『 おい〜っす。 』 『 おぉ…! 』 『 やっと来たかよ。 』 鉄製の錆びれたドアを開け、俺が部屋に入ると既に2人とも中にいた。 フローリングに散らばってるのは雑誌や服、隅には適当に畳まれた布団。 俺は適当に空いている場所へ腰を降ろす。 部屋の中央にはガラステーブル。 その上にはやはりと言うか、カセットコンロと鍋が用意されていた。 『 …準備万端だな。 』 『 当たり前だろ、あとはオマエが来るのを待ってただけだ。 』 ここはダチの1人が借りているアパートの一室。 毎週末になるとここへ集まり、公園に出かけるのが俺達3人の習慣…というか娯楽だ。 俺達が持参するものはパール、金属バット、ゴルフクラブ、そして市指定のゴミ袋。 日頃溜まった鬱憤を晴らすべく、昼は公園に巣食う実装石共を虐待。 夜は打ち上げで、この部屋に集まって鍋を突付く。 ダチの2人はノリノリだ。 平日に溜まったストレスを公園で解消、夜は酔い潰れるまで飲んで明かす。 その日、公園でブチ殺した実装石のネタを酒の肴にするのは最高だった。 しかし…以前は俺もソレが楽しかったのだが、今は少し気が進まない。 という俺がここに来たのは約束の時間より15分も遅れている。 前なら部屋に入って腰を降ろすまでも無く、2人を急かして外に出ているだろう。 だが今の俺は何をするでもなく部屋で呆けている。 『 …なぁ。 』 『 ん。 』 『 お前、そんなに気が乗らないのかよ? 』 『 まぁ…な。 』 ダチの1人の問い掛けに、俺は煮え切らない返事をした。 『 そんな事言わずによう、一応行くだけ行ってみようぜ。 』 元々、それが理由で集まったから、俺は仕方なく立ち上がった。 各々の道具とゴミ袋を持って部屋の外へ。 外の世界は木枯らしが吹き、寒さが身に染みた。 『 着いたぞ。 』 『 荷物、出そうぜ。 』 『 あぁ…。 』 15分後、俺達は市内公園の駐車場へ車を留めていた。 車のトランクから布にくるんだ各々の獲物とゴミ袋を取り出すと公園の中へ。 門を抜ければ、そこには実装石達がデスデスと騒いでる光景が広がっている。 『 ん〜〜……。 』 『 …ここまで来たんだから楽しんでいけよ。 』 『 それよかナンパ、もしくはこのままドライブでも悪くないかもな…。 』 やはり俺は気が乗らない。 そんな俺に興が醒めたのか、2人も両手に獲物を持ちつつも立ち止まったままだ。 「 デスデス? 」 通りがかった一匹の実装石が俺達へ振り向いた。 ソイツは紛れもない実装石だ、紛れもない普通の実装石。 しかし公園の中を出歩いている緑の生き物達……その中に、実装石らしくない者がいた。 「 ですですぅ♪ 」 目の前を、頭身の高い実装石が走り去って行った。 その走る速度は実装石とは比べ物にならない……人間の女の子、幼稚園児並だ。 通常の実装石が約3頭身に対して、5頭身はあるだろうか。 その瞳は大きく丸っこい。 髪は亜麻色だが、殆どカールは掛かってなくストレートに近い。 鼻も高く、睫も眉毛も存在した。 『 ……やっぱ、やめとく。 』 『 仕方ねえな。 』 『 だってなぁ……。 』 脱力感に襲われた俺は自販機の前に立ち、缶コーヒーを出すとベンチに腰を降ろす。 ダチの2人も渋々、自販機へ金を入れると同じベンチに腰を降ろした。 俺達3人、今まで無数の実装石をブッ殺してきた。 それまでは気にも留めなかった実装石。 けれども、何千匹と殺していれば一つ二つ気が付く事も有る。 ある時、公園で虐待していた俺達の前に突然姿を現した実装石。 〈 で…ですぅ…! 〉 《 …わ、わぁ!? 》 振り上げ、降ろそうとしていたパールを慌てて途中で止めた。 目の前にいるのは実装石ではなく、実装石の服を着た人間の女の子に見えたのだが。 《 コ、コイツは人間……いや、実装石なのか? 》 人間と実装石の混血……果たして、どちらに分類されるのか。 世の中には変わった性癖の男達も少なからず存在する。 犬や猫よりは人間に近い存在の実装石。 その実装石を性欲の対象とする者達。 結果として産まれてくるのが、人間とも実装石とも判別が付かない生き物だ。 俺達はアレを何て呼んでいいのか分からない。 ただ確かなのは、少数ながらアレが確実に存在するという現実。 例えば飼い実装。 幼い頃から一緒に育ってきた実装石を押し倒す中学生男子は少なくないという。 その結果、産まれたアレはどうなるか? 曲がりなりにもアレは人間の血を引いている。 実装石とは違って、殺すのも保健所に連れて行くのも気が引ける。 であるからして、アレを公園に捨てていく場合が多い。 また独身男性が寂しさを紛らわすために飼い始めた実装石から産まれる例も多々。 産まれたアレは世間体のために里子に出すこともできず飼うこともできない。 普通の神経の持ち主ならば、アレを自分と実装石の愛の結晶などと言い張ることはできない。 