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『大きな不幸』
店長と先生はシャッターを下ろした店内にいた。
強化ガラスとはいえ絶対に破られないとも言い切れないし、何より大挙して押し寄せる実装石を直視するのは気持ちの良い物ではない。
やがて…。
『ガン』『ガン』『ガン』『ガン』『ガン』
「デェデスゥ!!デエエエッスウウウ!!」
(ここに食べ物が有るのは分かっているデス!!さっさとあけるデスゥ!!)
「デスデスデデデデデッスゥ!!」
(お前たちはドレイニンゲンの分際で我々に食べ物を貢がなかったデスゥ!!)
「デェププププププゥ。デスデシャデェ!!」
(デェププププププゥ。よってここの食べ物は全部差し押さえるデスゥ!全部ゼエェンブワタシのものデッスゥ。)
「テエエエエェェ!!テチュテチュ!テチャァ!!チプププププ!!」
(差し押さえテチ!ザマァみるテチ!!さっさとコウサンしてアタチにアマアマのコンペイトウを貢ぐテチ!!)
「デスゥゥ。デスデスゥゥ。」
(この仔に食べ物を下さいデスゥ。昨日からオッパイが出なくてもう丸1日何も食べさせてないんデスゥ。)
どうやら実装石の第一陣が到着したようだ。シャッターを叩く音が店内に鳴り響く。
「そろそろかな…」
その時である、不意にシャッターを叩く音が止んだ。
そして…
「デギャアアアア!!」
「デシャアアアアアアア!!」
「デェッ!!デエェッ!!」
響き渡る実装石の悲鳴!悲鳴!悲鳴!
「デッスゥ——ン…ギュベッ!!」
「デギュア!!」
『プルルルル』
実装石の悲鳴が止むと先生の携帯にメールが届いた。
>もう大丈夫。
>出てきて。
どうやら役者は揃った様だ。
—————————————————————遊びの時間は終わらない:中編——————————————————————————
シャッターを開けて店の外に出るとそこには男が一人立っていた。年の頃は18,9といったところか、男はこの辺りきっての虐待派で、
主に中央緑地から数km離れた児童公園で活動している。先生とは実装石の長期飼育に関する情報のやり取りをする仲でもあり、
またその間には少なからず因縁もある。
「先生、お待たせ。」
「遅いですよ、一体何をしていたんですか?」
辺りを見回すと5匹の成体実装が頭を割られて絶命している。その光景に先生が呟いた。
「それにしても、あなたの仕事は相変わらず雑ですね。」
「雑!?何言ってるんですか!!全部頭を一撃!スピードが必要なこの状況では最善です!!」
男は先生に食って掛かる。だが先生は顔色一つ変えず地面の一角を指差した。
「問題はそこでは有りません。見なさい。」
「テエ——ン…テエ——ン…」
そこには頭を割られた母実装にすがり付いて泣き喚く仔実装が居た。両目には血涙をたたえ、パンツの中は漏らした糞であふれ返っていた。
「無駄に苦しめたり、悲しませるのは良い事では有りません。」
先生は仔実装の脇にしゃがみ仔実装に優しく呼びかける。
「……!!テチャアァァァァアアアア——————!!」
初めのうちは威嚇していた仔実装であった。
しかし先生の手の平にコンペイトウを見つけると目の色を変えてそれを奪い取り、自分の口の中に押し込んだ。そして…
「テチ…」
『もう一個よこすテチ』それとも『もっとタクサンよこすテチ』とでも言いたかったのだろうか?仔実装は両手を前に出したまま動かなくなった。
「mercy(マーシー)ですか…僕が雑なら先生はエゲツないですよ。」
男はムッとした表情で、先生に悪態をつく。
*mercy(マーシー):実装コロリ製剤の一種、愛護で売っているローゼン社(この部分は実装幸福論の設定をお借りします)によって、細々と
生産が続けられている。その核には通常の3倍の時間をかけて精製,抽出された高純度のコロリが使用され、さらにそれを
天然果汁と古来からの着色料,そして上質の白糖で作られた本物のコンペイトウによってコーティングしたものである。
『mercy=慈悲』の名の通り全く苦痛を感じさせないことが特徴で『実装石が強烈な甘味を堪能した次の瞬間には偽石が粉々に砕けている』
