タイトル:ティファニー4
ファイル:ティファニー4.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2083 レス数:0
初投稿日時:2007/10/01-22:28:35修正日時:2007/10/01-22:28:35
←戻る↓レスへ飛ぶ


                「ティファニー4」





『しかし・・僕の運命はどうなるんだろうか』

熊野小路家にやって来た鉄雄は、なれないベッドに潜り込むと何度も溜息を付いた。
自分にあてがわれた部屋は広いが、必要以上の物は何も無く質素だ。
だがその質素さが返ってこの屋敷の格を物語っている。

鉄雄の我が家である金満家は結構大きな家だが、こんな風に何も無い無駄な空間が少なかった。
とにかくスペースがあれば父の金満会長が、何処からか購入してきた怪しげな物を置いて回った。 
部屋という部屋それはトイレにまで至った、まるで空間があること自体が、勿体無いと言う感じである。

だがその置物は殆どがまがい物で、とにかく光り輝いていれば金満会長は満足をした。
金ぴかで大きな壷に始まり、金メッキの置時計や訳の分からないオブジェ、
壁と言う壁には絵画や巻物が雑然と和洋折衷で掛けられている。
果ては狸の置物すら金色に光っていた。
そんな中で一生の大半を暮らしていた鉄雄にとって、
それが普通でごちゃごちゃとした部屋の方が、返って落ち着くのである。

今鉄雄は殺風景な部屋を見回し、白い天井を見上げ、明日から本格的に始まるであろう自分への教育、
憶えなければ行けない行事や人物、そして秋子とティファニーの事を考えていた。

『秋子様ってきつい性格だけど美人だったな・・・』

秋子の顔を思い浮かべ鉄雄は、昼間の恥ずかしい仕打ちを思い出した。

『何もあんなに厳しく言わなくたってなぁ、わざとやった訳じゃないのに・・』

『それにしても・・ティファニー様は優しかったな・・』

鉄雄はティファニーの姿を思い浮かべると、なぜか癒された気分になりそのままグッスリと寝てしまう。






                   △





鉄雄は初日から金満家では教わる事の無い、格式に乗っ取った儀礼の数々をティファニーより学んだ。
ティファニーの後に鉄雄も同じ動作を繰り返し、それを秋子がチェックを入れる。
ランクによる挨拶に始まり、目配せ、歩き方、体全ての稼動部分には決められた型が存在した。
そして鉄雄は間違える度に、秋子より厳しい叱責を受けた。

実際この叱責は鉄雄の人生において、これ程の屈辱感を与えられた事も無い物だった。
『権藤!』と秋子が言えばティファニー専属の、あの恐ろしいSPが秋子の命令を遂行する。
腰の折り曲げる角度が違うと背中を叩かれ、声が小さいと口元を掴まれ振り回された。
その度に鉄雄は『すいません、すいません』と、こめつき虫の様に腰を曲げ、その動作を繰り返すだけである。

鉄雄は生まれてから今まで暴力と言った物を受ける事も無く生きて来た。
両親は鉄雄を甘やかすだけで決して手を上げる事も無く、
学校でも金満の息子として回りの者も一歩引いて見ていた、それは鉄雄の担任教師にも言えた。
何よりこれ程、人生に置いて惨めな気持ちを味わった事も初めてだった。

そして上手くやろうとすればする程、鉄雄の動きはぎこちなくおかしい方へと走っていく。

『ここここ、こ、この度は、わわわわ、わた、私の為に、あわわ・・』

秋子は一度『ふぅ』と溜息を付くと、鉄雄に歩み寄った。

パッァァァァン!!