だから捨てる。 自分の子を…仔を処分できず、面倒を見ることもできず、無責任に捨てていくのだ。 アレは、実装石に比べて優れている部分が多い。 実装石よりは身長も運動能力も高く、知能も例に漏れず高い。 しかも人並みに自制心も存在し、身の程を弁えている節もある。 そして流石の虐待派も……俺達のような人間でも、アレを虐待するのには躊躇する。 実装石なら兎も角、アレを虐待するのは傍目から見てヤバい。 一度だけチャレンジしようとしたが、恐怖で泣き叫ぶ姿が人間の女の子とダブる。 普通の人間に見られたら通報されても不思議じゃない。 しかし、なぜだろう。 なぜかそれ以来、実装石共をブチ殺しても中々満足感を得られない。 まぁ、それでもアレを避けて実装石を虐待してきたわけだが……最近、ある事に気付いた。 ( あ……あれ…? ) アレを見た次の週…同じ公園に来たのだが、アレの姿が見えない。 いや、その時だけじゃなかった。 こうして実装石を毎週虐待するようになってから俺達は何度もアレを目にした。 なのに次の週には姿を消していた。 遅くとも次の次の週には公園から姿を消していた。 《 それがどうかしたのかよ? 》 ダチはそう言った。 だが、普通に考えてみれば変だ。 実装石が、この世に現れたのは昨日今日の話ではない。 これだけ人間と実装石が居住空間を共有している以上、やはり性交は多かった筈だ。 その結果、産まれたアレだって、それなりの数に登る筈。 しかし実際、公園には実装石が溢れている。 アレは時々見るが、全体からすれば1000に1匹も居ない。 身体能力的に実装石とは比べ物にならない程優れているアレなら、生存の可能性は高いと思う。 虐待派もアレを殺すのは躊躇するだろう。 思うにアレにとって危険な要素は無いように思える。 なのに個体数は全く増えない。 今まで人間と実装石の間違いは数え切れない程有った筈だ。 しかし現実に、その間違いの結果がどうして目立たないのだろう…。 その疑問が晴れない俺は、趣味の実装石虐待にも気合が入らないでいた。 『 …ハッキリ言って、その悩みは意味が無い。 』 『 ん〜…。 』 ダチにズバリ言われた。 まぁ、俺がこうして悩んでも確かに意味は無い。 そんなことに悩んでる暇があったら実装石を虐待しようぜ、というのは2人の意見だ。 こうして2人ともノリノリなのに水を差すような真似をして悪いとは思っているのだが…。 『 ちょっと早いけどよぉ、買出しに行くか? 』 『 賛成、なんかこっちまでやる気が出ねえよ……。 』 『 悪ぃ…。 』 俺は一言謝ると、立てかけていた荷物を持って駐車場へ向かおうとした。 『 …いや、ちょっと待て。 』 『 なんだ? 』 『 折角、車を出してここまで来たんだ……行き掛けの駄賃って奴を持って帰るか。 』 ダチの1人は、そう言うと荷物を再びベンチに立てかけて、袋を手に持つ。 『 駄賃? 』 『 仔実装を5,6匹酒の肴にな。 』 2人は袋を片手に公園の森の奥へ……俺も付き合って後ろを歩いて行った。 公園の中にある林には、多くの実装石が住処を構えている。 そして仔実装を住処に隠しておく親実装は多い。 まぁ、その辺を出歩いている仔実装を捕まえるのもアリなんだが、どうせなら用心深い親実装の仔を捕まえたい。 なぜなら賢い個体の方が弄り甲斐が有る。 肴として最高、酒も進む。 そのために2人は、今夜の酒の肴の仔実装を探しているのだが……突然前の2人が立ち止まった。 『 ……隠れろ。 』 俺達3人は木陰へ。 『 目ぼしいのがいたか? 』 『 いや…。 』 『 どうした。 』 『 なんか、様子がおかしい…あれを見ろ。 』 ダチが指差した方向……20メートルほど先だろうか。 ははは… デスデスゥ…♪ テッチュ〜ン……♪ テチュテチュ…! 木の根元付近に明らかな実装石のダンボールハウス。 その傍で高校生らしき男子と実装石が笑っていた。 更にその近くには仔実装が数匹見える。 その親仔実装達は、高校生と楽しそうに談笑していた。 『 …なるほど。 』 『 そっか……アイツ、餌付けしてるんだな…。 』 犬猫に限らず、飼おうにも家に持って帰れない実装石。 そんな野良実装に時々餌を持ってやってくる子供は多い。 おそらく、あの高校生も自宅で飼えないため、時々ここへ餌を持って様子を見に来てるのであろう。 『 …どうする? 』 『 見ろよ、あの幸せそうな実装石達の顔を……ウズウズするぜ。 』 『 決まりだな…。 』 俺達は逸る気持ちを抑え、そのまま木陰で息を潜めていた。 10分も経つと高校生は実装石達に別れの挨拶を告げ、林を抜けて姿が見えなくなった。 実装石達はダンボールハウスの中へ入っていったのが見える。 更に10分……あの高校生が戻ってくる気配は無い。 『 行くか…! 』 先頭の1人が声を出し、俺達3人はダンボールハウスへ近寄っていった。 