タイトル:【虐観察】 頭の良い仔実装ほか短編まとめ
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:358 レス数:2
初投稿日時:2024/10/08-22:29:55修正日時:2024/10/08-22:33:51
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短編の詰め合わせ。
スレに投下したスクに微修正を行いました。

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頭の良い仔実装


としあきが飼っているテチコは頭が良く、教えれば文字も理解できた。

「これは挨拶だよ。【こんにちは】って書いてあるんだ」
『こんにちはテチ!出会った時の挨拶テチ!』
「そうだ、テチコは頭がいいなあ」

だがある朝、テチコが目を覚ますと小さな箱に入れられ道端に捨てられていた。
箱には【かわいがってください】の文字……。

『テェ……これは知ってるテチ、捨てられたペットの箱に書いてあるテチ。ワタチ捨てられたテチ……?』

どうして、という言葉が頭の中に次々に浮かんでくる。
良い仔だったはずだ、ワガママは言わなかった、ゴシュジンサマを困らせもしなかった!
どうして!?どうして!?どうして!?……次第に涙があふれてくるテチコ。
そんな様子を、としあきは道路の向かいの自室から見下ろしてニヤニヤしていた。

「いいねぇ、理不尽に捨てられた時の反応はタマラナイ……あ、倒れた。パキンしたかな?
 頭は良かったから文字で捨てられたことを理解させてみたけど案外ストレスに弱かったな。
 ……次はどんな仔蟲でどんなことを試そうか」


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雹と親仔


「今日の天気はおかしいデス」と、親実装は思った。
妙に大きな黒い雲がすぐ近くに立ち上り、お日様の光を遮ったかと思うと、
暑い季節だというのにひんやりした風が吹いてきた。

「ムスメたち、おうちに戻るデス!」

親実装がダンボールハウスの周りで遊ぶ仔実装たちを呼び戻そうとした時、雷鳴と共に強い雨が降り出した。

「テチャア!雨さん強すぎテチィ!」
「おうちに戻るテチ!」
「ずぶ濡れになっちゃうテチ!」

仔実装たちは慌てて親の元へ駆け寄っていく。
まず長女が濡れた身体を新聞紙で拭かれてハウスに入り、次いで次女。
そして親実装が残った三女を抱きかかえようとした時……。
「テギョッ!?」という鳴き声と共に、三女の頭が潰れていた。

「さ、三女…!?」

何が起こったか解からないと言った顔の親実装だったが、原因はすぐに判明した。
空から氷の粒が降っていた……雹(ひょう)だ。
雹は直径5ミリ以上の氷の粒でその威力は侮れず、もちろんチリィ仔実装に直撃すれば致命傷となる。

