タイトル:【淡泊】 正しい実装Ⅱ
ファイル:正しい実装Ⅱ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:18432 レス数:2
初投稿日時:2007/07/25-21:57:20修正日時:2007/07/25-21:57:20
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  「正しい実装Ⅱ」
  (副題:今昔の実装石の姿を参考にして生物設定を考えてみる)




【1.廃品回収】


今日の奴は約束どおりにちゃんと来た。


「いや、だから、先日は悪かったよ。
 悪いと思うからお前の遊びに付き合ってやったじゃないか」

「嘘つけ。 お前の行動は全部自分のためだろうが」


興味の無いことはあっさりと忘れる奴であるが、面白そうな物には素早く食いついてくる。
俺の友人はそんな奴だ。
今日などは早朝にも係わらず、ちゃんと来ていやがった。


「あー、まぁね。 次第に面白くなってきた」


今、俺達は実装石の生物的に『正しい姿』を探す遊びにはまっている。

肉体を改造した実装石を公園の野良実装の群れに放ち、
その改造実装が殺した野良実装の数や、生存した時間を競う遊びである。


俺達のこの遊びはネットを通じて、全国の暇人たちに公開している。

暇人達は実に暇をもてあましていたらしく、公開してすぐに俺達の遊びに同調する者が現れ、
改造した実装石の姿を展示するサイトは次第に増えていった。

俺達のすぐ近所にも、実装石の『正しい姿』を追求する複数のグループができた。
今ではそこらじゅうの公園から野良実装どもの断末魔が聞こえる。


改造実装の流行。
そのおかげで俺達の近所の野良実装は大きく数を減らした。

遊びを続けるには野良実装にいて貰わないと困る。
今更ながらに環境保護は大事だなと思う。


「今日は実装石を仕入れに行くんだろ? ペットショップで賢い奴を買うのか?」
「いや。ペットショップに行く前に寄る所がある。運がよければ相当に賢い奴がタダで手に入るぞ」


俺達は実装石の全滅した公園に、よそから連れてきた実装石を放流することにした。
放流する実装石は『賢い』奴でなければならない。

『賢い』実装石とは、自分の仔を食わない実装石である。
同族食いが本能として刻み込まれている実装石の中ではなかなかいない。
また、ペットショップで買うにも、それなりの出費を覚悟しなくてはならない。

そこで俺達は『賢かった実装石』を狙うことにした。



俺達の近所の小学校では実装石を飼育している。
児童が通学途中に『捨てられた可哀想な実装石』を見つけて拾ってきたのである。

記者は美談として取り上げたつもりだったが、読者は『小学校で実装石を保護してくれる』点にだけ注目したようである。
この話が新聞で紹介されてから、通学路に置き去りにされる実装石の数が増えた。


「おーい! 実装チャーン! いたら返事をしておくれー!」

「居るんじゃないか? 先週、週刊誌で実装の本性がまた紹介されたからな」


俺達は実装石捨て場となった通学路を歩く。


  デププ!
  デェェーン! デェェーン!
  デスンデスン


実装石が居た。
いや、居すぎだろ。

角を曲がると道沿いに列を為すダンボールが見えた。
実装石の鳴き声が不快なほどの音量に達している。


「こいつらみんな連れてけば、賢い奴じゃなくてもいいんじゃねーの?」

「電車に乗れないだろが。 強制出産で増やすから賢い親が一匹だけ捕れればいいんだよ」


ダンボール箱の中身はペットとして飼われていた実装石。売り物として選別された個体達である。
野良実装よりも賢い奴が多く混じっているはずだ。


「どれどれ。 賢い実装チャンはいるかな〜」
俺と友人は賢い実装を探し、ダンボール箱を覗き込む。

1つ目の箱は、普通の実装石。
おそろいの服を着た自分の仔を頭から食いちぎっていた。


「ああ、決まりを守れなかったんだな」


普通の実装石を買うに当って、ペットショップから『多頭飼いをしないこと』と注意を受けたはずである。
多頭飼いするのなら、実装石の食欲を常に満たし続けてやり、食欲が同族に向かないようにコントロールする必要がある。


