タイトル:【虐】 夢を見ていた 7/7 ( 最終回 )
ファイル:夢を見ていた07.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4464 レス数:4
初投稿日時:2006/06/28-00:11:00修正日時:2006/06/28-00:11:00
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『 カセン…ケン…コウ………。 』


もうMTBに跨る気力も残ってない。
手で押しつつ、街の中で独り言を呟きながら幽鬼の如く歩いていた。

あれから更に蔵の中を探したが、やはりカセン達の姿は無かった。
俺はおじさんに一言断って再び街の中を探す。
アイツ等を置いて、この街を離れる事はできない。
意地でも探してみせる。
しかし走り回っても、どこにも姿は無かった。
もう探すアテは無い。

俺は街角で立ち止まった。


見上げると日が傾いてきたのに気付く。
今日は朝から走り回っていた。
けれども疲労も空腹も感じない。
ただ、カセン達の事で頭が一杯だった。
早く探さないと殺される。
しかし、もう何処を探して良いのか分からない。
俺にはもう行く場所が無かった。

『 そういえば…。 』

ノロとの待ち合わせを思い出す。
自然と俺の脚は、公園の近くの高台に向かっていた。
この時間なら、もう待っているはずだ。
今はカセン達の事で頭が一杯だが、ノロとの約束も守らなければいけない。


『 ぜぇ……ぜぇ……。 』

高台が見えてきた。
そして今日一日、何も飲まず食わずで走り回ったせいか、身体にガタが来ている。
いつもならこの位の坂、大した事はないのだが。


『 ノロ………ぁ…。 』

遠くの芝生にノロが座っているのが見えた。
…いや、ノロだけじゃない。
その横にもう1匹、同じくらいの大きさの実装石が横たわっている。

ノロは座って眼下を眺めていた。
傍らには横たわった実装石が1匹。
近づくにつれ、それが何か分かり、歩調が徐々に早くなっていく。

『 嘘だろ……!? 』

横たわった実装石の近くに仔実装が1匹。
そして芝生に座っているノロの膝に仔実装がもう1匹。



『 ノロ……! ……………っ! 』

芝生へMTBを放り投げ、ノロ達に近寄り……他の3匹の状態を見て言葉を失った。

横たわっているカセンに左手と右足が無い。
胸部から腹部にかけて大きく抉られているのが服の上からでも分かる。
そのため、赤と緑の体液が今でも芝生に流れ染め上げている。

そのカセンの横にケンが置かれていた。
横たわっていた、というより置かれていたと表現するのが正しい。
なぜなら両腕と腹部から下は無いから。
まるで胸像のような姿を残していた。

そしてノロの膝の上にコウが寝かしつけられていた。
カセンやケンと違って身体に傷は無い。
だが蒼ざめた顔は恐怖で引きつっており、既に生気は失われている。

そう、3匹は既に事切れていた。


「 あ……ご主人さま…おかえりなさいデス 」


眺めを楽しんでいたノロが俺に気付いた。
そのノロさえも、背中や脇腹辺りに深い傷を負っているのが分かる。
しかし一目見ただけで重症と分かるにもかかわらず、
ノロは穏やかな顔つきで俺を見上げている。

