タイトル:夢見る実装石 2
ファイル:夢見る実装石2.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3622 レス数:0
初投稿日時:2007/09/30-21:06:24修正日時:2007/09/30-21:06:24
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              「夢見る実装石2」






「この花なら、敏明は気に入ってくれるデス?」

ミミは敏明が公園へ来なくなってからも毎日、敏明のプレゼントにと花を摘んだ。
そしていつ体を求められてもいい様に、毎日噴水で水浴びをして身を清めた
待っている間もミミは敏明と自分の行方や色んな事を夢見て妄想した。

暗いダンボールハウスの中でミミは、敏明の家に自分はペットではなく彼女として迎えられる。
そこではいつも実装フードが置いてある。
見た事もないがなぜか記憶には刷り込まれている、ステーキや寿司、そしてデザートには皿に山盛りの金平糖。
たえずひもじい思いをしていたミミにとって、それは夢のような光景である(実際に夢なのだが)
ダンボールハウスの暗さと狭さは妄想するのに丁度良い環境だった。

ミミの妄想は更に進んでいく。
敏明はミミと散歩に行く、そこではこの公園の野良実装が羨望の眼差しで見つめている。
その実装石達はミミへ嫉妬のあまり文句を言って来た。

「オマエ一人だけ幸せを手に入れて卑怯デス」
「ワタシ達にもその権利をよこせデス」

「あいつらは糞蟲デス、ミミ怖いデス」とミミは敏明の足にしがみ付く。
「きっとミミと敏明との仲が羨ましいんデス」そう言って敏明の顔を見つめた。

敏明は頷くと実装石の群れにズカズカと歩み寄る。

『おい糞蟲共め!俺のミミになんの様だコラ!』

自分の為、実装石達に凄む敏明に、ミミはこれが愛の力なのだなと実感する。
この状況に興奮してきたミミは「そいつらメタメタにやっちゃえデス!」と叫んだ。

ミミに振り向くと『ああそうだな、ミミがそう言うなら』敏明は答える。

敏明はそう言うと実装石の方を向いた。

『オラッ!』

「ギョボッ」

いきなり一匹の実装石を蹴飛ばすと、その実装石はみぞおちに喰らったのかゲロを盛大に吐いてうずくまる。
更に上から頭を押さえつける様に踏み潰した。

「デグッ」っと短い声をあげると、その実装石の背中が折れ曲がるように潰れた。
ゴキバキと骨の折れる音が聞こえると、まるで着物を畳むかのように三段になって実装石は潰れた。
あまりの手際の速さに他の実装石達も固まったまま動かない。

「オマエ達もこうなりたいデスかァ!」ミミが叫ぶと実装石達は雲の子を散らす様に逃げていった。

残され潰れた実装石はもはや「テヒィ・・テヒィ」と虫の息だ、ミミは近寄ると「デププ♪」とあざ笑う。
「オマエなんかこうデス」ゲシ!ゲシ!と潰れた実装石を蹴飛ばしミミは至福の時を味わうのだった。
暗く狭いダンボールハウスからは毎日、気味の悪い話し声や笑い声が聞こえていた。



一通り妄想を楽しむと、ミミはなぜ敏明が来なくなったのか考えた。

「きっと敏明は何か理由があって来れないデス」

だがその理由が何なのか実装石の脳ミソでは想像すら難しい。
大体ニンゲンの生体や暮らしぶりなど、野良の実装石が知る由もない。
ミミは少ない脳ミソをフル回転させ、敏明の来れない理由を考えてみた。

「敏明には別れた女がいて、そいつが未練タラタラなんデス」
「捨てられたくせに優しい敏明の性格に付けこんでストーカーしてるデス」
「敏明はその女からミミを守る為、迂闊には来れなくなったデス」

「・・・・そう言う事だったデスか」
「その女は許せんデス・・」

振られて捨てられたのは敏明の方だが、勝手にミミはその女から敏明を守りたいと思っているようだ。




               


                  △







『もうそろそろかな?』

敏明はカレンダーの前でニヤニヤとほくそえむと、自分が公園へ行かなくなって一週間が経ったのを確認した。

『あの実装石、じれて大変だろう』

『さて最後の仕上げに掛かるか』

敏明はスキップをしながら公園へと向かった。


公園に到着するとあの実装石は見当たらない、仕方が無くいつものベンチへ座って待つことにする。
キョロキョロと回りを見渡したが、自分の事をミミと名乗った実装石はいない様だ。