「三女ォォォ!」
「ママどうしたテチ?」
「三女チャまだテチ?」

親実装の叫び声、そしてダンボールハウスを叩く雹の音に不安を感じた長女と次女が入口から外を覗いた。

「お、オマエたちお外にでちゃ駄目デス!おうちの中で布団に包まってじっとしてるデス!」

親実装は二匹をハウスの奥に追いやり、新聞紙で包んだ。
そうしている間にも、親実装の背中には雹が次々に当たり、めり込み、傷を負わせていく。

「いいデス…?外が静かになるまで、じっとしてるデス……ママがオマエたちを守るデス」

ついには親実装は二匹に覆いかぶさった。何故なら……。
ボスッ…!ボスッ…!と音を立てて、雨に濡れて弱ったハウスに穴が開き始めていたからだ。

「ママァァァ!」
「怖いテチィィィ!」
「大丈夫デス……ママが守るデス……」

空から降ってくる恐ろしい氷の粒は、その後しばらく続いた……。

  *  *  *  *  *

やがて外は静かに、そして明るくなった。

「テェ…終わったテチ…?」
「ママ、大丈夫テチ…?」

雹が降りやみ、雨雲も去って行ったが、親実装は動かない。
仔実装たちは穴だらけでボロボロになったダンボールハウスを不安そうに見上げ、親実装の身体をゆする。

「ママ、ママ、もう怖い音しなくなったテチ」
「起きテチ!」

しかし親実装は動かない……頭を直撃した雹が偽石を砕いていたためだ。

「ママ、ママ!」
「テェェェェン、ママ起きテチィ!」

泣きながら親の身体の下から這い出る仔実装は、奇跡的に無傷だった。
親実装は自らの身を犠牲にして、二匹の仔を守護ったのだ。

とは言え、親と家を喪った二匹が今後も無事でいられるかは……絶望的と言わざるを得ないだろう。


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オシャレ


『お願いデスゥ、ゴハンを分けて欲しいデスゥ……せめてこの仔にだけでも……』

俺が公園で290円ののり弁を食べていると、野良実装が近寄ってきてそう言った。
連れている仔実装はやせ細ってふらついていて、今にもパキンしそうだ。
だが、俺はその野良たちのある部分に難癖をつけて言った。

「へぇ、食べ物が欲しいのか。だがお前らオシャレする余裕があるみたいじゃねぇか。
 着飾る余裕があるくせに人間様に飯をたかろうって根性が気に入らねぇ」
『デェ!? オシャレなんてしてないデスゥ!
 ワタシみたいな野良はオミミのリボンもポシェットもないデスゥ!』
「お前らフリルのついた前掛けと、その前掛けに赤いリボンがあるじゃねぇか。
 オシャレじゃないとは言わせねぇぞ!」
『デデッ、こ、これは生まれつきで……』
「とにかく、そんな贅沢な奴らに分ける飯はねぇ。俺だってギリギリの生活なんだ。
 ……そうだな、今ここで服を破り捨てるって言うならこの弁当をやってもいいぞ」
『デェェ……』

1分ほど葛藤した後に親実装は自らの服を破いて裸になったので、俺は約束通り弁当を渡した。
服を失った親実装がその後も仔を守って生きていけるかは、俺の知ったことではない。


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ダンス


夏の暑さが収まって秋の涼しさが公園を包み始めた頃。
「歌と踊りが上手な奴は飼ってあげる」と言って、公園の野良に歌と踊りの練習をさせる男がいた。
男は毎週日曜日に練習の成果を確認するが、当然のごとく合格者はいない。
しばらく経つと、野良たちの不満がくすぶり始めた。

『ワタシのお歌のどこが下手なんデスゥ!』
『ワタチたちの踊りもテチャー!』
『いっぱい練習したテチィ!』

そこで男が、用意してきたモニターにキレッキレのダンスをするアイドル実装グループや
澄み渡るような歌声を響かせる歌手実装の映像を映すと、野良たちは静まり返る。
映っているのは厳選された出産石に人工的な胎教による英才教育を施して生まれたプロの芸能石であり、
公園の野良が太刀打ちできる相手ではないのだが……男はそのことには触れず、野良たちを励ました。

「君たちももう少しなんだよ、もうちょっとでこの域に到達できる。飼いまであと一歩だガンバレ!」
『わ、わかったデスゥ!』
『がんばるテチ!』
『ワタチもテチ!』

集まった野良たちは、決意を新たにする。
ただし、彼女らが歌と踊りの練習に熱中している間に、冬の訪れは迫っていたのだが……。


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廃棄実装


『ワタチはニンゲンサンに食べてもらうために生まれたテチ!
 生まれる前からそう教えられていたから、それは当たり前で正しいことなんテチ!
 生まれてすぐママから離されて禿裸にされちゃったのは少し寂しいテチけど
 たくさんのオトモダチと一緒だから大丈夫テチ!
 そうしてワタチはオトモダチと一緒に袋に入れられて、サムイサムイ部屋に運ばれたテチ!
 本当に寒いテチ!お服がないから凍えるテチ!みんなでくっついて温めあうテチ!
 サムイサムイ……眠くなってきたテチ……』