という噂まである。『実装石を苦しませない』点から虐待派には人気が無く、また製造工程の複雑さからその値段が、
『普通の人間なら実装石に食べさせるのを躊躇する』ほど高価であるため販売数は伸びず幾度と無く製造中止の危機に追い込まれた。
外観の特徴は普通のコンペイトウの1.5倍程はあるその大きさである。仔実装なら問題なく食べられるが、親指,蛆には大きすぎる。
「先生、今夜の事は『貸し』にしておきますからね…。」
ところが当の先生にはそれを気にする様子は無い。
「それでかまいません。ところで他の方は?」
「今、緑地に詳しい連中が側面の脱出路になりそうな箇所を塞いでます。残りのうちの半分は反対側の道路からローラー作戦をしかけます。
もう半分はこちらで待ち伏せていぶり出されて来たやつを仕留めます。」
「用意周到ですね・・・。」
「ただ……」
男が言いよどんだ。
「ただ?」
「人材が人材です…。手段が目的化してしまうのは避けられません。結果はともかくその過程においては先生の主義に大きく反する物に・・・。」
「そんな事を気にしている余裕が有るのなら、最初からあなたを呼んだりしません。」
言い終わると先生はハンドバッグの中から公園の地図を取り出した。
「これは今日8月Y日現在で判明している双葉中央緑地公園に住む成体実装石53匹と仔実装22匹の巣です。」
そこには巣の位置,材質,個体数等が克明に記されていた。
「良いんですか?こんなもの虐待派に渡して?」
「かまいません、こんな時のために用意しておいた地図です。それに…」
「それに?」
「どうせその地図は今夜限りで意味を無くしてしまいます。」
その言葉は『双葉中央緑地公園の実装石を今夜全滅させる』という意味に他ならなかった。
「それから…」
『ピュウウウゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……パァン』
『ピリリリリリリ』『ピリリリリリリ』『ピリリリリリリ』『ピリリリリリリ』
花火の爆発音と同時に男の携帯に多数のメールが届いた。
>もう待てない!!始める!!
>奴が行った!俺も行く!!
>ヒャッハー
>地獄に汚血髏ォォ
>ヒャッハー
>ヒャッハー
>ヒャッハー
>ヒャッハー
etc etc …
「……」
「……」
「とりあえず、深夜だから笛ロケットは止めてもらって下さい。」
「…はい」
そこはまさに地獄であった
「デエエエエェェェェエエエェェ!!!その仔を放すデス!!」
そこには骨盤を踏み砕かれ立ち上がることの出来ない親実装が頭上の我が仔を取り戻そうと必死に手を伸ばしていた。
「ママァッ!!オマタがイタイテチィ!!チュベッ」
仔実装の総排泄口には笛ロケットが深々と突き刺さっている。
「テエエエェン!オネーチャンみたいになるのはイヤテチ!!」
そう、先程の笛ロケットは彼女の姉だ。
男はリンガルを通して親仔の命乞いを心地よさそうに聞き流すと。
『ブスッ』
「デギャ」
親実装を仰向けに寝転がし、その額に仔実装の笛ロケットを深々と突き刺すと導火線に火を点けた。
「オチビちゃん…今助け…」
『ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
「デヂャアアアアァァァァァッァー———アツイッ!!アツイッ!!」
けたたましい音とともに親実装の顔めがけて火花が降り注ぐ。よほど深く突き刺さっていたのだろう
最後まで笛ロケットは飛び立つ事無く彼女の顔を焼き続けた…。そして
「ワタチはシアワ『パアァンッ!!』
笛ロケットは仔実装ごと爆発した。
「デエエエエエエエエーーーーーーーーーー」
親実装の顔は焼爛れ、すでに目も見えない。しかしその耳には娘の断末魔がしっかりと届いていた。
「デエエエッ!!よくもオチビちゃんを!!殺してや『グシャッ!!』
デタラメに暴れる親実装の頭にバールの様な物が振り下ろされた。
それでおしまい。
『ピリリリリリリ』
「?」
その時、男の携帯にメールが届いた。
>バイト料欲しかったら笛ロケット禁止! OK?
「ありゃぁ…」
男は
>Sir! Ok! Sir!