「ちっ。 質が落ちてやがる…」


2つ目の箱も仔食いでハズレ。
3つ目の箱も仔食いでハズレ。
その後も俺は普通の実装石を引き続けた。

実装石の本性が知られだした今、
ペットショップは実装石の人気が失墜する前に質の良くない物も含めて売り逃げる手段に出たようである。


「やったー!! 賢い奴が居たぞー!!」


俺が諦めかけた頃、友人の歓喜の叫びがあがる。
これだけの箱を覗いた後であれば、そりゃ嬉しかろう。


「見てくれよ!! こいつはレアな高級品だ!!」

「おおっ!!」


捨てられた箱からして高級感がある。
箱はダンボールではなく、観音開きの『実装ちゃんハウス』だ。

ハウスの中身は、成体実装と二匹の仔実装。
これまた高価そうなフリルの多い実装服を着ていた。

そして、素晴らしいことに仔実装の手足が欠けていない。
糞よりも遥かに美味な同族の肉が身近にあるのに、糞食しかしていないのである。
なんと『賢い』実装石なのだろうか。

それだけではない。

仔実装は俺達の姿を見て即座に媚び動作をする『普通の実装石』であったが、
親実装は俺達の存在を無視し、ハウスの中に溜まった糞で髪を洗っていた。

『異常行動』をするレアな実装石である。


「すげえ! 珍しい奴だ! 買ったときは高かったんだろうな」

「セレブの飼い実装だったんだと思うぜ。 おまけも凄いぜ!」


友人が指差す先には、なんと実装リンガルである。
実装リンガルに対応した実装石は、かなり希少であり高価であるはずだ。


「ああ、もう少し早ければな・・・」

「そうだな」


ペット業者はもう実装石の本性を知っている。
無知な客に実装石を高く売りつけはするだろうが、
俺達がこの個体を持ち込んでも高く買い取ってはくれないだろう。


「髪を洗うなんて『異常行動』は滅多に見ないのに・・・惜しすぎる」

「価値が変わったんだ。仕方ない」


実装石は人に似た姿を持ち、人に似た仕草をする。
そのような外見と行為で人の関心を引き、人の保護を得ようとする生き物である。

実装石の媚び、泣き、笑う行為。
それらは基本的に備わっている行動であるが、稀にそれ以外の行動をする個体がいる。

『人間に向かってお辞儀をしているように見える行動』
『手を振ってさよならのあいさつをしているように見える行動』

このような通常とは異なる行動を『異常行動』と呼ぶ。
『髪を洗う行動』はそれら異常行動の一つである。

『異常行動』は通常の行動の一部が変じたものである。
実装石の他の動作と同じく外部からの刺激に対する単なる反応でしかない。

例えば、髪を洗う実装石は、自分の髪を清潔にしようと行動している訳ではない。
その証拠に、髪を洗う水が糞になってもこうして洗い続けている。



実装石の行為は単なる反応。
しかし、人間は人型の生き物の行為に意味を見い出す。

人間はそれらの行動をする実装石を賢いと思い、価値があると考える。



「ペットショップが無理なら、実装ブリーダーはどうだ?」

「この先、買い手がいなくなるんだ。 ブリーダーも要らんだろ」


実装ブリーダーとは異常行動を起こす実装石を作る職種である。

食物に毒を混ぜることで、実装石の行動中枢に意図的に障害を起こさせる。
原理は簡単であるが、望みどおりの行動を起こさせるのは技術がいる。

例えば、手を振る実装石を作ってみても、実装石が手を振る角度で、
『さよならのあいさつをする賢い個体』と『手を無意味に振り続ける愚かな個体』に分けられ、
価値が天と地ほども異なる。


「この実装リンガルだけでも売れないかな?」

「いい加減諦めろ」


俺は友人の頭を小突く。
この前パチンコで負けたとか言っていたから、ノドから手が出るほど金が欲しいのだろう。

どの道、実装リンガル単体では売れはしない。
実装リンガルは実装リンガル用の実装石とセットになって初めて価値がでるのである。

実装リンガルは『実装石の言葉を人語に変換して表示してくれる道具』という売り文句であるが、
実際には、実装石の鳴き声を判断して登録してある語句を表示するに過ぎない。

