タイトル:【塩】 プロジェクト「デスゥ」-ある実装愛好家の戦い-
ファイル:プロジェクト「デスゥ」-ある実装愛好家の戦い-.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:89 レス数:1
初投稿日時:2005/04/22-00:00:00修正日時:2005/04/22-00:00:00
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プロジェクト「デスゥ」 ——ある実装愛好家の戦い—— 05/04/22(Fri),02:15:15 from uploader  実験プラント。響きは怪しいが、その実態は繊維工場である。ただちょ っと表に出しにくい繊維を多量に扱っていた。  それもその筈、なんと実装石から取れる各種繊維を製品化に向けて実験 している場所なのだ。  特にこのプラントでは量産体制を敷く為、実装石の改良が日夜行われて いた。  繊維その1。  あの豊潤な髪の毛、アレを使わない手はない。調べると、絹のようなき め細やかと強靭さ、織物に適した特性まで兼ね備えた理想的な繊維である 事がわかった。試しに織り上げ た布も大変強靭で肌触りも良く、絹に取って代わる製品と期待される。  問題はその入手法。  実装石の匂いがこびり付く為、野良を狩って刈り集めても商品価値はな い。  男たちは苦心した。これ程の髪を量産出来たならば、すべての繊維業界 がひっくり返るのに。海外に奪われた仕事をすべて、取り戻せるというの に。苦心して苦心して、それでも答えは出なかった。  そんな時だ、彼らの前に衝撃的な映像が飛び込んできたのは。  実装石を括り付け、体中をペンチでむしり取るなんとも残虐なショー。 しかしよく見ればむしった傍から再生し、見る間に血液が止まっていく姿 だった。  その異常な再生力に男たちは目を付けた。  野良から強奪するのではなく、実装石を牧畜すればいい!  その発想はまさしくコロンブスの卵であった。  しかし、その道は決して容易ではなかった。実装石には桁外れの食欲と 、半端な知識と道具を使えると言う特徴がある。それ故に牧畜は難しく、 ペットの繁殖のような形でしか増やすことは出来ない。これではコストが 掛かりすぎ、到底繊維業としてはやっていけなくなってしまう。だがあの 映像に寄れば、例え壁に括り付けていてもストレスで死ぬことはないのだ 。野生生物にあるまじき強いストレス耐性。これを利用する他、実装毛の 実用化はなかった。  早速、試作一号が組み上げられる。  実装石を逆さ釣りにし、皮バンドで止めた品だ。  これは失敗だった。四六時中デスゥデスゥと鳴き叫ばれ、仕事にならな かったのだ。  二号、三号と試作を繰り返すが自由を与えればコストがかさみ、自由を 奪えば騒音と悪臭で髪がダメになってしまう、回避出来ないジレンマに陥 った。実装石ではダメなのか。他の実装シリーズを使うべきなのか。  しかし、この問題は意外な方向から解決される。  虐待師、と呼ばれる実装石専門の調教屠殺屋。  ともすれば世界で最も実装石について詳しい男たち、彼らから重大な情 報がもたらされたのだ。 「実装石は加工出来ます。生きたままでも再生を調整する事で、その姿を 自由に変えられるのです」  頭皮さえ再生すればいい、その事実に男たちは方法論を変えた。  即ち、  ・騒々しい口を塞ぎ、手足を切断する。  ・栄養は点滴か流動食で与え、口、目、鼻は除去する。  ・頭皮は最大限の採取効率を得る為、平面にする。  ・排泄物は胃へ循環するようにパイプで接続する。  完全な機械システムの一部として、組み入れる事だった。数千とも数万 とも言われる、実装石の犠牲の果て。遂に男たちは完成させたのだ、寿命 が尽きるまで髪の毛を生産し続ける実装毛畑を。  最初の発想を得てから実に十年、苦節の日々だった。  だが男たちの挑戦は終わらない。よりよい品質を得る為の栄養作り、寿 命を延ばす為の設置法、遺伝子レベルでの改造など、日夜実装毛畑の改良 は続けられている。