タイトル:【観】 お庭で外飼い5
ファイル:庭実装5.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5019 レス数:0
初投稿日時:2007/09/18-13:42:36修正日時:2007/09/18-13:42:36
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あるときから仔実装(+中実装)の集団を飼うことになった。
飼い方、構成匹数等は次の通り。

中実装一歩手前の仔 1匹 (失踪?)
やや大き目の仔 6匹。
典型的な大きさの仔 2匹。
親指よりちょっと大きめの仔 3匹(1匹トイレ行き)

・外飼いであり、家には一切入れない。木箱の家を用意する
・庭の手入れを手伝うこと。雑草取り、落ち葉拾い、ゴミ取りなど
・トイレは所定の穴を使うこと。違反した奴はトイレ穴に埋める
・お歌と踊りを練習し、後日俺にその成果を披露すること。成果がよければ室内飼いにする

7:00ごろ   朝飯(前夜の残り物の処分担当)
午前中      庭掃除
昼ごろ      昼飯(実装フード、パンくずなど、ケースに入れて置いておく)
午後       庭掃除、掃除が足りていれば自由時間、入浴
18:00ごろ  夕飯(人間様のおこぼれあり)
以降       自由時間 (歌の練習等、音を立てるのは禁止)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「テフッ、テフッ、テェェ・・・」

仔実装の咳き込む声が聞こえる。
彼女ら言う所の「ワタチたちのお風呂」
つまり俺の家の車庫なのだが、ここの簡易シンクの周りで裸の仔実装が群れていた。
実装服にしては妙な色合いの服を手に、なにやら話し合っている

「ワタチのお服が白くなったテチュ。セレブテチュ!」
「バカなイモウトテチ。お服はミドリに決まってるテチ」
「ゲロロッ・・・ 気持ヂ悪いデチュ。あのゼンザイのぜいデヂュ」
「チプ♪ワタチの服は洗わなかったからミドリのままテチュ。あわてるから損をしたテチュ」

「ハイター」「サンポール」で服は色が抜け、ガスでのど等をやられた。
死んだ者はいなかったが、ガスの被害は半数以上の仔が受けた。
今のところ、成体実装のように濁音が混じる声となっている者もいる。
服も1匹以外は大小何らかの色抜けを起こしており、1匹の服はほぼ真っ白状態であった。
ガスの影響と心理的ショックで、またも涙目になる仔実装たち。
とりあえずは、服を庭の方に干しに行くことにした。

みな裸で歩く。
服を洗わずに難を逃れた1匹も、ばれない様に服を水で濡らしていた。
住処のそば、日当たりの良いコンクリートの上に服を並べて乾かす。
ここは他の荷物に囲まれ、風が吹いても飛ばされる心配がなかった。

太陽に照らされ、色抜けが一層際立って見える。
服の持ち主は、セレブ発言の1匹を除いてそれぞれ落ち込んでいた。

しばらくこの暖かい場所で休むことにする。
ガスにやられた仔は7匹。
そのうち一匹は嘔吐まで起こしているが、他の仔は咳き込みながらも回復しつつある。
無事だった大きい仔が水を飲ませたりしている

「だいじょうぶテチ?」
「ゲチュ、まだきもぢ悪いデジ・・・」

みんなまだ体は洗っていない。
ニンゲンさんとの約束では、洗濯とお風呂を済ませておかなくては。
他の仔に再び風呂場に行くように促し、具合の悪い仔にも声を掛ける。

「イモウトちゃん、お風呂でキレイにするテチ」
「気持ちわるぐで動けないデチ。寝ていたいデヂ」
「じゃあ、オウチで寝ているといいテチ」

抱きかかえるようにして木箱の中へ連れ込み、タオルの上に寝かせる。

「ワタチもお風呂に行ってくるテチ。ここで寝てるといいテチ」
「はいデチ・・・」
「ニンゲンさんが帰ってくるまでには、お風呂に入るテチ」

大きな仔も風呂場のほうへ行ってしまった。
一人残された小さな仔実装は、外の景色を眺めながら嘔吐感と戦っていた。


「テッテロケ〜、テッテロケ〜」

風呂場では、例の能天気な歌声が聞こえる。
朝と先ほどの悲劇もどこへやら、暖かい風呂に幸せ回路全開となっていた。
さすがに使っているのはいつもの石鹸のみ。

洗濯に使われた各種洗剤のプラボトルは、数匹の仔実装の

「オマエのせいテチャァ!!」

と言う掛け声と共に、床に叩き落されていた

「テッテロケ〜、テッテロケ〜、テッテロテロテロテッテロケ〜、
 テッテロチェ〜、テッテロチェ〜、テッチュンテチュテチュテッテロチェ〜」

ここにいる者はみな喉の調子も戻ったようで、ノリノリで歌い続ける。
数匹がシンクの階段上部に上がり、オンザステージで踊りを踊る。
石鹸ですべりが良くなり、クルクル回る仔実装。
回りすぎて目を回し、浴槽に落ちる者も出るが、照れ笑いと共に再びステージに戻る。

