・・?

ご主人様の手がジャマでワタシの方からは子供達の様子が見えない。
何か粗相しなければいいが・・・・あの仔達はニンゲン様の恐ろしさをこれっぽっちも知らないから・・・。
ご主人様は赤ちゃん相手でも容赦はしないだろう・・・。

ワタシの心配を他所にご主人様は何も無かったかのように作業を終えて、手を退ける。
ワタシは立ち上がり、ご飯の仕分けをして子供達を呼ぶ。

この仔達が今のところ覚えた躾けは・・・トイレとご飯の前の整列だけだ・・・。
泣いて嫌がる仔達をいっぱい叩いて無理矢理教え込んだのだ。
ワタシは自分の子供に嫌われても・・・・この仔達に1匹でも多く生き残って欲しい。
そんな事を思いながら子供達に点呼を取らせる。

1、2、3、・・・・・・8、9・・・・・?あれ・・・一匹足りないな・・・。
周りを良く見渡し、再度点呼を取る。
やっぱり一匹足りない・・・。

狼狽するワタシを楽しそうに見つめるご主人様・・・。
ワタシは恐る恐る伺う。

「あ・・・あの・・・ご主人様・・・子供が・・・一匹いないんデスゥ・・。」

「ああこれのことかい?」

ご主人様は首の皮を摘まんで吊るしている仔を見せてくれた・・・。

「コイツは俺が餌を盛っている最中にな、袖の中に入ってきたんだよ。
 何を考えているんだか知らないが・・・お前さんの教育はなっていないな。」

「お・・・お許しくださいデスゥ!!!!その仔も悪気があってそんな大それたことをやったわけでは・・。」

「そうなのかい仔蟲ちゃん?」

「ワタチはおそとにでたいからこのにんげんをりようちたんテチュ!
 こいつはかしこいわたちのさくりゃくにまんまとひっかかって、ワタチをおそとにつれだちてくれたテチュ。
 おそとはひろいテチュ♪おいニンゲン、たかいところはもういいからじめんにおろすテチュ!」

ッッッッッッ!!!!!!!
なななななななな・・・・・・なんて暴言を吐くんだこの糞ガキは!!!!
このままではワタシと他の仔にまで危害が・・・・・。

ワタシが青ざめ震えているのを楽しそうに見ていたご主人様はワタシに問いかける。

「コイツはどうする?」

吊るされたまま大言壮語を吐いている糞ガキを示す。
今・・・ワタシの忠誠心が試されている・・・。
ここで間違えば・・・・死・・・。

「・・・・・・・ご・・・ご主人様の・・・・御心の・・・ままに・・・・デェ・・ス。」

この危機を切り抜けるにはこれしかない。
ソイツもう家族じゃない。
ワタシ達に災いをもたらす悪者だ!

「だってさ、仔蟲ちゃん。」

そういうとご主人様は・・・吊るした仔の胸と腰を摘まんで雑巾を絞るようにお腹を180度回す。

「チャガァァァァアアアアァァ!!!!」

ウンチの穴からシャワーの様に仔実装特有の液便が噴き出し、ワタシ達の上に降り注ぐ。

「「「「チャアアアアアーーーー!!!くさいテチュゥゥゥ!!!」」」」

「「「「ごはんがきたなくなっちゃうテチュゥゥ!!!」」」」

「うんちもらすなテチュゥ!!!このばかが!!!」

「デァァァァァ!!!!く、臭いデスゥゥゥ!!!!」

ワタシと残りの子供達は吊るされた愚か者の漏らした糞のシャワーを浴びて悶絶していた。
ご飯は糞で汚されて・・・とても食べられるものではなく、
分類石時代の様にシャワーの使えないこの環境で実装糞臭くなった体をどう清めるのか・・・。

体に纏わり付いた糞の臭いにゲロを吐いてしまう子供達・・・ワタシも思わず貰いゲロを吐いてしまい、
ご飯は愚か者の糞と私たちのゲロで汚され尽くしてとても食べられたものではない・・・・。

異臭を放つ折角のご飯を前にまだえずいているワタシ達を笑うご主人様。

「実装石の癖に何を上品ぶっているんだ親殺し。
 お前だってママが生きてた頃は生ゴミやウンコを喰って生活してたんだろうに、
 分類石になったら糞味の餌は喰えませんかね?」

出目金みたいな顔で舌を突き出し泡を吹いて仮死しそうな愚か者をご主人様は揉み解し始める。

「チャガァァ!!チュビュィイ!!!チュブブ!!キュバァァアア!!!チィィィ!!!」

パキッ、ポキポキッ、パキパキッ・・・と骨の砕ける音がして愚か者の体格が変化してゆく。
揉み解し作業が終わるとご主人様は骨格を粉砕された愚か者を・・・今度は細長く伸ばして棒状にする。

「ま・・・・・ままぁ・・・・たちゅ・・・て・・・・・。」

もういつ死んでもおかしくない状態の子供を・・・・、
ご主人様はトイレに使っている排水溝に被せてある鉄格子の隙間に押し込む。
体は難なく素通りして、無傷の頭が引っかかった。
口をパクパクさせて喘いでいる愚か者の口にご主人様は箸を使って糞とゲロで穢れたワタシ達のご飯を
次々と押し込んでゆく・・・・。
ご飯の8割がたを無理矢理押し込まれた子供の体は水風船の様に膨らみ、
押し込められたご飯の重みで頭と体が千切れてしまいようだ。

「さーーて、親殺し。
 お前がこれからすることは何かな?」

ご主人様は酷く優しい笑顔でワタシに問いかける。
ワタシはノロノロと鉄格子に歩み寄り、鉄格子の隙間で喘ぐ愚か者を見下ろす。
口をモゴモゴさせて必死に何かを伝えようと努力している愚か者・・・・。
きっと・・・「ママ助けて、かわいいワタチをこの地獄から救い出すテチュ!」なんていうのだろう・・・。
お前はダメな仔だ・・・・だから他の仔を生かすために殺す。
せめて、この壮絶な死を残りの仔の教訓にさせて・・・お前の死を無駄にしないようにするデス・・・。

「お前たち・・・・良く見ておくデス。
 ご主人様に粗相を働いたり、ママの言うことを聞かないカスはこうなるんデスゥ!!」

言い終わると同時にワタシは思いっきり愚か者の顔を踏んで排水溝の中に落とす。

「ッッッーーーーーーーー!!!!!!」

何で・・・という顔をしながら愚か者は排水溝の底へ落ちてゆき、
・・・・・・べチャッと底の方から汚い音がした。

シーンと静まりかえる子供達。
全員パンコンしてしまい、折角生えた服が汚れてしまった。
・・・だが、床を汚さなかったのは幸いだ。
もし・・・ご主人様の見ている前で床をウンチで汚してしまったら・・・。

「お前たち・・・全員ここ来て、服を脱ぐデス!」

ワタシは子供達を鉄格子の傍に呼び寄せ、一匹づつ服を脱がせてゆく。
壮絶な愚か者の処刑を見ているから・・・皆大人しく服を脱ぎ、ワタシに手渡す。

「これはウンチで穢れてしまったから捨てるデス!」

そういって・・・ワタシは子供達の大事な服を・・・・排水溝に全て捨てた。

「「「「「「「「「チュゥゥゥゥゥーーーーーー!!!ワタチのふくがぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」

ワタシに詰め寄り、か弱い手でポカポカとワタシを叩いて抗議する子供達。
服無しではもう生きていけない、ワタチの一生が台無しになった責任を取れ、か・・・・・。

なんて・・・生意気な口を・・・一生懸命頑張っているママに叩くなんて・・・・良い度胸デス・・・。

ワタシは全員に強烈なビンタをかまし、自分たちの立場を教えてやることにする。

「お前たちをこれから厳しく育てるデス。
 今まで隠してきましたが、お前たちの寿命はあと3日デス。
 ワタシが今まで教えてきたことはご主人様の気に入る仔を育てるためだったんデス。
 それだけが・・・お前たちが生き残れる唯一の方法だからデス。
 ワタシはお前たちに生き残って欲しいから・・・これから心を鬼にして厳しくお前たちを躾けるデス。」

「ママ・・・・ワタチはいたいのいやテチュ・・・。」

「そうテチュ。もっとたのちいことをちたいテチュ・・・。」

反抗したクズ2匹の腹を蹴り飛ばし、倒れこんだクズの1匹を踏みつけて続ける。

「これがワタシの答えデス。
 クズは死ねデス。
 ワタシの言うことが聞けない仔は要らないデス。」

踏まれてもがくクズを踏みにじってワタシは子供達を恫喝した・・・。


あれではダメだな。
あんな躾け方では虐待用の安物すらならない。
親殺しちゃんは公園にいたクズのような卑しい媚び方しかしない低脳を生産してくれるらしいな。

親に恫喝され、躾と称する虐待を受けながら育った仔蟲は
元々卑しい性根がさらに酷く曲がってどうしょうもないクズになる者が多い。
元々躾がどうのこうのと言える立場にない親蟲が仔蟲を躾けようなんて言うのが間違いなのだ。
それに親殺しは分類作業しか教えていないので、賢い仔用の子育て方法を知らない。
それをコイツは何を勘違いしてか、自分は優秀な教師であるなんて思い込んでいるからなお始末が悪い。

今の行動も自分の保身であって、子供を守ろうとしたのではない。
まあ、親を殺して生き残ったヤツにそういう手合いのものを望むのがそもそもの間違いか・・・。


その後も親殺しは恫喝と暴力を振るって仔蟲達を脅しつけ、親殺し流の躾というものを仔蟲達に押し付けていた。
この時期の仔蟲達は喰って寝るのが仕事なのに、昼寝は一切許さず朝から晩まで餌を喰う時以外はずっと仔蟲を
拘束してお勉強とおっしゃるたわ言を延々と聞かせていた。
体力のない仔蟲達がへたり、居眠りをすると・・・・寝ている仔蟲を蹴り飛ばし、
そいつを捕まえて便所に使っている排水溝に連れてゆく。