後数ヶ月で試作一号の実装毛畑が稼動を開始する予定 だ。月平均一千㌧の実装毛を採取する事を目標としている。 「最初はね、こいつ等をどうにか人の役に立てたいと思ったんですよ」  たっぷりの水と栄養剤が注がれた水槽、そこから頭だけ生やして並ぶ実 装石。その頭は判で押したように真っ平らで、一定まで伸びるとすぐさま 機械が剃り落としていく。そんな実装毛畑で開発者の「」氏は語る。 「でもね、完全機械化された現代で動物の出来る事なんて少ないですよ。 それでも役に立とうとしたら食肉か、と考えたんですけどね。いやはや、 やはりアレを喰いたいとは思いませんで。そこで髪の毛に注目した訳です 」  水槽から頭皮だけ出す実装石を見て、一目でわかる者は少ない。肌色の 丸太が髪の毛を生やしている、と言う表現が一番近いだろうか。音さえ出 さなくなった丸太は、今日も大量の実装毛を生み出してくれる。 「これで実装石が皆さんに受け入れてもらえればいいのですが」  「」氏は熱心な実装石愛護家だ。その有用性を示す為に始めた事業は、 今日も徐々に大きくなっている。  繊維その2  あの緑色の服は何であろうか?  多くの人間が疑問に持ち、また調べてみただろう。 「私が調べた結果、特定の個体の服はフェルトで出来ていました」  フェルトは織物ではない、繊維を圧縮させて作った物だ。羊毛などが厚 い地を持つ体毛は、大抵フェルトになっている。しかし、一見体毛の薄い 実装石がフェルトの服を作るというのは奇っ怪だ。 「最初は私も目を疑いました。てっきり織物の服を着ているのかと、いえ 、いきなり織物の服を着ている方が異常ですが。それで一匹、解剖してみ たんです」  その結果は驚くべきものだった。  実装石の表皮には肉眼では発見出来ないほど細かな毛穴が並び、ごくご く細い体毛を吐き出すようになっていた。細く弱い体毛は想像以上の密集 度で生え、絡まり、フェルトとなっていく。それが胎児期に発生する。こ の時、汗か体液か血液かわからないが、大量の緑色の実装汁を吸い込み、 例外なく緑に染まるのだという。 「成長に合わせて大きくなる服なんてありませんからね。体毛だったんで すよ、あの服は」  成長に合わせ大きくなる服も、一定段階まで発育すると毛穴の方が先に 死ぬ為、一生に一着程度しか生えないのだという。  しかし、当然例外も多数見かけられており、幾らでも服が再生する個体 もあった。  既に頭髪の実用化に向けた実験が行われていた頃。  当然、服の繊維もまた実用化に向けて動き始めた。 「何しろ、服のまま出てこられても使いようがありませんからね。そこか ら始めました」  既に彼らは実装石の身体を思いのまま歪める技術を得ていた。  まずは手足を落とし、手足を再生させず、毛穴だけ再生する事から始ま った。最初はただ手足を落とし焼いていたが、それでは焼いた部分から毛 が発生せず穴が開いてしまう。皮を残して切断し、傷口を皮で覆う事によ りこの問題は解決した。手足も腰もない実装筒は、身体部分の筒状の服を 何度でも再生する代物だ。  しかし、これでは首周りのよだれかけが邪魔だった。  頭部のほっかむりもまた、一枚の繊維に出来ないか。  顔面部分にもフェルトを発生させられないか。  元々小さくフェルトに過ぎない服は採算率が悪い。それを確かな商品に する為には、ハードルが髪よりも遙かに多かった。断念しようか、研究が 難航するたびに会社はそう訴える。 「でも、髪の毛だけじゃ実装石のありがたみが足りないと思ったんですよ 。緑の服なら彼女たちのトレードマークですからね、より多くの人間にも 愛されるんじゃないかと。ええ、理解を得る為です。手段も苦労も厭いま せんよ」  それは執念だった。  「」氏は実装石を世の人々に認めて貰いたく、ただの害獣じゃないとア ピールしたかったのだ。  可愛い等という不確実な基準ではない、明確な実用価値という基準で。  イヌやネコのように愛されなくても良い、ウシやブタのように共存出来 れば。  その努力は遂に、報われる。 「簡単な発想でした。要するに、首がなければ良かったんです」  手術は困難を極めた。  