タイトル:【観】 実装のいる風景7 前編
ファイル:実装のいる風景7 実装大自然 前編.txt
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初投稿日時:2007/07/06-18:44:04修正日時:2007/07/06-18:44:04
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実装のいる風景7
実装大自然 梅の木を巡る実装コスモス 前編


 新聞のテレビ欄を見たら動物番組で実装生物の生態を放送するようだ。

 うちの畑でこの前みかけたクソウジミとやらの名前も出ていた。

 面白そうだったので晩飯の後、息子と居候の実装紅を呼んで見ることにする。

                      
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 春、池のほとりに生える一本の梅があります。

 みずみずしい若葉の柄に何か小さな生き物がくっついています。

 近づいて見てみましょう。

 アブラムシです。アリマキともいいます。

 アブラムシは植物の汁を吸って生きる小さな生き物です。

 そこへ春風にのってタンポポの綿毛のような毛の塊が飛んできました。

 フワフワした緑色の塊が梅の枝にひっかかります。

 これはクソウジミという実装生物の成蟲です。


 クソウジミは、人間に飼われることを諦め、新しい扶養先を求めた実装石の進化した姿です。

 クソウジミは夏から秋、クロヤマアリの巣で暮らしています。

 クソウジミの幼蟲は全長約8ミリ、小さくした蛆実装そのものの形をしています。

 アリの幼虫に擬態して、アリからエサをもらったり、身の回りの世話をしてもらいます。


 「アリさん ゴハンちょうだいレフー」

 「ウジちゃんウンチでるレフー」

 「アリさん プニプニしてレフー」

 「ウジちゃんゴハン食べたらおネむレフー」

 「アリさん いっぱいウンチでたからおそうじしてレフー」

 「ウジちゃんプニプニされたらウンチでるレフー」


 クソウジミの幼蟲はアリの巣の中で三食プニプニ付きの喰っちゃ寝生活をしています。

 世話をさせられる働きアリは大変です。

 食い扶持を稼がない宿六を置いていて巣の家計は大丈夫なんでしょうか?

 実はそれほど問題にならないようです。

 アリはコロニーの規模が充分大きければこういった居候を養う余裕があります。

 快適なアリの巣に寄生する生物はもともとクソウジミだけではありません。

 特にシジミと呼ばれる蝶の仲間は幼虫の時にアリの巣で生活するものが多く知られています。

 クロシジミと呼ばれる蝶の幼虫はアリが与える餌と引き換えに甘い汁を出して交換します。

 これは典型的な相利共生です。

 しかしゴマシジミという蝶の幼虫はそうではありません。

 なんとアリの巣にいるアリの幼虫をムシャムシャ食べてしまいます。

 酷い虫もいるものですね。


 そのゴマシジミの幼虫とクソウジミの幼蟲がアリの巣で鉢合わせてしまいました。


 「レフ? おっきなイモムシさんがきたレフ?」

 「ここはウジちゃんのおうちレフッ フシンシャは出ていけレフッ」

 「フホーシンニューはハンザイレフ 自宅ケービ員のウジちゃんが許さないレフ」

 「ウジちゃんに手を出したらアリさんがだまってないレフッン おとなしくトーコーするレフ」

 「おや、イモムシさん プニプニしてくれるレフか? 媚びたって無駄レフが素直でよろしいレフ」

 「さっさとウジちゃんにプニプニするがいいレフ ウンチもなめるレ ビ ャ ァ ア ア アアーーーッ!」

 「いなおりゴートーレフッ! アリさんたすけてレフーー!」

 「アリさんがくればお前なんかミートボ−ルレフッ 今日のゴハンはお前レフッ」

 「アリさん早くきてレフーー! こっちくんなあっちいけレヒャーァア ア ア ァ ァ ァ・・・」

 「なんで助けにきてくれないレフ? このままじゃウジちゃんも食べられちゃうレフー」

 「レェェェーーン ウジちゃんを食べないでぇぇレピャァァァアアアン!」
 
 「ゴハンにされるのイヤレフーーッ イモムシさん許してレフ イヤレフッイヤ レ フ ゛ ュ ッ!!」

 「レ レ レ…  み、みんな食べられちゃったレ… レ・・ ギャァァアァーー!」


 最近の研究によると、クロヤマアリに対するクソウジミの擬態効果は完全ではないことが報告されています。

 クソウジミの幼蟲は巣の上層にまとめ飼いされることが多く、その扱いも本物の幼虫とは明らかに異なっています。

 幼虫を狙うゴマシジミやドレイ狩りをするサムライアリへのオトリとして飼っているのではないかという説もあります。



 冬、周囲の温度が下がり始めるとクソウジミは繭を作って蛹になります。


 「寒くなってきたレフ」

 「レフュレフュ なんだか眠いレフ」
 
 「レフ? オトモダチがあったかそうになってるレフ」

 「ウジちゃんもおフトン欲しいレフ」

 「鼻から糸がでてきたレフ コロコロしたらあったかいレフ」

 「ホントレフッ ウジちゃんもコロコロするレフッ」

 「あったかくなったらもっと眠たくなったレフ」

 「レフュレフュおやすみなさいレフー」


 アリの巣の中は外界と比べると極めて快適で安全な世界です。

 そのためクロヤマアリに育てられたクソウジミの幼蟲はそのほとんどが蛹になることができるようです。

 


