タイトル:【虐】 ありきたりの物ですが・・・。
ファイル:浅はかな元飼い実装家族の話・前編.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:24019 レス数:3
初投稿日時:2006/12/14-18:52:40修正日時:2006/12/14-18:52:40
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浅はかな元飼い実装家族の話・前編




仕事を終え、家に帰宅すると・・・・・・。
我が家の扉の前で蠢くものがある。 

大きめな実装石が何かをしている様だな。
とりあえず蹴り飛ばすか。

「デギィ!!!!!」

頭蓋がへこむ程度の加減で押さえた蹴りを熱心に仕事をしていた糞蟲に馳走する。
派手に転がって、廊下の隅で悶絶している糞蟲をとりあえず放置して、何をやっていたのかを確認する。

・・・・・・・・・郵便受けから仔蟲の下半身が生えているな。
下半身だけの仔蟲は郵便受けに挟まれている苦痛で、パンコンしながら足をパタパタ動かしてもがいている。

この処、実装石の託児に縁が有るようだな・・・・。
まったくもって忌々しいかぎりだ。

扉を開けて、郵便受けに引っかかっている仔蟲を引きずり出して近くにあったバケツの中に放り込んでおく。
その際、仔蟲の粗末な服と薄汚い髪の一部が千切れたが気にしない。

「チャガアアアアアアーーーーーー!!!!!!!」

大切な財産を半壊させられた仔蟲は半狂乱で叫ぶ。
いい気味だ。

電気をつけて中を見ると・・・・・何という事だ。
玄関と各部屋を繋ぐ廊下に3匹の薄汚い仔蟲が糞便を洩らしながら戯れているではないか!!!!
いきなり付いた照明と姉妹の悲鳴に驚いたようだが、俺を見ると直ぐに集まってきて各自媚を始める。

「テチュ〜ン♪テッチュウ♪」

「チュチューーン♪」

「テッチャ♪テッチー♪」

・・・・・・・今すぐ叩き潰したいなぁ。
でも我慢だ。
悲と苦と惨を絡めてから地獄に送らないと気がすまない。
許しがたい糞仔蟲どもを悶える姉妹が先に入っているバケツに次々と放り込み、蓋をしておく。
先ずは掃除だ・・・。
いや、その前にすることがあったな。


外に出て、親蟲が張り付いているはずの壁を見る。
・・・・いない?
床には赤緑の体液の染みが糸を引いて・・・・部屋の前を通り過ぎて・・・。
親と一緒にいた仔蟲2匹が血涙を流しながら盛大にパンコンしてへたり込んでいる様子が目に入る。
さらに視線を走らせてマンションの出入り口付近をみると・・・・這いずる親蟲が目に入る。

「ほら、駄目だろ?
 子供を見捨てて逃げんなよ。」

手近にあった傘を投げ槍の様に這いずって逃げようとする親蟲の背中に投擲する。

「ゲギュゥ!!!」

丁度階段を下りようとしていた無防備な背中に刺さり、串刺しなった傘の所為で身動きが取れなくなる親蟲。
見た目は70〜80センチ級の個体だな・・・。
少なく見積もっても5〜6年は生きている個体だ。
とりあえずリンガルのスイッチを入れて尋問しよう。
賢しければ相応しい罰と絶望に満ちた死を、糞蟲ならば苦悶に満ちた死を与える為にな。

「さて、糞蟲。
 この落とし前はどうつけて貰おうか?」

「デ・・デェェ・・・ニ・・ニンゲン・・・さん・・ごめん・・・なさいデスゥ・・・・。
 命だけは・・・命だけは勘弁して・・・デスゥ・・。」

「お前はしてはならないことをしたんだから、タダで済むはずがあるまい?
 お前だって自分の住処に生ゴミや糞を投げ込まれたら嫌だろ?」

「は・・・ハイデスゥ・・・・。
 で・・・でも、子供達を・・・幸せに・・・する為には・・・これしか無いんデス・・・。
 だ・・だから・・・無礼を・・・承知で・・・子供をさしあげた・・・んデスゥ・・・。」

無礼を承知で子供をさしあげた?
この糞蟲、随分と丁寧な言葉使いをするもんだな。
俺のリンガルは超高性能では無いが実装石の言葉を正確に翻訳する業務仕様だ。
それで丁寧語が訳されてくるとは・・・・?

串刺しでビクンビクンと痙攣している親蟲の頭巾を剥ぎ取り、後頭部を見る。
・・・あった。

特級実装石S59号、2001、12/24登録

元飼い蟲は赤緑の血泡を吐きながら俺に頭を下げ続ける。
悪いと思うなら始めからしなければいいのに、この糞蟲は。

「ごめんで済めば警察は要らない。
 お前には相応の対価を支払ってもらうぞ。」

「デゲェ・・・・・ゆるして・・・下さいデスゥ・・・。
 ワタシが家に帰らなかったら・・・残して来た子供たちが・・・死んでしまう・・・デスゥ。
 ど・・・どうが・・・お慈悲を・・・・デス・・。」

まだ仔蟲がいるというのか?
こいつの餓鬼どもはどう見ても2週目に入った仔実装だ。
2週目に入った時点で6匹以上の仔実装がいるということは・・・・。

とりあえず部屋に道具箱を取りに戻る。
その際に部屋の前にへたり込んでいた仔蟲2匹も姉妹と同じバケツの中に叩き込んで置く。
叩き込んだ衝撃でパンコンしていたパンツが破裂してバケツ内が糞塗れになったが・・・・気にしないでおこう。

まったく、糞濡れの廊下を爪先立ちで抜けて行くのは気分が良くないな。
道具箱を物入れから出してきて親蟲の元に向かう。


無言で親蟲を貫いていた傘を抜き、悶える親蟲に栄養剤注射をして首に縄を括り付ける。

「じゃあ、お前さんの家に子供を迎えに行こうか。
 首を長くして待っているだろうからな。」

「デェ!!!!で、でもニンゲンさ・・。
 ギャバ!!!」

「様だろ?糞蟲。
 飼い蟲が人間のことを呼ぶ際にはちゃんと様を付けろ調教師に教わらなかったか?」

「は・・・ハイデスゥ・・・に・・ニンゲン様ぁ・・・。」

「よろしい、で何かな?」

「ワ、ワタシのお家に・・・何の御用があるんデスか。」

「お前のひり出した餓鬼に用が有るんだよ。
 ・・・・まあ、お前は分かっているんだろ?
 自分がこれからどうなるのかを。」

「で・・デスゥ。
 どうか許してくださいデスゥ!!
 これは気の迷いだったんデスゥ!!
 これからは心を改めてニンゲン様方に迷惑を掛けないように勤めますからどうか許してくださいデスゥ!!!」

太ももに軽く蹴りをぶち込んでから、

「だから許さないって言ってるんだよ。
 ・・・・だが、俺も鬼じゃない。
 お前ら家族の中で一匹だけ生かしておいてやろうと思うんだ。
 その際に家に残された仔蟲どもはそのチャンスにあやかる事が出来ないだろ?
 その不平等を解決する為にワザワザ迎えに行こうって言ってるんだよ。」

「え・・・・あ、あのう・・・子供達はニンゲン様のお家に預けたのが全部・・デスゥ。
 ワタシのお家には誰もいないから無駄足になるデス・・・。」

取り繕いの嘘を吐く親蟲の尻を浮き上がるほど激しく蹴り上げてやる。

「嘘はいかんよ、嘘は。
 さっき家に残してきた餓鬼が心配だって言ったじゃないか。
 逃げ出す為の嘘だとしたら・・・・今すぐお仕置きをしないといけないな。」

「デ、デエエエ!!!!!」

怯える親蟲。
飼い実装の思い浮かべるお仕置きとは、調教師が躾の際に見せた落伍者の処刑のことだろう。
良い子になるための努力を促進する為の見せしめと人間の不興を買うことは最悪な結果を招くことだということを
トラウマになるほど深く心に刻まれた特級飼い実装は実装石とは思えないぐらいの従順さを自然と持つことになる。

特にランクの高い特級飼い実装はどんなに飼い主が甘やかそうと、
平身低頭で聞き訳が良く物静かな飼い実装で有り続けようとする。
その笑顔の裏にどんな悪意が潜んでいるか分からない。
もし本当の自分をさらけ出したら・・・・、
先生みたいに豹変して嬲り殺されるかも知れないという恐怖が特級飼い実装を支配しているからだ・・・。

その恐怖による保障も大体2〜3年も持てば上等だろう。
いくらどん臭い実装石でも飼い主に害意がないことを悟れば徐々に調教師の教えを忘れてゆく。
特に自身も躾のなっていない溺愛派に飼われた飼い実装はな・・・・。