『 ノックしてもしもーし! 』 ガン!ガン! ダチはいきなりダンボールハウスの扉に蹴りを入れ始めた。 蹴りはノックじゃねーよ。 『 早く出て来ねーと、大切なお家が潰れちゃいますよ〜? 』 2人はノリノリだ。 俺の低いテンションから少しでも解放されようと高くしてるように見えるが。 扉が僅かに開き、親実装が顔を覗かせた。 すかさず俺は、持参していた実装リンガルのスイッチを入れる。 「 な…なんデェ…ッ!? 」 見知らぬ男が3人、突然現れたら驚くだろう。 『 10数えるうちに全員出て来い! なお、10数えた後は家ごと踏み潰すんで、好きな方を選びな。 』 「 デ…!ま、待ってデスゥ…!! 」 親実装に考える暇を与えさせないで命令する。 すると中から、1匹づつ仔実装が出てきた。 「 テチュ…… 」 「 な、なんテチ…? 」 1匹、2匹……そして最後の5匹目がダンボールハウスから出てきたわけだが。 『 あ… 』 『 ほぉ…… 』 『 まさか… 』 俺達3人の目は、その最後に出てきた仔実装に釘付けになった。 「 で、ですぅ…… 」 その仔実装は" アレ "だった。 「 ゆ、許してくださいデス! 仔供達は……仔供達だけは助けてくださいデスゥ!! 」 俺達3人に向かい、親実装が仔実装達を背中に隠して、涙を流しながら頭を下げている。 そんな光景は今まで何度も見てきたから、今更大した感慨も無いが……興味は5匹目の仔実装に注がれた。 『 おい、もしかして…? 』 『 あぁ、さっきのは餌付けじゃなくて…だな…… 』 俺は親実装の前に屈みこむと、背中に隠しているアレを見ながら問いかけた。 『 オマエ……そこにいる背の高い仔の親は誰だ? 』 「 そ、それは……デスゥ… 」 『 さっさと答えないと殺すぞ…? 』 親実装が返答に窮しているのが、親が誰かなんて十中八九決まってる。 しかし確証を得るため、問い質す。 五匹目の仔実装は…いや、仔実装と呼ぶに難の有るソレは他の仔実装に比べて背が高い。頭身は高く、手足も長く、瞳は大きい。 明らかに普通の仔実装とは異なる個体。 「 この仔は……ワタシとご主人様の愛の結晶デス… 」 俺達は勘違いをしていたようだ。 さっきの高校生は餌付けじゃなく、恋愛対象である実装石の様子を見に来ていたのだ。 『 …どういうことなんだ?詳しく聞かせろよ。 』 こうなっては逃げることもできず、従うしか無い。 親実装は観念して説明を始めた。 さっきの高校生は前の飼い主だったらしい。 まだ幼い頃、ペットショップにいた親実装は、とある家の少年の誕生日プレゼントとして購入された。 他に兄弟が居なかったらしく、そのためか少年は親実装を家族のように扱った。 親実装は賢い個体であったらしく、少年のパートナーとして、そして家族の一員として育った。 だがある時、両親が外泊した夜……少年は実装石に行為を迫った。 少年は以前から愛情を抱いていたらしい。 俺達3人には到底理解できない心情だが。 そんな飼い主の少年の申し出に、実装石が断りきれる筈も無く……その夜、結ばれてしまった。 そして一度結ばれると、両者は益々愛し合うようになった。 誰も見ていない時を見計らって、少年は実装石を求めた。 実装石も少年に応えた。 しかし蜜月の時は短く……実装石が妊娠してしまうのに時間はかからなかった。 更に両親に実装石との関係が発覚すると、少年は公園へ逃がすことに決めた。 この最も奥深い場所なら、誰にも見つかることが無いと思ったのだろう。 そしてこの親実装は、情が深い奴らしい。 親無しの仔実装達を見つけては連れて来て、自分の仔として育てることにした。 そして少年は時折、食料を持ってきて様子を見に来るようになった。 最愛の実装石と、自分の仔に逢うために。 『 どーしようか… 』 法律上、こいつ等は飼い実装でも何でもないから、今ここで殺しても全く問題は無い。 前にも餌付けされた幸せそうな野良実装をブチ殺したこともある。 しかし……問題は親実装の背中のアレ。 さっきまで高まっていたテンションが、アレを見た瞬間下がってしまった。 こういうのは一度盛り下がると絶望的だ。 だが、それでもダチ2人は前に出た。 『 どけ…! 』 「 ギャッ! 」 とりあえず親実装を横に払い、仔実装達を見下ろす。 『 持ってくのか? 』 『 手ぶらで帰るのは寂しいしな。 』 『 お前には悪いが、やっぱり止められねえよ! 』 「 なにするテチュー! 」 「 ママ、たすけてテチー! 」 2人は嬉々として仔実装を掴まえつつ、袋の中へ放り込んでいった。 「 妹たちになにをするてちゅー! 」 例のアレがダチの足元に来て、他の仔実装達を助けようとしがみつきやがった。 『 一応、コイツも持っていくか。 』 「 てちゃああ! 」 アレを掴みあげると袋の中へ。 『 だな……どうせだから、こっちもな! 