『あのバカ実装が、せっかく来たやったのに何所にいやがる』

せっかく会いに来てやったと言うのに、目当ての実装石がいない。
実装石を待っている自分がバカに見えるじゃないかと、敏明は思った。

『糞蟲が!早く現れやがれ』


実は敏明が来た事をミミは知っていた。
毎日ミミは公園の入口に張り付いては、王子様を待ち焦がれる乙女の様な気持ちで待っていた。
勿論、待っている間も妄想をバリバリに働かせて楽しい夢を見ている。
ヨヨヨとばかり公園の門にもたれ掛かり、しなを作り、スカートを口に咥え涙にむせている。

そんなミミが敏明が来た事を察知できない訳が無い。
ミミは敏明の来た事を遠くから発見すると、慌てて噴水へ走っていった。
今日こそは敏明にこの公園から連れて行って貰おう、自分の身を清め自分の全てを差し出そう。
ミミの心は敏明が来た時に全てを敏明に捧げて、敏明の家に連れて行ってもらい、
この忌まわしい公園から自分を助け出し幸せを築いてくれる、そう決め付けていた。



ビチャ・・ピチャ

湿った音に敏明が気付くと、音の方を見た。

「どこに行ってたデス敏明?」
「ミミはいっぱい心配したデス」

精一杯の笑顔でその実装石はびちょ濡れの姿を見せた。

(チッ、また今日も汚らしいぜ)

敏明はミミが敏明の為に体や服を噴水で洗っている事など知る由も無い。
ただなぜコイツはいつも現れる時は、汚らしく汚水にまみれているのかと思っているだけだ。
ミミはキレイにしているつもりの水浴びも、元々の汚れが水で落ちるほど生易しい物では無い。
そんな事も梅雨知らず毎回ドブの様な臭いを漂わせ、
他の野良実装より明らかに汚れたいでたちでミミは現れるのだった。

『や、やぁミミ、ちょっと風邪ひいてたんだよ』

「カゼってなんデス?」

『ん?あぁそうか、人間の病気の事だよ』

「ビ、ビョウキデスゥ!」
「大変デス、ミミに見せてみるデス」

ミミはベンチにしがみ付き片足を掛けよじ登ると、敏明を見つめた。
敏明は嫌な予感がして、体をよじり逃げる体勢になる。

「トシアキィ!」

『おっと』

いきなり抱きつこうとしたが、敏明はやっぱりなと言う思いで体を浮かせる。
その拍子に目標を失ったミミはベンチの上で派手に転んだ。

「デズァ!」っと滑り込むように転んだミミは顔を上げると敏明を見た。
立ち上がった敏明はミミを見下ろすと一言『チッ』っと吐き捨てた。

「デス?」

ミミはその意味が分からない、すぐに立ち上がると敏明に話しかける。

「どうしたデス、ミミに会いに来たんじゃないデス?」

敏明は今すぐ落としを始めようと思ったが、
もう少し楽しんで最後の最後で、こっぴどく落としてやろうと考え直した。

『今まで会いに来れなくて、すまなかったね』
『僕も君に会いたくて、身が引き裂かれる想いだったよ』

『所で今日こそ、君に打ち明けたい事があるんだ』

打ち明けたい事?ミミはきっと愛の告白だと思った。
とうとう待っていた事が現実となる、人間と実装石の禁断の愛。
しかも告白するのは人間の方からだ、勿論ミミの返事はOKである。
心臓がバクバクと鳴るのを感じるとミミは目をつむり「どうぞデス」と呟く。

『ミミ!好きだ愛してる、僕と結婚してくれ』

「デスゥゥゥゥッ!!」

結婚?さすがのミミもそこまでは考えていなかった。
そもそも結婚なる言葉は知っていても意味は分からなかった。
とにかく愛する男女が最後に到達する行為が結婚なのだ、実装石でも何とかその意味は分かった。

「そ、それじゃトシアキの家にミミは行くんデスか?」

『あぁ、勿論そうだよ君さえ良ければだけどね』
『おっとその前に、僕の告白の答えを聞かせてくれないかい』

ミミの答えは勿論OKだが、その前に聞いて置きたい事があった。

「い、いいデスよ・・でも・・それには・・」
「金平糖は毎日デス、それに実装フードは安物じゃ駄目デス、週に一度はステーキデス」
「ふかふかの布団に、暖かいシャワー、それと、それと・・・」