 春、温かくなってアリが巣から出てきました。

 クソウジミはこの時期に蛹の殻を破って成蟲になります。

 大きさはおおよそ1.5センチくらい。

 見た目は毛むくじゃらの蛆実装です。

 幼蟲だったころ、クソウジミはアリの幼虫に似せたにおいを出してアリを騙していました。

 でも成蟲になると、もうそのにおいを出せません。

 繭に残った幼蟲の時の服の切れ端を毛につけて、一目散に巣から逃げ出そうとします。

 においはかなり薄れているので、通りがかりのアリが不審そうに触角で突っついてきます。

 モタモタしていたら巣に忍び込んだ外敵と認識されてしまいます。

 何匹かまとまっているのは、服のにおいを少しでも強めようとしているのでしょうか。

 みんなアリの巣から早く脱走しようと必死です。


 「出口どこレフー?」

 「そろそろやばいレフ アリさんがツンツンしてくるレフ」

 「あ、あやしいものじゃないレフッ ただのウジちゃんレフ〜ン」
 
 「はやくこっから逃げるレフー でないと年貢を納めさせられちゃうレフー」

 「レフッ! あそこから光がみえるレフ」

 「やったレフ これであかるいミライへレッフごーレフ」

 「おしりジャマレフ はやくいけレフ」

 「レフッ?! アリさんがいっぱいこっちくるレフ?」

 「レフーーッ! はやく逃げなきゃ捕まっちゃうレフーーッ!」


 なんとか巣の出口をくぐりました。

 でもその後ろからクロヤマアリが追いかけてきました。

 どうやら幼蟲の時の服の切れ端に残ったにおいが切れてしまったようです。


 なんだかアリの顔を見ると

 「ぜ っ た い に 許 さ な い よ」

 といってるみたいに見えます。


 ほーら

 早く逃げないとアリさんにつかっまちゃうぞー

 あらあら

 何匹か捕まってしまいました。


 「アリさん アリさーーん 見逃してレフーーッ」

 「おケケとっちゃダメレフ かじっちゃイヤレフ イタイレフ イタイレフ」 

 「蛆ん権侵害レフーッ 全ての蛆ちゃんには健康で文化的な生活が保証されてるはずレフーッ!」

 「アリさん家賃滞納は許してレフーン お願いだから食べないでレフーー!」 

 「レェェェーーン せっかくオトナになったのにーー 死ぬのイヤレフー!」


 捕まったクソウジミはクロヤマアリにズタズタに引き裂かれてしまいました。



                       ●


                                 『ちょっと待つデスーー!』


                      でましたね。当番組のマスコット不思議キャラ、デス婆ァ。


 『そうデス 高貴で美しく市場最高のニクシツを誇るワタシが“デスバー”デス カッコイイ名前デシょ』


            そうですね。ところでニクシツって意味わかってます?


                『豊満な肉体美ってことデシょ』


          いいですけど。ところでなにか質問があるんですかデス婆ァ?


                         『どうしてこんなムダなことをするんデス?』

          『賢いワタシならずっと幼蟲のままでいて、ずっとアリさんに養ってもらうデス』
 
                    『左団扇に右扇風機 上から下からエアコン生活デッスー』

                   『そんなことも思いつかないなんてノーミソ足りないデスゥ』

 
             もしもアリの巣でクソウジミが繁殖してどんどん増えたらどうなるでしょう。

                    増えたクソウジミがアリの巣を食いつぶしてしまいます。

             そしてクソウジミ自身も飢え死にしてしまいます。

      カオス変異した実装石からクソウジミへの過渡期にはそういう個体も出現しました。

      しかし個体として寄生生活に満足できても、独立した種としては長持ちできません。

            寄生先であるアリを巻き込んで自滅してしまうのです。


         『なら別のアリの巣に歩いていけばいいデスゥ ワタシって頭いいデスゥ』


    蛆実装より小さくて無力でノロマな生き物が、他のアリの巣を捜し歩いて無事たどり着けるとでも?


