タイトル:【虐】 とある実装石親子の話③
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:637 レス数:4
初投稿日時:2023/01/13-19:30:18修正日時:2023/01/13-19:30:18
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男が小屋に一蹴りすると、中から声を上げて何かがのそりと這い出した。
それは禿裸の実装石親子だった。

デェェ…

テンが驚き固まる。
まさか同じ実装石が出てくるとは。
しかも身包み剥がされ、首は鎖にも繋がれている。
驚いて固まっているのは自分だけではなく、向こうの親子もそうだった。
お互いに動かずにいると、男がテンに言う。

「テン、今日からこいつらの散歩も頼むよ」
「デ…デェ!?」
「名前は親がミー、子供がドー、リーだからよろしくね」


散歩!?
驚くテンの目が見開かれる。
今まで一人で外を出歩いた事も無い。
しかも同じ実装石を連れて歩くなんて…。
悩んでいるテンに、男が鎖と持ち上げ、持っていた輪っかに掛ける。

「ほら、これでテンにも持ちやすくしたよ」

そう言って右腕に輪っかを通される。
その輪っかからは3匹の鎖が繋がり、確かに持ちやすくはなっている。
悩むようにそれを見つめていると、親のミーがが話しかけてきた。

「も、もしかしてお隣さんデスゥ…?」

そう言われテンが顔を上げて、親の方の顔を見る。
…もしかしてショップにいたお隣さん?

「デ!あなた一緒にいたお隣さんデス!?」
「そうデス!良かったデスゥ!知ってる顔がいたデスゥゥ!」

そう言うと涙を流し、子を抱えてこちらに寄って来た。

「昨日飼ってもらえたと思ったら、いきなり子供達と一緒に禿裸にされたデス…
 この寒い中、鎖に繋がれて外から来る野良達を見張れって言われたデス…」
「テェェェン!オバチャ助けてテチィ!」
「テチュゥーン!テェェン!お腹空いたテチィ!」

泣き叫ぶ親子に戸惑うテン。
男が昨日使っただろうハエ叩き棒で、親子を叩く。

デベ! テヂ!テジュ!

「さぁそろそろ散歩行ってきなさい、ちゃんと戻ってきたら朝ごはんは上げるよ」
「デェェ!ご飯デスゥ!?」
「ママ!やったテチ!ご飯食べれるテチュ!」

喜ぶ親子を尻目に、不安でいっぱいになるテン。
男がいうにはこうだ。
家の横にある公園を一周して家に戻る。
そうしたら朝ごはんだ、と。


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公園を散歩するテンと親子。
朝早く、まだ寒い。
テンの先の歩く親子も、裸で寒がりながらもご飯を目当てに励ましながら歩く。

「ママー!寒いテチー! 思ってた飼い生活と全然違うテチィ!」
「妹チャ、頑張るテチィ 散歩終わればご飯あるテチュ」
「そうデスゥ、リーちゃん きっとその内いい暮らし出来るデス」

などと会話を聞きながら、テンは昨日の光景、子供達の事を考えながら
「いい生活…そんな事無いデスゥ…」
と呟く。

「何か言ったデス?」
「な、何でも無いデス!」

昨日見た事は言えなかった。
きっとあの親子はまだここからいい暮らしが出来ると信じているんだろう。
何より飼いの証拠の首輪をされていた、そして名前も貰っている。
だからまだ男を信じていたのかもしれない。
それとも何か信じ込まされたのか。

そんな事を考えていると繁みから何かが飛び出してくる。
テンが最初に男と公園に差し掛かった時に見た実装石。

「デ…!野良デスゥ…」

ミーがそういった時にテンの記憶が蘇った。
ショップの時に教わった飼われていない同族の「野良」
非常に危険で近づかないようにしなさいと。

「待つデスゥ、お前ら”飼い”デスゥ?」
「朝早く起きた甲斐があったデス♪ いい獲物がきたデスゥ♪」

嫌な臭いが鼻を突く。
テンが身構え、ミーは不安がる子供達を後ろの背中に引き寄せた。

「デププププ!禿裸の親子デス! しかもいい服着た奴が繋いで連れてるデスゥ」
「飼いはいい身分デスゥ!デプププ…親子の奴隷連れて歩いてるデス」

こちらを見てあざ笑う2匹の野良。
子供達は怖がりミーの足にしがみつく。

「デ、デス…奴隷なんかじゃないデス…お友達デスゥ…」
「デッピャッピャッピャ!聞いたデスゥ?禿裸を繋いでお友達とか言ってるデス!」
「デッピャーピャピャ!笑わせるデス!”飼い”の奴は頭おかしいデス!」

お友達と聞いて大笑いする2匹。
ショップで見てきた、クソムシと呼ばれ間引かれた子達と一緒だった。

「ワタシ達はお散歩してるだけデスゥ…そこを通して欲しいデス…」
「子供達も怖がってるデス…通して欲しいデスゥ」

テンと親が2匹にそう伝えると余計に大笑いし始める。

「デプププ、デピャピャピャ!ギャグで言ってるデスゥ!?デピャッピャ…」
「お前らは獲物デスゥ!さっさとその子供とお前の来てる服を寄越すデス!」

テン達の顔が青ざめていく。
こいつらは私達が目当てなのか!