話が逸れた・・。
面倒になる前に仔蟲どもを回収しに行くとしよう。
ブルブル震えて体液を吐く親蟲を引きずって夜の散歩に赴く。



親蟲を蹴りながら人通りの無い道を歩く。
15分ほど歩くと目的地に到着する。

「ここがお前の家か?」

「は・・・はいデスゥ・・・ニンゲン様・・。」

この飼い実装崩れのご自宅は廃屋の軒下だった。
これは分かりにくいな・・・・。
大型の台風でもきたら丸ごと吹っ飛んでいきそうなあばら家の軒下に段ボールの家を作って住んでいるらしい。
ここなら人間はおろか、清掃局の巡廻部隊も足を踏み入れないな・・・。
住宅地の奥の方にあり塀で囲まれているため、多少仔蟲どもが破目を外して騒いでも外敵に見つかることはない。

そこら中にある水の溜まった発砲スチロールの箱を水場に利用し、便所は雨どいの排水溝を使っている様だ。
餌もかなりのストックを抱えている様で、
ビニール袋に詰まったカビたパンなどを筆頭に様々な乾いた生ゴミがあばら家の中に溜め込まれている。

それとこの親蟲は同族を家畜にしている様だ・・・。
仔蟲達では辿り着けない場所に3匹もの仔産み奴隷が飼われていた。
手足が生えなくなるまで食いちぎられており、禿裸のダルマ実装石が一匹ずつ仕切られた狭い空間の中で蠢いていた。
そのうちの1匹は仔蟲を産み落としており、
粘液を舐め取ってやらずに長時間放置された所為で全ての仔蟲が蛆ちゃんの様に這いずっていた。

「中々豪勢な生活をしていたようだな。
 野良実装が望みうる最高の住居を持ってるくせに高望みをするから全てを失うことになる。」

「デデェ・・・でもニンゲン様に飼われる生活に較べれば・・・・こんな物下らないことデスゥ。」

生意気なことを仰る親蟲の蹴り飛ばして、仔蟲を連れ出すように命じる。
俺が建物の影に隠れると、親蟲は軒下の自宅に隠れている仔蟲たちを呼び出す。

「ママが帰ったデスよ!!
 皆出てくるデスゥ!!」

しばらくすると軒下から仔蟲達がワラワラと這い出してきて親蟲のところに寄ってくる。

「「「ママァ早くごはん食わせるテチ!」」」

「今日はお肉が食いたいテチ!!」

「「ごはんごはんテチ♪」」

・・・・計6匹か。
少し待ってみるがこれ以上は湧き出てこない様子。
俺が姿を現すと仔蟲どもは親蟲の後ろに隠れるが、
大した時間も経たないうちに出てきてテチテチ喚き始める。

「仔蟲どもをこの袋に入れろ。」

騒ぎたてる仔蟲どもに狼狽する親蟲に向かってビニール袋を投げ渡す。
親蟲は慌てて袋を広げると騒ぎ立てる仔蟲を次々と袋の中に放り込んで口を縛り、俺に差し出してくる。

「お前が持つに決まってるだろうが。
 俺に生ゴミを持たせて自分は手ぶらで付いてくるつもりだったのか?」

傍に転がっていた折れた竹ざおで親蟲の頭を何度も引っ叩く。

「ご、ゴメンナサイデスゥ!!
 心配りが足らない愚かなワタシをお許しくださいデスゥ!!!」

心にも無いことを抜かして許しを請う親蟲を折れた竹ざおの先端で突きまわしながら帰路に着く。


突然ビニール袋に詰められた仔蟲どもは発狂したように騒ぎ立てて袋の中で暴れまわっていた。
親蟲が怒声を発しても騒ぎは収まらず、むしろ騒ぎは大きくなるばかり。

少々耳障りなのでビニール袋ごと親蟲を蹴り飛ばしてやる。

「デギィ!!!」

「「「「「「テチャァァ!!!!!」」」」」」

「夜は静かにするもんだろ?
 黙って歩け糞蟲ども。」

「デェェ・・・ゴメンナサイデスゥ・・。」

親蟲は中身の状態も確認せずに再度仔蟲入りのビニール袋を担ぎ上げて歩き出す。
袋内の仔蟲どもは突然襲ってきた激痛に満足したようで、メソメソすすり泣くだけになった。
再度、親蟲を突きまわしながら家に戻る道を辿る。





さて、糞蟲親子が全員揃った所で落とし前を付けてもらおうか。
賢いと思われる託児された仔蟲どもはバケツに入れっぱなししておき、
回収してきた出来損ないどもと親蟲をユニットバスの浴槽内に放り込む。

「さて、一家が揃った所でお前の不始末のケジメを付けてもらおうか。」

「デェェェェ!!!!!ど、どうか子供達だけは助けてくださいデスゥ!!!!!
 子供が汚した所はワタシがちゃんとお掃除しますデス!
 子供の粗相はワタシが代わりに責任を取りますからどうか子供の命だけは助けてくださいデスゥ!!!!」

「駄目だよ。
 それでは俺の気が晴れない。
 しんどい仕事を終えて憩いの我が家に帰ってきてみれば・・・・糞蟲どもが我が物顔で居座っている。
 しかも玄関と廊下を糞塗れにして、あまつさえ自分たちの世話をしろと抜かす。
 お前が同じことをやられたら、哀れで恵まれないカワイソウな仔を世話してあげますなんて言えるのか?
 どうなんだよ?」

「デ、デェェ・・・・・。
 で、でもワタシたちが幸せになるためにはコレしかないんデス。
 ニンゲン様の寵愛を受けることだけが・・・ワタシ達の幸せに繋がっているんデス。
 ワタシは学校の先生に教えられたお勉強をこの仔達に教えて、ワタシと同じような賢い仔に育てたハズデス。
 ニンゲン様に差し上げた賢い仔達にもそれは言い聞かせましたデス。」

「だが、お前も餓鬼も無能だから大した不始末を仕出かしてくれた。
 ・・・・・それとお前は俺の質問に答えてないぞ。
 言い訳を聞かせろとは一言も言ってない。
 お前が俺と同じ目にあったらどうするかと聞いているんだよ。」

浴槽を軽く蹴って親蟲どもを脅す。
S級だけあってかなり知能を持っているようだが、実装石であることからは解脱出来ていないな。
自らの手で幸せを探そうとせず人間に寄生して何の努力もせずに手に入れようとする浅はかさ、
食欲と虚栄心が満たされることが幸せなのだと勘違いしている愚かさがな。

「に・・・ニンゲン様、ワタシなら・・・その仔達を保護するデスゥ。
 小さくて何にも出来ない仔が困っていたら・・・助けるのが人の道デス・・・。」

「・・・・・・・・・ぷっ。」

愉快なことを仰る糞蟲ちゃん、大したジョークの素質を持っている。
人の道がどうのこうのと言う前に公衆道徳というものを再勉強し直した方がいいと思うぞ。
少なくても捨てられた子猫が勝手に家に上がりこんできて世話をしろとは言わない。

「まあ、お前らに人間の常識を問うた俺も悪かったな。
 ・・・・・お前らがそういう態度なら俺も為すべきことをするだけ。
 紳士の時間はもう終わりだ。」

そう言って、相変わらずテチテチ五月蝿い仔蟲の一匹を摘み上げて頭と体を掴んで強引に引き千切りにかかる。

「チャギャアアアアアアアァァァァアアァーーーーーーーーーー!!!!!!」

「デェェェェェーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「「「「「テェェェェェーーーーーー!!!!!!!!」」」」」

悲鳴を上げる一家。
仔蟲は俺の暴力から逃れようと猛烈に暴れるが、何の意味も無い。
ミシミシッと肉が裂け、通常の2倍程まで伸びる仔蟲の首。

「止めてくださいデスゥ!!!
 ワタシが悪いんデス!!その仔には罪は無いんデスゥ!!!!」

親蟲の戯言を無視して、仔蟲に止めを刺す。
首を無理矢理伸ばされて悶絶している仔蟲の頭を勢い良く引き抜く。

ズリュッ!

湿り気を帯びた音がして仔蟲の頭と体が別れる。

「お前のせいで子供が死んでしまったよ。」

「・・・・・・・・・・デ、デ、デェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!」

仔蟲だった物を横の洋式トイレに投げ捨てて流し、次の仔蟲の始末に掛かる。

「「テェェェ!!!!ママァ!!どれいがおそってくるテチィ!!」」

「「いもうとがころされたテチ!!!」」

「いやテチィ!!ママなんとかするテチィ!!!」

やれやれふざけた仔蟲ちゃんどもだな。
人のことを奴隷呼ばわりした躾のなっていない仔蟲二匹を同時に摘み上げて首ポンの刑に処す。
体を死なない程度に握りつぶし、ジワジワと首を引き伸ばしてゆく。

「「チャガアアアアアアアアッーーーーーー!!!!!!」」

「止めてデスゥ!!!その仔達にはよく言い聞かせて謝らせるデスから許してあげてくださいデスゥーーー!!!」

「ハハハハッ!!寝ぼけるな糞蟲。
 低脳仔蟲の末路をお前も知ってるだろ?
 コレもお前の責任だ。
 子供を賢く育てようとしなかった怠慢のツケだと思え。」

「ハバアァァーーーー!!!」

「チュブウウゥーーーーー!!!」

ズリュッ!ズリュッ!

