タイトル:【塩】 反逆(一期一会より転載)
ファイル:塩保管スク[jsc0123.txt]
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:539 レス数:2
初投稿日時:2006/10/20-01:01:48修正日時:2006/10/20-01:01:48
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このスクは[実装石虐待補完庫(塩保)]に保管されていたものです。
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   反逆 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 利明はどこにでもいる虐待派。 近所の大きな公園から野良実装を連れて帰っては、自分のアパートの部屋で虐待していた。 しかし、この数ヶ月は就職活動が忙しく、実装石に構えないでいた。 内定は一つも貰えず、長い夏休みがもらえたので、 今日は久しぶりに実装石虐待をやろうと息巻いて公園にやってきた。 だが・・・ 「・・・なんでこんなに減ってんの?」 公園の野良実装の数は激減していた。 あたりに散らばる野良実装の死骸とダンボールハウスの残骸。 数ヶ月前の喧騒が嘘のようである。 人間がやってくるたび、デスデスとうるさい野良実装たちが寄ってきたのに。 やつれた様子の野良実装を一匹捕まえ、詳しい事情を聞いてみる。 「毎日のように飼い実蒼が狩りに来るんデス。それも三匹もいるデスゥ・・・。」 「飼い実蒼だと?」 実蒼石は、実装石よりも賢く、美しく、強く、礼儀正しい為、ペットとして非常に人気が高い。 また、実装石を狩る者という特性を有している為、実装石駆除にも役立っている。 現に、利明の住む虹裏市では、「蒼聖姫(そうせいき)」なる実装石駆除部隊を設置する案があるらしい。 実蒼石を褒め称えると同時に、「野良実装のいない綺麗な街を創造する」という意味のチーム名だ。 野良実装の話を聞くと、近所の人間が買っている飼い実蒼が、毎日のように公園の野良実装を狩りに来るという。 虐待派による虐待とは違い、公園に住む害獣を駆除するという大義名分があるため、誰も止める者がいないのだ。 そういえば、この付近に住む若い金持ちが三匹の高級実蒼石を飼っていると聞いた気がする。 それにしても、毎日のように野良実装を狩りに来るとは異常である。 おそらく、飼い主は野良実装を狩る自分の飼い実蒼石の姿を溺愛し、ギャラリーから得られる歓声に酔いしれているのだろう。 おかげで野良実装の数は激減してしまった。 利明は自分の獲物を勝手に奪われたのだ。 利明は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の実蒼石を除かなければならぬと決意した。 しかし、利明が直接飼い実蒼を殺して捕まった場合、本当に人生が終わってしまう。 利明自身が手を下すのは、あまりにリスキーだった。 「おい。」 「デ?」 「俺がアイデアと道具を授けてやる。それでお前らは奴等を殺せ。」 「ほ、本当デス!?」 「ああ。今すぐ仲間を集めて来い。できれば賢い奴をな。」 「わかったデス!」 飼い実蒼を殺すのはあくまで野良実装。 利明はサポートに回る。 これが利明に出来る限界ラインであった。 ここに、利明と野良実装の同盟が成立した。 それは、人間界と実装界の社会的最下級戦士の同盟であり、 それぞれの世界の「上」への反逆であった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「さあ、糞蟲たちを狩っておいで。」 「「「はい、マスター!」」」 利明が野良実装たちに道具と策を与えた二日後の午後、公園に件の実蒼石と飼い主がやってきた。 利明は敵の様子を観察してみる事にした。 まだ二十代の青年である飼い主、蒼崎零而(あおざきれいじ)は、 親から莫大な遺産と「ブルーフェイト(Blue fate)」という会社を受け継いだで男あり、 多額の資産を運用するデイトレーダーでもある。 今日は数億円単位の利益が出ることを確信していた。 仕事の傍ら、愛する実蒼石を使って、近所の公園の野良実装を狩る事を趣味としていた。 実蒼石の強さと美しさをアピールできると同時に、 公園に巣食う害獣・実装石を駆除できる至高の喜びであった。 零而の三匹の実蒼石の名は、それぞれ「サファイア」、「スカイ」、「マリン」という。 彼女たちの装備は普通ではない。 ハサミはローゼン社製の特殊合金で出来たオーダーメイド品「ブラウ・トート(ドイツ語で『蒼き死神』の意)」であり、 何万匹もの野良実装を斬っても刃こぼれ一つしない。 その上、通常のハサミよりも遥かに軽く、切れ味は従来の四倍である。 なお、このハサミで野良実装を切断するとき、ハサミが蒼く光る。 余剰パワーがハサミの関節部から光の形で放射し、発光現象を見せるのである。 「行け!」 零而の命令で公園に散っていく三匹の実蒼石。 野良実装との間合いをあっという間に詰め、ハサミで切断していく。 「マリン! スカイ! 誰が一番実装石を狩れるか勝負ボク!」 「いい度胸ボク。ボクのスピードに勝てるボク?」 「公園を守る為に頑張るボク!」 公園の平和、ひいては人間に尽くすという大義名分のもと、三匹の実蒼石は次々と野良実装を狩っていった。 成体はもちろん、仔や蛆でさえも鋭利なハサミで次々と殺害していく。 逃げる者、命乞いをする者、小奇麗で分別のありそうな者にも容赦はしない。 蒼い閃光が走るたび、野良実装たちの命の火が消えていった。 実蒼石たちは、自分たちの行動が正義であると疑っていないようだった。 利明の予想通り、実蒼石の飼い主は自分のペットたちの活躍に酔いしれていた。 その表情は不快極まるものだった。 実装シリーズの虐待はよくないと一般人は言う。 特に、人に飼われている者には手を出すなと。 だが、目の前の実蒼石たちは何なのであろう。 人間により与えられた力で、一方的に無抵抗な野良実装を狩っていく。 野良実装はただ生きていたいだけなのに。 これは虐殺ではないのだろうか。 そして、激減した野良実装。 虐待派に言わせれば、野良実装の命までもが自分たちの所有物なのだ。 ならば、野良実装を多少アシストしたところで文句を言われる筋合いは無かろう。 人の手を借りた実装シリーズ同士の殺し合い。 これは同じステージでの戦いであり、まして、仕掛けてきたのは零而と実蒼石たちの方なのだ。 たまたま通りかかった女の子が、野良実装の無残な死体を見て泣いていた。 母親が「見てはいけません」といった感じで娘の手を引いて立ち去っていった。 よくよく見れば、公園から消えていたのは野良実装だけではない。 人の姿までも消えていた。 あまりに残酷な光景が繰り返されていた為、人までも減っていたのだ。 最早、公園は実蒼石と零而だけのスペースとなっていた。 ギャラリーは決して喜んでいたわけではないらしい。 一般人にとっても、この実蒼石と飼い主は邪魔になっているはずだ。 「勝負だ青蟲ども・・・。」 決戦の火蓋は切って落とされた。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 三十分ほどすると、零而とサファイアたちの野良実装狩りは終わった。 あたりに散らばる野良実装たちの死体。 