』 「 や、やめてデギャ…! 」 転がっていた親実装も掴み上げると、別のゴミ袋の中に放り込む。 『 親の方は、どうでも良いんだけどな…… 後で俺達のことをさっきの奴にチクられると面倒だから口封じだ。 』 『 賛成、たまには親仔で面倒見てやっか♪ 』 一旦火が点くと2人ともノリノリだ。 あっという間にゴミ袋二つの中に親仔実装が6匹。 部屋に帰ってから、どんな虐待メニューにするか心を躍らせてやがる。 『 おいおい……証拠隠滅なら、これも忘れないとな。 』 2人とは逆にテンション低めの俺は、ダンボールハウスを持ち上げた。 "取り扱い注意"の赤いシールの貼られたダンボール。 中には生活用品らしき物が何か入っているようだが、持ち上げるのに苦ではない。 『 そうだな、ソレは適当に途中で捨てておくか。 』 『 他の実装石が拾って使うだろうしな。 』 思いがけない戦利品に足取りの軽くなった2人。 俺もその後を付いて林の外へ。 その辺の実装石へ無造作にダンボールハウスを放り投げて渡すと、駐車場へ向かった。 『 よっこらせ、と。 』 「 チャア! 」 「 ギャッ…! 」 部屋に帰ると、実装石達を袋から巨大水槽の中へ放り込んだ。 多少乱暴かもしれないが、相手は実装石。 気にしない、気にしない。 「 …ワ、ワタシ達をどうするつもりデス…!? 」 『 おい、鍋はどこだー? 』 『 んじゃ、俺は仕込みやるよ。 』 『 ちゃんと手洗えよー。 』 水槽の中で親実装が何か言ってるがお構いなし。 それより、さっきスーパーで買ってきた食材の仕込みが大事だ。 豚肉、野菜、しいたけ、三つ葉……その他色々。 毎週の恒例のせいか、鍋の準備は手馴れていた。 少々、考え事をしてブルーだった俺も、やはり手を動かし始めると楽しい。 『 …よし、そろそろ出来上がりか? 』 『 あぁ、中々の出来だな。 』 1時間も経つと、テーブルの上に置かれた鍋から湯気が立っていた。 今夜は野菜をたんまりと入れた豆乳鍋。 冷えこむ日にはこれに限る。 普通の鍋と違って煮込む時間を長くしないといけないが、またそれも良し。 待ってる時間が長いほど、あとで美味くなる。 俺達3人はテーブル上の鍋を囲んで腰を下ろす。 その待っている間、適当に談笑して過ごした。 ぺしぺしっ! 『 ん…? 』 ぺしぺしっ! 鍋の香りを楽しみながらの談笑を遮る音。 音のする方向……水槽を見ると、親実装がガラスを叩きながら何か訴えている。 『 なんだよ? 』 「 仔供達がお腹を空かせてるデス… 」 『 うっせーな、だまってろ 』 「 な、何か食べ物を… 」 俺は煮えたぎった鍋から、おたまで汁を掬い上げた。 掬い上げた汁を零さないように水槽の方へ持って行き…。 『 おらよ 』 「 デ……ギャアアアアアアア! 」 頭からかぶせてやると、水槽の中でのたうち回りやがる。 「 マ、ママァ!! 」 「 しっかりするテチュ! 」 仔実装達が駆け寄り、頭部を火傷で真っ赤にした親実装を気遣い始めた。 『 これから俺達は楽しいお食事なんだ。 この部屋のお隣はな、毎週末になると女と出かけて誰も居ない、つまりある程度は騒げる。 だがな……それでもお前らが騒ぐとうぜーんだよ。 』 「 ギャ……ァ… 」 聞こえてるのか聞こえてないのか、親実装は呻き声を上げるのみ。 少しは学習したのか、仔実装達も静かになった。 『 おい、どうでも良いけど、食っちまうぞー。 』 『 そろそろ食い時だ。 』 『 お、悪い悪い! 』 ダチに声をかけられて俺も鍋を囲み、豆乳鍋に舌鼓み打ち始めた。 「 テェ… 」 「 テチュ… 」 水槽のガラス越しに仔実装共が、こちらを見ている。 わざと換気扇を動かしてないために、部屋の中に鍋の匂いが充満。 実装石達の食欲を刺激するには十分だ。 『 美味い!こいつは美味すぎるぜ! 』 『 この豚肉最高…!ひょっとして鹿児島の黒豚か!? 』 スーパーの特売で買ってきたブロイラーじゃねーのかよ。 だが、それを目の当たりにさせらている実装石にとってはご馳走に違いない。 そしてダチの2人は、そんな実装石に見せ付けるのが大好きだ。 更に見せ付けると、美味さが増すらしい。 『 食った、食った…! 』 『 やっぱり冷える日はコレに限るよな。 』 『 一週間の疲れが癒えるぜ…。 』 綺麗さっぱり鍋の中を全て食い終えて、食休みタイム。 その場で横になりながら俺達は一服しつつ、豆乳鍋の余韻に浸っていた。 『 ……それで、だ。腹も膨れたところで始めっか? 』 『 悪くないな。久しぶりに腕が鳴るぜ。 』 ダチ2人はノリノリだ。 まぁ、俺1人だけテンション低くて水を差しても2人に申し訳ない。 せめて表面だけでも合わせようと、俺達3人は鍋の片付けにかかった。 15分後。 鍋を片付け、ガラステーブルを部屋の隅へ移動。 その代わりに部屋の中央に敷かれたのはブルーシート、更にその上に新聞紙。 