「お前もああなりたいんデスかぁ!?もっとワタシの話を良く聞くデスゥ!!」

と排水溝の底で無残な死に様を晒している姉妹の姿を見せて脅しつける。
禿裸の仔蟲は糞をもらしてビビり、親殺しに許しを請う。
親殺しは仔蟲の上辺だけの反省を見て満足し再び躾けのお勉強を開始する。

そんな事を2日間延々と繰り返している親殺し。
仔蟲達は寝不足と極度のストレスでかなり参っているご様子。
この調子では仔蟲達の頭には何も入っていないな・・・。
目の下に濃い隈を作って、ふらふらしながら餌の整列をしている


ここの所で一石投じて見るかな。

「おい親殺し、今からそこで俺がいいと言うまで直立不動でいろ。
 動いたら・・・・殺すぞ。」

ビクッと震えてから俺の言うとおりにする親殺し。

「仔蟲ども、こっちに全員来て整列しろ。」

疲労と緊張がピークに達している仔蟲達はふらつく足を引きずって俺の指定した場所に整列する。
整列するまでに4分も掛かりやがった・・・。
まあいい、無能な親殺しの指導ではこれが最善なんだろう。

「頑張っているお前たちに俺からご褒美をやろう。」

そう言って、小粒の金平糖を1粒づつ与えた。
仔蟲達は渡された物が何なんだか分からないらしい。

「仔蟲ども、それはあま〜い金平糖だぞ。」

「コンペイトウ?・・・テチュ。」

「そうだ、実装石が命と引き換えにしても欲しいと思う甘くて美味しいものだ。」

何匹かが恐る恐る口に含み、舐めてみると・・・・。

「「「チュゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜ンン♪♪♪」」」

歓喜の声を上げて踊り出す。
それを見ていた残りの連中も慌てて齧り付き・・・。

「「「「「「チュゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜♪♪♪」」」」」」

と歓声を上げて踊り出す。
親殺しは文句を言いたげだが、俺が睨んでいるので何も言えない。
仔蟲達は生まれてから初めて口にした甘味に感動して喜びのダンスを踊っていた。
不器用なダンスが終わり・・・・正気に戻った仔蟲達ははたっと気付き、急いで整列し直す。
普段なら全員死刑だが今日は別の目的があるから許してやろう。

「どうだい、美味いだろ?」

「「「「「「「「「おいちいテチュ♪」」」」」」」」」

異口同音で返事をしてくる仔蟲達。
さらにこいつ等にコンペイトウを2つづつ与えて食わせる。
まあ、笑顔が眩しいことで・・・・親殺しの小さい頃と同じだな。

生まれ初めての甘味を満喫し、瞼が重くなってきた仔蟲達。

「いいぞ寝ても。
 子供の仕事はよく喰って、よく寝て、よく育つことだからなぁ。
 好きなだけ眠るといい。」

「で、でも・・・ママがねないでおべんきょうしろってうるさいテチュ・・・。」

「ママは昼飯まで何も喋らないで案山子みたいに立っているお仕事があるからお前たちは寝てていいぞ。」

「「「「「「「「「はいテチュ♪ごちゅじんちゃま♪」」」」」」」」」

また異口同音で返事をしてくる仔蟲達。
横になると1秒もしないで眠り出す仔蟲達を尻目に、親殺しに話しかける。

「と、いうわけだ。
 お前さんにこれから昼飯までの間何も喋らず何もしないでここに立っている事を命ずる。
 1ミリも動くなよ、動いたら殺すからな。」

親殺しの足の周りをチョークで縁取りして境界を提示する。
不満はあるようだが、楯突けばどうなるか分かっている親殺しは俺の命令を飲むしかなかった。
背筋を伸ばし、直立不動の体勢になる。

「じゃあ頑張れよ親殺しちゃん♪」

そういって俺は家の中に戻った。


親殺し一家の団欒を見ながら仕事をしようか。
工作机に向かって新しい剣闘石用の武器を製作する。

実装石は手の構造自体が物を掴むのに向いていないので、腕に直接装着するタイプの武器が主流になっている。
簡単な物は棘だらけのガントレットの様なものから、複雑な物に至っては強力なスプリングで刃物を打ち出す
パイルバンカーの様な代物(装填は手動)や体の一部を機械化してパワークローの様な仕様にする処置など、
種類だけでも100種以上はある。
それらを駆使して剣闘石達は相手が死ぬまで戦い続ける。
どちらも実装活性剤を使っているために並みの負傷など3秒で回復してしまうので、
おのずと相手の偽石を砕くことに専念する。
急所を何度も抉り、相手を気絶させてから相手の偽石がありそうな場所を抉る。

たまに無様な命乞いを始めるチキンがいるが・・・それはそれ。
コロシアムは処刑場に早代わりして、楽しい処刑ショーが開催される。
専属の虐待師がライブで虐待し、処刑して観客を楽しませる。

話が逸れたが・・・・今回作る武器は特注の代物で、
何でも実装研から買い入れた実験体に装備させる手持ち武器だそうだ。

1つ目が鋭利な刀、人間用と同じ仕様で製作しろとのオーナーからのお達しがあった。
2つ目が重量のある戦棍、総身鋼鉄製で両端にメイスの様な頭を付けた仕様だそうだ。
3つ目がなんと連射式クロスボウ、連射可能な仕様で威力重視という注文。

指持ちの実装石に装備させる武器にしても・・・どれも過ぎた得物だ。
果たして実装石の知能と身体能力で使いこなせるのかは知らないが、
注文を受けた以上最高の品物を納品しなければいけない。

さて・・・・デザインを考える間、親殺し一家の今の様子を拝見・・・。


今日はとてもいい天気で、太陽がガンガン照りつける日焼け日和。
生まれて初めての焦熱地獄に悶えている仔蟲達。
もはや昼寝どころではなく、バカみたいに立っている親蟲の作り出す日陰に固まっていた。

「テェェェェ・・・・・あちゅいテチュ・・・・。」

「なんでこんなにあちゅいんテチュ・・・・これじゃしんじゃうテチュ・・・・。」

「でも・・・ママのうしろにかくれていればすこしはましテチュ・・・・。」

「はやく・・・ごちゅじんちゃまがこないテチュかね・・・
 そうちたら・・・あま〜いコンペイトウがまたもらえるテチュ♪」

「「「チュゥゥゥゥゥ〜〜〜〜ン♪♪♪たのちみテチュ♪」」」

「でも、ママはわるいこでブサイクだからもらえないで、み〜〜んなカワイイワタチたちのものテチュ♪」

「こんどごちゅじんちゃまがきたら、こんなつまんないところからだしてもらって、
 いっぱいかわいがってもらうテチュ♪
 そうすればごちゅじんちゃまもワタチたちもしあわせテチュ♪」

能天気なおバカさん達だなぁ・・・。
誰がお前達のことなんか可愛がるか、ボケ!!
とりあえず親殺しと仔蟲達の溝は修復不可能なぐらい広がり、午後からの楽しいお勉強にも拍車が掛かりそう。
もう親殺しの言うことなど聞く気は無く、俺から高待遇を与えられると信じて疑わない仔蟲ども。

言いたい放題、好き放題の仔蟲どもを他所に、
親殺しは顔中に物凄い皺を寄せて、怒りを糧に俺の与えた仕事を黙々とこなしていた・・・・・、
ただ立っているだけだがな。


3時間ほど経ち、待望の昼ごはんの時間がやってくる。
仔蟲達は目を輝かせ、金平糖のお出ましを待ちきれないご様子。
だが世の中はそんなに甘くはない、特に実装石に対してはなぁ・・・。

俺が餌皿に盛り付けたのはいつもの餌。
味のないペースト状の実装餌を見た仔蟲達は一同に文句を垂れ出す。

「「コンペイトウはどうしたテチュゥ!!!コンペイトウをよこすテチュゥ!!」」

「「「ごちゅじんちゃま、コンペイトウをたべさせるテチュ!!」」」

「こんなえさはママにくわせるテチュ!!
 かわいいワタチにはあま〜いコンペイトウがふさわしいテチュ!!!」

「はやくこんなところからだすテチュ!!
 そちてかわいいワタチとあそぶテチュ!!」

「はやくコンペイトウをたべさせるテチュ!!かわいいワタチはおなかがへってしにそうテチュ!!」
 
「はやくすずしいところにつれていくテチュ!!あちゅくてしにそうテチュ!  
 あと、ごはんはコンペイトウいがいはいらないテチュ!
 かわいいワタチのこうきなくちにはそのえさはあわないテチュ!
 だからさっさとここからワタチをつれだちて、おまえのおうちのなかでもてなせテチュ!!」

まあ糞蟲ぞろいのことで・・・・。
各自テチュテチュ鳴きながら、俺に対して下らん要求をしている。
禿裸の仔蟲どもが焼けたコンクリートの床の上で足踏みしながら俺が引き上げてくれるのを待っている様は
なんとも微笑ましい。
3匹ほど暑さに耐え切れずに転がり出し、体中を焼けたコンクリに押し付けて喜んでいる。
まあいい・・・そろそろ親殺しを自由してやるか。

「おい、親殺し。
 もう動いていいぞ。」

デゥゥ・・・と息を吐いて前屈みになる親殺し。
親殺しの立っていた地面の回りは、コイツの流した汗で物凄い水溜りが出来ていた。
地面に寝転がって休みたいのだろうが、そんな事をしたら丸焼きになってしまう。
荒い息を付きながら水のみ場に向かい、物凄い勢いで水を吸い上げて貯水タンクの水を空にしてしまう。
何度か深呼吸をした後、仔蟲達の所にやってきて・・・・・、