秋子の平手が鉄雄の左頬をキレイに叩いた。
一瞬だが空気が凍りつき時間が止まる、鉄雄は頬を押さえ痛みを噛み締めた。

『ひぃぃぃ』

鉄雄はその場に尻餅を付きへたり込むと悲鳴をあげ秋子を見上げる。
生まれて初めて殴られた事は、鉄雄にとってそれ程にショックだった。

秋子は『大学院まで行って、何一つ出来ていないじゃない!』と両手を腰にあてかがみ込み罵った。
その時秋子は自分でも分かっていなかったが、明らかに性的興奮を覚えていた。
自分の息遣いが激しくなり、心臓の鼓動が早く大きく脈打っていた。
鉄雄は学校でこんなこと習う訳は無いと思ったが、
そんな事を言うと更に怒られそうなので黙っていた。

興奮に任せ秋子はもう一度手を振り上げると、その間に割って入ったのはティファニーだった。

「お母様!それ以上は勘弁してあげてデス!」

ティファニーは秋子の前で手を左右に広げると、鉄雄を自らの体で庇った。

秋子は『どきなさいティファニー!これは教育なのですよ』と叫んだ。
ティファニーは「鉄雄様の教育は始まったばかりデス、まだ痛いのは勘弁してあげてデス」
と、秋子にひざまずくと頭を床に擦りつけた。

秋子は『うふふ、優しいのねティファニーは・・』と目を細めた。
『まぁ今回はこれ位にしてあげる、明日までにはちゃんと出来るようになっていなさい』

鉄雄にそう告げると、秋子は自分の部屋の方へ背を向けて歩いていった。
言葉も無く尻餅をついたままの鉄雄に、ティファニーは振り返りニコリと笑う。

「最初は誰でも難しいデス、ティファニーもお母様には厳しく躾けられたデス」

そう言って鉄雄を慰めると「明日までにもう少し練習するデス」と鉄雄に練習を促した。
鉄雄はティファニーに跪き、抱きついて涙をボロボロと流した。
いまこの屋敷で鉄雄の味方はティファニーだけなのだ。

ティファニーは「男の子が泣いちゃおかしいデス」と抱きつく鉄雄の頭を撫で続けた。
鉄雄はティファニーに慰められる度に、自分の今まで築いて来た何かが崩れて行くのを感じた。

ティファニーは権藤を睨みつけると「オマエも手加減の一つもするデス」と注意をする。
権藤と言われた男は頭に手を当てると『すいません』と大きな体を小さく折り曲げティファニーに謝った。

鉄雄の失くそうとしているの物は、人間としてのプライドと言う名前の威厳だが、
今の鉄雄にとってその威厳が無い方が都合が良かった。
下手に威厳を持っている様では、この先の教育で精神の崩壊まで招いてしまいそうだからだ。

「さぁ鉄雄様、ティファニーの後について来るデス」

ティファニーは、けなげにもまずは秋子への挨拶を鉄雄にやって見せた。

鉄雄は『こ、こうですか、ティファニー様、こうですか』と、もはや人間と実装石の枠を飛び越え、
一心不乱にティファニーに教えを請うのだった。






                  △






翌朝となり秋子に会った時、鉄雄はティファニーに習った通りの挨拶を完璧にこなした。
秋子は『あら?』と意外そうな声を出すと『やれば出来るじゃない、その調子よ』と鉄雄を褒めた。
本来鉄雄は器用な方なので、こういった事は緊張さえしなければ得意なのである。

だが次の試練が鉄雄には待っていた、朝食は必ず屋敷の者全員で食べる事になっている。
もちろん秋子もティファニーも、あの権藤ですらテーブルマナーは完璧にこなしている。
これも秋子の徹底した教育による物だが、権藤に至っては秋子の前で何度も何度も徹底的に教育を受けた。
あの大男が涙を流して秋子に許しを請う、その甲斐もあって権藤はテーブルマナーから、
普段の色んなマナーの教育を受け、この屋敷の正式なSPとなった。

そして鉄雄も大きなテーブルを前に、緊張の面持ちで突っ立っていた。
金満家のテーブルマナーはどうかと言うと、はっきり言って無いに等しかった。
父親の金満会長自信がフォークとナイフの使い方すら分からない男だった。
あらゆる場面で金ムクで出来た自慢のマイ箸を持ち出して、家族や回りの人達、
果てはシェフヘの制止すら無視をしてきた。