『 …さて、最初のゲストはオマエだ。 』 「 ワ、ワタシをどうするつもりデス…!? 」 新聞紙の上にはさっきの火傷で顔が赤くなっている親実装が1匹。 対する俺達は100円ショップで買ってきた使い捨てレインコート。 なぜ、わざわざ室内でレインコートなんかを着てるか……虐待派なら察しが付くだろう。 『 なぁに、ンなことは分かってるだろ? 』 『 今日はどんな感じで料理してやろうか…。 』 やはり2人はノリノリだ。 腹も膨れたところで軽〜く虐待。 いや、実際は軽くでは無いのだが……とりあえず親実装の方から半殺しにするつもりらしい。 その後でじっくり仔実装の方か。 すると親実装は怯えた表情で、自分を抱くように腕を回し…。 「 や、やっぱり……ワタシの身体が目的だったデス!? 」 『 …ハァ? 』 『 え…? 』 てっきり命乞いするかと思いきや、予想外の言葉に俺達の笑いが止まる。 「 ワタシの身体を自由にしていいのはご主人様だけデス…! ほ、他のニンゲンには指一本触れさせないデス!! ワタシの純潔は……ご、ご主人様だけの物デス…!!! 」 『 …… 』 『 …… 』 ダチは2人とも顔がひきつっていた。 つか、肩が震えてるのが分かる。 その震えわせている原因が、怒りの感情で有るのは目に見えて分かった。 『 ………ククッ 』 『 フフッ… 』 怒りが通り過ぎ、不気味な笑いを浮かべる。 2人は悠々と親実装の元へ近寄り…。 「 こ、来ないでデス! 何をされてもワタシはご主人様だけデス…! オマエ達には屈しないデス…!! 」 『 まぁ、まぁ、興奮するなよ…。 』 『 別に俺達はな、お前を押し倒そうとしたりしないって。 』 「 デ…ェ? 」 確かに押し倒したりはしないだろうな。 押し潰したりはするかもしれんが。 『 それより聞きたいんだけどさ、あのご主人様はなんで今も面倒見てるんだ? 』 『 お前を捨てたんだろ? 』 「 そ、それは違うデス…! 」 親実装は力説した。 今は事情が有り、仕方なく別々に住んでいるだけだと。 ご主人様は学校を卒業したら直ぐに働き、家を出てどこかのアパートに引っ越す。 その後、準備が整えば自分を迎えに来てくれる。 そして親実装と、あの高校生とで幸せな家庭を築く……と。 「 ワタシとご主人様、そしてユウや他の仔達と幸せに暮らすデス! 」 『 " ユウ "…? 』 聞きなれぬ言葉に、俺達3人は顔を見合わせる。 「 ワタシとご主人様の愛の結晶デス…! 」 あー、そういうことか。 水槽の中で今もガラス越しに此方を見ている背の高い仔実装。 アレの名前は" ユウ "って言うのか。 『 …良いこと思いついた。 』 『 なんだ? 』 『 なぁに……。 』 ダチの1人が水槽の方へ……両腕に仔実装達を抱えて戻ってきた。 『 ほらよ。 』 「 マ、ママ〜! 」 「 怖かったテチュ〜! 」 床に降ろしてやると、一斉に親実装の方へ駆けていった。 「 も、もう大丈夫デス…! オマエ達はワタシが守るデス!! 」 足元に来た仔実装達を宥める親実装。 涙を流して再開を喜んでいた…が。 『 そういえばな、どうしてお前って、そんなに仔実装を集めてんだ? 』 「 デ…デェ? 」 『 ひょっとして非常食にするために育ててんのかよ? 』 「 ち、違うデス! 」 親実装は仔達を両腕に抱えながら声を上げた。 「 この仔達はワタシの家族デス! 」 血の繋がっていない4匹の仔実装達。 初めて公園に連れられてきた時、何もかもが初めてだった。 一応、ご主人様が食べ物を持ってきてくれるために餓えることは無かった。 しかし実装石の野良社会は弱者に容赦が無い。 目立たないように自分やユウの服を汚して野良の中へ溶け込み、 今まで無事に生きてきたものの、凄惨な光景を何度も目にしてきた。 成体実装石が1匹死ねば、その仔実装達の運命はほぼ決まる。 他の獰猛な野良実装達に喰われるか、奴隷にされるか。 もしくは無用心に歩いて虐待派に捕まるか…。 ある日、ダンボールハウスの近くの草むらで蹲っている仔実装を見かけた。 服はボロボロで、尚且つ実装石の体液で汚れきっていた。 ( オ、オマエは……こんな所で、どうしたデス? ) ( ママが……ママが死んじゃったテチュ… ) 前日の朝、その仔の親実装が食料を捜しにいったまま、帰って来なかった。 昼になっても、夜になってもダンボールハウスへ帰って来ない。 そしてこの日の朝、仔実装は親のことが気になり、自分だけで外へ探しに行った。 しかし仔実装の足で見つかるはずもない。 更に仔実装1匹だけで出歩くのは自殺行為である。 結局見つからず、住処に帰ってみると待っていたのは凄惨な光景だった。 ( 仔実装の踊り食いデス〜! ) 残してきた姉妹の仔実装達は全て同属達に喰われた。 帰る家を失い、彷徨っているところを、この親実装に助けられた。 