ここに思わぬ観客がいた。
数十メートル離れた隣家から回覧板を持ってきた隣人である。
この御仁、実装石に対しては俺と同じスタンスをもつ。
家でも数匹飼育し、リンガルは常に携帯しているような人物である。

この仔実装どものことも話してあり、いずれはお披露目を、と言ってある。
玄関の横に車庫があるので、いやが上でも仔実装の醜態が目に入った形だ。

じっと見ていた隣人、顔の引きつりを押さえながら手を叩く。
パチパチパチパチ

「テッ、テチ!」
「テヒャァ」
「誰テチュ?誰テチュ?」

「いやあ、上手上手。素敵な歌と踊りだったよ」

「ニンゲンさん、誰デチュ?」

「いや、ここの人と友達でね。君達のことは良く聞いていたんだよ」

「ご主人様のトモダチテチュ?」
「褒められたテチュ!幸せ一杯テチューン!」
「うれしいテッテロテッテロケ〜〜〜」

「これだけできるなら、きっとアイツに褒めてもらえるよ。じゃあね」

「アリガトテチュー!」
「バイバイテチュー!」
「テッテロケ〜」


テチュテチュ騒がしくなった車庫を後にして帰宅する隣人。
その顔はニヤニヤ笑いに変わり、笑いをこらえるのに必死だった。

「どいつもこいつも、仔実装ってやつの馬鹿さは天井知らずだよな」

リンガルが訳した例のテッテロケ〜の歌詞は

「あったかおふろにうまうまごはんやさしいごしゅじんなでなでテチュ〜ン♪」

といった知能の低そうなシアワセ言葉が延々と続くものだった。

「こんなバカな歌であいつがOKを出すと思ってるんだろうからな」

後刻、俺に今の様子を報告することを楽しみに、隣人は笑いをこらえながら帰宅して行った。


−同時刻、木箱−

キモチわるい・・・

ただ一匹残された仔実装は苦しんでいた。
かすかに聞こえてくるみんなの歌。
その歌詞を思い出して、怒りと悲しさがこみ上げてくる。

−ワタチはこんなに苦しんでいるのに!

一気に感情が高ぶったと同時に、嘔吐感まで込み上げてくる。

−いけない、おソトに・・・

間に合わなかった。そして一度出始めると止まらなかった。

「ゲチュチュ・・・ ゲロオォォウーーーー!!」

獣のような叫びと共に恐ろしいほどの量の吐瀉物を吐き出す。
タオルが、お皿が、毛布がゲロ漬けとなり、汚染されていく。
もはや口だけでは間に合わず、鼻の穴、そして下の穴からも噴出した。
塩素ガスに特異反応を示す固体だったのだろうか。ドドンパ使用時のように体重以上の物が噴出する。

「ゲリュリュリュリュリュ・・・」

木箱の入り口から流れ出したあたりで、噴出はようやく終わりを告げた。
仔実装の目玉は白濁している。



「ほ〜められちゃったテチィ」
「テッチュ〜♪」
「もうすぐおうちに上がれるのテチュ〜」

幸せ回路全開+フルブースト=全壊寸前で、仔実装たちが風呂から帰ってくる。
今日はハエが多いような気がするが、素晴らしい晴天だ。
脱色した服を着る。
この服とももう少しの付き合いだ。何しろ室内飼い実装になれるのだから。
新しい服も買ってもらえるのは当然だ。
どの顔もにやけ顔となり、チププと言う声が漏れる。