だが、利明と同盟を結んだ野良実装たちは健在のはずだ。 そうとは知らず、零而たちは勝利の栄光に浸っていた。 「マスター、任務完了ボク。」 「ご苦労。お前たちならば『蒼聖姫』でも主役を張れるだろう。」 「ボク。マスターの会社の宣伝にもなるボク。」 「その通りだ。さあ、早く家に帰ろう。可愛がってやる。」 「ボク! ボクゥ!」 ヒュ〜〜  べチャッ・・・ 「あ?」 零而たちが帰ろうとしたとき、零而たちの背後から何かが飛んでくる音がした。 振り返ってみると、そこには地面に落ちた緑の糞と、それを投げたらしい一匹の野良実装がいた。 糞は直撃こそしなかったが、それは明らかな挑発の意図を持っていた。 「マスター。」 「ああ、はやく片付けて来い。ここで待ってる。」 「了解ボク。」 野良実装に向かって突進する三匹。 その迫力に押されたのか、野良実装は踵を返して逃げ始めた。 普通ならあっという間に縮まる間合いだが、その野良実装の足は速く、なかなか距離が縮まらない。 零而からも見えない所まで移動した翠と蒼の生物。 その野良実装は利明にドーピング注射され、一時的にパワーアップしていたのだ。 だが、いかんせん知能が低いのか、逃げ場の無いはずの公衆トイレに駆け込んだ。 トイレは当然行き止まりであり、野良実装は追い詰められてしまった。 壁を背にし、入り口から堂々と入ってくる三匹を見つめるだけである。 「糞蟲のくせに手こずらせてくれたボク。」 「床が水浸しボク。よくもこんな汚い場所に逃げ込んでくれたボク。」 「観念するボク!」 じりじりと迫り来る三匹。 拷問しながら殺すつもりだろう。 だが、追い詰められているにも拘わらず、野良実装は少しも慌てていなかった。 「デプププ・・・観念するのはお前達デス。」 野良実装の余裕の表情に違和感を感じ、何者かの気配を感じて三匹が背後を振り向いたとき、 トイレの入り口には床にスタンガンを押し付けた別の野良実装がいた。 スタンガンはデスゥタンガンのような実装シリーズ用のおもちゃではない。 改造を加えられた人間用のスタンガンである。 利明に遣い方を教えてもらい、数匹で協力すれば、何とか使いこなせるのだ。 三匹が飛び掛る間もなく、スタンガンのスイッチが入れられる。 バチバチバチィ!! 「ボボボボボボボボボ!!!」 「デデデデデデデデデ!!!」 猛烈な電流が、床の水を伝って三匹に襲い掛かった。 オトリ役の野良実装ごと感電する三匹。 だが、まだ安心は出来ない。 「鉄砲隊! 前に出るデス!」 低圧ドドンパを飲んだばかりの五匹の野良実装が進み出て、クラウチングスタートの姿勢をとった。 「デジャアアアアア!!!」 野良実装たちが床を蹴ると同時に、床とは水平に噴出する緑色の糞。 その反動で、野良実装たちは緑色の弾丸となって実蒼石たちへと向かっていく。 「ボグゥ!」 「ボベ!」 「ボク!」 鉄砲隊の体当たりを食らって昏倒する三匹の実蒼石。 この機を逃さず、野良実装たちが一気に駆け寄って三匹を捕縛する。 あっさりと勝敗は決した。 後は三匹を処刑するだけである。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「遅い・・・。」 零而はサファイアたちを待っていたが、十分ほど経っても三匹は帰って来なかった。 実蒼石が野良実装に負ける、などとは微塵も考えていなかったが、 さすがにこれだけ待たされると不安になる。 零而は意を決し、サファイアたちと野良実装が向かったほうへ探しに行った。 心配そうな顔でサファイアたちを探し回る零而。 公園を八割がた探索してみたが、サファイアたちは見つからなかった。 その表情からは、いつもの余裕が消えていた。 ようやくサファイアたちのいる場所に近づいたとき、零而は待ち伏せていた利明に話しかけられた。 そ知らぬ顔で零而に話しかける利明。 「あのー もしかして実蒼石をお探しですか?」 「ええ! 何かご存知で!?」 「怪しいオッサンが抱きかかえて連れて行きましたよ。あっちのほう。」 利明は、実蒼石たちがいる公衆トイレとは正反対の方向を指差した。 もちろん、零而に邪魔されない為の真っ赤な嘘だ。 利明に礼さえ言わず、零而は利明の指差したほうへ走っていった。 実装石愛護派による復讐か。 実蒼石愛護派による誘拐か。 零而自身への恨みか。 フィギュア萌え族か。 いくつかの心当たりがあったのかもしれない。 パニックに陥った零而は、利明の嘘に簡単に引っかかってくれた。 しばらくは公園に帰ってこないだろう。 「実装石ども、あとは好きにするがいい。」 利明は、野良実装たちに零而が立ち去った事を告げた。 利明のサポートにより、野良実装たちは安心して実蒼石を処刑できることになった。 加えて、連日の残酷な野良実装狩りのせいで、公園の大きさの割には人は少ない。 零而たちの所業が、野良実装たちの行動に自由を与えてしまったのだ。 まさに自業自得といえよう。 野良実装たちは三つのグループにわかれ、それぞれの処刑場へと向かっていった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「デーースッ!!」 「ボギャッ!」 植え込みに囲まれた小さな森の中、地面に大の字に押さえつけられたマリン。 その右手首に、大きな石が乗せられた。 数匹の野良実装でようやく運べるほどの重い石だ。 それがマリンの手首と足首、合計四箇所に乗せられている。 石の下にあるはずの部位は完全につぶれ、マリンは動く事は出来なくなっていた。 これから野良実装たちによるリンチが始まるのだ。 「さて、これが何かわかるデス?」 マリンを囲む野良実装たちは、白く尖った何かを握っている。 一見ナイフのようだが、ナイフのような人工物ではない。 「さっさと放すボク! マスターが黙ってな・・・!」 ザシュゥ! 野良実装が「白いもの」をマリンの右ふとももに突き刺した。 そこから吹き上がる赤と青の血。 マリンは生まれて初めて「激痛」を感じていた。 「ボ、、ボクゥ!? ボキュアアアア!!!」 「これは骨デス。仲間たちの骨のかけらデス。」 「嘘ボク! 骨はそんなに尖ってないボク!」 「お前たちのおかげデス・・・。ハサミで綺麗に切断してくれたおかげで、切断面が武器になっているデス。」 野良実装の言葉は嘘ではない。 マリンたちのハサミはあまりに切れ味が良かった為に、 斜めに切断された背骨や太ももの骨が槍のようになっているのだ。 「出きるだけ骨をかき集めて来たデス。これを一本一本お前に刺していくデス。」 野良実装たちの背後にあるのは白い骨の山。 おそらく百本ほどであろうか。 仔実装を含めた数十匹の野良実装がマリンに迫る。 皆の手には白い骨が握られている。 恐怖に震えるマリン。 「今なら許してやるボク! ご、ご褒美にコンペイトウもあげるボク!」 「ほざいてろデス。」 マリンの右手に一本の背骨が刺されると同時に、周りの野良実装たちが次々とマリンに骨を刺し始めた。 長く苦しむように、頭や胴体はできるだけ後回しにしておく。 「ワタシの姉は生きながら分解されたデス!」 サク! 「ワタシたちはお前たちのおもちゃじゃないデス!」 グサッ! 「オマエは笑いながら私の仔を殺したデス!」 ざくっ! 「蛆ちゃんの分テチ!」 ビチャッ! 骨を刺されるたびに痙攣し、絶叫するマリン。 だが、野良実装たちの手がとまることは無い。 全ての骨を刺し終えると、今度は骨を抜いていった。 一応は仲間たちの遺骨。 これから始まる「処刑」で穢されてはならないのだ。 