と返信すると残念そうに残りの笛ロケットを鞄にしまい、次の得物を物色し始めた。
こちらでは『すぐ側のコンビニで食べ放題で、なおかつ無事に帰って来れた』との情報を得た実装石が仔実装2匹を連れて歩いていた。
「デププププまさかこんな近くに食べ放題の餌場があるとは…」
「ママァ、コンペイトウもあるテチ?」
「もちろんデスゥ、ステーキもスシもあるデッスゥ」
「ホントテチ?ママァ、速く行くテチッ」
幸福回路全開で歩き続ける親仔、やがてコンビニが視界に入ると仔実装は有頂天になって走り出した。
「ママ!ママ!あそこテチ!見えて来たテチ!」
「ほらほら、気を付けないと転ぶデスゥ」
『こてん』
言ってる傍から先頭を歩く仔実装が転んだ。
「テエエエエ————ン、ママァ…」
「ほらほら、言わんこっちゃ無いデスゥ」
「テエエ————ン!!アンヨが!!アンヨが!!」
「痛いんデスゥ?」
泣き叫ぶ仔実装をあやそうと親実装が近寄ってくる。そしてそれを抱き上げたその時になって、彼女は初めて我が仔を
襲った異常事態に気付いた。仔実装の両足は下半身ごと綺麗さっぱり抉り取られ、糞とも血ともつかない物がポタポタと滴っている。
実装石で無ければ即死であっただろう。
「??デエエエェェェ−−−ッ!!アンヨが無いデスゥッ!!」
親実装の叫び声に仔実装はパニックに陥った。
「テエエエエ————ッ!?!?!ママッ!?ママッ!?ママァッ!!!?」
「落ち着くデス!!今ママが」
【パシュッ】
「ヂベッ!!」
親実装の手の中で仔実装の頭が吹き飛んだ。
「デエエエ———ッ!!!!」
何が起こったのか分からない。彼女の目には突然我が仔が破裂した様にしか映らなかった。
「ママァ、どうしたテチ?」
状況を読めていないもう一匹の仔実装がテチテチと近付いて来る。
「き!来ちゃダメデス!!」
【パシュッ】
「……」
もう一匹の仔実装は悲鳴を上げることも出来ないままに爆ぜた。
「デエエェェェエエエエ——————ッ!!!」
その時、混乱する親実装石を木の上から冷静に見詰める「目」が有った。
男は暗視装置を所有しており、周辺の全ての実装石の行動を把握していた。
その武器はエアソフトガンである。市販の状態でも十分強力な物なのだが、凝り性であった彼はそれを良しとせず、改造に改造を重ねた。
そして全ての部品が改造用のアフターパーツと入れ替わっていることに気付いた時には、例えサバイバルゲーム等の舞台であっても
決して人様に向けて撃つ事を許されない代物へと変貌していた。
舞台を失ってなお『愛銃』をダウングレードすることを良しとしない彼は『実装石』を新たな標的と定め、虐待派としての道を歩み始めたのだ。
今回この男は自分の決めた防衛ラインに近づいた実装石を狙撃するというスタイルを取っていた。
その防衛ラインは公園を歩いてきた実装石が目標地点であるコンビニを初めて視認できる絶妙な場所に引かれていた。
これは偶然ではなく、目標地点を見つけ幸福回路を全開にした実装石の足元を掬い地獄に突き落とす、彼なりの『上げ落とし』である。
「こ!これは何かの間違いデス!!気分を落ち着けるデス!!そうだ、ウンチするデス!!たくさんウンチしてリラックスするデス!!」
排便の快感に逃避しようとする親実装、だが男はそれを許さない。
【パシュッ】
『プツッ』
(プリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリプリ)
「デデッ?変デスッ!?ウンチが出ないデスッ!!もっと力を入れるデス!!」
総排泄口に排便の感触が無い事に気付いた親実装は早く排便しようと腹に力を入れる。だが彼女はもう一つの異常を見落としていた、
『排便していないはずなのに糞袋が軽くなっていること』を…
そして腹に思いきり力を入れたその時
「フウンッ!!」
『ブチン!!』
音と共に腹に激痛が走る。
ブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリ
「…デ?」
親実装には何が起こったか分からなかった。
相変わらず総排泄口には糞の感触が無い。にも関わらず辺りには自分の糞があふれている。
「…デェ…?」
彼女は恐る恐る自分の腹を見下ろした。
ブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリブリ
その音は総排泄口からではなく彼女の腹の中心に穿たれた見覚えの無い『裂け目』から発せられていた。