『 どういうことだ、ノロ!
  一体、何が……!
  なぜお前が一緒にいるんだっ!?
  カセン達がどうしてこんな事に……!! 』

俺は大声でまくしたてた。
もう、こんな状況で落ち着いてられない。
しかしノロは、そんな俺の剣幕にも全く動ぜず、緩やかな口調で言葉を続けた。

「 ……駄目デスよ、ご主人さま?
  そんなに大声を出しては…みんな起きてしまうデス… 」

『 な……なに…? 』

「 今日は、みんなたくさん遊んで疲れているデス…
  ついさっき、寝付いたばかりデスよ… 」

ノロは膝の上のケンの頭を撫でた。
その撫でている手さえ、飛び散った体液がこびりついている。
カセン達の事は非常に残念だが、ノロの身体が心配だ。

『 …とにかくノロ、今は、お前の怪我の手当てが先決だ。
  そのままじゃ死んじまうぞ……説明は後でゆっくり聞かせてもらう…! 』

近寄り、ノロを抱き上げようと手を伸ばす。
だが、そんな俺の行為をノロは全く理解できてなかった。

「 …怪我って、何のことデス? 」
『 何って…。 』
「 それより、ご主人さま…聞いて欲しいデス… 」
『 だから怪我を…手当てを! 』


「 私、さっきまで怖い夢を見ていたデス… 」


『 …夢? 』

ノロの言葉に、持ち上げようとする手の動きを止めた。
話を続けるノロの顔もまた蒼ざめていた。
その言葉に生気が無いのが分かる。
ノロはもう長くなかったのだ。


「 そうデス…とっても怖い夢だったデスよ… 」



















最も幼い頃の記憶は冷たい水


他の姉妹達と共に 水の張った桶に産み落とされた
母親に身体を舐めてもらい産声を上げる

産まれた場所は薄暗い部屋
そしてとても恐ろしい所だった

同属達の断末魔 悲鳴 呻き

薄暗い空間に 苦しみの声は止むことなく続いた

産まれた私達と母親は 透明な壁に囲まれた箱に入れられた
回りにも同じように たくさんの透明の箱に入った同属達
それが幼い頃の世界の全てだった

箱の中で 母親と姉妹と共に暮らした
あまり美味しくない食べ物を 分けて食べた
床は固かったけれど 家族と身を寄せ合って寝た

入れられて何日か経った時

下から大きな生き物……ニンゲンがやってきた
その姿を見て 箱の中に入れられた同属達の反応が分かれる

股を広げて媚びる同属
怒りの声を上げて出せと要求する同属
しかし多くの同属は 各々の部屋の隅で身を小さくしていた

( お前たち、声を出しては駄目デスよ? )

母親は私達の身体を抱き寄せ ニンゲンに聞かれないように囁いた

ニンゲンは品定めするように透明の箱を 
多くの水槽を眺め
私達とは別の 透明の箱を選んだ
箱の中から 親と何匹かの仔が引き出される

( 〜〜〜〜〜!! )

その助けを求める悲鳴を やはり身を小さくして耐えていた
ニンゲンは引き出した同属達を持って 下に降りて行き

( デギャァァァアァッァァァァァ!! )
( テチュアァァァァァァァァ!! )
( チュアァァァァァァァア!! )

暫くして その同属達の悲鳴が聞こえた
その悲鳴が 私達産まれたばかりの姉妹は とても怖くて母親にしがみついた
そんな私達を抱き寄せて母親は言った

( あのニンゲンに、選ばれないようにするデスよ?
  選ばれたら下に連れてかれて、もう帰ってこれないデス )

母の言う事に間違いは無かった
私達の他の多くの水槽
ニンゲンは何日かに一度 下から昇ってきて水槽の一つを選んだ
その水槽に入ってきた同属達が引き出される

ある時は親を残して子供だけ
ある時は水槽の中の同属全て

どちらにしろ 選ばれた水槽から同属の数は減らされた

減らされると ニンゲンは新たな同属達を運んできた
運ばれてきた者達は空の水槽に入れられる
状況が理解できず 最初はニンゲンに怒って水槽の中で暴れる

だが他の水槽の者達は 決して止めようとはしない
ニンゲンに目をつけられてはいけない
つまり騒いでいる同属達は 自分達の寿命を延ばしてくれる
ニンゲンも 元気の無い同属よりも元気の有る同属が好みらしく
そんな騒いでいる同属達から 順に水槽から出された

( ようやく私の魅力に気付いたデスゥ〜?
  早く美味い物を出せば許してやらん事も無いデス〜 )

しかし下に連れてかれても 上がるのは悲鳴だけ
決して戻って来れなかった

それから同じような日々が続いた

いつニンゲンが現れるかもしれないという不安の中
現れ 私達を品定めする時の恐怖
階下で上がる悲鳴

入っていた水槽には 母親と姉妹9匹と私
毎日 いつ来るか分からないニンゲンに怯えていた

そして夜
他の水槽の家族と私達には一つだけ違いが有った
眠くなってくると 他の水槽でも親が仔に子守唄を聞かせる
真っ暗闇に親実装の子守唄が流れる
けれども私達の母親の子守唄は他と違っていた

( お前たち、よく聞くデス )

暗闇の中だったが その時の母親はとても怖い顔をしていた

( お前たちは、絶対生き残るデス
  そして、あのニンゲンに仕返しをするデス…! )

私も姉妹達も 母親が何を言ってるのか分からなかった

( お前たちの前に産んだ仔達は、みんな殺されたデス!
  いつか仕返しをするデス!
  あのニンゲンに絶対思い知らせてやるデス!! )

母親は私達に毎晩言い聞かせた

あのニンゲンに仕返しを

それが私達の子守唄だった





そして遂に 私達の番がやってきた

私達の水槽の前に ニンゲンが立って見下ろしている
ニンゲンは 中の私達をつぶさに観察していた

< 今日はコイツらにするか >

水槽の上からニンゲンの手が私達に

( デギャアァァァア! )

母親は私達を後ろに回し 獲られまいと威嚇して守ってくれる
だけどニンゲンの力には叶わなくて

< そうか、お前は子供がそんなに大切なのか。ならば… >

( ママァ!たすけテチィィ! )

姉妹を一匹だけ取り上げられ
水槽には 私達が取り残された

< 今日はコイツ1匹だ。そして明日も1匹……毎日1匹づつ殺してやる。 >

下に連れていかれた姉妹は 私達に助けを求め続けた

( ママァ!ママァァアァ!!ママァァァア!! )

その日の悲鳴は いつもより長く続いた
姉妹は いつもより念入りに長い時間をかけて殺されたのが分かった


( ギャアアアァアア!絶対に渡さないデスゥゥゥ!! )