ミミの要求は延々と続きいつまで続くのかと敏明は思った。
その要求を聞く度に、これからの落としが楽しみだと心の中でニヤついた。

『OK、OK、ミミの言った事は全て約束しよう、で、返事は?』


ミミはスカート中に手を突っ込むと、おそらくパンツにでも挟んでいたんであろうか、
敏明の為に摘んでいた花を差し出した。

「ワタシの気持ちは最初から決まってたデス、トシアキ愛してるデス」

花を差し出され敏明は(どこから出したんだよそれ!ボケがぁ!)と思ったが顔には出さなかった。
触りたくは無いが目的の為には仕方ない、花を手に取るとニッコリと笑った。

『ありがとうミミ、この花はミミみたいに可愛いね』

「なに言ってるデス、そんな花よりミミの方が可愛いに決まってるデス」

予想された返答だったが、敏明は今すぐにでも叩き潰したいと心の中で葛藤をした。
(いや、待て待てもう少しだ、落ち着け俺)

後ろを向くと引きつった顔を悟られないよう、自分の顔を一発張り手で殴った。
パンッ!と短い音と共に痛みが走り、敏明の精神を安定させる。
(イッテー、これも目的の為だ、とにかく殺しちゃ元も子もない)

『約束をしようミミ、僕は君を永遠に幸せにする』
『君のつらい事、悲しい事、それは僕のつらい事と悲しい事だ』
『だからそんな事なんて僕といる間はさせたりしない、死ぬまで一緒だよミミ』

敏明は自分でも寒気の覚える台詞を言い続けた、人間の女を相手には臭いと言われるのが落ちだろう。
だが相手は実装石、これ位臭い方が返って効果があるだろうと見越してのことだ。

案の定ミミは敏明の臭い台詞に、両手を口元に当てなみだ目になって真っ赤になっている。
ミミの頭の中は妄想モードにスイッチが入り、恋愛ドラマのヒロインになっていた。
あらゆる困難を乗り越えそれが走馬灯のように流れていく、そしてそのラストシーンが今なのである。

「フ、フワァァ・・うれしいデスゥ」
「ミミは身も心も全部トシアキにあげるデス」

ミミはベンチの上でへたり込むと、両足を広げOKのサインを出した。
スカートを巻くりあげ緑色の糞と愛液が入り混じる汚い染みの付いたパンツを見せた。

「トシアキ・・カモンデスゥ、ミミをあげるデス」


(ぶち殺す!)汚らしい染み付きパンツを見せつけられ、敏明の怒りも絶頂に達して来た。
だがここでコイツを殺す訳には行かない、敏明は胸に手を当てラマーズ式呼吸を繰り返す。

『ヒ、ヒ、フゥー、ヒ、ヒ、フゥー・・・よ、よし!落ち着いてきたぞ』

ポカンと敏明を見つめるミミに敏明は冷静に言い放つ。

『なんてね?ハハハ、所で何やってんだお前』

「デス?」

『本気にしてた?もしかして』

「デス、デス?」

『今までのは全部、嘘さ』

「デス!デス!デス!?」

『だーかーらー、お前をからかって遊んでたんだよ』

「デス!デス!デス!デスッ!」

『まぁ、お前も今まで楽しい思いが出来たんだし良かったろ』

「デズゥゥゥゥゥゥーー!!」

ブバッ、ブリブリ・・・・ブッバァァァ!!

足を広げスカートを捲り上げたままでミミは脱糞を繰り返す。
とたんにモコモコとパンツが盛り上がって、汚い緑がかったどす黒い染みがパンツ全体を染めて行く。

『きったねー・・・何かといや糞垂れか、まぁその姿がお前にはお似合いかな』
『大体、お前みたいな小汚い実装石を誰が相手にするって』
『ましてや彼女だって?ギャハハハッ本気にしてやんのバーカバーカ』

ミミはブルブルと体を震わせ、アウアウと口をパクパク動かした。
その口から声が聞こえるのは暫く経ってからだった。

「黙れぇーデス!信用してたデス、乙女の純情だったデス、何だと思ってるデス!」
「トシアキは鬼デス、ウンコデス、ミミズデス、オケラデス、糞蟲デス」

ミミは思いつくばかりの悪口を敏明にぶつけた、そんなミミを敏明はニヤニヤと見ているだけだ。

「オマエなんかこうデス」

ミミは立ち上がりパンツの中に手を突っ込むと、緑色の糞を敏明に投げつけた。

『ウワッ、ばっちぃー、何考えてやがる』

ベチャ!