テェェェーーン!テェェェーーン!ママ、コワイテチー!

ドーとリーも一斉に泣き叫び始めた。
教えはされたがここまで酷いとは思っていなかった。
ミーが子供達を抱き寄せ持ち上げ、後ずさる。
そしてテンも後ずさり…

「に、逃げるデスゥ!」

テンが叫ぶとテンと子供達と抱えたミーが走り出す。
逃げなければ、一刻も早く男のいる家に帰らねば。

「デス!獲物が逃げるデス!」

後ろで野良の叫びが聞こえる。
だが構っている暇はない、ただただ必死に駆ける。
すぐ後ろでドーとリーの泣き叫ぶ声が響く。

必死に走っていると急に腕が引っ張られ、視界がぐっと上を向き青い空が見えた。

「デジャ!」

痛がりながら後ろを向くと、どうやらミーの足が縺れて一緒に転ぶ羽目になったようだ。

「チャンスデスー!!」
「デッピャッピャッピャ!捕まえたデス!」

ミーが足を掴まれる。

「は、離すデスゥ!やめるデス!」
「そんな事言われて離すバカはおらんデス♪」
「やーっと捕まえたデス…さて…」

野良がミーではなく、転んだ拍子に話してしまったリーを持ち上げた。

「テェェェェ!!!ママー!助けてテチィー!!」
「リー!離すデス!」
「奴隷のくせに名前つけてるデスゥ?生意気デス!」
「デギャ!」

倒れたままのミーの顔面に蹴りを放つ野良。

「ママーママー!怖いテチューーー!」
「五月蠅い奴隷は…こうデスゥ♪」

そのまま口の上に持ち上げ片足を齧り、食べた。

「テチャァァァァ!!!ワタチのあんよがぁぁぁ!痛いテチィィ!!!」
「う~~ん、こいつら本当に奴隷デスゥ?前に食べた奴よりデリシャスデスゥ♪」
「デギャアアアア!!!!リー!今助けるデス!離すデスゥ!!!」

リーの片足を味わうように食べ、恍惚の表情を上げる野良。
もう1匹も早く食べたいのか、ミーの足を抑えながらもう1匹に早くしろと急かす。
その野良の頭を叩きながら、涙を流し必死に抵抗するミー。

「デ…デ…デェェ…」

目の前の光景に恐怖しへたり込み、少し漏らしてしまうテン。

「助けてテチューー!ママー!死にたくないテチィー!!」
「オネエチャァ!オネエチャァ!」
「今助けるデスゥ!離すデェェース!!」

だがその目の前の光景が自分の子供と被ってきた。
震える体に鞭をいれるように、立ち上がる…

「次はこっちの足デスゥ~♪」
「ママー!!ママー!!」
「デェェェェェェ!!!!」

野良が口に入れようとした時に、テンが後ろから体当たりをした。

デギャ!?デベ!

野良がそのまま顔から倒れる。
急な事でリーもそのまま手放してしまう。

「テチャァァ!」
「リー!」

落ちたリーはそのままミーの手にキャッチされた。
だが再会を祝っている暇もない。

「デデ!?」
「早く逃げるデェェス!」

野良は反撃されると思っておらず、隙が出来る。
手が緩み、立ち上がるミー。

「今のうちに逃げるデズ!早くするデス!」

テンがミーに叫ぶ。
ミーが慌てて子供を抱き寄せ、テンの後ろを追いかけようとする。
だが野良も朝ごはんを取られまいと、すぐに追いかけようとする。

「デェェェェ!痛かったデスゥ!待ちやがるデズウウ!!」
「間抜けのせいでワタシが肉を食べれなかったデズァ!」

鬼の形相で追いかけてくる野良。
きっと”飼い”に一泡食わされたのがよっぽど気に食わなかったのか。
しかし野良の方が少し早い。

「デププ~♪ 高貴なワタシ達の朝ごはんになるデス~♪」

あと一歩で捕まりそうになった時だった。

「デギャ!」
「デビュア!?」

後ろでバチンと衝撃音と大きな叫び声が聞こえる。
テン達が驚いて振り向くと、2匹の野良の一方は頭、もう一方は背中が黒くなっていた。

「デ…?なんデスゥ…?」
「分からないデス…でも助かったデス?」

テンとミーが顔を合わせて何があったか不思議そうにしていると、あちこちでデスデス騒ぐ声がしてきた。
(なんデス~?朝から近所迷惑デスゥ)
(こんな朝っぱらから喧嘩デスー?五月蠅くて起きちまったデス…」

不味い、騒ぎ声に今の音で他の野良が気づいてしまったか…。

「は、早く帰るデス!」

そう言うと慌てて駆け出し、公園から逃げ出した。


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家の前まで着いたがリーはまだ泣き止まない。
足が無くなったから当たり前であるが。

