タイトル:【天国】 天国に行った実装石
ファイル:天国に行った実装石.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:577 レス数:5
初投稿日時:2023/08/19-10:05:04修正日時:2023/08/19-10:05:04
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ある実装石が死んだ。
どのように死んだのかはこの際どうでもいいので、触れないことにする。

その実装石は、気がつくと列に並んでいた。
並んでいるのは自分も含めて全てが実装石。
周囲には殺風景な景色が広がり、長い長い列の先には大きな建物がある。
建物の入口には、大きく『実装石専用入口』と書かれていたが、
無論、実装石には読むことができなかった。

「デェェ…ここが天国デス?なんか思ってたのと違うデスゥ…」
『ここは天国の手前の場所だって聞いたデス。
 この先にいる御方がワタシたちを天国に連れてってくれるそうデス』

自分のすぐ前にいる禿裸がそう言った。
なぜワタシが知らないことをこんな禿裸が知っているのか。
ドレイのブンザイでナマイキだと思ったが、ひとまず話を聞いてみることにした。

「そんな話、誰に聞いたデス?」
『ワタシの前にいる奴に聞いたデス』
「そいつは誰から聞いたデス?」
『さぁ…そのさらに前にいる奴から聞いたんじゃないデス?』

バカげていると思ったが、他に話相手もいないので、実装石は禿裸と話し続けた。
互いの身の上などを話している内に、列が少しずつ進んでいく。
また、いつの間にか自分の後ろにも新たな実装石…ピンク服の実装が並んでいた。

『ここが天国デス?』
「ここは天国の手前の場所デス。この先の建物で、ワタシたちは天国に行けるデス。
 …ワタシの前の奴がそう言ったデス」

どれくらい時間が経ったか分からないが、前後の実装石との会話が
楽しいとさえ思えてきた頃、ひとつ前の禿裸の順番が来た。

『先に天国で待ってるデス』
「すぐにワタシも行くデス。一緒にコンペイトウ食べるデス」

禿裸は笑って手を振りながら、建物に入っていった。
少し間をおいて、自分の番が来た。
ひとつ後ろのピンク服に声を掛ける。

「先に天国で待ってるデス」
『すぐにワタシも行くデス。一緒にステーキを食べるデス』

入口の前にいる角の生えたニンゲンに促されて、実装石は門をくぐった。

『まっすぐ進んで、あの御方の前でひざまずけ』

ニンゲンの怖い顔に逆らい難いものを感じ、言われた通りにする。

『次、37564番!』
「は、はいデス!」
『…おや、お前は天国行きですぅ。おかしなこともあるものですぅ…。
 まあ書類にそう書いてあるから仕方ないですぅ。じゃ、さっさと逝くです』

その実装石は天国行きになった。
ショルイ云々の意味は分からなかったが、とにかく天国に行けるのは嬉しい。
もうギャクタイハにイジメられることもないし、アマアマもウマウマも食べ放題だ。
そんな妄想をしているうちに、気がつくと天国に送られていた。

「やったデスゥ!これで天国でシアワセ生活デスゥ!
 …デ?ここが天国デス…?何か思ってたのと違うデス」

天国に送られた実装石は、その閑散とした様子に驚きいた。
土と岩ばかりで何もない…食べ物どころか木や草すらない。
それでも実装石は、先に送られているであろう禿裸を捜し始めた。
…だが、天国には禿裸どころか誰もいなかった。
後から来るはずのピンク服も、いつまで待ってもやって来ない。

「なんで誰もいないデス?」

それもそのはず、全ての実装石は生前の罪によって地獄に落ちるはずなのだ。
天国に実装石がいるのは何かの間違いと言わざるを得ない。

「オロロ~ン!寂しいデスゥ!誰でもいいから来て欲しいデスゥ!
 この際ニンゲンでもいいデスゥ!天国に来るならいいニンゲンのはずデスゥ!」

人間は人間の天国や地獄に行く(と言っても天国に行ける者などいないが)ため、
実装石の天国には人間は誰もいない。

当然、実装石も人間も誰もいない天国を管理する者は必要ないので、
天使などが訪れることもなく…そこはとても寂しい場所だった。
せめて食べ物でもあれば気もまぎれるのだろうが何もない。

「こ、こうなったら…仔を産むデス!ここで家族を作ってやるデス!」

少しでも早く話相手が欲しかった実装石は、頭を地面にぶつけて怪我をして、
その血で目を赤く染め、強制出産することを思い立った。
だが…。

「デスッ!?地面が軟らかくて血が出ないデスゥ!
 デギィィィ!こうなったら腕を噛み切るデズァァァッ!」

自分の腕に歯を立てて、思いきり食い千切ろうとするが…。
何故か歯がすり抜けてしまい、噛み切ることはできなかった。
天国では誰かを傷つけることはできないのである。

「デギャアアアアア!仔も産めないデジャアアアア!?」

出産を諦めた実装石は、話相手を求めてふらふらと歩き始めた。
暖かな光が差すだだっ広い天国を、ただ独りで彷徨う。

「…オロロ~ン、誰もいないデスゥ!誰か、誰かいないんデスゥ?寂しいデスゥ!」

「誰か…誰か出てきて欲しいデスゥ…誰でもいいから構って欲しいんデスゥ…」

「デェ…あんな所にニンゲンがいるデスゥ…ワタシを飼ってくれるデスゥ…?」

「死んだムスメたちがこっちを見てるデスゥ…懐かしいデスゥ…」

「ママ…ママデスゥ…?ママァ~…逢いたかったデスゥ…」

その実装石は、三日後に寂しさから気が触れた。
既に死んでいるのでパキンすることもできなかったのだ。

「デ~、デ~…。
 …デプッ…デププッ…」

たまに笑っているのは、シアワセな幻でも見ているのだろうか…?

今日も天国では、一匹の気が触れた実装石がパンツの中に糞を漏らしながら、
どこを見ているか分からないうつろな目で、デーデー鳴きながら彷徨っている。
そしてその実装石以外、天国には誰もいない…。



『書類のミスで間違えて天国に送ったですが、まぁ良しとするですぅ』



~完~

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1 Re: Name:匿名石 2023/08/19-21:01:08 No:00007812[申告]
これはバグで迷い込んだ虚無空間
しかもリセット不可
2 Re: Name:匿名石 2023/08/20-18:49:48 No:00007813[申告]
糞漏らせたということはそれを目にぬって両目緑の妊娠コースが使えたはずなのにそれに気付けないのが悲劇だな
3 Re: Name:匿名石 2023/08/30-10:57:56 No:00007902[申告]
ポケモンのなぞのばしょは天国だった…?
4 Re: Name:匿名石 2024/05/25-14:51:13 No:00009134[申告]
実装石の犯せる程度の罪で地獄行きなら人間も当然全員地獄行きだよなぁ…
5 Re: Name:匿名石 2024/05/25-21:55:05 No:00009135[申告]
まあ日常的な仔喰い上等の生活スタイルの連中と人間と同基準にされてもね
外法のモノとして別枠にでもして
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