「このクズどもがぁ!!!
 ご主人様になんて無礼な口を叩くんデスゥ!!!」

と抜かして、まだ期待の目を俺に向けていた物欲しげな仔蟲どもを殴り飛ばす。
殴り飛ばされた仔蟲達は焼けた便所の鉄格子の上に転がって・・・、

「「「ジャアァァァァッァァアアアア!!!!!」」」

「「ジュゥゥゥゥゥゥウウウゥゥ!!!!!!」」

「ジュビィィィィ!!!!!あじゅいテチュゥゥゥゥゥ!!!!!」

必死に焼けた鉄格子から逃れようと仔実装らしからぬ俊敏さを発揮して焼けたコンクリ床に避難する。
素敵な一家団欒だね♪
邪魔しちゃ悪いから俺は涼しい家の中に戻るよ。

「「「「「「「「「「たちゅけてぇぇぇーーーごちゅじんちゃまぁぁぁーーーー!!!!」」」」」」」」」

仔蟲どもの異口同音の陳情が聞こえてきたが無視する。
あとはやさしいママにいっぱい可愛がってもらいな。


涼しい部屋の中で素麺を食いながら親殺し一家のハートフルコメディをモニター越しに鑑賞する。

怒りで暑さを忘れている親殺しと対照的に俺に無視されたことがショックの仔蟲ちゃん達は、
焼けたコンクリ床に正座させられていた。

勝手に動けは殴られ、文句を垂れれば焼けた鉄格子に押し付けられる地獄の説教タイムが30分ほど続いている。
もう仔蟲達は何も言う気力を失せて、ただ早くこの地獄が終わればいいと思っているのは明白。
親殺しは頭に血が上りすぎてそんな事にはまるで気が付いていない様子。
同じような説教を延々と繰り返し、自分の話を聞いていない仔蟲を探す出すのに夢中になっている。

「おまえ達は正真正銘のクズどもデス。
 公園にいた野良どもだってお前達よりも幾分かはマシデスゥ!!
 ニンゲン様にあんな無礼を働いても生きていられるのは、この賢く美しいワタシのお陰なんデスよ。
 あの愚か者のようにニンゲン様に粗相を働きさえしなければお前たちはあと2日間生き残れるんデス。
 これからはもっともっと厳しくお前たちを躾けて、ワタシの言うとおりに出来ない仔は殺すデス!!」

「「「「「「「「「テェェェェ!!!!!!」」」」」」」」」

親殺しの宣言に目玉が飛び出さんばかりに驚く仔蟲達。
そりゃそうだ、親の言いつけが守れない仔は殺すなんて言われて驚かない子供はいない。

「2日後にはワタシなんかよりももっともっと厳しいご主人様の選別が有るんです。
 それに不合格になったら・・・・・、
 今の苦境が天国だったと思えるような目にいっぱいあって泣きながら死ぬんです。」

「うそテチュ!!
 ごちゅじんちゃまはコンペイトウをくれるやさしいニンゲンテチュ!!」

「そうテチュ!さっきのはなにかのまちがいテチュ!!
 きっといまごろあま〜いコンペイトウをいっぱいよういちてくれてるテチュゥ!」

親殺しは反論した仔蟲を睨み付けると・・・・溜息を付きながら歩みより、

「ニンゲン様の悪意もわからないバカはワタシの子供じゃないデス・・・。
 他の仔の見せしめのために今からおまえたち2匹を殺すデス。」

「「テェェェ!!!!!」」

突然の死刑判決を受けて驚く仔蟲達。
どんなに厳しいママでも子供であるかわいいワタチ達を殺さないだろうとタカを括っていた様だが、
どうやらそれは甘い幻想だったということがようやく理解出来たようだ。

名指しされた2匹は一目散に逃げ出し、出口のない住処の中を必死で逃げ回る。
そんな仔蟲を親蟲は1匹ずつ追い詰め、捕まえると殴る蹴るの暴行を始める。

処刑宣告を受けなかった運の良い仔蟲達は、
親殺しが今まで振るってきた暴力は躾けのために手加減した物であったということを初めて理解した。
顔がへこみ、手足が千切れ、口や総排泄口から鮮血が飛び散る。
遠慮のない暴力が振るわれ、チリィ仔実装の体を容赦なく蹂躙してゆく。

そして・・・ママに本気で殴られて無様な命乞いをしているバカな姉妹を見て、
チプププププ・・・っと笑ってなじりたくなる気持ちを必死で抑えていた。

今・・・自然の衝動に任せて行動すれば・・・・・あの鬼ババアに殺される・・・・。

親殺しの無力な子供に対して思うが侭に暴力を振るう喜びに満ちた雄叫びと、
愚かで哀れな仔蟲2匹の上げる母親への命乞い、姉妹への助け、
そして主人である俺への救済を求める絶叫が出口のない住処の中に響き渡る。

残りの仔蟲達がその惨状から少しでも遠くに逃れようと部屋の片隅に集まり、
目を瞑り、耳を塞いで、体を丸くする・・・。

これは悪い夢だ・・・目が覚めれば・・・何もないはず・・・・。

親殺し一家の団欒は当分終わりそうにない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そして夕飯の時。

全身が仔実装の返り血を大量に浴びて迷彩模様に染っている親殺しと
血涙を流して震えながら整列している仔蟲達が餌を持ってきた俺を出迎えた。

仔蟲達の腹や手に血糊が着いているところを見ると、
どうやら処刑したクズの死骸を便所に捨てる役目を仔蟲達にやらせたらしい。
7匹残っている所を見ると・・・全員その指示に従って、姉妹の成れの果てを便所に捨てた様だ。

能面の様に無表情な親殺しとは対照的に、
仔蟲達の目には強い恐怖と憎悪が宿り、親殺しのことを本気で嫌っている様子。
親殺しの夢見た妄想は早くも崩れ去っているなぁ・・・。

まあいい、餌をくれてやろう。
とりあえずいつも通りの分量を盛ってやると、親殺しがそれを素早く仕分けて子供達に手渡す。
昨日までの仔蟲達の楽しげな鳴き声は聞こえず、住処の中は餌を咀嚼する音だけが鳴り響く。

無言の食事を終えると、親殺しは仔蟲どもを一箇所に集めて話を始める。
夜の講義は賢い仔蟲の見分け方についてらしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・?

バカだな・・・コイツ・・・。
何のためにこいつ等にそんな話をするのか?
もしかして・・・親殺しの奴・・・、
俺が選別するといった意味を分類石候補生を選ぶと言ったのと勘違いしているのかね・・・・

仔蟲達は見た目は神妙に聞いているが・・・・あの分だと何も理解していないな。
そりゃそうだ、赤ん坊に哲学の講義をしても意味がないように
賢くないただの仔蟲にこんな話をしても理解なんて到底不可能だ。
ただの仔蟲に教え込めるのは、日常生活用の躾を苦痛と恐怖をもって刻み込むのが精一杯。

子供に憎まれてまで分類石の知識を教え込もうとしている親殺しだが、
こいつのすることは何もかもが無意味で無価値だ。

この分で行けば、仕掛けを使わなくても仔蟲どもは全滅だな。


・・・・この仔達は・・・本当にワタシの言うことを理解しているのか・・・?
昨日までと違い、神妙な面持ちでワタシの話を聞いてはいるが・・・。

「そこのお前、今ワタシの言った意味がわかるデスか?」

「・・・・・・・・・・。」

子供を殺して以来、この仔達は一切喋らなくなった・・・・。
ワタシの命令に逆らわない様にするためにした・・・死体掃除が不味かったのか・・・。
確かにワタシの指示に文句一つ言わずに従うようになったが・・・、
ワタシを見る目はバケモノを見る目だ・・・。

ここまでやっても・・・何匹の仔が選んで貰えるかはわからない。
こんな地獄だと分かっていれば・・・大切なご褒美をこんなことに・・・・使わなかったのに・・・・。
ワタシが・・・もっと・・・バカなら・・・この仔達と楽しく過ごして・・捨ててしまえたのに・・・。

憎しみの篭った視線を受けながら・・・夜が更けるまで、私は子供達にお勉強を教え続けた・・・。



次の日は雨だった・・・。
昨日の晴天が嘘の様に空は曇り、シトシトと雨が降り注ぐ。
どうやら虐待神は折角の仕掛けを無駄にするのがお嫌らしい。

親殺し一家の朝飯をもって「水牢」を訪れる。
そう、この実装ハウスの本当の姿は水牢なんですよ。

雨どいや水場から出る水が最終的に集まるところを改造して造った代物で、
知能の高い親子を放り込んで楽しむための施設だ。
ウチのもてなしでは中の上ぐらいのレベルだが、じわじわと絶望する親子の顔と、
見捨てられた仔蟲の様子が素敵な一品。

親子の仲がギスギスしている親殺しちゃんには名誉挽回のチャンスかも。
うまくこの危機を乗り越えられれば、また仲のいい親子に戻れるかも・・・・・うまくいけばな。

水牢の中は・・・・・既に仔蟲の腰ぐらいまで冠水していた。
仔蟲は仔蟲だけで固まり、この危機的状況をどうしたらいいのか分からずにただ震えているだけだった。
親蟲も仔蟲と大差なく、わめき散らしながら水を蹴り飛ばしているだけ。

排水溝を閉鎖しているので水は抜けず、天井の水路から次々と水が押し寄せてきて状況は悪くなるばかり。
そんな中、俺が登場する。

「ごごごごごごご、ご主人様ぁ!!このままじゃ皆溺れ死んじゃうデスゥ!!
 ななな、何とかしてくださいデス!!!!」

「おや?リタイアかい。
 親殺し・・・今まであんなに仔蟲を痛めつけて何かを仕込んでいたようだが、
 自分の命が危険に晒されるとすぐに大切な子供を捨てて逃げようとするのかね?」