  *  *  *  *  *

——1年後
としあきが冷凍庫の整理をしていると、スーパーで安売りしてた時に買った、
冷凍の食用仔実装三匹パックが出てきた。
賞味期限は一ヶ月前に切れている。

「まだ食えるかもしれないけど、まあそうまでして食う必要もないし捨てるか…」

ちょうど明日が実装ゴミの日。
そのまま翌朝まで冷凍しておいて、翌日としあきはゴミ袋に冷凍仔実装を放り込むとゴミ捨て場に捨てた。

時期は真夏。
強い日差しで冷凍仔実装は解凍されていく……。
賞味期限切れだったためか、三匹のうち二匹は冷凍中に死んでいたようだが、
残りの一匹が蘇生に成功し、袋の中で目を覚ました。

『……テチュ?ここはどこテチ?やっとニンゲンサンに食べてもらえるテチ?』

食用仔実装の本能で、解凍されたら人間に食べてもらえると知っていた仔実装は、
人間の姿を求めて狭いゴミ袋の中を見回すが、小さなゴミ袋の中にはオトモダチの死骸しかなかった。
さらに、袋越しにうっすら透けて見える隣の袋の中には、物凄い形相で死んだ実装石が入れられている。
今日は実装ゴミの日。
主に実装石の死骸の回収日だが、仔実装はそんなことは知らない。

『ど、どういうことテチ?ワタチ、食べてもらえるんじゃないんテチ……?』

不安になり、涙ぐむ仔実装。そこへゴミ収集車がやってくる。

『に、ニンゲンサンテチ!ワタチはここテチ!ワタチを食べテチ!』

収集作業員に対して必死に呼びかける仔実装だったが、作業員たちは黙々とゴミ袋を
収集車に放り込むだけで仔実装には目もくれなかった。

『ワタチを食べテチ!ここテチ!……テチャ!』

仔実装の入った袋も、無造作に収集車の中に放り込まれた。

『なんで食べてくれないテチ!ワタチはただニンゲンサンに食べて欲しいだけテチ!』

叫び続ける仔実装だったが、その頭上から圧縮装置が迫り……。

『な、何の音テチ……?怖いテチ!食べられずに死ぬのは嫌テチ!食べテチ……食べビュッ!』

こうして、食用仔実装は食べられることなく収集車の中でオトモダチの死骸と共に肉塊となり果てた。

「よし、収集終わり。次に行くぞ」
「りょうかーい!」

食品ロスの削減が叫ばれる昨今だが、廃棄食用実装の削減はあまり進んでいない。


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貴重品


ワタシが公園でアレを探していると、ちょうどニンゲンサンがアレを持ってゴミ箱に近づいて行ったデス。

「ニンゲンサン、ソレをワタシに下さいデス」
『なんだこいつ?やけにデスデス訴えてくるな……これは空っぽだぞ?』
「空でもいいんデス、お水を汲むのに使うんデス」

ワタシがニンゲンサンの機嫌を損ねないようにオジギをしたりできるだけ柔らかな態度で訴えていると
言葉は伝わらずとも思いが伝わったのか、ニンゲンサンはソレを差し出してきたデス。

「ありがとうございますデスゥ!大事に使わせていただくデスゥ!」

ワタシがペコペコ頭を下げている目の前で、ニンゲンサンはその透明な入れ物を地面に置いて……。

『ほらよ、ありがとな』

そう言って、その入れ物を踏み潰したデス……。

「デデッ!な、なんで踏みつぶしちゃったデス!?」
『公園の美化に関心のある野良実装とは感心だよ。じゃあな、そのペットボトル捨てといてくれよ』

ニンゲンサンは立ち尽くすワタシに手を振りながら去っていったデス。
どうしてニンゲンサンはこんな貴重なものをあっさり踏みつぶせるんデスゥ……。


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ケーキ


ペット用のケーキという物がある。
人間が食べる物そのままだとペットの体に良くないので、
材料を変えてペットが食べても問題ないようにしたものだ。

さて、亜希子が主任として勤める双葉実装研究所では、このたび「実装用ケーキ」を開発した。
今からその試作品を、実験体として生産工場から届いたばかりのリーフちゃんに食べてもらうのだ。