このような仕組みであるため、実装リンガルが対応できる実装石は限られる。

媚動作のときはこの鳴き声、幸福の時はこの鳴き声など、
動作に対応した鳴き声を上げる実装石でなければならない。


試しに実装リンガルで俺達に媚びる仔実装の鳴き声を翻訳してみると、
『ゴハンおいしいテチ』『ボールで遊ぶテチ』と、なっていた。

『賢い』親の仔は賢い事が多く、共食いする率が低いなど、ある程度の遺伝はあるが、
実装リンガルへの対応性は一代限りの資質である。


「ああ、駄目だな。 この親も実装リンガルも売れないわ」


仔実装に続き、髪を洗い続ける親実装の言葉を翻訳してみると『お昼寝するテチ』となっていた。

実装石は仔から親に成長するときに声質が変わる。
それに合わせて実装リンガルを仔実装用から成体実装用に買い換えなければならない。

実装石と共に捨てられていた実装リンガルは、仔実装用のままであった。
飼い主が成体実装用の実装リンガルを買う前に、実装石の本性に気づいたのだろう。


「飼い主は仔実装の誤訳で気づいたんだろう」

「だろうな。 実装リンガルが無ければもっと騙して寄生し続けられたんだろう。
 『賢さ』が仇になったな」


ここにいる実装石の『賢さ』は、飼い主が求めるレベルに達していなかった。
だからこそ捨てられた。

俺からしてみれば、実装石の飼い主達は単なる蟲でしかない実装石に期待をしすぎたのだと思う。

実装石の『賢さ』とは仔を食うか食わないか。
その程度の物でしかない。


「まぁ、いいさ。 当初の目的どおりに『賢い』実装石を手に入れたんだ。
 小学生が登校してくる前にさっさと持ち帰ろう」


予定通りに親実装をリュックサックに入れて電車で帰る事にする。
まずは親実装をリュックに入るくらいに小さくしなければならない。


  デギャァアアーー!!  『ご主人様、遊んでくれてありがとうテチ!』


親実装の手足をチギリ取った時の鳴き声が実装リンガルに翻訳される。
見事な誤訳だ。
俺達は笑いながら作業をする。


  デギィィィ!!  『ボール遊び楽しいテチ!』


次に手足が再生しないように傷口をバーナーであぶる。
バーナーはガスボンベに放射口が付いた、携帯用のキャンプ用品である。

実装石の体は火に弱く、実装石の再生力をもってしても火傷は治らない。
リュックの中で手足を再生して動かれては困るので、特に念入りに焼く。
実装リンガルによると、親実装はずっと楽しんでくれた様だ。


「次は糞抜きだな。 さぁ、来い!」

「よしきたー!」


俺が構えた親実装の胴目掛けて、友人がパンチを見舞う。
友人はこの作業が上手い。

実装石の体は貧弱であるため、全力でパンチを見舞うと体が砕け散ってしまう。
実装石の皮を破らないように力を弱め、胃から腸へと出口に向かって小刻みに衝撃を与えるのがコツだそうだ。

リュックの中で糞を出されてはたまらないので、この作業も念入りに行う。

最初の一発で親実装のパンツが飛んだ。
糞の噴射を受けたパンツは勢い良く飛び、媚び動作中の仔実装を巻き込む。


 ブピッ ブピッ


排泄音の度に『実装ちゃんハウス』に向けて糞が噴射される。
親実装の体内の糞に血の赤色が混じる頃には、仔実装の鳴き声は聞こえなくなっていた。
こうして殴り続け、総排泄孔から腸の頭が顔を出す様になれば糞抜き完了である。

俺はビニール袋に手足を切った親実装こと『改造蛆実装』を詰め、リュックにしまう。
ビニール袋は二重で、口もきつく縛ったので鳴き声は外に漏れない。


「さて、帰ろうか」

「待て、待て。 小学生のために後片付けくらいしようぜ」


そうだった。
優しいお兄さんを自称するなら、他人への配慮を忘れてはいけない。

俺達は廃棄された物の内で最大の入れ物、『実装ちゃんハウス』を引き倒し、そこに他の箱の実装石を入れてゆく。


  デジュァァーー!
  デギャー!


