タイトル:最後の審判
ファイル:最後の審判.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3737 レス数:2
初投稿日時:2007/07/21-17:40:19修正日時:2007/07/21-17:40:19
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「今帰ったぞぉー!」
マンションの自室に戻り、ドアを閉めた俺は大声を上げる。
理由はもちろん虐待中の実装石に恐怖を与えるためだ。
照明を付けながらゆっくりと足音をドスドスと響くように実装石を入れた水槽のあるリビングに向かってゆく。
きっと今頃据え付けの監視カメラには震えながら糞でも漏らす実装石の姿が映っているに違いない。
「さーて、今日はどうやって遊ぼうかなぁー?目玉でもくりぬくか?それともコンロで炙ってやろうか?」
リビングに到着した俺は笑いながら水槽に向かって語りかける。
だが水槽を見た瞬間俺は凍りついた。糞まみれだったはずの水槽は汚れ一つなく、禿裸にして
両手をちぎってやったはずの実装石が髪も服も腕も備えた姿でこちらをまじまじと見つめていたからだ。
何とかすぐに落ち着きを取り戻した俺は何が起こったかを考える。野良実装が忍び込んであの禿裸を食っちまったか?
いやそれはありえない。ここはマンションの五階の部屋だ、戸締りもちゃんとしていたし
水槽はほぼ密閉状態だ。それに糞がここまで綺麗に片付いている理由が説明できない……


「私はあなたが飼っていた『ハゲハダカ』デス。野良実装ではないデス。」
突然、水槽の実装石が言葉を発した。しかも明瞭に聞こえる人間の言葉で。一体何が起こっている?
「私はあなたの心に直接語りかけているのデス。あなたがたの言葉で言うテレパシーデス。」
実装石は全く口を動かしていない。ということは本当なのか……?
「こうして我々の本来の手段であなたとコミュニケーションを取っているのは、
 あなたに最後の審判の時が訪れたのを伝えるためデス。」
「最後の審判?なに訳の分からないことを言ってやがる!」
俺は声を荒げるが実装石は無視して話を続ける。
「あなたもご存知のはずデス。我々はこの星の時間で数十年ほど前、突如としてこの星の各地に出現したデス。」
「長い旅路だったデス。我々は故郷を超新星爆発の余波で失ったあと、宇宙船で生物が住める星を探して放浪していたのデス。
 この星に到着した我々はすぐにこの星で高度な知性体、つまりあなたがたニンゲンが繁栄していることに気付いたデス。」


「我々は考えたデス。我々が初めから自らの正体を明かしてあなたがたに接触すれば、必ず大きな混乱が起こるデス。
 だから我々は自らの体を知能を抑えた『自動運行システム』に委ね、ただの動物としてこの星で生きることにしたのデス。
 そうすればあなたがたを深刻な混乱状態に陥らせずに済む、そしてこの星に馴染んでゆけば
 本来の知能で生きていける日も来るかもしれないと考えたのデス。」
「でも、我々は大きな見込み違いをしていたことに気付いたデス。ニンゲンは我々の存在を知ってすぐにはもてはやしたものの、
 すぐに我々を嘲り、蔑み、甚振り、殺戮し、搾取しだしたのデス。ちょうどあなたのようにデス。」
「ふざけんな!そりゃてめえらが糞蟲だからだろうが!」
「そうなることを望んだのはあなたがたデス。『自動運行システム』には思念を感知して
 あなたがたの望むように我々の行動ルーチンと肉体を作り変える機能を組み込んでおいたのデス。
 あなたがたの望みで我々は醜く汚らしい、殺しても心が痛まない生き物に変じたのデス。」
「そ……そんなもん、お前の妄想の中の作り話に決まってる。だいたい数十年前に降りて来た奴らなんぞ
 とっくの昔に偽石砕かれて皆殺しになってるはずじゃねえか……」
「あなたがたが偽石と呼ぶものはあくまでこの体を維持するのに必要なパーツデス。我々の本体は空気中に散布された微細なナノマシンの集合、
 肉体が破壊されたなら他の個体にナノマシンが作用し、新たな肉体を作り出すだけデス。
 あなたがたは我々の個体数が増減していると思い込んでいるデス、でも我々はこの星に降りたときより
 個体数を増やしていなければ減らしてもいない、本当の意味で死んだものもいないのデス。
「話を元に戻すデス。『自動運行システム』が稼動している間も我々の意識ははっきりとしていたデス。
 この星の本来の住人ではないのだからとあなたがたの仕打ちに耐えながら、我々はニンゲンの歴史と今のニンゲンの活動を
 調べていたのデス。
「判ってみれば酷いモノデス。あなたがたの歴史は同族同士での殺し合いと騙し合い、そしてあなたがたが今成しているのは
 それに加えて自らの生存環境を破壊して自分の欲望を叶える愚かな行為デス。
 このことを知った我々は協議して結論を出したデス。ニンゲンは我々との共存はおろか
 自らの欲望を制御することもできない欠陥生物、速やかに絶滅させることが我々だけでなく
 この星にとっても有益であるデス。
 ……もちろんこの結論に至ったのはあなたのような虐待派と呼ばれるニンゲンも大きく寄与しているデス。」


