親:元飼い実装。かなり賢い。 ヒカリ:三女。姉妹思いの良いお姉さん。 アカリ:五女。自己中心的、乱暴者。間引きリストのTOP。 ハナビ:六女。怖がり、でも好奇心旺盛。虐待派により殺される。 ホタル:七女。寂しがり屋で甘えん坊。 ************************************************************************************ ダンボールハウスにもうすぐ着くという頃、 ダンボールハウスのほうの茂みからマラ仔実装が現れて去っていった。 親はそのマラに血付着しているのを見逃さなかった。 親は最悪の事態を想像しつつも心のどこかではそれを否定し急いでダンボールハウスの中に入る。 ダンボールハウスの中を見た親はその場にへたり込んだ。 ダンボールハウスの中には食い荒らされた今日のお昼御飯。 ムッとする精子のニオイ。 そして…無残にもマラに襲われて体を半分程食いちぎられてるホタルと 手足を食いちぎられて総排泄口が裂けて瀕死状態のヒカリが横たわっていた。 二人とも裸にされ服は細切れにされていた。ホタルのほうはさらに髪の毛まで引き千切られていた。 「ホタル〜!ヒカリ〜!」 ヒカリは母親の姿と声をを確認すると弱々しく今にも消えそうな声で親を呼んだ。 ヒ:「マ・・・マ。」 親はすぐさまヒカリのそばに駆け寄りヒカリの状態を確認する。 かなり酷いことになっているが、なんとか生きている。 そのことに安堵しつつヒカリを励ましてやる。 親:「ヒカリ、ママはここでスゥ。すぐそばにいるデスゥ。」 ヒ:「ヨ‥カッ…タテチ。ホン・ニ…コワカ・・・テチ。 デモ・・・、ママ・・イイツケ・・・・・・マモッ・・・・・・タテチ。」 親:「偉かったデスゥ。お前は立派なママの子供デスゥ。ママは誇りに思うデス。」 そう言うと嬉しそうに笑うヒカリ。そしてそのまま気絶する。 親はヒカリをタオルの上にやさしく置くとホタルのほうに駆け寄る。 が、すでに総排泄口は裂け絶命していた。恐怖に染まった表情の口からはマラの精子が垂れている。 親は優しくホタルを抱き上げると外に出て木の下に埋めてやった。 そのホタルの墓の前で親は泣いた。 「デェェェン」 喉が潰れるんじゃないか、涙が涸れてしまうんじゃないかというくらい泣いた。 泣き疲れていつの間にか眠っていた親が気づいたときには すでに日は傾きかけていた。 ダンボールハウスの片付けなどをしていると日も暮れ、夜になった。 その頃にはヒカリもアカリも目を覚まし、お腹が減ったから御飯が欲しいと要求してきた。 親はマラ実装に食い散らかされた御飯の残りをヒカリに与えた。 それを見ていたアカリは「自分がそれを食べるんだ」と言って 奪おうとした瞬間、壁の反対側まで飛んでいた。 一瞬自分に起きたことがわからなかったが、後から来る痛みで理解した。 自分は親に本気で殴られたのだ。 肉体的な痛みと精神的な痛みからアカリはいつも以上に大声泣いた。 ア:「テチャァァァ!テチャァァァ!!」 親:「お前のような糞蟲に食べさす物なんてないデス!外の草でも食ってろデス!」 ア:「テチャァァァ!テチャァァァ!!」 親:「黙りやがれデス!五月蝿くてかなわないデス! 黙らないとボコボコにして気絶させて黙らせるデス!」 ア:「テチャァァ(バキッ!」 バキッ!バキッ!バキッ!… 『ママ。何でワタチだけ…』 親はアカリを予告通り気絶するまで殴り続けた。 アカリの顔面は3倍近く腫れあがり、親も殴り疲れたのか肩で息をしていた。 その様子を見ていたヒカリは今までの親とのギャップに脅えていた。 親はすぐさま笑顔で振り返り、ヒカリを優しく抱きしめた。 親:「お前だけは何があっても守るデスゥ。」 ヒ:「ママ〜♪(よかった。いつものママテチ♪)」 親:「でも、ヒカリもママの言うことを聞かなければああなるデス。」 ヒ:「テッ!?」 ヒカリはガクガク脅えながら『我が儘は言わない。』と心に決めた。 そのまま親とヒカリは抱き合ったまま眠ってしまった。 -------------------------------------------------------------------------------------- 次の日の朝、体中に痣を作っているアカリは ダンボールハウスの端っこに体育座りのカッコウで一人不機嫌そうにしていた。 ヒカリはそれが気になり何度か話しかけたが ア:「五月蝿いテチ。私にかまうなテチ。放っといて欲しいテチ。この裸蛆!」 と怒られしょんぼりとなる。 ヒカリはアカリの言葉に傷つきながらも、やはりアカリのことが気になるようだ。 その日の朝食、幸運なことに親は愛護派から金平糖を3つと実装フードを貰ったのである。 それを見たアカリは目を輝かせて喜んで踊っている。 ヒカリも再生しかかった腕や足をクネクネさせて喜んでいる。 アカリが金平糖に手を伸ばそうとしたとき親がそれを阻止する。 ア:「何するテチ。もうお腹ぺこぺこテチ。早くそれを寄越すテチ。」 親:「何言ってるデス。ここにはお前が食べれる物は何もないデス。 そんなに食いたければ自分のウンチかその辺の草でも食べろデス!」 そういってアカリを突き飛ばす。 アカリは親に冷たくされたことで涙を目にためていた。 そして泣き出しそうになった時、ヒカリが親に ヒ:「ママ、かわいそうテチ。ヒカリにも御飯を分けてあげて欲しいテチ。」 ア:「そうテチ。このままじゃ私が可哀相テチ。ママはそれでもいいテチ?」 親:「構わないデス。こんな糞蟲はさっさと死ねば良いデス。」 ア:「テチャァァアア!!」 ヒ:「ママなんて事言うテチ!それじゃあアカリがかわいそうテチ。 アカリが何をしたのか知らないけど許してやって欲しいテチ。」 親:「…ヒカリは心が優しい子デス。ヒカリに免じて御飯だけは食べさしてやるデスゥ。」 ア:「テチィ〜♪」 アカリは昨日昼からまったく食べていなかったので3等分に分けられた実装フードを堪能した。 『最後のデザートに金平糖を食べ…無い!金平糖が無い!いったいどこに!?』 親に金平糖はどこかと聞く。 ア:「ママ金平糖が見つからないテチ。どこにあるか知らないテチ?」 親:「…」 ア:「ママ?」 親:「お前に上げる金平糖は無いデス。この金平糖はヒカリの分だけデス!」 ア:「テッ!?」 親の信じられない言葉にアカリは呆然とする。 さらに親は続ける。 親:「金平糖はヒカリが体を癒すための栄養源デス。 お前のような奴には食わせるわけにはいかないデス!」 ア:「テェェェェ!?」 親:「さぁ、ヒカリいっぱい食べて元気になるデス。」 ヒ:「・・・・・・ママ、この金平糖はワタチのモノデスゥ?」 親:「そうデス。だから3つとも食べて早く元気になって・・・デェェェェ!?」 親は驚いた。 なんとヒカリは金平糖を1つアカリのほうに向けてヘディングして差し出したのである。 当然アカリも驚いた。 『これは食べても良いのだろうか?でも食べるとママに怒られて痛い事される。 でも、目の前に金平糖がある。食べたい。でも・・・』 と自問自答しながら涎を垂らして金平糖を見ていた。 親は慌ててそれを拾いヒカリの下に持っていく。 だがヒカリはそのたびにアカリの近くに金平糖を転がす。 親は困り果ててヒカリに問いただす。 親:「どうしてこんなことをするデスゥ?金平糖を食べたく無いデスゥ?」 ヒ:「違うテチ。美味しいものは一人で食べても美味しくないテチ。 みんなで食べたほうが美味しいテチ。」 親:「でもこいつは・・・こいつはダメデス。」 ヒ:「ママはこの金平糖は私の物だといったテチ。だからワタチがヒカリに金平糖を上げるだけテチ。 それなら問題ないはずテチ。それにママは御飯は食べさすって言っていたテチ。」 そう言われ親は押し黙る。 確かにそう言ったが、それはヒカリのためを思ってのこと。 それにこの糞蟲はハナビや他の姉妹を殺したも同然のことをしている。 そんな糞蟲を私は許せない。それをヒカリは許すというのか。 親はヒカリの心の優しさに胸を打たれた。 そんなヒカリの優しさに免じて金平糖を食べることを許してやった。 アカリは嬉々として金平糖を舐めている。 ア:「お前なかなか気が利くテチ。これからもワタチに御飯を献上するテチ♪」 バキッ! 