「 他の仔達も同じデス…! 今は、このワタシがこの仔達の親デス!! 」 「 ママァ… 」 「 テチュゥ… 」 小さな…小さすぎる手で親実装に縋り付く仔実装達。 『 ——つまり大切な家族、というわけか。 』 ダチの1人が一歩前に出た。 『 ほほぉ……そんなに大切なのか……本当かどうか試してみる必要が有るな? 』 2人は目配せをした。 座っている位置を移動すると、親実装の左右に…。 『 ほ〜れ…しっかり守ってないと、大切な家族が取られちまうぞ〜? 』 『 どこから来るかな〜? 』 「 オ、オマエ達、ワタシから離れては駄目デス…! 」 2人は手を伸ばして親実装の方へ……正確には仔実装に近づいていく。 『 ほれほれ〜、しっかり守ってないと捕まえちまうぞ〜♪ 』 『 こっちかな〜……やっぱりこっちだ〜♪ 』 「 ギャッ!ギャッ!さ、触るなデス〜!! 」 交互に仔実装達へダチ2人の手が伸びていく…。 2人とも簡単に捕まえる気は無く、わざと手間取っているように見せかけている。 親実装の手の届かない仔へ…また別の仔へ。 捕らえる寸前になっては、手を引っ込め……また別の手が別方向から近寄る。 涙を流しながら、必死になって仔実装達を守る親実装。 しかし仔実装5匹、全てを守るのに親実装の手は二本しかない。 あの仔を守ろうとすれば、別の仔を守れない。 対してダチ2人の手は前後左右、どこからでも伸びてくる。 どれも大切な仔……1匹とて捕まるわけにはいかない。 そんな哀れな様を、2人はニヤニヤ笑みを浮かべつつ、手を伸ばして弄んでいた。 『 つ〜かまえたっ♪ 』 「 チャアア! 」 親実装の手から零れてしまった仔を1匹、ダチが持ち上げた。 「 ギャ、ギャアアア!その仔を返すデスゥゥ!! 」 『 いいのか〜?別の仔を貰っちまうぞ〜? 』 持ち上げられた仔に手を伸ばそうとした親実装。 だが、そうしては手元にいる4匹の仔を守りきれない。 「 そ、そ、その仔は駄目デス!その仔は大切な仔デスゥゥ!! 」 親実装は、仕方なく手元の4匹を抱えて訴えている。 「 ママァ〜!ママァ〜! 」 「 この仔は、賢くて優しい仔デス…! 絶対にニンゲンさん達に迷惑をかけないデス…デスから見逃してデス…!! 」 ダチの手の中でもがく仔実装と、泣き叫んで訴える親実装。 『 …良いな。 』 『 あぁ、この瞬間のために生きてるな。 』 そんな親仔のリアクションに、ダチ2人は恍惚とした表情を浮かべていた。 あいつ等、根っからの虐待派だからなー。 一方俺といえばグラスに酒を注ぎつつ、チビチビと飲っていた。 「 ほいじゃ、ま…最初はオーソドックスに行くか♪ 」 ( ブチッ ) 「 テ……チャアアアア!! 」 山口式リボルテックの間接を外すより軽く、仔実装の腕を引き千切った。 「 ママァ、助けテチュアアア!!痛い、痛いテチュウゥゥゥゥ!! 」 ( ブチッ…ブチッ… ) 四肢を引き千切られる度に、仔実装は悲鳴を上げて親実装に助けを求めた。 「 止めるデス!止めるデスゥゥ! その仔は何も悪いことをしてないデスゥゥゥ!!! 」 身体をバラバラにされていき、親に助けを求める仔実装。 手を伸ばして、仔を助けようと必死に懇願する親実装。 何度も見慣れた光景……だったのだが。 親実装の手を抜けて、仔実装が1匹前に飛び出した。 「 ニンゲンさん、その仔を許して欲しいてちゅ〜! 」 あの半端実装石だ。 名前は……えーっと、何だっけ。 それはともかく、アレはかなり珍しいリアクションをしてくれた。 こういう場合、仔実装からも何か叫ぶことは多い。 たまに、親の手を抜けて俺達に突っかかってくるバカな仔実装もいる。 しかし、アレの反応は今までとは違っていた。 「 お願いてちゅ、お願いてちゅ〜! 」 仔実装をバラバラにしているダチの傍で、アレはペコペコと頭を下げていた。 一心不乱に、姉妹を助けようとしていたのだ。 『 お前ばっかり楽しむなよ〜、次は俺な。 』 「 チャアアッ! 」 振り返ると、もう1人のダチが素早く別の仔を親実装から奪っていた。 「 ギャッ…!もう止めてデス〜!! 」 「 その仔も返しててちゅ〜! 」 泣き叫ぶ親実装と、反転してダチの方へ駆けていくアレ。 「 やめててちゅ……もう…やめてくださいてちゅ… 」 ダチの足にすがりつき、許しを請う半端な実装石。 『 よぉ〜し、んじゃ久しぶりに貫通式と行くか〜! 』 『 おいおい、仔実装にかよ〜、お前って外道だな〜♪ 』 するとダチは100円ショップの袋からスポイドのような物を取り出し…仔実装のパンツをずり下げて…。 『 ほれっ…♪ 』 「 チュァッ…! 」 スポイドのような物の先を強引に仔実装の総排泄孔へねじり込んだ。 産まれて初めての異物挿入に、仔実装はビクンッと身体を大きく震わせる。 「 マ、ママ〜!お姉チャン、たすけてテチュ…! 