「ボ、ボクゥ〜・・・。」 何とか逃げ出そうとするマリン。 骨の雨を喰らい、既に両手足は醜く千切れている。 おかげで石の重みから解放され、地面を張って逃げ出そうとするが、 そのスピードは蛆実装レベルである。 「誰が終わったと言ったテチ?」 一匹の仔実装がマリンの正面へと回り込んだ。 そして、尖った木の枝をマリンの両目に突き刺す。 「ボグァアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「喚きすぎデス。」 別の野良実装が、マリンの喉を蹴り潰した。 目から枝を生やしたまま、頭を激しく振るマリン。 「デピャピャピャピャ! まるでナメクジデス!」 「それじゃあ止めを刺すデス。」 野良実装たちは、ナメクジ状態になったマリンに糞を塗りたくり始めた。 緑に汚されていくマリン。 一匹の野良実装は、マリンの帽子に糞を大量に詰めて運んできた。 そして、それを無理やりマリンの口に流し込む。 何度も、何度も・・・。 「ンッ ングゥッ!」 やがて、マリンの体内も緑の糞で満たされてしまった。 準備は完了だ。 「アリーヴェデスチ!(さよならデス!)」 リーダー格の野良実装が、公園内で拾ったマッチに火をつけた。 マッチ棒がマリンの上に投げられる。 炎が糞に引火し、マリンは内と外から激しく燃え上がった。 「ボギャアアアアaあaaaa!!」 ビチビチと跳ね上がるマリン。 まるで、お腹をプニプニされて喜ぶ蛆実装のようだ。 「これが正義の光デス!」 「娘たち・・・仇は取ったデス。」 「あれ・・嬉しいときも涙が出るんデス?」 炎に包まれるマリンと、歓喜に包まれる野良実装たち。 炎が消えたとき、そこには黒い肉片が転がっているだけだった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ スカイは滑り台の上に連行されていた。 すでに全身は土と血にまみれている。 周りには数匹の野良実装。 スカイの首にはロープが巻きつけられている。 「さあ、早く飛び降りるデス。」 「い、いやボク! もう許してボク!」 「寝言いうなデス! オマエはワタシたちの命乞いを一度でも聞いたデス!?」 「ボクゥウウウウ!!」 ドン、と背中を押され、滑り台の上から落とされるスカイ。 自由落下に入り、そのまま地面へと叩きつけられる。 「ボギャ!」 高度な運動神経と肉体が致命傷を避ける。 瞬時に受身を取っているのだ。 だが、頭と胴体をかばい続けた腕と足は既にボロボロである。 関節は異常な方向に折れ曲がり、折れた骨が肉を突き破って飛び出ている。 一思いに死んだほうが楽だったかもしれない。 「流石にまだ死なないデス。」 「ま、そっちのほうが楽しめるデス。」 「早く引き上げるデス。28回目のバンジージャンプデス。」 滑り台の上の野良実装たちがロープを引き上げる。 スカイの体はゆっくりと滑り台の上に登っていく。 再び地面に落とされるために。 「ボググググ!!!」 スカイの体重は、巻き付けられたロープに一気にかかる。 ロープはスカイの首を容赦なく締め上げていた。 涙、涎、鼻水に加え、糞尿までが垂れ流しになっていた。 「デ?」 滑り台の上にスカイを引き上げた野良実装たちは、スカイの顔を見てあることに気付いた。 「コイツ、顔はやけに傷が少ないデス。」 「そういえば、顔だけは必死にかばってたデス。」 「よく見れば薄く化粧もしてやがるデス。顔に自信をもってやがるデス。」 「ボク!? そんなことないボク!」 必死に否定する様が、それが事実である事を証明していた。 野良実装たちはスカイをもう一度地面に落とすと、スカイをブランコのほうに連れて行った。 「な、何をするボク!」 ブランコの板の目の前に座らせられるスカイ。 野良実装たちが背後からスカイを押さえ込む。 身動きが出来ないまま、顔だけがブランコのほうに突出するように。 そして、一匹の野良実装がゆっくりとブランコを引いた。 「や、止めるボ・・・!」 ガツッ! 野良実装がブランコを手放した直後、ブランコの板はスカイの顔を直撃した。 スカイは顔面でブランコを受け止める形になる。 野良実装たちに押さえつけられているため、かばう事も回避することも出来ない。 スカイの美しい顔は潰れていた。 前歯が何本か折れ、鼻の穴からは鼻血が出ている。 それを見て大笑いする野良実装たち。 今のスカイの顔は、野良実装にも見劣りするかもしれない。 「ボクゥウウウウウウ!!」 「まだまだいくデス!」 ゴキッ! ガッ! グチャ! グジュゥ! ブランコの板が、何度も何度もスカイの顔に直撃する。 徐々に湿っぽい音に変わっていく衝撃音。 野良実装がブランコを持ち上げる体力をもなくした時、スカイの顔は既に原形をとどめていなかった。 顔は倍ほどに膨れ上がり、盛り上がった赤黒い肉に顔のパーツは埋もれている。 歯は全て折れ、各所から体液が流れ出ている。 手術と医薬品で再生したとしても、もはや元の顔には戻れないだろう。 「さすがに可愛そうなことをしたデス。手術してあげるデス。」 「クスリはたーんとあるデス。」 野良実装たちが持っているのは、トイレから持ってきたトイレ掃除用の薬品だ。 それをスカイの顔に思いっきり振りかけた。 「ボギョエエェアアア!!?」 傷口に染み渡っていく化学薬品。 野良実装たちは構わず次の薬品をかける。 薬品が化学反応を起こし、スカイの顔は醜くただれていった。 このとき、薬品同士が混ざった事により有毒ガスが発生し、ギャラリーは一時退避せざるを得なくなった。 ガスを吸った数匹の蛆実装と仔実装が悶死した。 「さあ、生まれ変わった顔をご覧あれデス。」 一匹の野良実装が、公園で拾った手鏡をスカイに見せた。 肉に埋もれた目で、スカイは鏡に焦点を合わせる。 そこに映っていたのは、スカイが今まで生きてきた中で最も醜悪なものだった。 だが、それは間違いなく自分自身の顔なのだ。 「ボ・・・・!」 スカイの体がビクン!と痙攣すると、そのまま動かなくなった。 どうやら偽石が割れてしまったらしい。 実蒼石がショック死するのはきわめて希な例である。 それだけ、自分の顔への愛着があったのかもしれない。 「ショック死デス? この青蟲にはもったいないデス。」 野良実装たちの怒りの火は未だ収まっていなかったので、スカイの死体にはさらなる攻撃が加わる事となった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 公衆トイレの裏で、サファイアは五匹のマラ実装に輪姦されていた。 抵抗できないように自分自身のハサミで四肢を切断され、 フェラのときにマラを噛まれないよう、全ての歯は何度も石を打ちつけられて折られている。 既に数十発は体内に射精され、両方の瞳は赤く染まっている。 普通の実装石ならばとうに肉体が壊れているはずだが、実蒼石の体は実装石のそれより遥かに頑丈だった。 はじめは単に輪姦地獄を味合わせるつもりだったのだが、 野良実装たちには一つの楽しみが生まれていた。 それは、マラ実装と実蒼石の仔である。 滅多にない組み合わせである為に、どんな子供が生まれてくるか興味があったのだ。 「デプゥ〜 もう満腹デス。」 最後のマラ実装が、サファイアからマラを引き抜く。 五匹ものマラ実装の性欲が満たされる事など、滅多にないことである。 あとは子供を産ませるだけだ。 もちろん、安全な出産などさせるわけが無い。 強制出産である。 一匹の野良実装が、サファイアの両目に木の枝を突き刺す。 