親:「お前はやっぱり糞蟲デス。ヒカリの好意をなんだと思っているデス。 次そんなことを言ったらこの家から叩き出してやるデス。」 ア:「テェェェ!」 『何でテチ。何で可愛いワタチがこんな目に遭わないといけないテチ。これもヒカリのせいテチ。 ヒカリさえいなければこんな目に遭わずにママもワタチに優しくしてくれるテチ。』 親は金平糖を少しだけかじり残りをヒカリに与えてやる。 ヒカリは遠慮したが傷を治すためだというと大人しく従った。 金平糖のおかげでヒカリの傷は見る見る良くなっていく。 明日には完全に直っているだろう。 『今日はニンゲンさんのおかげで昼は御飯を探しに行かなくても大丈夫そうデス。』 そう思い、親はヒカリに人間に飼われるにはどうすれば良いのかを 自分の経験も踏まえて教えた。 親:「ニンゲンさんには逆らってはダメと昨日教えたのは憶えているデスゥ?」 ヒ:「もちろんテチ。」 ア:「と、当然テチ。」 親:「・・・それじゃあ新しいことを教えるデス。ニンゲンさんにはなるべく媚びないほうが良いデス。」 子:「「テェェェェ!?」」 ヒカリはその事に強いショックを受けていった。 当然であろう。人間に飼ってもらうには媚びて自分をアピールするしかない。 これは実装石の中では常識中の常識。『これを知らないなんて実装石じゃない』と言い切れる位のことだ。 アカリも当然そのように考えていた。 だが、親の言うことが信じられないようだ。 むしろ親をバカだと思い始めている。 親:「驚くのも無理ないデス。公園の同属達を見ればわかると思うデスゥ。 みんなニンゲンさんに媚びているデスゥ。でも、私のご主人様は 『媚びてくる実装石って本当に気持ち悪い』って言っていたデス。 事実、媚びた実装石はほとんど殺されているデスゥ。」 ヒ:「確かにそうテチ。…テ?ママはもしかして飼い実装だったテチ?」 親:「…そうデス。でもママはご主人様の機嫌を損ねたから捨てられたデス。 だからお前達がニンゲンさんに飼われた時、そんなことが無いように教えるデス。」 ア:「何でニンゲンをメロメロにしなかったテチ。そうすれば今頃ワタチも飼い実装だったテチ!」 ヒカリは親が飼い実装だったことに驚き、アカリは親が捨てられたことを責めた。 アカリにすれば親が飼い実装としていれば、自分はもっといい暮らしが出来たはずなのだから 今の自分の境遇は親の責任だと思ったのだろう。 それは事実ではあるがアカリは今の自分がまだ幸福な境遇だとわかっていない。 たとえ親に嫌われていても『自分はまだ生きているし餌も与えられる』、それを全く理解していないのである。 ヒカリは親に質問した。 ヒ:「でも、それじゃあ人間に飼われるにはどうしたらいいテチ?」 親:「さっきも言ったようにむやみやたらに媚びないことと、体を綺麗にすることデス。 良いニンゲンさんは実装石を飼う基準は 『賢いこと』、『躾が出来ていること』、『性格が良いこと』 この3つデスゥ。性格は、ヒカリのように優しい仔はとても可愛がってもらえるデス。」 ヒ:「テェ〜♪嬉しいテチ♪」 親:「逆にアカリのような性格だとすぐに捨てられるデス。」 ア:「テェッ!?そんなことにテチ。人間は高貴で可愛いワタチにメロメロでそんなこと出来ないテチ。」 親:「お前はバカデス。そんなことを言っているからダメなんデスゥ。」 そう言われてアカリは怒り出す。 親の言うことが理解できていないようだ。だが親は無視して話を続ける。 親:「次に『躾が出来ていること』について話すデス。 『躾』は御飯を食べるとき溢したりしないで綺麗に食べること、 ウンチは決まったところですること等デス。様はニンゲンさんを困らせることをしない事デス。」 ヒ:「わかったテチ。これからはママの言うとおりの場所でウンチをするテチ。」 ア:「そんなこと必要ないテチ。ニンゲンなんて下僕テチ。ワタチのやりたいようにするテチ。」 親:「ヒカリは素直で良い子です♪アカリはやっぱりバカな子デスゥ。」 親はヒカリの頭を撫でてやった。 親:「次に『賢いこと』について話すデス。『賢い』とはニンゲンさんの言ったことを一回で憶えたりする事デス。 