更に食べる際はクッチャクッチャと大きな音を立てて食べた。
音を立てて食べた方が上手いと金満会長は信じて疑わないのである。
金満会長は下世話で下品なモデルの様な男であった。


そんな金満会長は息子の鉄雄がフォークとナイフを、それなりに使える事が少々不満だった。
男は豪快に生きて行けばおのずと、金も女もついて来る物だと信じて疑わない。
ナイフとフォークをチマチマと使ってすまして食べる事が、女の腐ったような所業に感じていたのだ。

話は少しそれたが、鉄雄のテーブルマナーはファミレス程度なら問題ない。
いわゆるそこらに一番多くいる中流以下の庶民と、なんら変わらなかった。


自分の座る場所まで若いメイドに誘導されて着席した、実に良く教育されているメイドを見て鉄雄は思った。
鉄雄の家も年を取った召使い兼小間使いの老女一人はいるが、本物のメイドを見るのは初めてだった。
日本でメイドなんて物は映画かアニメもしくは、その手の喫茶店にしかない物だと本気で思っていた。
だがこの屋敷にはメイドや警備の者、果ては執事までいるのだ、
やはり金満家とは何から何まで違うんだなと強く感じた。

着席した鉄雄は目を丸くする。
目の前には幾つものフォークやナイフ、スプーンなど大小様々に並んでいた。

『一体これは・・・何でこんなに種類がいるんだ?』

ティファニーのテーブルを見ると、指が無くても使えるように腕に装着する輪っかが付いていた。

(成る程なぁ、あれでティファニー様は食事をするんだぁ)
(そうだ!ティファニー様のやる通りにやれば問題ないだろう)

鉄雄は分かっていない様だが、実装石のテーブルマナーを盗み見て納得している様は、
人間としてどうかと疑問の一つも無いのだろうかと。

席に付いた者を見回して見ると、秋子、ティファニー、執事、権藤、その他にSPらしき人物が数人いる。
人数はそれなりにいるのだが、家族はいないのだろうかと鉄雄は考えた。

鉄雄は後からその事を知る事になる、跡目をめぐる兄弟や姉妹はいなかったが親戚は沢山いた。
その親戚は秋子が跡目争いで追い落とした際に、別宅に追放した事を。
秋子を中心に完全な中央集権を取っている熊野小路家には、家族などと言うものは敵でしかないのだ。

前菜のスープが運ばれて来ると鉄雄は緊張した、まずはどのスプーンを使って良いのか分からなかったからだ。
見るとティファニーが大き目のスプーンを手にはめた。

(ははーん・・どうやらこのスプーンでスープを飲むらしいな)

鉄雄はティファニーを横目でチラチラと見ながら、同じ様に朝の食事をこなしていく。
だが鉄雄は気付いていない、ティファニーは食事中ずっと自分の事を鉄雄が見ていると勘違いしている事を。
ティファニーは鉄雄が自分の事が気になってしょうがないのだなと、勝手に妄想すると、

「うふふ鉄雄様ったら、しょうがないダーリンデス」

ティファニーは鉄雄が自分を見る度に、しょうがないなと言う顔をして顔を赤らめた。
そして何か鉄雄にも分かる反応を返そうと考えた。

(そうだ・・テレビで見たデス、好きな殿方に気付いて貰うにはウインクデス)

パチ、パチ・・・パチパチパチパチパチパチ

ティファニーは懸命に鉄雄にウインクを繰り返した。
それを見た鉄雄は、なぜティファニーは片目をパチパチさせているのだろうと考えた。

(?・・?・・あれも、もしかしたらテーブルマナーなのか?)

