タイトル:【虐】 サンタ仔実装のシーズンデス
ファイル:惰性のサンタ仔実装.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:304 レス数:2
初投稿日時:2024/12/21-14:48:35修正日時:2024/12/21-14:51:19
←戻る↓レスへ飛ぶ

11月の末ごろから12月のはじめごろ、それは現れる。
実装ショップ店頭のディスプレイ水槽に立つ、毎年恒例の存在。

「テチー♪」
愛らしくこまっしゃくれたポーズをとる。

ふわふわな紅白のサンタおクルミとお帽子を纏った小さなサンタ仔実装たちだ。
ディスプレイ水槽の中ですっかりオシャレさん気分、各々ポーズをとり、通行人に媚びを売る。
イゴイゴとした実装ステップでダンスを踊り、自分の可愛さを売り込んでいく。

ディスプレイ水槽も毎年の使い回しだが、クリスマスらしく飾られシーズンを強調する。
敷き詰められた白い砂は雪の表現、ミニサイズのツリーと煌びやかなモール。
それなりに華々しくレイアウトされた水槽内でちいさな小人のサンタもどきたちは踊る。

「サンタテチュ~♪飼ってテチィ~カっワイイんテチ~♪」

調子はずれなジングルベルの替え歌を数匹が合唱して歌い上げ、道行く人の視線を集める。
視線が来ればすかさず実装の必殺ムーブである媚びポーズ。

「オ・ア・イ・ソっ☆テチャッ♡」
決まった!とでも言いたげに恍惚とするサンタ仔実装が心地いい陶酔に浸る。
視線をくれた人間がもう通り過ぎているのにも気づかない。

(そんな季節か)

大方、通行人からはたったそれだけしか思われていない。

———

定番といえば聞こえはいいものだが。

擦られすぎた企画品に目新しさはなく、大した関心もされない。
惰性で生産され惰性で配置され、そして今年もおそらく惰性で多くが廃棄される。
知能も性格も選りすぐられた仔実装たち。

「テチテッチー☆」「サンタチャンはいかがテチ?」
「ニンゲンサンオウタとオドリでシアワセをプレゼントできるんテチー!」
「かわいいサンタチャンテチッ♡」

備え付けのスピーカー式リンガルから聞こえてくるアピールボイス。

各々ユーモラスなアピールだが、毎年大体似たような内容だ。
そりゃそうだ、一山いくらの仔実装の思考なんか似通うもの、
その上にサンタ仔実装教育マニュアルは3年も更新されていない。
語彙と知識はさらに偏る。

一度受けた企画が季節ものということで何度も繰り返される。
飽きられ切っているが、クリスマスシーズンで他にいい企画案がある訳でもなく、
商業的な季節感に乗っかこれからもサンタ仔実装は年末に現れるだろう。

ーーー

薄暗い装置の中の小空間。
閉塞した空気と鉄のような匂いが充満し、重々しい可動音が絶えず鳴る。

「テェェン!おクルミどこやったテチ?ここはどこテチ~!?」
「ワタチたちどうなるんテチュ?」
「ワタチタチってみんなにシアワセをとどけるサンタチャンなんテチ!いじめちゃダメダメテチ~!」
「サンタおクルミをもどして、もどしテチッ!」

裸に剥かれている元サンタ仔実装が涙を流してイゴイゴとする。

目が覚めると裸でこの空間にいた。わけがわからない、なんでこんな目に?という様子。
そうこうしているうちに、天井が勢い良く落下した。

「ユベ」「チュブ」「チャ」圧殺によって途中で中断された鳴き声が間抜けな響きを残すばかり。

皆、実装ミートフードメーカーにプレスされていった。
あの元気いっぱいに幸せになると疑っていない笑顔だったサンタ仔実装たちの何週間後か何日後かの姿。
ゴウンゴウン、機械に何度も圧され、攪拌され、皆一つへとまとまっていく。

あるいは、今日がクリスマスをすぎているのならたった数時間後なのかもしれない。
まあ時間がどうだろうと関係もない。売れなかったサンタ仔実装の最期は、そんなものなのだから。

クリスマス実装から正月向け商品の干支実装や晴れ着実装等に再教育しようにも問題があるのだ。
正月までがあまりに短期間すぎること、相手が仔実装オツムであること。

過去に試みられたケースでは全個体が例外なくジングルベル歌い出しサンタ仔実装と自己紹介をした。
見事に正月をムードぶち壊した。

だからこそ使い回すより潰し、新鮮なショップ限定高栄養肉フードにしたほうがまだマシだ。
肉フードは非実装ペット愛好家やボディビル系実装おじさんにもタンパク質が取れるなどの理由から売れる。

サンタ仔実装肉というのが重要だ。
クリスマス・シーズンゆえに人間の目線が多く注がれる環境に彼女たちは置かれていたのだ、
数週間ほどよく踊り媚び、動いた故に筋肉がつき、しっかりした歯応えのある肉となっている。

混乱のうちに死ぬので、偽石の劣化もそう起きてはいない。
新鮮な偽石も一緒にフードに混ざっていることで質的に何やら良い効果がある、ともされている。

かつての肉骨粉のような危険性を訴える声もあるにはあったが
実装石のことなので「そこまで気にすることないか」ですまされている。

成型機内、ミートフードの原料は赤緑がグズグズに混じりあい、クリスマスカラーのように見えなくもなかった。
奇跡的に形を保った眼球の破片から、体液か何かだったろう水分の汁が垂れた。

涙のように見えた。


おわり


■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため4044を入力してください
1 Re: Name:匿名石 2024/12/22-06:47:49 No:00009444[申告]
せっかく肉質上がってるのにミンチにするのなんか勿体ないな
なんとか生きながら丸焼きにしてローストジッソーにしできないか
2 Re: Name:匿名石 2024/12/22-12:59:55 No:00009445[申告]
サンタ仔実装好き
テッチュンテッチュン踊って健気に客寄せしてるのにシーズンが終われば即処分されるのイイよね
戻る