『えにっき。』 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 『絵日記 5年 3組 柿乃木 吉乃』 * * * * 『7月28日 はれ きょうはウチで飼っている、実装石の『ハナマル』といっしょにプールに行きました。何故かクラスメートの俊明く んも勝手に付いてきました。俊明くんは家が近所なのでよく会います。いい迷惑です。プールでは、買ったばかりの ワンピースの水着を着ました。ハナマルが、『お嬢様、せくしーデスゥ♪』とほめてくれました。なのに俊明くんは 見る目がないので貧弱だの可愛くないだの、文句を言って来ます。いい加減頭に来たところに、ハナマルがロケット 泳ぎ(『ロケット泳ぎ』はドドンパを使った、ハナマルのひっさつ水泳法です)で俊明くんに体当たりして黙らせて くれました。俊明くんは気絶してプールにぷかぷかと浮かんでいたので、その間にさっさと帰りました。ざまあみや がれです。次からはハナマルと2人だけでプールに来たいです。』 * * * * 『8月 4日 はれ きょうは朝顔のお花を観察しました。朝の6時に早起きして、門のわきの鉢に植えてある、まだ開いていないアサガオ のお花をじっと見ていました。少しアサガオが開いたところで、犬の散歩をしていた俊明君に出会いました。ほんとに どこにでもちょろちょろ出てくるヤツです。 なんだかんだと話しかけて来て、うっとうしくて腹が立ってきたので、 わたしも対抗してハナマルを散歩に連れて行くことにしました。 そうしたら、なにやら理由を付けて後を追いかけて くるので、振り切るのに大回りをしてしまい、いつもの散歩コースなのにずいぶんと時間がかかってしまいました。 おかげで戻ったときにはアサガオはすっかり開いてしまいました。本当に俊明くんはめいわくなヤツです。 こんど 会ったらギャフンと言わせてやります。』 * * * * 『8月12日 はれ きょうは近所の明鯖山に町内会の遠足で行きました。 …同じ町内なので、うっとうしい俊明くんも一緒です。 明鯖山に着いてしばらくのんびりしていると、『きゃあ』とか、『わぁあ〜〜!』とか、『たぁすけてぇ〜!』とか悲鳴 が聞こえてきます。 何かと思ったら、3メートルはある巨大な実装さんが山から下りてきて、暴れていました。 わたしはあまりのことに足がすくんで動けなくなりました。俊明くんは驚いて気絶していました。使えないヤツです。 のっし、のっし、と実装さんが近付いてきます。絶対絶命です。 実装さんが、わたしたちに手をのばそうとした、そのとき… 『待ちやがれデス、この怪物!! お嬢様と、ついでにその他1人には指一本触らせないデス!!』 颯爽とハナマルが助けに来てくれました。 実装さんは、振り向いたかと思うと、そのまま、ハナマルに突っ込んでいきました。 『…しょうがないデス。お嬢様をお護りするために、本気を出させてもらうデス…』 そう言ってハナマルは実装さんの前に立ち、構えました。 『ワタシの拳は鋼デス。盾を貫く鋼の楔デス…。 デェェェェーッス!!!!!』 そう言うと、ハナマルの手が光り輝きました。 そして、そのまま、実装さんにひっさつの一撃を叩き込みました。 『デッギャァァァアアアアアァァァァァア〜〜〜〜!!!』 ハナマルのひっさつの一撃を喰らった実装さんは、もんどり打って倒れ、そのまま動かなくなりました。 「すっご〜ぃ、ハナマル、一体どうしてこんな事ができるようになったの?」私は聞きました。 『…もう忘れたくらい、昔の話デス…。』 …ハナマルにも、過去にいろいろあったみたいです。 私はそれ以上何も聞かないことにしました。 代わりに、ずっと気絶していた、役立たずの俊明くんを踏んづけてやりました。 踏んづけたら、俊明くんは『ギャフン』といってまた気絶してしまいました。本当に、俊明くんは役立たずです。 ハナマルの爪のアカでもせんじて飲ませてやりたいです。』 * * * * 『8月20日 はれ きょうはお祭りの日です。お母さんに浴衣を着せてもらって、近所の公園でやっているお祭りに行きました。夜店では いろんな物を買ったり、ゲームをしたりして遊びました。 綿菓子。 たこ焼き。 やきそば。 かき氷。 ラムネ。 蛆焼き。 とうもろこし。 水ヨーヨー。 焼き鳥。 ここでも何故か俊明くんに会いました。 俊明くんは、実装射撃という、実装石をオモチャの銃で撃つ遊びをしていま した。 わたしはハナマルを飼っているので、実装石を虐める遊びは嫌いです。 本当に俊明くんはやな感じです。 頭にきたので俊明くんに文句を言ってやりました。そしたら、ケンカになりました。 ちょこちょこと手出しをした あげく、スカートめくりをまねて、浴衣のすそをまくり上げられました。俊明くんはヘンタイだと思います。おかげで、 …浴衣に合わせて履いてないのがばれました(ぎゃあ!!)。 俊明くんはそのまま、鼻血を出して倒れたので、思いっきり顔を踏んづけてやりました。 なんだか気まずくなったので、そのまますぐ家に帰りました。 今度俊明くんにあったら、 …責任、とらせてやる。』 * * * * 『8月31日 はれ 明日から新学期です。ことしは、しゅくだいを7月の内に全部片づけたので、一日、ゆっくりと休んでいました。 毎年俊明くんがしゅくだいを写しに来ますが、今年はお祭りのこともあるので、ぜったい見せてやりません。 ぜったい、ぜったい、ぜ〜ったい見せてやりません。 …ウチに来て、泣いて頭を下げて頼んだら、ちょっと考えてやろうかな。 …やっぱりダメ。 今年は落ち着いて学校に行けます。 …えっと、俊明くんを除く、学校のみんなに、久しぶりに会えるので楽しみです。 絵日記 終わり。』 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 『…お嬢様…』 「なに〜?」 『夏休みの宿題をさっさと片づけるのは立派デス。 7月で全部終わったのも凄いデス。』 「へっへ〜ん、褒めて褒めて♪」 『…でも、『絵日記』は『その日やったこと』を書くもので、『予定表』では無いデス。『8月分』まで『7月』に書いて ちゃおかしいデス。 内容もめちゃくちゃデス!! ワタシが実装さんに勝てるわけ無いデス!! 俊明君の扱いも 酷すぎデス!! だいたい、こんなに俊明君が気になるのなら、素直にお嬢様から声を掛ければ良いのデス。 俊明君も、きっと、お嬢様のことが…』 「う、うるさ〜ぃ!! 俊明のことなんか、あんなヤツのことなんか知ったこっちゃないの〜〜!! それに、宿題は 7月中にぜ〜んぶ片づけるの〜!! それでもって、俊明にはぜ〜ったい見せてやらないんだから〜〜!!」 『(…不器用なお嬢様デス、俊明君も苦労するデス…。)』 「さ、日記に書いた通り今日は市民プールに行くよ〜!! ほらハナマル、さっさとしゅっぱぁ〜つ!!」 『…雨降ってるデスよ…。』 − 『えにっき。』 ・ 終 − * * * * 祭り便乗(『夏休み』の宿題が8月31日にできていないのはお約束ということで)。 『夏休み』というと『お祭り』とか『帰省』とかが思い浮かぶんですが、それって『夏休み』でなくてもアリなんで、色々 悩みました。色々考えて『夏休み』といえば『宿題』かなぁ…、と考え書いたのがこのスク。絵がない絵日記だけど許し てください。 馬鹿者 ◆WvafCTnJ0o
