タイトル:【観+虐】 ペットショップの都合により
ファイル:ペットショップの都合により.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5844 レス数:0
初投稿日時:2007/09/21-02:23:54修正日時:2007/09/21-02:23:54
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「もう、だめだ…」

薄暗い部屋の中にいた男がつぶやく。

「もう今夜決行するしかない」

男は計画を実装すべく準備を始めた。







ペットショップの都合により








—翌朝

まだ電気が点いていないとあるペットショップの店内倉庫では仔実装達が目を覚まし始めていた。

「テー」
「朝テチ?」

部屋には明かりが無いので仔実装は体内時計で起き上がっていく。
男が餌をやりにくる時間を体で覚えていた個体はのろのろと起きた。
部屋の中央にある水槽(といっても壁が40cmくらい)に30匹程の仔実装が入っていた。
この仔実装達はこの水槽に入れられているセール品、いわば在庫処理の対象品である。
周りの仔実装がテチテチと騒ぎ出したので他の仔実装もだんだんと起き始めてきた。
ある程度の仔実装が目を覚ますとまだ寝ている仔実装の姿が目立つ。
そんな仔実装をさすって起こす仔実装がいる。

「起きるテチ、起きるテチ」
「テー…」

中にはそれでも起きない個体もいるが、長く同じ水槽にいるとどうすればいいかもわかっていた。

「起きるテチ!」
「テボォァ!?」

腹や頭を蹴るのである。
さすがにこれで起きない仔実装はいなかった。
しばらくすると全仔実装が目を覚ました。

「人間さんがそろそろ来るテチ」
「ご飯テチ」
「お腹減ったテチ」

口々に思っていることが出てくる。
しかし、いくら待っても人間は来なかった。

「テェ?人間さんが来ないテチ」

30分もすると立っているのが嫌になったのか座るものや玩具で遊ぶものが出てきた。
もうすでに人間が来るということを忘れてしまったようだ。

「お腹減ったテチー」
「ご飯まだテチ?」

いつもは人間が持ってきた餌を食べているはずだが今日は人間が来ないので今日の分の餌は無かった。
腹の虫が鳴り始めた個体が出てくる。

「ご飯!ご飯寄越すテチー!」

水槽の壁を叩き薄暗い外にアピールするが何も起こらなかった。
外に向かって餌を求める仔実装とは対照的に端で何かしている仔実装がいた。
必死になって地面を舐めている姿は明らかにおかしく目立っている。
そんな仔実装を見つけた他の個体がその仔実装に近づく。

「何してるテチ?」
「テェ!?な、なんでもないテチ!」

明らかに動揺して脂汗がだらだらと出始めた。
そんな仔実装が不審に見えたのか舐めていた部分を調べ始めた。

「テチャァァ!何も無いテチ!」

仔実装が必死に隠そうとするのを無視して水槽の床を見ていると何やら緑色のカスが見えてきた。
このカスは人間がくれる餌、実装フードの食べカスだ。
そのカスが床に落ちているのを舐め取っていたわけである。

「テチャァ!ご飯テチ!」
「テシャァァァ!言うなテチー!」

ご飯という単語に全ての仔実装がこちらを向く。
そして、地面を舐めている仔実装を見ると他の仔実装も同じように床を舐めてカスを舐め取っていった。

「テェェ、ワタチのご飯がぁ.・・・」

悲観している仔実装をよそにどんどん舐め取られていく食べカス。
やがて全ての床を舐め取ったのか床がピカピカになっていた。

「もう嫌テチ!お外に出るテチ!」

1匹が我慢出来ないのか外に出るといい始めた。

「テェェ!?外に出ると糞蟲になるテチ!」
「人間さんの約束をやぶるテチ?」

外に出ようとしている仔実装を説得し始める。

「テッシャァァァ!やかましいテチ!きっとこの壁の向こうは天国テチ!人間がおいしい食べ物を独り占めしてるに違いないテチ!」

ほとんど憶測で決め付ける。
必死な形相で騒ぐ仔実装に周りの仔実装はひいていた。

「お前ら手伝うテチ!」

そういうと壁際に立ち、上に上げろとジェスチャーで伝える。
仕方なく渋々と2匹の仔実装が下から押し上げた。

「もうちょいテチ!天国はすぐそこテチ!」
「テッチテッチ!」
「お前重いテチ!ダイエットしろテチ!」
「うるさいテチ!」

そしてとうとう仔実装の手が水槽の縁を掴んだ。

「テッチャァァァァァァ!」

気合を入れて力を振り絞り壁に上る。
そして、とうとう壁の向こうへと乗り越えた。

「やったテチ!これで天国に行けるテチ!ご飯寄越すテチャァァァァァァァァー!?」

壁を乗り越えた仔実装が素っ頓狂な声をあげた。
水槽の仔実装達も何事かと思い水槽の壁に寄る。

テチャァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・プベッ!