湿った音と共に奇妙な断末魔を上げる仔蟲の首が抜ける。
脊椎をまるごとぶら下げた仔蟲の生首は根の生えかけたヒヤシンスの球根みたいだ。
親蟲と生き残りの仔蟲に良く見えるように目の前でブラブラさせた後洋式トイレに捨てて流し、
狂ったように騒ぎ立てる仔蟲を更に一匹攫う。

「お前は愚かなママの所為で死ぬんだよ。
 ほら、ママに今生の別れを告げるんだ。」

「いやテチィ!!いやテチィ!!いやテチィ!!いやテチィ!!
 ママァ!!はやくカワイイワタチをたちゅけるテチィ!!!」

「芸が無いな仔蟲、じゃあ死のうね。」

今度は問答無用で勢い良く首ポンをする。

ズリュッ!

突然鳴き声を出せなくなった仔蟲は目玉をギョロギョロさせている。

「お前の子供はブサイク揃いだな糞蟲。
 見ろよ、あまりに愚鈍だから死んだことも分からない様だぞ。」

「アアアアアアアアアアアアアアッーーーーーーーー!!!!!!!!」

絶叫して残った仔蟲2匹を抱え込む親蟲にまだ意識のある生首を叩き付け、
気を逸らさせてもう一匹仔蟲を攫う。

「無能なママに遺言はあるかな?
 少し待ってやるから手短に伝えるといい。」

「おねがいママァ!!!これからはいちばんいいこになりまちゅテチ!!
 だから、だから!!!かわいいワタチをたちゅけてェ!!!!!」

「個性が無いな。
 テンプレ物の命乞いは零点だ。」

頭を180度捻ってから一気に首を抜く。

「マビィィィィィィィィィィッーーーーーーーーーー!!!!!」

ズリュッ!

おお、断末魔の悲鳴は個性的だな。


浴槽の中で抱き合って震える親仔蟲。
親蟲は手元に残った最後の仔蟲を奪われまいとしっかり抱きかかえ、俺に背を向けて丸まっている。

「さて、親蟲。
 お前の子供は手元の1匹と俺に擦り付けてきた6匹になったな。
 そこでだ、お前に選択肢を与えよう。」

親蟲は顔を上げてこちらを見ておずおずと答える。

「せ・・選択デスか・・・?
 もう子供を殺さない欲しいデスゥ・・・・。」

「それはお前次第だ。
 でな、お前は手元のクズと俺に寄越した糞どものどちらが大事なのかな?
 好きな方を選ばせてやるから3分以内に決めろ。」

「デ、デェェ!! 
 ど・・・どういうことデスゥ。
 この仔とニンゲン様に差し上げた仔たちのどちらも大事デス・・・。」

「ほら、15秒経ったぞ。」

「ニ、ニンゲン様、ワタシにどうしろと仰るんデスゥ!!
 何をしたらいいのか分からないデス!」

「30秒経過。」

「デェェェェ!!!!お願いデスゥ!!
 どうか、どうかヒントを下さいデスゥ!!!」

「・・・・・1分経過。
 頭の悪いお前にも分かるように言うとな、・・・・要するに生かしたい仔蟲を選べということだ。」

「ど、どうして・・・そんなことをしなければならないんデスゥ!!!
 お願いデスゥ!!ワタシはどうなってもいいから子供達は許してくださいデスゥ!!!」

「1分30秒経過、お前にも責任は取ってもらうが、部屋を汚した仔蟲どもが死んで責任を取るのは当然のこと。
 お前だって同族が自分に向かって粗相をしたら死をもって償わせているだろ?
 つまりはそういうことだ。」

「デェェェェェーーーーーー!!!!どうしてどうしてどうしてェェェーーーーーー!!!!
 お願いデスゥ!!!!!子供をこれ以上殺さないデェェェ!!!!!!」

「2分15秒経過、お前のタダで何かを得ようとする態度が気に入らないな。」

「デスゥ!!!ワタシを好きにしていいからどうか子供を許してデスゥ!!!!」

「2分30秒経過、ふざけていると殺すぞ?
 欲張っていると何もかもを失うことになる、そこの所を良く考えて答えを出しな。」

「デスデスデスデスデスデスデスデスゥ!!!!!
 どうかどうか子供たちを許してくださいデスゥ!!!!!!」

「3分経過・・・・さて、答えを聞こうか?
 手元のクズ一匹か、俺に寄越した糞蟲6匹。
 お前の生かしておきたい方はどちら?」

「デデデデデデデデデ・・・・・・・。」

脂汗を滝の様に流し、目玉をギョロギョロ動かしながら必死に考える親蟲。

「この選択に答えたら、お前と選んだ方の仔蟲をとりあえず生かしておいてやるよ。
 これで簡単に答えが出せるだろ?」

「選ばれなかった仔は・・・・どうなるんデスゥ・・・。」

「言うまでも無く駆除するぞ。
 生ゴミはきちんと片付けないと臭いからな。」

ドプゥッと血涙を垂れ流す親蟲。
S級になると演技も真に迫った物になるんだな。

「ほらさっさと決めろ。
 早くしないと皆殺すぞ?」

「あ・・・・・あ・・・。
 わ・・・分かりましたデスゥ。
 ワタシは・・・・・・ニンゲン様に・・・差し上げた仔達を生かしたいデス・・・。」

「まあ、いいだろう。
 望みどおり糞を洩らしていた不法侵入仔蟲どもを生かしておこう。
 で、お前が抱えている仔蟲に「お前はバカで無能だから要らないデス」と伝えてから俺に渡せ。
 そうしたら契約成立としよう。
 さあ?」

親蟲に抱えられた落ちこぼれ姉妹の最後の一匹は目を剥いて俺を睨み付ける。

奴隷が何を生意気なことをほざいているんだ!
可愛く高貴なワタチをブサイクどもと同じ目にあわせるとでもいうのか!
そんなことママが許すはずない!
ワタチはママの子供の中で一番賢く可愛く気品に溢れているお姫様なんだから!
さあ、ママこの奴隷をぶちのめしてかわいいワタチに服従させるテチ!!!

親蟲のことを見上げながら愉快な戯言を申す仔蟲。
脳タリンの仔蟲を親蟲は持ち替えて向き合うように抱きかかえる。
そして、

「お前は・・・・・バカでブサイクで低脳だからいらないデス・・・・。
 お前みたいなブサイクな糞蟲が・・・美しく賢いワタシの仔のはずが無いデスゥ・・・。
 さっさとニンゲン様に断罪されて・・・死ぬがいいデス。」

そういって仔蟲を俺に手渡す親蟲。
暫しの沈黙の後、仔蟲は猛烈に暴れて俺の手から逃れようと躍起になるがそれは無理なこと。
頭と体をしっかり掴んで首ポンの刑を執行する。

「チャガガガガガガガガガガァァァァーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

「ほら、お前が見捨てた餓鬼が死んでゆくよ。
 ママ痛い、ママ助けてって必死にお願いしているんじゃないのかな?」

「デウウウウ・・・・。」

「目を逸らすな。 
 ちゃんと最後まで直視しないと他の餓鬼も始末するぞ。」

「デェェ・・・辛いデスゥ・・・。
 早く死ねデスゥ・・・。」

「ヒベベベべべェェーーーーーー!!!!
 ババァ!!早くぅカワイィィ!!ワタチィを!!たちゅぅぶ!!」

ゆっくりジワジワと首抜きをしているから仔蟲にも断末魔の呪いを吐く時間が多少存在している。
刑を執行している俺よりも土壇場で自分を裏切った親蟲の方に怒りが向いている様子。

「アッアァーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ズリュッ!