次の日も 母親は私達を守ってくれた
ニンゲンを威嚇し その腕に噛み付こうとさえした
けれども やはりニンゲンの力には抗えず

( ママァ〜!ママァアァァ!! )
( 返してデス!私の仔を返してデス〜〜!! )

母親が泣き叫んで 取り戻そうと懇願するが無駄だった
その姉妹も下に連れて行かれ 昨日と同じように悲鳴が上がった


そして その夜

寝静まろうとしていた夜更け過ぎ
仔を2匹失った母親は 更に怖い子守唄をしてくれた

( …もう我慢できないデス!
  あのニンゲンは絶対に許さないデス!
  絶対に、絶対に後悔させてやるデス!
  お前たち、誰か1匹でも生き残ったら絶対に仕返しするデスよ!? )

母親は涙を流しながら 私達に言った

次の日も
その次の日も

夜になれば あのニンゲンに仕返しを 復讐を 姉妹達の仇 

怖い子守唄が続いた


そして私を含めた姉妹達が 6匹になった時

< お前、夜になると面白い事を言ってるみたいだな? >

ニンゲンは子守唄を知っていた
よく分からないが水槽の近くに 私達の声を聞き取るキカイが有ったらしい

< よし、面白い……ならチャンスをやろうか。 >

その日 水槽の中にいた家族は全て引き出された
そして私達は全員 下へ連れて行かれた

< おい、お前。喜べ、ガキ共は逃がしてやるぞ。 >
( デェ!? )

意外なニンゲンの言葉に 母親も私達も驚いた

< 本当だ。だが、ガキだけだ…。 >

母親は私達の見てる前で テーブルの上に置かれ

( デギャ!ギャアッ!!ギャアアッッ!!! )

その手足に釘を打たれて固定された

< いい声で泣いてくれよ〜? >

ニンゲンは 怖い笑顔をしながらギラギラと光る物を母親に向けた
その光る物を腕に押し付け

( デ……ャアァァァァァッァァア!!! )

押し付けられた所から 赤くて緑の液体が流れ出した

< お前たちもよく見ておけ
  親の最期だ……せいぜい目に焼き付けておけ! >
( アァァァ〜〜!……ァァァッァァ…………! )

ニンゲンは ゆっくり時間をかけて母親の手足を切り取った
私達の母親は 目の前を身体が分断され
お腹の中の内臓を引き出され

( ァァ——………ッ……… )

動かなくなってしまった



< 俺は約束を守ってやる。 >

ニンゲンは次に私達に振り向いた

< 安心しろ、生きたまま外に出してやるぞ。 >

母親を失ったのは悲しかったけれど 私達に希望が生まれた

< …命までは取らないがな。 >

その手には長い鉄の棒が握られていた
ニンゲンは姉妹の一匹を掴み上げると 股の間に その棒を差し込んだ

ジュゥ!

( あ、アチュイィ!アチュアァァァァァッァアアッァァァァァァ!!! )

それは熱せられた鉄の棒だった。
姉妹達は1匹づつ股の間から熱い棒を差し込まれ 中から焼き尽くされた

そして私も

( 〜〜〜〜!!! )

この瞬間 子供を産めない身体になってしまった




< ほら、逃がしてやる。>

身体の中から火傷を負った
上手く動くこともできない私達は 公園の門の所に捨てられた

< 何処にでも行くがいい……。
  だが、親の居ない仔に…しかも満足に身体を動かせないのに生きていけるか〜? >

ニンゲンは私達を笑っていた
非力な私達を 圧倒的に上から見下ろしていた

< ではな、仕返しを楽しみに待ってるぞ。
  実装石にできることなど高が知れてるがな! >

ニンゲンは私達を嘲笑いながら 公園に置き去りにした
だが置き去りにされたのが 深夜だったのは幸運だった
もし昼間に置き去りにされたら 同属達によって跡形もなく喰われていただろう

このニンゲンは普通の虐待に飽きていたのかもしれない
だからこそ 私達を気紛れで自由にしたのだろう


私達は外の世界の事を知らなかった
母親も知らなかったと思う

初めての日の朝
公園の中で 同属が他の同属に喰われてるのを見た
ニンゲンは敵
そして同属も味方では無かった

ただ水槽の中で身を隠す事を 目立たない事だけを教訓にして 物陰に隠れていた
しかし空腹だけはどうにもならなかった
一日中 草むらや物陰に過ごして危険をやり過ごす
餌を運んでくれる母親は居ない

私達は日に日に痩せ細っていった

( ワタチは…もうだめテチ… )

姉妹の中で一番身体の弱かった仔が動けなくなった

( しっかりするテチュ! )
( 元気を出すテチュ! )

私達は励ますけれど その仔は元気にならなくて

( …ワタチをたべるテチュ )

力の無い声で訴えかけた

( ワタチをたべて…あのニンゲンを……みんなのカタキをうつテチュ…! )