そして、そのままグリグリとかき回して傷口を広げていった。 「ボキャアアアアアアアア!!!」 絶叫するサファイア。 「さあ、どんな子供が生まれるか見せておくれデス。」 野良実装はその場で排便すると、産地直送の糞をサファイアの目に塗りこんだ。 傷口から侵入していく緑の糞。 それはサファイアの瞳に染み渡り、両目を緑色に変色させた。 そして、サファイアの腹が激しく動き、血と精液にまみれた総排泄口から子供が生まれてきた。 「テッテレー♪」 「テッテレー♪」 「テッ、テレー♪」 生まれてきた子供たち。 それは、サファイアの周りを取り囲む者たちと同じ格好をしていた。 「仔実装・・・デス。」 「デス。ただの仔実装デス。外見も頭も普通っぽいデス。」 予想外、いや、あまりにつまらない結末。 マラ実装と実蒼石の子供は、ただの仔実装だった。 あたりに漂う失望感。 「キミにはガッカリデス・・・。」 公園で最も体格が良いマラ実装が、サファイアをジャングルジムの方へ引きずっていく。 「ボクッ・・・ボククク!!!」 露出したサファイアの肌を、大地がヤスリのように削っていった。 ジャングルジムに到着すると、マラ実装はジャングルジムのすぐ側にサファイアを放置した。 そして、そのままジャングルジムを上っていく。 手足も無く、度重なる凌辱で体力を消耗したサファイアは、全く動く事ができない。 ジャングルジムを器用に上っていくマラ実装を見上げるだけだ。 ジャングルジムの頂点に辿り着き、サファイアを見下ろすマラ実装。 距離を置いて見詰め合っていた両者だが、互いの距離が一気に縮まった。 マラ実装がジャングルジムの上から飛び降りたのだ。 着地点はサファイアの腹の上だ。 グチャッ・・・・ 「ボギョオオォオオオ!!!」 サファイアの腹に、マラ実装の両足が突き刺さっていた。 サファイアの口と総排泄口から、体液と肉片が一気に飛び出した。 無防備な腹に質量爆弾を叩き込まれたのだ。 人間でさえただではすまない威力だ。 「ホフゥウウ・・・ ホクゥウウ・・・!!」 口から吐き出された内蔵らしきものを、必死で押し戻そうともがくサファイア。 肘から先が存在しない腕が、空しく空を切る。 決して頭部に届かない手をバタつかせる様は、さながら亀のようである。 サファイアの醜態を見て、野良実装たちは大笑いしていた。 その中には、ついさっきサファイアが出産した仔実装たちもいた。 その姿を見て、少なからず精神的ダメージを受けるサファイア。 無理やり生まされた仔とはいえ、我が仔には変わりないのだ。 野良実装たちは、その様子を見逃さなかった。 うってつけの処刑役を見つけたのだ。 「さあお前達、こいつに止めを刺してやるデス。」 一匹の野良実装が、サファイアの子供たちに青い石を差し出す。 サファイアの偽石だ。 マラ実装に潰されたときに、腹の中から飛び出してしまったのだ。 「チュア! 楽しそうテチ。」 「ワタチたちの強さを思い知るがいいテチ!」 サファイアの子供たちは、小さな石を手に取り偽石の破壊に取り掛かった。 石を何度も何度もサファイアの偽石に叩きつける。 だが、非力なために簡単に破壊する事が出来ない。 それは、サファイアが苦しむ時間がより長くなることを意味していた。 「チュア! チャ! 死ぬテチ!」 「もっと悲鳴をあげるテチ! ワタチにはメロディーに聞こえるテチ!」 「テプププ・・・。」 「ボク! ボクゥウウウ!!」 偽石を叩かれるたび、ビクビクと痙攣するサファイア。 偽石が完全に破壊され、サファイアがようやく死を許されたのは、それから一時間後のことだった。 用済みになったサファイアの子供たちは、野良実装たちが後で美味しく頂いた。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 翌朝、零而は公園にやってきた。 利明の言った架空の人物を日が暮れるまで探し回ったが、当然のように見つからなかった。 結局、公園で一から手がかりを探すしかなかったのだ。 すると、花壇の周りに人だかりが出来ていた。 嫌な予感に駆られた零而は、人だかりを押しのけて花壇の前に辿り着いた。 そこには、暴力と凌辱の限りを尽くされた三匹の実蒼石の死体が晒されていた。 口から総排泄口までを各々のハサミが一気に貫き、そのまま花壇の土に刺さっている。 文字通りの串刺し、死体を貫く墓標である。 四肢を切断され、髪を抜かれ、服を破かれ、体中が傷だらけになっていた。 そして、全身に塗りたくられた緑色の糞。 かろうじて確認できる瞳の色とオーダーメイドのハサミが無ければ、実装石の死体と間違っていたかもしれない。 零而はしばし絶句すると、音程の外れた悲鳴をあげた。 その様子を、利明は少し離れたベンチに座りながら見つめていた。 やがて、零而が実蒼石たちの死体からハサミを抜いて放り投げると、死体にすがり付いて泣き始めた。 ばつが悪くなった野次馬たちは、ぼちぼちと立ち去っていった。 なお、一人のホームレスが形見のハサミをこっそり持ち去っていった。 近所に空き缶や鉄くずを買い取ってくれる工場があるので、そこで換金するつもりだろう。 戦いは終わった。 利明は手持ち無沙汰になり、ベンチの側に捨ててあった新聞を拾って読んでみる。 すると、地方のニュース欄に、実装石駆除部隊「蒼聖姫」の設置案が廃案になったとの記事が掲載されていた。 「くだらないものに税金を使うな。普通にやってろ。」と、各方面からの批判が集中したらしい。 ふーっ、と大きくため息をつく利明。 公園の野良実装たちにも、しばらくの平和が訪れたようだ。 続いての記事は、ブルーフェイト社の不祥事についての記事だった。 デイトレーダー気取りの零而が多額の損失を出し、その穴を埋めるために会社の金を流用していたのだ。 それを繰り返していた結果、会社が傾き、大規模な粉飾を行なっていたのだという。 おまけに零而と飼い実蒼とのハメ撮り写真まで流出し、企業としてのモラルが問われる事となった。 会社の株価は大暴落し、零而と実蒼石の無修正の4P写真がネット中にばら撒かれているらしい。 ブルーフェイト社も零而もおしまいのようだ。 クイッ クイッ 「ん?」 利明がなおも新聞を読んでいると、 何者かにズボンの裾を引っ張られた気がして、利明は足元を見た。 そこには一匹の野良実装がいた。 「これを返すデス。」 野良実装は、利明が与えたスタンガンを返しに来たのだ。 「ああ、それはお前らには過ぎた道具だもんな。回収しなきゃ。」 利明は野良実装からスタンガンを受け取った。 だが、用が済んだというのに、その野良実装は一向に帰ろうとしない。 もじもじしながら、何かを言いたそうにしている。 利明は苛立たしげに問い詰めた。 「何だ? まだ何か用があるのか?」 もじもじしていた野良実装は、やがて意を決してこう呟いた。 「その・・・助けてくれてありがとうデス・・・。」 両者の間にしばし流れる沈黙。 野良実装らしからぬ礼儀正しさに、利明は思わず面食らってしまった。 だが、すぐに気を取り直して非情な宣告をする。 「勘違いするな。お前らを殺すのはこの俺だ。」 「次に会うときは敵同士・・・デス?」 「まァ・・・そういうこと。」 「やれやれデス。」 一人と一匹はフッと笑うと、それ以上語らぬまま、互いに背を向けて歩き始めた。 それぞれの家へ。 