悲痛な悲鳴と共に、仔蟲の頭と体が二つに分かれる。

「ほら、いらないと言った子供の生首だよ。
 生きていた時よりは幾分がマシな顔になったな。
 記念にやるよ、ほら。」

憤怒の貌が刻まれた仔蟲の生首を親蟲に叩きつける。
親蟲はまたドプゥッと血涙を垂れ流す。
本当に演技がお上手。

「今日はこの辺で勘弁してやる。
 明後日まで飲まず食わずで自分の犯した罪を反省しな。」

一気に6匹の子供を失い意気消沈した親蟲を2重に重ねたゴミ袋に詰めてベランダに捨て置く。
何か抜かしているようだが気にしない。
言い訳と命乞いは明後日の休日の時に聞き流してやるよ。
それまで精々生き延びろよ。
今日明日はかなり冷え込むらしいからな。




約束の2日後。
親蟲を仮の住まいから開放してやる。
空気がピンと張って痛いぐらい寒い朝の中、ゴミ袋から親蟲を外に出す。
ここ2日の朝は気温が一気に10℃ぐらい落ちるようになったから親蟲の生死が気になる所。

「お早うございます、元飼い糞蟲ちゃん♪
 お加減はいかがですか?」

あまり体型は変わっていない。
口の周りが緑色に汚れているから糞を食って腹塞ぎをしていた様だ。
それと記念にくれてやった仔蟲の生首も無い。

「子供は旨かったか?」

「デ・・・・デデゥ・・・。
 さむい・・・デスゥ・・・・からだが・・・うごかな・・・いデスゥ・・・。
 体中いたい・・・デスゥ。
 ・・・・ニン・・ゲン様ぁ・・・どうか・・・あたたかいお家の中に・・・いれて欲しい・・デスゥ・・。」

「質問に答えろ糞蟲。」

死なない程度に蹴りをぶち込むと親蟲の片腕がボキッと折れた。
寒さで体がガチガチに固まっていたからいつも以上に打撃系が有効になる様だ。

「デガガガがアアああアッーーーーーーー!!!!!」

「何だ?元気じゃないか。
 で、子供は旨かったのか?」

「デデデデデデゥゥゥゥ・・・・。
 わ・・ワタシは子供なんか食ってないデスゥ!!!」

「嘘吐けよ、一緒に入れてやったクズ仔蟲の生首が無いじゃないか。
 密閉された空間で死んだ仔蟲の生首が独りで外に出たとでもいいたいのか?
 ・・・・なあ、親蟲。
 特級飼い実装が嘘を吐いたらどうなるのか、お前は忘れてしまったのかな?」

真っ青になって震えだす親蟲。
調教師によって刻み込まれた躾は長い野良生活を経ても今だにコイツのことを縛り続けている様子。
ほんの少し人間がほのめかしてやれば、すぐさま昔の様に聞き分けがいい特級飼い実装に戻るのだからな。

「ゴ・・ゴメンナサイデスゥ・・・・。
 ワタシは嘘を・・・吐いたデスゥ・・・。
 ・・・・ワタシは・・・子供を食べたデスゥ・・。
 あれは、もう・・・ワタシの仔じゃないから・・・食べたんデスゥ・・・。」

「この偽善蟲が。」

単純明快なコメントに打ちひしがれて、酷く悲痛な顔をして俺を見上げる親蟲。

「とりあえず嘘を吐いたペナルティだ。」

親蟲の左耳を頭巾ごと毟る。

「デギャアアアアアアッーーーーーーー!!!!!」

「黙らないと右耳も行くぞ?」

慌てて動かせる腕を口に突っ込んで絶叫を押さえ込む親蟲。
血涙を流し、ビクビクと細かく震えながら必死に痛みを堪えている。
口に自ら突っ込んだ手は強く噛み過ぎた為に歯が深くめり込んで出血している。
賢いなぁ・・・、あと一秒でも騒いでいたら腸をつかみ出してやろうと思っていたのに惜しいことだ。

「さて、余興はこの位にして・・・・本題に入ろうか?
 お前さんが何でここにいて、どうしてこんな目に遭わなければならないのかは十分理解していただけているかな?」

毟られた傷口が止血されて多少痛みが引いた様子の親蟲は、口から難儀そうに手を引き抜いて俺の方を向き直り、
おずおずと喋り出す。

「・・・・・ワタシの子供達が・・・ニンゲン様のお宅に無断で上がり込んで粗相をしたからデスゥ・・。
 ワタシが愚かなことを・・・思いついてしまったから・・・ニンゲン様のお裁きを受けなければならないんデス・・。」

「まあそんな所だな。
 流石はS級の元特級飼い実装だな。
 普通の糞蟲なら説教強盗みたいに居直るのが定番だが、ちゃんと自分の罪を理解しているらしい。
 偉い偉い♪」

大変不安そうな親蟲を他所に俺は続ける。

「でもな、まだ俺の怒りは収まっていないんだよ。
 ・・・・お前の擦り付けてきた糞仔蟲どもは本当に躾がなってないな。
 謝るどころか、不貞腐れて俺に向かって糞投げをしたんだぞ。
 お前は最高の躾を施した自慢の子供達だと抜かしていたが、どの辺がそうなのか説明してくれるか?」

「ゴゴゴゴゴゴゴ、ゴメンナサイデスゥ!!!!
 あの仔達にはワタシからきつく言い聞かせるデスから!!どうか殺さないで下さいデスゥ!!!」

土下座で頭を何度も地面に叩きつけながら許しを請う親蟲。

「まあ、安心しろ。 
 まだ一匹も処刑してないから。」

そう言いながら親蟲の前に大型のジャムのビンを6個置く。

「デデデェ!!!」

「禿裸の2匹が躾のなってない仔蟲だ。
 他の奴は辛うじてお前のお勉強を理解できている奴なのかもな。」

置かれたビンの中に鎮座していたのは親蟲のひり出した自慢の子供たち。
暗い箱の中から急に外に出されたために光の目潰しで悶えていた仔蟲達。
だが目が慣れ、自分たちの目の前に居るのが助けを求め続けたママであることが分かると一概にテチテチ騒ぎ始める。
全ての仔蟲が悲痛な顔で親蟲に助けを求める。

俺の暗い笑いに気付いた親蟲は大声を上げて仔蟲どもに静かにするように命令する。
シンと静まり返るベランダ。
ほほう、大口を叩くだけはあってこの程度の躾は施してあるのか。

「それでは本題に入ろう。
 親蟲にはこれから毎日一匹ずつ仔蟲を選んでもらう。」

「デデェ!!!」

中々鋭いな、俺の言いたいことを漠然とながら理解してくれた様だ。

「そして仔蟲が最後の一匹になった時に、お前と生き残りの仔蟲に自分のアピールをしてもらおう。
 そのアピール次第で二匹の内の片方を飼育してやる。」

親蟲が片手を上げて発言を求める。

「どうぞ。」

「あ、あのう・・・ニンゲン様。
 ワタシが選んだ仔は・・・・やっぱり・・・。」

「うん、殺すよ。
 この上なく惨たらしい方法でな。」

「・・・・・・・・・・・・酷いデスゥ。」

俺は禿裸が詰まっているビンを持ち上げて細かく左右に振る。
中の仔蟲はビンの内壁にたたき付けられて悲鳴を上げる。

「酷いと言いたいのは俺の方だよ。
 俺はな、お前らが人間に寄生しないで生きる分には一向に構わないと思うんだ。
 だが、何をトチ狂ってか知らんが無様で低脳で救いようの無い体も心も醜い生き物の癖に
 自分たちのことを至高の存在だと思い込んで他の生物に迷惑を掛ける。
 ・・・まあ、人間もお前さんたちことをとやかく言えるほど立派だとは思ってないが、
 少なくても自分の力で生きようとはする。
 でも、お前ら実装石はそれすらをしようとしない。」

「ワタシはご主人様に捨てられてからは必死に生きてきたデスゥ」

「なら、お前の子供はどうしている。
 野良として生きているのか?
 虐殺派、虐待派の狩りや清掃局の駆除で死んだのか?
 それとも・・・・人間に飼われようと媚びて殺されたか?
 どうなんだ?」

「デエェ・・・そ、それは・・・・・。」

「自分が安寧な生活に戻る為の道具として全て人間に託児して見殺しにしたんだろ?
 顔に描いてあるぜ。」

「デスゥ!!!そ、そんなことないデスゥ!!
 ・・・・・ワタシの子供らは・・・・皆ニンゲン様たちに殺されたデス・・・。」

「託児してだろ?
 ここ数年間、ドアに郵便受けが有るタイプの家に直接託児をする実装石がいるって話が
 虐待派のコミュニティで度々話題に上がっていたんだよ。
 殺されずに実装研まで廻されてきた仔蟲のDNAを調べたら全てが同じ親から生まれたって結果が出たそうだ。
 普通の実装石には人間の家の前まで来て、子供だけを託児して姿を隠して様子を窺う様な警戒心の強い奴はまずいない。
 一家総出で人間様の家に押し込んで愚かな要求を突きつけて地獄に落ちるものだ。
 お前は子供を囮にして人間の出方を見ていたんだろ?
 だから全ての子供を間引かずにバカな仔蟲には理解できない待遇差を付けて生かして置く、
 囮は多い方がチャンスが増えていいからな。」

「デデェ・・・・。
 わ、ワタシは・・・そんなつもりじゃ・・・。」

「それはいい。
 どうして、俺の家に6匹も仔蟲を放り込んだんだ?
 聞いた話だと、お前はたいてい多くて2匹の仔蟲を託児するらしいが・・・・。」

「そ・・・それは、ニンゲン様のお家からとてもいい匂いがするのを何度も嗅いでいたからデスゥ。
 ワタシが昔飼われていたときに食べていたご飯と同じ匂いがデス。
 だから・・・ワタシは出来の良い仔達を皆ニンゲン様に差し上げて気に入ってもらおうと思ったんデスゥ♪」

所詮は実装石か。
昔の待遇に心惑わされて子供を捨て駒にしようとした様だ。

「人間が実装石を嫌っていることにお前は気付いていないのかな?
 自分が捨てられた理由や、野良実装が発見され次第駆除される状況を見て分からないのか?
 託児された子供に待っている処遇は遅かれ早かれ死ぬしかないということを。」