自分の腹にそっと触れてみると、その手はあっと言う間に糞塗れになる、彼女はその事実を持ってやっと理解できた。『自分の腹が裂けている』ことを。
親実装は呆然としながら糞塗れの両手を見ていた。そして…
「デデエエェェ————ッッ!!な!何じゃぁこりゃあデスウウゥ!!」
彼女は立ち続けることも出来ずその場に崩れ落ちる。そして両目からそれぞれの目の色をした涙を滝のように流しながら叫んだ。
「死にたくないィ…ワタシ死にたくないデスゥ…死にたくないデスウゥ!!」
狙撃した男はその顛末を腹を抱えて笑いながら見ていた。するとそこにバールのような物を持った別の虐待派が現れ、
『がすっ』「デギャ」
一撃のもとに彼女に止めを刺した。せっかくの見世物を取り上げられた狙撃男はバール(の様な物)男に抗議する。
「良い所だったのに、何するんだよ!!」
「怒られるんだよ!!」
「誰にだよ!!」
「いろんな人にだよ!!」
「……」
「……」
「すみません、調子乗ってました…。」
「いや、僕の方こそ…さあ!いこう!実装石はまだ居るはずだ。」
「おう」
開始1時間後
『ピリリリリリリ』
>また1匹仕留めた。次を探す。
コンビニ前の男にメールが届いた
「先生、また1匹殺ったってさ」
「33匹目ですか、開始45分頃からペースが落ちてますね。」
頭の良い個体なら異常を察知して身を隠しているはず。『コンビニ食べ放題』と聞いてのこのこ出てくる阿呆よりもそちらの方が厄介だろう。
作戦を次の段階に移さなければ。
「4,5人こちらに呼んで下さい。地図を渡して巣の方を片付けて貰います。」
「はい…。ところで先生、『それ』止めましょうよ、似合わないから。」
と言って男は先生の持つ『それ』=『バールの様なもの』を指差した。
「…一応けじめです。皆さんばかりに手を汚させるわけには…。」
「適材適所です!それは先生が持つ物じゃありません。あと顔色一つ変えずにコロリを渡すのも止めてください。僕らの目から見ても恐いってみんな言ってます。」
「余計なお世話です。」
先生は渋々バールの様なものを手渡した。
「先生、やっておいて何ですけど、本当にここまでやる必要が有るんですか?」
「あります。親仔合わせて75匹の実装石がコンビニを襲撃したらどうなると思います?」
「ニュースになって、さらにここ以外の実装石も駆除の対象になるでしょうね。」
「実装石に対する風当たりは更に強くなるでしょう。そうなれば平和に暮らしている他所の実装石にも影響が及びます。最初の3匹で済ませて
おけば『お騒がせニュース』で終わっていたものを、余計な事をしてくれました。それに…。」
先生は隣に置いてある3つの実装処理袋に目を向けた。
「…そこに居る彼女達にも間違いを犯させる事は無かったはずです。」
ここだけですでに12匹の成体実装と2匹の仔実装を『処分』していたのだ。
「もうこうなってしまってはどっちに転んでも緑地公園の実装石に未来はありません。選択肢は2つに1つ、自分達だけで滅びるか、外の実装石まで
巻き添えにするかのどちらかです。まとめてどこか人に迷惑をかけずに済む場所に移せれば話は別ですが、一体どこの誰がそんな事をやれると言うんですか。
ここの75匹で済ませないと外に居る何千,何万という実装石がいわれの無い暴力に曝されます。それだけは回避しなくては。」
「…要約するとコンビニ襲ってもニュースにならない数まで減らせば良いんですね?」
「理解が早くて助かります。」
そうこうしているうちにまた1匹、公園から実装石が現れた。だが今度の個体はどこか態度がおかしい。やがて…。
「お———い、こっち来てくれ!!」
「今行く!先生、ちょっと行ってきますね。」
暫くすると男は一匹の実装石を持って帰ってきた。
「デシャアアアアア!!!デスデスデス!!!」
「何です?これ。」
先生の問いに対し、男は実装石の後頭部を掴んで持ち上げると、ニヤリと笑いながらリンガルを差し出した。
「?」
「デシャアアア!!!デギャア!!!デスデスデスデス!!」
(さっさと放すデスゥ!!私はここの飼い実装デス!!)
「ははぁ…」
どうやら先程の3匹の内の一匹らしい。一度家宅侵入を成功させると自分が飼い実装になったと勘違いするという報告は知っていたが、
実物に接するのは先生も初めてだった。
「デスデスゥ!!デギャァ!!デスデスデスデス」
(中にワタシのドレイが居るはずデスゥ!!この高貴なワタシがヒモジイ思いをしていると言うんデス!出迎えにも来ないとはいい度胸デスゥ!!)
