タイトル:【託児・虐待】 第一回Mayスレスク祭り
ファイル:託児の結末.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:13450 レス数:1
初投稿日時:2007/07/29-00:49:14修正日時:2007/07/29-00:49:14
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「袋の中でじっとしているデス。
 人間様の食べ物には決して手を出してはだめデス」
「・・・わかったテチ」

人間さんとの接し方も教えたし、私が飼い実装だったときの必要なことも全部この子に教えた。
これで大丈夫なはずだ。
私はコンビニから人間さんが出てくるのを待った。






今はとても暑い季節
私も含めほとんどの公園に住んでいる同族はこの暑さに苦しんでいる。
公園の噴水や蛇口からも水は出なくなった。
最後の望みであるトイレも最近何故か取り壊され、私たちは生きることが非常に困難になっていた。

今まではこういう事がなかったのでどうにか乗り切っていたが、
おそらくこの暑い季節が終わるまでに生き残れる仲間はほぼ0といってもいい。
だから私は最後の賭に出た。


つまりそれは託児
私はどうなってもかまわない。
でもこの子だけには不幸な実装生を送ってほしくはなかった。
だから私は今までこの子にできる限りのことをしてきた。
そしていつの日か人間さんに見初められて飼い実装になれるよう様々なことを教えてきた。
しかし無情にもこの暑さがこの子の命を絶とうとしていた。
他の同族達の子供も次々と死んでいる。
おそらく近いうちにこの子も同じ事になる。
この子が死んだら私はきっと絶望し、そして後を追うだろう。
この子だけは不幸にしたくない、それが私の生きる目的





コンビニから一人の人間さんが出てきた。
表情をしっかり観察する。
他の同族達は手当たり次第に託児をして、そして親子共々不幸な最後を迎えているのを目の当たりにしてきたからだ。
この子を不幸な目に遭わせないためにも、優しい人間さんにもらわなければならない。
・・・大丈夫だ。この人間さんならきっとわかってくれる。

「おまえが大人になった姿を見られないのは残念デス
 でもおまえならきっと幸せになれるデス
 だから、ここでお別れデス」
「・・・ママ
 いつか、ママを迎えにくるテチ
 だからママもそれまでがんばって生きていてほしいテチ」
あまり会話ができる状態でないのにもかかわらず、この子は私との再会の約束をした。
でも私は長く生きられない。
だから返事をせず袋に向かって我が子を投げた。




                    幸せになるデス
                   私の大事な大事な子供














あれから一日たった。
昨日私は子供が袋に入ったのを確認した後、その場からすぐに立ち去った。
悲しくて心が張り裂けそうだったから、あれ以上あの子の近くにいたら私は離れることが出来なくなるから。
だから私は家に帰ってからうずくまっていた。
後は死ぬのを待つだけなのだから。

ガサガサ
近くで音がする。
でも今の私にはどうでもいいこと。
私はそれ以上何もしようとはせずにただじっとしていた。

「こ・テ・・」
かすかにだが声が聞こえ、その声を聞き即座に私は家から出た。
周りを見回すが誰もいない。
あの声は間違いなく私の子供の声だった。
聞き間違えるはずはない。
辺りを見回し続けて数分たって私は家に戻った。
「きっと幻聴デス
 あの子の事を未だに忘れられないから聞こえてきたんデス」
自分にそう言い聞かせまたうずくまった。






次の夜
また近くで音がした。
『おーい、実装石ちゃーん』
また幻聴なのだろうか、しかし聞いたことのない声だ。
私は一応確認のため家から少し顔を出した。
そこには一人の人間がいた。
誰だったか忘れたが見覚えのある顔だ。

『お、ママをはっけーん』
ママ?何を言っているんだ。

『そんなに警戒しないで、おうちから出てきてくれないかな?
 それとも、俺が誰だかわからないかな。
 君が二日前に託児をした人間だよ。』
私はそれを聞きはっとした。
そうだ、あのときの人間さんだ。
でも何故ここへきたんだろう?