          『アリに運ばせればいいデス もっとふさわしい家を紹介させるデス』


         アリは社会性昆虫で他の巣のアリとはにおいで所属を区別しています。

         アリは他の巣のアリが近づいてくれば巣を守ろうと攻撃してきます。

   他の巣のメンバーのにおいが強くついていればクソウジミも敵として認識されてしまいます。

    ためしに他の巣から持ってきたクソウジミの幼蟲を別の巣の入り口の近くに置いてみます。


     「レェェェーーン イタイレフはなしてレフッ 兵隊アリさんいじめないでレフー」

       「かよわいウジちゃんになにするレフッ?! これは幼蛆虐待レフーー!」

          「女王さまにいいつけるレフーーッ! レピャァァァーーン!」

         「戦争はんたーいレフ 軍隊はもっちゃいけないんレギャーーー!」


              ほらね。襲われてお肉にされてしまいました。

          体を小さくし、アリに扶養してもらうことを望んだクソウジミ。

      実装石のカオス属性によって出現した実装生物の多くは短期間で絶滅しました。

            その原因のほとんどは大量増殖の果ての自滅です。

            しかしこのクソウジミはなんとか生き残っています。

         世代交代の際に新たな寄生先を求めて放浪するという生存戦略。

      クソウジミは寄生先を破滅させないような形に進化し、自然に適応できたのです。

                   わかりましたかデス婆ァ


        『デェ…? きっとウジミだけにジミに生きてるデス なんちてデス』


               ……… わかってないようですね。

         
            アシスタント実蒼のシアンちゃん、今週もおしおきお願い。

                      『ボクー』
                   『デシ゛ャーーー!』
 

                       ●



 足の遅い個体がアリになぶり殺しにされている間に、他のクソウジミ達は遠くへ逃げることができました。


 「レフッ レフッ ここまでくればもうダイジョウブレフ〜」

 「こわかったレフ 前髪ヒトエだったレフー」

 「どんガメちゃんが喰われてくれて助かったレフー」

 「セーゾンキョーソーはきびしいのレフ」


 逃げ出せたクソウジミ達がせっせと草の上によじ登ります。

 クソウジミが草の茎の高いところで踏ん張ると、全身の毛がだんだん長くなってきます。

 ピンポン玉くらいの緑色のフワフワした塊になりました。

 すると春の強い風が綿毛のような毛を持つクソウジミ達を空高く吹き飛ばしました。


 「たかいたかいレフーー」

 「じめんがあんなに下にあるレフーーー」

 「みんなサヨナラレフーーーーーーーーーゥ」

 「またどっかであおうレフーーーーーーゥ」


 こうしてクソウジミは風に運をまかせて新天地へと旅立つのです。

 しかしその旅路は決して楽なものではありません。


 「レプーッ!レップレップ 溺れちゃうレフー沈んじゃうレフー死んじゃうレフーッ」

 「レェーーンレェーーン 泥だらけになっちゃったレフーーン おケケ張りついてキモチわるいレフー」

 「レレッ?! ネバネバの糸に引っかかっちゃったレフ だれか外してレフーー」


 多くのクソウジミは水面や何もない地面に落ちてしまいます。

 何かにひっかかっても、そこがアブラムシのいるところとは限りません。

 運の良い個体だけがこの梅の木のようなアブラムシのいる場所にたどり着くのです。


 「アブラムシさんレフ また会えてうれしいレフ」


 植物の汁を吸うアブラムシは刺激を受けるとお尻から甘い汁を排泄します。

 クソウジミの幼蟲は卵から孵ったばかりの時にはアブラムシが排泄するこの汁を養分にして生きるのです。

 だからクソウジミは幼蟲のエサになるアブラムシがいる場所に必ず卵を産まなければなりません。


 「昔みたいに甘いジュースもらうレフ アマアマジル久しぶりレフ〜」


 確実な産卵場所をどうやって選ぶのか。 

 その答えは簡単です。成蟲がアブラムシの汁を飲んだ場所です。


 「なんかおなかイタイタレフ? ピーピーするレフッ? どうしてレフ?!」


 クソウジミの成蟲は幼蟲だったころに飲んだ甘いアブラムシの汁を覚えていて欲しがります。

 しかし成蟲がこれを飲むと胃に入った糖分が引きがねになって産卵が始まります。


 「レェェ……… オ ナ カ イ タイ レ ウ ンチ ト… マンナ イ レフ……」 


 幼蟲の時に糞袋だったところは成蟲になると卵嚢になります。

 卵嚢につまった卵は粘性の強い液体と共に体内から出てきます。

 そして卵塊になって樹に張りつきます。

 偽石の限界まで卵を産みつくした成蟲はこのまま死んでしまいます。


 「レェ… オハナバタケ… … ミン ナ… マ タ ア… エタ… 」


 残された卵はアリマキの数が爆発的に増える時期までここで孵化のときを待ちます。

 暖かな春の日差しの中、こうしてクソウジミは命をつないでいくのです。





−−  実装大自然 梅の木を巡る実装コスモス 後編 につづく  −−



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