ハウスの中はすぐに同族食いの地獄絵図になる。
実装石の数に困ったら、こうして本来の姿に戻してやればいい。

共食いは実装石自身が望んで行う自然な行為である。
人間がわざわざ実装石の性質を歪め、共食いを禁じてやる事こそ実装石のためにならないだろう。






【2.廃品利用】



公園に着いた俺達は、早速、親実装の左目を赤マジックで塗る。


 テッテレ〜♪ テッテレ〜♪ テッテレ〜♪ テッテレ〜♪


両目が赤色に揃った親実装の体は、順調に仔実装を排出する。
仔が総排泄孔から糞の残りと共にひり出されるたびに、親実装の腹部が次第に痩せていった。

実装石はこのように目の色を赤色にそろえてやると仔を生む性質がある。

いや、『仔を生む』と言うと語弊があるかもしれない。
実装石の仔は、親の体内の肉が変質したものだ。
実装石の増殖はどちらかというと単細胞生物の分裂に似ていた。



強制出産の事実が広まるまでは、実装石は哺乳類の様に妊娠し、出産すると考えられていた。

仔は即座に発生するにも係わらず、妊娠期間中の実装石は腸の中に糞を溜め、腹を大きくする。
人間はその姿を『実装石が胎内で仔を育てている姿』であると誤認した。

さらに、妊娠期間中の実装石は、『幸せ』の表情をし、糞で膨らんだ腹を撫でつつ鳴き声を上げる。
その鳴き声は『胎教の歌』と名付けられ、実装石が仔を慈しむ姿として紹介されてきた。

実装石の妊娠は見せ掛けのもの。
人間を騙すための擬態の一つである。


 テッテレ〜 テッテレ〜 テッテレ〜 テッテレ〜


親実装が排出する仔実装の大きさは次第に小さくなり、やがて蛆実装になった。
仔に変換する体内の肉が足りなくなってきたのである。

通常の動物であれば、母体が危険になり分裂が止まるはずであるが、
実装石は自分の体の状況を把握できずに『仔を産む』という指令に従い続ける。

親実装の下半身はほとんど皮だけになり、上半身も中身が失われつつあった。


「本体の生存よりも増殖の方が優先だとは、ホント蟲だな」

「そうだな。 こうして強制出産を見れば、すぐに実装石が『人』ではないと判る。
 人はもっと早く強制出産に気づくべきだったな」



実装石は人とかけ離れた様式で生きる存在である。
だが、ありえないほどに人に似せられていたため、人は誤解をし、実装石を保護してしまう。

ありえないほどに人に似た存在。
実装石の服はその最たる物である。

実装石の服は複雑なもので、ズキンに結び目があり、前掛けにはリボンが結んである。

人は実装石がその服を着る様子を想像する。

実装石の手がズキンを結び、リボンを結ぶ。
野生の動物ではありえない器用さと高い知能。

実装石が人に近い存在であると考えるのは自然な流れであった。



「こいつら、見た目だけは完全に『人』だもんなー。そりゃ、騙されるよ」

 テッチューン!


友人が生まれたばかりの仔実装の一体を手に取る。
友人の手の中の仔実装は本能に従い、即座に媚び動作を行う。

実装石は一度に一つの行動しかできない。
仔実装が媚び動作をしている間に、服を引き裂いても気づかない。

 ブチブチブチブチブチ

服を裂く音は、毛を引きちぎる音。布を破く音ではない。
実装石の服は体毛で出来ているのである。

実装石の服は人間の服を真似ただけの物。
ズキンやリボンの結び目は、結び目に見えるだけの毛の塊である。

そもそも実装石の手では紐を結ぶどころか、服を脱ぐことすら出来ない。
実装石はパンツも下ろさずに糞をする。

排便を妨げる様にパンツを履く実装石など、不便で馬鹿げた存在だと思うかも知れない。
だが、それは実装石の不便な二足歩行と同様、人を欺くために必要な物である。



 テェェン! テェェン!