「・・・・・・デデェ!!!ご、ご主人様・・・今のは無しにしてください・・・デスゥ。」

お願い事についての規則は覚えているようだな
少し間を置いてから・・・・。

「まあ、いいだろう。
 ノーカウントにしてやる。
 それ、お待ちかねの餌だよ。」

少し浮き上がった餌皿に山盛りの餌を盛ってやる。
親殺しはそれどころじゃないだろうという顔をしていたが、沈まない餌皿を見て何かに気付いた様子。
そうでなくては困るな・・・一応分類石なんだから、この程度のことはノーヒントでこなして欲しい物だ。

親殺しは急いで仔蟲達を整列させる
仔蟲達は不気味なくらい静かに親殺しの命令に従って、ノロノロと整列する。
すると餌をいつもの半分食わせて、残りを水の中に捨てる。
そして、仔蟲達を餌皿の中に乗せてゆく。

偉いぞ、そうすれば仔蟲は溺れ死ぬことはない。
ただ、自分は死ぬかもしれないが・・・・。
そのことに親殺しは気付いていない様子。
すっかり安心して、返事を寄越さない仔蟲達に何かを語りかけている。

まあ、今の所は平気だろう。
精々昼飯まで生存しろよな。


ワタシはなんて賢いんだろう!!
沈まないご飯皿に子供達を乗せればいいんだ。

ワタシは自分の賢さに眩暈がしそうだ。
意地の悪いご主人様の造った仕掛けもこれで空回りになる。
あのニンゲンも変な所で頭が回る癖に肝心な所が抜けている。
あとは水が徐々に抜けていけば・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・随分と水が増えてきた・・・。
子供達は大丈夫だが・・・・私は・・・・どうなる?
水かさが既に肩の所まで来ていて・・・・もう少しで足が付かなくなる。
その上・・・・入ってくる水の量は増える一方なのに・・・溜まった水は一向に減らない・・・。
トイレの排水溝を見ると・・・鉄格子の下に・・・・ワタシの子供だった物が引っかかっていた・・・。
それは・・・意思を持つようにゆらゆら揺れて・・・目の無くなった顔でワタシを睨んでいるように見える。
・・・・・・ワタシが悪いんじゃない・・・。
愚かなお前たちと冷酷なご主人様が悪いんデスゥ・・・。



ああ・・・寒い・・・・体が寒さで痛くなってきた・・・・。
ワタシはご飯皿の台の板に捕まり・・・何とか水の上に頭を出していた・・・。
ご飯皿の子供達は全員ワタシに背を向けて丸まっていて、頑張るワタシに励ましの声すらかけようとしない。
この恩知らずどもが!!
ワタシの機転がなければ、お前たちは今頃死んでるデス。

体力のない仔実装は30分も水に浸かっていたら完全に死んでしまう。
その点、大人は十分な体力と美しい体を内側に詰まった脂肪のお陰で
5〜6時間ぐらいなら仮死を繰り返しながらでも生き延びることができる。

そろそろ昼ごはんをご主人様が持ってくるはず・・・・。
それまで我慢すれば・・・いくら冷酷なご主人様でも何とかしてくれるはず・・・。



だが・・・・なかなかご主人様は来ない・・・。
太陽が見えないから正確な時間は分からないが・・・・もうご飯の時間のハズだ!
雨脚が強くなったからご飯を与えに来るのが面倒くさくなったとでもいうのか!あの糞ニンゲンは!!!

なかなか現れないご主人様に悪罵を付きながら天井を見る。
鉄格子が子供の手でも届きそうなぐらいの所にまで迫り、
このままではご飯皿の上の子供達が押しつぶされてしまうではないか!!
お願いデス!ご主人様・・・どうか早く来て・・・・。

芯まで冷えて動きの侭ならない体を動かして、ご飯皿の上の子供達に触れようとするが・・・、
子供達はこんな状況でもワタシのことを拒絶しようとする。
・・・・・・・・ワタシのしてきたことは・・・間違いだらけだったんデスか・・・?

こうなれば意地でも子供たちに触れてやる。
ワタシはご飯皿に身を乗り上げ・・・・・?

ガコンッ!

何か大きな音がした・・・・。
な・・・・なんだ・・・・・?

溜まった水が物凄い勢いで抜けていく・・・・。
や・・・やった・・・。
何をしたのかは分からないが・・・賢いワタシに掛かればこんなこと朝飯前デスゥ♪
が、そう思ったのも束の間・・・。

ワタシは強烈な水の流れに飲み込まれて、排水口の鉄格子に押し付けられた!!!
カァァァァ・・・・い、痛いぃいぃ・・・肉が千切られそう・・・・
い・・・息が・・・・・デバァぁ!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



雨脚が強いが約束の餌を与えに水牢にやって来る。
おや・・・2、3度水が抜けた様だな。

排水溝の鉄格子に大の字でめり込んでいる親殺しと、相変わらず餌皿の上で丸まっている仔蟲達。
親殺しを裏返してみると・・・・カートゥーンだな・・・。
鉄格子にめり込んだ部分が強烈な水圧で押し出されて、まるで天付き器から出てくる途中のところてんの様。
意識は完全になく・・・・両目を見るかぎり・・・仮死で留まっていて、辛うじて生きている様子。

俺が声をかけると、仔蟲達は一斉にこちらを向いて一斉にテチュテチュ鳴き始める。

「ごちゅじんちゃま!このままじゃおにババアにころされちゃうテチュ!!
 どうかワタチたちをたちゅけてくだちゃいテチュゥ!!」

「「「おねがいちまちゅテチュゥ!!!ごちゅじんちゃま!!!」」」

「このおにババアからにげられるならなんでもちまちゅテチュ!!
 だからたちゅけてくだちゃいテチュ!!!」

「「このおにババアのそばにいるのはいやテチュゥ!!!ここからだちてテチュゥ!!」」

はははっ・・・みんなママのことが大嫌いみたいだね。
親殺しと同じ空間にいるぐらいなら火の中に飛び込んだほうがマシとでも言いたげな仔蟲達の陳情を聞いてやるか。

「じゃあ、いまから降ろす縄梯子を昇って外に出れた仔を俺が飼ってあげよう。
 これには制限は無く、登りきれた仔をみんな飼うよ。」

「「「「「「「ほ、ほんとテチュか!!!」」」」」」」

「本当だとも!さあ楽園へ繋がる縄梯子を降ろすよ。」


そういって仔実装サイズで作った縄梯子を降ろしてやる。
仔蟲どもは目の色を変えて殺到するが、そのあと・・・どうしていいのか分からないらしい。
ははははッ・・・バカ揃いだな!!
梯子の昇り方も分かんねぇのかよ・・・・。

しかたない・・・仔蟲どもに梯子の登り方を懇切丁寧に教えて、ゲームを開始する。
水牢の底から地上まで約60センチの高低差が有り、ただの縄梯子登りも仔蟲達には必死のサバイバルになる。
だが、この仔蟲達は味無しだが栄養だけは通常の餌の2倍のカロリーを誇る餌を毎日たらふく食っているので
この難事をとりあえず一回はこなせる体力が備わっているはず・・・。

一番賢い仔蟲を先頭に縄梯子をえっちらおっちらと昇り始める。
固定式の梯子ではないので重心が安定せず、何匹かがボロボロと地面に転げ落ちる。
普通ならば重傷を負うのだが・・・落ちた地点が低く(10センチ)、下には水が溜まっているので
辛うじて強烈な打ち身程度で済むようだ。

「ほら、頑張らないと楽園に行けなくなっちゃうぞ。
 鬼ババアと一緒に水泳がしたいなら別だがな・・・。」

落ちた仔蟲達は必死の形相で縄梯子に挑みかかる。
よほど親殺しのことが嫌いのようだな。
まあ、頑張る理由があることは良い事だ。
それが有る無しで実装石の作業効率は天と地の差が出るからなぁ・・・。


梯子を昇る仔蟲達の先頭がようやく地上に辿り着く頃・・・親殺しが仮死から蘇生する。

「デァァァァァ・・・・・体中が猛烈に痛いデスゥ・・・・。
 ・・・・・・あれ・・・・子供達が・・・・・・・・デスゥ!!!!!」

親殺しは梯子を昇るわが子の姿を確認して驚く。

「お、お前たち何をしているんデスかぁ!!!危ないから早く降りるデスゥ!!!」

親殺しの意識が戻ったのに気付いた仔蟲達はパニック状態に陥る。
だが既に登りきった賢い仔蟲と普通の体の大きめな仔蟲が、

「みんながんばるテチュゥ!!あとすこしでらくえんテチュ!!!
 おにババアのことはきににないではしごをのぼりきることだけをかんがえるテチュゥ!!!」

「がんばるテチュ!!かわいいワタチたちにふかのうはないテチュ!!!!」

姉妹の応援に活気付いて懸命に縄梯子を昇る仔蟲達。

「や、やめるデスゥ!!!お前たち!!!
 それを昇りきったら死ぬよりも辛い目が待っているんデスよ!!!
 いまからでも遅くないデスゥ!!戻ってくるデス!!」

「うそはくなテチュ!!このくそおにババアめ!!!
 おまえのうそにはもうこりごりテチュ!!
 ワタチたちはごちゅじんちゃまにかってもらってしあわせになるテチュ!!
 ブサイクでせいかくのわるいこどもごろしのあくまはそこでのたれじぬテチュ!!!!」

「そうテチュ!!このおにババアめ!!!おまえなんかちんじゃえテチュ!!」

安全な所にいる仔蟲2匹は今までの鬱憤を晴らすかのように親殺しに罵声を浴びせかける。
親殺しのやってきたことは全て無駄だった様だな。
仔蟲達は親殺しの躾をカワイイ自分たちを嫉妬して虐待していたんだと思っている様子。
親殺しの顔色が真っ黒に染まり、顔が梅干みたいに皺だらけに変容して・・・

「お前たち!!!親に向かってその言い草は何デスゥ!!!!!!
 引きずり降ろしてぶっ殺してやるデス!!!!!!!!」

堪忍袋の緒が切れた親殺しは縄梯子に踊りかかり、
実装石とは思えないような速度で器用に子供サイズの縄梯子を昇ってくる。
その過程で、途中にいた仔蟲達は全て薙ぎ払われて水牢の底に落ちてゆき・・・・、