「だ、だってニンゲン様達は勝手デスゥ!!
 ワタシのことをあんなに可愛がってくれたのに手のひらを返すように捨てるんデス!!!
 ワタシ達特級飼い実装はニンゲン様に愛される為だけに生まれてきたんデス!!
 ワタシ達は素敵なご主人様の元で愛され可愛がられて幸せになるために、
 お友達が次々と死んでいく中で地獄のお勉強にも耐えて来たんデスゥ!!
 なのにどうして?
 ニンゲン様たちはとてもカワイソウなワタシをいじめるんデスゥ!!!」

逆切れ気味になっている親蟲。
不満が爆発する一歩手前と言った様相だ。
とりあえず自分の置かれた状況を再度認識してもらう為にキツ目の踵落としを馳走する。

「ギュバァァアァ!!!!」

頭の右側面を陥没させた親蟲が叫び、飛び出した右目を振り回しながら苦悶のダンスを踊る。

「何故、人間に飼われようとするのか?
 どうして、自分の手で幸せを探し、掴もうと努力しないのか?
 是非とも実装石の中でもっとも賢いとされる元S級の特級飼い実装であるお前に聞きたいな?
 どうなのよ、その辺の処?」

「だ・・・だってワタシ達はそれしか知らないんデスゥ!!!」

まあどんなに賢かろうと、所詮は実装石だからこの程度回答しか出てこなくても仕方ないか・・・。
これ以上会話を続けても成果は出てこないだろう。



「まあいい、ではお前の為すべき事をしてもらおう。
 この6匹の内から要らない仔蟲を選べ。」

「・・・・デェ・・・。
 ほ、本当にやらなければいけないんデスか・・。
 バカな仔を殺すだけでは許してもらえないんデスか?」

「自分だけが助かればいいと考え方を特級飼い実装が持ってはいけないんじゃないかな?
 S級の特級飼い実装だったら・・・・自分が惨死してもいいから子供を助けてくださいと
 言って自ら偽石を抉り出して砕くもんじゃないのかい?」

「そ・・・そんな・・・それじゃワタシが死んじゃうデスゥ!!」

「家族全員が最低100回ずつ死ななければ清算されないぐらいの大罪を犯しておいてその言い草はないだろ。
 そんな中、俺はお前たちの中の一匹だけに慈悲を掛けて飼ってやると言ってるんだ。
 これ以上の恩赦は存在しないだろう?
 で、どれにするんだ?」

「デデデデェ・・・・。」

「選べないなら俺が選んでやろう。」

俺は6匹の中で一番賢そうな仔蟲のビンを持ち上げる。

「デデゥ!!わ、分かりましたデスゥ!!
 選ぶデス!だ、だからその仔は勘弁してくださいデスゥ!!」

コイツが本命か。
ビンに印を付けておこう。

「で、どいつだ?」

親蟲は震える手で泣き叫ぶ禿裸の仔蟲が入っているビンの片方を示す。

「こ・・・この仔は要らない仔デス。
 ワタシの・・・お勉強を真面目に理解しないで、上っ面だけは良い仔を演じていたコイツは・・・。
 この糞蟲は・・・要らない仔デスゥ!!」

「マ、ママァ!!!な、なんテェ!!」

「決まったのなら結構。
 では、要らない生ゴミの始末を始めるよ。」

明日まで生存することを許された仔蟲達の生命を維持ために最低限の栄養と体臭消しのドクダミエキスを注射して、
元々入れていた箱の中に戻す。

ママに捨てられなかったことに安堵してへたり込む仔蟲、
恐慌状態から冷めずに騒ぎ続ける仔蟲、
自分の未来をおぼろげに理解して血涙を流して啼く仔蟲、
姉妹をニンゲンに売ったママを非難して騒ぐ仔蟲、
静かにビンの内壁に張り付いてママを見つめる仔蟲。

色々なアクションを起こしている仔蟲入りの箱をベランダの隅に置いて、要らない仔蟲と親蟲の二匹きりにしてやる。

「ママァなんテェ!!どうちてみんなの中で一番かわいくて賢いワタチが要らない仔なんテチィ!!!
 ママはワタチがニンゲンのお気に入りになるって言ってたテチ!!
 だったらカワイイワタチを助けるのが当然テチ!!」

「・・・・あれは、嘘デスゥ。
 お前はあの仔達に悪い見本を見せるためだけに生かして置いたんデス。
 お前は・・・こう言うことを言ってはいけない、
 こういうことをしたらニンゲン様に嫌われるという行動を実践する生きた教材みたいなものデス。
 だから、お前ともう一匹は他の賢い仔と隔離してご飯を喰わせていたんです。」

「テェ・・・・。」

あまりの事に言葉を失う禿裸の仔蟲。

ワタチは一番じゃなかった・・・。
ワタチはタダの道具にしか過ぎなかったの・・・・。

仔蟲はビンの中でへたり込んでしまう。
全てが親によって否定されたことが余程ショックだった様だな。

「酷い親が居たもんだ。
 子供を道具扱いしてまで人間に飼われたいのか?」

「デェェ・・・ワタシたち特級飼い実装にとっては・・・ニンゲン様に愛されることが全てなんデス・・・。
 それ以外は余分なことなんデス・・・。」

この辺は長い野良生活の所為で躾の一部に自身の欲望が混ざり合ってしまっているらしい。



少々話が逸れるが、飼い実装が飼い犬や飼い猫の様に飼い主の元で天寿を真っ当できることは非常に少ない。
その理由は子供の出産に有る。

飼い実装が子供を産むと言うことは非常に危険なこと。
何故なら、子供は唯の実装石として生まれてくるからだ。

唯の実装石・・・それは自己中心的で知能の低い公園に住んでいる野良実装の様に無様なモノのこと。
そんな物を実装石の知識が無い一般人や愛護派に躾ける事は不可能と言っても過言ではない。
実装石に分を弁えさせ、礼節を叩き込む為の方法は唯一つ・・・・死に至る程度の拷問じみた調教だ。

コレを上記の人間がすることは出来まい。
実装石が幾ら卑しかろうと、生き物(果たしてこいつ等をそう呼んで良いのかは分からんが)に
暴力を振るうのは良心の呵責があるから中々出来ない。
そうすると愚かで卑しい仔蟲どもは人間が隷属しているのだと勘違いをして、日ごとにふてぶてしくなる。

一般人及びに常識が有る愛護派が自分の飼い実装が生んだ仔実装を飼い続けられる期間は長くて2週間。
個体差は有るが、仔実装が餌を食う以外のことを考え始めるのに3〜8日ぐらい掛かる。
この期間は、まだカワイイ赤ちゃんとでもいえるのかもしれない(物を知らないと言うことは恐ろしいことだ)。

物を考えられる様になる頃には服も完全に生えて、実装石らしい形になっている。
この頃合が捨て頃だ。
これ以上飼っておくと実装石らしさを発揮し、
我侭が通らないとすぐに癇癪を起こしてパンコンし、周りの物に糞投げをして自分の力を示そうとする。
親実装や飼い主がちゃんと躾をしなかったツケが回ってくるのだ。

普通の飼い実装は狂ったように態度の悪くなった子供にオロオロするばかりなので、まったく役に立たない。
大体の飼い主は、暴れる仔実装を雑誌やスリッパで殴って黙らせようとする。
だが、実装石は少々叩いたくらいでは逆効果。

自分のことを世界一強いと錯覚している仔実装達は飼い主に喧嘩を吹っかける。
そうすれば・・・暴動に参加した仔実装は良くて半殺しされて袋詰めにされるか、
悪ければ叩き殺されて短い実装生を終えることになる。
その後は、本やインターネットを調べたりして実装石の知識を得た飼い主の手で捨てられるか殺されて一段落する。
・・・・その際、親実装も連座制で子供と運命を共にするということが多いことを付け加えておく。


特級飼い実装は生まれる前から人間に飼われる事を前提とした洗脳を受け、
保護してある偽石が自壊するほどの調教を受けている仔実装なので、
辛うじて犬猫の様なペットとして飼育することが出来る。

だが、最高クラスの特級飼い実装から生まれた子供であっても確実にクズが混ざる。
それらがもたらすものは、不幸と破滅だけ。
気の触れた溺愛派でもない限り、親実装と異なる無様な生き物に情けをかける人間は少ない。
仮に子供を捨てたとしても飼い主に疑惑の芽が芽吹くことになる。

コイツも上辺は聞き分けはいいが、腹の底では仔蟲と同じようなことを考えているのではないのか。

という様に真実に気付き始めることになる。
少なくても一般人や節度をもった愛護派なら嫌でも頭に浮かぶだろう。
それは時が経つにつれてどんどん大きくなり、最終的には親実装も捨てられることになる。

全ての飼い実装にとって子供は不要な存在で有るのも確かなこと。
特級飼い実装の基本の躾において、間違って産んでしまった子供の処遇は唯一つ。
自身の手で、事故に見せかけて始末してしまうことだ。