「・・・ププ」
「チププ」
「チプププププププ」
「チプププププププププププププ」
「チーーーーーププププププププププププププププププププププ!!」


「テッチャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

一匹だけ異様な叫び声を上げた。
幸せに浸っていた他の仔実装は、バカにした顔でその一匹を見つめる。

「おウチが、おウチが臭いんテチューーーーーー!」

「おマエは何を言っているんテチュ」
「だって、見るテチュ。おウチ臭いテチュ!」
「チププ、うるさいバカテチュ、おウチは・・・  テェェ!!!」

木箱の入り口からはなにやら粘液状のものが流れ、ハエがぶんぶんとたかっている。
あの中には寝床が、オモチャが、楽しみにしていた昼飯があるのだ。

悲鳴を上げつつ、トテトテ駆けつけるが、吐瀉物の臭いに圧倒されて再び逃げ散る。
妹が一匹寝ていたはずだから気にはなるが、なかなか近づけない。

話し合いの結果、決死隊として2匹が偵察、妹の確認と昼飯回収に向かうことになった。
決死隊と言っても別に装備があるわけでもなく、服の汚れを嫌って裸になっただけ。
なるべく息をしないように近づくが、それでも臭いに圧倒される。
どうにか入り口に着いたが、とても粘液に触る気になれない。
入り口を角度を変えて色々覗き込むと、妹らしき姿が見えるが動くことはない。
昼飯の入ったケースも見えるが、粘液を掻き分けないととても届かない。
貴重な息を使い、呼びかけてみても反応はない。

そのうちに決死隊の片割れが酸欠気味で倒れこんでしまった。
あわててもう片方が引っ張って引き返そうと試みるが、彼女まで酸欠で倒れてしまった。

「倒れたテチャ!」
「助けるテチュゥ!」

まだまだ残っている団結力で、全員救出に向かって決死隊を引き戻した。
もはや全員臭いで悶絶寸前だ。

「テー、テー」

しばらく仔実装たちは呼吸をするだけで精一杯であった。

またもや輪になって話し合いが始まる。
どう見てもお家には入れない、というか入りたくない。
中の仔は動かない = 死んだのだろう。
お家の中はあの臭いドロドロと、ウンコで一杯だった。
と言うことは、昼ごはんは取ってくることが出来ない。飯抜き。

「ごはんがないのは問題テチ・・・」
「あの仔のせいテチ、あの仔が全部悪いんテチ」
「なにもかも、あいつのせいテチ」

一気に件の一匹に非難が集中するが、これには理由がある。
こいつらは数家族の子供の集合なのだが、あいつだけ天涯孤独の姉妹無しなのだ。
いつもイモウトちゃんオネエちゃんと呼び合ってはいても、やや孤立気味だった。
表面上は仲良し姉妹を演じていても、実際は微妙な派閥関係が存在していた。

中実装が居なくなってから、立て続けに起きるトラブル。
今その鬱憤を、あの一匹に押し付けてストレスを解消しようとしている。
仔実装たちの、思考の暴走が始まったのかもしれない。
談合によって、今日の不幸せストーリーが創られ始める。


大オネエちゃんが居なくなったのはアイツが嫌になったから。
今朝、ちっちゃい仔がウンチを漏らしたのは、アイツが居たからだ。
お風呂でおかしくなったのは、アイツのせい。張本人だから一番具合が悪かった。
アイツはワタチたちが嫌いだった。だからお家をメチャクチャにした。


もう仔実装たちの頭の中では、嘔吐した仔は悪の権化と化している。
アイツが死んだから、これからはシアワセが続くはずと自説を論じる大きな仔。
ぺちぺちと手を叩き、全員が賛同する。
最後に介抱した別の大きな仔が、アイツはさっき目つきがおかしかった、悪い仔だったと叫ぶ。
うんうんとうなずく仔実装たち。

具合が悪いのだから目つきがおかしくても不思議は無いのだが、もう言論による袋叩き状態。
そして目下の最大の課題である昼飯について話す。

「このお庭を調べるテチ!食べられる物は一杯あるはずテチ!」
「キレイな実があったテチ、甘酸っぱくてオトナの味テチ。お仔様には早いテチ」
「お花をかじったら甘かったテチ!」
「ニンゲンさんにバレないように、少しだけ取るテチュ。怒られるのはいやテチュ」

庭掃除の時に得た知識を生かして、優雅な昼飯を楽しもうと決まった。
幸いゲロ屋敷と化したお家の周りは植物は少なく、採取には影響が少なそうだ。
ゲロ屋敷をにらみ、大きい仔が叫ぶ。

「あのアクマはニンゲンさんに始末してもらうテチ!ワタチたちの未来は明るいテチ!」
「みんなゴハンをとりに行くテチ!」

「テチー!」

愛用の小さな熊手や箒を手に、数グループに分かれて庭に散っていく仔実装たち。
緑、淡緑、黄緑、白と入り混じった色抜け実装服は、さながら迷彩服のようだ。
まだらが背景に上手くマッチングする仔も居れば、白く目立つ仔も居る。

「あの木に、赤い実があるテチュー。ウマウマなんテチュ!」
「あっちの細い草の根っこは、齧るとコクが出るんテチ」
「この葉っぱは香りがいいテチ、グルメなワタチには必要テチ」

それぞれ情報交換をしつつ、ピクニック感覚で庭を探索する仔実装たち。
頭の中からは、中実装や死んだ妹たちのことは完全に飛び去っていた。


<続く>










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