「チャガァ!!」

「チベァ!!!」

「チャブゥ!!!」

「チビィィイ!!!」

と奇妙な断末魔を上げながら水面に汚い肉の華を咲かせていた。
40〜50センチほど上がっていたのでこの高さから落ちれば仔実装は確実に死ぬ。
運良く地上手前まで辿り着き、先に昇りきった仔蟲2匹に引き上げてもらっていた運の良い仔蟲だけが
なんとか助かっただけの様だ。

三匹目が昇り切って少しすると・・・・・、

「お前たち!!!覚悟はいいデスかぁ!!」

と言って親殺しが水牢の縁から頭を覗かせる。

「「「チィィィィィィィ!!!!!!!!!ごちゅじんちゃまぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

分かっているって・・・。
俺はゴム長靴を履いた足で昇りきろうとする親殺しの頭を踏みつけ、

「親殺しちゃん?何を勝手なことをしているのかな?
 お前の居場所は水の中だろう?」

「五月蝿いデス、ニンゲン!!!
 美しいワタシの頭がからサッサと汚い足をどけやがれデスゥ!!
 ワタシは恩知らずの糞ガキを殺すんでいそがしいんデス!!!
 さ・・・・ギャバァ!!!!!!!」

あ・・・いけねぇ・・・本気で蹴り飛ばしちまった・・・。
肉を削ぎ飛ばす感触がしたんで・・・首を刎ね飛ばしちまったか・・・・。
恐る恐る見ると・・・・親殺しの右顔面が丸ごと無くなっていた。
綺麗に後頭部も無くなっていて、スイカを4分の1だけ切ったとき様な感じで親殺しはそこにいた。

幸い、偽石は無傷で・・・脳みその断面の中に埋もれているのが確認できた。
・・・・・・少しすると・・・・、

「デッ・・・・ギャァァァァァァァァァッァァァァァァッァァァアッァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

と近所迷惑な絶叫を上げて水牢の底に落ちていった・・・・。


水牢の鉄格子を閉めて、仔蟲達を連れて家に戻る。
これから俺が風呂に入るついでにこいつ等も入れてやろう。
横殴りの雨の中、馬鹿面晒して30分も立っていれば全身ずぶ濡れになってしまうのは当たり前・・・。
風邪を引く前に暖まらないとな。
無論・・・仔蟲達を風呂に入れるのはこれから始まる楽しい楽しいもてなしの前座の為だぞ、
俺は愛護派じゃないからな。

すぐに彩華に風呂を沸かしてもらい、急いで入る。
仔蟲達は深めの洗面器にお湯を張って、そこに放り込んでおく。
ああ〜〜〜っ、良い湯だなぁ・・・。

「ごちゅじんちゃま!あそんでテチュ♪」

「ごちゅじんちゃまといっちょにはいりたいテチュ♪!」

「ごちゅじんちゃま、とってもきもちいいテチュ♪」

やれやれふざけたことを抜かしておられる仔蟲ちゃん達だ。
実装石と同じ湯船に入るなんて御免だね。
それに産まれてから一度も水浴びしていない・・・いや、さっき死ぬほどしたか・・・、
まあ兎に角、薄汚いナマモノと風呂に入る趣味はないので遠慮させてもらう。

「お前たちは姉妹仲良く遊んでな。
 俺が体を洗ったら、お前たちも洗ってやるよ。」

「「「はいテチュ♪ごっちゅじんちゃま♪」」」


20分ほど風呂に浸かり、その後体を洗って・・・こいつ等を洗浄しようか・・・。
仔蟲達が戯れていた洗面器の水は緑色に染まり、だいぶ不愉快な臭いがする。
やれやれ・・・仔蟲どもを摘まみ上げて別の洗面器に移し、
ボディソープを大量に付けて潰れない様に優しく揉みながら洗ってやる。
初めての洗浄にテチュテチュ喜びの声を上げてはしゃぐ仔蟲達・・・・・。
これだけ見ていれば、一般人や愛護派はコロッと騙されてしまうのだろうな。
だが、こいつ等の性根を知っている俺は・・・こんなもの見せられても不愉快なだけだ・・。
上げて下げる虐待も大変なんだよ・・・・。

髪がないため手間の掛からない仔蟲達の体を2度丁寧に洗い、
不愉快な実装臭がしなくなったのを確認してから泡を洗い落として、
お湯を張った洗面器に再度放り込んで俺も風呂桶に浸かる。

やれやれ・・・これが実蒼石や実装紅だったら一緒に風呂に入れてもいいんだが・・・・、
こいつ等じゃなぁ・・・。
俺が湯船に浸かってくつろいでいると・・・。
すっかりセレブ気分の仔蟲どもはまたテチュテチュ騒いでいる。
まったく五月蝿い・・・。

「風呂に入れる実装石はとても幸せなんだぞ。
 それに賢い仔は静かに風呂に入るもんだ。
 五月蝿くしている所をみるとお前たちは賢くないのかな?」

すると三匹とも口に手を当てて黙り込む。
よろしい、そのまま後20分ぐらい黙っていてくれ・・・・。
それから俺は・・・30分ぐらい湯船に浸かり、こいつ等のもてなし方を考えた。


風呂から出て、使わなくなった手拭いで拭いた仔蟲達を段ボール箱の中に放り込んでおく。
家の中を勝手に徘徊されて、あまつさえ粗相をされた日には・・・。
ともかく、仔蟲どもを放り込んだ段ボール箱を持って離れに行く。

離れは後から作った実装石飼育用の建物で、ここの地下で実装活性剤用の仔蟲達が収穫されている。
地上は2階の作りで、1階は資材置き場に使っていて、2階に実装活性剤の製作室やその他の作業部屋が有る。
1階の資材置き場の開けたスペースに仔蟲入り段ボール箱を置き、優待飼育水槽を探しに掛かる。
前回親殺しを接待してから使っていないから・・・・何処にやったかな・・・・。

10分ほど探して、件のブツを発掘した。
洗っていないが・・・・まあ見た目が綺麗だからいいか・・・。
段ボール箱から仔蟲達を摘まみ上げて次々と放り込む。

「テェェ・・・もっとていないにもてなすテチュゥ・・・。
 チュウ?・・・・・ここはどこテチュ・・・?」

「とってもごうかなおへやテチュ♪ここがこれからのワタチたちのおうちテチュ?!」

「とってもきれいで、すてきなおもちゃもいっぱいあって・・・・なんだかなつかしいにおいがするテチュ?」

やっぱり分かるのか?
自分の家族の臭いがするのを不信に思っているようだが・・・・、
さすがに仔実装だった親殺しがここで過ごしたことまでは分かりかねる様だ。

豪華な部屋に満足し、思いのままに行動し始める仔蟲達。
簡易トイレと水飲み器を入れて、

「お前たちはここで大人しくしていろよ。
 中の物は好きに使っていいが、汚したら・・・その仔は追放だ。」

「「「テェェェ!!!!」」」

「要するに節度を持って遊べという事だよ。
 特に、糞をそこの簡易トイレ以外でした奴はママの所に戻すからな。
 それと・・・自分のしでかした罪を他の仔の所為にしようと奴もママの所送りだ。」

「「「そ、そんなテチュ・・・。」」」

粗相をしなければ明日まではそこで生かしておいてやるということだ。
頭の足りない並みの仔蟲達にそのことを理解して無い様だが、理解した所で苦痛が増すだけ。

「じゃあ、夕飯の時にまた会おう。」

「ばんごはんはおいちいものがいいテチュ!!」

「ワタチはコンペイトウがいいテチュ!!」

「コンペイトウ、コンペイトウテチュ!!」

寝ぼけた仔蟲達を入れた優待水槽の蓋を閉じて資材置き場を後にする。
精々、実装生最後の楽しい思い出を作るといい。




ワタシは・・・・歩いていた。
見たことがない位、長い長い道をもう随分と歩いたような気がする。
道の左右を毒々しいまでに赤い花が埋め尽くし、辺りには自分以外はいない様だ・・・。
砂利の敷き詰められた一本道をとぼとぼと歩き続ける。

もう長い時間も歩き続けた後、ようやく終点が見えてくる。
大きな大きな水溜りが見えてきて・・・開けた場所に沢山の同族がいた。
開けた場所に差し掛かり、足を止めると・・・・・、
自分の後ろから沢山の子供達が大きな水溜りに向かって走ってゆく。
でもおかしい・・・、なんでこの仔達は鳴かないんだ?

こんなに沢山の同族がいるのに・・・誰一匹として・・・声を出さない。
暗い顔をした者、怖い顔をした者、強い憎しみを顔に刻んだ物、とても悲しそうな顔をした者、
あきらめた顔をした者、無表情な者・・・・誰一匹として、負の表情を刻んでいない者はいない。

でも、誰一匹として鳴かない。
千匹を超える同族がひしめき合っているのに・・・・なんで・・?
ワタシは急に足が動かなくなり、その場に立ち止まってしまう。
あ・・・あれ?どうしたんだ・・・・。
あの列に並ばないといけないんじゃないのか・・・?