」 首を横に振り、イヤイヤをする仔実装……そこで、ダチがスポイドの腹を押し潰した。 「 つ、冷たいテチュ…な、何かお腹に………チャアアアアアアア!!!! 」 仔実装は背中を逸らして、狂ったように手の中でもがいていた。 「 お、お腹が…!お腹が熱いテチュ!!焼けちゃうテチュウウウ!!! 」 ダチが仔実装の中へ捻じ込んだのは瞬間接着剤。 最近の100円ショップには、そんなものまであるのか…と離れた場所から感心する。 『 お前一匹に、105円も使うんだ……光栄に思うんだな…♪ 』 「 チュアッ!やめてテチュ…ァアアア! 」 抜き出された瞬間接着剤を続いて手に、足に……次々と熱を生じつつ固まっていく。 先までもがいていた仔実装は、徐々に動きが鈍くなってきて…。 『 そぉ〜れ♪ 』 「 や、やめ…チュブ! 」 口の中へ強引に押し込み、中へ瞬間接着剤を注入。 「 〜っ!ュ〜!! 」 口の中が固まり、声を出せなくなった仔実装……だが、更にチューブの先は離れず…。 『 今度はココだぜ♪ 』 「 〜っ!! 」 片方の鼻の穴へたらした。 僅か数秒で固まり、当然だがそこからは息ができない。 「 っ〜!っ〜! 」 片方しか無い鼻の穴で、必死に息をしようとする仔実装。 どうにかしようにも手足は既に固まって満足に動かすこともできず…。 『 …フィニッシュ♪ 』 「 〜〜!! 」 もう片方の鼻の穴まで接着剤で塞がれては、遂に息をすることも不可能。 首をブンブンと横に振り、涙を流し、親実装の方を見ながら目で助けを求めて…。 「 〜!…〜〜!…………っ……。 」 仔実装は苦悶の表情を浮かべつつ、白目を向き……暫くすると動かなくなった。 『 この表情、最高だぜ! 』 『 あぁ、心が洗われるな…! 』 2人はノリノリだ。 『 ったく、よくやるぜ……ン? 』 そんな光景を酒の肴にしている俺の近くに、例のアレが近寄ってきた。 「 助けててちゅ! 」 『 あ〜、何をだ? 』 「 わたちの家族を助けてくださいてちゅ…! 」 続いて別の仔実装が捕まり……また別の仔実装も捕まって。 親実装は必死になってダチ2人から仔実装達を取り戻そうと泣き叫んでいる。 『 なんで、この俺が、んなことせにゃいかんのだ? 』 「 おねがいてちゅ、おねがいてちゅ…! 」 半端実装は、胡坐をかいて座っている俺の脚にすがりつつ、頭を下げている。 何度も何度も頭を下げていた。 涙を流しながら頭を下げていた。 『 …っせーな。 』 「 てちゅ…! 」 一瞥しただけで、俺は再びグラスを口元に。 良い感じで酔いが回ってきた……実に良い気分だ。 そして俺は半端仔実装を持ち上げると、ダチ2人に見せ付けた。 『 お前ら〜、コイツがな、刺激が足りないってよ! 』 『 なに〜!? 』 『 なんだと!? 』 『 手ぬるいから、もっと凄い虐待を見せろってさ。 』 「 そ、そんなこと言ってないてちゅ〜! 」 『 ちっ……仕方無えな〜! 』 『 俺はまだ、本気になっちゃいないんだぜ〜! 』 半端実装にリクエストされ、更にダチの2人はテンションが上がった。 仔実装は1匹、更に1匹、ダチ2人によって様々な趣向を凝らした責めによって、 どいつもこいつも苦しみぬいて死んでいった。 親実装は土下座し、仔実装を殺さないように涙を流しながら懇願する。 仔実装の体液が飛び散った新聞紙に頭をこすりつけながら許しを請う。 しかし、そんな親実装の姿すら、俺達には楽しみにしかならない。 『 …これで仔実装は終わりか。 』 「 ギャ……ギャアアア!ワタシの…ワタシの仔達が…! 」 既に肉塊っていうか、正真正銘の生ゴミになった仔実装達。 そして半端仔実装以外、全て遊び終えると、2人のターゲットは親実装に変わった。 『 コイツはどうしようかな〜♪ 』 『 そうだ、アレを久しぶりにやってみないか? 』 『 よしっ!んじゃ、明日の朝飯を賭けてやるか!! 』 取り抑えられる親実装。 再び100円ショップの中から取り出されたのは、刃の大きなカッター。 『 最初は5回づつな♪ 』 『 おっけー♪ 』 「 な、何をする…デギャアアアア! 」 カッターを持ったダチの手が振り下ろされる……同時に響く親実装の悲鳴。 ざっくりと左腕が深々と切られ、骨が露出していた。 『 そぉれ、あと4回♪3回…2回…♪ 』 「 ギャアア!やめてギャアア!! 」 腹、右足、背中……そして腹部の計5箇所を切り裂いた。 『 よし、俺のターンだ! 』 「 ギャッ!そ、そっちもダメ…ギャアア!! 」 もう1人のダチも親実装の身体を5箇所切り裂いていく。 そして一周目が終わり、二周目が始まる。 『 次は俺のターン! モンスターカード、ドロー!(1回目切り裂き) モンスターカード、ドロー!(2回目切り裂き) まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ! モンスターカード、ドロー!