一瞬そう思ったが心の中で首をブンブン振ると、鉄雄はティファニーが勘違いしている事に気付いた。

(おいおいこれってもしかして・・親父の言っていた冗談が本気だって事じゃないのか)

鉄雄はすぐさま視線を下に向けると、ティファニーからの信号が見えない振りをした。

そんな二人を見ながら秋子は目を細める。
(まぁまぁ・・鉄雄ったら恥ずかしがって、ティファニーと鉄雄ったら上手くいっているみたいね)
これも勘違いして見ていた。

(でも鉄雄のマナーはなっていないわね、たかが朝食にあの様子じゃティファニーの婿には相応しくないわ)
(それにキョロキョロ落ち着かないのもマイナスね、これは厳しく教育しないと・・)

『鉄雄さん』

鉄雄は下を向いてぶつぶつと現実逃避を始めていた為に秋子の声が聞こえない。
秋子はむっとした顔をすると、回りの者達がざわつきだした。
回りの者達と言っても、権藤だけはその空気にも気付かず平然とメインのオムレツにぱくついていた。

ティファニーも鉄雄の行動が秋子の怒りを買いそうだと気付いた。
小声で「て、鉄雄様」と、呼んだが鉄雄は相変わらず下を向いたままだ。


『金満鉄雄ー!!』バンッ!!

秋子がテーブルを叩くと回りが凍りつく、あの権藤も食べるのを途中でやめたままのポーズで固まった。

鉄雄は『は、はいぃぃ!!』と勢い良く気をつけのポーズで立ち上がると、
静まり返った空気の中で一体何事があったのかと考えた。
回りの者達の視線が自分に集中している、鉄雄はその時初めて自分が何かを失敗している事に気付く。

秋子はゴホンと一度咳払いをすると両手をついたまま立ち上がり、じっと鉄雄を睨みつけた。
鉄雄はゴクリと唾を飲み込むと訳も分からず『すいませんでした、すいませんでした』
と何度も秋子に頭を下げ謝った。

腰を折り曲げる度、鉄雄はなんでこんな所に来てしまったのだろうかと後悔をした。
鉄雄にとってここは本当に針のむしろと言う言葉がピッタリ来る場所である。
今すぐに家に帰りたい、帰って寛いだ時間をのんびりと貪りたい。
そう思ったがそれは叶わない夢だと、自分自身でも分かっている事だった。


秋子は落ち着いた声で鉄雄にこう言った。

『今日は社員としての教育だと思ったんだけど、一からマナーを叩き込まないと駄目ね』

教育、マナーと聞いてまた昨日の再現が始まるのかと、鉄雄はブルルと体を振るわせた。
ティファニーも鉄雄のあまりの間抜け振りに失望を隠せないでいた。

「もしかしたら鉄雄様は、権藤よりバカかもしれないデス」

これでは自分が幾ら庇った所で、鉄雄は次から次へと問題を起こしてしまう。
それに秋子は鉄雄に対して、明らかに失望の目を向けている。

せっかく体の疼きを癒してくれるオスが来たと言うのに、鉄雄は何とも頼りない性格だった。
このままでは自分の愛する鉄雄がここにはいられなくなるかも知れない。
ティファニーは秋子に哀願するような視線を向けたが、秋子はそんなティファニーの気持ちにお構い無しだ。

『ティファニー!権藤!鉄雄を地下室に連れて来て頂戴!』

「ち、地下室デス!?」

地下室と聞いてティファニーの顔が曇る。
実はティファニーに取って地下室は思い出すのも嫌な場所であった。
この屋敷にやって来た頃ティファニーは、秋子によって厳しい躾を受けている。
幾らティファニーが最高級実装石とはいえ、そのままで秋子の眼鏡に叶う訳ではない。
徹底した躾と言う肉体への折檻を、あの地下室では行われた。

言わば地下室へ行くと言う事は、その対象に対しての折檻を意味している。
しかもその場所にあの権藤を連れて行くのである、折檻が熾烈を極める事は明白であった。






                 △






程なくするとティファニー、鉄雄、秋子、権藤は地下室の一室にやって来た。
中は暗くて最初はどんな部屋か分からなかったが、明かりを付けて鉄雄はギョッと驚いた。
壁に備え付けられた拘束具、天井から垂れている鎖、棚に収められた折檻道具の数々。
部屋を見た鉄雄は逃げようと後ずさるが、後ろから両肩を権藤が押さえつけた。