何故か動けなくなったワタシは仕方ないので辺りを見回す。
大人は水溜りに浮かぶ大きな船に乗る者と小さい船に乗る者の二手に分かられる。
大きな船に乗る者は寿司詰めに押し込まれ、どう見ても過積載だ。
小さい船の方は、数は少ないものの様々な実装石が乗っている。
生まれたての仔や大人に成りかけの仔、普通の大人から実装さんまで乗っていた。

この船は何処に行くんだろう・・・。
そう思っているとガランガランと鐘が鳴らされて、
同族を満載した大きな船と様々な大きさの同族の乗った小さい船が船着場から出てゆく。

う・・・っ、あ、あれ?体が動く?
さっきまでの金縛りが嘘の様に体が動き出し、ワタシは小さい船のいた船着場に向かって勝手に歩き出した。


ワタシが船着場に着くと、丁度小さい船が入ってきて船着場に泊まった。
勝手に足が進み、ワタシは小さい船の目の前まで来た。

船には黒い布を被ったニンゲンが居て、コイツが船を動かしているらしい。
・・・・ワタシは船の目の前まで来たが・・・・何故か船の上に移動出来ない。
ワタシが前に出ようと努力していると黒いニンゲンが声を掛けてきた。

「お前さん、まだ死んでいないんじゃないか・・・。
 生者がなんでここに居るんだい?」

「デデ、デスゥゥ!!!!し、死んだ?・・・・ワタシが死んだんデスって!!!」

「そうさ、ここは三途の川の渡し。 
 現世とあの世の境界線だよ。」

・・・・・なんてこった・・・・ワタシは・・・死んでしまったのか・・・。
でも・・・何で?・・・・・・あああ!!!そうか!!!
ワタシはあの性悪ニンゲンに子供を罰するのを邪魔された上に、抗議をして蹴り殺されたんだ・・。
あんなに頑張って生きてきたのに・・・あっけないものだ・・・。

「ところで、大きな船と小さな船はどこに行くんデス?
 ワタシが乗ろうとしているこの船はもしかして・・・楽園行きデスか?」

「・・・・・・・・・・・楽園?
 馬鹿言いなさんな、お前さんの乗るこの船は閻魔庁行きだよ。
 お前さんはそこで閻魔様の裁きを受けて、相応しい地獄に落ちるのさ。」

「じ、地獄ゥ!!!なんでデスゥ!!!
 ワタシみたいに清く正しく生きてきた実装石が何で地獄行きなんデスゥ!!!」

「ヒヒヒヒヒヒッ、お前たちはドイツもコイツも同じようなことを言うねぇ。
 おいらも渡し守を随分長いことやっていてねぇ、たま〜にお前さんみたいな死に損ないが来るんだが・・、
 本当に皆揃って判を押したように同じようなことを言うね。
 お前さん、自分の生涯を客観的に振り返ってみて・・・本当にその台詞が言えるかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・た、たぶん大丈夫・・・・デス・・・。」

「そうかい、それは結構なことだ。
 まあ・・・ほかの客が乗り込むまで暇だからお前さんとお話でもしようかねぇ。
 何か聞きたいことはないかい?ここで見たものは全てが初めて目にする物だろう。」

黒いニンゲンの真意は分からないが・・・とにかく状況を把握するために情報を聞き出そう。
そうしなければ何も前に進まない。

「じ、じゃあ・・・大きな船に乗った同族は何処に行くんデス?」

「あいつ等は罪が軽いから裁判無しで餓鬼道に放り込まれるんだよ。
 糞蟲度の軽い奴や人間に消費されるために生まれた連中があの船に乗るんだぞ。
 まあ・・・あいつ等は比較的幸せな奴らだ。」

「な、何でデス・・・?」

「そう長いこと苦しまないでまた生まれ変われるからさ。
 ただし実装石に生まれるのは確定だが・・・。」

・・・・・・そんなのが幸せ?
じゃあ・・・ワタシはどうなるんデス・・・ママを殺して生きながらえたワタシは・・・。

「・・・・そういえば・・・途中で見た子供達は何処に行くんです?
 生まれてすぐ死んだかわいそうな子供達は・・・楽園にいくんデスか?」

「やれやれ、お前さんたちは「楽園」って言葉が好きだねぇ。
 けっして辿り着けないことを知っているくせに何ですぐに口にしたがるのかな?
 仔蟲どもはそこの賽の河原で10段の石塔を積み上げるまでず〜〜〜っと拘束されているんだよ。
 ほら、お前さんの丁度後ろ・・・。」

黒いニンゲンが指差す方向を見ると・・・・・・。
赤い花畑と三途の川の境界線に地平線の向こうまで続く河原が有り、そこに沢山の仔実装達がいた。
ざっと見ただけでも何億という数の子供達が居て、どの仔も血涙を流しながら一生懸命に石を積んでいる。

「こいつ等は数が多すぎるから処理が面倒なのでここで済ましているんだ。
 糞蟲度の低い奴はすぐに石塔を積み上げられるが、糞蟲度の高い奴は何時までたっても積み上げられない。
 糞蟲度の高い奴には印が付けられてなぁ・・・ほら、あそこで獄卒たちに折檻されている奴が居るだろう?
 全身が緑色に輝いている奴な・・・ちなみに輝きが強いほど糞蟲度が高いんだぞ。」

パンツ一丁の赤いデブとパンツ一丁の青いマッチョに川に向かって投げられている子供達を指差して、
黒いニンゲンは楽しそうに説明を続ける。

「糞蟲度の低い奴は全てが簡単にこなせるようになっていてな、
 石塔用の手頃で平らな石もすぐに見つかるし、獄卒たちにも見えにくくなっているんだ。
 逆に、糞蟲度の高い奴は石塔は組み上がらない、獄卒に執拗なまでに妨害されて何度も一からやり直し
 の憂き目に遭う。
 その上なぁ・・・・賽の河原に長いこと居るとなぁ・・・無条件で深い層の地獄に送られるんだ。
 どうせそんな奴が生まれ変わっても悪事しか働かないのだから・・・と見切りを付けてしまうのさ。
 体がジワジワと大きくなって行き、成体の大きさになるとおいらの船に乗せられて・・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・。
なんて救いのない光景だ・・・。
黒いニンゲンの言う通り、緑色に輝いている子供は何をやってもうまくいっていない。

あと1つで石塔が完成するのに石が見つからず・・・折角積み上げた石塔を赤いデブに蹴り飛ばされて、
自身も雑巾を絞るように捻られた後、川に向かって投げ捨てられる。
その仔は何百メートルも飛ばされて川の中に落ち、助けてともがいていた。

色とりどりのニンゲン達に取り囲まれて、鍋の具にされたり、焼けた鉄板の上で踊らされたり、
生きたまま解体されて釜の中で湯掻かれたり、内臓をぬかれて踊り食いされたり・・・、
次々と捕えられてニンゲンのご飯にされてしまう子供達・・・。

赤い花畑との境界には串刺しにされて動けない仔もいる。
何十万という串刺しが一列に並びそのまま放置されている。
中には黒いニンゲンの言う通り、他の仔の倍の大きさに成長した子や大人に成りかけの仔も串刺しにされていた。
もしかして・・・あの仔達は何年間もあのまま放置されていたのだろうか・・・。

川に投げられた仔達も悲惨だ。
実装石は泳ぐのが大の苦手・・・バランスが悪いので上手く泳げず、すぐに溺れてしまう。
子供は大人に較べても絶望的なぐらい泳げない・・・。
ニンゲンに何百メートルも投げられて川に落ちた仔は何とか岸に戻ろうと努力する。
だが、とても速い流れに飲み込まれて川の底に沈められたり、大きな魚に踊り食いされたりしている。
川に投げ込まれた仔達はどうなるのか?と黒いニンゲンに聞いて見ると・・・、

「あいつ等は10〜20キロぐらい下流まで流されれば勝手に岸に着くぞ。
 その間に何百回と死ぬがなぁ。
 まあ死んでいるからこれ以上どうなることもあるまいて。」

・・・・・酷い話だ・・。
糞蟲な仔は地獄送りが決定している様なものではないか・・・。
どんなに頑張ってもニンゲンに全てジャマされて、沢山苛められて大切な時間を消費させられてゆく。


悲惨な光景に打ちひしがれていると・・・、

「チュゥゥゥゥゥーーーーン♪♪♪」

と子供の上げる歓喜の声が聞こえてきた。

「おや、石塔積みに成功した奴が居るようだな・・・・あそこだ。」

黒いニンゲンが指差す方向に白く輝く玉があった。
その玉はふわふわっと浮き上がると、物凄い速さで赤い空の果てに飛んでいった・・・・。

「あれはこれから仔実装に転生するんだ。
 まあ、すぐにここに戻ってくるだろうがなぁ。」

「・・・・大丈夫デス・・・きっと幸せになるんデス・・・。」

ワタシは今飛んでいった仔の幸せを切に願った・・・。



「で、最後のこの船はなぁ・・・・大罪を犯した糞蟲を閻魔庁に送る船だ。
 糞蟲の実装石であったとしてもけっして許されない罪を犯したクズがこの船に乗船するんだ。
 土壇場で家族を裏切った実装石、自分だけ楽な生活をするために仲間や子供を売った実装石、
 実装石以外の生き物を強姦したマラ実装、自分の子供を虐待して楽しんだ実装石など・・・
 実装石の中でもどうしょうもないクズが閻魔様の裁きを受けて、相応しい地獄に落ちるのさ。」

「も、もしも地獄に落ちたら・・・どうなるんデス・・・?」

「人間達の行う虐待を更に過激にした物を延々と受け続けて、
 罪を濯ぎ、魂の洗浄が終われば開放されて・・・・また実装石に転生することになる。
 だが、無限地獄に落ちると・・・・・・永遠に責め苦を受けることになって、未来永劫救われることはない。」

最悪だ・・・・・。
どう足掻いても、このままでは地獄行き決定だろう・・・。

「どうやったら罪を軽く出来るんデスか?」

「人間の場合は善行を積めばいいんだが、実装石にはないな。
 何をやっても悪行に加算されるから何もしないというのが一番の善行かもな。
 息をしないとか・・・・な。」

「じゃあ生きている意味がないデスゥ!!!! 
 ワタシ達はなんのために生まれるんデスか!!!」

「さあ?
 下っ端のおいらにはお偉いさんの考えることはよくわかんねぇよ。
 人間の運搬と裁判だけでも忙しいのに、なんでこんな糞蟲の世話までしなけりゃならんのか・・・。」