なぜかニンゲンさんは私達実装石を賢いか賢くないかを判断するのに服やパンツを見るデス。」 ヒ:「パンツテチィ?ニンゲンはエッチテチ。」 親:「そうデスゥ。ニンゲンさんは実装石の服やパンツが綺麗だと賢いと思ってくれるデス。」 ア:「なら、ワタチは賢いと思われるテチ。私の服は綺麗テチ。」 アカリは自分の服は一番だと言わんばかりに裸のヒカリに見せ付ける。 実際は親がこまめに洗っているおかげである。 放っておけば姉妹の中では一番最初に汚していた。 親はそんなアカリは無視する。 無視されたのに気づいたアカリは憤慨していた。 ヒ:「…」 親:「ヒカリ、どうしたデス?」 ヒ:「ワタチにはもう服やパンツが無いテチ。もうニンゲンさんに飼ってもらえ無いテチ。グスッ」 ア:「テププ♪お前のような無様な奴は最初からニンゲンに飼われる訳が無いテチ。テプププ♪」 親:「ヒカリ…。大丈夫デス。服やパンツは私がきっと見つけてくるデス。心配ないデス。」 親には服をもう一度作ることは出来ない。が、見つけることなら可能だ。 この公園には虐待派が来る。その時、虐待派が殺した実装石から服を奪うのである。 やり方は墓荒らしみたいだが失ってしまった服を再び得るにはこれしか方法がなかった。 親は次に虐待派が来るまで洗濯の講義を延期した。 もともとヒカリは手足が完全に治っていないので洗濯を教えようがなかったのだから当たり前と言えば当たり前だ。 親:「それじゃあ、洗濯の事はまたいつか教えるデス。今日はこれから晩御飯を探してくるデス。」 ヒ:「テ?まだお昼テチ?」 親:「今のうちに捜しておけば今日一日はずっとヒカリと一緒にいられるデス。 そのためにもがんばって美味しいものを取ってくるデス。」 ヒ:「ワタチもママと一緒だと嬉しいテチ♪」 ア:「…」 親:「それじゃあ行ってくるデス。いい子にお留守番をしてるデス。お昼までには帰ってくるデス。」 ヒ:「いってらっしゃいテチ。」 ア:「…」 親:「?」 親はそういってダンボールハウスを出た。 アカリの様子が少し気にかかったが今は少しでもヒカリに良いものを食べさせて 早く完治させないといけなかった。 -------------------------------------------------------------------------------------- ヒ:「今日はお昼からはママとずっと一緒テチ〜♪」 ア:「…」 ヒ:「アカリどうしたテチ?さっきから黙ってばかりテチ。」 さっきから黙りっぱなしのアカリにヒカリは少し不審に思い声をかけた。 アカリは黙ったままヒカリに近づきヒカリを見下ろした。 ヒ:「?どうし(ベキッ!)テッ!?」 ヒカリは腹部に鈍い痛みを感じた。 アカリに蹴られたのである。 ヒ:「なにするテ(バキッ)テチャ!?」 今度は顔面を蹴られた。 ヒカリは口の中が切れたのか血を垂らしながら泣き出した。 ヒ:「テチェェェン!」 ア:「…テチ。」 ヒ:「テチェェェン!」 ア:「・ル・イテチ。」 ヒ:「テチェェェン!テチェェェ(バキッ!)テギャッ」 ア:「五月蝿いテチ!黙れてテチ!」 ヒ:「ヒッ」 ヒカリはアカリの怒声で泣き止んだ。 ヒカリがアカリの顔を見るとなぜか怒った顔をしたアカリがいた。 ヒカリには何故自分が蹴られて起こられているのかまったくわからなかった。 『自分は何かアカリの気に障ることをしたのだろうか?』と思い必死に考える。 だがいくら考えてもさっぱり理由がわからない。 ヒカリはアカリに聞くことにした。 ヒ:「何でこんなことをするテチ?何かワタチが悪いことしたテチ?謝るから許して欲しいテチ。」 ア:「お前がいるからママは私に優しくしないテチ!お前なんていなくなればいいテチ!」 ヒ:「テェェェ!そんなの知らないテチ。ワタチのせいじゃ無いテチ。」 ア:「黙れてテチ。今からお前を始末するテチ。そうすればママもワタチだけを可愛がるテチ。」 ヒ:「やめてテチ。ワタチからもママに言ってあげるからやめて欲しいテチ。」 ア:「今なんていったテチ。言って『あげる』?お前ごとき糞蟲に施されるなんてワタチのプライドがゆるさ無いテチ!」 