仔実装の悲鳴がだんだん下へと遠ざかっていく。
そしてグチャっという音が聞こえて、仔実装の声も消えなくなった。
水槽内にいた比較的賢い個体は何が起きたか理解し、恐怖に震えながら壁から離れていった。

水槽は2段積みされたダンボールの上に置いてあった。
そのため、壁を乗り越えた個体はそのまま床へと落ちていったのである。

「テェェ、どうしたらいいテチ?」

悩む仔実装だが日時は無残にも進んでいく。
水槽内の仔実装達は痩せ細っていき、限界が近づいていた。
餌はもちろんの事、水飲み器のボトルに水はすでになくなっていた。
水分が取れないというのは生物にとっては致命的なことである。
肌もカサカサに乾き、声もしゃがれ始めた。

「オミズボジイデヂー…」

水槽の中にいる仔実装達は動けずにいた。

「ニンゲンザン、ダズゲデボジイデヂ…」

姿も見えない人間に助けを求める。
だが、誰も答えない。
暗闇と飢えが仔実装達の精神を段々と蝕んでいく。
そんな中一匹の仔実装の頭の中にブリーダーから注意されていた事を思い出していた。

"飼い実装は同属喰いをしない"

その仔実装は意識がもうろうとし始めていた。
視線が1匹の弱っている仔実装に止まる。
残った力で起き上がり、その仔実装へと歩み寄った。
弱っている仔実装を見下ろしていると相手も気が付いたようだ。

「デェ?ナンデヂィ?」

近づいてきた仔実装はただ無言で見下ろしていた。
そして口を開くと弱っている仔実装に噛み付き、肉を食らいはじめた。

「デジィィィィィィィィィ!!」

肉を齧られ、痛みで叫ぶ。

「ナンデヂィ!?」
「オマエナンデオドモダヂダベデルデヂィ!?」

騒ぎ始める仔実装達を尻目に食事を始める仔実装。
一口、二口、三口と肉を齧り取っていく。
ボリボリと乾いた音が響き、齧られた部分から血液が流れ出した。
その血液で喉を潤し、肉で空腹を満たしていく。
食べれば食べるほどに力が沸き、意識がはっきりしていった。

「ウマイテッチューン」

他の仔実装のしゃがれ声とは違いちゃんとした声で喜んだ。

「デェェ、ドウゾクグイノグゾムジデヂィ!」

糞蟲という単語に反応したのか、その仔実装は他の仔実装を睨みつけた。

「やかましいテチ!!ワタチは生き残るテチ!ニンゲンサンに飼って貰うテチ!その為に食うテチ!」

そして食事を再開した。
咀嚼する音が水槽に響く。
そんな仔実装を見ていた他の仔実装達もやがてフラフラと動き出した。

「オマエグワゼロデヂィィィィィ!!!」
「デヂヤァァァ!?ヤメルデヂィ!」

1匹が隣にいた仔実装に齧りつく。
それが引き金となって齧りつかれた仔実装の周りにいた仔実装が一斉にその仔実装に噛み付き始めた。

「ニグゥゥゥゥゥ!」
「グワゼロデヂィィィィ!!!」
「ヂヲズワゼロデヂィィィ!」
「イダイデヂ!イダイイダイイダイイダイデヂィィィィィィィィィ!!!」

手を噛まれ足を噛まれ、そして胴体も食われ始めた。
やがて、数匹の仔実装が重なっていた所には服の切れ端しか残っていなかった。

「「「テッチューン♪」」」

同属喰いをした仔実装は肌に艶が戻り、声も元に戻った。
やがて同属喰いは周りに感染して行き、また1匹1匹と食われ始めていく。
そんな光景を震えて見ていた仔実装2匹がいた。
玩具の陰に隠れていたので見つからずに済んでいた。

「デェェ…、ミンナオガジグナッダデヂィ」
「…」

この2匹は水槽内では仲が良い2匹だった。
常に一緒に行動をし、まるで姉妹のようだった。

「ヂョッドミミヲガズデヂ」
「デェ?」

何事かと思い耳を口へと近づける。
そして次の瞬間、首にゴリッという感触を感じた。
何事かと思い声を出そうとしたが出せなかった。

「—!!—!?」

声を出そうとしてもヒューヒューと空気の音しかしなかった。
目を見開きもう1匹の仔実装を見た。
口元から血を垂らし、ニヤニヤとこちらを見ている。

「オマエノオニクイタダクテチ」
「—!!!!」

声を出せずにその仔実装は仲良しの仔実装に食われた。
よほど腹が減っていたのか仔実装丸々1匹を食らう。

「うまかったテチー♪」

ふと見ると綺麗な石が落ちていた。
仔実装はこの石が何なのか本能的に知っている。
その石を拾い上げて口の中に入れた。

「お前のお肉うまかったテチ。高貴なワタチに食われたのを幸せに思うテチ」

そう言って石を奥歯で噛み砕いた。
哀れ、実装石同士の仲はこんなものである。

しばらく同属喰いが続いていたが1匹、また1匹と食われていくと個体数が減っていくのは目に見えて解った。
そうして水槽内には2匹だけになった。
2匹は対峙し、その手には今まで食ってきた仔実装の骨が握られている。
恐らく棍棒がわりに使っている武器なのだろう。
片方が大きく振りかぶり骨を振り下ろす。
もう片方はそれを骨で受け止める。
2匹の実力は互角、つまりほんの一瞬の油断が勝敗決するのだ。
互いの獲物を振り下ろし、時には突く。
そんな攻防が続いていた。
攻防の中、片方の仔実装が床に出来た血溜まりに足を取られた。