「ニンゲン?・・・・ニンゲンも死ぬとここに来るんデスか?」

「そうだよ。
 場所は違うがここと同じ様な場所があって、そこから別の閻魔庁に送られる。」

じゃあ、あの糞ニンゲンも地獄行きデスね。
ワタシをこんな目に遭わせて、あんなに沢山の同族を苛め殺し、子供達を搾取する外道は・・・。
ざまあみろデスゥ!!
・・・・・でも、確認のために聞いてみよう。
この黒いニンゲンはお喋りだから答えてくれるかもしれない。

「じゃ、じゃあワタシ達を苛めたニンゲンはどうなるんデス?
 やっぱり地獄行きデスか・・・・?」

「いいや、お前さん達を虐待した人間は善行を積んだとされるんだ。
 害悪の実装石を罰することは良いこととされているんだよ。」

「ななななななな、何でデスゥ!!!!
 生き物を苛める奴は悪い奴じゃないんデスか?!!
 どうしてワタシ達を苛めることが善行になるんデス!!!!」

「たしかに生き物を虐待することは罪だよ。
 でも、実装石は違うんだ。
 お前たちはこの世の陰の気が凝り固まって出来たゴミなんだよ。
 お前たちが沢山現世に巣くうと秩序が乱れ、世界が腐る。
 だから、なるべく沢山の実装石を駆除することが平和の秘訣みたいなものだな。」

「・・・・ワタシたちは・・・生きていちゃいけないんデスか・・・?」

「大局的にはそういうことだろうな。
 まあ・・・世が乱れるのはお前たちの所為だけでなく、色々な要素が絡み合っているんだが・・。
 そんな難しいことを頭の悪そうなお前さんに話しても無駄だろう。
 つまり、実装石が増えすぎるということは世の中が乱れてきたという証拠だな。」

あんまりだ・・・・ワタシ達を苛めるニンゲンどもが地獄に落ちない・・・、
しかも・・ワタシ達は世を乱す害悪だというのか・・・・。
そして・・・・ワタシ達を意味も無く虐殺するニンゲンの行いが正しいこと・・・・。

「そんな難しいことよりも、自分の心配をしたらどうだい?
 渡し守歴の長いおいらの見立てだと・・・・・お前さん、無限地獄行きかもな。」

「で、デスゥ!!!  
 どうしてかわいそうなワタシが無限地獄行きなんデス!!」

「ここにきたお前さんの罪科は・・・、
 姉妹を見捨てたこと、親を殺したこと、自分の保身のために他実装の仔を賄ったこと、
 そして自分の子供を楽しんで虐待し殺したこと・・・かな、おおまかなものは。
 それにしても酷い奴だな・・・お前さんは。
 実装石担当の閻魔様ははんぱねえぐらい厳しいお方だからなぁ・・・。
 大体おいらの見立てが当たると思うよ。」

「いいいいいぃ、嫌デスゥ!!!!!
 何で賢く美しいワタシが地獄に落ちなけばいけないんデスゥ!!!
 こんなの間違っているデスゥ!!!」

「ははははははっ・・・、また判を押したような台詞を吐くんだから。
 どうしてお前さん達は芸が・・・・・ん?
 どうやら現世に戻れるようだね。
 体が消えかかっているよ。」

「ででで、デスゥ!!
 わ、わたしは・・・どうなるんデス・・・。」

「またお天道様を拝めるわけだよ、おめでとうさん。
 今見聞きしたことを忘れていることを祈るよ。
 もしも憶えていたら・・・この先、生きていくのが大変だろうからねぇ・・・。」

黒いニンゲンが溜息を漏らすのと同時にワタシは何かに思いっきり吸い込まれる様な感覚を味わって、
意識が遠のいていった・・・・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・ああ・・ここは・・・?

ワタシは薄暗い部屋の中で目を覚ました。
頭がズキズキと痛んで何だかとても周りが暗いな・・・。
・・・・・・・ワタシは何をしていたんだっけ・・・?

「ようやく目を覚ましやがった様デスね、親殺し。
 さっさとこっちに来るデスゥ。」

突然現れた同族2匹が意識のはっきりしないワタシを荒々しく立たせて、
隣の部屋に引きずってゆく。

「何をするんデスゥ!」

「・・・・・・・・・・・・・。」

ワタシを引きずる2匹は何も答えずにズルズルと引きずって行き、
沢山の同族のいる部屋にワタシを連行する。

「久しぶりデスね、親殺し。
 3週間楽しんできたようデスね・・・・随分と無様な顔になっているデスよ。
 落ちこぼれのクズには相応しい有様デスゥ。」

一際大きな同族はワタシの顔を見るなり、侮蔑の言葉を浴びせてくる。
それに合せて部屋の中にいた沢山の同族がワタシのことを嘲笑う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんなんだ・・・・・・ワタシが何をしたというんだ・・・・。

「親殺し、お前は自分が何だが分かるデスか?」

「ワタシは・・・・・・・・・・・何デス?
 それに・・・あなたたちは・・・・誰・・・・デスゥ?」

大きな同族は鼻で嘲笑うと、

「お前は3週間前まで分類石もどきだったクズ蟲デスゥ。
 ご主人様は親を殺して浅ましく生き延びたお前を使って遊ぶために随分回りくどいことをされるものデス。
 お陰でワタシ達は随分と苦労させられたものデス・・・・・まあ、その分特別手当を頂いたから良いんデスが。
 お前の仕分けした賢い仔の殆どは外れだったんデスよ。
 ご主人様のオモチャであるお前を特別扱いするのは随分腹が立ったデスよ・・・そうでしょうお前たち。」

沢山の同族たちはワタシに向かって様々な罵声を投げつけてくる・・・。
ワタシが何をしたというんだ!ワタシは・・・お前たちの仲間なんじゃないのか・・・・?

「人気者デスねぇ、親殺し。
 足りない頭を使えば少しはわか・・・・・そうでしたね・・・お前の出来の悪い脳みそは
 ご主人様の蹴りで半分無くなっているんデスね。
 だから、色々なことが分からないんデスね。」

大柄の同族はそう言うと指図をして鏡を持ってこさせる。
な・・・何をする気なんだ・・・。
ワタシが不信がっていると・・・・・・鏡を持った同族はワタシの前に無言で立つ。

・・・・・・・・・・・・・・・・な、何だ・・・・・これは・・・。
鏡に映ったワタシの顔は・・・・半分が無かった・・・・。
右半分が剥きたてゆで卵の様にツルツルで何も無かった・・・・・・・。
だから・・・・・視界が狭いのか・・・・・だから・・・・記憶が・・・ごっそりとないのか・・・。

「まあいいデス。
 公園の野良以下の知能しかなくなったお前はもうご主人様に不要とされたデス。
 生ゴミに成り下がったお前の始末は本物の分類石であるワタシ達に任されたデスゥ。
 だから、今までの鬱憤を晴らす為にたっぷり苛めてから処刑してやるデス。」

・・・・・・・・・・いいいいいいいいい、いやだ!!
ワタシは死にたくない!死にたくないぃぃぃぃ!!!!!!

大柄な同族はワタシにゆっくりと歩み寄ると・・・・思いっきり殴りつけてきた。
たったの一発でワタシの顎は砕け、何も喋れなくなる。

「命乞い次第では助けてやらないでもないデス。 
 さあ、気の効いた命乞いをどうそデスゥ♪」

「へふふぁ・・・・へふぅへふゅぅうううぅ!!!」

「ちゃんと言葉を喋れデス、このクズ蟲が!!!
 みんな、このクズ蟲は苛め殺されるのがお好みの様デスよ!!
 お望み通りたっぷりもてなしてやるデスゥ!!!!!」

同族は歓喜の雄叫びを上げて床を踏み鳴らす。

「では、早番の者から始めるデスゥ。」

4匹の分類石が前に出て、ワタシの方に向かってくる・・・・。



アレからどれだけの時間がたったのか・・・・・・。
殴る蹴る、手足をもぎ取られ総排泄口に突っ込まれる。
ワタシが虫の息になると大柄の分類石がニンゲンの使う綺麗な緑色の液体をワタシに注射する。
すると今までの虐待が撫ぜる程度のモノだったと思えるぐらいの苦痛が襲い掛かってきて、
私の体が瞬時に再生する。
そしてまた休む暇もなく虐待が再開される。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

もう・・・・・・どれくらいたったか・・・・わからない・・・・・。
なんで・・・・ワタシが・・・・ここにいるのか・・・・?
なんで・・・・ワタシが・・・こんな・・・酷い目に・・・遭わなければ・・・ならないのか・・・。
・・・・・・・・なんだか・・・・もう・・・・。

「リーダー、親殺しの様子がおかしいデス。」

「・・・・・・・これはもうダメデスね。
 これからクズ蟲の処刑を執行するデス。
 全員の仕事が終わり次第、お楽しみ部屋に集まる様に伝言するデスゥ。」

そう言うと耳無しは親殺しに実装活性剤を投与する。
魂千切る悲鳴と共に再生が始まるはずなのだが・・・・・もがれた手足が再生しない。
10日に及ぶ分類石達の虐待で偽石の生体エネルギーと細胞の寿命が尽きかけて、
あと2〜3時間もすれば勝手に死ぬ状態の親殺し。


白濁した左目をギョロギョロ動かし、
口からは泡を吹きながら何か訳の分からないことを呟いている親殺しを耳無しは蹴り飛ばして気付けをする。

「ようやく最後の時デスね。
 名残惜しいデスがお前の命はこれで尽きるデス。
 随分と楽しませてもらったお礼に、一番苦しい方法で処刑してやるデス。」

「・・・・・・・・・・・・・・・い・・・・や・・・・デェ・・・・スゥ・・・・・。
 ・・・・し・・・・に・・・た・・・く・・・な・・・い・・・・デェ・・・・・スゥ・・・。」