投げ糞を上手く避けていた敏明だったが、やたらと柔らかい糞液が飛び散り敏明の腕に掛かった。


今まで我慢していた物が湧き上がってくる、それはダムの決壊の様に突然だった。

『ザケンナァァ!くらぁ!!』
『実装石が何様のつもりだぁ!』

ガスンッ!

ベンチを蹴り上げると肩を上下させ、ハァハァと息を荒げた。
突然の豹変にミミは口を開け固まっている。

敏明は(しまった)と思った、自分のやりたかった落しとは勘違いが最高に達した頃、
冷たく振ってその後も様子を観察する事なのだ。
これじゃ単なる虐待派になってしまう。
(いかん、いかん・・落ち着け俺、落ち着け俺)
(精神的虐待だろうが、俺の目的は)

だがやってしまった物はしょうがない、さすがに精神的に辛くなってきた。
それに良く考えたら今がその絶頂の時だ。

『糞が・・まぁ良い、殺しはしない、殺しはしないよ』

傍らに落ちている太目の硬い枝を手に取ると、横からなぎ払うようにミミにぶつけた。

ボキボキ!グシャ!

鈍い音がするとその枝はミミが防いだ手をぶち折り、脇腹にめり込んだ。
肋骨が折れる音が手に伝わると、敏明は木の枝をポイっと捨てる。
目の前にはベンチの上で脂汗を流しうずくまるミミの姿があった。
左腕はボッキリと背中まで折れ曲がり、脇腹はめり込んだ後がベコリとその形のままでへこんでいる。

ブバ!ブバ!っと途切れるように脱糞を繰り返すミミは、内蔵がやられたのか動けないようだ。

「ハァハァ・・助けてデス、トシアキ・・・ミミを助けてデス」

助けての意味はこの痛みを何とかしてくれなのか、これ以上やめてくれなのかは敏明にも分からなかった。

『こんなもんだろ、それじゃなミミ、楽しめたよ』

ポケットに挿してあったミミからの花に気が付くと、それをパラパラとミミの上に捨てた。

『それで自分の仔でも作ってな、ははははは・・』

遠ざかる敏明の声、目の前には捨てられた花が落ちている。
ミミはその花を掴むとうずくまったまま、大きな涙をボロボロと流す。
体の痛みより今までの自分がバカに見えて哀しくてしょうがなかった。
飼い実装を夢見て、恋人を夢見て、結婚を夢見て、最後の仕打ちがこれである。

ミミは途切れる声で「オロローン、オロロン」と泣き続けた。

だがミミは幸運だった、敏明は決して虐待派と言われる者では無いからだ。
ここまでやれば最後に死が待っているのは当然だが、敏明はそこまでやる残虐さは持っていなかった。
単に自分の鬱憤を実装石で晴らせばそれで満足した。
殺すと言う行為まで行くかどうかの分かれ道が、虐殺派と言われる虐待派なのだろう。







                 △





季節が変わったがミミは相変わらず夢を見ている。
妄想を繰り返し現実から目をそらす以前の生活に戻った。

一つ違う事がある。

あの後ミミは妊娠したのだ、捨てられた花を未練がましく持ち帰ったのが原因だ。
スクスクと太っていくお腹を見ては、この仔は敏明と自分の間に出来た仔だと思うようになる。
何の事は無い恋愛の妄想は未だに続いていたのだ。

お腹に優しく話しかけては、敏明のある事無い事を妄想で話して聞かせた。
やがて月日が変わり胎教が進むとミミは出産を迎える。

生まれた仔は三匹の元気なメスだった。
長女はとても頭が良く優しい仔でミミもこの仔だけはと大事に育てた。
次女は頭は普通だが何かにつけがめつく、ずるい子だった。
三女は最悪だった、頭も悪く食い意地もはって、とにかく糞蟲と言われる全ての物を実装していた。

今日もミミはこの三匹の為に餌を捜して、ふらふらとあっちのゴミ箱こっちの路地と探し回る。
仔を生むとミミの性格も変わり、自分勝手な性格が押さえられていた。
母親になるとどの生物も変わって行く、それは実装石にも人間にも言えた。