私は多少警戒しながら、人間さんに話しかけた。
「人間さん、どうしてここへきたんデス?」

『ようやく声を聞かせてくれたか
 実はね、君の子供に頼まれてここへきたんだ
 私のママも飼って欲しいって頼まれてね』
!!!
あの子は本当にどうして・・・
私は涙を流しそうになるのをこらえ家から出た。


『それで早速本題にはいるが、どうする一緒に来るかい?
 君も事情があってここに住んでいるなら、無理に連れて行かないけど』

「私はあの子が幸せになってくれればそれでいいんデス
 私がついて行っても、きっと人間さんの迷惑になってしまうかもしれないデス
 だから・・・」

『そんな事はないよ。
 もう一匹増えたって別に大丈夫だし、それにあの子もママがいなくてとても寂しい思いをしているんだ
 本当にあの子の幸せを望むのなら、親子は一緒にいるべきだと思うけどね』

人間さんの言葉に私ははっとした。
そうか、あの子の幸せにもっとも大事なのは一緒にいること
きっとこのまま離ればなれのままだったら、あの子も私と同じような寂しい思いをしながら死んでしまうかもしれない。
だったら

「人間さん、お願いデス!
 私も飼って欲しいデス!
 迷惑は絶対にかけないデス!
 だから、だから」

『大丈夫だよ
 最初から飼うつもりでここにきたんだから』

ああ、またあの子と一緒に暮らせるなんて思わなかった。
私は人間さんに何度もお辞儀をしながらありがとうと言い続けた。






公園から出る辺りで私は急激に渇きをおぼえた。
今までこらえていたものが全部出てしまったからであろう。
その様子を見ていた人間さんは笑顔を向けながら話しかけてきた。

『ああやっぱりな
 この公園完全に断水しているから、のどが渇いているんじゃないかと思っていたよ
 あの子もそうだったしな
 ほら、これを飲みな』

人間さんは私にストローのついた黒いビニール袋を渡してきた。
「これは何デス?」

『実装石が元気になれるドリンクだよ
 飲んでみな、きっと美味しいよ』



私は人間さんからもらった飲み物をおそるおそる飲んだ。
「こ、これ、とっても美味しいデス!」

『きっと喜んでくれると思ったよ
 さ、飲みな
 のどが渇いてるんだろう
 全部飲んでいいからさ』

人間さんにそういわれ私は夢中で飲み始めた。
だから私は気づかなかった。
ストローから赤と緑の液体が流れているのを。



私はよっぽどのどが渇いていたのか、空になっているのにもかかわらず私は吸い続けていた。
『よっぽど美味しかったのかな、そのジュース』

「とっても美味しかったデス
 こんな飲み物今まで飲んだことないデス」

『ふーんそうか、やっぱり気づかないもんだな
 極度の飢餓で鼻もきかなかったか』

「何のことデス?」

『袋の中みてみな』

人間さんはにやにやと笑みを浮かべながら袋を広げた。
私の中の何かが見てはいけないと警告する。
でも私の目は自然に袋の中に向けて動いていた。

袋が黒かったせいか中身はよく見えなかった。
そこで人間さんが街灯の下で袋を裏返しにした。



・・・私は最初それが何かわからなかった。
袋の中身を飲み尽くしてしまったせいか、ほんの少しの赤と緑の液体が袋にへばりついている状態だったからだ。

「これは何デス?」

『ん、わからない?
 臭いをかいでみな
 きっとわかると思うよ、それがなんなのか』

人間さんにそういわれ私は臭いをかいだ。



これはどういう事なんだ。
かいだ臭いは間違いなく知っている臭い。
私の子供の臭いだった。
何故この袋からこの臭いがするんだ。
それにわずかに残った赤と緑の液体。
考えたくはない。
これ以上考えたら、きっと私は、私は!

『どうやらそれが何かわかったようだな
 せっかくだから種明かししてやるよ、親実装ちゃん』

この人間さんの話を聞いてはいけない。
この人間さんは危険だ。
これ以上ここにいてはいけない。
あらゆる危険が身に降りかかろうとしているのに体が動かない。
何故!

『まずはどうして体が動かないか
 答えは簡単、さっき飲んだジュースの中に実装シビレが入っていたからだ
 おまえをすぐに逃がすつもりはないんでね』

実装シビレ
そうだ、かつて公園に落ちている金平糖を食べた同族が体が動かず助けを求めていたことがあった。

『そしてそのジュースがなんなのか
 それなりに賢そうなおまえならわかっていると思うが、それは実装石をジューサーにかけたものだ
 おまえの子供から聞いたが、おまえ元飼い実装なんだってな
 飼い実装なら知っているよな、同族食いはタブーだって事ぐらい』