子供を産まないこと、産んでしまっても子供を躊躇なく殺せる者だけが
特級飼い実装として安楽な生活を送ることが出来るということ。



「お待たせ♪
 お楽しみの仔蟲の処刑を始めるぞ。」

「チャガアアアアアーーーー!!!!
 にににに、ニンゲン!!!カワイイワタチを飼わせてやるからクソババアを殺すテチィ!!
 ワタチはとっても高貴な存在なんテチ!!だからワタチを生かして卑しいババアを殺すテチィ!!!」

「・・・・・お前は俺に何か言うことはないのかな?」

「あるわけないテチィ!!お前がワタチにあやまれテチィ!!!
 こんなにカワイイワタチの美しい髪と服をうばってはずかしめた上に殺そうたくらむお前は悪魔テチ!!」

「それはどうも。
 じゃあ、死んでいいよ。」

そういって仔蟲に実装活性剤を薄めた物を注射して、ビンの中に無色無臭の液体を注ぎこむ。
注がれた液体は仔蟲の皮膚に触れると瞬時に反応を始め、仔蟲の体を溶かし始める。

「チャガガガガガガガガガッガガガガガガガアガガアアガガガアアアアガガッッーーーーーーーー!!!!!!!」

「デデェ!!!な、なんなんデスゥ!!
 子供が溶け始めたデスゥ!!」

自分の目の前で足の先端からジワジワと溶け始める仔蟲。
脛の半分ぐらいの処まで侵食が進むと、投与しておいた実装活性剤の効果が発動して高速再生を開始する。

「ギュビビビビィィィィイイィィィィ!!!!!!ヒャバババババッババアアアアババッーーーーーー!!!!」

体が溶ける苦痛と恐怖、高速再生の副作用にもたらす激痛に悶えてビンの中で暴れまくる仔蟲。
必死にビンの内壁を叩き、引っかき、何とかこの地獄から逃れようと躍起に努力している。

「で、仔蟲ちゃん。
 俺に言わなければならない事を思い出したかな?」

「ヒャババババァァァアァーーーー!!!!
 ニンゲンンンゥ!!早くたちゅけろテチィーーーー!!!!
 カワイイワタチが死んじゃうテチィ!!!!!!」

「頭が悪いからまだ思い出せない様だな。
 まだ死ぬまでには時間が有るから精々思い出す努力をしてみろ。
 それとも、この苦痛がお気に召したからもう生きることなんかどうでも良いのかな?
 マゾ仔蟲ちゃん♪」

仔蟲を溶かしている液体は、開発中の実装石忌避剤(名前はまだ無い)の原液だ。

コレは実装石以外には無害でえもいわれぬ良い香りのする芳香剤みたいな物なのだが、
実装石にとってはシュールストレミング(北欧産の臭い魚の缶詰め)を100倍濃縮した悪臭がするというもの。
材料は企業秘密だが・・・、この原液に糞抜き済みの仔実装(テチといってる内ならどんな物でも構わない)を
1〜2匹放り込んで溶かしてやれば、実装石忌避剤(名前はまだ無い)の完成だ。

コレを振りまけば半径100メートル以内に実装石が寄り付くことが無くなるイカした発明品。
問題が有るとするば、他の実装種がこの匂いに釣られて寄ってくるということだけ。


「仔蟲ちゃん、お加減はいかが?」

「べェェェ・・・・・・。 
 に・・・ニンゲ・・ン・・・たちゅけてぇ・・・・いたい・・いたい・・・いたい・・・テチィ・・。」

胸まで蕩けた仔蟲はしぶとく息を続けている。
コイツは余り賢くないようだから俺に非礼を謝罪して助けてもらおうという選択は思いつけないのだろうな。
いまだにお姫様気分で助けろと命令してくる暢気な仔蟲ちゃんに実装石忌避剤(名前はまだ無い)の原液を
追加で頭に掛けてやる。

「チャ、チャバババババアアアアバババアアアアァァーーーーーーー!!!!!!!!」

「コレが最後だ。
 何か言うことは?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

あらら・・・。
頭が丸ごと溶けちゃったから返事が出来ないみたいだ。
残った頭の無い上半身が力なく痙攣し、力尽きるのと同時に溶けて消えた。

「デデ・・。」

「糞仔蟲には相応しい最後だったな。
 ほら、仔蟲の犠牲で出来た実装石忌避剤を味合わせて上げよう。」

親蟲を仮住まいのゴミ袋に再度放り込んで、その中に出来立ての実装石忌避剤を全部入れてやる。

「ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

床に置いた親蟲入りの袋が70センチほど跳躍した。



それからの2日間、仕事から帰ると夕食を取りながらの仔蟲の処刑を楽しんだ。
仔蟲どもには初日は悲鳴だけを聞かせて楽しませてあげたから、
次の日からは姉妹が生き地獄を味わって死んでゆく様を特等席で楽しませてあげた。

自分の姉妹が死んでゆく様を見て、生き残りの仔蟲どもは・・・・。
始めは絶叫を上げて我が事の様に暴れる。
少々時間が経つと・・・・足掻く姉妹を嘲笑う者と泣き続ける者に別れる。
そして、姉妹が完全に死ぬ頃には居眠りを始める者が出て来る始末。
・・・・いかに実装石の家族愛が演技で有るということを如実に示す行動だな。

姉妹が5匹から4匹、4匹から3匹に減ってゆくと段々個性が浮き彫りになってくる。

過労死しそうなぐらい叫び暴れている仔蟲。
余裕の顔をして死んでゆく姉妹を嘲笑う仔蟲。
ただ悲痛な顔をし、血涙を流しながら親蟲を見つめる仔蟲。

上位の仔蟲選んで残していたから何かしらのアクションが見られるとは思っていたが、
ここまで別れるとは思わなかった。


さて今日の主人公は?

「親蟲、殺す仔蟲を選びな。」

「デ・・・デスゥ・・・。
 き・・今日は・・・真ん中の仔を選ぶデスゥ。」

「ま、ママァ!!!なんテェ!!!」

姉妹が死ぬ様を嘲笑っていた仔蟲が選ばれた。
まあ、こんなもの生かしておいても何の役にも立たないから至極当然だろう。

「じゃあ、死にな。
 今まで嘲笑ってきた姉妹と同じ目に遭って死ぬというのはどういう気分だい?」

「ニニニニニ、ニンゲン!!!
 カワイイワタチを飼わせてやるから助けるテチ!!!
 そして物の価値が分からないクソババアをぶっ殺すテチ!!!」

何を根拠に自信満々で死んでゆく姉妹を嘲笑っていたのか知らないが、
糞蟲が生き残れるわけが無いことをどうして理解できないのか良く分からん。
親蟲も人間に気に入られたかったら本心を隠して良い仔として振舞えと教えているだろうに。
こんなことも理解できない糞仔蟲を上位の子供として教育していた親蟲の気が知れんな。

「はいはい、お前は姉妹の10倍は苦痛を味わって死ねる様に濃い目の実装活性剤を注射してやるよ。
 自分もいらないクズだったと言うことを良くかみ締めて絶望しながら死んでゆくといい。」

今までの仔蟲に打った物よりも濃い実装活性剤の希釈液を多めに注射して、
実装石忌避剤の原液を腰の所まで流し込んでやる。

「ハガアアアアァァーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

「で・・デギィ・・。」

「ジィ、ジィィィィィィィ−−−−−−−−−!!!!!!!!」

苦悶の絶叫を上げて暴れ狂う仔蟲。
歯を食い縛って血涙を流す親蟲。
死に逝く姉妹を見て悲鳴を上げて悶える仔蟲達。

「親蟲、今日選んだ仔蟲の何が気に入らなかったのかい?」

「こ・・コイツは賢いデスが、とっても糞蟲な奴デスゥ。
 ワタシの教えるお勉強を理解できる知恵を持っていたデスが、
 家族の中で一番カワイイなんて妄想している身の程知らずでしたデス。」

「どうしてそんな糞を人間様の家に投げ込んでくれるんかな?
 もう♪お前も仔蟲のことをとやかく言えるほどご立派じゃないだろうに・・・ねぇ?」

そう言って親蟲の両耳を掴んで吊るし上げる。
かなり重たいがぶら下げられないことはない。
ここ数日の断食ダイエットがよかったかな?