「フゥー・・今日の収穫はバナナの皮と、魚の内臓・・それとこれは長女に・・」

そっと長女の為にと、手に持ったキャンディを自分のパンツにしまった。

相変わらずの汚いダンボールハウスの前まで行くと、長女が外でミミを待っていた。

「お帰りテチ、ママァ」

長女がミミに抱きつくとミミは「甘えんぼデス、オマエは」と優しく頭を撫でる。
頭を撫でられ長女は「テチチィ」と目をつぶって笑った。

「他の仔はどうしたデス?」

長女はミミから離れると両手を広げ「二人ともワタチが寝かしつけたテチ」と答えた。

「オマエは本当に良い仔デス、ママはうれしいデス」
「さぁ、ゴハンにするデス」

部屋に入ると2匹はイビキを掻いて、布団代わりの穴の開いた靴下にくるまって寝ていた。
ミミは「さぁ起きるデス、オマエ達」と叫んだが起きる気配すらない。

ミミはフゥっと溜息を付くと「ゴハンはいらないデスか?」と叫んだ。

ゴハンと聞いて二匹はガバリと起き上がる、そして靴下の中で自分が先に出ようと喧嘩を始める。

「オマエは妹の癖にお姉ちゃんより先に行くのは許さんテチ」

「お姉ちゃんなら妹を先に行かせるのが筋ってもんテチ」

「うるさいテチィ」

パンッと三女の顔を次女がはたくと、三女は火が付いた様に泣き始めた。

「ティエェェェン!ティェェェエン!お姉ちゃんの糞蟲ィ、いたいテチ、いたいテチ」

次女は「フンッ」と顔を背けると三女を無視してミミの方へ走って行く。
それを諌めたのは長女だった、長女は「妹をいじめちゃ駄目テチ」と次女の目の前に行き睨みつける。
次女は「ワタチは悪く無いんテチ、愚図な妹が悪いテチ」と姉をすり抜け母の所へ逃げた。
ミミはどうせ間引く対象なんだからと、母親としての義務を放棄してこの二匹は自由にさせている。

だがそんな事を知らない長女は三女の所へ行くと「さぁ泣くのはやめるテチ」と慰めた。
三女は「ヒック、ヒック」と上ずっていたが、長女が来ると抱きついて甘えた。

三女にとって長女の存在だけがこの部屋では味方なのだ。
母は全然構ってくれないし、次女は目の敵の様に自分をいじめる。
そんな三女だったが長女は自分に懐く三女を可愛く思っていた、手を取るとみんなの所へ連れて行った。

「早く来るテチ、二人とも本当にノロマテチ」次女に促され二匹は部屋の真ん中に座った。

「さぁ、今日のゴハンデス、オマエ達仲良く分け合って食べるデス」

地面には黒くなったバナナの皮と異臭を放つ魚の臓物が並べられた。

三女はしかめっ面をすると「ワタチはバナナの皮でいいテチ」と呟く。
それを見逃さない次女は「早い物勝ちテチィ」さっとバナナの皮を持っていった。

次女と三女はバナナの皮をめぐって喧嘩を始める。
次女は三女に食べられまいと皮を咥えたまま、逃げ回る。
三女は引き摺るバナナの皮に飛び付くと引き摺られたまま皮に喰らい付いた。

だが力では次女には全く歯が立たない三女は蹴り落とされると、ほんの少ししか食べることが出来なかった。
「テーン、テ−ン」泣き喚く三女を長女がなだめると、自分の食べていた魚の臓物を与えた。

ミミはそんな長女が心配でならなかった。
自分の食べる物を与えている様では、この厳しい実装社会を生き残る事が出来ない
ミミは自分の食べていた臓物を長女に与えた、長女は首を振ると、
「ママはずっと食べて無いテチ、ワタチはお腹一杯テチ」と健気にも答えた。

「ママは捜してる時につまみ食いしてるデス、オマエは心配しなくて良いデス」

長女は少し考え込んだが「ママが言うんなら食べるテチ」と臓物を食べ始めた。

ミミはこのままでは自分が倒れてしまうのではないかと、心配している。
残された仔の事を考えたら間引きをすぐにでも始めなければと考えるのだった。
だが間引きたい三女は長女が可愛がっている、もう少しだけ待とうと今日ミミは思った。