彼らの本当の戦いはこれからだ−−                                                                 終わり    反逆 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 利明はどこにでもいる虐待派。 近所の大きな公園から野良実装を連れて帰っては、自分のアパートの部屋で虐待していた。 しかし、この数ヶ月は就職活動が忙しく、実装石に構えないでいた。 内定は一つも貰えず、長い夏休みがもらえたので、 今日は久しぶりに実装石虐待をやろうと息巻いて公園にやってきた。 だが・・・ 「・・・なんでこんなに減ってんの?」 公園の野良実装の数は激減していた。 あたりに散らばる野良実装の死骸とダンボールハウスの残骸。 数ヶ月前の喧騒が嘘のようである。 人間がやってくるたび、デスデスとうるさい野良実装たちが寄ってきたのに。 やつれた様子の野良実装を一匹捕まえ、詳しい事情を聞いてみる。 「毎日のように飼い実蒼が狩りに来るんデス。それも三匹もいるデスゥ・・・。」 「飼い実蒼だと?」 実蒼石は、実装石よりも賢く、美しく、強く、礼儀正しい為、ペットとして非常に人気が高い。 また、実装石を狩る者という特性を有している為、実装石駆除にも役立っている。 現に、利明の住む虹裏市では、「蒼聖姫(そうせいき)」なる実装石駆除部隊を設置する案があるらしい。 実蒼石を褒め称えると同時に、「野良実装のいない綺麗な街を創造する」という意味のチーム名だ。 野良実装の話を聞くと、近所の人間が買っている飼い実蒼が、毎日のように公園の野良実装を狩りに来るという。 虐待派による虐待とは違い、公園に住む害獣を駆除するという大義名分があるため、誰も止める者がいないのだ。 そういえば、この付近に住む若い金持ちが三匹の高級実蒼石を飼っていると聞いた気がする。 それにしても、毎日のように野良実装を狩りに来るとは異常である。 おそらく、飼い主は野良実装を狩る自分の飼い実蒼石の姿を溺愛し、ギャラリーから得られる歓声に酔いしれているのだろう。 おかげで野良実装の数は激減してしまった。 利明は自分の獲物を勝手に奪われたのだ。 利明は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の実蒼石を除かなければならぬと決意した。 しかし、利明が直接飼い実蒼を殺して捕まった場合、本当に人生が終わってしまう。 利明自身が手を下すのは、あまりにリスキーだった。 「おい。」 「デ?」 「俺がアイデアと道具を授けてやる。それでお前らは奴等を殺せ。」 「ほ、本当デス!?」 「ああ。今すぐ仲間を集めて来い。できれば賢い奴をな。」 「わかったデス!」 飼い実蒼を殺すのはあくまで野良実装。 利明はサポートに回る。 これが利明に出来る限界ラインであった。 ここに、利明と野良実装の同盟が成立した。 それは、人間界と実装界の社会的最下級戦士の同盟であり、 それぞれの世界の「上」への反逆であった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「さあ、糞蟲たちを狩っておいで。」 「「「はい、マスター!」」」 利明が野良実装たちに道具と策を与えた二日後の午後、公園に件の実蒼石と飼い主がやってきた。 利明は敵の様子を観察してみる事にした。 まだ二十代の青年である飼い主、蒼崎零而(あおざきれいじ)は、 親から莫大な遺産と「ブルーフェイト(Blue fate)」という会社を受け継いだで男あり、 多額の資産を運用するデイトレーダーでもある。 今日は数億円単位の利益が出ることを確信していた。 仕事の傍ら、愛する実蒼石を使って、近所の公園の野良実装を狩る事を趣味としていた。 実蒼石の強さと美しさをアピールできると同時に、 公園に巣食う害獣・実装石を駆除できる至高の喜びであった。 零而の三匹の実蒼石の名は、それぞれ「サファイア」、「スカイ」、「マリン」という。 彼女たちの装備は普通ではない。 ハサミはローゼン社製の特殊合金で出来たオーダーメイド品「ブラウ・トート(ドイツ語で『蒼き死神』の意)」であり、 何万匹もの野良実装を斬っても刃こぼれ一つしない。 その上、通常のハサミよりも遥かに軽く、切れ味は従来の四倍である。 なお、このハサミで野良実装を切断するとき、ハサミが蒼く光る。 余剰パワーがハサミの関節部から光の形で放射し、発光現象を見せるのである。 「行け!」 零而の命令で公園に散っていく三匹の実蒼石。 野良実装との間合いをあっという間に詰め、ハサミで切断していく。 「マリン! スカイ! 誰が一番実装石を狩れるか勝負ボク!」 「いい度胸ボク。ボクのスピードに勝てるボク?」 「公園を守る為に頑張るボク!」 公園の平和、ひいては人間に尽くすという大義名分のもと、三匹の実蒼石は次々と野良実装を狩っていった。 成体はもちろん、仔や蛆でさえも鋭利なハサミで次々と殺害していく。 逃げる者、命乞いをする者、小奇麗で分別のありそうな者にも容赦はしない。 蒼い閃光が走るたび、野良実装たちの命の火が消えていった。 実蒼石たちは、自分たちの行動が正義であると疑っていないようだった。 利明の予想通り、実蒼石の飼い主は自分のペットたちの活躍に酔いしれていた。 その表情は不快極まるものだった。 実装シリーズの虐待はよくないと一般人は言う。 特に、人に飼われている者には手を出すなと。 だが、目の前の実蒼石たちは何なのであろう。 人間により与えられた力で、一方的に無抵抗な野良実装を狩っていく。 野良実装はただ生きていたいだけなのに。 これは虐殺ではないのだろうか。 そして、激減した野良実装。 虐待派に言わせれば、野良実装の命までもが自分たちの所有物なのだ。 ならば、野良実装を多少アシストしたところで文句を言われる筋合いは無かろう。 人の手を借りた実装シリーズ同士の殺し合い。 これは同じステージでの戦いであり、まして、仕掛けてきたのは零而と実蒼石たちの方なのだ。 たまたま通りかかった女の子が、野良実装の無残な死体を見て泣いていた。 母親が「見てはいけません」といった感じで娘の手を引いて立ち去っていった。 よくよく見れば、公園から消えていたのは野良実装だけではない。 人の姿までも消えていた。 あまりに残酷な光景が繰り返されていた為、人までも減っていたのだ。 最早、公園は実蒼石と零而だけのスペースとなっていた。 ギャラリーは決して喜んでいたわけではないらしい。 一般人にとっても、この実蒼石と飼い主は邪魔になっているはずだ。 「勝負だ青蟲ども・・・。」 決戦の火蓋は切って落とされた。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 三十分ほどすると、零而とサファイアたちの野良実装狩りは終わった。 あたりに散らばる野良実装たちの死体。 だが、利明と同盟を結んだ野良実装たちは健在のはずだ。 そうとは知らず、零而たちは勝利の栄光に浸っていた。 「マスター、任務完了ボク。」 「ご苦労。お前たちならば『蒼聖姫』でも主役を張れるだろう。」 「ボク。マスターの会社の宣伝にもなるボク。」 「その通りだ。さあ、早く家に帰ろう。可愛がってやる。」 「ボク! ボクゥ!」 ヒュ〜〜  べチャッ・・・ 「あ?」 零而たちが帰ろうとしたとき、零而たちの背後から何かが飛んでくる音がした。 振り返ってみると、そこには地面に落ちた緑の糞と、それを投げたらしい一匹の野良実装がいた。 糞は直撃こそしなかったが、それは明らかな挑発の意図を持っていた。 「マスター。」 