ようやく自分の服を奪われたと認識した仔実装が、泣き動作をする。

別に悲しい訳ではない。
視覚器官から流れているのは汗。
実装石の本能には、泣き動作をすれば人間が『不快な状況を変えてくれる』と刻まれているだけだ。


「で、服を返す・・・っと」


仔実装から奪った緑色の『毛の塊』を、肌に貼り付けてやる。
すると、服が元通りになった訳でもないのに仔実装は泣き止む。
どうやら、緑色の毛が肌に付着してさえいれば、『服がある』と判定するものらしい。


 テチューン! テチューン!


服が戻れば、すぐに媚び動作を再開する。
媚びている人間が、先ほど服を奪った相手などとは考えていない。


「服を奪う・・・」
 テェェン! テェェン!

「返す・・・」
 テチューン! テチューン!

友人が毛の貼り付けを繰り返すたびに、仔実装は同じ行動をする。
こうすると、仔実装の『感情』は外部の刺激に対する単なる反応だと判る。



  フシュー・・・フシュー・・・


友人の遊びを見ている間に、親実装の出産が終わっていた。

かろうじて生命維持に必要な臓器は残っているが、
体の肉は仔に変換し終えてしまい、首から下は干物みたいな状態である。
呼吸に力が無く、鳴き声は弱々しい。

親実装と一緒に持ってきた実装リンガルを見る。

そこには『ご主人様、おいしいゴハンをありがとうテチ!』と表示されていた。
こんな状態の鳴き声でも、一応実装石の声だと判別する様である。


「うむ。 正しい訳だ。 実装石にとっては同族の肉が最高のゴチソウだからな。
 ほら、出産祝いにゴチソウをやるぞ」

「あ、待てよ!」


俺が止めるよりも先に、親実装の口に媚び動作中の仔実装がねじ込まれる。


  フフーン・・・♪


我が仔を丸呑みする親実装。幸福の表情を浮かべていた。

この親には他の公園でも仔を産んでもらう予定だったのに、これで同族食いを覚えてしまった。
賢い実装石でも一度、同族の食いの行為を覚えれば、普通の実装石になってしまう。


「こいつを太らせるのは手間だろ? また、賢い奴を捕りに行こうぜ」


確かにそのとおりだ。
同族の肉以外で実装石を飼育すると、金がかかる。
極限まで痩せた実装石を元に戻すくらいなら、まだ新しく買ったほうが安くつく。


  フフーン・・・♪

  テジィィィィ!!


本能に目覚めた親実装は仔食い行為に恍惚の表情を浮かべていた。

一方、親に食われた仔は、親の体内で暴れている。
今頃になって食われたのだと気づいたのだろう。

仔実装が動くたびに、親の首から垂れ下がった皮が揺れた。



「こんな蟲けらに人の姿を重ねるなんて、どうかしてたんだよ」

「同感だ」



人間は動物や昆虫や植物、果てには無機物にまで人の意識を求めてしまう存在である。
実装石はそのような人間の心の仕組みを利用し、人の生活に寄生して繁殖してきた。


しばらくは実装石と人間はうまく付き合っていた。
人間は珍獣『実装石』に興味を惹かれ、実装石は広く愛された。

愛すればこそ、もっと相手の事を知りたくなる。
そして、相手の事を調べればやがて本質にたどり着く。



実装石の本質は単なる蟲けら。
存在を偽り、友人を求めた人間の心を踏みにじった。



もし、実装石が俺達が求めている実装石の『正しい姿』であったのなら、
ここまで人の憎悪を受ける事はなかっただろう。

4つ足の動物が人語を理解しなくても、怒りはしない。




「残念だったな実装石。 お前達の生き残り戦術は失敗だ。
 恨むんだったら、お前の姿をデザインした神を恨め」




俺達はバーナーで親実装の顔をあぶる。
親が死ぬまで実装リンガルは、『ご主人様、ありがとうテチ!』と表示し続けた。




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1 Re: Name:匿名石 2023/09/05-21:09:15 No:00007936[申告]
このスクの実装石は不気味でおぞましい
2 Re: Name:匿名石 2023/09/07-14:51:51 No:00007939[申告]
感情がない虫けらは愛護しても虐待しても楽しくないからそのうち無関心派や実験派のみになるのかな
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