「イタイイタイデスゥーーーー!!!!
 お許しぐだざいィ、ご主人ざまぁ!!!」

「誰がご主人様だって?
 俺はお前を飼うなんて言った憶えは無いんだがなぁ?」

両耳を掴んだままブラブラと空中ブランコを楽しませてやる。

「ダギャアアアアアァァーーーーーーッ!!!!
 ごめんなざい、ごめんなざい、ごめんなざいぃぃぃーーーーー!!!!
 ニンゲン様ぁ!!!ごめんなざいいいいイィィィィィーーーーーーッ!!!!」

更に振り廻して耳が千切れるまで続けるとしようか。
生半可な苦痛では実装石の反省の気持ちを呼び起こすことは出来ないからな。


・・・・20分後。
仔蟲は溶けて実装石忌避剤になり、親蟲も両耳を失って悶絶している。

「ほら、親蟲。
 グダグダ悶えていないで仕事を終わらせろ。」

出来立ての実装石忌避剤入りのビンを持たせて飲むように促す。

「で・・・デゲェ・・・・。」

凄まじい悪臭にえずいて胃袋が裏返りそうな親蟲。

「死にたくないんだろ?
 だったら・・・さっさとそれを飲むことをお勧めするよ。
 子供の肉は好きだけど、子供の溶けた実装石忌避剤はお気に召さないか?」

「・・・・・そ、そんなことないデスゥ・・・。
 子供の肉なんか嫌いデス・・・昔食べていた物に較べれば、あんな物生ゴミと大差ないデスゥ・・・。」

「御託はいいからサッサと飲め。
 そんな物、腹ふさぎに食っている糞に較べれば喉越し爽やかだろう?
 遠慮するな、量が足りないというなら追加で幾らでも作ってやるから遠慮なく飲め。」

脂汗を流しながら実装石忌避剤入りのビンを覗き込む。
悪食で有名な実装石でも肥溜めみたいな臭いのする液体を飲むのは流石にしんどいか。
でもこの試練を乗り越えないと明日はやって来ないからな。

「デェェェェェーーーーーー!!!!!」

気合を入れて実装石忌避剤をゴクゴクと嚥下する親蟲。
流石は特級飼い実装、人間の命令は絶対であることをちゃんと理解している様だ。


ビクンビクンと何度もえずきながら胃袋に収まった実装石忌避剤を吐き出すまいと努力する親蟲。
顔色がどす黒くなり、染み出した汗で床に水溜りを拵えてまで頑張る。
昨日は飲んだものを吐き出してベランダを汚してしまい、
ゲロを全て食って始末するまで何度も地獄を見たから・・・今日はその徹を踏まないように死ぬ気で耐えている。

厭らしい音のゲップが連発で出て、そろそろ堤防が決壊しそうな親蟲。
すると親蟲は自らのパンツを脱いで口に押し込み、更に右腕を突っ込んで汚汁の瀑布が外に出ないように塞き止めた。

「賢いだけあってその程度のことは思いつくんだなぁ。
 俺はこれで引き上げるが、間違ってもゲロなんか吐くなよ。
 もし昨日みたいにベランダを汚したら・・・・・今度はたたじゃ済ませないからな♪」

愉快な顔色で必死に頷く親蟲。
仔蟲は後2匹だから精々頑張るといい。




更に一日経ち、今日は素敵な休日。
朝から天気もいいが、二度寝で午後までグダグダと過ごす。

とりあえず今日が生き残った元飼い蟲親子の運命の日になっている。
片方が仮初の楽園にご招待され、片方が生き地獄を長い年月の間味わいつくして死ぬといったように。
昼飯を食ってからベランダに出て、親蟲の様子を見る。

親蟲は実装石忌避剤のお陰でなんだかいい匂いがしている。
花の香りのようなとでもいうのか・・・なんとも形容しがたい匂いがベランダに漂っている。
・・・・まあ、親蟲は地獄の悪臭に悶絶してブツブツ呟きながら体中を引っかいているのだが。

その所為で大切な財産で有る髪や服がズタズタになっていて、
今や親蟲に残された物は・・・実装石忌避剤と臭い胃液がしみ込み緑色に染ったボロボロのパンツだけ。
これが無いと胃袋に収めた実装石忌避剤を戻してしまうために後生大事にもっている。

「いいザマだな親蟲。
 少しは反省したかな?」

「で・・・デゲェェェ・・・臭いのが・・・取れないデスゥ・・・。
 臭くて臭くて臭くて臭くて・・・・頭がおかしくなりそうデス・・・・・。」

「そうか?俺には大して気にならない匂いだが。
 それはそうと、今日は何の日か覚えているか?」

「き・・・今日は・・・ワタシと・・生き残った子供がニンゲン様に選ばれる日デスゥ・・・・。」

「そうだ。
 ちなみ、選ぶのは俺じゃなくて俺の友人だ。
 精々可愛らしく振舞って関心を引くんだな。
 ・・・・あと、そいつはお前らの下ネタ系の媚が大嫌いだから発情して股を開いたりするのはやめた方がいいぞ。
 確実に殺されるからな♪」
 
これから訪れる審判に震える親蟲を寒風吹きすさぶベランダに残して、俺は夕飯の買い物に出かける。




午後6時、友人が訪ねてくる。

「荒木(俺の苗字)よ、コイツが件の飼い実装崩れの糞蟲か・・・。
 元が飼い実装だったとは思えないぐらい無様な姿だな。
 生きているのが恥ずかしくないのかい?」

ベランダに気を付けの体勢で立たされている親蟲に罵声を吐きかけて暇つぶしをしている中村(友人の苗字)。

「まあ、無様なのは生まれつきだから仕方ないだろう。
 飯にする前に本題を片付けようか?」

ビンの中から仔蟲をつまみ出して親蟲の横に並んで立たせる。
コイツは過労死しそうなぐらい叫び暴れていた仔蟲。
親蟲は最後まで一番賢い奴を残しておいたが、
もしも一番賢い仔蟲がニンゲンに気に入られたら自分はどうなる?という重大な選択ミスに気付いたため、
昨日の夜の選択で一番賢い仔蟲を急遽始末した為に運良く生き残れた次第。

いつもの様に騒がず、別蟲の様に静かな仔蟲。
昨日の一番賢い仔蟲の死に様が余程堪えたのか、
どんなに騒ぎ立てても助からないことを理解して黙って俯いている。

服や髪は未だ無事の仔蟲も親蟲と大差ないぐらい汚れていてみっともない事この上ない。
だが、生かしておくために注射していた栄養剤に混ぜてあったドクダミエキスのお陰で
不快な実装石臭は殆どしていない。
親蟲にも栄養剤は与えないがドクダミエキスだけ注射しておいたから見た目ほど臭いはしていない。

無様な2匹が並んだ所で審査といこうか。

「さあ糞蟲ども、人間に飼われて楽な生活がしたければ一生懸命自分の長所特技をアピールするんだ。
 チャンスはこの一回だけだぞ。」

「デエェ・・・・。」

「テェ・・・。」

「では親蟲。
 自身のアピールを始めろ。」

「は・・・ハイデスゥ!!
 は、初めましてニンゲン様・・・ワタシの名前はミドリコデスゥ。
 ワタシはとっても厳しいお勉強をして特級飼い実装になった賢い実装石デス。
 お掃除やゴミ捨ても出来ますし、お歌やダンスも得意デスゥ。
 誠心誠意お仕えしますデスからどうかよろしくお願いしますデスゥ!」

普通の飼い実装では口にすることが出来ない様なへりくだった物言いで関心を買おうという作戦か。
でもな・・・身なりが薄汚く、子供を殺してまで人間に飼われようと考えているような卑しい奴が
幸せを手に出来ると思っているのかな?

「次は仔蟲だ。」

「テ・・・テェ、ワタチは・・・名前がないテチ・・。
 ママから教えられたおべんきょう以外は何も知らないテチ・・・。
 ニンゲンさんのいうことをちゃんと聞いていい仔になるテチ。
 だからワタチをえらんでくだちゃいテチ・・・。」

「だってさ。
 どちらの蟲にするかい?」

「・・・・・・・そうだなぁ・・・・。
 躾の施されている元特級飼い実装と野良生まれの賢い仔実装・・・・・・。
 さてどちらにしたものか・・・・。」

そう言いながら親子のことをジロジロ見回す中村。
答えはとうの昔に決まっているのに随分ともったいぶって・・・。

親蟲も仔蟲も極度の緊張で震えが止まらない様だ。
蝦蟇の様にタラタラと脂汗を滴らせて審判の時を待つ。

「良し決めたぞ。
 仔実装、お前にしよう。」

「テ・・・・テェ!♪」

「デデエェ!!!な、何でデスゥ!!!」

「そりゃそうだろ?
 中古の賢しい飼い蟲崩れよりも、多少粗忽者でもまだ我欲に塗れていない仔実装の方が飼い易かろう。
 金持ちに飼われていた飼い実装は、なまじ高級な生活を知っているから始末が悪いのもポイントだな。
 安物の実装フードで満足出来ない様な糞蟲は要らないんだよ。」

「ワタシはニンゲン様に飼われるんだったらどんなことでも我慢するデスゥ!!」

「餌抜きで暗くて狭い箱の中で延々と立ち続ける生活でも我慢できるのかな?
 出来ないことを口にするな。 
 お前みたいにニンゲンに飼われること=昔みたいなお姫様生活なんて思っている年増蟲に用は無いだよ。
 精々自分の犯した罪を悔いながら地獄に落ちろ、糞蟲め!!」