バキッ!バキッ! アカリは安いプライドを傷つけられて怒り狂った。 手足が治り始めたとはいえほとんど動かすことの出来ないヒカリに馬乗りになって力の限り殴りつける。 ヒ:「痛いテチ。やめてテチ。何でも言うことを聞くから許して欲しいテチ。」 バキッ!バキッ! ア:「五月蝿いテチ!糞蟲さえ死ねば!お前さえ死ねば!」 バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ! ヒ:「ヤメ・・・テ・・テチ。マ・・・マ・・・」 ア:「死ねテチ!死ねテチ!死ねテチ!死ねテチ!」 バキッ!バキッ!バキッ!バキッ! ・ ・ ・ 気がついた時にはヒカリは死んでいた。 アカリは我に返って自分のしたことに満足し恐怖した。 『ついに糞蟲を殺してやったテチ。これでママに可愛がられるテチ。 でも糞蟲を殺したからママに怒られるテチ。どうしようテチ。』 もはや、まともな思考をしていない。 御飯を食べながらしばらく考えて結論を出した。 ヒカリの髪の毛を引きちぎりヒカリの寝ていたところにばら撒く。 そして自分が持てる限界の大きさの石を家に持っていきヒカリの遺体に何度もぶつける。 その後、ヒカリの遺体を噛み千切り血の海を作る。 ヒカリの遺体はダンボールハウスから引きずり出しホタルの墓を掘り返して一緒に埋めた。 さらに木の枝を1本取り、意を決して自分の腕に刺す。 痛みのあまり思いっきりパンコンする。 そして石に向かって走り出し頭をぶつけた。 当然アカリは意識を失った。 『これで・・・完・・璧テ・・・チ。』 -------------------------------------------------------------------------------------- 親は順調に御飯を集めていた。 どうやら他の実装石よりも早く出かけたため餌場が荒らされていないことが幸運だった。 今日はコンビニのゴミ箱から肉マンの食べ残しを得ることが出来た。 その他にもお弁当の食べ残しや飲み残しのジュースも手に入った。 昨日に続き大収穫だ。恐らくこんなことは二度とないだろう。 親は上機嫌でダンボールハウスに向かった。 出かける直後はアカリの様子がおかしかったのが気にかかっていたが これだけの御馳走が手に入った喜びですでに忘れている。 -------------------------------------------------------------------------------------- 家に着いた親は愕然とした。 いるはずのヒカリの姿がなく、いるのは腕に枝が刺さり頭を陥没させたアカリと血の付いた石があるだけ。 そして、ヒカリが寝ていた場所には乾いた血の海とヒカリの物と思われる髪の毛。 いったい何が起きたのかわからなかった。いや、わかっていた。受け入れることが出来ないのだ。 親はこの光景を知っている。多少違うが昨日見た。 ホタルと花火が死んだ日の光景が親の頭にフラッシュバックされる。 親は絶叫した。 親:「デギャアアアアア!!」 母親はアカリに駆け寄り腕の枝を強引に引き抜いた。 何が起こったのか知りたかったのだ。 親:「何があったデス!教えるデス!」 腕の痛みと親に揺すられた振動でアカリは気がつく。 しばらく頭が働かないようだったが時間がたつごとにはっきりしてきた。 アカリはガクガクと震えだして親に言った。 ア:「ニ、ニンゲンが来たテチ。アカリはニンゲンに連れて行かれて殺されたテチ。怖かったテチ。」 親:「!?」 その言葉を聞き親は一気に体の力が抜けた。 そして目の前が真っ白になり何も聞こえなくなった。 『なんで、私が出かけている間に3度までも・・・。何で私は御飯があるのに出かけたデス? 神様は何で私だけこんな目に合わすデス?子供達はとてもいい子だったデス。 何でニンゲンは私達の幸せを奪うデス?許さないデス!』 親は自分を責め、神を怨み、人間に憤怒した。 親はしばらくの間放心状態が続いた。 アカリはまだ自分は無視されていると思い地団駄を踏んだ。 そのとき親が拾ってきた御飯が目に入った。 