『ど、何処に行く』

舌足らずな声で権藤は鉄雄を捕まえると、秋子の前まで押して行く。
鉄雄は首を振って『ちょ、ちょっと権藤さん』と力を入れて抵抗したが、権藤の力の前では全く無意味だった。

ティファニーは久しぶりにこの部屋に来て最初は脅えていたが、部屋の様子が以前と違う事に気が付いた。
以前よりも明らかに道具や施設がパワーアップしていたのだ。
ティファニーが折檻を受けた頃は、壁の拘束具としなる細い棒があっただけだった。
それが今回は何やら皮の拘束具が所狭しと幾つも壁に貼り付けられ。
天井からも数種類の鎖や、これもまた皮製のロープが垂れている。

以前は道具や装具を置く棚などは無かった、今は数十種類の鞭やローソク、スパンキング用の道具が置かれている。
驚いたのはそれに混じってガラス製の見た事もない道具や、部屋の中央にドンと置かれた三角木馬が目を引いた。

「お母様・・これは一体・・デス」

ティファニーはこの異様な部屋の光景を秋子に聞いた。
秋子はニヤリと笑うと『うふふ、直輸入DVDを見て揃えたのよ』と、手に一枚のカードを出した。
そのカードは秋子があのビデオ屋の常連となった為に作られた、特別製のプラチナカードだった。

秋子はビデオ屋にあの後も足繁く通った、その度に10万円以上の買い物をした。
ビデオ屋の店長はこの上客を逃がしてはならないと、秋子に対してあらゆるサービスを提供した。
そのサービスの一環が特別製のプラチナカードだった。
このカードを提示すれば秋子がいる間、店は看板の明かりを消し秋子専用店に早変わりする。
いわば店ごと秋子が買い取っていると言っても差し支えなかった。
そのお陰で秋子は他の客を気にする事も無く、のんびりじっくり買い物が出来た。

そして店長は秋子に気に入られたいが為、あらゆる情報やサービスを駆使した。
秋子の好みをいち早く察知すると、秋子好みの道具やご法度の直輸入DVDを仕入れて行く。
それが地下室に備え付けられた道具の数々である。
店長は秋子の経済力を予測するとファンシーな物では無く、本格的なグッズを取り揃えた。
事実、外国製の高価な道具は秋子の興味を引いた。

また次々と高価な品物を購入してくれる秋子の為に店長は、しまいには何百万もする特殊三角木馬まで仕入れた。
もちろん秋子はその木馬を一目で気に入り購入している。
その木馬は簡単に分解する事もでき、自家用車で持ち運ぶ事も出来る。
秋子はこっそり権藤を使い屋敷まで持って来させた。
愚直なまでに馬鹿な権藤の性格は、単純バカ故に秋子にとってとても都合が良かった。

秋子は棚にある細い鞭の様な棒を手に取ると、両手でそのしなり具合を確かめた。

そしておもむろに『鉄雄、パンツ一枚になりなさい』と命令する。

鉄雄は『えっ』っと意外な声を上げると『秋子様、それと教育とどんな関係が?』と聞いた。

ヒュン!

