9月に入り暑さも一段落付いた頃、虐待派が公園へとやってきた。 「これまでは暑さで満足に虐待出来なかったがこれからはバリバリ行くぜ!」 意気揚々と公園へ繰り出す男。 だが… 「少ないな…」 公園内を見渡すが実装石の数は圧倒的に少なかった。 8月中の猛暑で大半が死に絶えたのである。 現在実装石達は減少した同属の数を取り戻す為仔を産む事に専念している。 生き残ったのは生命力の高い奴と上手く涼しい場所を確保した賢い奴だけだ。 「無駄な事を…増やした所でまたすぐ死ぬ運命だというのに」 男は花を総排泄口に突っ込んでよがっている実装石を蹴り飛ばしながら今回のターゲットを選ぶ。 「あ、いい感じの糞蟲発見〜♪」 「デデ!?」 茂みからこちらの様子を伺っていた実装石を標的に決めた男。 それを察知し茂みの中へと逃げ込む実装石。 「逃がさないよ〜」 実装石の全速力など人間に比べれば赤子のハイハイと同じだ。 あっさり見つかる実装石。 「デェ!」 実装石は我が家であるダンボールハウスに逃げ込み蓋を閉めた。 「中から仔実装の鳴き声が聞こえるぞ、ふふ…やっぱり仔持ちだったか」 男は懐からガムテープを取り出すと蓋が開かないように頑丈に貼り付けた。 「デデェ!?」 「テチュテチュ!?」 「テチャー!テッチャー!」 「テェェェェン、テェェェェェン」 開かなくなった蓋をバンバン叩く親子。 男はそれを確認すると煙玉を取り出し導火線に火を付けた。 「ほい!」 ダンボールの取っ手の穴から煙玉をダンボール内に放り込んだ。 すると中から親子の悲鳴が聞こえてくる。 「デホ!デホッ!デホッ!」 「ケホッ!ケホッ!」 「テチュ…ブホッ!チュボッ!」 「テッヂャーーーーー!」 ダンボール内に充満する煙にむせる親子。 そのうちの1匹は中に入ってきた高熱を帯びた煙玉を運悪く抱いてしまい全身大火傷を負ってしまう。 「ほらほら、何とかしないと死んじゃうよ」 煙から逃れようと取っ手の穴に群がる親子。 だが親実装では到底取っ手の穴から脱出など出来るはずがない。 ならばせめて子供だけでもと仔実装を抱いて取っ手の穴から外へ押し出そうとする。 「させるかよ〜、それ!2発目投入〜」 「ヂャアアアアア!!!」 取っ手から顔を覗かせた仔実装の顔面に煙玉を押し付ける男。 煙と高熱のダブルパンチを受けた仔実装は絶叫を上げる! 結局煙の充満するダンボール内へ戻される仔実装。 男は取っ手の穴もテープで塞いだ。 これでもう逃げられないだろう。 中の様子は分からないが実装石の悲鳴だけで男は満足していた。 満面の笑顔でダンボールを見つめる男。 そして中の親子は次第に弱っていく。 「デホッ!デホッ!お…お前達…しっかりする…デス…」 「ケホッ!ケホッ!マ…ママ…苦しいテチュ…ケホッ!」 「…」 「…」 煙玉で大火傷を負った仔実装2匹はすでにぐったりして動かない。 親実装は最後に残ったこの仔だけはと最後まで希望を捨てなかった。 「デホッ、ニ…ニンゲンさん…デホッ、こ…この仔だけは…この仔だけは…デホッ!」 「ケホッ!ケホッ!」 「…」 男は無言で取っ手の穴を塞いでいたテープを剥がした。 そこから煙がモクモクと出てくる。 「あ…ありがとう…デス…デホッ!さ…さあ…外へ…出るデス…」 「ケホッ…マ…ママ…」 親と別れたくなかったが外に出たときにママも助けて欲しいとお願いするつもりの仔実装。 そして取っ手の穴から外の景色が見えた時、仔実装は助かったと安堵した。 だがその瞬間 「可愛いお前にプレゼントをやろう」 「テェ!?」 上半身が外に出た状態の仔実装に小さな筒の束を抱かせ、ダンボール内に押し戻す。 「デェ!?約束が違うデス!この仔だけは助けてくれると…」 「そんなこと一言も言ってないぞ?お前が勝手に勘違いしただけ」 「デェ!」 「それよりプレゼントは喜んでくれたい?」 「デ?」 シューーー 仔実装が抱いている筒の束に糸のようなものが付いておりそれが燃えながら筒の束に近づいていく。 そう、これは爆竹だ。 「デェ!そ…それを離すデス!」 「テ?」 パパパパパン!! 親実装の叫びも遅すぎた。 乾いた音と共に仔実装の体は細かく弾け飛びダンボール内に四散した。 「オ…オロローン!…デホッ!デホッ!」 我が仔の死に号泣するが充満する煙に苦しむ親実装。 「そろそろ飽きたんで俺はもう行くね、さようなら〜」 「デ…デホッ!デホッ!く…苦しい…デス…!死にたくない…デス!ワタシは子供を幸せに…」 男が去った後、しばらく耐えていた親実装だがパタリと倒れた。 その顔は真っ青に染まっていた。
