さて、水槽でいびきをかいている仔実装二匹を前に、 「ぶっちゃけ虐待飽きたな」 と「」が一言漏らした。 殴る蹴る飯を抜く、引っ張るつねる服をはぐ髪を抜く家族を食わせると 一通りの虐待は試したが、それだけに少し飽きてしまった。 なら普通に仔実装を殺せばいいのだが、これでもこの「」は虐待派、そんな芸のないことなどできない。 一世一代の最後の死に様を演出してやらにゃあ・・・。 そこでふと思いついた。 「くおら起きろ糞仔蟲ども!!」 プラスチック製の安物の水槽を蹴飛ばして仔実装を起こす。 適当に選んで生き残した二匹だ。一応目の前で親を殺したときはいい声で泣き叫んでくれたが、 どうにもそのことを親が不細工だからと(実装石特有の思考で)結論付けてからは、 親を殺した「」に対して、媚びるへつらうどころか待遇改善を常に叫ぶ始末である。 ちなみにこいつらの親実装は、総排泄口のついた腰と糞を貯めるためにあるような胃袋を切り飛ばされ、 冷凍庫の中で我が仔に食われることを待っている。 「喜べ、俺はお前たちを飼ってやることにしたぞ!!」 テチュテチュと蹴り起こされた文句を言っていたのもつかの間、チューン♪と嬌声を上げ始めた。 おそらく、ステーキと金平糖を腹いっぱい食えるだの、ニンゲンを下僕として扱ってやるだの、 身勝手な妄想が体中を走っているに違いあるまい。 もちろん飼う気などない。これは最後の上げ落としの、ちょっとしかない上げの部分である。 「まず飼い実装になったなら、名前をつけてやらにゃならんな」 そこで「」は仔実装の片方(後ろ髪の右ひと房を残して禿裸)を指差し、 「お前の名前は、『ンチィミョィッメッチキォ』だ!!」 テ・・・と黙る仔実装。 「そんで持ってお前の名前は・・・」 今度はもう1匹(後ろ髪の左ひと房を残して禿裸)を指差し、 「『アンドレイ・ズボヨロフ・メニオミ・ツイード・ハゲタカ・ノブナガ・アッティラ・キッド・ レイヨルドヨッホホーイ・チャンボロー・ヤマダ・タロウ・エロゲタカイ・ンヨラ・テメ・イド ・ラララヌロ・ホンジュラス・キム・パク・チョウスマルシア1,2の3世』だ!!」 もう一匹の仔実装もぴたりと黙った。 実装石にとって名前というのは自分だけの貴重な財産であり、髪や服ほどではないにせよ 大事なものらしい。 それでは、到底発音できないような名前とか、絶対覚えきれない名前とかそういうのをつけてみたらどうか? という発想である。 一応名前がついたことはうれしい、が、当たり前だがそんな名前は誰だって嫌だった。 「テッチャーー!!テチュー!!(バカニンゲン訂正するテチュ!!)」 「チュアー!チェアー!!(もっとワタチにふさわしい名前があるはずテチュ!!)」 ンチィミョィッメッチキォとアンドレイ(以下略)が抗議を上げる。 「あっそ。その名前が嫌なんだったらお前たちは飼わない。公園に置き去りにするからな」 この言葉が聞いたのか、二匹は黙る。禿裸同然の自分たちが、公園でどんな目に会うか位は解るようだ。 沈黙を肯定と勝手に解釈して、「」は喜んだフリをする。 「変わった名前だけど喜んでくれてありがとう!それじゃあ早速公園に散歩に行くか」 ヂャー、と叫ぶンチィミョィッメッチキォとアンド(以下略)。乗り気でない二匹を両手でつまんで、 「」は足取りも軽く公園へと向かった。 公園に着くと早速野良実装が大量によってきた。 媚びたり飼えといったり餌をよこせといったり様々だ。 その集団の真ん中あたりに、アンダースローでンチィミョィッメッチキォとアン(以下略)の二匹を投げ込む。 頭の上を二、三回跳ねてから地面に落下する二匹。当然野良実装たちの興味は、ニンゲンからこちらに向かった。 「「「「デププププププププププ・・・・・・・」」」」 当然、禿裸(微妙に違うが)であるから野良たちから嘲笑を受ける二匹。 「テヒィ、テェェェェ!!(クソニンゲン助けるテチィィィ!!)」 「チャヒィィィィィ!!(お前のかわいい飼い実装がピンチテチィィィ!!)」 おなじみの展開だった。以前も禿裸にした仔実装を野良の集団に投げ込み、その最後のざまを見ていたことはあった。 しかし、こんどはここからがちょっとだけ違う。 「あっれーー?おかしいなあ。俺の飼ってた仔実装、どこにいったのかなぁ? 実装石がいっぱいいすぎてわからないぞー?」 二匹の絶叫を無視して、そんなことを言う。当然「「ここテチここテチ!」」と叫ぶわけだが、 「うーん、皆同じに見えてしまうなぁ。そうだ!俺の賢い飼い実装なら、自分の名前をちゃんと言えるはずだ! 見事自分の名前を言えたやつが俺の仔実装だ!!」 そこで凍りつく二匹。 「チャァァァァ!チベッ(ここテチクソニンゲン!ワタチデチンチィミョチベッ)」 喋りにくいほうは一応覚えていたらしい。が、途中で舌をかんだ。仔実装の舌では喋りきらないようだ。 「ティーーー!テェェエ、テアアアアア(助けるテチィ!お前のアンドレイ・チョン・・・、ナントナントカナントカテチィ!!)」 覚えにくいほうはアンドレイだけ覚えていたようだ。あんまり意味はないが。 ンチィミョィッメッチキォとアン(以下略)の二匹が、あんまりにも予想どうりのことしかしないので、 「」のほうも飽きてきた。これをした本人がつまらないと思うのもどうかと思うが。 「めんどくせぇし、帰るか」 野良たちの宴に背を向けて、アイスでも買おうとコンビニに行く「」。 飼い主があっさりどこかへいくのをみて、じわじわと包囲を縮める野良実装。 「「チャヒャァァァァ!!!!(ご主人様助けてテチィーーーー!!!!)」」 叫ぶ二匹。当然助けなど来るわけはない。 ンチィミョィッメッチキォとア(ry)の断末魔が、公園中に響き渡った。 コンビニでガリガリくんをかじりながら、「あいつらにどういう名前付けたっけ?」と、「」は早速二匹の名前を忘れていた。