秋子は空気を切り裂くように、鞭の様な棒を振り下ろすときつい口調に変わった。

『あなたが知る必要はありません、早くなさい!これは命令です』

あんな物で殴られては堪らないと、鉄雄は渋々と服を脱いで白いブリーフ一丁になる。

秋子は舐める様に鉄雄の裸を眺めると、権藤に顎で合図を送った。
権藤は秋子に言いつけられていた事を思い出すと、鉄雄を後ろから羽交い絞めにする。
鉄雄はこれから始まる事が恐ろしく感じ抵抗したが、やはり権藤の前では無意味だった。

ティファニーはと言うと鉄雄の裸を見て、股間を押さえへたり込んでいた。
特にブリーフから盛り上がった股間のふくらみは、ティファニーの興奮を更に盛り上げた。
あのふくらみの下にはDVDで見たモザイク越しの性器がある。
しかもあのふくらみは憧れの鉄雄の物なのだ、ティファニーははしたなくもそこでオナニーを始めてしまう。

だがそんなはしたないティファニーを許す秋子では無かった。
ティファニーを睨みつけると「あなたも躾が必要な様ね」と呟いた。






鉄雄とティファニーは並べて背中を向け、壁に備え付けられた拘束具に固定された。
ティファニーの物は特注品でそのサイズに合わせて作られている。
そして高さ調整も出来るようになっており、ティファニーの目線を鉄雄と同じになるよう調整した。

鉄雄は落ち着かない様子でキョロキョロと顔だけを動かしている。
ティファニーはそんな鉄雄を、何とか助けたいと母の様な目で見た。

縛り付けられてから暫く時間が過ぎた。
秋子様はどうしたんだろうと鉄雄が考えていた時、後ろからカツーン、カツーン、と鋭い音が近づいて来る。
その音は鉄雄のすぐ後ろまで近づいて来ると、ピタリと止まった。
鉄雄は恐る恐る自由に動く首を精一杯後ろに向けた。


『さぁ、始めましょうか』

ピシャァァッ!!

鉄雄が見たものはエナメル質のボンテージルックに身を包んだ秋子だった。
手には何本かに別れたバラ鞭を手に持って、それを床に叩きつけると両手に持ち直した。

体にぴったりとした黒革のトップス、エナメルのパンツ・スーツ、編み上げのブーツ。
それらを身に付けた秋子の姿は、まるでナチ監獄や洋物ビデオのそれである。
傍らではなぜか権藤が顔を伏せ震えている。

鉄雄は何を始めるのだと思ったが、秋子は睨みつけると鉄雄の背中にバラ鞭を振り下ろした。

バッチーン!

『あでっぇぇぇぇぇぇ!』

背中が熱い、鉄雄の拘束具がガチャガチャと叩かれた衝撃で音をたてた。

愛する鉄雄様が悲鳴をあげている。
ティファニーは秋子に「打つならティファニーを打ってデスッ」と哀願する。

『あらあら、仲の良い事ね、お母様は妬けちゃうわ』

ブンッ

ピッシィィィン!

「アーンデスゥ!」

秋子は身構えると雨あられと鉄雄とティファニーを滅多打ちにする。
その勢いには容赦もためらいも全く無い、外国製のSMビデオそのままだ。

バシン!ピシャン!と叩かれる度に鉄雄は『ギャァ!ギャァ!』と悲鳴をあげ続けた。
ティファニーも打ち据えられる度に「アアァァンデスゥ、イヤーンデスゥ」と鉄雄とは明らかに違った声をあげた。

鉄雄は思った(殺される)と秋子の振り下ろす鞭は痛いなんて物ではない。
血が飛び肉が裂け大よそ鉄雄の知っているSMとは違っている。
ただ、ただ、ひたすら打ったたくだけなのだ、そこには日本的な侘びもさびも存在しない。
目を三角に吊り上げて憎しみを込め、愛情の欠片も無かった。

鉄雄はティファニーを見た、打たれる度に悲鳴をあげているがその表情は心なしか嬉しそうだ。
ティファニーも鉄雄を見た、その表情は苦痛に喘ぎ情け無い悲鳴をあげ続けている。
共通の痛みの筈なのに、痛みへの意識は180度違うようである。

鉄雄とティファニーはお互い見詰め合うと、お互いを意識した。
今、二人は同じ目に会い同じ痛さを共有している。
そこには一種の連帯感やお互いへの優しさが生まれるのだった。

『これが最後よ!』

何十発打ち据えられたろうか鉄雄の意識は朦朧としている。
そこに力を込めた一撃が襲う。

バッシーン!!