(3回目切り裂き) モンスターカード……! 』 「 ギャア!ギャアア!ギャアアア…… 」 再び切り裂き始めるダチ。 ノリノリだなぁ……どーでもいいが、なんつー掛け声だよ。 つまりこのゲーム、交互に実装石を切り刻んでいき、死んだターンの奴が負け。 最初の五回が終えると、更に五回切り裂き。 そして、3周目のターンからは3回切り裂きに変更。 実装石を苦しませつつ、簡単には死なせず、更に明日の朝食の賭け。 一石三鳥とは、まさにこのことだよな。 「 ママを…!ママを助けててちゅ〜! 」 俺の脚の近くで何かが騒いでいる。 『 ふぁ〜あ… 』 ホロ酔い加減の俺はレインコートを脱ぐと、騒いでいる半端仔実装を掴んだ。 そのまま、さっきまでいた水槽の中へ適当に放り投げる。 「 ちゃあっ…! 」 『 うるせーんだよ……俺は一眠りするか…。 』 シートの覆われていない部屋の空スペースへ横になりつつ、半開きの目で親実装の最後を見ていた。 『 やるな〜? 』 『 お前には負けんよ…! 』 「 ギャ……もう………や、やめ……デェ… 」 ターンが進むに連れ、親実装の四肢は身体から引き離され…言葉が少なくなってきた。 カッターの刃で肉を削がれ…内臓さえも寸断され……時折痙攣するのみ。 そして、その痙攣さえも少なくなってきたのが見えて……そこで俺の意識が飛んだ。 『 ……ン 』 ふと目が覚めると、部屋の中は真っ暗だった。 ダチの2人は寝る前にしっかりと片付けをしたらしい。 実装石達の体液た飛び散った新聞紙は綺麗に片付けられており、 一番下のブルーシートもしっかりと折り畳みこまれていた。 台所の方にゴミ袋が見える。 おそらく、あの中に実装石どもの死体っていうか生ゴミが入っているのだろう。 ダチ2人はあの後に飲んだらしく、テーブルの上にグラスが置かれていた。 さて、ゲームはどちらが勝ったのやら……そんなことを考えつつ、 立ち上がってトイレの方へ小用を足しに行った。 「 てぇえん……てぇぇん……… 」 『 ん? 』 声のする方を見ると水槽。 例の半端仔実装が水槽の中で泣いているのが見えた。 『 あぁ、そっか……何も喰ってなかったんだな。 』 俺は台所に置いてあった食パンを一枚取り出すと、水槽の中へ放り込んだ。 そういえば、ダチ2人もコイツには手を出さなかったんだな…。 「 そんなものより……そんなものより、わたちの家族を返しててちゅ…! 」 与えられたパンに手をつけようともせず、半端実装が声を荒げる。 涙を流しながら、水槽のガラスに手をつき、俺に訴えてきた。 『 …安心しろ、俺達はお前を殺すつもりはないから。 』 実際、俺達はアレを殺したりしたことは無い。 実装石ならともかく、アレは人間の血も混じっている。 忌々しいが、半分は俺達人間と同じであり……だからこそダチ2人も見逃したのだろう。 「 なんで……なんで、こんな酷いことをするてちゅ… 」 『 …何だって? 』 「 なんでわたち達が、こんな目にあうてちゅ…! 」 トイレ前に足を止め、何となく気紛れで半端者の言葉に耳を傾けていた。 『 そりゃな、仕方ない。 』 「 なにが、なにが仕方ないてちゅ…!? 」 『 だって、お前たちは実装石だしな 』 「 てぇ…!? 」 半端者が水槽の中から驚いた顔で俺を見上げていた。 『 正確にはお前は実装石じゃないけどな〜、実装石は殺されても仕方ない 』 「 なぜてちゅ…!なにが仕方ないてちゅ…!? 」 尚も食い下がる半端仔実装に、俺は面倒臭くなってきて適当に応えてやった。 『 理由なんか無えよ。 強いて言えば実装石は狩られる側、人間は狩る側ってことだ。 』 「 狩られる…狩る……てちゅ? 」 『 そーいうことさ。 これはず〜っと昔から決まってることだ。理由なんか無い。 ただ、普通の狩りと違うのは実装石を狩っても金にはならないってことだな。 あんな生ゴミ、肉もマズイし、毛皮にもならん。 強いて言えば、今日みたいに遊んでやるくらいかな。 でなきゃ、実装石なんて狩る価値も無い。 』 それだけ言い残すと俺はトイレへ。 後ろで半端仔実装が何かを言っていたようだが、気にしない。 『 さて、もう一寝入りするか……ン? 』 トイレから出て、再び寝ようとする俺だったが、水槽の中のアレに気付いた。 「 そんなことないてちゅ… わたち達は……狩られるだけではないてちゅ… 」 だが俺はそれ以上気にせず、適当に座布団を丸めて枕代わりにすると、 近くにあった毛布を掴んで身体に覆いかぶせる。 季節が季節だが、中は暖房が効いていて寒さは感じない。 再びまどろみの中へ……眠りの底へ沈んでいく。 「 狩られるだけじゃ……無いてちゅ…! 」 薄れ行く意識の中、無力な半端仔実装の言葉を耳にしつつ、再び俺の意識は遠のいていった