「ああ、はやく片付けて来い。ここで待ってる。」 「了解ボク。」 野良実装に向かって突進する三匹。 その迫力に押されたのか、野良実装は踵を返して逃げ始めた。 普通ならあっという間に縮まる間合いだが、その野良実装の足は速く、なかなか距離が縮まらない。 零而からも見えない所まで移動した翠と蒼の生物。 その野良実装は利明にドーピング注射され、一時的にパワーアップしていたのだ。 だが、いかんせん知能が低いのか、逃げ場の無いはずの公衆トイレに駆け込んだ。 トイレは当然行き止まりであり、野良実装は追い詰められてしまった。 壁を背にし、入り口から堂々と入ってくる三匹を見つめるだけである。 「糞蟲のくせに手こずらせてくれたボク。」 「床が水浸しボク。よくもこんな汚い場所に逃げ込んでくれたボク。」 「観念するボク!」 じりじりと迫り来る三匹。 拷問しながら殺すつもりだろう。 だが、追い詰められているにも拘わらず、野良実装は少しも慌てていなかった。 「デプププ・・・観念するのはお前達デス。」 野良実装の余裕の表情に違和感を感じ、何者かの気配を感じて三匹が背後を振り向いたとき、 トイレの入り口には床にスタンガンを押し付けた別の野良実装がいた。 スタンガンはデスゥタンガンのような実装シリーズ用のおもちゃではない。 改造を加えられた人間用のスタンガンである。 利明に遣い方を教えてもらい、数匹で協力すれば、何とか使いこなせるのだ。 三匹が飛び掛る間もなく、スタンガンのスイッチが入れられる。 バチバチバチィ!! 「ボボボボボボボボボ!!!」 「デデデデデデデデデ!!!」 猛烈な電流が、床の水を伝って三匹に襲い掛かった。 オトリ役の野良実装ごと感電する三匹。 だが、まだ安心は出来ない。 「鉄砲隊! 前に出るデス!」 低圧ドドンパを飲んだばかりの五匹の野良実装が進み出て、クラウチングスタートの姿勢をとった。 「デジャアアアアア!!!」 野良実装たちが床を蹴ると同時に、床とは水平に噴出する緑色の糞。 その反動で、野良実装たちは緑色の弾丸となって実蒼石たちへと向かっていく。 「ボグゥ!」 「ボベ!」 「ボク!」 鉄砲隊の体当たりを食らって昏倒する三匹の実蒼石。 この機を逃さず、野良実装たちが一気に駆け寄って三匹を捕縛する。 あっさりと勝敗は決した。 後は三匹を処刑するだけである。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「遅い・・・。」 零而はサファイアたちを待っていたが、十分ほど経っても三匹は帰って来なかった。 実蒼石が野良実装に負ける、などとは微塵も考えていなかったが、 さすがにこれだけ待たされると不安になる。 零而は意を決し、サファイアたちと野良実装が向かったほうへ探しに行った。 心配そうな顔でサファイアたちを探し回る零而。 公園を八割がた探索してみたが、サファイアたちは見つからなかった。 その表情からは、いつもの余裕が消えていた。 ようやくサファイアたちのいる場所に近づいたとき、零而は待ち伏せていた利明に話しかけられた。 そ知らぬ顔で零而に話しかける利明。 「あのー もしかして実蒼石をお探しですか?」 「ええ! 何かご存知で!?」 「怪しいオッサンが抱きかかえて連れて行きましたよ。あっちのほう。」 利明は、実蒼石たちがいる公衆トイレとは正反対の方向を指差した。 もちろん、零而に邪魔されない為の真っ赤な嘘だ。 利明に礼さえ言わず、零而は利明の指差したほうへ走っていった。 実装石愛護派による復讐か。 実蒼石愛護派による誘拐か。 零而自身への恨みか。 フィギュア萌え族か。 いくつかの心当たりがあったのかもしれない。 パニックに陥った零而は、利明の嘘に簡単に引っかかってくれた。 しばらくは公園に帰ってこないだろう。 「実装石ども、あとは好きにするがいい。」 利明は、野良実装たちに零而が立ち去った事を告げた。 利明のサポートにより、野良実装たちは安心して実蒼石を処刑できることになった。 加えて、連日の残酷な野良実装狩りのせいで、公園の大きさの割には人は少ない。 零而たちの所業が、野良実装たちの行動に自由を与えてしまったのだ。 まさに自業自得といえよう。 野良実装たちは三つのグループにわかれ、それぞれの処刑場へと向かっていった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「デーースッ!!」 「ボギャッ!」 植え込みに囲まれた小さな森の中、地面に大の字に押さえつけられたマリン。 その右手首に、大きな石が乗せられた。 数匹の野良実装でようやく運べるほどの重い石だ。 それがマリンの手首と足首、合計四箇所に乗せられている。 石の下にあるはずの部位は完全につぶれ、マリンは動く事は出来なくなっていた。 これから野良実装たちによるリンチが始まるのだ。 「さて、これが何かわかるデス?」 マリンを囲む野良実装たちは、白く尖った何かを握っている。 一見ナイフのようだが、ナイフのような人工物ではない。 「さっさと放すボク! マスターが黙ってな・・・!」 ザシュゥ! 野良実装が「白いもの」をマリンの右ふとももに突き刺した。 そこから吹き上がる赤と青の血。 マリンは生まれて初めて「激痛」を感じていた。 「ボ、、ボクゥ!? ボキュアアアア!!!」 「これは骨デス。仲間たちの骨のかけらデス。」 「嘘ボク! 骨はそんなに尖ってないボク!」 「お前たちのおかげデス・・・。ハサミで綺麗に切断してくれたおかげで、切断面が武器になっているデス。」 野良実装の言葉は嘘ではない。 マリンたちのハサミはあまりに切れ味が良かった為に、 斜めに切断された背骨や太ももの骨が槍のようになっているのだ。 「出きるだけ骨をかき集めて来たデス。これを一本一本お前に刺していくデス。」 野良実装たちの背後にあるのは白い骨の山。 おそらく百本ほどであろうか。 仔実装を含めた数十匹の野良実装がマリンに迫る。 皆の手には白い骨が握られている。 恐怖に震えるマリン。 「今なら許してやるボク! ご、ご褒美にコンペイトウもあげるボク!」 「ほざいてろデス。」 マリンの右手に一本の背骨が刺されると同時に、周りの野良実装たちが次々とマリンに骨を刺し始めた。 長く苦しむように、頭や胴体はできるだけ後回しにしておく。 「ワタシの姉は生きながら分解されたデス!」 サク! 「ワタシたちはお前たちのおもちゃじゃないデス!」 グサッ! 「オマエは笑いながら私の仔を殺したデス!」 ざくっ! 「蛆ちゃんの分テチ!」 ビチャッ! 骨を刺されるたびに痙攣し、絶叫するマリン。 だが、野良実装たちの手がとまることは無い。 全ての骨を刺し終えると、今度は骨を抜いていった。 一応は仲間たちの遺骨。 これから始まる「処刑」で穢されてはならないのだ。 「ボ、ボクゥ〜・・・。」 何とか逃げ出そうとするマリン。 骨の雨を喰らい、既に両手足は醜く千切れている。 おかげで石の重みから解放され、地面を張って逃げ出そうとするが、 そのスピードは蛆実装レベルである。 「誰が終わったと言ったテチ?」 一匹の仔実装がマリンの正面へと回り込んだ。 そして、尖った木の枝をマリンの両目に突き刺す。 「ボグァアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「喚きすぎデス。」 別の野良実装が、マリンの喉を蹴り潰した。 目から枝を生やしたまま、頭を激しく振るマリン。 「デピャピャピャピャ! まるでナメクジデス!」 