『ひぎゃぁぁぁ・・』

チョロ・・ジョロ・・ジョロロロ・・・

鉄雄は気を失うと張り詰めていた糸が切れるように失禁した。

『さぁティファニーあなたもよ』

バチィィィィン!!

「鉄雄さまぁぁ・・ア、ア、アァァァ」

ティファニーは打たれた瞬間あまりの快感にいってしまった。
股間は愛液でぐっしょりと濡れ、その雫がぽたぽたと滴り落ちた。
ティファニーは鉄雄と一心同体だと感じ、
その一体感と痛みはティファニーの気を絶頂へといざなうには十分だった。



消えゆく意識の中で鉄雄は思った。

(これって教育なのか?マジで?)





                △




『う、う、う〜ん』

鉄雄が目覚めたのは自分の部屋だった。
うつ伏せになって上半身は裸になっている。

誰かが背中に何が塗り薬を塗っているのが感触と匂いで分かった。
その感触はとても気持ちが良く、鉄雄はうっとりと目を閉じた。

「ハァハァ・・ぬりぬりデスゥ♪、鉄雄様の背中ステキデスゥ♪ジュル・・」

鉄雄は背中越しに何か熱い吐息を感じた。

『ティ、ティファニー?・・』

顔をあげるとティファニーが自分の背中に何かを塗りたくっている。

『ティファニー様!一体これは』

腕が全く動かない、どうやら何かで縛られているようだ。
いや腕どころでは無い体が首以外、全く動かない。

「起きたデス?鉄雄様」

ティファニーは安堵の表情を浮かべると、鉄雄の顔に抱きついて来た。
鉄雄は(ぎゃぁぁ、やめてくれ)と思ったが済んでの所で叫ぶのを思い止まる。
 
『体が何かに縛られて動けません、ティファニー様なんでこんな事を・・』

「いま鉄雄様は酷い怪我をしてるデス、動くと危険だから権藤に言って縛ったデス」

そう言うとティファニーはジュルリとよだれを拭いた。
鉄雄はその表情に何かを感じ取ると青くなる。

(お、犯される!)鉄雄の脳裏にその言葉が浮かんだ。

「ケガにはくすりデス、いまティファニーが塗ってあげるデス」

『い、いや・・あの体を縛り上げる意味は無いんじゃないでしょうか・・』

「なに言ってるデス、動いたら変な所に塗っちゃうデスン♪」

(変な所に塗るつもり満々だ)鉄雄はティファニーの表情からその意味を汲み取った。
(糞!こんな所で実装石相手に、俺の貞操が・・・)

鉄雄は縛られたまま何とか脱出しようと、ゴロリと転がった。

「言う事聞くデス、ケガが治らないデス。アァァー」

転がった拍子にティファニーを巻き込むと、偶然にも鉄雄の股間に倒れこんだ。

『うわぁぁ!パ、パンツ、パンツは僕のパンツはー』

既に鉄雄は権藤によって全裸にされていた。
剥き出しになったペニスをポロリとティファニーの前に晒した。

「デ゛・・デス・・こ、これが鉄雄様の・・・」

そっと鉄雄のペニスに手を伸ばすと、その瞬間鉄雄の体がビクリと動いた。

『や、やめて下さい!ティファニー様ー!!』

叫んだがティファニーの目には鉄雄のペニス以外、何も見えなかった。
「鉄雄さまぁ!もうティファニー我慢できないデスゥー!」

『ぎゃぁぁ!』

ティファニーは鉄雄のペニスに飛びつくと、懸命に指の無い手でシコシコとしごき始める。

(あ、悪夢だ・・これは夢に決まってる・・実装石にやられるなんて有り得ない)
鉄雄は縛られたまま微動だにしない、目をつぶりその快感に耐えていた。
元より相手は実装石、自分のあれが勃起する筈は無い。

