「局長、失礼します」 男が部屋に入ってきた、彼はとても憔悴しきった顔をしている 「何だね、スコルデナイザー君?」 「虐待派に実装石保護島に侵入されました、甚大な数の実装石が殺されています」 「いくらだ?」 「三時間の間に、およそ10万匹もの実装石が被害にあいました、成体実装はおろか、 親指や蛆実装にいたるまで完全に虐殺されています、特に蛆と仔実装の殺され方は酷い・・・ 生き残ったのは地下実験シェルターに残された500匹の蛆実装のみです。」 「虐待派はどうした?」 「我々が到着した時にはすでに逃げられていました、信じられない事ですが防犯カメラに映った 映像を解析すると犯行をおこなったのはたった一人の男です」 「ふっ、たった三時間で10万もの実装石を殺す事ができるのは虐待派の中でも1人しかおるまい 実装虐待党・虐殺特化部隊隊長TETUO」 「TETUO! グリーンオーシャン事件の首謀者が直々に実装保護島を襲撃するなんて・・・」 「無理もあるまい、もはやこの世界で10万匹を超える実装石が群生している場所は、我々実装保護局 管轄地しかないのだから、1989年に国連会議で『実装虐待法』が定められて以来、世界中の実装石は 虐殺され、数少ない愛護派や実装マニアにビジネスとして実装石を売買する我々実装保護局は 実装虐待線に魂を惹かれた人間達のかっこうの標的だ。」 実装虐待線とは、実装石の体から常に発生しているエネルギー線の事で、人の脳に直接作用し 実装石を無性に虐待したくなってしまう思考に変化させてしまうのだ 実装虐待線に犯された人間は常に実装石を虐待することを求め、虐待をしないでいると体が虐待に飢え 禁断症状まで発祥させる この時代、世界の実装石の数は激減し、実装虐待を欲する者の心を渇かせ続けていた 「とはいえ、我々にも実装虐待線が効かないわけではない、抑制剤を打っておかないと 我々の手で我々の商品を殺してしまいかねない この虐待色で塗り潰された社会で実装石を殺された事を訴えても、だれも相手にしないだろう むしろ被害を受けるのは我々だ」 「私達は実装石を救えないのでしょうか?」 「何・・・?」 「いえ、我々の手で実装石の個体数を回復させれば、虐待派にとっても愛護派にとっても 理想的な世界になるのではないでしょうか、そして何より実装石にとっても・・・」 「何をいってるんだ君は・・・君は実装石を好いているのか? 我々が実装石を保護する目的はあくまでもビジネスの為、実装石を愛護するなどあってはならない ことなのだ・・・うくっ・・うぅ・・・実装石は絶滅させる・・・・・・のだ」 「どうしたんですか局長!」 局長と呼ばれていた男は白目をむき、口からはよだれをたらしていた そしてゆっくりと自分の机の引き出しを開けた 突然様子が変わった局長を前にスコルデナイザーは戦慄をおぼえた 「きき、君を愛護派と認識する・・・、あいご派わ・・・ココ・・コ・・・コロス!」 局長は引き出しから出した拳銃を構えると即座にスコルデナイザーの眉間を撃ち抜いた 実装石に長く関わりすぎたせいか、局長の脳は完全に虐待線に汚染されていたのだ 正気を失い、愛護派までをも虐待するほどに・・・ 実装石に関わった者は例外なく正気を失い、狂気の世界へ堕ちていくのだ