「それじゃあ止めを刺すデス。」 野良実装たちは、ナメクジ状態になったマリンに糞を塗りたくり始めた。 緑に汚されていくマリン。 一匹の野良実装は、マリンの帽子に糞を大量に詰めて運んできた。 そして、それを無理やりマリンの口に流し込む。 何度も、何度も・・・。 「ンッ ングゥッ!」 やがて、マリンの体内も緑の糞で満たされてしまった。 準備は完了だ。 「アリーヴェデスチ!(さよならデス!)」 リーダー格の野良実装が、公園内で拾ったマッチに火をつけた。 マッチ棒がマリンの上に投げられる。 炎が糞に引火し、マリンは内と外から激しく燃え上がった。 「ボギャアアアアaあaaaa!!」 ビチビチと跳ね上がるマリン。 まるで、お腹をプニプニされて喜ぶ蛆実装のようだ。 「これが正義の光デス!」 「娘たち・・・仇は取ったデス。」 「あれ・・嬉しいときも涙が出るんデス?」 炎に包まれるマリンと、歓喜に包まれる野良実装たち。 炎が消えたとき、そこには黒い肉片が転がっているだけだった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ スカイは滑り台の上に連行されていた。 すでに全身は土と血にまみれている。 周りには数匹の野良実装。 スカイの首にはロープが巻きつけられている。 「さあ、早く飛び降りるデス。」 「い、いやボク! もう許してボク!」 「寝言いうなデス! オマエはワタシたちの命乞いを一度でも聞いたデス!?」 「ボクゥウウウウ!!」 ドン、と背中を押され、滑り台の上から落とされるスカイ。 自由落下に入り、そのまま地面へと叩きつけられる。 「ボギャ!」 高度な運動神経と肉体が致命傷を避ける。 瞬時に受身を取っているのだ。 だが、頭と胴体をかばい続けた腕と足は既にボロボロである。 関節は異常な方向に折れ曲がり、折れた骨が肉を突き破って飛び出ている。 一思いに死んだほうが楽だったかもしれない。 「流石にまだ死なないデス。」 「ま、そっちのほうが楽しめるデス。」 「早く引き上げるデス。28回目のバンジージャンプデス。」 滑り台の上の野良実装たちがロープを引き上げる。 スカイの体はゆっくりと滑り台の上に登っていく。 再び地面に落とされるために。 「ボググググ!!!」 スカイの体重は、巻き付けられたロープに一気にかかる。 ロープはスカイの首を容赦なく締め上げていた。 涙、涎、鼻水に加え、糞尿までが垂れ流しになっていた。 「デ?」 滑り台の上にスカイを引き上げた野良実装たちは、スカイの顔を見てあることに気付いた。 「コイツ、顔はやけに傷が少ないデス。」 「そういえば、顔だけは必死にかばってたデス。」 「よく見れば薄く化粧もしてやがるデス。顔に自信をもってやがるデス。」 「ボク!? そんなことないボク!」 必死に否定する様が、それが事実である事を証明していた。 野良実装たちはスカイをもう一度地面に落とすと、スカイをブランコのほうに連れて行った。 「な、何をするボク!」 ブランコの板の目の前に座らせられるスカイ。 野良実装たちが背後からスカイを押さえ込む。 身動きが出来ないまま、顔だけがブランコのほうに突出するように。 そして、一匹の野良実装がゆっくりとブランコを引いた。 「や、止めるボ・・・!」 ガツッ! 野良実装がブランコを手放した直後、ブランコの板はスカイの顔を直撃した。 スカイは顔面でブランコを受け止める形になる。 野良実装たちに押さえつけられているため、かばう事も回避することも出来ない。 スカイの美しい顔は潰れていた。 前歯が何本か折れ、鼻の穴からは鼻血が出ている。 それを見て大笑いする野良実装たち。 今のスカイの顔は、野良実装にも見劣りするかもしれない。 「ボクゥウウウウウウ!!」 「まだまだいくデス!」 ゴキッ! ガッ! グチャ! グジュゥ! ブランコの板が、何度も何度もスカイの顔に直撃する。 徐々に湿っぽい音に変わっていく衝撃音。 野良実装がブランコを持ち上げる体力をもなくした時、スカイの顔は既に原形をとどめていなかった。 顔は倍ほどに膨れ上がり、盛り上がった赤黒い肉に顔のパーツは埋もれている。 歯は全て折れ、各所から体液が流れ出ている。 手術と医薬品で再生したとしても、もはや元の顔には戻れないだろう。 「さすがに可愛そうなことをしたデス。手術してあげるデス。」 「クスリはたーんとあるデス。」 野良実装たちが持っているのは、トイレから持ってきたトイレ掃除用の薬品だ。 それをスカイの顔に思いっきり振りかけた。 「ボギョエエェアアア!!?」 傷口に染み渡っていく化学薬品。 野良実装たちは構わず次の薬品をかける。 薬品が化学反応を起こし、スカイの顔は醜くただれていった。 このとき、薬品同士が混ざった事により有毒ガスが発生し、ギャラリーは一時退避せざるを得なくなった。 ガスを吸った数匹の蛆実装と仔実装が悶死した。 「さあ、生まれ変わった顔をご覧あれデス。」 一匹の野良実装が、公園で拾った手鏡をスカイに見せた。 肉に埋もれた目で、スカイは鏡に焦点を合わせる。 そこに映っていたのは、スカイが今まで生きてきた中で最も醜悪なものだった。 だが、それは間違いなく自分自身の顔なのだ。 「ボ・・・・!」 スカイの体がビクン!と痙攣すると、そのまま動かなくなった。 どうやら偽石が割れてしまったらしい。 実蒼石がショック死するのはきわめて希な例である。 それだけ、自分の顔への愛着があったのかもしれない。 「ショック死デス? この青蟲にはもったいないデス。」 野良実装たちの怒りの火は未だ収まっていなかったので、スカイの死体にはさらなる攻撃が加わる事となった。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 公衆トイレの裏で、サファイアは五匹のマラ実装に輪姦されていた。 抵抗できないように自分自身のハサミで四肢を切断され、 フェラのときにマラを噛まれないよう、全ての歯は何度も石を打ちつけられて折られている。 既に数十発は体内に射精され、両方の瞳は赤く染まっている。 普通の実装石ならばとうに肉体が壊れているはずだが、実蒼石の体は実装石のそれより遥かに頑丈だった。 はじめは単に輪姦地獄を味合わせるつもりだったのだが、 野良実装たちには一つの楽しみが生まれていた。 それは、マラ実装と実蒼石の仔である。 滅多にない組み合わせである為に、どんな子供が生まれてくるか興味があったのだ。 「デプゥ〜 もう満腹デス。」 最後のマラ実装が、サファイアからマラを引き抜く。 五匹ものマラ実装の性欲が満たされる事など、滅多にないことである。 あとは子供を産ませるだけだ。 もちろん、安全な出産などさせるわけが無い。 強制出産である。 一匹の野良実装が、サファイアの両目に木の枝を突き刺す。 そして、そのままグリグリとかき回して傷口を広げていった。 「ボキャアアアアアアアア!!!」 絶叫するサファイア。 「さあ、どんな子供が生まれるか見せておくれデス。」 野良実装はその場で排便すると、産地直送の糞をサファイアの目に塗りこんだ。 傷口から侵入していく緑の糞。 それはサファイアの瞳に染み渡り、両目を緑色に変色させた。 そして、サファイアの腹が激しく動き、血と精液にまみれた総排泄口から子供が生まれてきた。 「テッテレー♪」 「テッテレー♪」 「テッ、テレー♪」 生まれてきた子供たち。 それは、サファイアの周りを取り囲む者たちと同じ格好をしていた。 