息を引き取った
また家族の一匹が死んでしまった
私達は涙を流しながら その仔の身体を引き千切って口の中に入れた


しばらく生き延びる事ができた私達は 他の同属を観察していた
そして身体が大きくなるまで隠れて移動し 誰もいない時間帯を狙って食べ物を探した
食べられる物は何でも食べた
小さな身体の私達が 他の大きな同属に見つかる事は死を意味していた
他にも敵はいっぱいいた
だから誰も欠ける事無く 大人になったのは奇跡だった
しかしその奇跡は私達5匹が力を合わせたからだ


大きくなり 外の世界の事が分かってきた
虐待派などの危険は有ったけど 私達は公園で普通に暮らせるようになった
そんなある日 姉妹の1匹が言った

( あのニンゲンを見つけたデス! )

姉妹の言ってるのは 私達の家族を殺したニンゲン
街に食べ物を探しに行ってる時に見つけたらしい
そのニンゲンの住んでいる場所は 私達が住んでいた所は

( とっても大きな家だったデス )

家は大きな壁に囲まれていた
私達実装石では中に入る事もできない
ニンゲンの居場所は分かった
死んでいった家族のために 仕返しをしたい
母がそう願ったから
毎晩のように言い聞かせられてきたから

だがどうすれば良いのだろう


( …アイツは虐待派デス )

他の姉妹が言い出した

( 私達が飼い実装を殺して、アイツがやったようにみせかけるデス! )

この街は平和だ
それは飼われている同属達を見れば分かった
食べ物も寝る所も何不自由無く 毎日を楽しそうに暮らしている
それは野良実装の自分達でさえも 手をかけるのは可能だった
反対する姉妹は私の他にもいた
だが仕返しのためには仕方ないと決まった

本当は妬ましかっただけかもしれない
産まれた頃から怯えるだけの生活で 何一つ良い事などなかった
それでも自分達はまだ幸せだ
子供を産めなくなったけど 自由の身になれたから
それでも何一つ苦労した事など無い飼い実装の存在が許せなかったかもしれない

問題は どうやってアイツを犯人に仕立て上げるかだった
私達が飼い実装を殺しても それだけでは意味が無い
話し合っていると 偽石の話題が出た
実装石にとって最も大切な物
仔実装は とても怖い思いをしたりすると砕け散って死んでしまうという

そこで私達は 偽石を使ってある方法を思いついた



最初に目を付けたのは 街を歩いていた親仔だった
その親仔の飼い主の家は既に調べてある

綺麗な服とサラサラな髪の毛
小さなカバンを持って楽しそうに歩いていた

( な、何をするデス!? )
( ママァ〜!! )

人気の無い道で突然襲い掛かり 仔を奪った
仔を奪われた親は私達の言いなりになり 公園の私達の家に連れて行った

( なんでワタチがこんなめに…チャァァァァアァァァァッァ! )

私達は真っ白な布をかぶり ニンゲンの格好に似せた
仔実装の身体を抑え付け 用意した道具で手足を切り落とした

( ンム〜〜!! )

猿ぐつわをした親や他の仔達は泣いて見ているだけしか無かった
そして最も幼い仔を選ぶ
仔実装達を切り刻まれ 親を切り刻んで殺されるのを見せ付けた
その恐ろしい光景は仔実装の心に大きくのしかかり
幼い偽石が割れる瞬間に 私が囁く

( これは夢デス )

目の前で家族が殺される仔実装に 私は優しく囁きかけた

( お前は夢を見ているだけデス… )

これは夢
とても怖い夢
けれども本当の自分はお布団の上
目が覚めればゴハンが待っている
ママも姉妹達も一緒
何も恐れることは無い

精神的にも幼い仔実装は 現実から安易な妄想に逃げ込んだ
そして1匹だけ生き残った仔は飼い主の家の近くに置いておいた
その仔は 飼い主に問われて 家族が殺された時を思い出した時
悪い夢が現実だったと知ると偽石が砕けて死んでいった

飼い実装達は虐待派に殺されたと思わせるように

しかし全てが成功したわけでもなかった
何匹かの仔は家に送り届ける前に偽石が砕けて死んでしまったから


疑問は感じてないわけじゃなかった
殺された家族のために 全く関係無い家族を殺した
実装石の仕返しをするために実装石を殺す

悲しかった
とても悲しかった

目の前で殺されていく親と仔達に 心の中で泣いて謝った



そして留守中の飼い実装も狙うようになった

飼い主が留守中で鍵を閉めている家は多い
だが飼い実装は扉を開ける事ができる
どうやって開けさせるか?
そのために高台の芝生に茂る花を利用する事にした
花を摘んで それを結んで花を輪にした冠を作る
それを持って飼い実装の住んでいるニンゲンの家を狙った

( こんにちはデス )

ガラス越しに笑顔で挨拶をした
飼い主は既に出掛けている
中には飼い実装しかいない

( 何か用デス? )

ガラスの向こうに親仔の飼い実装が姿を現した
親は警戒し、仔実装を後ろに隠している

( …これと何か食べ物を交換してくれないデス? )

そしてガラス越しに花の冠を見せた

( きれいテチュー! )