夜中、妹の二匹が眠り込むとミミは長女を連れ出した。

「さぁ、オマエの為に取っておいた物デス」

差し出したのは隠しておいた真っ赤なキャンディーだった。
長女はゴクリと喉を鳴らしそのキャンディを受け取る。
だが食べずに自分のパンツの中に隠した。

「何で食べないデス?」

長女は「三女ちゃんと一緒に食べるテチ」と答えた。
ミミは頭を抱え込むと、溜息を付くばかりだった。





             


            △




そんな日が続いたある日、いつもの様に餌を探しているミミは懐かしい者を見た。

「ト、トシアキデス」

それは本当に偶然だった、ミミはあの時の記憶が鮮明に甦る。
甘く切なく、そしてとても辛い記憶。

ミミはその後を無意識に追った、未だに敏明を愛していたのだ。
隠れるように付けていくと敏明は、アパート二階の一室に入って行った。

「あそこがトシアキの巣だったんデス?」

ダンボールハウスに帰るとミミはある決意をした。

長女を見つめると「この仔をトシアキに飼って貰うデス」

自慢の長女はとても優しく頭の良い個体だ、この仔と一緒に自分も敏明に飼って貰おう。
彼女では無いペットとしてでも構わない、敏明と一緒にこの仔といられるなら・・・
それにこの仔はあの時の花の花粉で生まれた仔だ、いわば敏明にとっても子供と同じ。

ミミは長女を敏明で託児行為に及ぼうと考えている。
普通なら無謀とも思えるが実装石の頭では、素晴らしい作戦に思えているようだ。 

ふっとミミは相変わらずゴハンの時以外は惰眠を貪る二匹の妹を見やった。
そしてこの二匹は敏明の元へ絶対に連れては行けないと感じた。

「丁度いいデス、間引きの手間が省けるデス」

そう言うと長女を外へ連れ出した。
長女は何の用だろうかと首をかしげている。

「オマエはワタシとニンゲンさんの所へ行くデス」

「ニンゲンさんテチ?」

「そうデス、とっても優しいデス」

人間と聞いて長女は身構えた、虐待派と言う人間は実装石を殺すと聞いていたからだ。

「で、でも・・ワタチ怖いテチ」

ミミはニッコリと微笑むと「怖くないデス、怖いのは虐待派だけデス」と答え。
「トシアキって言うデス、ママも優しくして貰ったデス」そう言って長女の不安を消そうとした。

長女は困った風だったが何かに閃くとこう言った。

「そ、そうテチ!どうせ妹ちゃんと一緒テチ、妹ちゃんとなら怖くないテチ」

とたんにミミの顔が険しくなる。
妹二人はここに捨てて行くつもりだったからだ。

「だめデス!連れて行くのは賢くて性格の良いオマエだけデス」

「えっなんでテチ!なんでテチ!」

長女はその言葉を信じられないと言う顔をする。
あの優しかった母親が妹二匹を見捨てるなんてと、ミミに抗議をした。

だがミミの決意は変わらない、長女には二匹の事は諦める様に強く言った。
長女も母親からの命令には逆らえない。
後ろ髪を引かれたが諦めると、母と一緒にこの人間の元へ行く事を承諾した。




その夜からミミは長女へ毎日のように躾と教育を始める。
だが元から頭の良くないミミの教える事は、どこかおかしかった。
どうすれば人間に好かれるのか、どうすれば人間の気が惹けるのか。
媚びや献身は元より、教えなくてもいい色仕掛けすら長女に教えた。

そんな事が2週間続くと頭の良い長女は、ミミの教える事は全てマスターした。



「さぁ、いつまでも気にしてないで一緒に来るデス」

いつもの様に噴水で水浴びをして清めると、出発の準備は整った。
だが長女は二匹の妹が心配でしょうが無かった。
母親や自分がいなくても生きて行けるのだろうか、特に泣き虫で甘えん坊の三女が心配だった。

「ママァお願いテチ、三女ちゃんだけでも連れて行くテチ」

一番出来の悪い三女なんか連れていける訳が無いとミミは思った。
しかし長女のそんな優しい性格がミミには嬉しかった。

「オマエは本当に優しい仔デス、これならママも安心デス」
「何も考えちゃ駄目デス、オマエはオマエの幸せだけを考えるデス」

キリリと口を結ぶとミミは敏明に優しくしてもらった事を思い出した。
きっとあの優しかった頃の敏明なら、この仔を受け入れてくれるに違いない。
時間が全てを解決してくれる、ミミは懐かしい敏明の顔を胸に敏明のアパートへ向かった。





続く








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