「仔実装・・・デス。」 「デス。ただの仔実装デス。外見も頭も普通っぽいデス。」 予想外、いや、あまりにつまらない結末。 マラ実装と実蒼石の子供は、ただの仔実装だった。 あたりに漂う失望感。 「キミにはガッカリデス・・・。」 公園で最も体格が良いマラ実装が、サファイアをジャングルジムの方へ引きずっていく。 「ボクッ・・・ボククク!!!」 露出したサファイアの肌を、大地がヤスリのように削っていった。 ジャングルジムに到着すると、マラ実装はジャングルジムのすぐ側にサファイアを放置した。 そして、そのままジャングルジムを上っていく。 手足も無く、度重なる凌辱で体力を消耗したサファイアは、全く動く事ができない。 ジャングルジムを器用に上っていくマラ実装を見上げるだけだ。 ジャングルジムの頂点に辿り着き、サファイアを見下ろすマラ実装。 距離を置いて見詰め合っていた両者だが、互いの距離が一気に縮まった。 マラ実装がジャングルジムの上から飛び降りたのだ。 着地点はサファイアの腹の上だ。 グチャッ・・・・ 「ボギョオオォオオオ!!!」 サファイアの腹に、マラ実装の両足が突き刺さっていた。 サファイアの口と総排泄口から、体液と肉片が一気に飛び出した。 無防備な腹に質量爆弾を叩き込まれたのだ。 人間でさえただではすまない威力だ。 「ホフゥウウ・・・ ホクゥウウ・・・!!」 口から吐き出された内蔵らしきものを、必死で押し戻そうともがくサファイア。 肘から先が存在しない腕が、空しく空を切る。 決して頭部に届かない手をバタつかせる様は、さながら亀のようである。 サファイアの醜態を見て、野良実装たちは大笑いしていた。 その中には、ついさっきサファイアが出産した仔実装たちもいた。 その姿を見て、少なからず精神的ダメージを受けるサファイア。 無理やり生まされた仔とはいえ、我が仔には変わりないのだ。 野良実装たちは、その様子を見逃さなかった。 うってつけの処刑役を見つけたのだ。 「さあお前達、こいつに止めを刺してやるデス。」 一匹の野良実装が、サファイアの子供たちに青い石を差し出す。 サファイアの偽石だ。 マラ実装に潰されたときに、腹の中から飛び出してしまったのだ。 「チュア! 楽しそうテチ。」 「ワタチたちの強さを思い知るがいいテチ!」 サファイアの子供たちは、小さな石を手に取り偽石の破壊に取り掛かった。 石を何度も何度もサファイアの偽石に叩きつける。 だが、非力なために簡単に破壊する事が出来ない。 それは、サファイアが苦しむ時間がより長くなることを意味していた。 「チュア! チャ! 死ぬテチ!」 「もっと悲鳴をあげるテチ! ワタチにはメロディーに聞こえるテチ!」 「テプププ・・・。」 「ボク! ボクゥウウウ!!」 偽石を叩かれるたび、ビクビクと痙攣するサファイア。 偽石が完全に破壊され、サファイアがようやく死を許されたのは、それから一時間後のことだった。 用済みになったサファイアの子供たちは、野良実装たちが後で美味しく頂いた。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 翌朝、零而は公園にやってきた。 利明の言った架空の人物を日が暮れるまで探し回ったが、当然のように見つからなかった。 結局、公園で一から手がかりを探すしかなかったのだ。 すると、花壇の周りに人だかりが出来ていた。 嫌な予感に駆られた零而は、人だかりを押しのけて花壇の前に辿り着いた。 そこには、暴力と凌辱の限りを尽くされた三匹の実蒼石の死体が晒されていた。 口から総排泄口までを各々のハサミが一気に貫き、そのまま花壇の土に刺さっている。 文字通りの串刺し、死体を貫く墓標である。 四肢を切断され、髪を抜かれ、服を破かれ、体中が傷だらけになっていた。 そして、全身に塗りたくられた緑色の糞。 かろうじて確認できる瞳の色とオーダーメイドのハサミが無ければ、実装石の死体と間違っていたかもしれない。 零而はしばし絶句すると、音程の外れた悲鳴をあげた。 その様子を、利明は少し離れたベンチに座りながら見つめていた。 やがて、零而が実蒼石たちの死体からハサミを抜いて放り投げると、死体にすがり付いて泣き始めた。 ばつが悪くなった野次馬たちは、ぼちぼちと立ち去っていった。 なお、一人のホームレスが形見のハサミをこっそり持ち去っていった。 近所に空き缶や鉄くずを買い取ってくれる工場があるので、そこで換金するつもりだろう。 戦いは終わった。 利明は手持ち無沙汰になり、ベンチの側に捨ててあった新聞を拾って読んでみる。 すると、地方のニュース欄に、実装石駆除部隊「蒼聖姫」の設置案が廃案になったとの記事が掲載されていた。 「くだらないものに税金を使うな。普通にやってろ。」と、各方面からの批判が集中したらしい。 ふーっ、と大きくため息をつく利明。 公園の野良実装たちにも、しばらくの平和が訪れたようだ。 続いての記事は、ブルーフェイト社の不祥事についての記事だった。 デイトレーダー気取りの零而が多額の損失を出し、その穴を埋めるために会社の金を流用していたのだ。 それを繰り返していた結果、会社が傾き、大規模な粉飾を行なっていたのだという。 おまけに零而と飼い実蒼とのハメ撮り写真まで流出し、企業としてのモラルが問われる事となった。 会社の株価は大暴落し、零而と実蒼石の無修正の4P写真がネット中にばら撒かれているらしい。 ブルーフェイト社も零而もおしまいのようだ。 クイッ クイッ 「ん?」 利明がなおも新聞を読んでいると、 何者かにズボンの裾を引っ張られた気がして、利明は足元を見た。 そこには一匹の野良実装がいた。 「これを返すデス。」 野良実装は、利明が与えたスタンガンを返しに来たのだ。 「ああ、それはお前らには過ぎた道具だもんな。回収しなきゃ。」 利明は野良実装からスタンガンを受け取った。 だが、用が済んだというのに、その野良実装は一向に帰ろうとしない。 もじもじしながら、何かを言いたそうにしている。 利明は苛立たしげに問い詰めた。 「何だ? まだ何か用があるのか?」 もじもじしていた野良実装は、やがて意を決してこう呟いた。 「その・・・助けてくれてありがとうデス・・・。」 両者の間にしばし流れる沈黙。 野良実装らしからぬ礼儀正しさに、利明は思わず面食らってしまった。 だが、すぐに気を取り直して非情な宣告をする。 「勘違いするな。お前らを殺すのはこの俺だ。」 「次に会うときは敵同士・・・デス?」 「まァ・・・そういうこと。」 「やれやれデス。」 一人と一匹はフッと笑うと、それ以上語らぬまま、互いに背を向けて歩き始めた。 それぞれの家へ。 彼らの本当の戦いはこれからだ−−                                                                 終わり

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1 Re: Name:匿名石 2020/01/29-02:36:53 No:00006182[申告]
こういうのもたまにはいい
2 Re: Name:匿名石 2024/02/25-14:47:56 No:00008785[申告]
蒼ばっか優遇されてるが同じやり方で強制出産できたりマラの種で産まれるのが仔実装とかほぼ同種な証だよな
ざまあ
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