頭を切り落とし、顎から下を綺麗に剥がしてから肩から上を切り離した 胴と結びつける。  完全に首を取り外し、筒状に仕上げたのだ。  ほっかむりもよだれかけも、首が基準になっていると見抜いた「」氏の 執念であった。 「顔の方はここまで行けば簡単でした。顔を削ぎ落とし、代わりに別の実 装石の背中を植皮したんです」  そう言って箱からとりだしたのは、一匹の実装石……いや、緑色の丸太 の切れ端だった。そうとしか言い様のない、顔すらない服だけを延々と生 産し続けるモノ、それが改良に改良を重ねた実装石だという。既に五世代 を重ねており、布の質もだいぶ良くなった。 「元来、白い体毛らしいんですがね、それを体液で緑に染めている訳です 。実装染めとでも言いましょうか」  後数世代先になれば、生まれながらにこの姿となる実装石が出来上がる という。  その時こそ、「」氏の夢である実装染めの布地が世間に出回る事になる だろう。 「実装石は素晴らしい生き物です。この世のどんな生物より工業化に適応 してくれる。それをね、私は世界中に伝えたいんですよ」  「」氏の情熱は尽きない。  その情熱こそが実装石を世間に知らしめるのだと、彼は頑なに信じてい た。  その情熱こそが異なる二種族間の溝を埋め、共存へと進み出すのだと、 我々は思うのである。 (BGM:地上の星) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注釈. 及び後記.  05/04/22(金)20:00:00 *1:スレの中で話題がありアップローダーにあがっていた作品を追加しました。 *2:仮題をつけている場合もあります。その際は作者の方からの題名ご報告よろしくお願いします。 *3:改行や誤字脱字の修正を加えた作品もあります。勝手ながらご了承下さい。 *4:作品の記載もれやご報告などがありましたら保管庫の掲示板によろしくお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戻る プロジェクト「デスゥ」 ——ある実装愛好家の戦い—— 05/04/22(Fri),02:15:15 from uploader  実験プラント。響きは怪しいが、その実態は繊維工場である。ただちょ っと表に出しにくい繊維を多量に扱っていた。  それもその筈、なんと実装石から取れる各種繊維を製品化に向けて実験 している場所なのだ。  特にこのプラントでは量産体制を敷く為、実装石の改良が日夜行われて いた。  繊維その1。  あの豊潤な髪の毛、アレを使わない手はない。調べると、絹のようなき め細やかと強靭さ、織物に適した特性まで兼ね備えた理想的な繊維である 事がわかった。試しに織り上げ た布も大変強靭で肌触りも良く、絹に取って代わる製品と期待される。  問題はその入手法。  実装石の匂いがこびり付く為、野良を狩って刈り集めても商品価値はな い。  男たちは苦心した。これ程の髪を量産出来たならば、すべての繊維業界 がひっくり返るのに。海外に奪われた仕事をすべて、取り戻せるというの に。苦心して苦心して、それでも答えは出なかった。  そんな時だ、彼らの前に衝撃的な映像が飛び込んできたのは。  実装石を括り付け、体中をペンチでむしり取るなんとも残虐なショー。 しかしよく見ればむしった傍から再生し、見る間に血液が止まっていく姿 だった。  その異常な再生力に男たちは目を付けた。  野良から強奪するのではなく、実装石を牧畜すればいい!  その発想はまさしくコロンブスの卵であった。  しかし、その道は決して容易ではなかった。実装石には桁外れの食欲と 、半端な知識と道具を使えると言う特徴がある。それ故に牧畜は難しく、 ペットの繁殖のような形でしか増やすことは出来ない。これではコストが 掛かりすぎ、到底繊維業としてはやっていけなくなってしまう。だがあの 映像に寄れば、例え壁に括り付けていてもストレスで死ぬことはないのだ 。野生生物にあるまじき強いストレス耐性。これを利用する他、実装毛の 実用化はなかった。  