親の背中から仔実装達は興味津々に見ている
警戒していた親実装も少し表情が緩んできた
飼い実装は食べ物や寝る所に満足してるかもしれないが 外に出る事は難しい
特に好奇心旺盛の仔実装達なら 花冠に興味を抱くだろう

( 分かったデス、何かお菓子でも持ってくるデスね )

親実装は家の奥から金平糖やお菓子を持ってきてくれる
そしてガラスの戸を開けた

( わぁ!これもきれいテチー! )
( ママ、ママ!ワタチににあってるテチュ? )

色とりどりの花の冠
家の中ばかりにいた仔実装達には 良い退屈しのぎになったようだ
親実装もそんな仔達を見てまんざらでもない

私もそんな光景を見て とっても嬉しかった
子供達が喜んでくれる。
親からはお礼を言われる。
自分の作った花の冠で そんなに笑ってくれるのがとっても嬉しかった……だけど

( …うまくいったデスね )

物陰に隠れていた姉妹達が出てきた

( な、なんデス?あなた達は? )
( テェ………チュァ! )

すっかり油断して外に出ていた仔実装を捕まえ、猿ぐつわして声を出せないようにした

( こ、子供に何をするデス!! )
( うるさいデス!大きな声を出すと、この仔の命は無いデスよ!? )

仔を取られた親は言いなりになるしかなかった
飼い主は今は居ない
他に助けてくれる者はいなかったから
そんな捕まった親は 私を見て大声で罵声を浴びせた

( お前は悪魔デス!花を使って私達を誘拐して…悪魔デス!! )

責められるのは分かっていた。
分かっていたけど、仕方ないと思って続けた。





姉妹達も変わってきた

最初はニンゲンへの仕返しのために 飼い実装をさらって殺した
これは仕方ないことだと言い聞かせて殺していた
だが 途中から姉妹達の目の色が変わった
姉妹達は明らかに楽しんで飼い実装達を殺していた
その行為に ためらいや後悔は無かった
殺した仔実装の身体は 先を争って食べようとし始めた

だが私だけ楽しもうとせず 食べようとしないのが気に入らなかったらしい

( ウスノロ!さっさと仕事しろデス! )
( このノロマ!遅いデス! )

いつしか私は 助け合って生きてきたはずの姉妹達から馬鹿にされるようになった
私は独りぼっちになってしまった



そしてある日

公園に変なニンゲンがやってきた
ニンゲンは同属達に向かい 飼い実装を知らないかと聞いている
その飼い実装は 私達が殺した者達だろう
すると姉妹達が私に言った

( おいウスノロ、お前はあのニンゲンと仲良くするデス! )
( 探している飼い実装達は、あの虐待派に殺されたように思わせるデス! )
( できるだけ頭が悪いように演技するデス! )
( 疑われないように近づくデス! )

私は姉妹達に大切な服や髪の毛を汚され
その後に追いかけられ そのニンゲンの目の前で転んで見せた
前から私の事を気に入らなかったからだろう
演技とは思えないくらい強く蹴られた
同情を引いて助けてもらい 仲良くなればそれで良し
駄目なら駄目で そのまま殺されていたかもしれない

< 仕方ねえなぁ >

虐められていた私を ニンゲンは助けてくれた
わざわざ私のために 金平糖まで出して助けてくれた
ニンゲンさんの気紛れかもしれないけど 助けてくれたのはとっても嬉しかった

( ご主人さま、ありがとうデス )
< …お前を飼うつもりは無い。 >

馬鹿なフリをして冗談を言ってみただけだった
それでも こんな優しいニンゲンさんに断られたのは悲しかったけど

それからニンゲンさんは 公園に来るようになった
飼い実装は 虐待派のニンゲンに殺されたように思わせた
嘘をついて騙してるのは申し訳なかったけど

そしてお話をするうちに このニンゲンさんは遠くの人だと分かった
旅をしてる途中だと聞いた
この街に寄ったのは偶然で 更に偶然飼い実装探しをする事になったと話してくれた

けれど飼い実装探しが終わっても ニンゲンさんは私に逢いに来てくれた
そして食べ物を分けてくれた
とても不思議だった
どうして私に優しくしてくれるのだろう
もう用は無いはずなのに

( ……なぜ、そんな心配をしてくれるんデス? )

< なんでだろうなぁ……ただ、単純に心配なだけだ。
  こうして話をしたりして……たとえ相手が実装石でも、死んで欲しくないな。 >

母親は殺され 姉妹達に見放され 子供を産むことはできない
このニンゲンさんだけが私を気遣ってくれる
とっても嬉しかったけど あと少しで遠くに行ってしまうのはとっても寂しかった

そして何時しか このニンゲンさんに飼われたいと思った
一緒に旅へ連れて行って貰いたいと思った
しかし それは決して叶わない事だった
口にしてはいけないことだった
私の服は演技のために汚れており 普通のニンゲンなら見向きもしない
しかも最初に ご主人さまと呼んだけれども飼うつもりは無いと言われた