「ダメデスよ。
 お前は死ぬんデス。
 さあ、皆がやって来たデスよ。」

仕事を終わらせた分類石たちが親殺しの監禁されているお楽しみ部屋に集まってきた。
どの分類石たちもその顔に卑しい笑みを浮かべている。
人間の前でこの笑みを浮かべれば、どんな優秀な者でも死を免れないが・・・・今日は特別だ。
飼い主から親殺しを虐待し処刑する期間だけ、笑う事を許されている分類石たちは幸せそうだ。
いつもは感情を表す事を決して許されないため、この10日ばかりは少々浮かれ気味の分類石達。
だが、親殺しを始末したら・・・また感情を表す事を決して許されない日々が再度始まる。

「では・・・・これから卑しい親殺しの処刑を開始するデスゥ。
 当たりくじを引いた者は前に出て、縄の前に来るデス。」

赤いリボンを巻いた分類石達が前に進み出て、ダルマ状態の親殺しの前にやって来る。
そして、親殺しの首に太目の紐を巻いて左右に10匹ずつ並ぶ。

「じゃあ、親殺しちゃん・・・・サヨナラの時間デスゥ。
 最後に言い残す事はあるデスか?」

「・・・・・・・し・・・に・・た・・・・・く・・な・・・・でぇ・・・・す・・・。」

「無いみたいデスね。
 では、親殺しの処刑を始めるデスゥ!!!!!!!」

リーダーの号令と共に紐が締められる。

「「「「「「「「「「デェェェェェェスゥゥゥゥウウウゥゥゥゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「デェェェェスゥゥゥゥゥゥウゥゥウウウゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

「・・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!!!!!!!!!!」

愉快な顔で悶える親殺し。
何度も紐を緩めながらジワジワと首を絞めてゆく処刑担当の分類石達。
周りで野次りながら親殺しの最後の足掻きを楽しむ分類石達。

これが最後なので飼い主から与えられた実装活性剤を惜しげもなく親殺しに投与して悪戯に延命させる。
何度も死の淵から強制的に引き上げられている親殺しの脳裏には自分の短くて不幸極まりない生涯が
走馬灯の様に駆け巡っていた。

たぶん幸せだった・・・ママと姉妹たちとの短い生活。
邪悪なニンゲンに襲われて、絶対出来ない仕事を押し付けられて・・・最後は発狂して焼け死んでいったママ。
出られない箱の中に閉じ込められて共食いした後・・・餓死したであろうバカな姉妹たち。
邪悪なニンゲンに楯突いて、これでもかと言う位苛められて、最後はママに殺された愚かなお姉ちゃん。

ワタシは・・・ニンゲンに強制されて地獄の勉強をさせられて・・・・なんとか分類石になった・・・。
でもそれは全て邪悪なニンゲンの仕掛けで・・・ワタシは無能なクズ・・・だったんだと・・・皆は言った・・。
そして・・・ワタシはニンゲンの思惑通り・・子供を産んで育てる褒美を選んでしまった・・・。

・・・・・地獄のような住処で子供を産んだが・・・全部クズばかりで・・・ワタシの苦労・・思いを・・
理解しようとする仔は・・・誰一匹として・・・いなかった・・・。
愚かなワタシの子供たちは・・・・どうなった・・・のかな・・?
ニンゲンにそそのかされて・・・その邪悪な意図も理解できずに・・・
ニンゲンの手の内に転がり込んだ・・バカな3匹は・・・・。
きっと・・・たくさん苛められて・・・もう・・・死んだ・・・・・・死・・・死?

死ぬと・・・どうなるん・・・だっけ?
ワタシたち実装石は・・・死んだら・・・楽園・・・?
・・・・・・違う・・・・・・。
・・・・・・実装石が死んだら・・・・地獄に落ちるんだ。


「そうさ、お前さんは死んだら無限地獄行きさ!」


あの黒いニンゲンはそう言った。


嫌だ。

嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

死ぬのは嫌だ!!!!!
どうしてワタシが地獄に落ちなけばならないんだ!!!!!
こんな苦しいことだらけの世界を1匹で一生懸命生きてきたワタシがなんで?!

「・・・・・・ッ!!!!」

「素敵な顔デスゥ♪
 もっと苦しんでクズどもが落ちる地獄に行くんデスゥ♪」

大柄の分類石は苦悶するワタシの顔を覗きこんで嘲笑う。

ワタシは死にたくない!!!
奴隷でもいい・・・・生き続けたい!!!
死ねば・・・・・こんな物じゃ済まないだろうから・・・・。


・・・・・30分ほど首絞め綱引きが続き、実装活性剤も親殺しの命も尽きた。
親殺しはもう何も反応しない。
残った左目は完全に白くなり、痙攣も呻き声も絶えた。

「「「「「「「「「「デェェェェェェスゥゥゥゥウウウゥゥゥゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「デェェェェスゥゥゥゥゥゥウゥゥウウウゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

渾身の力を込めて紐を引き、親殺しに止めを刺そうする処刑担当の分類石達。

「「「「「「「「「「「デェスゥゥゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「デェスゥゥゥ!!!!!!!」」」」」」」」」」

と渾身の引きの後、

ブツッ・・・ごとり・・・。

親殺しの頭が千切れて転がる。
そして、

パキッ!

と枯枝を折る様な乾いた音がして偽石が砕け・・・・親殺しは完全に死んだ。
その死に顔は怒りでも恨みでも絶望でもなく・・・ただの無という様な形容しがたい表情だった。





親殺しが死んでから2週間。

仔蟲は喘いでいた。
空にはギラギラの太陽、下は焼けた石盤。
地面にしっかり打ち込まれた杭から伸びる15センチの鎖が 
首輪代わりに巻かれた針金に繋がれまともに動き回ることは出来ない。

過極な環境に置かれた仔蟲はこんなはずじゃなかった・・・と思っていた。
髪と植え直してもらい、綺麗な服を着せてもらい、美味しい食事と暖かい寝床、
これからは楽しいことだけして生きていこうと思っていたのに・・・・・。

そして・・・自分に奉仕してくれると思っていたご主人様というニンゲンは・・・
自分の無様な姿を見て笑っていた。
愚かな他の姉妹を叩き殺し、飼い実装になる権利を得た優れた自分をどうしてこんな酷い目に合せるのか・・・。

姉妹を同士討ちさせてからボロボロになった2匹を襲って殺し、
勝ち名乗りを上げるとニンゲンは自分をつまみ出した・・・、
両腕を切り取って傷口を焼いてから縫い潰し、声を奪われ、生えかけの歯と味覚を全て潰されて、
念入りな糞抜きをされた後、総排泄口を二度と使えないように焼き鏝を何度も押し込まれ、
穴をグチャグチャにされた後、その穴に瞬間接着剤を注がれて塞いだ上に細い針金で2重に縫いとめられた。

与えられる餌は水だけ。
しかも飲み口の前には大きな鏡が据え付けられ、
腹を満たそうとするたびに自分の惨めな姿を見なければならない。

そして・・・・水飲み器の上には自分が殺した姉妹の死体が仲良く吊るされている。
腐らないように加工された姉妹は・・・いつも恨めしような顔をして自分を見下ろしている。
夜になると・・・・姉妹たちが暴ればす・・・。
風がないのに動いて、恨み言を吐き、目を光らせる・・・・。

ワタチが悪いんじゃない・・・。
グズで愚かなお前たちと約束を守らないニンゲンが悪いんだ。
だから・・・・ワタチを恨むのはお門違いだ・・・・。

・・・・・・・・・・ニンゲンは楽しそうにワタチを見ている・・・・・。



「随分粘りますね・・・・アレ。」

「生きたがりの親殺しの産んだ餓鬼だからなぁ。 
 しかも親殺しよりも糞蟲度が格段に高いタチの悪い糞仔蟲だぞ。」

「そうですねぇ・・・・。 
 あの仔実装・・・今、心の中で旦那様に悪態を吐いていますよ。」

彩華は小石を拾うと、電光石火の速さで繋がれた仔蟲に投げつける。
狙い済まされた一投は仔蟲の右足を打ち砕く。

「・・・・・・ッ!!!!」

焼けた石盤の上に顔からダイブした仔蟲は嬉しそうに転がり回っている。
声帯を抜いてあるからとてもサイレントでいい。

あの仔蟲を飼育してから早3週。
過極な環境を実装活性剤を1万倍に薄めた水だけで生き続けている。
様々な嫌がらせにもめげることなく随分頑張ることだ。

まあ約束通り死ぬまで餌と住処の世話をしてやるよ。
お前さんの思い描いた生活とは随分と違うだろうが、
真性虐待派の実装石飼育とはこういうものだと諦めてもらうしかないな。

精々、自分をこの苦界に産み落とした愚かな親殺しを恨むがいいさ。
お前に出来ることはそれだけなのだから・・・・。











■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため3704を入力してください
1 Re: Name:匿名石 2023/11/19-08:25:21 No:00008480[申告]
前作を生き残った優秀個体がいじめられながら生き抜く(そして非業の死を遂げる)アフターストーリーとして読んでたから実は無能だと明かされるシーンには後ろから殴られたような驚きがあって面白かった
親殺しも他作品の世界観なら優秀な個体で通用しそうだが前作で高級車並みの値段とされたママ(Bランク?)よりも格上のAランク特級実装が登場
それすら重用はされてるものの耳なしにされてるとは…
実装石規制の影響か「優秀な実装石」に対する要求レベルが凄く高い世界だ
2 Re: Name:匿名石 2023/11/19-20:05:41 No:00008481[申告]
実装石の死後は地獄行きの設定良いよね…
生きているうちも親子三代生き地獄だったようだが
3 Re: Name:匿名石 2023/11/22-20:07:51 No:00008484[申告]
実装主観で自分は真っ当にやってるもしくは慎ましやかにやってる的なの見せておいて
種明かしで客観や真の同族実装石的な視点から見ても欺瞞でしたって言うノリやボロの出し方が上手い書き手だったのでもっと実装視点メインの作品も見て見たかったな
戻る