早速、試作一号が組み上げられる。  実装石を逆さ釣りにし、皮バンドで止めた品だ。  これは失敗だった。四六時中デスゥデスゥと鳴き叫ばれ、仕事にならな かったのだ。  二号、三号と試作を繰り返すが自由を与えればコストがかさみ、自由を 奪えば騒音と悪臭で髪がダメになってしまう、回避出来ないジレンマに陥 った。実装石ではダメなのか。他の実装シリーズを使うべきなのか。  しかし、この問題は意外な方向から解決される。  虐待師、と呼ばれる実装石専門の調教屠殺屋。  ともすれば世界で最も実装石について詳しい男たち、彼らから重大な情 報がもたらされたのだ。 「実装石は加工出来ます。生きたままでも再生を調整する事で、その姿を 自由に変えられるのです」  頭皮さえ再生すればいい、その事実に男たちは方法論を変えた。  即ち、  ・騒々しい口を塞ぎ、手足を切断する。  ・栄養は点滴か流動食で与え、口、目、鼻は除去する。  ・頭皮は最大限の採取効率を得る為、平面にする。  ・排泄物は胃へ循環するようにパイプで接続する。  完全な機械システムの一部として、組み入れる事だった。数千とも数万 とも言われる、実装石の犠牲の果て。遂に男たちは完成させたのだ、寿命 が尽きるまで髪の毛を生産し続ける実装毛畑を。  最初の発想を得てから実に十年、苦節の日々だった。  だが男たちの挑戦は終わらない。よりよい品質を得る為の栄養作り、寿 命を延ばす為の設置法、遺伝子レベルでの改造など、日夜実装毛畑の改良 は続けられている。後数ヶ月で試作一号の実装毛畑が稼動を開始する予定 だ。月平均一千㌧の実装毛を採取する事を目標としている。 「最初はね、こいつ等をどうにか人の役に立てたいと思ったんですよ」  たっぷりの水と栄養剤が注がれた水槽、そこから頭だけ生やして並ぶ実 装石。その頭は判で押したように真っ平らで、一定まで伸びるとすぐさま 機械が剃り落としていく。そんな実装毛畑で開発者の「」氏は語る。 「でもね、完全機械化された現代で動物の出来る事なんて少ないですよ。 それでも役に立とうとしたら食肉か、と考えたんですけどね。いやはや、 やはりアレを喰いたいとは思いませんで。そこで髪の毛に注目した訳です 」  水槽から頭皮だけ出す実装石を見て、一目でわかる者は少ない。肌色の 丸太が髪の毛を生やしている、と言う表現が一番近いだろうか。音さえ出 さなくなった丸太は、今日も大量の実装毛を生み出してくれる。 「これで実装石が皆さんに受け入れてもらえればいいのですが」  「」氏は熱心な実装石愛護家だ。その有用性を示す為に始めた事業は、 今日も徐々に大きくなっている。  繊維その2  あの緑色の服は何であろうか?  多くの人間が疑問に持ち、また調べてみただろう。 「私が調べた結果、特定の個体の服はフェルトで出来ていました」  フェルトは織物ではない、繊維を圧縮させて作った物だ。羊毛などが厚 い地を持つ体毛は、大抵フェルトになっている。しかし、一見体毛の薄い 実装石がフェルトの服を作るというのは奇っ怪だ。 「最初は私も目を疑いました。てっきり織物の服を着ているのかと、いえ 、いきなり織物の服を着ている方が異常ですが。それで一匹、解剖してみ たんです」  その結果は驚くべきものだった。  実装石の表皮には肉眼では発見出来ないほど細かな毛穴が並び、ごくご く細い体毛を吐き出すようになっていた。細く弱い体毛は想像以上の密集 度で生え、絡まり、フェルトとなっていく。それが胎児期に発生する。こ の時、汗か体液か血液かわからないが、大量の緑色の実装汁を吸い込み、 例外なく緑に染まるのだという。 「成長に合わせて大きくなる服なんてありませんからね。体毛だったんで すよ、あの服は」  成長に合わせ大きくなる服も、一定段階まで発育すると毛穴の方が先に 死ぬ為、一生に一着程度しか生えないのだという。  しかし、当然例外も多数見かけられており、幾らでも服が再生する個体 もあった。  既に頭髪の実用化に向けた実験が行われていた頃。  当然、服の繊維もまた実用化に向けて動き始めた。 「何しろ、服のまま出てこられても使いようがありませんからね。