いや 飼ってくれなくていい

ただ時々 こうして逢いに来てくれれば それだけで良かった




この頃 私達の仕返しは順調に進んでいた

あの虐待派の家の近くに 殺した飼い実装の首輪を置いた
更に飼い主に仔実装を送り返す時に 虐待派の家の地図を描いて持たせた
姉妹の一人が街で人が集まってるのを見た

ニンゲン達は虐待派を疑っている
しかもあの虐待派は実際に たくさんの同属達を虐待している

あと少し

あと少しで 母の願いは叶う






そしてニンゲンさんとの別れの日がやってきた

ニンゲンさんが約束を守って逢いに来てくれたのは とっても嬉しかった
けれど寂しかった
もう これで二度と逢う事はできないから
また私は独りぼっちなのだから

しかしニンゲンさんは 腰を落として私の顔を覗き込み
にっこり笑いながら話してくれた

< 俺な、お前を飼うことに決めたよ。 >

意外な言葉だった
ニンゲンさんは他に3匹の親仔がいると言った
私で4匹目だと
一緒に旅に出ないかと誘ってくれた

( なぜ、私を飼ってくれるデス…? )

分からなかった
なぜ自分みたいな 汚れた実装石を飼う気になったのか
冗談でも言って からかってるのだろうか

< 俺みたいなひねくれ者は、お前みたいな汚くて馬鹿なのが似合ってるって事だな。 >

口ではそう言ってるけど 決して悪く聞こえなかった
ニンゲンさんは 本当に私の事を気に入ってくれてるのが分かった
自分を大切にしてくれるような気がした


< さぁ、行くぞ?もう出発の準備ができて3匹が待ってる。あとはお前を連れてくだけだ。 >


ニンゲンさんは 私に手を差し伸べてくれた

この手を取れば 私は連れて行かれ
ご主人さまや新しい友達と 一緒に暮らせる
あの芝生から見ていた他の親仔のように 私も幸せになれる

私は 自分の手を伸ばし 幸せを掴もうと手を伸ばして

途中で止めてしまった


…それで良いのだろうか?

姉妹達を残し 母親の願いを忘れて良いのだろうか?
最近 飼い実装殺しの疑いが あのニンゲンに向かっている
あと少しで 母の願いは叶う
そのために たくさんの同属を殺した
泣いて子供達の命を懇願する親達を殺した
その子供達も殺した

なのに 自分だけが幸せになって良いのだろうか


目の前に差し出されたご主人さまの手

あと少し手を伸ばせば届いた

幸せは 目の前に有った

その手を取るべきなのか

幸せを掴むべきなのか


二つの道 どちらに進むべきかを悩み



そして





















「 ……ご主人さま、あの時の事を…覚えてるデス? 」
『 どの時だ? 』
「 私を飼うと言ってくれた時デスよ… 」
『 あぁ、覚えてるさ。 』

まだ昨日の事だ、忘れるわけがない。

「 あの時はデスね…とっても迷ったデス… 」

そうだ、あの時のノロは俺の手を掴むかどうか迷っていた。
手を止めたまま、終いには泣いていた。

「 ご主人さまの手を取るかどうか……とても迷ったデスよ… 」

ノロは遠い昔の事を思い出しているかのように話していた。
結局、アイツは俺の手を取ることができなかった。
最後に手を降ろし、泣いて謝っていた。

「 ……けれど良かったデス 」
『 何がだ? 』



「 あの時、ご主人さまに付いて行って……手を取って本当に良かったデス… 」



『 え……。 』
「 おかげで、こうしてお友達ができて……子供達もいるデス… 」

ようやく俺にも理解できた。
ノロは夢の世界にいたのだ。
自分が心の底から望んでいた幸せな世界に。

傍に横たえられたカセンとケン
自らの膝の上に置かれたコウ

新たに得た仲間達を見るノロの表情は 幸せに満ちていた。

「 …そうだ、ご主人さま……お願いが有ったデス 」
『 そ、そうだな。約束だ…何をして欲しかった? 』
「 これを……みんなが起きたら渡してあげて欲しいデス… 」

ノロは近くに置いてあった紙袋を俺に渡した。

『 何が入ってるんだ? 』
「 それは見てのお楽しみデス……ご主人さまの分も…入ってるデスから… 」
『 あ、あぁ……みんなに…必ず渡しておく… 』
「 ありがとうデス……ご主人さま… 」


風が吹いてきた。
日は傾いて赤みを帯び、街に人影は無い。
眼下の公園に出歩く実装石の姿も無い。
初夏の季節に、涼しげな風が高台の芝生を吹き抜けていく。

「 ………私…幸せデス… 」
『 そうか… 』

「 優しいご主人さまがいて……仲の良い友達がいて……元気な子供達がいて…… 」

ノロは膝の上のコウを見ながら、その頭を優しく撫で…




「 まるで………夢みたいデス…… 」




……その手が止まった。
ノロの手は、それ以上動かず言葉も続かなかった。

『 お…おい……。 』

コウの頭を撫でるノロの表情は慈愛に満ちており……その瞳には既に光が無い。
最期を俺に看取られて息を引き取った。

もう…ノロが動くことは無かった。


『 ……っか………や……ろぉ………! 』


声が出ない。
ありったけの大声を出したつもりなのに、擦れて声が出ない。

『 前にも…言ったろ……! 』

幸せな笑みを浮かべたまま事切れたノロに向かって怒鳴りつけた。

『 お前は実装石なんだ!
  難しい事を考える必要無いんだ!
  復讐なんて考えず、自分の幸せだけ考えてりゃ良かったんだ!
  なのに律儀に、親の言う事を守って…!