アカリは親が構ってくれないので親の拾ってきた御飯を食べだした。 満腹になると再び親に構ってもらおうと親を揺する。 しかしまったく反応が無い。 そんな親に怒りながら背中を叩き、罵声を浴びせる。 ア:「なんで可愛いワタチを無視するテチ。ママはもっとワタチを可愛がるべきテチ。 そうでなければヒカリが死んだ意味が無いテチ!」 親はその言葉に少し反応する。 ア:「まったく、他のグズか死んだくらいでなんテチ。あんなグズがたくさんいるよりワタチが一人いれば十分テチ。」 親の目に怒りの炎が灯る。 が、アカリは気づいていない。それどころかさらに怒りがヒートアップする。 ア:「何のために痛い目に遭ったテチ。これじゃあ、骨折り損テチ! ヒカリのせいテチ。」 親は先程までのアカリの言葉に疑問を持った。 『「ヒカリが死んだ意味が無い」?「何のために痛い目に遭った」?「骨折り損」?』 親はようやく動き出し深呼吸をして心を落ち着けた。 家の中をよく見ると昼用の御飯が無い。 ニンゲンが実装フードを持っていくだろうか? しかもヒカリのいたところから何かを引きずって外に出した様な後がある。 出来るだけ笑顔を作りアカリに話しかける。 親:「・・・傷はもう大丈夫デス?」 親はアカリの頭を撫でながら言った。 アカリはようやく自分が構ってもらったのが嬉しいらしく目を輝かせながら答える。 ア:「大丈夫テチ!ようやくワタチを可愛がってくれるテチ?」 親:「そうデス。死んだヒカリの分もお前を可愛がるデス。」 アカリは嬉しさで頭がいっぱいになった。 『これでようやく自分はママに可愛がってもらえるテチ。 これからは自分ひとりでいっぱい甘えられるテチ。 これまでがんばってきたかいがあったテチ。 あんな事やこんな事をいっぱいママにして貰うテチ♪』 アカリはまさに有頂天になっていた。 そんなアカリに親は話を続ける。 ア:「やったテチ♪ようやくママがワタチを可愛がってくれるテチ。」 親:「そんなにママに可愛がってもらうのが嬉しいデス?」 ア:「当たり前テチ。ママはいつもヒカリばかり構ってたテチ。 ママに可愛がってもらうのにヒカリが邪魔だったテチ。だからヒカリを殺したテチ♪」 その言葉を言い終わった瞬間アカリの頭が食いちぎられた。 恐らく痛みも恐怖も感じなかっただろう。 食いちぎられたアカリの首から下は一度だけビクンッと痙攣した後、崩れ落ちた。 親はアカリの頭をゆっくりと咀嚼し飲み込み一粒の涙を流した後、「デー、デー」と鳴き始めた。 目は焦点が定まらずどこか遠くを見ている、顔も無表情になっている。 精神が壊れたのであろう。そのまま夢遊病のように公園を彷徨い続けた。 そんな親を野良達は遠巻きに見て嘲笑っていた。 そして、野良の一匹が後ろから親と突き倒した。 親は受身も取らなかったので顔面をモロに打ち鼻血を出していた。 それでも親は起き上がり何事もなかったように再び歩き出す。 それを見た野良達は笑いながら親に暴行をはじめた。 そんな中、野良の仔実装も加わり殴る蹴るをしていたのだが、親が仔実装を見た瞬間 それまで無抵抗だった親がいきなり仔実装を掴み頭を食いちぎった。 仔実装は絶命し、その野良の親は絶叫した。 野良の親は自分の子供を食い殺した「親」にさらに暴行を加えた。 服を引き裂き、髪を毟り取り、腕を引きちぎり、足を潰し、顔面を殴り、腹を蹴り上げる。 そして最後には「親」を食い始めた。 それでも親は無表情に「デー、デー」と繰り返すだけだった。 野良の親が「親」を食い始めるのを見て他の野良達も同じように「親」を貪り始めた。 そしていよいよ頭部だけとなった。 野良達は気づかなかった。さっきまでどんな暴行を加えようよ無表情だった「親」の顔がなぜか笑顔になっていることを。 なぜ「親」の顔が笑顔になっていたのかは誰にもわからなかった。 ************************************************************************************ 以上です。 あまり虐待らしいことはしていませんが、読んでいただいてどうもです。