そういって中村は親蟲の顔に痰を吐きかけて、仔蟲を摘まみ上げてユニットバスに向かう。

「だ、そうだ。
 お前にはこれから生き地獄を味わってもらうぞ。
 お前の仕出かした粗相の始末はまだ付いていないからなぁ・・・・。」

「で・・・デデェェ!!!お許しくださいデスゥ!!
 なんでもしますデスゥだから・・だからかわいそうなワタシに酷いことをしないでデスゥ!!!」

土下座でわめきながら命乞いを始める親蟲。
・・・・どうやら俺の話は全然聞いていない様だな。

「お前の心の篭っていない謝罪はいらない。
 俺はお前のもがき苦しみ、絶望する様が見たいんだよ。
 腹の底では人間なんかへりくだった振りをしておけば簡単に騙せるなんて思っているようだが、
 頭の悪い愛護派を騙す程度の芝居で虐待派を騙せると思うなよ。」

俺の気配が変わったことに気付いた親蟲は後ずさり、心の篭らない謝罪を垂れ流している。
言葉で分からないのなら実地体験してみるのが一番分かりやすいかもな。

使用済みの割り箸数本を親蟲の口に突っ込んで、喉の奥まで深々と突き立てる。
そして、割り箸をこじながら何度も何度も喉の中で掻き回して引き抜く。

「ッッッッッッ・・・・・・!!!!!!!!!」

赤緑の体液を吐きながら声が出なくなったことに驚愕している親蟲の顔面に蹴りを叩き込んで、
悶絶している親蟲の背中に声帯だった物が絡みついた割り箸を突き立てて家の中に戻った。



居間では中村と洗浄を終えた裸の仔蟲が戯れていた。

「さて、飯にしますか。」

「うむ、腹が減ったぞ。」

「テチー♪」

「静かにしていないとママの所に戻すぞ♪」

何が嬉しいのかはしゃぎ回る仔蟲をこずいて、台所に向かう。
今日の夕飯は麻婆豆腐と酢豚。

これらの料理は作り方は普通だが、材料が少々正規の物と違う食材を使っている。
豚肉を山仔実装の肉に代えて調理するのだ。
実装活性剤を打って偽石と臓腑を抜いた山仔実装たちに生き地獄を味合わせることによって
えもいわれぬ美味が味わえる。

酢豚用の山仔実装は幸せな方だろう。
20〜30回ほど高速再生した四肢をもぎ取られたあとは体も一口サイズに刻まれて、
小麦粉に絡められて熱々の油の中にダイブして短い実装生を終えられるのだから。

悲惨なのは麻婆豆腐用の山仔実装だ。
すり鉢の中で何十回もの骨が砕け手足がもげる程度の暴行を受けて、
肉に旨味と適度な歯ごたえが出てきた処を見計らって生きたまま磨り潰される。
磨り潰される傍から再生して元の姿に戻ろうとするので肉の分量が適度な所にきたら偽石を潰して
殺さないとすり鉢が山仔実装の肉で溢れてしまうから注意が必要だ。
だがゆっくりゆっくりと磨り潰すことによって山実装特有の深い滋味を引き出すことが出来るため、
躊躇して簡単に殺してはいけない。

今回の調理で使ったのは各1匹づつだから、材料の山仔実装たちが味わった苦痛の生半可ではないだろう。
いまわの際までここにはいない母親に助けを求め続けていたな・・・・。
美味しく食べてやるからしっかり成仏しな。



「出来たぞ。
 山仔実装肉を使った酢豚(肉が豚肉じゃないから酢実装か?)と麻婆豆腐だ。」

「待ちかねた、さっさと食うぞ♪」

「テッチュゥーーー♪♪♪」

テーブルに出来立ての料理とご飯を置き、いただきますと言った後は何も喋らずに料理を食い漁る。
テーブル上の裸の仔蟲が物欲しげな顔をしながら酢豚の皿に寄って来てよじ登ろうと試みる。
・・・・・行儀の悪い奴だ。
よじ登ろうと頑張る仔蟲を平手で打ち払って食事を続ける。

部屋の隅まで吹っ飛んだ仔蟲は、骨の砕けた激痛とご馳走の食えない悔しさとひもじさに啼いた。
仔蟲の悲鳴は虐待派の我々には心地良い調べみたいな物だがあんまりしつこく啼かれると少々ウザい。

その辺にあったティッシュの箱を仔蟲めがけて投擲する。

「テチャァァーーッ!!!」

中身が少なかった為に致命傷にはならなかったか・・・・おしい。
全身を強打して悶える仔蟲に俺は警告を与える。

「今度不始末をしたらお前も姉妹と同じ目に遭わせてやるからな♪
 死にたくなければそこで静かにしていろ、いいな?」

「テェ・・・テチュゥ・・・。」

悔しさと悲しみと恐怖のまぜこぜになった顔をしながら仔蟲は頷いた。
姉妹みたいな酷い死に方はこりごりらしい。


4人前ずつ作った料理も物の20分ほどで完食し、茶でも飲みながら食後をまったりと過ごす。
部屋の隅で縮こまっている仔蟲は、無言のまま物欲しそうな視線をずっとこちらに向けている。
少し遊んでやるか・・・。
中村に目配せして、仕掛けを行う。

「ほら仔実装こっちを見てごらん?」

「テェ?」

中村が見せたのは小皿に乗せられた酢豚の残りカス(タレと野菜などの欠片)

「テッチュゥー♪」

仔実装は満身創痍の体を引きずってこちらに向かってくる。
仔実装はもう一週間も食事をしていないから何か食べたくて仕方ないのだろう。
命がギリギリ保たれる程度の栄養を注射で与えていただけだから、
絶えず腹の虫を鳴らしていたなぁ・・・。

「ほら頑張れ、ここまでくればコイツをやろう。」

「テ、テッチーーーッ!!」

力を振り絞ってよたよたと近づいてくる仔蟲。
ご馳走に目がくらんで痛みを忘れたらしい・・・本当に都合のいい体だ。

「ほらあと少し、頑張れ。」

「テチュゥテチュゥテッチュゥゥゥ!!!」

荒い鼻息をしながら小皿まで15センチの距離に入る仔蟲。
そろそろ頃合か。

「ほら、片付けるぞ。
 その小皿も寄越しな。」

そういって仔蟲のお目当ての小皿を中村からひったくって台所に使用済みの食器類と一緒に運んでゆく。

「テ・・・・・・テェ・・・?」

あまりのショックに何が起こったのかわからない様だ。

あと少しで食べられるはずだったご飯が消えた・・・?
なんで?どうして?ワタチは痛い体を酷使してまで頑張ったのに・・・何で?

そんな顔をして固まる仔蟲。
そして・・・その場に座り込んでさめざめと泣き始める。
中村は三日月の様な笑みを浮かべて仔蟲の悲哀を楽しんだ。


後片付けを終えて部屋に戻ってきた俺は泣きじゃくる仔蟲を
仮住まいに宛がっていたビンの中に放り込んで窓際に置いた。
仔蟲は話が違うと叫んでビンの内壁を叩きまくる。

ニンゲンに選ばれれば楽しい暮らしが待っているはずなのに!!
美味しいご飯と綺麗なお洋服、あったかいお布団で好きなだけ眠れるってママは言ってたのに何で!!
悪いニンゲンとは違うニンゲンにワタチは選ばれたのにどうして幸せになれないの!!!

ダラダラと血涙を垂れ流して泣き叫ぶ仔蟲。
よくもまあ、こんなみっともない面を晒して生きていられるものだよ。
耐えればこの後良い事が有るかもしれないぞ?



2時間ほどして中村が帰る。
その際にビンの中で暴れに暴れて、精根尽き果たして眠ってしまった仔蟲を渡しておく。
これから一ヶ月ほど友人が仔蟲を引き取って飼育する手筈になっている。
今日の食事は仕事の前金みたいなもの。

「じゃあ、一ヶ月間コイツの世話を頼むぞ。」

「応よ、立派に躾けて何処に出しても恥ずかしくない仔蟲に育ててやるよ。
 お披露目の日のご馳走はアレがいいなぁ・・・・ぜひともアレが食いたいぞ。」

「・・・・まあ、いいだろう。
 だが、やりすぎて殺すなよ。」

「分かってる。
 じゃあ、また一ヵ月後に会うとしよう。」

そういって中村はデカいバイクに跨り去っていった。












後編に続く



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1 Re: Name:匿名石 2016/11/02-02:41:59 No:00002676[申告]
野良としちゃ下手な飼いより贅沢なコミュニティの長生活ができてたろうに
高級でも飼いでも実装あさはかなり…
それぞれ小賢しい断末魔を残していく仔実装もよし
2 Re: Name:匿名石 2022/11/04-04:11:01 No:00006578[申告]
特級飼い実装でも愚かな実装石でしか無いのは哀しいことだよなあ…
3 Re: Name:匿名石 2024/04/25-16:24:24 No:00009050[申告]
う〜ん、実装石も醜いけどそれ以上な人間どものクソっぷりよ
人間のエゴ丸出しも実装スクの醍醐味か
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