「テェェェン!あんよがぁ、あんよが痛いテチィィ!」
「イモウトチャ、しっかりするテチィ」
「デスゥ…リーちゃん、しっかりするデスゥ…困ったデス…」

玄関先には男がいた。
何か電話しているようだが、リンガル無しで何を言ってるかは分からない。
そして途中で男が気づいて、リンガルのスイッチを入れる。

「ああ、お帰り ちゃんと散歩出来たかい?」
「デェェェ…怖かったデスゥ…散歩もう嫌デス…」

泣き出すテン。
男が後ろに目をやると汚れたミー達と、足を無くしたリーに気づく。

「野良にやられたのか、ちゃんとしてくれよ、一応番犬として飼ったんだからね」
「ご主人様、リーちゃんのあんよが、あんよが…」

ミーとドーも泣いているが、それ以上にリーは痛がり泣き叫ぶ。
男がリーを持ち上げ、足を見る。

「…なるほど、まぁこれくらいなら治せるよ」

その言葉を聞いてテンもミーもドーも泣き止み、目を輝かせた。

「ほ、本当デスゥ!?」
「ああ、そうだよ まぁ今日はお前達の能力は分かったけど今度からはちゃんと追い返してくれよ」
「デ!デス!」
「イモウトチャ!良かったテチィ!」
「ありがとうデスゥ!ありがとうございますデス!ゴシュジンサマ!」

テンはその光景を見て複雑だった。
外で飼われてるとはいえ、子供も面倒を見てくれている。
それに比べて私の子供はどうなっているのか…。
まだ子供達に会えいない、大丈夫だろうか…。

「…ン、テン、テン!」
「…は、はいデス!」
「取り合えず僕はこいつらの怪我を治したりするから、テンは先にご飯食べててくれるか?」
「…分かったデスゥ」

テンは言われた通り男が開いてくれた玄関に入る。
入る時に横目で親子を見る。
男がリーを持ち、親子は手を繋いで喜んでいる。
…同じ飼われていても、何故こうなってしまっているの…。
そんな事を思いながらテンは家へ入った。



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「さぁテン、散歩が終わってご飯を食べたから次は掃除をしてもらうよ」
「分かりましたデス」

子供は気になるが、逆らえば…。
昨日見たあの水槽の光景が頭を過る。

「取り合えず君の子供達の部屋をやってもらおうか」
「デデ!分かりましたデス!」

子供達に会える!
その言葉でテンが興奮する。
そう言ってあの部屋に向かう男の後を追う。
朝ごはんのフードをまた忍び込ませた。
…きっと喜んでくれるだろうな、お腹を空かせてるだろうな…
そんな事を考えながら、男が開けてくれた部屋に入る。

…薄明りの暗い部屋。
そういえば、昨日男がTVならつけておいてあげると言ってくれた。
ぼんやりと水槽に顔をくっつけ眺めている2匹。
男が明かりをつける。

「長女!3女!大丈夫だったデス!?」

テンが慌てて駆け寄る。
2匹はテンに気づく。

「大丈夫だったデス!?怖くなかったデス!?」

テンが水槽に顔をつけ、2匹に話しかける。

「… …なんでテチィ…」
「…デ?」
「…ママなんでテチュ…なんで…」

2匹が涙を流し、怒りの表情になっていく。

「なんで!なんで!ママだけ!ワタチも美味しいご飯やあんな生活したかったテチィィ!!」
「テェェェエエン!なんでテチィー!ママだけずるいテチューーー!」
「デ!?デェ!?」

床に転がり、泣きながら暴れまわる子供達。
テンには何がなんだか分からなかった。
確かに子供達と別れてしまった、だけどなんでここまで怒っているのか…。

「テン」
「デ…ス?」
「後ろを見てみなさい」

テンが後ろを向く。
ずっと点いていただろうTV。
そこには幸せそうに暮らす”飼い”の親子実装石が映っている。
仔実装達は寒いこの部屋で、夢に見た飼い実装の生活を味わえず、ずっと出れもしないケースの中で見させられていたのだった。




--続く--




糞虫を書くのは楽しいデッスーン

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1 Re: Name:匿名石 2023/01/14-03:18:49 No:00006696[申告]
子供が糞蟲になってきてる…!
2 Re: Name:匿名石 2023/01/14-07:38:54 No:00006698[申告]
待遇に差をつけられればそりゃあ、ね
もっとも飼いになればいい生活が出来るなんて分不相応な妄想抱いてるのが間違いなのだが
3 Re: Name:匿名石 2023/01/14-20:02:09 No:00006700[申告]
これは面白くなってきましたね!
親子の絆も崩壊間近!?
次作、楽しみにしております。
4 Re: Name:匿名石 2023/02/18-00:10:15 No:00006828[申告]
隣は隣で中にいるテンは親子揃って飼い生活してると思ってるだろうし
親子はもちろん隣との絆もきっと崩壊するな
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