そこか ら始めました」  既に彼らは実装石の身体を思いのまま歪める技術を得ていた。  まずは手足を落とし、手足を再生させず、毛穴だけ再生する事から始ま った。最初はただ手足を落とし焼いていたが、それでは焼いた部分から毛 が発生せず穴が開いてしまう。皮を残して切断し、傷口を皮で覆う事によ りこの問題は解決した。手足も腰もない実装筒は、身体部分の筒状の服を 何度でも再生する代物だ。  しかし、これでは首周りのよだれかけが邪魔だった。  頭部のほっかむりもまた、一枚の繊維に出来ないか。  顔面部分にもフェルトを発生させられないか。  元々小さくフェルトに過ぎない服は採算率が悪い。それを確かな商品に する為には、ハードルが髪よりも遙かに多かった。断念しようか、研究が 難航するたびに会社はそう訴える。 「でも、髪の毛だけじゃ実装石のありがたみが足りないと思ったんですよ 。緑の服なら彼女たちのトレードマークですからね、より多くの人間にも 愛されるんじゃないかと。ええ、理解を得る為です。手段も苦労も厭いま せんよ」  それは執念だった。  「」氏は実装石を世の人々に認めて貰いたく、ただの害獣じゃないとア ピールしたかったのだ。  可愛い等という不確実な基準ではない、明確な実用価値という基準で。  イヌやネコのように愛されなくても良い、ウシやブタのように共存出来 れば。  その努力は遂に、報われる。 「簡単な発想でした。要するに、首がなければ良かったんです」  手術は困難を極めた。  頭を切り落とし、顎から下を綺麗に剥がしてから肩から上を切り離した 胴と結びつける。  完全に首を取り外し、筒状に仕上げたのだ。  ほっかむりもよだれかけも、首が基準になっていると見抜いた「」氏の 執念であった。 「顔の方はここまで行けば簡単でした。顔を削ぎ落とし、代わりに別の実 装石の背中を植皮したんです」  そう言って箱からとりだしたのは、一匹の実装石……いや、緑色の丸太 の切れ端だった。そうとしか言い様のない、顔すらない服だけを延々と生 産し続けるモノ、それが改良に改良を重ねた実装石だという。既に五世代 を重ねており、布の質もだいぶ良くなった。 「元来、白い体毛らしいんですがね、それを体液で緑に染めている訳です 。実装染めとでも言いましょうか」  後数世代先になれば、生まれながらにこの姿となる実装石が出来上がる という。  その時こそ、「」氏の夢である実装染めの布地が世間に出回る事になる だろう。 「実装石は素晴らしい生き物です。この世のどんな生物より工業化に適応 してくれる。それをね、私は世界中に伝えたいんですよ」  「」氏の情熱は尽きない。  その情熱こそが実装石を世間に知らしめるのだと、彼は頑なに信じてい た。  その情熱こそが異なる二種族間の溝を埋め、共存へと進み出すのだと、 我々は思うのである。 (BGM:地上の星) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注釈. 及び後記.  05/04/22(金)20:00:00 *1:スレの中で話題がありアップローダーにあがっていた作品を追加しました。 *2:仮題をつけている場合もあります。その際は作者の方からの題名ご報告よろしくお願いします。 *3:改行や誤字脱字の修正を加えた作品もあります。勝手ながらご了承下さい。 *4:作品の記載もれやご報告などがありましたら保管庫の掲示板によろしくお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戻る

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1 Re: Name:匿名石 2024/03/02-16:08:56 No:00008842[申告]
素晴らしい実装加工産業スク
実装石はもっともっと非人道的にえげつなく容赦なく改造されてしまえ!
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