  お前は…やっぱりお前は馬鹿だ! 』

騙されていた。
ノロマでグズで馬鹿だと笑っていた実装石に騙されていた。
俺はコイツの思うように動かされていた。
しかしコイツはやっぱり馬鹿だった。
手を伸ばせば幸せは掴めたはずなのに。
ほんの少し手を伸ばすだけだったのに。

目の前の幸せを掴もうとはしなかったのだから。

『 …しかし俺の方が馬鹿だ……大馬鹿だ! 』

あの時、強引にでもノロの手を取れば良かったんだ。
ノロは俺の差し出した手に、一度は手を伸ばした。
ほんの僅かな距離。
俺はノロの自主性を、意思を尊重して、それ以上手を伸ばそうとはしなかった。

だが、それは間違いだった。

あの時のノロは俺に助けを求めていたんだ。
ノロは自分を引っ張っていって欲しかったんだ。
自分に課せられた使命と今までの罪悪感。
そんな今までのしがらみが、手をそれ以上伸ばす事を許さなかった。

なら、俺が少し手を伸ばしてやれば良かったんだ。

アイツが無理なら、俺が手を伸ばしてやれば良かったんだ。

アイツに勇気が足りない分、俺が補ってやれば良かったんだ。

なのに、なのに俺は……。



『 すまない、ノロ……本当にすまない………! 』



もうノロは何も応えてくれない。

ただ俺は夕日を浴びて微笑むノロに、いつまでも涙を流して謝っていた。








その日、4匹の野良実装が捕まった。
4匹は強引に民家に押し入り、飼い実装を強引に連れ出そうとした。
今まで実装石を失った飼い主達が全員集まり、拷問にも似た尋問の末に白状させた。
公園の片隅にある巨大なダンボールハウス。
そこには今までの飼い実装達の服と首輪が残されていた。
この飼い実装殺しの真犯人は4匹の野良実装達と判明した。
だが真犯人と確定しても4匹は保健所に連れていかれない。
ペットショップを通じて最も残忍な虐待派に引き渡されたという。
保健所の薬殺処分を羨むような生活が待っているだろう。









出立の朝。
俺は門の前で、おじさんとおばさんに見送られていた。

『 もう行くかね。 』
『 えぇ、随分お世話になりました…ありがとうございます。 』
『 あと2,3日くらいゆっくりしていっても構わないのよ? 』

昨日の夜更け。
涙で目を腫らし1人で帰ってきた俺に、おじさんとおばさんは何も聞かなかった。
ただ優しく出迎えてくれた。
その気遣いはとても嬉しかったけど、もうこの街に滞在する理由は無かった。
もう俺は旅に戻らないといけない。

『 いえ、結局1週間も居座って…本当にお世話になりました。 』

俺は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

『 いいさ、こっちも楽しかったよ。 』
『 また近くに寄ったら遊びに来てね? 』

地元のお土産を送ると約束して家を出た。
気の良い夫婦は小さくなるまで門から見送ってくれた。





旅に出る前に河川敷へ寄った。

アイツ等に最期のお別れをするためだ。
カセン達が住んでいたダンボールの傍に、木の棒を差し込まれた土の盛り上がりが4つ。

左からカセン、ケン、コウ、そしてノロのお墓だ。
墓標は粗末な木の枝。

俺は、その前に屈んで話し掛けた。

『 じゃ、俺は行く。お前達を連れて行けないのは残念だが…。 』

旅には連れて行けなかった。
だが、ここならみんな寂しくないだろう。
それに今はノロも一緒だ。
辺りは草木も生い茂り景色は悪くない。

『 そうだ、ノロからカセン達に渡して欲しいって預かってたんだ。 』

ノロが最期に俺に渡した紙袋。
その封を開けて中を取り出した…。

『 …綺麗だな。 』

それは花の冠だった。

大きな花の冠が二つと小さな花の冠が二つ。

大きいのが俺とカセン、小さいのがケンとコウの物で有るのが分かった。

『 ノロからの贈り物だ。良かったな、お前ら。 』

カセン、ケン、コウの墓標の木の枝に通してやった。
3匹は頭に花の冠を乗せられ、とても喜んでる気がした。

『 ノロ、これは有りがたく貰っておくぞ。 』

そして残された最後の花の冠はMTBのハンドルに通しておいた。

飼い実装を殺すためだけに摘んできた高台の花。
ノロは一度でいいから純粋な贈り物として摘みたかったのだろう。
誰かに喜んでもらうために。

『 それからノロ、これはお前の物だ。 』

カセンから渡されるはずだったノロの首輪。
俺はそれをノロの木の枝に通してやった。
ノロも首輪を付けられ、笑ってる気がした。


『 そういえば、お前の言ってた大切な事な……達成されたぞ。 』

議員の先生は最悪の形で虐待派である事が街に知れ渡った。
同じ日に真犯人の実装石達が発見されたために刑事責任に問われる事は無い。
だが議員生命は完全に失われた。
要職に就く人物にとって、そのような趣味が世間に知れ渡るのは致命的だから。
結果的にノロ達の行為は、議員の社会生命を奪った事になる。