同族食い
かつて私がブリーダーの先生から教えてもらったこと
決してやってはいけないこと
それをした実装石は等しく堕ちることも聞いた。

『もっともおまえの場合
 ただの同族食いじゃないけどな
 わかってんだろう
 ジュースにした実装石が自分の大切に育ててきた』



               『我・が・子・なんだから』







私の中で何かがピシピシと音を立てていた。
もう何も考えることができない。
ただ人間さんの言うことが頭の中に入ってくる。

『全く頭にくるよな
 せっかく買ったデーソン期間限定デザート<プリンアラモードスペシャル>を台無しにしてくれたんだからな』

『おまえが仔実装に何を教えたが知らないが、結局実装石なんて欲求だけで生きている生き物なんだから
 我慢なんてできるわけないんだよ
 袋を開けたらいってたぜ
 「あまりにも美味しそうだったから食べちゃったテチ、でも人間さんは優しいから許してくれるテチ」
 てな』

『久々に切れたぜ
 即座に壁にたたきつけたよ
 それから寝るのも惜しんで虐待し続けた
 あいつ痛い思いをする度言ってたぜ
 「ママの嘘つき、ママの嘘つき」
 って』

ピシピシ・・・ピキ!
私の中で何かが少し割れた音がした。
嘘つき?嘘つき?私は嘘つき?
考えてもいないのにその言葉が私の頭の中をぐるぐる回っていた。

『んで昨日思いついたんだよ
 子供だけでなく、親にもちゃんと責任をとってもらおうとな
 あいつすぐに吐いたぜ
 ここがおまえのおうちだってな』

昨日?あれは幻聴じゃなかったんだ。

『今更感動の親子対面させるつもりもなかったんでな、いろいろ考えた末にこういう虐待を思いついたんだ
 あいつ死ぬ間際に言ってたぜ
 「ママ絶対に許さないテチ、恨んでやるテチ、テテテ、ママ死にたくない助けてテチー」
 意味わかんないよな
 ほんと仔実装って馬鹿だよ
 いや実装石みんな馬鹿か、後先考えず託児するぐらいだし』




人間さんはどうしてこんなひどいことをするの。
ただ普通に子供を産んで、外敵を気にせず暮らしたいだけなのに。
私たちはただ幸せになりたいだけなのに。
どうして、どうして?
私の頭の中がそんな思いでいっぱいになった。

『俺もだいぶ気が晴れたし、さすがにうちに連れて帰ってまでおまえを虐待するつもりはないから
 ここでお別れだ
 良かったな、あとは自由に生きられるぞ
 そこら中に隠れている野良どもから逃げられたらの話だけどな』

話に夢中で気づかなかったがかろうじて動く目を少し動かすと、
近くの茂みからたくさんの緑と赤の瞳がこちらを見つめていた。
かすかにだが、「美味しそうな肉があるデス」という言葉が聞こえる。

『大量の水分も補給して、今のおまえはみずみずしく美味しそうに見えるんだろうな
 せっかくだから、おまえがどこまで持ちこたえられるか近くで見守っているよ
 その前におまえの偽石が持たないと思うがな』

人間さんはそういうとその場を立ち去っていった。
それを確認した赤と緑の瞳が少しずつこちらに近づいてきた。
もう私は考えることをやめている。
それにこのままでいた方がいい。
そうすれば私の大事な子供にもう一度会えるそんな気がしたからだ。
子供と一緒なら私は、いや私たちは幸せだ。





クッチャクッチャ
音がする。
私の瞳には、足や手を食べている緑色の何かが映っている。


ムシャムシャ
別の音がする。
私の瞳には、体の一部を引きちぎり食べている緑色の何かが映っている。


グッチャグッチャ
また別の音がする。
でも私の瞳にはもう何も映らない。


・・・・・・
もう何も聞こえない。


パキパキ
何かの音がする。
何の音だろう。



パキン!
・
・
・
・
・
・
・
・
・





次に気がついたとき、目の前に大切な我が子がいた。

「ママあいたかったテチ」
「私も会いたかったデス」
もう二度と離さない。
私は再会を喜びつつそう思った。




お互い落ち着いたところで、ふと周りを見回した。
黒く染まった空
赤く煮えている池
そびえ立つ針の山
見たことのない世界だ。
でもここがどこであろうと関係はない。

私達親子は一緒でいる限り幸せなのだから。
そして私達が幸せなら、きっとここは楽園なのだから。







                  「「デッギャーーーーーーー」」












おわり







コンビニ託児がお題で愛護を書こうと思ったら、虐待になってしまった。
愛護はまたの機会ということで

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1 Re: Name:匿名石 2023/09/07-21:50:40 No:00007941[申告]
親子共々地獄に堕ちてて笑った
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