「……黙って聞いてりゃありもしない妄想をベラベラと!もういい!てめえなんぞぶっ潰してやる!」
俺は堪忍袋の尾が切れ、水槽へ猛進しようとする。だが何かに足を取られて前のめりに倒れてしまう。
「周りを見てみるデス。」
「……なんだあこりゃ?」
部屋の中は樹木が生い茂り、まるで植物園のようだ。
「私は少しだけ育つのを手伝っただけデス。あなたがたがどれだけこの子達が生きるのを抑制していたか分かるというものデス。」
いつの間にか俺の足にも若木や蔦が絡まっている。そしてそれらは俺の体を覆ってゆき……


「清清しい朝デス。まさにこの星の新たな夜明けにふさわしいデス。」
すっかり朽ちて植物達の植木鉢と貸したマンションから一匹の実装石が姿を現し、仲間達に挨拶をする。
「各地の仲間達からも連絡が来ているデス。この星に巣食っていた糞蟲どもは一匹残らず絶滅したそうデス。」
「これでこの星も救われるデス。植物達が元気になれば、それを住処とし食料とする動物達も元気を取り戻すデス。」
ジャングルのような様相に変化したかつての街並みを見渡しながら、感慨深げに仲間がつぶやく。
その時、かろうじて原型を留めていた路地から一匹の猫が飛び出してきた。初めは警戒し、フーッと毛を逆立てて
実装石達を威嚇していたものの、テレパシーによる思念が伝わるとすぐに安らいだ表情で実装石へと近づき、顔を摺り寄せる。
「可愛いいい子デス。これからはこれからはこの星で仲良くやっていこうデス。」
これからは自然と共にこの実装石達が平穏な地球を作り出すのだろう。かつて地球に溜まっていた毒は全て取り除かれたのだから。

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1 Re: Name:匿名石 2016/11/07-17:35:30 No:00002717[申告]
これ実装石も他の動物に食われて絶滅するだろ。
2 Re: Name:匿名石 2016/11/07-21:39:14 No:00002718[申告]
実装の性格は人間の願望や本性が実装されたものだ11!!ふじkgfじょみたいなこと言う人やご丁寧にも実尊人卑なスクあげる人もいるけど
それもそれで否定の否定してやってる俺尊いとか「弱い」ものの勝利のルサンチマンとかくっさいものの塊に思える

この宇宙実装ももっと人類と共存できないことを悲しむようなやつならまだ物語に最低限の深みもあったろうに
糞蟲とか言っちゃってるし愛護ルサンチマンファンタジーが生み出した醜悪な怪物だなあ
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