『 満足したか…? 』

しかし俺には分かっていた。
ノロは議員の転落なんか望んでなかった。
アイツ自身は、そんな事どうでも良かったと思う。

今の俺には、ノロが何を望んでいたのか痛いくらい分かっていたから。


『 じゃあな、お前ら。みんな仲良くしてろよ。 』


もう、この場所に来る事は無いだろう。
河川敷に立てられた4つの墓標。
この街の者は誰も知ることのない場所。

俺は背を向け、MTBに跨ると振り返る事無く次の街へ向かった。

前部に取り付けられたカゴには何も入ってない。
俺の背負っているリュックも空だ。


しかし道中。
カゴを見るたびに、リュックの軽さを感じるたびに思う。












 < …さぁ、行くぞ? もう出発の準備ができて3匹が待ってる。あとはお前を連れてくだけだ。 >

 ( わ、分かったデス… )

 俺はノロの前に手を差し出した
 
 ノロも俺の手を取ろうとして伸ばし…

 < ん…? >

 その手が途中で止まった

 < どうした? >

 ( デ………デッ……… )

 < ん? >

 ( デ……デェ…デッ………デェェ…ッ…ン…… )

 ノロの手は小刻みに震え、泣いていた
 俺の手を取るかどうか、迷って泣いていた

 その僅かな距離を、それ以上伸ばすことができずノロの手が止まっていた

 < ったくよぉ… >

 そんなノロに俺は苦笑して 更に手を伸ばしてやり


 < ……ほらっ >


 俺の手がノロの手を掴んだ

 しっかりと握り締めた

 決して離さないように

 驚いたノロが俺を見上げた

 < みんな待ってる、早く行くぞ >

 ( は、はいデス…! )

 < お前の新しい仲間は、カセン、ケン、コウって名前だ、仲良くしてやってくれ >

 ( 私こそ、よろしくデス! )






 ( かぜがとってもきもちいいテチー! )

 ( オニイチャン、はやい、はやいテチュー! )

 ( こらこら、お前たち……あんまりはしゃぐと、落ちるデスよ? )

 < そうだぞお前ら、落ちないように注意しろよ >

 青い空の下

 MTBに乗った俺と4匹の実装石達


 前カゴに カセン、ケン、コウ

 その頭には ノロから貰った花の冠


 背中のリュックに ノロ

 その首には カセンから受け取った首輪


 俺達は見知らぬ土地を走っていた


 ( ご主人さま )

 < なんだ、ノロ? >

 ( 私達はどこに向かってるデス? )

 < いや、それが… >

 ( デス? )

 < 俺も、よく分からないんだ >

 ( ェ… )

 < なんだ、気になるのか? >

 ( そんな事ないデス……それに、どこでも同じデスよ )

 < 同じ? >



 ( そうデス、どんな所でも…こうして、みんなと一緒なら…… )






 ノロが間際に見た夢





 気付けば目の前には何も入ってない前カゴ

 背中には重さを感じない空のリュックサック




 雲一つ無い青い空の下

 見知らぬ土地を走りつつ




 俺もまた 同じ夢を見ていたのかもしれない









                                        < 夢を見ていた 了 >










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1 Re: Name:匿名石 2018/05/02-02:53:18 No:00005196[申告]
ノロやカセン・ケン・コウ達のもの悲しい運命に感動した。
2 Re: Name:匿名石 2019/02/22-20:25:05 No:00005761[申告]
ノロはもっと惨たらしく死んで欲しかった
こいつはただの犯人だ
3 Re: Name:匿名石 2019/02/23-16:55:25 No:00005763[申告]
よその飼いを攫ってたとかならともかく自分で買うか野良を拾ってきたのをどう処理するかは実装石飼ってるやつの自由だろ
普通なら死ぬような状態にしてからとはいっても仔は生きたまま逃がしてやるって親蟲との約束も守ってるし
もっと理不尽なやつかと思ったら議員は筋通ってる方の虐待派じゃないか
糞仔姉妹と結局は我が身かわいさで姉妹に従ってよその飼いを犠牲にしてたノロこそ屑だろ
ノロ含めて屑姉妹の「復讐」が達成されて犯罪者でもない議員が破滅って糞だな
カセン、ケン、コウもこんなのと間接的にも関わりが出来たばっかりに惨殺されて哀れな…
4 Re: Name:匿名石 2023/06/28-17:09:17 No:00007378[申告]
連続殺石鬼姉妹頭良すぎィ
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