「リーフちゃん、君にケーキをあげよう」
『ケーキ?』(以下、リーフちゃんの台詞はリンガルを通したもの)
「ケーキはアマアマな食べ物だよ。金平糖よりおいしいんだ」
『コンペイトウよりもテチ!?楽しみテチィ!』

リーフちゃんは金平糖など食べたことがないはずなのだが……さすがは本能に刻み込まれた食べ物だ。
例え食べたことがなくとも、美味しいものだということは知っているらしい。
そして、その上をいく美味しさと聞かされたケーキへの期待はいやが上にも高まっているようだ。

「はい、これがケーキだよ」

亜希子がリーフちゃんのケージの中に緑色のケーキが乗った器を置いた。

『テッチュ~ン♪アマアマな匂いがするテチィ♪』

うっとりして体をくねらせるリーフちゃん。
確かにその物体からはむせ返るほどの甘い香りが漂っている。

「さあ食べなさい」
『いただきますテッチューン!』

ケーキの器に飛び込まんばかりの勢いで、リーフちゃんは緑色の物体を食べ始めた。
ぺちゃぺちゃと音を立て、服、前掛け、髪や顔を緑色に汚しながら、ケーキを平らげていく。

『アマアマテッチュー!』

リーフちゃんはケーキのあまりの美味さにパンコンしている。
まあ無理もないだろう。
リーフちゃんはまだ生まれて数日ほどだが、こんなに甘い食べ物は生まれて初めて味わったのだろうし。

『ごちそうさまテチュウ!』

お腹をポンポンと叩きながら、リーフちゃんは器の横に寝転がって満足げに息を吐いた。

「うん、美味しく食べてもらえてよかったよ。じゃ、君はそのべたべたの体を洗って寝なさい」
『ありがとうございまテチュ!』

亜希子がケーキの器を片付け、入れ替えに水の入った器をケージに入れると
リーフちゃんは嬉しそうな顔で顔や服を洗い始める。
ウンコを漏らしたパンツもきちんと洗っている。
ちゃんと教育の行き届いた個体のようだが……。

『いきなり美味しいケーキを食べさせてもらえるなんて、ここはセレブなおうちテチ!
 ワタチはこれでカイジッソウテチ!』

そんな独り言を言うあたり、早々にメッキは剥がれるのかもしれないが……。
やがて体や服を洗い終えると、リーフちゃんは眠りに落ちた。

亜希子はリーフちゃんのケージを見下ろして小さく呟く。

「…さっきのケーキ、実装石のウンコでできてたんだけど……美味しそうに食べていたね」

むせ返る程に甘い匂いはウンコの臭いをごまかす人工香料、
くどい甘さもウンコの味をごまかす人工甘味料、
それらをウンコに混ぜて、軟らかく固まる凝固剤を混ぜて固めたのがさっき食べさせたケーキだ。
上の人は、香料と甘味料と凝固剤をセットにし、ケーキ型も別売りにして
商品にできないだろうかと考えているらしいが……。

「売れないと思うけどなあ…」

亜希子はポツリと呟いた。
ともかく、リーフちゃんは明日から実験石として様々な薬品や器具の被験体として生きることになる。
一見、教育の行き届いた風のあの仔実装のメッキがいつ剥がれるか。
亜希子は楽しみにしながらケージの置かれた部屋を後にした。


おわり
1 続: Name:匿名 2024/10/08-22:30:53 No:00009365[申告]
頭の良い仔実装に付けた手描き
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1 Re: Name:匿名石 2024/10/09-19:39:07 No:00009367[申告]
単純で短かな消化器官からするに食糞は実装の摂食プロセスとして有用な行為だろう
よって要らんプライドの心理的な障壁を排除出来て幸福度も確保する実装糞ケーキ化技術は彼女達の消化吸収効率を上げるに収まらない真の愛護発明と言えよう
2 Re: Name:匿名石 2024/10/13-01:22:28 No:00009371[申告]
文字理解というか日本語しゃべってるけどな
まあ一応実装バイリンガルという設定だが
ただそれ単語とか日本語として理解してるからやっぱりどうなんだっていう
デーしか言わず何も考えてない昔のサンドバック時代実装石でいいんだ
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