「デシャァアアアア!!デスデス…」
(聞こえないデス?ワタシはお腹が空いてるんデス!分からないデス?ヒモジイんデス!さっさとステーキとスシと…)「プツッ」
先生は無言でリンガルのスイッチを切るとハンドバッグの中からコロリを取り出そうとした。
すると男がそれを遮った。
「先生、この仔もらっていいですか?」
先生は知っていた。この男が実装石を『この仔』と呼ぶ時には、必ず何かを用意していることを。
「余計な苦痛を与える必要はありません。」
先生と男はしばし無言で対峙していた。
「じゃあこうしましょう。この仔をくれたら今夜の貸しは無かった事にします。どうですか?」
そう言われると返す言葉も無い。
「…勝手にして下さい。」
先生は苦虫を噛み潰したような表情で切り捨てた。
男はにやりと口元を歪ませる。
「さあぁて糞蟲ちゃん、こわあいこわあい借金取りがツケの取立てに来ましたヨォ!!」
男は実装石を地面に叩き付けると、逃がさないようにその背中をグリグリと踏み付ける。そして自分の鞄の中からヘッドギアの様な物を取り出した。
「ほおら、高貴な飼い実装ならお洋服は当然の身嗜みだよねぇ。」
男はケラケラと笑いながらも手際良く実装石に『ヘッドギア』を装着してゆく。実装石は激しく抵抗するが、たちまちのうちに目,鼻,耳を塞がれた。
最後に男は『ヘッドギア』のベルトをギチギチと締め上げた。実装石の頭蓋骨が軋む感触が男の手まで伝わってくる。
「デ?デギャ!!デデデデ!!!?」
(マ!真っ暗デス!!何も診えないデス!!)
実装石は視界を奪われた事でパニックになっており、聴覚と嗅覚まで奪われた事に気付いていない。
踏み付けから開放され、やっとの思いで立ち上がった次の瞬間。
『ガスッ』
「デデェッ!?」
実装石は宙に舞い、背中から地面に落下する。男が彼女の膝裏に蹴りを入れたのだ。
「デギャァッ!!デェッ!」
(ク…ソ…ニン…ゲンめェ!!ぶっ殺してやるデスゥッ!!)
彼女は怒りにまかせて走り出した。もう人間がどこにいるのかすら考える事はできない。
両手をブンブンと振り回しながら憎き人間を求めて音も無い暗闇の中を真っ直ぐ(?)走り続ける。
「デェ…デェッ」
(おかしいデスゥ…高貴なワタシがこんなにしているのに、何でクソニンゲンをやっつける事が出来ないデスゥ!?)
実は彼女は同じところをグルグルと回っていた。本人は真っ直ぐ走っているつもりなのだが最初の蹴りで曲がった足ではそれもかなわず。
また前が見えないので自分が真っ直ぐ歩けていない事に気付く事もできない。
『ガスッ』
「デゲェッ!!」
そんな彼女に今度は腹への蹴りが見舞われた。口から緑の泡を吹きながら後ろに倒れ、盛大にパンコンする。
「デエエエズウウウウ…」
彼女はやっとの思いで立ち上がるとパンツの中に手を突っ込み糞を手に取った。そしてそのベットリとした感触を確かめると、両手を前に
突き出して走り出す。相手がどこにいるとかそんなことはどうでも良かった。絶対に外さない自信が有るのとは違う、実装石の脳みそでは
自分の攻撃が当たらないという事を想像する事すら出来ないのだ。
「デエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!!!」
(オマエもドレイになるでスウウウウウウ!!!)
『ガスッ』
「ギョベッ」
彼女は後頭部に蹴りを食らうと顔から地面に叩き付けられた。歯が何本も折れ、口の中は血と砂利でいっぱいだ。
殴り掛かろうにも糞を投げようにも相手が見えなければどうにもならない。
「デシャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
この状況に彼女の怒り,苛立ち,恐怖といった負の感情は頂点に達する。だが彼女はまだ知らない、このヘッドギアの本当の恐ろしさを…。
彼女はこのあと一時間かけてそれを体験することになる。
後編に続く
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前スク
早朝
真夏の蛆実装
託児?①②

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