そう思っていたがティファニーのテクニックは半端ではなかった。
カリ首を引っ掛ける様に高速でしごきあげ、ハフハフと息を吹きかけて来た。

(ぐぁぁ・・くそ!静まれ俺のチンコ・・)

寄せてくる快感と鉄雄は必死に戦った。
もし勃起でもしようものなら自分は実装石とセックスした男になってしまう。
それだけはどんな事があっても絶対に避けたかった。

ペニスを挟んでいた両手をティファニーはそっと離してみた。
フニャりと鉄雄のペニスが折れると、ティファニーは哀しい顔をした。

(ざまーみろ、人間様が実装石相手に勃起する訳無いだろう)
(俺は自分に勝ったんだ、スゲーぜ俺)

鉄雄は心の中でほくそえむと、本当に良かったと心から感じた。

「しょうがないデスね、ティファニー大サービスするデス」

(大サービス?)なんだろうと思った瞬間ティファニーは鉄雄のペニスを咥え込んだ。

『あぁぁぁぁ!!ちょ、ちょっとティファニー様、勘弁してぇぇぇ!』

「ムゴ、もご、ブプ」(心配しないで大丈夫デス)
「モグ、オグ、ジュル」(全てティファニーに任せるデス」

鉄雄はヤバイと感じた、想像以上の快感が鉄雄の下半身を襲ったからだ。
秋子と練習に練習を重ねたティファニーのフェラテクは、そこらのヘルス嬢も太刀打ち出来ないほどなのだ。

『あぁぁ!あぁぁ!も、もうだめだぁぁ』

ポンっとペニスから口を離すと、そこにはギンギンにいきり立ったペニスがあった。
ティファニーはうっとりとペニスを見つめ、手に取ると頬摺りをする。

「男らしいデスゥ♪これが殿方のペニスデスゥ・・アアン」

ブポ、ブポ、チャグ、グプ!

唾液混じりの湿った音がリズム良く聞こえる。
鉄雄は既に放心状態だった、今時分は実装石にフェラチオをされて、それによって勃起しているのだ。
しかも・・もういってしまいそうなのだ、実装石相手に。

(死のう・・・いったら死のう、人間として生きて行くには辛すぎる)

鉄雄の目から涙が落ちてくる、それを見たティファニーはあまりの快感に喜んでいるんだと勘違いをした。

『う!あぁぁ・・・あふん・・』

力ない声をあげるとあっけなく鉄雄はいってしまう。
ティファニーは一滴も残すまいと、鉄雄のペニスにしゃぶりつき音をズルズルたてて啜り上げた。

「凄かったデス、鉄雄様」

口からこぼれる鉄雄の精液を、舌なめずりして舐め取るとニッコリと笑う。

「本番は結婚式の後デス、それまで鉄雄様もフェラで我慢するデス」

鉄雄は精液どころか生命力すら吸い取られた気がした、そして実装石を甘く見ていた自分を心の中で責めた。
なぜあの時断らなかったのだろう、金満デパートや従業員や両親より大事なのは我が身だと言えば良かった。
断っておけばこんな目に会う事も無かったろう。

逃げたくてもセキュリティが完璧なこの屋敷から逃げる事は不可能だ。 
この屋敷にいる間、自分には自由も喜びも無い、あるのは服従とティファニーとのジックスだけだ。

『あっそうだ・・死ぬってどうやって死ぬんだよ』

24時間監視されている自分には、死ぬ事も不可能だと思い出した。

鉄雄はティファニーの方を向くと、それに気付いたティファニーは顔を赤らめる。

そして「続きはあ・し・た・デス♪」と意味ありげに微笑んだ。

「権藤!鉄雄様の縄をほどいてあげるデス」
「ティファニーはシャワーを浴びてくるデス」

権藤は「はいティファニー様」と返事をした。

ティファニーのその姿には貫禄も感じられた。
そんなティファニーを見て、鉄雄は既にティファニーの尻に敷かれている気がするのだった。







続く


■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため2748を入力してください
戻る