「しまったテチ!」
「もらったテチィ!」

隙を突いて骨を振り上げて相手の武器を弾き飛ばす。
振り上げた拍子に骨が斜めに折れる。
もう片方の仔実装は迷わずに斜めに尖った部分で相手の喉を貫いた。

「テハァッ!」
「勝ったテチ…」

骨を引き抜くと血が噴水の如く噴出した。
やがて自分で作った血溜まりに倒れた。

「これで、お前は、ワタチの、ご飯テチ」

息切れをしながら勝利宣言をする仔実装。
そして食事の時間が始まった。

最後の仔実装を食い尽くした仔実装は食事を終えて改めて回りを見回した。
無音。
何も音がしなかった。
他の同属の声も何らかの音もしない。
まさに暗闇の空間だ。
仔実装は汗がダラダラと流れ始めていた。

「だ、誰かいないテチ?」

今まで自分がしてきた事を忘れてるのか暗闇に問いかける。
しかし返ってくるのは無音の闇。

「誰か遊ぶテチー!」

仔実装は水槽内を歩き回り同属を探した。
玩具の陰や餌トレイの中、ありとあらゆる場所を探したが誰もいなかった。

「もう食べないテチー!出てきて欲しいテチー!」

涙を流しながら仔実装は叫ぶ。
暗闇が自分へ迫ってくる感じがした。
闇が自分へ襲いかかろうとしてる感覚に陥った。

「暗いの嫌テチィー!あっちに行けテチィー!!」

手をぶんぶんと振って闇を払おうとするが無意味だった。
闇から逃げようと水槽内を走り回る仔実装。

「テチャァァァァ!来るなテチーーー!!!」

闇が迫ってくる。
自分を食らおうとしている。
仔実装は段々と悪いほうへと思考が切り替わっていた。

「テヒィ!テヒィ!嫌テチィ!嫌テチィィィィィ!!」

耳を押さえて蹲る。
しかし、闇は仔実装の目に入ってくる。

「嫌テチャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

顔を地面につけて何度も叩きつける。
次第に叩き続けた顔から目玉を取れた。
もはや痛みも感じ取れない。
片目を失った仔実装は目が無ければ闇が来ないと誤解してしまっていた。
そして、そんな仔実装の目に先ほど同属を殺した時に使った骨が見えた。
斜めに折れ、尖った部分が光ってるように見える。

「これで暗いのが無くなるテチィ!」

仔実装は骨の先端を目玉に向ける。
そして、躊躇無く骨を目玉に刺して引き抜いた。

「やったテチ!これで暗いのが無くなったテチ!」

両目をなくした仔実装が水槽内で歓喜の声をあげる。

「みんなドコテチ?遊ぶテチ!チプププププププププ!」

フラフラと水槽内を歩き回る盲目の仔実装。
仔実装は歩けなくなるまで仲間を探し続けた。
何も見えない眼で。




数週間後。

暗闇に一筋の光が入った。
倉庫のドアが開けられたのだ。

「うわ、ひでー臭い!」

開口一番入ってきた人間が言った。

「おい、マスク持って来い!マスク無いと作業が無理だ!」

最初に倉庫に入った男が車の近くにいた男に指示を出す。

「後、消臭剤も大量にいるぞ」

男はマスクを持ってきた男とは別の男に指示を出してマスクを付ける。
そして、倉庫に入り電気をつける。
倉庫にはいくつかのケージが並べられていた。
中には実装石の餓死した死体が入っている。
男達はそのケージを1つ1つ出していく。
そして、詰まれたダンボールの上にある水槽が目に入った。

「なんだこりゃ」

水槽の中には子実装の死体が1つだけ入っていた。
目は無く、空洞になっている。
だが、その表情は笑っていた。

「気持ち悪い死体だな」

男はそう言って仔実装の死体を摘み上げ袋に突っ込む。
こうして店内と倉庫、店全体が掃除されていった。

「まったく、借金が増えたからって夜逃げするなっつの…」

この店の店主は借金が原因で夜逃げをしたのだ。
そして、店内の倉庫に残された実装石達は残酷な末路を迎えた。
空物件にするべく今日は業者が来たのである。

「そういや、ここの店長やばいところから借金したらしいっすよ」

作業をしていた若い男が年配の男に話しかける。

「やばいってヤミか?」
「みたいっす」

丁度上空を飛行機が飛んでいた。
空に飛行機雲が残る。
年配の男はその空を仰いでため息をついた。

「今頃はどこかの湖で湖底散歩でも楽しんでるかもな」
「それ、洒落になってないっすよ…」



残暑の空に飛行機雲の尻尾が散り散りになって消えていった。







—終—

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